【文献】
原田岳人, 松浦充保, 小山優,「超音波センサにおける残響振動の理論検討」,2017年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ/NOLTAソサイエティ大会講演論文集,2017年 8月29日,A-4-1, p.30,ISSN 2189-700X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれ最後に発信された送信動作の制御パルスの終了とこれに直接的に続く逆制御パルスの開始との間の時間的間隔の規定または適合化によって逆制御パルスのシーケンスの位相位置が決定または適合化される、請求項1に記載の作動方法。
能動的な減衰のとき最後に発信されるべき、または発信された逆制御パルスがパルス幅の縮小によって消失したときに、最後の1つ前に発信されるべき、または発信された逆制御パルスのパルス幅の規定または適合化によって減衰エネルギーがさらに決定または適合化される、請求項5に記載の作動方法。
最後の制御パルスの終了の時点から、所定の閾値を下回る前記超音波送受信装置(1)における振動振幅の減少の時点までのタイムスパンを通じて、特に最小化および/または最適化によって、減衰成果を表す目安が判定される、請求項1〜6までのいずれか一項に記載の作動方法。
【発明の概要】
【0004】
それに対して、独立請求項1の構成要件を有する超音波送受信装置のための本発明による作動方法は、基礎となる超音波送受信装置の振動系の具体的な振動挙動の知見なしに、簡単な手段によって高い信頼度の仕方で能動的な減衰を実現することができるという利点を有する。このことは、本発明によると請求項1の構成要件により、(i)超音波送受信装置を代替的かつ特に交互に送信動作と受信動作で作動させ、(ii)超音波送受信装置(1)が送信動作に引き続いて、および/または受信動作の前に1つのシーケンスの逆制御パルスによる負荷によって能動的に減衰され、(iii)逆制御パルスのシーケンスの位相位置および/または減衰エネルギーがトレーニングを通じて反復的に決定または適合化され、(iv)それにより減衰成果の目安が少なくとも一時的に少なくとも局所的に最善の値をとり、または当該値に近づくようにされる、超音波送受信装置のための作動方法が創出されることによって実現される。
【0005】
従属請求項は本発明の好ましい発展例を示している。
【0006】
好ましい実施形態に基づき、それぞれ最後に発信された送信動作の制御パルスの終了とこれに直接的に続く逆制御パルスの開始との間の時間的間隔の規定または適合化によって逆制御パルスのシーケンスの位相位置が決定または適合化されると、本発明による作動方法が特別に好ましく構成される。
【0007】
逆制御パルスのシーケンスの減衰エネルギーは、さまざまな方法によって判定し、規定し、および/または適合化することができる。
【0008】
本発明による作動方法の特別に好ましい発展例では、能動的な減衰のときに出力されるべき、または出力された逆制御パルスの数、継続時間、および/または振幅の規定または適合化によって、特に、基礎となる超音波送受信装置の振動素子を励起する電圧および/または電流強さの推移および/または振幅の規定または適合化を通じて、減衰エネルギーが決定または適合化される。
【0009】
本発明による作動方法の別の実施形態では、能動的な減衰のときに最後に発信された逆制御パルスのパルス幅の規定または適合化によって減衰エネルギーが決定または適合化されると特別に簡易な状況がもたらされる。
【0010】
本発明による作動方法の別の実施形態に基づき、能動的な減衰のとき最後に発信されるべき、または発信された逆制御パルスがパルス幅の縮小によって消失したときに、最後の1つ前に発信されるべき、または発信された逆制御パルスのパルス幅の規定または適合化によって減衰エネルギーがさらに決定または適合化されると、いっそうの簡易化を実現することができる。
【0011】
能動的な減衰での減衰成果の判定に関しても、さまざまなコンセプトを適用することができる。
【0012】
本発明による作動方法の1つの好ましい実施形態では、最後の制御パルスの終了の時点から、所定の閾値を下回る超音波送受信装置における振動振幅の減少の時点までのタイムスパンを通じて、特に最小化および/または最適化によって、減衰成果を表す目安が判定される。
