(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101について図面を参照して説明する。
図1は、レンズ駆動装置101の分解斜視図である。
図2Aは、レンズ駆動装置101の上方斜視図であり、
図2Bは、Y2側から見たレンズ駆動装置101の正面図である。
図3Aは、レンズ駆動装置101の上面図であり、
図3Bは、レンズ駆動装置101の底面図である。
図4Aは、ケース4を省略した状態のレンズ駆動装置101の上方斜視図であり、
図2Aに対応する。
図4Bは、X1側から見た、ケース4を省略した状態のレンズ駆動装置101の右側面図である。
【0010】
レンズ駆動装置101は、
図1に示すように、レンズ体(図示せず。)を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2をレンズ体に関する光軸JDの方向(Z軸方向)に沿って移動させる駆動機構MKと、レンズ保持部材2を光軸JDの方向に移動可能に支持する板ばね6と、板ばね6が固定される固定側部材RGとを含む。レンズ体は、例えば、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸JDの方向に沿うように構成されている。
【0011】
駆動機構MKは、
図1に示すように、八角環状に巻かれたコイル3と、コイル3と対向して配置された4つの磁石5とを含む。固定側部材RGは、ケース4と、金属部材7が埋め込まれたベース部材18とを含む。金属部材7は、外部との電気的な接続をもたらす端子7A及び端子7Bを含む。板ばね6は、レンズ保持部材2とケース4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26とを含む。下側板ばね26は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを含む。ケース4は、略矩形筒状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた平板環状の上面部4Bとを有する。外壁部4Aは、互いに対向する一対の第1側板部4A1と、第1側板部4A1に垂直で且つ互いに対向する一対の第2側板部4A2とを有する。
【0012】
レンズ駆動装置101は、略直方体形状を有し、撮像素子(図示せず。)を実装した基板(図示せず。)の上に取り付けられる。基板と、レンズ駆動装置101と、レンズ保持部材2に装着されたレンズ体と、レンズ体に対向するように基板に実装された撮像素子とはカメラモジュールを構成する。コイル3は、下側板ばね26A、下側板ばね26B、端子7A、端子7B及び基板を介して電源に接続される。そのため、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、金属等の導電性部材で形成されている。コイル3に電流が流れると、駆動機構MKは、光軸JDの方向に沿った電磁力を発生させる。
【0013】
レンズ駆動装置101は、この電磁力を利用し、撮像素子のZ1側(被写体側)で、光軸JDの方向に沿ってレンズ保持部材2を移動させる。レンズ駆動装置101は、撮像素子から離れる方向にレンズ保持部材2を移動させてマクロ撮影を可能にし、且つ、撮像素子に近づく方向にレンズ保持部材2を移動させて無限遠撮影を可能にしている。
【0014】
次に、レンズ保持部材2と駆動機構MKについて説明する。
図5Aは、レンズ保持部材2の上方斜視図であり、
図5Bは、
図5Aのレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の上方斜視図である。
図6Aは、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、
図6Bは、
図6Aのレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の下方斜視図である。
図7Aは、レンズ保持部材2の上面図であり、
図7Bは、X1側から見たレンズ保持部材2の右側面図である。
図8Aは、レンズ保持部材2の下方斜視図であり、
図8Bは、
図8Aに示すレンズ保持部材2にコイル3が巻かれた状態を示すレンズ保持部材2の下方斜視図である。
図9Aは、
図8Bに示す部分Sの拡大図であり、
図9Bは、
図6Bに示す部分Pの拡大図である。
図10Aは、金属部材7及びベース部材18が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図であり、
図10Bは、更に下側板ばね26及びレンズ保持部材2が省略された状態のレンズ駆動装置101の底面図である。
【0015】
本実施形態では、レンズ保持部材2は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで作製されている。具体的には、レンズ保持部材2は、
図5Aに示すように、光軸JDの方向に沿って貫通孔が形成された筒状部12と、光軸JDの方向における撮像素子側(Z2側)の部分に形成されたフランジ部(鍔部)52とを含む。本実施形態では、筒状部12は、光軸JDの方向における被写体側(Z1側)の部分が円筒状に形成されている。
【0016】
筒状部12には、レンズ体が装着されるように、円筒状の内周面にねじ溝が設けられていてもよい。但し、本実施形態では、レンズ体は、接着剤によって筒状部12に固定される構成としている。そのため、筒状部12には、ねじ溝が形成されていない。また、筒状部12には、
図5Aに示すように、被写体側の端面に2つの窪み12dhを有した台座部12dが設けられている。台座部12dには、
図4Aに示すように、上側板ばね16の内側部分16iが載置される。
【0017】
筒状部12の外周面には、
図5Aに示すように、コイル3を内側から支持する外壁部としてのコイル支持部12jが設けられている。本実施形態では、コイル支持部12jは、八角環状のコイル3を支持できるよう、全体として上面視で八角形状の外形を有する。但し、筒状部12の外周面にはコイル支持部12jが形成されていない部分も存在する。コイル支持部12jの被写体側には、光軸JDの方向においてフランジ部52と対向するように径方向外側に突出した庇部12h(
図7A及び
図7B参照。)が形成されている。そして、
図5Bに示すように、コイル3は、コイル支持部12jに支持され且つ光軸JDの方向において庇部12hとフランジ部52との間に挟まれるようにしてレンズ保持部材2の外周面側に八角環状に巻かれている。この構成において、庇部12h及びフランジ部52は、光軸JDの方向におけるコイル3(巻回部13)の移動を規制する規制部として機能する。
【0018】
フランジ部52は、筒状部12の撮像素子側(Z2側)の部分における外周面から径方向外側に突出している。フランジ部52の被写体側にはコイル3(巻回部13)が配置されている。
【0019】
フランジ部52は、
図6Aの矢印AR1で示すように、撮像素子側(Z2側)の面から斜め外方に突出した、角形凸状の2つの突出部72と、撮像素子側(Z2側)の面から下方(Z2方向)に突出した、丸形凸状の4つの突設部2tとを含む。
【0020】
突出部72は、
図6Bに示すように、コイル3(巻回部13)の巻き始め側の線材に対応する突出部72Aと、コイル3(巻回部13)の巻き終わり側の線材に対応する突出部72Bとを含む。コイル3を構成する線材の両端は、突出部72に巻き付けられて保持されている。線材の巻き付けは、例えば、自動巻線機を用いて行われる。
【0021】
突出部72は、望ましくは、
図6Aに示すように、線材が巻き付けられる部分が四角柱状となるように構成されている。この場合、4つの側辺のそれぞれに対応する縁のうち、線材が最初に接触する側面と2番目に接触する側面との間にある縁は望ましくは湾曲している。湾曲した縁は、コイル3の線材が突出部72に巻き付けられる際に、その縁と接触する線材の表面に過度の力が掛かってしまうのを防止できる。なお、他の3つの縁は、エッジが立つよう(湾曲しないよう)に構成されていてもよい。また、突出部72は、線材が巻き付けられる部分が円柱状又は楕円柱状となるように構成されていてもよく、三角柱状、五角柱状又は六角柱状等の多角柱状となるように構成されていてもよい。
【0022】
突設部2tは、
