(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記地点候補特定部は、所定エリア内の地表の情報に基づいて、前記無人航空機の着陸に適した前記着陸地点候補を特定することを特徴とする請求項1に情報処理システム。
前記地点候補特定部は、前記無人航空機の現在位置に基づき設定された検索範囲に含まれる前記着陸地点候補を検索することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システム。
前記経路候補検索部は、前記通路検出部により検出された複数の前記通路を繋ぐことにより形成される前記回収経路候補を検索することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
前記回収コスト算出部は、前記経路候補検索部により検索された複数の前記回収経路候補のそれぞれについて前記回収コストを算出することを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の情報処理システム。
前記回収コスト算出部は、前記地点候補特定部により特定された複数の前記着陸地点候補のそれぞれについて前記回収コストを算出することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の情報処理システム。
前記回収コスト算出部は、前記回収経路候補における特徴量を表すパラメータに基づいて、前記回収コストを算出することを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の情報処理システム。
前記パラメータには、前記回収経路候補における勾配の大きさと地表属性の優先レベルとの少なくとも何れか一方が含まれることを特徴とする請求項12に記載の情報処理システム。
前記回収コスト算出部は、前記回収経路候補における往路と復路とを区別して前記回収コストを算出することを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の情報処理システム。
複数の前記着陸地点候補のそれぞれについて算出された前記回収コストに基づいて、当該複数の前記着陸地点候補の中から前記着陸地点を選択する着陸地点選択部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の情報処理システム。
前記着陸地点選択部は、前記無人航空機の現在位置と前記着陸地点候補との位置関係に更に基づいて、前記着陸地点を選択することを特徴とする請求項15に記載の情報処理システム。
複数の前記回収経路候補のそれぞれについて算出された前記回収コストに基づいて、当該複数の前記回収経路候補の中から前記回収経路を選択する回収経路選択部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の情報処理システム。
目的地点に向けて飛行する無人航空機を前記目的地点以外に緊急着陸させるための着陸地点の候補として特定される着陸地点候補と、基準地点とを結ぶ回収経路候補に関する回収コストであって、前記基準地点と前記着陸地点とを結ぶ回収経路または前記着陸地点の決定に利用される回収コストを算出する回収コスト算出部を備え、
前記回収経路候補は、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の通路と、回収人と回収車両のうち回収人のみが歩行により通行可能な第2の通路とのうち、少なくとも前記第2の通路を含むことを特徴とする情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無人航空機が緊急着陸した後には、当該無人航空機を速やかに回収することが望ましい。しかし、上述したように地上の脅威に対する脅威度のみを考慮して着陸地点を選定した場合、緊急着陸後に無人航空機を回収することまでは考慮されていないため、回収に向かない着陸地点が選択される恐れがあった。その結果、例えば、無人航空機の回収に多大な時間がかかったり、無人航空機の回収が困難になる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、無人航空機を回収するための好適な情報を得ることが可能な情報処理システム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、目的地点に向けて飛行する無人航空機を前記目的地点以外に緊急着陸させるための着陸地点の候補となる着陸地点候補を特定する地点候補特定部と、基準地点と前記着陸地点候補とを結ぶ回収経路候補に関する回収コストであって、前記基準地点と前記着陸地点とを結ぶ回収経路または前記着陸地点の決定に利用される回収コストを算出する回収コスト算出部と、を備え
、前記回収経路候補は、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の通路と、回収人と回収車両のうち回収人のみが歩行により通行可能な第2の通路とのうち、少なくとも前記第2の通路を含むことを特徴とする。これにより、無人航空機を回収するための好適な情報を得ることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に情報処理システムにおいて、前記地点候補特定部は、所定エリア内の地表の情報に基づいて、前記無人航空機の着陸に適した前記着陸地点候補を特定することを特徴とする。これにより、無人航空機の着陸に適した着陸地点候補を精度良く特定することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の情報処理システムにおいて、前記地表の情報には、前記地表の三次元形状データと地表属性との少なくとも何れか一方が含まれることを特徴とする。これにより、無人航空機の着陸に適した着陸地点候補を精度良く特定することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記地点候補特定部は、前記無人航空機の現在位置に基づき設定された検索範囲に含まれる前記着陸地点候補を検索することを特徴とする。これにより、無人航空機が辿り着き易い着陸地点候補を特定することができる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理システムにおいて、前記地点候補特定部は、前記無人航空機の緊急状態に関する情報に応じて、前記検索範囲を設定することを特徴とする。これにより、無人航空機の緊急性に応じて辿り着き易い着陸地点候補を特定することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、所定エリア内の地表の情報に基づいて、前記無人航空機の回収に適した通路を検出する通路検出部と、前記通路検出部により検出された前記通路に基づいて、前記回収経路候補を検索する経路候補検索部と、を更に備えることを特徴とする。これにより、より多くの回収経路候補を特定することができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理システムにおいて、前記経路候補検索部は、前記通路検出部により検出された複数の前記通路を繋ぐことにより形成される前記回収経路候補を検索することを特徴とする。これにより、より多くの回収経路候補を特定することができる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の情報処理システムにおいて、前記経路候補検索部は、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の前記通路と、回収人と回収車両のうち回収人のみが