【0013】
その代替または追加として、本発明による作動方法の別の好ましい発展例では、超音波送受信装置および特に基礎となる超音波送受信装置の振動素子の振動信号または振動信号の包絡線よりも下で、振動信号または振動信号の包絡線の値が所定の閾値よりも低下している開始時点から終了時点までの積分の決定によって、特に最小化および/または最適化によって、減衰成果を表す目安が判定されることが考えられる。
【0014】
トレーニング方法それ自体も、本発明による作動方法の適合化の同じく多彩な選択肢を提供する。
【0015】
たとえば、基礎となる超音波送受信装置の初回スタート時に、および/または基礎となる超音波送受信装置の動作中断後もしくは動作休止後のあらためてのスタート時に、トレーニングが実行されることが意図されていてよい。
【0016】
超音波送受信装置のための作動方法のときすでにトレーニングが実行されている場合であっても、−別の実施形態に基づき−トレーニングの後に、かつ特に基礎となる超音波送受信装置の作動中に、位相位置および/または減衰エネルギーが減衰パラメータとして制御動作で再調節されると、さらなる利点がもたらされる。
【0017】
トレーニングおよび/または制御動作は次のことによって実行することができる。
−減衰パラメータとしての位相位置および/もしくは減衰エネルギーがまずそれぞれ粗調整によって、およびその後にそれぞれ場合により微調整によって規定もしくは適合化され、
−減衰パラメータとしての位相位置および/もしくは減衰エネルギーが、それぞれのパラメータ範囲内の探索窓におけるインターバル半減によって規定もしくは適合化され、
−減衰パラメータとしての位相位置および/もしくは減衰エネルギーが固定的な適合化方向でまず正もしくは負のインクリメントにより、およびその後に負もしくは正のインクリメントによってそれぞれのパラメータ範囲内の探索窓において規定または適合化され、ならびに/または、
−減衰パラメータとしての位相位置および/もしくは減衰エネルギーの各々の規定もしくは適合化の後に減衰成果の目安が規定されて検査される。
【0018】
さらに本発明は、先行請求項のうちいずれか1項に記載の超音波送受信装置のための作動方法を実施するようにセットアップされた、超音波送受信装置のための制御装置に関する。
【0019】
さらに本発明の対象物は、本発明に基づいて構成された制御装置を有する超音波送受信装置である。
【0020】
最後に本発明は、作業装置または車両の周辺区域を検出するために本発明に基づいて構成された超音波送受信装置を有するように構成された作業装置および特に車両も対象とする。
【0021】
添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において
図1〜
図11を参照しながら、本発明の実施例と技術的な背景について詳細に説明する。同一および等価の、ならびに同一または等価の働きをする素子やコンポーネントは同じ符号が付されている。素子やコンポーネントについての詳細な説明を、それらが出てくるたびに繰り返すことはしない。
【0024】
示されている構成要件およびその他の特性は、本発明の要部から外れることなく任意の形態で互いに単離し、任意に互いに組み合わせることができる。
【0025】
図1は、本発明に基づいて構成された超音波送受信装置1をブロック図の形式で示す模式図である。
【0026】
この超音波送受信装置1は、(i)本発明による作動方法の実施形態を実施するようにセットアップされた制御ユニット10と、(ii)信号生成ユニット20と、(iii)振動性素子および/またはセンサとしても把握することができる超音波変換器30と、(iv)検出ユニット40とを有しており、後者は、減衰成果の目安を判定するために振動系としての超音波変換器30の振幅を検出するようにセットアップされている。
【0027】