図6A及び
図10Aに示すように、下側板ばね26Aに対応する2つの突設部2tと、下側板ばね26Bに対応する2つ突設部2tとを含む。突設部2tには、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iが装着されて固定されている。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側部分26iの固定は、内側部分26iに形成された貫通孔(
図11B参照。)に挿通された突設部2tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことによって実現される。図面では、突設部2tは、熱かしめ又は冷間かしめが施された後の先端が変形した状態で表されている。
【0023】
次に、レンズ駆動装置101の駆動機構MKについて説明する。駆動機構MKは、
図10Bに示すように、コイル3と、ケース4の四隅にある隅部のそれぞれと対向するように配置された4つの磁石5とを含む。そして、駆動機構MKは、コイル3に流れる電流と磁石5が発生する磁界とで駆動力(推力)を発生させ、レンズ保持部材2を光軸JDの方向に沿って上下に移動させることができる。
【0024】
コイル3は、
図6Bに示すように、レンズ保持部材2の外周に導電性の線材を巻回して形成されている。コイル3は、八角環状に巻かれて形成された巻回部13と、巻回部13から延びて突出部72に巻き付けられる延在部33とを含む。
図6Bは、明瞭化のため、巻回部13に関しては、絶縁部材で表面を被覆された導電性の線材の詳細な巻回状態の図示を省略している。巻回部13を図示する他の図についても同様である。
【0025】
延在部33は、コイル3の巻き始め側で巻回部13の内周側に位置する巻回部13の端部(巻き始め部分)に繋がっている延在部33Aと、コイル3の巻き終わり側で巻回部13の外周側に位置する巻回部13の端部(巻き終わり部分)に繋がっている延在部33Bとを含む。
【0026】
具体的には、延在部33Aは、
図9Aに示すように、突出部72Aに巻き付けられる巻き付け部33mと、巻回部13と巻き付け部33mとの間にある接続部33cとを含む。延在部33Bは、
図9Bに示すように、突出部72Bに巻き付けられる巻き付け部33mと、巻回部13と巻き付け部33mとの間にある接続部33cとを含む。
【0027】
本実施形態では、延在部33Aは、コイル3の線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられる前に、レンズ保持部材2の突出部72Aに巻き付けられる。
図9Aに示す例では、コイル3の線材の一部が突出部72Aに3ターン巻き付けられている。これにより、巻き付け部33mが突出部72Aに形成され、延在部33Aの一部が突出部72Aに保持される。但し、延在部33Aは、コイル3の線材がレンズ保持部材2の外周に巻き付けられた後で、突出部72Aに巻き付けられてもよい。
【0028】
次に、レンズ保持部材2の外周に線材が巻き付けられる。その際には、
図9Aに示すように、接続部33cは、フランジ部52の下側から上側に延び、巻回部13の巻き始め部分に繋がり、巻回部13の内周側を構成する。
【0029】
レンズ保持部材2の外周に巻回されたコイル3の巻回部13は、
図5Bに示すように、レンズ保持部材2の周囲を囲む位置に配置されている。また、巻回部13は、コイル支持部12j(
図5A参照。)により内側から支持された状態で、庇部12hとフランジ部52に挟まれるようにして、フランジ部52の被写体側に保持されている。また、巻回部13の内周面がコイル支持部12jにより等方的にバランス良く支持されるため、巻回部13は、コイル3の中心軸とレンズ保持部材2の中心軸とが一致した状態で、レンズ保持部材2に保持される。したがって、レンズ保持部材2に保持されたレンズ体の光軸JDは、レンズ保持部材2及びコイル3のそれぞれの中心軸と容易に一致するように構成されている。コイル3の巻回部13は、接着剤でコイル支持部12jに固定されていてもよい。
【0030】
レンズ保持部材2の外周への線材の巻き付けが終了すると、巻回部13の巻き終わり側の端部に繋がる延在部33Bは、
図9Bに示すように、フランジ部52の被写体側から撮像素子側に引き出される。具体的には、接続部33cが巻回部13の下側端面と対向して延び、巻き付け部33mがレンズ保持部材2の突出部72Bに巻き付けられる。
図9Bに示す例では、延在部33Bは、突出部72Bに3ターン巻き付けられている。
【0031】
次に、ケース4について説明する。本実施形態では、ケース4は、オーステナイト系ステンレス鋼等の非磁性金属で形成された板材に抜き加工及び絞り加工を施して作製されている。非磁性金属で形成されているため、ケース4は、デュアルカメラ型の携帯機器等においてレンズ駆動装置101に隣接して別のレンズ駆動装置が配置される場合であっても、その別のレンズ駆動装置に含まれる駆動機構に磁気的な悪影響を及ぼすことはない。具体的には、ケース4は、
図1に示すように、収納部4sを定める箱状の外形を有する。そして、ケース4は、矩形環状の外壁部4Aと、外壁部4Aの上端(Z1側の端)と連続するように設けられた平板状の上面部4Bとを有する。上面部4Bには、磁石5と対向する部分に複数(本実施形態では4つ)の受け部4Rが形成されている。受け部4Rは、その上面(Z1側の面)が窪むように、すなわち、その下面(Z2側の面)が磁石5側(Z2側)に突出するように形成されている。また、上面部4Bには、
図2Aに示すように、円形状の開口4kが形成されている。このように構成されたケース4は、
図10Bに示すように、コイル3及び磁石5を収納部4sに収容し、且つ、
図2Aに示すように、ベース部材18に結合されてベース部材18と共に筐体を構成する。但し、ケース4は、鉄等の磁性金属で形成されたカバーで置き換えられてもよい。この場合、ケース4はヨークとして機能する。
【0032】
次に、駆動機構MKを構成する磁石5について説明する。磁石5は、
図1に示すように角柱形状を有し、ケース4内に収容されるように配置されている。具体的には、4つの磁石5は、
図10Bに示すように、コイル3の外側に位置すると共に、ケース4の四隅にある隅部のそれぞれと対向するように配置されている。そして、4つの磁石5は、接着剤により、第1側板部4A1と第2側板部4A2のそれぞれの内面に固定されている。また、4つの磁石5は、例えば、内側がN極、外側がS極となるように配置されている。
【0033】
次に、板ばね6及び固定側部材RGについて説明する。
図11A及び
図11Bは、板ばね6を説明する図である。
図11Aは、上側板ばね16の上面図であり、
図11Bは、下側板ばね26の底面図である。
図12A及び
図12Bは、下側板ばね26Bとコイル3との接続状態の一例を説明する図である。具体的には、
図12Aは、
図10Aに示す部分Tの拡大図であり、
図12Bは、
図10Aに示す部分TをX2側から見たときの下側板ばね26B、コイル3及びレンズ保持部材2の拡大図である。なお、
図12A及び
図12Bでは、半田等の接合材CAがクロスハッチングパターンで示されている。
図13A〜
図13Cは、固定側部材RGを構成するベース部材18を説明する図である。具体的には、
図13Aは、ベース部材18の上方斜視図であり、
図13Bは、ベース部材18に下側板ばね26を組み付けた状態の上方斜視図であり、
図13Cは、ベース部材18に埋め込まれている金属部材7の上方斜視図である。
【0034】
板ばね6は、銅合金を主な材料とした金属板から作製されている。板ばね6は、
図1に示すように、レンズ保持部材2とケース4との間に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2とベース部材18との間に配置される下側板ばね26とを含む。レンズ保持部材2と板ばね6(上側板ばね16、下側板ばね26A及び下側板ばね26B)のそれぞれとが係合された状態で、板ばね6は、レンズ保持部材2が光軸JDの方向(Z軸方向)へ移動可能となるように、レンズ保持部材2を空中で支持している。下側板ばね26は、コイル3に電流を供給するための給電部材として機能する。そのため、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的且つ物理的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的且つ物理的に接続されている。本実施形態では、上側板ばね16は、電流が流れないため、非導電性部材で形成されていてもよい。上側板ばね16とケース4との間にはスペーサ部材が配置されていてもよい。レンズ保持部材2がZ1方向に移動したときにレンズ保持部材2とケース4とが衝突するのを防止するためである。なお、スペーサ部材が設けられた場合には、このスペーサ部材は固定側部材RGの一部を構成する。