歩行により通行可能な第2の前記通路とのうち、前記第1の前記通路が優先されるように前記回収経路候補を検索することを特徴とする。これにより、回収人は無人航空機の回収にあたり回収車両を効率良く利用することができるので、無人航空機の回収にかかる負荷及び時間を低減することができる。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記回収コスト算出部は、前記経路候補検索部により検索された複数の前記回収経路候補のそれぞれについて前記回収コストを算出することを特徴とする。これにより、複数の回収経路候補のそれぞれについての回収コストを比較して回収経路を決定することが実現可能となる。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記回収コスト算出部は、前記地点候補特定部により特定された複数の前記着陸地点候補のそれぞれについて前記回収コストを算出することを特徴とする。これにより、複数の着陸地点候補のそれぞれについての回収コストを比較して着陸地点を決定することが実現可能となる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記回収コスト算出部は、前記回収経路候補の距離に基づいて、前記回収コストを算出することを特徴とする。これにより、回収経路候補の距離に見合った適切な回収コストを算出することができる。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記回収コスト算出部は、前記回収経路候補における特徴量を表すパラメータに基づいて、前記回収コストを算出することを特徴とする。これにより、回収経路候補における特徴量に見合った適切な回収コストを算出することができる。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の情報処理システムにおいて、前記パラメータには、前記回収経路候補における勾配の大きさと地表属性の優先レベルとの少なくとも何れか一方が含まれることを特徴とする。これにより、回収経路候補における勾配の大きさと地表属性の優先レベルとの少なくとも何れか一方に見合った適切な回収コストを算出することができる。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記回収コスト算出部は、前記回収経路候補における往路と復路とを区別して前記回収コストを算出することを特徴とする。これにより、復路では回収人が無人航空機を運ぶことを考慮して回収コストを算出することができる。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項1乃至14の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、複数の前記着陸地点候補のそれぞれについて算出された前記回収コストに基づいて、当該複数の前記着陸地点候補の中から前記着陸地点を選択する着陸地点選択部を更に備えることを特徴とする。これにより、複数の着陸地点候補の中から迅速に着陸地点を決定することができる。
【0021】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の情報処理システムにおいて、前記着陸地点選択部は、前記無人航空機の現在位置と前記着陸地点候補との位置関係に更に基づいて、前記着陸地点を選択することを特徴とする。これにより、複数の着陸地点候補の中から無人航空機が辿り着き易い着陸地点を迅速に決定することができる。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項1乃至14の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、複数の前記着陸地点候補のそれぞれについて算出された前記回収コストを含む情報を前記無人航空機のユーザに提示する提示部と、前記ユーザによる前記着陸地点候補の指定に基づいて、前記複数の前記着陸地点候補の中から前記着陸地点を選択する着陸地点選択部と、を更に備えることを特徴とする。これにより、複数の着陸地点候補の中からユーザが所望する着陸地点を決定することができる。
【0023】
請求項18に記載の発明は、請求項1乃至17の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、複数の前記回収経路候補のそれぞれについて算出された前記回収コストに基づいて、当該複数の前記回収経路候補の中から前記回収経路を選択する回収経路選択部を更に備えることを特徴とする。これにより、複数の回収経路候補の中から迅速に回収経路を決定することができる。
【0024】
請求項19に記載の発明は、請求項1乃至18の何れか一項に記載の情報処理システムにおいて、前記無人航空機を前記着陸地点に着陸させる制御を行う制御部を更に備えることを特徴とする。これにより、緊急状態になった無人航空機を着陸地点に着陸させることができる。
【0025】
請求項20に記載の発明は、目的地点に向けて飛行する無人航空機を前記目的地点以外に緊急着陸させるための着陸地点の候補として特定される着陸地点候補と、基準地点とを結ぶ回収経路候補に関する回収コストであって、前記基準地点と前記着陸地点とを結ぶ回収経路または前記着陸地点の決定に利用される回収コストを算出する回収コスト算出部を備え
、前記回収経路候補は、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の通路と、回収人と回収車両のうち回収人のみが歩行により通行可能な第2の通路とのうち、少なくとも前記第2の通路を含むことを特徴とする。
【0026】
請求項21に記載の発明は、1または複数のコンピュータにより実行される情報処理方法であって、目的地点に向けて飛行する無人航空機を前記目的地点以外に緊急着陸させるための着陸地点の候補となる着陸地点候補を特定するステップと、基準地点と前記着陸地点候補とを結ぶ回収経路候補に関する回収コストであって、前記基準地点と前記着陸地点とを結ぶ回収経路または前記着陸地点の決定に利用される回収コストを算出するステップと、を含
み、前記回収経路候補は、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の通路と、回収人と回収車両のうち回収人のみが歩行により通行可能な第2の通路とのうち、少なくとも前記第2の通路を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、無人航空機を回収するための好適な情報を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る無人航空機システムについて説明する。
【0030】
[
1.無人航空機システムSの構成及び動作概要]
先ず、
図1を参照して本実施形態に係る無人航空機システムSの構成及び動作概要について説明する。
図1は、無人航空機システムSの概要構成例を示す図である。