制御ユニット10は、第1の検出・制御回線11を介して信号生成ユニット20と接続されるとともに、第2の検出・制御回線12を介して検出ユニット40と接続されて、それらの状態を検出し、その動作を制御する。第1〜第3の検出・制御回線21,22および23を介して、信号生成ユニット20は一方では超音波変換器30と接続され、他方では検出ユニット40と接続されている。このとき第1および第2の検出・制御回線21および22は送信動作のとき、周辺区域50への一次音響31を生成および発信するための送信器として超音波変換器30を制御する役目を果たし、他方では受信動作のとき、超音波変換器30により受信された二次音響32から導き出される受信信号を検出する役目を果たす。このとき二次音響32は、特に周辺区域50の物体53で反射された音響すなわち物体53のエコーを有することができる。
【0028】
本発明によると制御ユニット10は、送信動作に引き続いて、または一次音響31の形態の送信パルスが超音波変換器30により発信される送信動作の一部分に引き続いて、相応の逆制御パルスが信号生成ユニット20により生起されて超音波変換器30に転送されて、送信動作に由来するその振動状態を減衰させるよう指示するようにセットアップされる。
【0029】
第1および第2の検出・制御回線41および42を介して、超音波変換器30のこのような振動状態を検出ユニット40により検出することができ、そのようにして、逆制御パルスでの負荷による減衰成果を評価することができる。
【0030】
図2は、制御パルス33のシーケンスと、これに続く逆制御パルス35のシーケンスをそれぞれの時間的推移で、横軸にプロットされた時間tとともに模式的に示している。図に見られるとおり、第1の逆制御パルス35の開始は、最後の制御パルス33の終了に対して時間的なオフセット37をもって遅延して行われ、それにより逆制御パルス35のシーケンスの位相位置が制御パルス33に対して定義される。逆制御パルス35のシーケンスの減衰エネルギーは、個々の逆制御パルス35のパルス高さが同じであれば、パルス幅38によって決定される。減衰エネルギーを調整するために、特に、最後の逆制御パルス36のパルス幅39が、最後の逆制御パルス36の中央位置を中心として縮小される。
【0031】
図3は、最後の逆制御パルス36のパルス幅39を通じて調整された、それぞれ異なる減衰エネルギーを有する逆制御パルス35のシーケンスを含むグラフを模式的に示している。横軸にはそれぞれ時間tがプロットされている。
図3の上側領域では、先行する逆制御パルス35のパルス幅38と、最後の逆制御パルス36のパルス幅39とが同一であり、それに対して図の下側領域では、最後の逆制御パルス36のパルス幅39が半減されている。
【0032】
図4および
図5は、減衰成果を表す目安を計算するためのグラフ55を示している。
【0033】
図4との関連では、閾値法によって減衰成果が評価される。横軸56には時間t、縦軸57には超音波変換器30の振動系の振幅Aを表す目安がプロットされている。個々の測定点59を含む軌跡58がそれぞれ示されている。時点t1は、最後の送信パルス33の時間的な終了を特徴づける。時点t2は、振幅Aによって所定の閾値Asを下回ることを特徴づける。
【0034】
図5のグラフ55では、振幅Aについての閾値Asが援用されるのではなく、積分のスタート時点t2−1と終了時点t2−2の間で、最後の送信パルス33の終了t1の後の軌跡58の下の積分値Iが援用される。
【0035】
図6は、本発明に基づく能動的な減衰での減衰成果を例示するためのグラフ60を示している。
【0036】
横軸61にはオフセット37の値がマイクロ秒でプロットされ、縦軸62には矢印方向すなわち下方に向かって減衰エネルギーがプロットされている。最善の減衰の領域63、および不適当な減衰の領域64がパラメータ空間全体に示されている。
【0037】
図7〜
図9は、具体的なトレーニングアルゴリズムを例示するためのグラフ70,80および90を示している。
【0038】
図7では、横軸71にプロットされたオフセット37と、縦軸72にプロットされた超音波変換器30の振動系の振幅とを有するグラフ70が、振幅Aの最小値およびこれに伴って減衰の最適値に相当するパラメータ空間の領域75とともに、個々の測定点74を含む軌跡73を示している。矢印76および77の方向は、トレーニングでオフセット37を変更するときの最適化の可能な方向を、スタート値を起点として表している。
【0039】
図8および
図9はそれぞれ、あとでまた詳細に説明するインターバル半減によるエネルギー探索、およびオフセットとエネルギーの微調整を示している。
【0040】