【0035】
上側板ばね16は、
図11Aに示すように、略矩形状の外形を有し、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分16iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分16eと、内側部分16iと外側部分16eとの間に位置する弾性腕部16gとを含む。弾性腕部16gは、第1弾性腕部16g1及び第2弾性腕部16g2を含む。外側部分16eは、4つの角部分16bと、4つの角部分16bのうちの2つを繋ぐ4つの桟部16rとを有している。角部分16bは、ケース4の上面部4Bに形成された受け部4R(
図1参照。)と磁石5とで挟持されて固定される。このように、ケース4及び磁石5は、固定側部材RGとして機能する。
【0036】
上側板ばね16がレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、
図4Aに示すように、内側部分16iは、レンズ保持部材2の台座部12d(
図5A参照。)に載置される。そして、内側部分16iと台座部12dとを接着剤で固定することにより、内側部分16iはレンズ保持部材2に固定される。外側部分16eは、
図4Bに示すように、磁石5の上面(Z1側の面)に接し、ケース4と磁石5との間に挟持されて固定される。
【0037】
上側板ばね16は、
図11Aに示すように、レンズ体の光軸JDを表す黒点に関して略点対称となるように形成されている。そして、上側板ばね16は、内側部分16iでレンズ保持部材2に固定され、外側部分16eでケース4に固定されている。そのため、上側板ばね16は、レンズ保持部材2をバランス良く空中で支持できる。
【0038】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、
図11Bに示すように、それぞれの内側形状が略半円形状となるように構成されている。そして、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれは、レンズ保持部材2の撮像素子側に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、固定側部材RGに固定される固定側支持部としての外側部分26eと、内側部分26iと外側部分26eとの間に位置する弾性腕部26gとを含む。具体的には、下側板ばね26Aは、内側部分26Aiと、外側部分26Aeと、弾性腕部26Agとを含む。また、下側板ばね26Bは、内側部分26Biと、外側部分26Beと、弾性腕部26Bgとを含む。
【0039】
内側部分26Ai及び内側部分26Biは、
図11Bに示すように、レンズ保持部材2と係合される2つの内側接合部分26cと、コイル3の延在部33と対向する接続板部26hと、2つの内側接合部分26cのそれぞれと接続板部26hとを繋ぐ2つの第1連結部26pと、を含む。
【0040】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bがレンズ駆動装置101に組み込まれた際には、
図6Aに示すレンズ保持部材2の4つの突設部2tのそれぞれは、
図11Bに示す下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれの内側接合部分26cに設けられた円形の貫通孔に挿通されて嵌合される。これにより、内側部分26Ai及び内側部分26Biは、レンズ保持部材2に位置決めされ且つ固定される。具体的には、内側部分26Ai及び内側部分26Biは、例えば、レンズ保持部材2の突設部2tに熱かしめ又は冷間かしめを施すことで、レンズ保持部材2に固定される。
【0041】
以下では、主に下側板ばね26Bとレンズ保持部材2とコイル3との関係を説明する。但し、下側板ばね26Bに関する説明は、下側板ばね26Aにも同様に適用される。
【0042】
下側板ばね26Bの内側部分26Biの接続板部26hは、
図12A及び
図12Bに示すように、レンズ駆動装置101が組み立てられた際には、レンズ保持部材2のフランジ部52と対向する。すなわち、接続板部26hの被写体側(Z1側)の面は、
図12Aに示すように、フランジ部52の撮像素子側(Z2側)の面と対向する。そして、コイル3の延在部33Aの接続部33cは、
図12Bに示すように、下側板ばね26Bの内側部分26Biの被写体側(Z1側)で巻回部13の巻き始め部分に繋がる。
【0043】
内側部分26Biの接続板部26hには、
図12Aに示すように、両側から切り欠かれた貫通部26tが設けられている。貫通部26tは、底面視で、接続板部26hのX軸方向における幅が突出部72Aの幅に対応するように設けられている。この配置により、貫通部26tは、接合材CAが下側板ばね26BのZ2側の表面を伝って広がるのを防止している。また、突出部72AのX2側の面に対応する位置には、舌部26sが形成されている。この配置により、内側部分26Biに形成された舌部26sは、接合材CAが下側板ばね26BのZ2側の表面を伝って突出部72AのX2側の面に広がるのを容易にしている。下側板ばね26Bと巻き付け部33mとが接合材CAを介して確実に接続されるようにするためである。
【0044】
下側板ばね26Bがレンズ保持部材2に組み付けられた際には、
図12Bに示すように、突出部72Aは、その先端が下側板ばね26Bの内側部分26Biの撮像素子側(Z2側)に位置するように、内側部分26Biよりも下方(Z2方向)に突出している。また、巻き付け部33mの一部も内側部分26Biの撮像素子側(Z2側)に位置するように突出部72Aに巻き付けられている。本実施形態では、巻き付け部33mは、四角柱状の突出部72Aの4つの側面のうちの1つである第3面S3(
図14A参照。)に対応する3つの巻線ターン部分の全てが内側部分26BiのZ2側に露出するように、突出部72Aに巻き付けられている。但し、巻き付け部33mは、第3面S3に対応する3つの巻線ターン部分のうちの先端側の2つ又は1つが内側部分26BiのZ2側に露出するように、突出部72Aに巻き付けられていてもよい。
【0045】
下側板ばね26Bとコイル3の延在部33Aは、合成樹脂中に銀粒子等の導電性フィラーが分散された導電性接着剤等の半田以外の接合材で電気的且つ機械的に接続されていてもよい。導電性接着剤は、熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよい。
【0046】
下側板ばね26Bの外側部分26Beは、
図11Bに示すように、ベース部材18と係合される外側接合部分26dを含む。外側接合部分26dは、第1外側接合部分26d1及び第2外側接合部分26d2を含む。本実施形態では、下側板ばね26Bは、小型化のため、2つの外側接合部分26dを繋ぐ連結部が省略されている。下側板ばね26Bの外側接合部分26dに設けられた貫通孔は、ベース部材18の上面に設けられた突設部18t(
図13A参照。)と嵌合する。これにより、下側板ばね26Bの外側部分26Beは、ベース部材18に位置決めされ且つ固定される。
【0047】
下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、
図11Bに示すように、レンズ体の光軸JDを表す黒点に関して略点対称となるように形成されている。そして、下側板ばね26Aは、2つの内側接合部分26cでレンズ保持部材2に接続され、2つの外側接合部分26dでベース部材18に接続されている。本実施形態では、下側板ばね26Aは、第1外側接合部分26d1のところで溶接により金属部材7を介してベース部材18に接合され、第2外側接合部分26d2のところで熱硬化型の接着剤によりベース部材18に接合される。下側板ばね26Bについても同様である。この構成により、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bは、レンズ保持部材2を光軸JDの方向へ移動可能な状態でバランス良く空中で支持することができる。