図1に示すように、無人航空機システムSは、大気中(空中)を飛行する無人航空機(以下、「UAV(Unmanned Aerial Vehicle )」と称する)1、運航管理システム(以下、「UTMS(UAV Traffic Management System)」と称する)2、及びポート管理システム(以下、「PMS(Port Management System)」と称する)3を含んで構成される。UAV1、UTMS2、及びPMS3は、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能になっている。通信ネットワークNWは、例えば、インターネット、移動体通信ネットワーク及びその無線基地局等から構成される。なお、UTMS2とPMS3とは、1つの管理システムとして構成されてもよい。
【0031】
UAV1は、飛行開始地点から目的地点に向けて、大気中を遠隔操作より飛行または自律的に飛行することが可能になっている。UAV1は、ドローン、またはマルチコプタとも呼ばれる。UAV1は、例えば、物品の運搬(例えば、配送)、または地上の状況観察等に利用される。本実施形態では、緊急状態になったUAV1を目的地点以外の着陸地点(以下、「緊急着陸地点」という)に緊急着陸させることを想定する。ここで、地点は、ある広さの面積を有する。緊急状態とは、UAV1に異常が発生したことや、UAV1が飛行する範囲の気象が急変(悪化)することなどにより、UAV1が正常な飛行を維持することが困難な状態をいう。なお、UAV1は、GCS(Ground Control Station)により管理され、地上からオペレータにより遠隔操作可能になっている。GCSは、例えば、アプリケーションとして通信ネットワークNWに接続可能な操縦端末Tに搭載される。この場合、オペレータは、例えば、操縦端末Tを操作する人であり、UAV1のユーザとして位置づけられる。或いは、GCSは、サーバ等により構成されてもよい。この場合、オペレータは、例えば、GCSの管理者(例えば、管制センターからUAV1を遠隔操作する人)、またはサーバが備えるコントローラであり、当該管理者はUAV1のユーザとして位置づけられる。
【0032】
UTMS2は、制御サーバCSを含む1以上のサーバ等を備えて構成される。制御サーバCSは、情報処理装置の一例である。UTMS2は、UAV1の運航を管理する。UAV1の運航管理には、UAV1の飛行前の運航計画の管理、及び飛行中のUAV1の飛行状況の管理及び制御が含まれる。UAV1の飛行前の運航計画とは、UAV1の飛行開始地点から目的地点までの予定経路等を含む飛行計画である。目的地点は、例えば、UAV1の飛行開始前に設定された予定着陸地点であり、上述した緊急着陸地点とは異なる。飛行中のUAV1の飛行状況の管理は、UAV1の航空機情報に基づいて行われる。UAV1の航空機情報には、少なくともUAV1の位置情報が含まれる。UAV1の位置情報は、UAV1の現在位置(自己位置)を示す。UAV1の現在位置とは、飛行中のUAV1の飛行位置である。UAV1の航空機情報には、UAV1の速度情報等が含まれてもよい。速度情報は、UAV1の飛行速度を示す。なお、UTMS2は、UAV1に対して情報及び指示を与えるなどの航空管制を行う。
【0033】
PMS3は、1または複数のサーバ等により構成される。PMS3は、UAV1の目的地点となる離着陸施設(以下、「ポート」と称する)を管理する。ポートの管理は、ポートの位置情報及びポートの予約情報等に基づいて行われる。ここで、ポートの位置情報は、ポートの設置位置を示す。ポートの予約情報には、ポートを予約したUAV1の機体ID、及び予約日時等が含まれる。UAV1の機体IDは、UAV1を識別する識別情報である。UAV1により使用されるポートの予約は、例えばUAV1を管理するGCSによりPMS3へ要求される。
【0034】
[
1−1.UAV1の構成及び機能概要]
次に、
図2を参照してUAV1の構成及び機能概要について説明する。
図2は、UAV1の概要構成例を示す図である。
図2に示すように、UAV1は、駆動部11、測位部12、無線通信部13、撮像部14、及び制御部15等を備える。なお、図示しないが、UAV1は、水平回転翼であるロータ(プロペラ)、各種センサ、及びUAV1の各部へ電力を供給するバッテリ等を備える。UAV1の飛行制御に用いられる各種センサには、気圧センサ、3軸加速度センサ、地磁気センサ、及び気象センサ等が含まれる。気象センサは、気象状態の監視に用いられる。各種センサにより検出された検出情報は、制御部15へ出力される。
【0035】
駆動部11は、モータ及び回転軸等を備える。駆動部11は、制御部15から出力された制御信号に従って駆動するモータ及び回転軸等により複数のロータを回転させる。測位部12は、電波受信機及び高度センサ等を備える。測位部12は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の衛星から発信された電波を電波受信機により受信し、当該電波に基づいてUAV1の水平方向の現在位置(緯度及び経度)を検出する。なお、UAV1の水平方向の現在位置は、撮像部14により撮像された画像データや上記無線基地局から発信された電波に基づいて補正されてもよい。さらに、測位部12は、高度センサによりUAV1の垂直方向の現在位置(高度)を検出してもよい。測位部12により検出された現在位置を示す位置情報は、制御部15へ出力される。
【0036】
無線通信部13は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。撮像部14は、カメラ(2Dまたは3Dカメラ)等を備える。撮像部14は、カメラの画角に収まる範囲内の実空間を連続的に撮像する。撮像部14により撮像された画像データは、制御部15へ出力される。カメラは、UAV1の飛行制御のほか、センサとして地表のセンシングにも用いられる。ここで、地表のセンシングとは、UAV1を視点として地表(地面に接して存在する物等を含んでもよい)を観測(観察)することをいう。地表は平らであるとは限らず凹凸が形成されている場合もある。地表のセンシングのために、例えば赤外線センサ、熱センサ、超音波センサ、光電センサ、レーザセンサ、LiDAR(Light Detection and Ranging、あるいはLaser Imaging Detection and Ranging)等のうち少なくとも何れか1つのセンサ(センサデバイス)がUAV1に備えられてもよい。なお、地表のセンシングにより得られるセンシングデータは、カメラの撮像により得られる画像データであってもよいし、赤外線センサ、熱センサ、超音波センサ、光電センサ、レーザセンサ、LiDAR等の、UAV1に備えられる各種センサのセンシングにより得られる各種のデータであってもよい。
【0037】
制御部15は、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び不揮発性メモリ等を備える。制御部15は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶された状態監視プログラム(プログラムコード群)に従い、UAV1の飛行中、UAV1の各部(バッテリ、ロータ、センサ、測位部等)の状態や気象状態を監視し緊急状態になったか否かを判別する。例えば、UAV1の各部の異常や気象異常が検出されたとき、緊急状態になったと判別される。そして、制御部15は、緊急状態になったと判別した場合、UAV1の緊急状態に関する情報(以下、「緊急状態情報」という)を、UAV1の機体ID及び航空機情報とともに、無線通信部23を介して制御サーバCSへ送信する。緊急状態情報は、緊急状態になったことを示す情報であってもよい。緊急状態情報には、例えば、緊急状態の詳細内容、緊急状態の種別、及び緊急状態のレベル(ランク)などのうち少なくとも何れか1つが含まれてもよい。
