【実施例】
【0059】
図3A〜3Cは、液体コア導波路における488nm光で照らされた、10
7ビーズ毎mLの濃度での液体における100nm蛍光体からの放射についての実験データを示す。
図3Aは、60%ヨウ化亜鉛及び約1.49の屈折率及び約2cPの粘度を有する40%H
2Oを包含する液体コアチャネルにおけるビーズの検出に対応する信号を示す。
図3Bは、底部側にARROW層及び他の3つの側にSiO
2層(1.46の屈折率を有する)を有する液体コアチャネルにおけるビーズの検出に対応する信号を示し、チャネルは約1.33の屈折率及び約1cPの粘度を有する水を含有する。
【0060】
図3A及び3Bに示されるとおり、ヨウ化亜鉛溶液における蛍光性ビーズからの放射の山形(
図3A)は、水における蛍光性ビーズからの山形(
図3B)より実質的に高かった。
図3A及び3Bにおけるx軸は秒単位での時間を示し、y軸は1ms毎の光度計のカウントを示す。
【0061】
図3Cは、
図3Aにおける信号及び
図3Bにおける信号のピークの下の領域を比較するヒストグラムを示す。ヒストグラムの左にあるより濃い色のバーが水におけるビーズに対応し、一方で、より薄い色のバーはヨウ化亜鉛溶液におけるビーズに対応する。
【0062】
表1(下記)は、水におけるビーズ、及びヨウ化亜鉛におけるビーズに対応するデータ、並びに各液体からのデータを比較する比率を示す。示されたとおり、ヨウ化亜鉛溶液におけるビーズは、より高い平均ピーク強度及びより高いバックグラウンド信号を示した。
【0063】
【表1】
【0064】
図4A〜4Cは、液体コア導波路における488nm光で照らされた、10
7ビーズ毎mLの濃度での液体における100nm蛍光体からの放射についての実験データを示す。
図4Aは、約1.43の屈折率及び約16cPの粘度を有する、エチレングリコール液体を含有する液体コアチャネルにおけるビーズの検出に対応する信号を示す。
図4Bは、底部側にARROW層及び他の3つの側にSiO
2層(1.46の屈折率を有する)を有する液体コアチャネルにおけるビーズの検出に対応する信号を示し、チャネルは約1.33の屈折率及び約1cPの粘度を有する水を含有する。
【0065】
図4A及び4Bに示されるとおり、エチレングリコール液体における蛍光性ビーズからの放射の山形(
図4A)は、水における蛍光性ビーズからの山形(
図4B)より実質的に高かった。
図4A及び4Bにおけるx軸は秒単位での時間を示し、y軸は時間毎の光度計のカウントを示す。
【0066】
図4Cは
図4Aにおける信号及び
図4Bにおける信号のピークの下の領域を比較するヒストグラムを示す。ヒストグラムの左にあるより薄い色のバーが水におけるビーズに対応し、一方で、より濃い色のバーはエチレングリコール液体におけるビーズに対応する。
【0067】
表2(下記)は、水におけるビーズ及びエチレングリコール液体におけるビーズに対応するデータ、並びに各液体からのデータを比較する比率を示す。示されたとおり、エチレングリコール液体におけるビーズはより高い平均ピーク強度及び同様のバックグラウンド信号を示した。
【0068】
【表2】
【0069】
図5A及び5Bは、液体コア導波路において488nm光で照らされた、10
7ビーズ毎mLの濃度での液体における2μm蛍光性ビーズからの放射についての実験データを示す。
図5Aにおいて、より高いピークを含む信号502は、1.53の屈折率及び3cPの粘度を有する70%ヨウ化亜鉛を含有する液体コアチャネルにおけるビーズの検出に対応する。より低いピークを含む信号504は、底部側にARROW層及び他の3つの側にSiO
2層(1.46の屈折率を有する)を有する液体コアチャネルにおけるビーズの検出に対応し、チャネルは約1.33の屈折率及び約1cPの粘度を有する水を含有する。
図5Aに示されるとおり、ヨウ化亜鉛溶液における蛍光性ビーズからの放射の山形は、水における蛍光性ビーズからの山形より実質的に高かった。
【0070】
図5Bは、信号502のピークの下の領域と信号504のピークの下の領域とを比較するヒストグラムを示す。ヒストグラムの左にあるより薄い色のバーが水におけるビーズに対応し、一方で、より濃い色のバーはヨウ化亜鉛溶液におけるビーズに対応する。
【0071】
表3(下記)は、水におけるビーズ及びヨウ化亜鉛溶液におけるビーズに対応するデータ、並びに各液体からのデータを比較する比率を示す。示されたとおり、ヨウ化亜鉛溶液におけるビーズは、水におけるビーズと比べて、より高い平均ピーク強度、同様のバックグラウンド信号、及び事象ごとの光子取集におけるほぼ25倍の増加を見せた。
【0072】
【表3】
【0073】
二層クラッドを備えた高インデックス液体コア導波路
いくつかの実施形態において、液体コア導波路は、液体コア、内側クラッド層、及び外側クラッド層を含む。液体コアの屈折率を内側クラッド層の屈折率と一致させることにより、並びに内側クラッド層及び液体コアの両方より低い屈折率を有する外側クラッド層を選択することにより、基本光学モードは、液体コアと内側クラッド層との間のインターフェイスで非ゼロの電界強度を有することができ、したがって、液体コアにおけるインターフェイスに近接して位置する粒子の効率的な励起及び検出を可能にし得る。このアプローチの結果は、
図6A〜6Cにおいて一例において示されている。