【0048】
次に、固定側部材RGについて説明する。固定側部材RGは、上側板ばね16を固定するケース4及び磁石5と、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれを固定するベース部材18とを含む。
【0049】
ベース部材18は、液晶ポリマー等の合成樹脂を用いた射出成形によって作製される。本実施形態では、ベース部材18は、
図13Aに示すように、矩形状の外形を有する部材であり、中央に円形の開口18kが形成されている。また、ベース部材18の被写体側(Z1側)の面(上面)には、上方に向けて突出する6つの突設部18tが設けられている。突設部18tは、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれにおける外側接合部分26dに設けられた貫通孔に挿通され且つ嵌合される。この際、突設部18tは熱かしめ又は冷間かしめが施されて外側接合部分26dに固定される。
【0050】
また、下側板ばね26は、熱かしめ又は冷間かしめによって突設部18tが外側接合部分26dに固定された後で、溶接及び接着剤によってベース部材18に固定される。具体的には、第1外側接合部分26d1は、溶接によって金属部材7を介してベース部材18に固定され、第2外側接合部分26d2は、熱硬化型の接着剤によってベース部材18に固定される。
【0051】
より具体的には、
図11Bに示すように、下側板ばね26Aが金属部材7に溶接される部分である第1外側接合部分26d1には突設部18tが挿通される1つの貫通孔が形成され、下側板ばね26Aが接着剤でベース部材18に接着される第2外側接合部分26d2には突設部18tが挿通される2つの貫通孔が形成されている。第2外側接合部分26d2に1つの貫通孔のみが形成されている場合、接着剤が塗布されるまでは或いは接着剤が剥がれてしまうと、下側板ばね26Aは、その1つの貫通孔に挿通され且つかしめられる突設部18tの回りで回転し或いは平行移動してしまう場合がある。第2外側接合部分26d2に形成されている2つの貫通孔は、この回転及び平行移動を抑制し或いは防止する効果をもたらす。但し、第2外側接合部分26d2に形成される貫通孔は1つであってもよい。
【0052】
ベース部材18には、
図13Aに示すように、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属から形成された金属部材7がインサート成形されて埋め込まれている。金属部材7は、端子7A及び端子7Bを含む。端子7Aは、露出部7A1のところでベース部材18の上面(Z1側の面)に露出し、端子7Bは、露出部7B1のところでベース部材18の上面(Z1側の面)に露出している。そして、互いに電気的に絶縁されている端子7A及び端子7Bのそれぞれは、撮像素子を実装した基板上の導体部(図示せず。)に電気的に接続されている。また、端子7Aは溶接等により露出部7A1で下側板ばね26Aに電気的且つ物理的に接続され、端子7Bは溶接等により露出部7B1で下側板ばね26Bに電気的且つ物理的に接続されている。更に、下側板ばね26Aはコイル3の一端に電気的に接続され、下側板ばね26Bはコイル3の他端に電気的に接続されている。そのため、コイル3は、端子7A、端子7B、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを介して電流の供給を受けることができる。
【0053】
ベース部材18には、端子7A及び端子7Bと同様に、銅若しくは鉄又はそれらを主成分とする合金等の材料を含む金属から形成された接続部材7Dもインサート成形されて埋め込まれている。接続部材7Dは、
図2Aに示すように、ケース4の四隅の下端部のところで、ベース部材18から一部を露出させている。ベース部材18は、ケース4の外壁部4Aの内面とベース部材18の側壁面18Wとが組み合わさって位置決めされた後で、接続部材7Dとケース4の四隅の下端部とが溶接されてケース4に固定される。外壁部4Aの下面(Z2側の端面)は、ベース部材18のフランジ部18F(
図13A参照。)の上面(Z1側の端面)と接するように構成されている。
【0054】
次に、
図14A、
図14B、
図15A及び
図15Bを参照し、突出部72の詳細について説明する。
図14A及び
図14Bは、突出部72Aの左側面図であり、
図12Bに示す部分Uに対応する。具体的には、
図14Aは延在部33Aが巻き付けられる前の突出部72Aの状態を示し、
図14Bは延在部33Aが巻き付けられた後の突出部72Aの状態を示す。
図15A及び
図15Bは、突出部72Bの上方斜視図であり、
図5Aに示す部分Vに対応する。具体的には、
図15Aは延在部33Bが巻き付けられる前の突出部72Bの状態を示し、
図15Bは延在部33Bが巻き付けられた後の突出部72Bの状態を示す。なお、
図15Bは、コイル3の巻回部13の図示を省略している。
【0055】
本実施形態では、突出部72Aと突出部72Bは、レンズ体の光軸JDを含むXZ平面に関して互いに面対称の関係にある。そのため、突出部72Aに関する説明は、突出部72Bにも適用される。その逆についても同様である。
【0056】
突出部72Aは、
図14Aに示すように、コイル3の巻回部13が配置されない側、すなわち、フランジ部52の上面(Z1側の面)よりも下側(Z2側)で、一点鎖線で示す突出軸72AXに沿って左斜め下方に延びるように構成されている。突出軸72AXは、例えば、破線で示すXY平面に平行な平面HPに関して角度θを形成する。角度θは、例えば、30度以上60度以下である。本実施形態では、角度θは45度である。但し、突出部72Aは、左斜め上方に延びるように構成されていてもよく、フランジ部52の上面(Z1側の面)よりも上側(Z1側)にその一部が位置するように構成されていてもよい。また、レンズ保持部材2を底面側(Z2側)から見た場合に、突出部72Aは、Y軸方向に沿って突出するものに限らず、Y軸に対して傾斜して突出していてもよい。
【0057】
突出部72Aは、延在部33Aが巻き付けられる中央部分CP、中央部分CPよりもレンズ保持部材2に近い側にある根元部分BP、及び、中央部分CPよりもレンズ保持部材2から遠い側にある先端部分TPを有する。
図14Aは、根元部分BP、中央部分CP及び先端部分TPを破線で区切って示している。
【0058】
根元部分BPの平坦な上面TS1は、Z軸方向において、フランジ部52の上面TS2と同じ高さとなるように形成されている。具体的には、上面TS1は、
図5Aに示すように、フランジ部52における隣り合う2つの上面TS2のそれぞれから間隔を空けて配置され、且つ、それら2つの上面TS2の中間に配置されるように形成されている。フランジ部52と共にコイル3の巻回部13の一部を支持するためである。なお、本実施形態では、上面TS1は、コイル3の径方向における幅が、コイル3の巻回部13の幅の半分程度となるように形成されているが、その幅は、より狭くてもよく、より広くてもよい。また、上面TS1は、コイル3の周方向における長さが、対応する庇部12hの長さの5分の1程度となるように形成されているが、その長さは、より長くてもよく、より短くてもよい。この構成により、突出部72Aの根元部分BPは、フランジ部52と共に、光軸JDに沿って巻回部13がZ2方向に移動するのを防止できる。また、根元部分BPは、フランジ部52と共に巻回部13を支持できるため、コイル3の巻き形状を安定化させることができる。すなわち、根元部分BPは、コイル3の巻き形状が乱れてしまうのを防止できる。
【0059】
先端部分TPには、張り出し部73が形成されている。張り出し部73は、延在部33Aの巻き付け部33mが先端部分TP側に移動するのを止めるように構成されている。すなわち、張り出し部73は、巻き付け部33mが突出部72Aから抜けてしまうのを防止する抜け止め部として機能する。本実施形態では、張り出し部73は、第1張り出し部73a及び第2張り出し部73bを含む。突出部72Aの第1張り出し部73aは、