図7〜
図9に示すこのようなトレーニング方法では、まず第1の段階で、振幅の谷位置すなわち最小値と、当該最小値をもたらすオフセットの対応する値とを求める探索が行われる。まず最初に、たとえば+−4または6μsのスパンを有する探索窓の形態の所定の探索範囲76が2μsのステップで通過され、その際には、オフセットが変化する方向での振幅Aの2回の上昇または増大の後に中断がなされる。
【0041】
次いで、第2の段階でインターバル半減によって、すなわち
図2および3に示す最後の逆制御パルス36のパルス幅39の適合化によって、最適化エネルギーを求める探索が行われる。このことは、4μsまでのインターバル半減によって行われる。4μsのとき、第2のサイクルは任意選択としてのみ実行される。
【0042】
次いで、第3の段階でオフセット37の微調整が行われ、すなわち、オフセット37の変更における2μsのステップ幅をもつ限定されたステップと、1μsのステップ幅をもつ限定されたステップとによって行われる。
【0043】
最後に、トレーニングの第4の段階で減衰エネルギーの微調整が行われ、それはまず、最後の逆制御パルス36の減衰エネルギーを決定するパルス幅39における2μsのステップ幅をもつ限定されたステップによって行われ、次いで、減衰エネルギーの変化における1μsのステップ幅をもつ限定されたステップによって行われる。
【0044】
第5のステップとして、場合により減衰エネルギーの値の最小値へのリセットを含めて、能動的な減衰なしでの妥当性検査が行われる。
【0045】
図10は、横軸101にプロットされたオフセット37と、縦軸102にプロットされた減衰エネルギーとを含むグラフ100で、減衰エネルギーまたはオフセット37についてのさまざまなスタート値105および106を有するトレーニングアルゴリズムの態様を模式的に図示している。減衰の最適値に相当するパラメータ空間の領域103が再び示されている。
【0046】
図11は、制御動作のための方法Sの一実施形態をフローチャートの形式で図示している。
【0047】
この方法Sは、減衰成果についての閾値の設定S1に加えて、オフセット適合化とエネルギー適合化の連続するステップS3〜S6で成り立っていて、それぞれがオフセットまたは減衰エネルギーのそれぞれのパラメータの正と負のインクリメントを含んでいる。このとき第1の部分ステップS3−1,S4−1,S5−1,S6−1で、所定のステップ幅での正または負のインクリメントで減衰成果が判定される。次のステップS3−2,S4−2,S5−2,S6−2で、繰返しの回数が最大の繰返し数に相当しているかどうかチェックされる。それが該当しないとき、あらためて適合化が行われる。行程の最大数に達しているとき、それぞれのステップS3−3,S4−3,S5−3,S6−3で、減衰成果が所望の閾値よりも良好であるかどうかチェックされる。それが該当するとき、次のステップS3−4,S4−4,S5−4,S6−4で、最善の減衰成果をもたらすオフセットまたはこれに対応するエネルギーが、新たな最適化された値として保存される。そうでない場合、先行するステップで次の処理ステップへ、すなわちS3からS4、S4からS5、S5からS6、S6からS1へと移動する。
【0048】
本発明の上記およびその他の構成要件および特性について、以下の記述によってさらに説明をする。
【0049】
超音波送受信装置1の振動性素子30として把握されるセンサ素子の減衰振動により、超音波送受信装置1を装備している作業装置の、たとえば車両の周辺区域50の物体を、送信制御の直後に検知することは可能でない。
【0050】
その帰結として、センサ30に非常に密接して位置する物体53を検知することができないむだ時間が生じる。このときセンサ30の減衰振動段階の長さが、むだ時間の長さを決定する。
【0051】
能動的な減衰により、減衰振動段階およびこれに伴ってセンサ30で利用可能でないむだ時間を短縮することができる。
【0052】
能動的な減衰の成功にとって、減衰パルスとしてのいわゆる逆制御パルスの位相位置が非常に重要である。これは最大の減衰成果のために180°でなければならない。位相位置の軽微な誤差でさえ減衰成果の損失につながる。
【0053】