【0074】
図6Aは、いくつかの実施形態による液体コア導波路600の断面図を示す。図示のとおり、導波路600は、液体コア602、内側クラッド604、及び外側クラッド606を含む。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の追加的なクラッド(例えば、他のクラッド層)も又含められ得る。いくつかの実施形態において、本明細書において説明されたとおり、液体コア602の屈折率はクラッド604の屈折率と一致させられてもよく(例えば、それと均等又はそれと同様であってもよく)、一方で、クラッド606はクラッド604及び液体コア602の両方より低い屈折率を有してもよい。本明細書において説明されたとおり、この配置構成は、基本モードの電界プロファイルを、液体コア602の幅全体にわたって、比較的均一及び強くし得る。
【0075】
液体コア602の屈折率は、いくつかの実施形態において、ヨウ化亜鉛液体、エチレングリコール液体、又はクラッド606の屈折率より大きい屈折率を有する任意の好適な液体を含み得る液体コアの全て又は一部を満たす流体の屈折率であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア602は、
図2に関して上で検討された液体コア202と任意の1つ又は複数の特徴を共通して有してもよい。いくつかの実施形態において、液体コア602の屈折率は、1.25、1.35、1.45、1.75、2.0、又は2.25以上であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア602の屈折率は1.25、1.35、1.45、1.75、2.0、又は2.25以下であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア602の屈折率は1.45〜2.0であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態において、液体コア導波路600の液体コア602の幅(
図6Bに示される「d
c」)は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、又は50μm以下であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア導波路600の液体コア602の幅は0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、又は50μm以上であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア602の幅は1μm〜20μmであり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、液体コア602の高さは0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、又は20μm以下であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア602の高さは0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、又は20μm以上であり得る。いくつかの実施形態において、液体コア602の高さは1μm〜10μmであり得る。
【0078】
液体コア602は
図2A及び2Bの例においては長方形として示されているが、これは、いくつかの実施形態において、四角形、円形、半円形の、又は任意の好適な断面形状を有していてもよい。
【0079】
クラッド604の屈折率は、いくつかの実施形態において、二酸化ケイ素、五酸化タンタル、窒化ケイ素、又は任意の好適なガラス及び/若しくは酸化物、PDMS、又はプラスチックを含み得るクラッド604を作り出すために使用される中実(及び/又は可撓性)材料の屈折率であり得る。いくつかの実施形態において、クラッド604は、
図2に関して上で検討されたクラッド204と任意の1つ又は複数の特徴を共通して有してもよい。いくつかの実施形態において、クラッド604の屈折率は、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、又は2.2以下であり得る。いくつかの実施形態において、クラッド604の屈折率は1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、又は2.2以上であり得る。いくつかの実施形態において、クラッド204の屈折率は1.4〜2.0であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、クラッド604の屈折率は、モードが
図6Aに示される領域の両方にわたって連続的に支持されるように、液体コア602の屈折率の+/−0.5%、+/−1%、+/−2%、+/−3%、又は+/−5%内になるように選択され得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、クラッド604は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、又は20μm以下の厚さ(
図6Bに示されるとおり(d
h−d