図14Aの矢印AR2Aで示すように、中央部分CPの第1面S1から、突出軸72AXと平行でない方向の一例であるY1方向に張り出すように構成されている。突出部72Aの第2張り出し部73bは、
図14Aの矢印AR3Aで示すように、中央部分CPの第3面S3から、突出軸72AXと平行でない方向の別の一例であるZ2方向に張り出すように構成されている。この例では、第1張り出し部73aは、第2張り出し部73bの張り出し方向に垂直に張り出すように形成されている。
【0060】
同様に、突出部72Bの第1張り出し部73aは、
図15Aの矢印AR2Bで示すように、中央部分CPの第1面S1からY2方向に張り出すように構成されている。突出部72Bの第2張り出し部73bは、
図15Aの矢印AR3Bで示すように、中央部分CPの第3面S3からZ2方向に張り出すように構成されている。この例では、突出部72Bにおいても、第1張り出し部73aは、第2張り出し部73bの張り出し方向に垂直に張り出すように形成されている。
【0061】
張り出し部73は、
図15Aの矢印AR4で示すように、中央部分CPの第2面S2を第1部分S2aと第2部分S2bに分割するようにX1方向に張り出す第3張り出し部73cを含む。同様に、張り出し部73は、
図15Aの矢印AR5で示すように、中央部分CPの第4面S4を2つに分割するようにX2方向に張り出す第4張り出し部73dを含む。
【0062】
第1張り出し部73a、第3張り出し部73c及び第4張り出し部73dは、レンズ保持部材2を成形する際に使用される金型の分割面であるパーティング面を利用して形成されている。但し、第3張り出し部73c及び第4張り出し部73dは省略されてもよい。すなわち、突出部72A及び突出部72Bは何れも、中央部分CPの第2面S2における第1部分S2aと第2部分S2bとが面一となるように形成されていてもよい。第4面S4についても同様である。
【0063】
この構成により、突出部72Aにおける互いに垂直に張り出す第1張り出し部73a及び第2張り出し部73bは、協働して、延在部33Aの巻き付け部33mが突出軸72AXに沿って先端部分TP側に移動するのをより確実に止めることができる。突出部72Bについても同様である。また、第1張り出し部73aは、金型の抜き方向に垂直な方向に沿って張り出すように形成され、且つ、第2張り出し部73bは、金型の抜き方向に沿って張り出すように形成されている。すなわち、張り出し部73は、アンダーカットが生じないように形成されている。そのため、この構成は、金型の構造を過度に複雑にしてしまうこともない。突出部72Bについても同様である。
【0064】
突出部72Aの中央部分CPは、所定の巻線ターン数で延在部33Aが巻き付けられるように突出軸72AXに沿う長さが決められている。本実施形態では、中央部分CPは、
図14Bに示すように、線材が少なくとも3ターンで巻き付けられる長さを有する。このため、突出部72Aに線材が複数ターンで巻き付けられた部分である延在部33Aの巻き付け部33mは、その軸線(中心線)が突出軸72AXに一致する。したがって、巻き付け部33mの軸線に沿った直線は、コイル3の巻回部13の軸線(光軸JD)に沿った直線に対して、所定の角度(例えば、30度以上60度以下の角度)で傾斜している。延在部33Bの巻き付け部33mについても同様である。
【0065】
レンズ保持部材2は、望ましくは、突出部72Aの周囲に所定の空きスペースが形成されるように構成されている。例えば、レンズ保持部材2は、自動巻線機の巻線ノズルの作業空間が確保されるよう、突出部72Aの周囲の所定範囲には物体が存在しないように形成されている。
図14Bの破線で示す空間SPは、巻線ノズルの作業空間の一例である。本実施形態では、空間SPは、突出軸72AXを中心軸とする円柱状の空間である。自動巻線機は、突出軸72AXの回りで巻線ノズルを回転させながら線材を突出部72Aに巻き付けるためである。具体的には、レンズ保持部材2は、
図14Bに示すように、コイル3の巻回部13、突設部2t及びフランジ部52等の物体が空間SP内に配置されないよう、その形状及び寸法が決定されている。空間SP内に物体が配置されていると、自動巻線機によって線材が突出部72Aに巻き付けられる際に、物体と巻線ノズルとが接触してしまうためである。
【0066】
次に、
図16A〜
図16Cを参照し、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101を構成するレンズ保持部材2に形成された突出部72の効果について説明する。
図16A〜
図16Cは、3種類の突出部の左側面図である。具体的には、
図16Aは、参考例としてのレンズ保持部材102に形成された突出部172の左側面図である。
図16Bは、別の参考例としてのレンズ保持部材202に形成された突出部272の左側面図である。
図16Cは、本発明の実施形態に係るレンズ保持部材2に形成された突出部72Aの左側面図であり、
図14Bに対応する。比較のため、突出部72A、突出部172及び突出部272における巻き付け部33mは、巻線ターン数及び巻線径が同じになるように形成されている。
【0067】
参考例としてのレンズ保持部材102に形成された突出部172は、
図16Aに示すように、フランジ部52の下面から突出軸172Xに沿ってZ2方向に突出するように形成されている。突出部172を突出させる理由は、例えば、コイル3を構成する線材が突出部172に3ターン巻き付けられるようにするため、下側板ばね26と巻き付け部33mとの間の接合材CAによる接合が実現されるようにするため、及び、巻線ノズルの作業空間である空間SPに物体が配置されないようにするためである。更に、その理由は、望ましくは、突出部172に巻き付けられた線材が突出部172から抜け落ちるのを防止するための張り出し部が配置されるようにするためでもある。そのため、突出部172のZ2方向への突出高さは、高さHrとなっている。突出部172のZ2方向への突出高さが大きいと、レンズ保持部材2のZ軸方向における高さも大きくなり、ひいては、レンズ駆動装置101のZ軸方向における高さも大きくなってしまう。すなわち、突出部172のZ2方向への突出高さが大きいことは、レンズ駆動装置101の小型化若しくは低背化を妨げてしまう。
【0068】
別の参考例としてのレンズ保持部材202に形成された突出部272は、
図16Bに示すように、フランジ部52の側面から突出軸272Xに沿ってY1方向に突出するように形成されている。突出部272を突出させる理由は、
図16Aの場合と同様である。更に、その理由は、望ましくは、張り出し部が配置されるようにするためでもある。そのため、巻回部13の端面からの突出部272のY1方向への突出幅は、幅Wrとなっている。突出部272のY1方向への突出幅が大きいと、レンズ保持部材2のY軸方向における幅も大きくなり、ひいては、レンズ駆動装置101のY軸方向における幅も大きくなってしまう。すなわち、突出部272のY1方向への突出幅が大きいことは、レンズ駆動装置101の小型化、或いは、レンズ径の大型化を妨げてしまう。
【0069】
これに対し、本発明の実施形態に係るレンズ保持部材2に形成された突出部72Aは、
図16Cに示すように、フランジ部52から突出軸72AXに沿って斜め外方に突出するように形成されている。突出部72Aを突出させる理由は、
図16A及び
図16Bの場合と同様である。更に、その理由は、望ましくは、張り出し部が配置されるようにするためでもある。そのため、突出部72AのZ2方向への突出高さは、高さHtとなっている。但し、高さHtは、高さHr(
図16Aも参照。)よりΔHだけ小さい。また、巻回部13の端面からの突出部72AのY1方向への突出幅は、幅Wtとなっている。但し、幅Wtは、幅Wr(
図16Bも参照。)よりΔWだけ小さい。
【0070】
このように、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101では、突出部72が、光軸JDに平行な方向でも垂直な方向でもなく、斜め外方に突出するように構成されている。そのため、突出部72は、空間SPを確保しながら、Y軸方向の突出幅とZ軸方向の突出高さとをバランス良く調整できる。その結果、突出部72は、自動巻線機による線材の突出部72への巻き付けを可能とし、且つ、レンズ保持部材2の光軸JDに垂直な方向における寸法の増大を抑えながら、レンズ保持部材2の光軸JDの方向における寸法を低減させることができる。その結果、突出部72は、レンズ駆動装置101の小型化に貢献できる。