位相位置のほか、供給される減衰エネルギーも同じく減衰成果にとって決定的である。高すぎる減衰エネルギーは振動増幅につながり、低すぎる減衰エネルギーは不十分な減衰につながる。
【0054】
すなわち効率的な減衰は、両方のパラメータである減衰エネルギーと逆制御パルスの位相位置の正確な調整の必要性をもたらす。
【0055】
これらのパラメータの厳密な調整は、減衰されるべき振動の位相と振幅が明示的に判定され、これらの値を用いて瞬間的な逆振動が生成されることによって実現することができる。たとえば能動的なノイズ・キャンセリング・ヘッドホン等の機器で作用されているこの周知の方策は、そのプロセス工学上、装置上のコストのゆえに本発明では回避することが意図される。
【0056】
自動車分野の超音波変換器30では、送信電圧の生成のために変圧器が利用される。これは並列共振回路としても知られる電気配線を生じさせる。このような配線の帰結は、機械的な振動の位相と振幅を受信回線によって決定することができず、逆振動を生成する上記の方法を適用できないということである。
【0057】
励起周波数に依存する定義された逆位相と逆振幅の設定も同じく成功しない。センサ30が製造公差に起因してそれぞれ相違する減衰と自己共振を有しており、励起後にそのような固有周波数への移行が起こるからである。しかも自己共振と減衰は温度依存的であり、動作中に変化する。
【0058】
本発明の課題は、減衰されるべき振動の位相と振幅を知ることなしに特別に効率的である、能動的に減衰される超音波センサ30を有する超音波送受信装置1の作動のための方法を提供することにある。
【0059】
本発明の要諦は、(a)所望の減衰エネルギーに関わる逆制御の形式であり、かつ(b)基礎となるセンサの作動期間・耐用期間の全体を通じて減衰最適値を保証することを可能にする、減衰エネルギーと位相位置のパラメータの決定を含むトレーニング動作と制御動作Sの指定である。
【0060】
減衰最適値のためには、上で説明したとおり、逆位相位置と供給される逆制御パルスの調整が必要である。
【0061】
動作のためには、これらの物理量が線形の基準数またはパラメータによって表されて、減衰成果を特定のパラメータ組み合わせに一義的に帰することができるようにするのが望ましい。
【0062】
減衰エネルギーは次のものの適合化によって変えることができる。
(a)逆減衰パルスの数、
(b)逆減衰パルスの継続時間、および/または
(c)逆減衰パルスの制御電流。
【0063】
パラメータ空間を記述するために、減衰エネルギーに線形依存する基準数を生起し、すなわちたとえばパルスの数を同じままにしておいて制御電流だけを変更するのが望ましい。
【0064】
実際の具体化のためには、(a)と(b)の組み合わせが特別に好ましいことが判明しており、電流制御よりも容易に具体化することができる。
【0065】
このとき逆減衰パルスの継続時間は、最後の逆パルスのパルス幅が中央位置を中心として最大のパルス幅まで調整されるように変更され、その様子は
図2および
図3との関連で示されている。
【0066】
最大のパルス幅は、設定パラメータを通じて定義される、逆制御周波数の周期時間によって与えられる。パルス幅が減るにつれて、低い減衰エネルギーが供給される。減衰エネルギーをさらに引き下げようと、スキームに最後のパルスがなくなり、最後から1つ前のパルスのパルス幅が相応に変更される。
【0067】
この手順をパルス幅「0」まで継続することができる。
【0068】
減衰エネルギーについての線形の基準数を得るために、すべての逆制御パルスのパルス幅の総継続時間が利用される。
【0069】
第1の逆制御パルスの位相位置を時間を通して測定し、マイクロ秒を単位として表すことができ、逆制御パルスのスタートと、送信段階に由来する最後の制御パルスの終了との間の差異の時間を定義することができる。
【0070】
後続する逆制御パルスの位相位置を同様の仕方で特徴づけることができる。そのようにして多次元のパラメータ空間が得られる。
【0071】
パラメータ空間およびこれに伴って本方法の複雑性を低く抑えるために、第1の逆制御パルスの位相位置だけを変更し、それぞれの逆制御パルスの間の位相関係を一定に保つこともできる。
【0072】
それによって2つのパラメータだけが生じる。
【0073】
減衰成果
減衰成果は、定義された所定の、かつ場合により固定的な閾値を下回っている残留振動時間の測定によって判定することができる。