【0038】
ここで、緊急状態の種別の例として、バッテリの残量不足、ロータ異常、センサ異常、測位異常、気象異常などが挙げられる。緊急状態のレベルは、例えば、UAV1が飛行を維持することがどの程度、困難であるかを複数段階(例えば、1,2,3,4,5の5段階であり、この場合、レベル5が最も高い)で示す。例えば、バッテリの残量不足である場合はレベル5、ロータ異常である場合はレベル4、センサ異常である場合はレベル3、測位異常である場合はレベル2、気象異常である場合はレベル1というように緊急状態の種別に応じて緊急状態のレベルが判断される。或いは、バッテリの残量が3%未満である場合や、複数のロータのうち半数以上のロータが異常である場合はレベル5というように、緊急状態の種別の中でも異常の程度(危険度)に応じて緊急状態のレベルが判断されてもよい。
【0039】
また、制御部15は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたセンシングプログラムに従い、UAV1の飛行中、UAV1が緊急状態になった場合や、UTMS2若しくはGCSからセンシング指令があった場合に、撮像部14のカメラ等を用いてUAV1の飛行中に地表のセンシングを行う。このとき、制御部15は、カメラ等により検出可能な範囲を連続的にセンシングするとよい。制御部15は、地表のセンシングにより得られたセンシングデータを、UAV1の機体ID及び航空機情報とともに、無線通信部13を介して、例えば所定時間間隔で制御サーバCSへ送信する。送信されるセンシングデータは、撮像部14により撮像された画像データであってもよいし、赤外線センサ、熱センサ、超音波センサ、光電センサ、レーザセンサ、LiDAR等のうち少なくとも何れか1つのセンサのセンシングにより得られる各種のデータであってもよい。なお、制御部15は、測位部12により検出された現在位置と、センシングにより得られたセンシングデータとを用いて、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により自己位置の推定と環境地図データ(センシングされた範囲の地表の三次元形状データを含む)の作成を行ってもよい。この場合、制御部15は、作成された環境地図データを、UAV1の機体ID及び航空機情報とともに、無線通信部13を介して、例えば所定時間間隔で制御サーバCSへ送信する。
【0040】
また、制御部15は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶された制御プログラムに従ってUAV1の各種制御を実行する。各種制御には、離陸制御、飛行制御、及び着陸制御が含まれる。飛行制御及び着陸制御においては、測位部12から取得された位置情報、撮像部14から取得された画像データ、各種センサから取得された検出情報、着陸地点の位置情報、及び予め登録された飛行計画情報(例えば、飛行予定経路を含む)が用いられて、ロータの回転数の制御、UAV1の位置、姿勢及び進行方向の制御が行われる。ここで、着陸地点の位置情報は、PMS3から取得されるポート(目的地点)の位置情報、またはUTMS2若しくはGCSから取得される緊急着陸地点の位置情報である。着陸地点の位置情報は、例えば、当該地点の中心の緯度及び経度で表される。制御部15は、着陸地点の位置情報に従ってUAV1を当該着陸地点(目的地点、または緊急着陸地点)へ飛行させ、UAV1を当該着陸地点に着陸させる制御を行う。なお、UAV1の自律的な飛行は、当該UAV1に備えられる制御部15が飛行制御を行うことによる自律飛行に限定されるものではなく、当該UAV1の自律的な飛行には、例えば無人航空機システムS全体として飛行制御を行うことによる自律飛行も含まれる。
【0041】
[
1−2.制御サーバCSの構成及び機能概要]
次に、
図3及び
図4を参照して制御サーバCSの構成及び機能概要について説明する。
図3は、制御サーバCSの概要構成例を示す図である。
図3に示すように、制御サーバCSは、通信部21、記憶部22、及び制御部23等を備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して行われる通信の制御を担う。記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ等を備える。記憶部22は、UAV1の機体IDと、UAV1の飛行計画を示す飛行計画情報と、UAV1の航空機情報とを対応付けて記憶する。また、記憶部22には、地図情報が記憶される。地図情報には、例えば、地図内の各地点の緯度、経度、標高、及び地質のほか、建物、道路(車道)、歩道、山道、林道などのデータが含まれる。なお、地図情報は、無人航空機システムSの外部の例えば地図提供サービス等から取得されてもよい。
【0042】
制御部23は、プロセッサであるCPU、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等を備える。
図4は、制御部33における機能ブロック例を示す図である。制御部33は、例えばROMまたは不揮発性メモリに記憶されたプログラムに従って、
図4に示すように、地表情報取得部23a、地点候補特定部23b、経路候補特定部23c、回収コスト算出部23d、情報提供部23e、選択部23f、及び着陸制御部23gとして機能する。なお、経路候補特定部23cは、通路検出部及び経路候補検索部の一例である。情報提供部23eは、提示部の一例である。選択部23fは、着陸地点選択部及び回収経路選択部の一例である。
【0043】
地表情報取得部23aは、例えば緊急状態になったUAV1から緊急状態情報が受信された場合に、所定のエリア内の地表の情報(以下、「地表情報」という)を取得する。所定のエリアとは、UAV1の回収に関わるエリア(以下、「回収エリア」という)である。回収エリアは、例えば、UAV1によりセンシングされた範囲、及びUAV1を回収するための回収出発地点(回収の出発地点)と回収帰還地点(回収の帰還地点)との少なくとも何れか一方を含む。回収出発地点と回収帰還地点は、いずれも、回収に関わる基準地点の一例である。回収帰還地点とは、回収されるUAV1の運び先となる地点である。例えば、回収帰還地点は、UAV1を収容する倉庫や、UAV1を修理可能な設備の存在する地点であってもよい。なお、回収帰還地点は、回収出発地点と同一であってもよいし異なっていてもよい。ここで、回収とは、(i)回収人が回収出発地点から緊急着陸地点に行ってUAV1を取得し(例えば、拾い上げ)、当該UAV1を運んで回収帰還地点に帰還する(つまり、往路及び復路に対応)こと、(ii)回収人が回収出発地点から緊急着陸地点に行ってUAV1を取得する(つまり、往路のみに対応)こと、(iii)回収人が緊急着陸地点でUAV1を取得し、当該UAV1を運んで回収帰還地点に帰還する(つまり、復路のみに対応)ことの何れか1つをいう。例えば(i)の場合、回収人が回収出発地点から緊急着陸地点に行ってUAV1を取得した後、当該回収出発地点と同じ回収帰還地点に帰還する(戻る)場合もあるし、当該回収出発地点と異なる回収帰還地点に帰還する場合もある。回収人は、UAV1のオペレータであってもよいし、当該オペレータ以外の人であってもよい。また、回収人は、UAV1の回収にあたり道路を走行する回収車両を利用する場合もある。回収出発地点と回収帰還地点は、いずれも、緊急状態情報が受信された後で、あるいは予め、UAV1のオペレータ等により手動で登録されてもよいし、当該オペレータが使用する操縦端末TのGPS機能により検出された現在位置として自動で登録されてもよい。