【0071】
上述のように、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、固定側部材RGと、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2を光軸JDの方向に移動可能に支持する板ばね6と、レンズ保持部材2に保持されるコイル3と、コイル3に対向する磁石5と、を備えている。板ばね6は、上側板ばね16及び下側板ばね26を含む。下側板ばね26は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを含む。上側板ばね16は、固定側部材RGとしてのケース4に固定される固定側支持部としての外側部分16eと、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分16iと、を備えている。下側板ばね26A及び下側板ばね26Bのそれぞれは、固定側部材RGとしてのベース部材18に固定される固定側支持部としての外側部分26eと、レンズ保持部材2に固定される可動側支持部としての内側部分26iと、を備えている。コイル3は、レンズ保持部材2に保持される巻回部13と、巻回部13に繋がる延在部33とを有している。延在部33は、下側板ばね26に電気的に接続されている。レンズ保持部材2は、延在部33が巻き付けられる突出部72を有している。そして、突出部72は、光軸JDに対して斜め外方へ突出している。上記構成は、光軸JDの方向における突出部72の突出量を抑えることができるという効果をもたらし、ひいては、レンズ駆動装置101の更なる小型化(低背化)を実現できるという効果をもたらす。
【0072】
また、突出部72が斜め外方に延びる構成は、
図16A又は
図16Bに示すような光軸JDに平行な方向又は垂直な方向に突出部が延びる構成に比べ、巻線ノズルの作業空間である空間SPを確保し易いという利点を有する。そのため、上記構成は、突設部2t、コイル支持部12j及びフランジ部52等のレンズ保持部材2における他の機能部分に悪影響を及ぼすことなく、光軸JDの方向における突出部72の突出量を抑えることができるという効果をもたらす。
【0073】
突出部72の先端部分TPには、張り出し部73が形成されていてもよい。この場合、延在部33は、張り出し部73よりも突出部72の根元部分BPに近い側に巻き付けられる。具体的には、延在部33は、
図14B及び
図15Bに示すように、張り出し部73(第1張り出し部73a及び第2張り出し部73b)よりも突出部72の根元部分BPに近い側にある中央部分CPに巻き付けられる。この構成は、突出部72に巻き付けられた線材が突出部72から抜け落ちるのを防止できるという効果をもたらす。
【0074】
突出部72の先端部分TPには、第1張り出し部73aと第2張り出し部73bが形成されていてもよい。この場合、第1張り出し部73aは、第2張り出し部73bの張り出し方向に垂直に張り出していてもよい。この構成は、2つの張り出し部の協働により、突出部72に巻き付けられた線材が突出部72から抜け落ちるのをより確実に防止できるという効果をもたらす。また、2つの張り出し部が何れも金型の抜き方向又は抜き方向に垂直な方向に張り出している構成は、金型の構造を比較的単純な構造にできるという効果をもたらす。
【0075】
レンズ保持部材2は、光軸JDの方向における巻回部13の移動を規制する規制部としてのフランジ部52を有していてもよい。この場合、突出部72は、フランジ部52の一部を構成していてもよい。例えば、
図15Aに示すように、突出部72Bを構成する根元部分BPの平坦な上面TS1は、フランジ部52の上面TS2(
図5A参照。)と共に、コイル3の巻回部13を支持するように構成されていてもよい。この構成により、突出部72は、フランジ部52と共に、光軸に沿って巻回部13がZ2方向に移動するのを防止できる。また、突出部72は、フランジ部52と共に巻回部13を支持できるため、コイル3の巻き形状を安定化させることができる。すなわち、突出部72は、コイル3の巻き形状が乱れてしまうのを防止できる。
【0076】
突出部72は、望ましくは、光軸JDに垂直な平面に対して30度以上60度以下の角度θで突出している。この場合、レンズ保持部材2は、例えば、巻線ノズルの作業空間である空間SPを確保しながら、Y軸方向の突出幅とZ軸方向の突出高さとをバランス良く調整できる。そのため、この構成は、自動巻線機による線材の突出部72への巻き付けを可能とし、且つ、レンズ保持部材2の光軸JDに垂直な方向における寸法の増大を抑えながら、レンズ保持部材2の光軸JDの方向における寸法を低減させることができる。その結果、この構成は、レンズ駆動装置101の小型化に貢献できる。
【0077】
突出部72は、コイル3の一端が巻き付けられる第1の突出部72Aと、コイル3の他端が巻き付けられる第2の突出部72Bとを含んでいてもよい。この場合、第1の突出部72A及び第2の突出部72Bは、レンズ体の光軸JDを挟んで対向する位置に配置され、且つ、互いに離れる方向に突出するように構成されていてもよい。例えば、
図6Aに示すように、突出部72Aは光軸JDに関してY1側に配置され、突出部72Bは光軸JDに関してY2側に配置されている。そして、突出部72Aと突出部72Bは、光軸JDを含むXZ平面に関して互いに面対称の関係にある。また、突出部72A及び突出部72Bは、
図6Aの矢印AR1で示すように、底面視で互いに離れる方向に突出するように構成されている。この構成は、突出部72A及び突出部72Bの一方に線材を巻き付ける際に他方が邪魔にならないという効果をもたらす。
【0078】
固定側部材RGは、一対の側板部としての第1側板部4A1と、別の一対の側板部としての第2側板部4A2とを有する矩形箱状のケース4を含んでいてもよい。例えば、
図10Aに示すように、第1の突出部72Aは、第2側板部4A2のうちの一方に対向するように配置され、第2の突出部72Bは、第2側板部4A2のうちの他方に対向するように配置されていてもよい。或いは、第1の突出部72Aは、第1側板部4A1のうちの一方に対向するように配置され、第2の突出部72Bは、第1側板部4A1のうちの他方に対向するように配置されていてもよい。そして、磁石5は、ケース4の隅部に対向するように配置されていてもよい。例えば、
図10Bに示すように、4つの磁石5のそれぞれは、ケース4の四隅にある隅部のそれぞれに対向するように配置されていてもよい。この構成は、ケース4の内部のスペース効率の向上をもたらし、ひいては、レンズ駆動装置101の更なる小型化をもたらす。
【0079】
次に、
図17を参照し、上側板ばね16の詳細について説明する。
図17は、上側板ばね16の上面図であり、
図11Aに対応する。
【0080】
上側板ばね16は、内側部分16iと外側部分16eとを繋ぐ2つの弾性腕部16gを有する。2つの弾性腕部16gは、第1弾性腕部16g1及び第2弾性腕部16g2である。
【0081】
本実施形態では、第1弾性腕部16g1は、三分岐形状を有する。具体的には、第1弾性腕部16g1は、分岐部BF、分岐部BFから第1端部TA1に延びる第1腕部AM1、分岐部BFから第2端部TA2に延びる第2腕部AM2、及び、分岐部BFから第3端部TA3に延びる第3腕部AM3を有する。第2弾性腕部16g2についても同様である。
図17は、便宜上、分岐部BF、第1端部TA1、第2端部TA2、第3端部TA3及び光軸JDの位置を黒丸で示している。
【0082】
第1弾性腕部16g1に関する第1端部TA1は、外側部分16eを構成する4つの角部分16bのうちの1つである右上角部分16bTRに繋がっている。第2弾性腕部16g2に関する第1端部TA1は、4つの角部分16bのうちの別の1つである左下角部分16bBLに繋がっている。
【0083】
第1弾性腕部16g1に関する第2端部TA2は、内側部分16iを構成する2つの内側接合部分16cのうちの1つである左内側接合部分16cLに繋がっている。第2弾性腕部16g2に関する第2端部TA2は、2つの内側接合部分16cのうちの別の1つである右内側接合部分16cRに繋がっている。