c))を有し得る。いくつかの実施形態において、クラッド604は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、又は20μm以上の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、クラッド604は1μm〜10μmの厚さを有し得る。
【0082】
クラッド606の屈折率は、いくつかの実施形態において、二酸化ケイ素、五酸化タンタル、窒化ケイ素、又は任意の好適なガラス及び/若しくは酸化物、又はPDMS若しくはプラスチックを含み得るクラッド606を作り出すために使用される中実(及び/又は可撓性)材料の屈折率であり得る。いくつかの実施形態において、クラッド606は、上で検討されたクラッド604と、又は
図2に関して上で検討されたクラッド204と任意の1つ又は複数の特徴を共通して有していてもよい。いくつかの実施形態において、クラッド606の屈折率は、0.8、0.9、1、1.1、1.25、1.5、1.75、1.9、2、2.1、又は2.2以下であり得る。いくつかの実施形態において、クラッド606の屈折率は0.8、0.9、1、1.1、1.25、1.5、1.75、1.9、2、2.1、又は2.2以上であり得る。いくつかの実施形態において、クラッド606の屈折率は1〜2であり得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、クラッド606の屈折率は、クラッド604の屈折率より少なくとも1%、5%、10%、50%、75%、又は100%少なくなるように選択され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、クラッド606は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、又は20μm以下の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、クラッド606は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、15μm、又は20μm以上の厚さを有し得る。いくつかの実施形態において、クラッド606は1μm〜10μmの厚さを有し得る。
【0085】
図6Bは、いくつかの実施形態による、液体コアの屈折率と一致する屈折率を有する内側クラッド層を備えた、高インデックス液体コア導波路、例えば、導波路600のための屈折率プロファイルを示す。図示のとおり、液体コア602の屈折率n
cは、内側クラッド層604の屈折率n
Hと等しくてもよい(又は所定の百分率又は絶対範囲内で同様であってもよい)。さらに示されているとおり、液体コアの屈折率n
c及び内側クラッド層の屈折率n
Hは、両方とも外側クラッド層606の屈折率より大きくてもよい。
【0086】
図6Cは、いくつかの実施形態による、液体コアの屈折率と一致する屈折率を有する内側クラッド層を備えた、高インデックス液体コア導波路、例えば導波路600における基本光学モードのための電界プロファイルを示す。図示のとおり、モードプロファイルは、ヘルムホルツ方程式に対する解の性質を原因として、液体コア602とクラッド604との間のインターフェイス614a及び614bで有限の、非ゼロの強度を有する。さらに、モードは、(内側クラッド層604の屈折率は液体コア602の屈折率と等しくてもよいため)内側クラッド層604の屈折率の結果としてではなく外側クラッド層606におけるより低い屈折率の結果として、減衰することから、液体コア602にわたるモードの電界のプロファイルは、上で検討された液体コア202にわたるモードの電界のプロファイルよりさらに強くより安定的であり得る、すなわち、液体コア202におけるモードは、インターフェイス214a及び214bのすぐ外側のインデックス変化を原因としてより速やかに減衰し、一方で、液体コア602におけるモードは、インターフェイス614a及び614bから離間したインデックス変化を原因として減衰する。
【0087】
いくつかの実施形態において、インターフェイス614a及び/又は614bでのモード強度は、液体コア602の中心での極大612でのモード強度の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%以上であり得る。いくつかの実施形態において、614a及び/又は614bでのモード強度は、液体コア602の中心での極大612でのモード強度の5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%以下であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、インターフェイス614a及び/又は614bでのモード強度は、内側クラッド層604と外側クラッド層606との間のインターフェイス616a及び/又は616bでのモード強度の、101%、105%、110%、150%、2倍、3倍、又は5倍以上であり得る。いくつかの実施形態において、インターフェイス614a及び/又は614bでのモード強度は、インターフェイス616a及び/又は616bでのモード強度より105%、110%、150%、2倍、3倍、5倍、又は10倍以下だけ大きくてもよい。
【0089】