【0044】
地表情報には、回収エリア内の地表の三次元形状データと地表属性との少なくとも何れか一方が含まれ、当該地表における各地点の位置情報が対応付けられている。三次元形状データは、UAV1から受信された環境地図データから取得されてもよいし、制御部23により作成された環境地図データから取得されてもよい。後者の場合、例えば、地表情報取得部23aは、UAV1から受信された位置情報及びセンシングデータを用いて、SLAMにより環境地図データを作成する。また、三次元形状データは、記憶部22に記憶されている地図情報のうち回収エリアに対応する地図情報によって補完されるとよい。特に、回収エリアのうち、UAV1によりセンシングされた範囲外のエリアにおける三次元形状データは、地図情報から取得される。重複するエリア内で過去に環境地図データが作成され記憶部22に記憶されている場合、過去の三次元形状データに基づいて現在の三次元形状データが補完されてもよい。なお、環境地図データは、例えば過去に飛行したUAV1、或いは他の航空機によるセンシングに基づいて作成されたものでもよい。
【0045】
回収エリア内の地表の地表属性は、例えば、UAV1から受信されたセンシングデータに基づいて推定される。このように、センシングデータに基づいて地表属性を推定する方法には、画像認識、機械学習等の周知の技術を用いることが可能である。地表属性は、コンクリート、水、土、芝生、砂、及び木々等の複数の属性のうち何れか1以上の地表属性に分類されることで推定されるとよい。センシングデータに基づいて地表属性を推定することにより、水溜まりなど時々刻々に変化しうる地表属性を適切に推定することができる。例えば、地表情報取得部23aは、センシングデータに基づいて、回収エリア内の地表のマッピング画像データを生成する。マッピング画像データは、主として、カメラにより撮像された画像データを元に生成される。また、マッピング画像データは、マッピング画像データの各点(画素)には、例えば、色(RGB値)、緯度及び緯度が対応付けられる。また、地表のセンシングにカメラ及び赤外線センサ等が用いられる場合、マッピング画像データの各点には、色、緯度及び緯度に加えて、各点の放射温度が対応付けられる。また、地表のセンシングにカメラ及び光電センサ等が用いられる場合、マッピング画像データの各点には、色、緯度及び緯度に加えて、各点の光の反射率が対応付けられる。
【0046】
なお、地表属性は、記憶部22に記憶されている地図情報のうち回収エリアに対応する地図情報によって補完されるとよい。特に、回収エリアのうち、UAV1によりセンシングされた範囲外のエリアにおける地表属性は、地図情報から取得される。地図情報に基づいて地表属性を推定することにより、例えば、道路、海などあまり変化しないものを精度良く推定することができる。
【0047】
地点候補特定部23bは、目的地点に向けて飛行するUAV1を目的地点以外に緊急着陸させるための緊急着陸地点の候補となる着陸地点候補を1つまたは複数特定(例えば、位置情報により特定)する。例えば、地点候補特定部23bは、地表情報取得部23aにより取得された地表情報に基づいて、UAV1の着陸に適した着陸地点候補を1つまたは複数特定する。これにより、UAV1の着陸に適した(好適な)着陸地点候補を精度良く特定することができる。UAV1の着陸に適した着陸地点候補には、UAV1が着陸し易い着陸地点候補、UAV1が損傷を受け難い着陸地点候補、回収人がUAV1を発見し易い着陸地点候補、及び回収人がUAV1を取り易い着陸地点候補のうち少なくとも何れ1つが該当する。例えば、面積が閾値(例えば、数十m
2)以上の広さを有するエリア(つまり、UAV1の着陸に適した広さのエリア)が着陸地点候補として特定される。ここで、面積の閾値は、主としてUAV1が着陸し易いという観点から予め設定されるものであり、必要に応じて変更可能になっている。なお、面積の閾値は、例えばUAV1の平面サイズに基づき設定されるとよい。或いは、面積が閾値以上の広さを有するエリアであって、且つ、勾配が閾値(例えば数%)未満のエリア(つまり、UAV1の着陸に適した傾斜の小さいエリア)が着陸地点候補として特定されてもよい。ここで、勾配は、例えば、垂直距離を水平距離(単位距離)で割った値(=垂直距離/水平距離)をパーセンテージで示したものである(ただし、水平面に対する面の傾斜を角度で表してもよい)。勾配の閾値は、主としてUAV1が着陸し易く、回収人がUAV1を回収し易いという観点から設定されるものであり、必要に応じて変更可能になっている。
【0048】
また、着陸に適した着陸地点候補の特定にあたり、面積や勾配とともに地表属性の優先レベル(優先度)が考慮されてもよい。地表属性の優先レベルは、例えば、土(優先レベル:10)、芝生(優先レベル:9)、コンクリート(優先レベル:8)、砂(優先レベル:7)、道路(優先レベル:3)、水(優先レベル:2)、木々(優先レベル:1)のように、主としてUAV1が損傷を受け難く、回収人がUAV1を取得し易いという観点から予め設定される(例えば、数値が大きいほど、より優先して着陸地点候補として特定されやすい)ものであり、必要に応じて変更可能になっている。この場合、面積が閾値以上の広さを有するエリア(または、面積が閾値以上の広さを有し、勾配が閾値未満のエリア)のうち、優先レベルが閾値(例えば、9)以上の地表属性(例えば、土、芝生)を有するエリアが着陸地点候補として特定される。もし、そのようなエリアがなく着陸地点候補を特定できない場合、優先レベルの閾値が低く設定(例えば、9未満に設定)され、優先レベルが低く設定された閾値以上の地表属性(例えば、コンクリート、砂)を有するエリアが着陸地点候補として特定される。
【0049】
なお、着陸に適した着陸地点候補の特定にあたり、面積や勾配とともに地上の脅威に対する脅威度が考慮されてもよい。脅威度とは、UAV1が接触を回避すべき度合いを定量化したパラメータである。脅威度は、例えば、UAV1との接触により損害を与えることを避けるべき対象ごとに設定される。かかる対象の例として、人、物体(建物、車両など)、芝生、木々、水溜まり等が挙げられる。例えば、人及び物体には相対的に高い脅威度が設定され、芝生、樹木、及び水場には相対的に低い脅威度が設定される。この場合、面積が閾値以上の広さを有するエリア(または、面積が閾値以上の広さを有し、勾配が閾値未満のエリア)のうち、脅威度が閾値以下である(つまり、脅威度が低い)エリアが着陸地点候補として特定される。また、着陸に適した着陸地点候補の特定にあたり、面積や勾配とともに、その場所が私有地であるか否かが考慮されてもよい。この場合、面積が閾値以上の広さを有するエリア(または、面積が閾値以上の広さを有し、勾配が閾値未満のエリア)のうち、私有地でないエリアが着陸地点候補として特定される。
【0050】