【0084】
第1弾性腕部16g1に関する第3端部TA3は、右内側接合部分16cRに繋がっている。第2弾性腕部16g2に関する第3端部TA3は、左内側接合部分16cLに繋がっている。
【0085】
外側部分16eを構成する4つの角部分16bのうちの2つである右下角部分16bBR及び左上角部分16bTLは、第1弾性腕部16g1及び第2弾性腕部16g2の何れにも繋がっていない。
【0086】
第1弾性腕部16g1に関し、光軸JD及び分岐部BFを結ぶ線分L0と、光軸JD及び第1端部TA1を結ぶ線分L1との間には角度αが形成されている。同様に、光軸JD及び第2端部TA2を結ぶ線分L2と線分L0との間には角度βが形成され、光軸JD及び第3端部TA3を結ぶ線分L3と線分L0との間には角度γが形成されている。4つの線分L0〜L3のうちの何れか2つの間に形成される角度の最大値は、線分L2と線分L3との間に形成される角度δ(=β+γ)である。第2弾性腕部16g2についても同様である。
【0087】
このように、本実施形態では、弾性腕部16gは、角度δが角度βよりも大きくなるように構成されている。すなわち、分岐部BFから光軸JDを中心とする円の第1周方向(反時計回り方向)に第1腕部AM1及び第2腕部AM2が延び、分岐部BFから第1周方向とは逆の第2周方向(時計回り方向)に第3腕部AM3が延びるように構成されている。また、第2腕部AM2が第1腕部AM1よりも長くなるように構成されている。この構成により、弾性腕部16gは、光軸JDの方向に関する適切なばね定数を実現しながら、光軸JDに垂直な方向に関する適切なばね剛性を実現できる。適切なばね定数は、駆動機構MKが発生させる推力、並びに、レンズ保持部材2及びコイル3等の可動側部材の重量等に応じて決まる。
【0088】
次に、
図18を参照し、下側板ばね26の詳細について説明する。
図18は、下側板ばね26の底面図であり、
図11Bに対応する。
【0089】
下側板ばね26は、下側板ばね26A及び下側板ばね26Bを含む。下側板ばね26Aは、内側部分26Aiと、外側部分26Aeを構成する第1外側接合部分26d1と、外側部分26Aeを構成する第2外側接合部分26d2とを繋ぐ弾性腕部26Agを有している。下側板ばね26Bは、内側部分26Biと、外側部分26Beを構成する第1外側接合部分26d1と、外側部分26Beを構成する第2外側接合部分26d2とを繋ぐ弾性腕部26Bgを有している。
【0090】
本実施形態では、下側板ばね26Aの弾性腕部26Agは、三分岐形状を有する。具体的には、弾性腕部26Agは、分岐部BF、分岐部BFから第1端部TA1に延びる第1腕部AM1、分岐部BFから第2端部TA2に延びる第2腕部AM2、及び、分岐部BFから第3端部TA3に延びる第3腕部AM3を有する。下側板ばね26Bの弾性腕部26Bgについても同様である。
図18は、便宜上、分岐部BF、第1端部TA1、第2端部TA2、第3端部TA3及び光軸JDの位置を黒丸で示している。
【0091】
弾性腕部26Agに関する第1端部TA1は、外側部分26Aeを構成する第1外側接合部分26d1に繋がっている。弾性腕部26Bgに関する第1端部TA1は、外側部分26Beを構成する第2外側接合部分26d2に繋がっている。
【0092】
弾性腕部26Agに関する第2端部TA2は、内側部分26Aiに繋がっている。弾性腕部26Bgに関する第2端部TA2は、内側部分26Biに繋がっている。
【0093】
弾性腕部26Agに関する第3端部TA3は、外側部分26Aeを構成する第2外側接合部分26d2に繋がっている。弾性腕部26Bgに関する第3端部TA3は、外側部分26Beを構成する第1外側接合部分26d1に繋がっている。
【0094】
弾性腕部26Agに関し、光軸JD及び分岐部BFを結ぶ線分L0と、光軸JD及び第1端部TA1を結ぶ線分L1との間には角度αが形成されている。同様に、光軸JD及び第2端部TA2を結ぶ線分L2と線分L0との間には角度βが形成され、光軸JD及び第3端部TA3を結ぶ線分L3と線分L0との間には角度γが形成されている。4つの線分L0〜L3のうちの何れか2つの間に形成される角度の最大値は、線分L2と線分L3との間に形成される角度δ(=β+γ)である。弾性腕部26Bgについても同様である。
【0095】
このように、本実施形態では、弾性腕部26gは、角度δが角度βよりも大きくなるように構成されている。すなわち、分岐部BFから光軸JDを中心とする円の第1周方向に第1腕部AM1及び第2腕部AM2が延び、分岐部BFから第1周方向とは逆の第2周方向に第3腕部AM3が延びるように構成されている。また、第2腕部AM2が第1腕部AM1よりも長くなるように構成されている。この構成により、弾性腕部26gは、光軸JDの方向に関する適切なばね定数を実現しながら、光軸JDに垂直な方向に関する適切なばね剛性を実現できる。
【0096】
上述のように、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置101は、固定側部材RGと、レンズ体を保持可能なレンズ保持部材2と、レンズ保持部材2を光軸JDの方向に移動可能に支持する板ばね6と、レンズ保持部材2に保持されるコイル3と、コイル3に対向する磁石5と、を備えている。そして、板ばね6は、レンズ保持部材2の上側(Z1側)に配置される上側板ばね16と、レンズ保持部材2の下側(Z2側)に配置される下側板ばね26とを含む。上側板ばね16及び下側板ばね26の少なくとも一方は、固定側部材RGとレンズ保持部材2とを2つの弾性腕部で繋いでいる。例えば、上側板ばね16は、固定側部材RGとしてのケース4とレンズ保持部材2とを第1弾性腕部16g1及び第2弾性腕部16g2で繋いでいてもよい。具体的には、
図17に示すように、内側部分16iと外側部分16eとを第1弾性腕部16g1及び第2弾性腕部16g2で繋いでいてもよい。また、下側板ばね26は、固定側部材RGとしてのベース部材18とレンズ保持部材2とを、下側板ばね26Aの弾性腕部26Ag、及び、下側板ばね26Bの弾性腕部26Bgで繋いでいてもよい。具体的には、
図18に示すように、下側板ばね26Aの内側部分26Aiと下側板ばね26Aの2つの外側部分26Aeとを弾性腕部26Agで繋ぎ、且つ、下側板ばね26Bの内側部分26Biと下側板ばね26Bの2つの外側部分26Beとを弾性腕部26Bgで繋いでいてもよい。
【0097】
固定側部材RGとレンズ保持部材2とが2つの弾性腕部で繋がれた構成により、レンズ駆動装置101は、弾性腕部の数が3つ以上の場合に比べ、それら2つの弾性腕部を長くすることができる。弾性腕部を収容するためのスペースを確保し易いためである。その結果、レンズ駆動装置101は、小型化された場合であっても、すなわち、所望の長さを有する3つ以上の弾性腕部を収容するスペースを確保できない場合であっても、適切なばね定数を実現できる。これは、小型化が適切に実現され得ることを意味する。具体的には、レンズ保持部材2及びコイル3等の可動側部材の重量が減少した場合、或いは、磁石5の小型化により駆動機構MKが発生可能な駆動力(推力)が減少した場合に、ばね定数を適切に低減させることができる。なお、ばね定数は、光軸JDの方向に関するばね定数、及び、光軸JDに垂直な方向に関するばね定数を含む。
【0098】
第1弾性腕部16g1は、外側部分16eを介して固定側部材RGとしてのケース4に繋がる第1端部TA1と、内側部分16iを介してレンズ保持部材2に繋がる第2端部TA2と、内側部分16iを介してレンズ保持部材2に繋がる第3端部TA3とを有するように構成されていてもよい。具体的には、第1弾性腕部16g1は、
図17に示すように、右上角部分16bTRに繋がる第1端部TA1と、左内側接合部分16cLに繋がる第2端部TA2と、右内側接合部分16cRに繋がる第3端部TA3と、を有するように構成されていてもよい。
【0099】
第2弾性腕部16g2は、外側部分16eを介して固定側部材RGとしてのケース4に繋がる第1端部TA1と、内側部分16iを介してレンズ保持部材2に繋がる第2端部TA2と、内側部分16iを介してレンズ保持部材2に繋がる第3端部TA3とを有するように構成されていてもよい。具体的には、第2弾性腕部16g2は、