極大612、インターフェイス614a及び/若しくは614b、並びに/又はインターフェイス616a及び/若しくは616bでのモードの電界強度の相対的値は、コア及び複数のクラッド材料のチャネル寸法及び相対インデックスを介して制御され得る。
【0090】
したがって、インターフェイス114a又は114bの近くの液体コア102における粒子は、そこでの弱いモード強度を原因として、励起可能及び/又は検出可能ではない一方で、インターフェイス614a又は614b近くの液体コア602における粒子は、そこでのモード強度は、クラッド604内へのモードの延在を原因として、及びモードはインターフェイス614a又は614bで強制的にゼロとならないという事実を原因として、実質的により強いことから、励起可能及び検出可能であり得る。さらに、インターフェイス214a又は214b近くの液体コア202における粒子は励起可能及び検出可能であり得る一方で、インターフェイス614a又は614b近くの液体コア602における粒子は、インターフェイス614a及び/又は614bでのインデックス変化がない(又は極めてわずかである)ことから液体コア602におけるモードはそれほど速やかに減衰しないため、より大きい強度でより励起可能であるとともにより検出可能であり得る。
【0091】
このようにして、被検物質が液体コアの全ての部分で検出可能であることを確実にするために高インデックス液体を使用することにより、標的被検物質の不完全な検出の上で検討された問題は対応され得る。さらに、単一の又はわずかな蛍光性染料のみで標識された標的を検出することの困難さという上で検討された問題が対応され得るが、その理由は、総内面反射案内導波路は理論上は無損失であり、したがって実際には極めて効率的(例えば、本質的に無損失)であるように作られ得るからである。実際には、唯一の損失は製造欠陥を原因とするものであり得、これは独立して対応及び最小化され得る。したがって、チャネル、例えば、導波路200及び/又は導波路600により画定されたものに沿った光の伝達は、例えば導波路100でのリーキーモード案内と比べて著しく改良され得る。
【0092】
高インデックス液体コア導波路を使用するシステム
本明細書において説明されたとおり粒子検出のために高インデックス液体コア導波路を使用するためのいくつかの実施形態において、全ての試料調製ステップが、典型的には水性であるオリジナルのマトリクス(例えば、血液)を使用して実施されてもよく、光学活性された(例えば、蛍光標識した)標的は、中空マイクロチャネルにおける検出のすぐ前又は少し前に高インデックス液体内へ放出され得る。いくつかの実施形態において、標的は、検出の1秒、30秒、1分、5分、10分、又は30分未満前に高インデックス液体内へ放出され得る。
【0093】
いくつかの実施形態において、DNAを破壊せず、タンパク質を変性させず、及び/又は被検物質を他の方法で損傷又は変化させない高インデックス液体が、高インデックス液体コア導波路における使用のために選択され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、高インデックス液体コア導波路を使用した粒子検出のためのシステムは、細胞溶解、蛍光性ラベリング、標的抽出、被検物質流体の濾過(例えば、被検物質チャネルにとって大きすぎる片を取り除くため)、(例えば1つ又は複数のマイクロバルブに基づくコンポーネントによる)試料フロー制御、又は他の試料調製プロセスのための1つ又は複数のコンポーネントを含み得る。いくつかの実施形態において、これらのコンポーネントの任意の1つ又は複数が、本明細書において検討された他のコンポーネントの1つ又は複数と同じ基板(例えば、チップ)に配置され得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書において開示されたシステム及び/又は技術を使用しての粒子の検出は、1つ又は複数の検出された粒子を特定するために使用されてもよい。例えば、検出された粒子は、その放射波長、その放射強度、検出された速度、又は、検出された粒子のアイデンティティを決定するために1つ又は複数のデータベース若しくは他の既知の情報に比較し得る粒子についての他の任意の検出された特徴に基づき特定され得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の高インデックス液体コア導波路が、チップ又は別の好適な基板に配置され得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の高インデックス液体コア導波路が配置された基板又はチップは、幅が1mm、2mm、5mm、1cm、2cm、又は3cm未満であってもよく、長さが1mm、2mm、5mm、1cm、2cm、又は3cm未満であり得る。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の高インデックス液体コア導波路が配置された基板又はチップは、幅が1mm、2mm、5mm、1cm、2cm、又は3cmより大きくてもよく、長さが1mm、2mm、5mm、1cm、2cm、又は3cmより大きくてもよい。いくつかの実施形態において、1つ又は複数の高インデックス液体コア導波路が配置された基板又はチップは2x2mm〜2x2cmであり得る。