また、地点候補特定部23bは、UAV1の現在位置に基づき設定された検索範囲に含まれる着陸地点候補を検索してもよい。これにより、UAV1が辿り着き易い着陸地点候補を特定することができる。検索範囲は、例えばUAV1の現在位置を中心とする円(例えば、半径数十m〜数km)または矩形の範囲であり、上述した回収エリアより狭い範囲である。例えば、地点候補特定部23bは、回収エリア内の地表情報に基づいて特定された着陸地点候補の中から、上記設定された検索範囲に含まれる着陸地点候補を検索し、当該検索により発見された着陸地点候補を最終的に特定するとよい。ただし、地点候補特定部23bは、最初から上記検索範囲の地表情報に基づいて当該検索範囲に含まれる着陸地点候補を検索して着陸地点候補を特定してもよい。また、地点候補特定部23bは、検索により着陸地点候補を特定できなかった場合(つまり、設定された検索範囲内に着陸地点候補を発見できなかった場合)には、当該検索範囲を広げるように再設定(例えば半径1kmから半径3kmに拡大)し、当該再設定された検索範囲に含まれる着陸地点候補を再検索し、当該再検索により発見された着陸地点候補を最終的に特定してもよい。このような検索範囲の再設定は、着陸地点候補が発見されるまで繰り返されてもよい。
【0051】
また、地点候補特定部23bは、UAV1から受信された緊急状態情報に含まれる緊急状態の詳細内容、緊急状態の種別、及び緊急状態のレベルのうち少なくとも何れか1つに応じて、検索範囲を設定してもよい。これにより、UAV1の緊急性に応じてUAV1が辿り着き易い着陸地点候補を特定することができる。例えば、UAV1に発生した異常(例えば、バッテリ残量不足)によって飛行可能距離が予測可能な場合には、当該飛行可能距離に応じて検索範囲が設定、つまり、飛行可能距離が短いほど検索範囲が狭く設定される。ここで、飛行可能距離は、緊急状態になったUAV1がどの位の距離を飛行できるかを示す。また、緊急状態のレベルに応じて検索範囲が設定される場合、緊急状態のレベルが高いほど検索範囲が狭く設定される。なお、特定された着陸地点候補(つまり、着陸地点候補の位置情報)には、例えば、道幅、勾配、及び地表属性のうち少なくとも何れか1つの情報が対応付けられてメモリに記憶される。
【0052】
経路候補特定部23cは、地表情報取得部23aにより取得された地表情報に基づいて、UAV1の回収に適した通路を回収エリアから検出(例えば、位置情報により検出)する。ここで、通路には、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の通路(車道)、及び回収人と回収車両のうち回収人のみが通行可能な第2の通路(歩道、山道、林道、獣道)が該当する。そのうち、UAV1の回収に適した通路には、回収人が歩行し易い通路、回収人がUAV1を運び易い通路、及び回収車両が走行し易い通路のうち少なくとも何れ1つが該当する。例えば、道幅が閾値(例えば、数十cm)以上である通路が検出される。或いは、道幅が閾値以上の通路であって、且つ、勾配が閾値(例えば数%)未満の通路が検出されてもよい。道幅の閾値及び勾配の閾値は、主として回収人が歩き易くUAV1を運び易い通路、または回収車両が走行し易いという観点から設定されるものであり、必要に応じて変更可能になっている。
【0053】
また、回収に適した通路の検出にあたり、面積や勾配とともに地表属性の優先レベルが考慮されてもよい。地表属性の優先レベルは、例えば、道路(優先レベル:10)、コンクリート(優先レベル:9)、土(優先レベル:8)、芝生(優先レベル:7)、砂(優先レベル:6)、水(優先レベル:1)、木々(優先レベル:0)のように、主として回収人が歩き易くUAV1を運び易い、または回収車両が走行し易いという観点から予め設定されるものであり、必要に応じて変更可能になっている。この場合、道幅が閾値以上である通路(または、道幅が閾値以上で、勾配が閾値未満の通路)のうち、優先レベルが閾値(例えば、9)以上の地表属性(例えば、道路、コンクリート)を有する通路が検出される。もし、そのような通路を検出できない場合、優先レベルの閾値が低く設定(例えば、8未満に設定)設定され、優先レベルが低く設定された閾値以上の地表属性(例えば、道路、コンクリート、土)を有する通路が検出される。また、回収に適した通路の検出にあたり、面積や勾配とともに、その場所が私有地であるか否かが考慮されてもよい。この場合、道幅が閾値以上である通路(または、道幅が閾値以上で、勾配が閾値未満の通路)のうち、私有地を通らない通路が検出される。なお、検出された通路(例えば、通路上の位置情報)には、例えば、道幅、勾配、及び地表属性のうち少なくとも何れか1つの情報が対応付けられてメモリに記憶される。
【0054】
経路候補特定部23cは、上述したように検出された通路に基づいて、基準地点と着陸地点候補とを結ぶ回収経路候補を検索し、当該検索により発見された回収経路候補を1つまたは複数特定(例えば、位置情報により特定)する。経路候補特定部23cは、検出された1つの通路により形成される回収経路候補に限らず、検出された複数の通路(例えば、互いに離間する通路)を繋ぐことにより形成される回収経路候補を検索するとよい。これにより、より多くの回収経路候補を特定することができる。
図5は、検出された複数の通路が繋がれることで形成される回収経路候補を示す図である。
図5に示すように、検出された複数の通路は、直接接続される場合(
図5に示すC1部)と、通路として検出されていない部分を通って接続される場合(
図5に示すC2部)とがある。また、
図5の例は、経路候補特定部23cにより複数の着陸地点候補PC1〜PC3が特定された例を示しており、この場合、着陸地点候補PC1〜PC3のそれぞれと回収出発地点PS(=回収帰還地点)とを結ぶ回収経路候補RC1〜RC3が検索されることになる。なお、検出された複数の通路が繋がれることで形成される回収経路候補を検索する場合、当該回収経路候補の数が膨大になる可能性があるため、検索される回収経路候補の上限(例えば、10個)が設定されるとよい。
【0055】
また、1つの着陸地点候補について、着陸地点候補と基準地点とを結ぶ回収経路候補が複数検索(異なる複数の回収経路候補が検索)されてもよい。これにより、様々な回収経路候補を回収人に提供することができる。さらに、回収出発地点から緊急着陸地点に辿り着く往路と、当該緊急着陸地点から回収帰還地点に帰還する復路とで、回収経路を異ならせることも可能となる。また、経路候補特定部23cは、回収人と回収車両のうち双方が通行可能な第1の通路と、回収人と回収車両のうち回収人のみが通行可能な第2の通路とのうち、第1の通路が優先されるように回収経路候補を検索するとよい。例えば、第1の通路と第2の通路とのどちらの通路も回収経路候補を形成するために利用できる場合、たとえ第1の通路よりも第2の通路の距離が長い場合であっても、その距離差が所定距離以下であれば、当該第1の通路を利用する回収経路候補が検索される。これにより、回収人はUAV1の回収にあたり回収車両を効率良く利用することができるので、UAV1の回収にかかる負荷及び時間を低減することができる。ただし、第1の通路の利用に料金が発生する(例えば、地図情報から有料道路であることが認識できた場合)などの事情がある場合には、第1の通路と第2の通路とのうち、第2の通路が優先されるように回収経路候補が検索されてもよい。
【0056】
なお、特定された回収経路候補(例えば、回収経路候補上の位置情報)には、例えば、当該回収経路候補を形成する1以上の通路の道幅、勾配、及び地表属性のうち少なくとも何れか1つの情報が対応付けられてメモリに記憶される。ここで、通路の道幅、勾配、及び地表属性のうち少なくとも何れか1つの情報は、当該通路上の所定間隔の位置xごとに区別されて記憶されてもよい。また、回収経路候補が複数の通路により形成される場合、当該回収経路候補(例えば、回収経路候補上の位置情報)には、通路間の接続状況が対応付けられてメモリに記憶される。ここで、接続状況は、通路間が直接接続される否かを示し、通路間が通路として検出されていない部分を通って接続される場合に当該部分の属性(例えば、崖等)や通行の困難度等を示す。