【0074】
このような方式の欠点は、物体53が基礎となるセンサ30の近傍にあるときに、減衰振動が物体53のエコーと重なり合う可能性があることにある。
【0075】
こうしたケースでは、事前定義された閾値の下回りが残留振動を特徴づけなくなり、減衰成果を測定可能でなくなる。
【0076】
したがって、
図4および
図5との関連で示すように、予想される残留振動最適値の近傍でのインターバルにおける振動振幅の積分が決定されることによって、減衰成果を判定するのが好ましい。
【0077】
物体エコーがそのインターバル内にあるとき、それにもかかわらず減衰成果を決定することができる。残留振動振幅が加算されて物体エコー振幅となるからである。
【0078】
減衰成果は、
図6の図面で説明したように、以下においてパラメータ「オフセット」と呼ぶ、それぞれの位相を特徴づけるオフセットと、以下においてパラメータ「エネルギー」と呼ぶ減衰エネルギーとに依存して表すことができる。
【0079】
減衰最適値はオフセットとエネルギーの適切な組み合わせのときにのみ生じることがわかる。
【0080】
トレーニング段階
温度依存性とコンポーネント依存性に基づき、動作スタートのときに減衰パラメータをそのつど新たに決定しなければならない。このことは、パラメータがソリューション空間全体の中で変更されて、それに関して減衰成果が決定されることによって行うことができる。必要な試行の回数を、すなわち送信パルスの個数を、可能な限り少なく抑えるために、たとえば下記の各ステップによって、さまざまに異なるステップまたは段階でトレーニングが実行される。
(a)オフセットについての大まかなトレーニング
(b)エネルギーについての大まかなトレーニング
(c)オフセットについての微調整
(d)エネルギーについての微調整、および
(e)能動的な減衰なしでオフセットとエネルギーについて判定された値の変更
【0081】
このアルゴリズムの基本思想は、
図7〜
図10との関連で示したように、各々のパラメータを個別に変更し、まず第1のステップでこれを大まかなステップ幅で、かつ初期のスタートパラメータ化を起点として変更し、次いで第2のステップで、両方のパラメータを小さなステップ幅で細かく調節し、最後に、能動的な減衰なしでの減衰成果を比較することにある。
【0082】
大まかなトレーニング/粗調節
オフセットの大まかなトレーニングのために、オフセットのパラメータが典型的には2〜6マイクロ秒の大きなステップで、事前定義されたインターバルで変更される。このとき1回のサイクルの後ごとに減衰成果が計算されて、前回の結果と比較される。初期のスタート値を起点として、パラメータがまず1つの方向へ−たとえば大きいほうの値に向かって−変更される。2回またはその他の所定の有限数のステップの後に減衰成果が記録されなくなったとき、パラメータを他の方向へ、すなわちたとえば小さい値に向かって変更して、減衰成果が判定される。
【0083】
連続する2回のステップの後に改善された減衰成果が設定されなくなるまで、またはそのパラメータについて事前定義されたインターバル限界に到達するまで、このプロセスが1つの方向で繰り返される。
【0084】
最大の減衰成果を有するパラメータの設定が保存される。
【0085】
エネルギーのパラメータの大まかなトレーニングも、同様の手順で進められる。
【0086】
その代替として、最大の減衰成果のパラメータ設定をインターバル半減の方法によって判定することができる。そのために、常に3回の試行がパラメータ組み合わせE0−x,E0,E0+xに従って実行される。減衰成果がそのつど判定され、その後、方法の最大の減衰成果を有するパラメータ状況が半減されたステップ幅x/2で繰り返される。これらのステップが事前定義されたステップ幅まで繰り返される。
【0087】
粗調節のステップ(a)と(b)の後には最大の減衰成果についてのパラメータ範囲が限定されており、微調整を開始することができる。
【0088】
微調節
そのためにステップ(b)で、エネルギーとオフセットの各パラメータについてのインターバル半減によって、事前定義された最小ステップ幅まで手順が進められる。
【0089】
チェック