図17に示すように、左下角部分16bBLに繋がる第1端部TA1と、右内側接合部分16cRに繋がる第2端部TA2と、左内側接合部分16cLに繋がる第3端部TA3と、を有するように構成されていてもよい。
【0100】
弾性腕部26Agは、固定側部材RGとしてのベース部材18に繋がる第1端部TA1と、レンズ保持部材2に繋がる第2端部TA2と、ベース部材18に繋がる第3端部TA3とを有するように構成されていてもよい。具体的には、弾性腕部26Agは、
図18に示すように、第1外側接合部分26d1に繋がる第1端部TA1と、内側接合部分26cに繋がる第2端部TA2と、第2外側接合部分26d2に繋がる第3端部TA3と、を有するように構成されていてもよい。
【0101】
弾性腕部26Bgは、固定側部材RGとしてのベース部材18に繋がる第1端部TA1と、レンズ保持部材2に繋がる第2端部TA2と、ベース部材18に繋がる第3端部TA3とを有するように構成されていてもよい。具体的には、弾性腕部26Bgは、
図18に示すように、第2外側接合部分26d2に繋がる第1端部TA1と、内側接合部分26cに繋がる第2端部TA2と、第1外側接合部分26d1に繋がる第3端部TA3と、を有するように構成されていてもよい。
【0102】
下側板ばね26は、導電性部材で形成され、且つ、第1ばね部分としての下側板ばね26Aと、第2ばね部分としての下側板ばね26Bに分割されていてもよい。この場合、下側板ばね26Aは、コイル3の一端に電気的に接続され、下側板ばね26Bは、コイル3の他端に電気的に接続されていてもよい。具体的には、下側板ばね26Aは、
図18に示すように、第1外側接合部分26d1で金属部材7に溶接され、内側部分26Aiの接続板部26hで接合材CAを通じてコイル3に接合されている。そのため、端子7Aから端子7Bへ流れる電流は、例えば、金属部材7から第1端部TA1、第1腕部AM1、分岐部BF、第2腕部AM2及び第2端部TA2を通ってコイル3に流れる。また、下側板ばね26Bは、
図18に示すように、第1外側接合部分26d1で金属部材7に溶接され、内側部分26Biの接続板部26hで接合材CAを通じてコイル3に接合されている。そのため、端子7Aから端子7Bへ流れる電流は、例えば、コイル3から第2端部TA2、第2腕部AM2、分岐部BF、第3腕部AM3及び第3端部TA3を通って金属部材7に流れる。この構成により、レンズ駆動装置101は、金属部材7からコイル3への通電経路を容易に形成できる。
【0103】
弾性腕部16gは、例えば、分岐部BFと、分岐部BFから延びて外側部分16eを経て固定側部材RGとしてのケース4に繋がる第1腕部AM1と、分岐部BFから第1腕部AM1と同じ方向(例えば
図17における反時計回り方向)に延びて内側部分16iを経てレンズ保持部材2に繋がる第2腕部AM2と、分岐部BFから第1腕部AM1及び第2腕部AM2とは異なる方向(例えば
図17における時計回り方向)に延びる第3腕部AM3と、を有していてもよい。この場合、第3腕部AM3は、第1腕部AM1が第2腕部AM2より長い場合に外側部分16eを経てケース4に繋がり、第1腕部AM1が第2腕部AM2より短い場合に内側部分16iを経てレンズ保持部材2に繋がるように構成されていてもよい。例えば、
図17に示すように、第1腕部AM1が第2腕部AM2より短い場合、第3腕部AM3は、内側部分16iを経てレンズ保持部材2に繋がるように構成されていてもよい。この場合、第2腕部AM2による剛性は、横方向(Y軸方向)で低くなる。しかし、Y軸方向に延びる第3腕部AM3がレンズ保持部材2に繋げられているため、第2腕部AM2による横方向(Y軸方向)における剛性の低下は、第3腕部AM3による剛性によって補われる。この構成により、弾性腕部16gは、所望の剛性を実現できる。その結果、高次共振周波数を高くすることができる。また、光軸JDに垂直な方向へレンズ保持部材2が過度に動いてしまうのを防止できる。
【0104】
固定側部材RGは、第1側板部4A1と第1側板部4A1に垂直な第2側板部4A2とを有する矩形箱状のケース4を含んでいてもよい。この場合、弾性腕部は、第1側板部4A1及び第2側板部4A2の少なくとも一方に対向する部分を有していてもよい。
【0105】
例えば、上側板ばね16における第1弾性腕部16g1及び第2弾性腕部16g2は何れも、
図17に示すように、第1側板部4A1に対向する部分である第3腕部AM3と、第2側板部4A2に対向する部分である第2腕部AM2とを有していてもよい。このように、弾性腕部16gは、略直交する第1側板部4A1と第2側板部4A2のそれぞれに対向する部分を備えているため、光軸に垂直な方向(X軸方向及びY軸方向)における剛性を高めることができる。
【0106】
また、下側板ばね26Aの弾性腕部26Ag及び下側板ばね26Bの弾性腕部26Bgは何れも、
図18に示すように、第1側板部4A1に対向する部分である第1腕部AM1及び第3腕部AM3を有していてもよい。このように、弾性腕部26gは、第1側板部4A1に対向する部分を備えているため、Y軸方向における剛性を高めることができる。
【0107】
弾性腕部26gは、例えば、分岐部BFと、外側部分26eを介して固定側部材RGとしてのベース部材18に繋がる第1端部TA1と、内側部分26iを介してレンズ保持部材2に繋がる第2端部TA2と、ベース部材18又はレンズ保持部材2に繋がる第3端部TA3と、を有するように構成されていてもよい。この場合、レンズ体の光軸JDと分岐部BFとを結ぶ線分L0と、光軸JDと第1端部TA1、第2端部TA2又は第3端部TA3とを結ぶ線分L1、L2又はL3とで形成される光軸JD回りの角度の最大値は、望ましくは、光軸JDと第1端部TA1、第2端部TA2及び第3端部TA3のうちの2つのそれぞれとを結ぶ2つの線分で形成される光軸JD回りの角度の最大値より小さい。例えば、
図18に示すように、レンズ体の光軸JDと分岐部BFとを結ぶ線分L0と、光軸JDと第1端部TA1、第2端部TA2及び第3端部TA3のそれぞれとを結ぶ3つの線分L1〜L3のそれぞれとで形成される角度α、β、γは何れも、光軸JDと第1端部TA1、第2端部TA2及び第3端部TA3のうちの2つのそれぞれとを結ぶ2つの線分で形成される角度の最大値である角度δより小さい。この構成により、弾性腕部26gは、光軸JDの方向に関する適切なばね定数を実現しながら、光軸JDに垂直な方向に関する適切なばね剛性を実現できる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0109】
例えば、上記実施形態では、レンズ保持部材2は、2つの弾性腕部16gを有する上側板ばね16と、2つの弾性腕部26gを有する下側板ばね26とを介して固定側部材RGによって支持されている。しかしながら、レンズ保持部材2は、3つ以上の弾性腕部16gを有する上側板ばね16と、2つの弾性腕部26gを有する下側板ばね26とを介して固定側部材RGによって支持されていてもよい。或いは、レンズ保持部材2は、2つの弾性腕部16gを有する上側板ばね16と、3つ以上の弾性腕部26gを有する下側板ばね26とを介して固定側部材RGによって支持されていてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、下側板ばね26Aと延在部33Bとが電気的に接続され、且つ、下側板ばね26Bと延在部33Aとが電気的に接続される構成としたが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、手振れ補正機能付きのレンズ駆動装置等においては、上側板ばね16が2つに分割され、一方がコイルの巻き始め部分に電気的に接続され、他方がコイルの巻き終わり部分に電気的に接続される構成であってもよい。なお、手振れ補正機能付きのレンズ駆動装置は、磁石5を保持する磁石ホルダを有する。磁石ホルダは、光軸JDの方向に移動する可動側部材としてのレンズ保持部材2とは異なり、光軸JDの方向には移動しない固定側部材を構成する。
【0111】
本願は、2018年3月23日に出願した日本国特許出願2018−056825号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。