【0057】
回収コスト算出部23dは、経路候補特定部23cにより特定された回収経路候補に関する回収コストを算出する。ここで、回収コストとは、UAV1の回収にかかる負荷(例えば、回収人の労力)、時間、及びリスク(危険度)の少なくともいずれ1つかを示す情報である。回収コストは、その程度を人により識別可能な情報(例えば、絵柄、記号、色等)で表されるように構成されてもよいし、数値化(例えば、1〜10の間の数値)されてもよい。或いは、回収コストは、回収経路候補のみを経由してUAV1を回収可能であるか(換言すると、回収出発地点から着陸地点候補まで辿り着けるか)否かを示す値(つまり、2値の何れか一方)であってもよい。これは、回収経路候補としては検索されたものの、例えば通路間の接続状況によっては通行が極めて困難である場合、回収コストが非常に高くなる(例えば、無限大)。そのため、閾値を境として、UAV1が回収可能であるか否かを示すように回収コストが算出される。なお、回収コストは、緊急着陸地点、または基準地点と緊急着陸地点とを結ぶ回収経路の決定に利用される。
【0058】
回収コスト算出部23dは、回収コストの算出にあたり、経路候補特定部23cにより特定された回収経路候補の距離を、例えば回収経路候補上の位置情報に基づいて算出する。ここで、回収経路候補の距離は、回収経路候補に従ってUAV1を回収するための移動距離(以下、「回収距離」という)である。そして、回収コスト算出部23dは、算出された回収距離に基づいて回収経路候補に関する回収コストを算出する。例えば、回収距離が長いほど回収コストが高く(大きく)算出される。換言すると、回収距離が短いほど回収コストが低く(小さく)算出される。これにより、回収経路候補の距離に見合った適切な回収コストを算出することができる。なお、回収距離は、片道の距離であってもよし、往復の距離であってもよい。
【0059】
また、回収コスト算出部23dは、回収距離に代えて、或いは回収距離とともに、回収経路候補における特徴量を表すパラメータに基づいて回収経路候補に関する回収コストを算出してもよい。これにより、回収経路候補における特徴量に見合った適切な回収コストを算出することができる。回収経路候補における特徴量を表すパラメータは、回収経路候補が回収にどの程度好適であるかを示すパラメータである。当該パラメータには、回収経路候補を形成する1以上の通路の道幅の広さ、勾配の大きさ、地表属性の優先レベル、及び通路間の接続状況の少なくとも何れか一つが含まれる。例えば、道幅が狭いほど回収コストが高く算出される。また、勾配が大きいほど回収コストが高く算出される。また、地表属性の優先レベルが低いほど回収コストが高く算出される。また、接続状況が示す通行の困難度が高いほど回収コストが高く算出される。なお、上記パラメータには、私有地であるか否かが含まれてもよい。この場合、回収経路候補が私有地を通る場合に回収コストが高く算出される。
【0060】
また、回収コスト算出部23dは、回収経路候補における往路と復路とを区別して回収コストを算出してもよい。つまり、同一の軌跡を辿っても、往路と復路とで異なる回収コストが算出される。これにより、復路では回収人がUAV1を運ぶことを考慮して回収コストを算出することができる。これは、復路では回収人がUAV1を運んでいるため、往路よりも回収にかかる負荷が大きいからである。例えば上述したように勾配が大きいほど回収コストが高く算出されるが、復路では往路よりも回収コストがより高く算出される。例えば、往路では勾配が7%のとき回収コストが10として算出されるのに対し、復路では勾配が7%のとき回収コストが20として算出される。これにより、往路よりも回収距離が長いけれども、回収人の負荷の小さい迂回経路を復路として利用することが可能となる。
図6は、回収出発地点PSと着陸地点候補PC10とを結ぶ異なる2つの経路a,bを等高線と共に表した概念図である。
図6の例では、経路aは経路bに比べて距離が短いが勾配が大きくなっている。このため、経路aを往路として利用する場合の回収コストは、経路bを往路として利用する場合の回収コストより小さくなる一方、経路aを復路として利用する場合の回収コストは、経路bを復路として利用する場合の回収コストより大きくなる(つまり、逆転する)ということが起こり得る。
【0061】
また、回収経路候補に関する回収コストは、道幅の広さ、勾配の大きさ、地表属性の優先レベル、及び通路間の接続状況のうちの少なくとも2つのパラメータごとに算出される回収コストの合計であってもよい。また、回収経路候補に関する回収コストは、回収経路候補を形成する通路ごとに上記パラメータに基づき算出された回収コストの合計、または、回収経路候補を形成する通路上の所定間隔の位置xごとに上記パラメータに基づき算出される回収コストの合計であってもよい。この場合の回収経路候補に関する回収コストは、例えば、下記(1)式により算出される。
【0063】
ここで、f(x)は、回収出発地点PSと着陸地点候補PC1とを結ぶ回収経路候補を形成する通路上の各位置xにおいてパラメータごとに算出される回収コストの合計(つまり、位置xにおけるコストの合計)を示す。このようなf(x)を回収出発地点PSから着陸地点候補PC1まで積分したものが、最終的に回収経路候補に関する回収コストとして算出される。ただし、パラメータがマイナスの値をとる場合、当該パラメータの絶対値が積分対象となる。なお、回収経路候補における往路と復路のそれぞれの回収コストが(1)式で計算され、それらの和が当該回収経路候補に関する回収コストとして算出されてもよい。さらに、回収コスト算出部23dは、上述したようにパラメータごとに算出される回収コストの合計に、回収距離に基づいて算出された回収コストを加算することで回収経路候補に関する回収コスト(最終的な回収コスト)を算出してもよい。
【0064】
なお、地点候補特定部23bにより複数の着陸地点候補が特定された場合、回収コスト算出部23dは、当該複数の着陸地点候補のそれぞれについて回収コストを算出する。これにより、複数の着陸地点候補のそれぞれについての回収コストを比較して着陸地点を決定することが実現可能となる。また、経路候補特定部23cにより複数の回収経路候補が特定された場合、回収コスト算出部23dは、当該複数の回収経路候補のそれぞれについて回収コストを算出する。これにより、複数の回収経路候補のそれぞれについての回収コストを比較して回収経路を決定することが実現可能となる。着陸地点候補と回収経路候補とが1対1で対応している場合、複数の回収経路候補のそれぞれについての回収コストは、当該複数の回収経路候補のそれぞれが対応する(接続される)着陸地点候補のそれぞれについての回収コストということになる。つまり、この場合、1つの着陸地点候補について回収コストは1つである。一方、着陸地点候補と回収経路候補とが1対N(N>2)で対応している場合、N個の回収経路候補のそれぞれについての回収コストは、当該N個の回収経路候補が対応する(接続される)1つの着陸地点候補の回収コストということになる。つまり、この場合、1つの着陸地点候補についての回収コストはN個である。
【0065】