ステップ(a)〜(d)の終了時に、総合結果を決定するために、減衰成果が能動的な減衰のなされない設定と比較される。
【0090】
これに依存して、能動的な減衰なしにセンサを作動させることを決めることもできる。
【0091】
図10は、トレーニングにあたって通過するパラメータ組み合わせを一例として示している。
【0092】
トレーニングは車両でのシステムの新規スタート時に行うか、または作動中に行うこともできる。
【0093】
本来の測定動作前のスタートアップ時のトレーニングが特別に好ましい。それにより、センサ30の完全な性能を保証することができるからである。
【0094】
そのために、上に説明したシーケンスをシステムの各々のセンサ30について個別に開始し、高速の連続サイクルで−たとえば2ms〜5msごとに−進行させることができる。
【0095】
センサ30がそれぞれ異なる周波数コーディングの送信パルスで通過されるとき、さらに、各々の送信パルス形式についてトレーニングを実行するのが好ましい。選択的に、パラメータ組み合わせを計算方法によって1つの送信パルス形式から別の送信パルス形式に転用することができる。
【0096】
制御段階/制御動作
温度依存性に基づき、減衰パラメータは動作スタート時だけでなく測定動作でもチェックして、場合により適合化させなければならない。
【0097】
そのために、両方のパラメータが非常にわずかなステップ幅で変更される。たとえば、たとえば1マイクロ秒を下回る最小限可能な設定で減衰成果が決定されて、さらに高い減衰成果のときに場合により適合化される。
【0098】
一時的な外乱に対してできる限りロバストであるために、検査されるべきパラメータ組み合わせが事前定義された回数の行程またはサイクルで複数回測定され、有意な改善の達成をもって初めて、新たに定義されたパラメータ組み合わせが新たな最適値として保存される。
【0099】
変更はステップごとに行われ、すなわち、まずオフセットのパラメータだけがわずかにインクリメントされ、それに伴って複数回測定される。この新たなパラメータ組み合わせがさらに高い減衰成果をもたらしたとき、このオフセットのパラメータが当該方向へさらにインクリメントされ、減衰成果の改善が生じなくなるまでこのプロセスが繰り返される。減衰成果を確認できないとき、パラメータがデクレメントされて、本方法が相応に進められる。
【0100】
パラメータとしてのオフセットが減衰時にチェックされて適合化された後、パラメータとしてのエネルギーをもって減衰時に同様の手順が進められる。
【0101】
全体のループの通過後にプロセスが繰り返され、制御ループがあらためて開始される。
【0102】
追加的に、各図面について次のとおり付記しておく。
【0103】
図2および
図3は能動的な減衰時の逆制御を表している。励起の終了後、逆制御パルスによって振動が減衰される。逆制御パルスの位相位置は、励起の終了と逆制御の開始との間の時間的な差異によって決定される。減衰エネルギーはそれぞれの逆制御パルスのパルス幅の合計から得られ、それぞれ最後のパルスがそのパルス幅に関して変更される。
【0104】
図4および
図5は、減衰成果についての考えられる計算スキーマを説明している。このことは
図4では、事前定義された閾値を下回ることによる残留振動時間の検出によって行われる。
図5では、このことは積分形成によって行われる。
【0105】
図6は、能動的な減衰での最適値または最小値としての減衰成果を、縦軸62にプロットされた減衰エネルギーと、横軸61にプロットされたマイクロ秒単位の時間的なオフセットとに依存してグラフ60の形態で表している。円で囲んだ領域63は、減衰成果の度合いが高い最適値または最小値を表し、横軸の近傍でこれらの間に位置する領域64は減衰成果の低い度合いを示す。
【0106】
図7〜
図9は、減衰パラメータであるエネルギーとオフセットのトレーニングについて、本発明によるトレーニングアルゴリズムの実施形態を示している。
【0107】
図10は、グラフ100との関連で、トレーニングにあたって通過されるパラメータ組み合わせを、オフセットまたはエネルギーについてスタート値105および106を有するエネルギーとオフセットのパラメータについてのトレーニングアルゴリズムで明示している。
【0108】
図11は、制御動作のための方法Sとアルゴリズムを模式的に示している。