情報提供部23eは、回収コスト算出部23dにより算出された回収コスト(回収コストを表す情報)を含む提示情報をUAV1のオペレータに提示する提示処理を行う。この提示処理により、当該提示情報がUAV1のオペレータが使用する操縦端末Tへ送信されて当該操縦端末Tの表示画面に表示される。提示情報には、回収コストに代えて、或いは回収コストとともに回収距離が含まれてもよい。さらに、提示情報には、地点候補特定部23bにより特定された着陸地点候補の位置、及び経路候補特定部23cにより特定された回収経路候補の位置(軌跡)を示す地図情報が含まれるとよい。
【0066】
また、地点候補特定部23bにより複数の着陸地点候補が特定された場合、当該着陸地点候補のそれぞれについて算出された回収コストを含む提示情報がUAV1のオペレータが使用する操縦端末Tへ送信されてUAV1のオペレータに提示される。この提示情報には、複数の着陸地点候補の中から何れか1つの着陸地点候補を緊急着陸地点として指定(選択)させるための要求情報が含まれる。これにより、着陸地点候補のそれぞれに関する回収コストとともに、当該要求情報が操縦端末Tの表示画面に表示される。そして、UAV1のオペレータは当該要求情報に応じて何れか1つの着陸地点候補を指定すると、UAV1のオペレータにより指定された着陸地点候補を示す指定情報が制御サーバCSへ送信される。
【0067】
図7は、着陸地点候補を指定させるための要求情報等が表示された表示画面の一例を示す図である。
図7の例では、着陸地点候補PC1〜PC3及びそれぞれの着陸地点候補PC1〜PC3から回収出発地点(=回収帰還地点)までの回収経路候補を表す地図が表示されている。さらに、当該地図上の着陸地点候補PC1〜PC3のそれぞれの位置には、ウインドウ(要求情報の一例)が指定可能にポップアップ表示されている。着陸地点候補PC1に対応するウインドウ内には、着陸地点候補PC1の名称「候補1」及び回収コスト「中」が表示され、着陸地点候補PC2に対応するウインドウ内には、着陸地点候補PC2の名称「候補2」及び回収コスト「小」が表示され、着陸地点候補PC3に対応するウインドウ内には、着陸地点候補PC3の名称「候補3」及び回収コスト「大」が表示されている。UAV1のオペレータは、これらのウインドウにより、着陸地点候補PC1〜PC3の回収コストの大小(高低)を比較し、所望の着陸地点候補を指定(例えば、最も回収コストが小さい着陸地点候補PC2に対応するウインドウ上をクリックまたはタップ)することができる。これにより、指定された着陸地点候補を示す指定情報が制御サーバCSへ送信される。なお、
図7の例では、回収コストは、大、中、小で表されているが、数値で表されてもよい。
【0068】
なお、着陸地点候補と回収経路候補とが1対N(N>2)で対応している場合、1つの着陸地点候補につきN個の回収経路候補のそれぞれについて算出された回収コストを含む提示情報がUAV1のオペレータが使用する操縦端末Tへ送信されてUAV1のオペレータに提示される。この提示情報には、複数の回収経路候補の中から何れか1つの回収経路候補を回収経路として指定(選択)させるための要求情報が含まれる。これにより、回収経路候補のそれぞれに関する回収コストとともに、当該要求情報が操縦端末Tの表示画面に表示される。そして、UAV1のオペレータは当該要求情報に応じて何れか1つの回収経路候補を指定すると、UAV1のオペレータにより指定された回収経路候補を示す指定情報が制御サーバCSへ送信される。
【0069】
選択部23fは、UAV1のオペレータにより指定された着陸地点候補を示す指定情報が通信部21を介して受信されると、当該オペレータによる着陸地点候補の指定に基づいて、複数の着陸地点候補の中から何れか1つの着陸地点候補を緊急着陸地点として選択する。これにより、複数の着陸地点候補の中からオペレータが所望する緊急着陸地点を決定することができる。ここで、着陸地点候補と回収経路候補とが1対1で対応している場合、何れか1つの着陸地点候補が緊急着陸地点として決定されると、当該着陸地点候補に対応する回収経路候補がUAV1を回収するための回収経路として決定されることになる。或いは、選択部23gは、UAV1のオペレータにより指定された回収経路候補を示す指定情報が通信部21を介して受信されると、当該オペレータによる回収経路候補の指定に基づいて、複数の回収経路候補の中から何れか1つの回収経路候補を回収経路として選択する。これにより、複数の回収経路候補の中からオペレータが所望する回収経路を決定することができる。こうして、何れか1つの回収経路候補が回収経路として決定されると、当該回収経路候補に対応する着陸地点候補が緊急着陸地点として決定されることになる。
【0070】
或いは、オペレータによる着陸地点候補の指定に基づいて緊急着陸地点が選択されることに代えて、複数の着陸地点候補の中から緊急着陸地点が自動的に選択されるように構成してもよい。この場合、選択部23fは、複数の着陸地点候補のそれぞれについて算出された回収コストに基づいて、当該複数の着陸地点候補の中から何れか1つの着陸地点候補を緊急着陸地点として選択する。これにより、複数の着陸地点候補の中から緊急着陸地点を迅速に決定することができる。例えば、複数の着陸地点候補の中で、回収コストが最も小さい着陸地点候補が緊急着陸地点として選択される。これにより、緊急着陸地点が決定される。そして、着陸地点候補と回収経路候補とが1対1で対応している場合、当該決定により、当該着陸地点候補に対応する回収経路候補がUAV1を回収するための回収経路として決定されることになる。或いは、選択部23fは、複数の回収経路候補のそれぞれについて算出された回収コストに基づいて、当該複数の回収経路候補の中から何れか1つの回収経路候補を回収経路として選択する。これにより、複数の回収経路候補の中から迅速に回収経路を決定することができる。こうして、何れか1つの回収経路候補が回収経路として決定されると、当該回収経路候補に対応する着陸地点候補が緊急着陸地点として決定されることになる。
【0071】
なお、回収コストが回収距離のみに基づいて算出された場合、複数の着陸地点候補の中で、回収距離が最も小さい着陸地点候補が緊急着陸地点として選択されることになる。この場合において、選択部23fは、UAV1の現在位置と着陸地点候補との位置関係に更に基づいて、緊急着陸地点を選択してもよい。例えば、選択部23fは、複数の着陸地点候補のそれぞれについて、UAV1の現在位置から着陸地点候補までの飛行距離と、当該着陸地点候補から基準地点までの回収距離との両方に基づいて、着陸地点コストを下記(2)式により算出する。そして、選択部23fは、算出された着陸地点コストに基づいて、複数の着陸地点候補の中から何れか1つの着陸地点候補を緊急着陸地点として選択する。例えば、複数の着陸地点候補の中で、着陸地点コストが最も小さい着陸地点候補が緊急着陸地点として選択される。これにより、複数の着陸地点候補の中からUAV1が辿り着き易い緊急着陸地点を迅速に決定することができる。
【0072】
着陸地点コスト=a(係数)×飛行距離+b(係数)×回収距離・・・(2)
【0073】
同様に、回収コストが回収距離のみに基づいて算出された場合、複数の回収経路候補の中で、回収距離が最も小さい回収経路候補が回収経路として選択されることになる。この場合においても、選択部23fは、UAV1の現在位置と回収経路候補に対応する(接続される)着陸地点候補との位置関係に更に基づいて、回収経路を選択してもよい。例えば、選択部23fは、複数の回収経路候補のそれぞれについて、UAV1の現在位置から回収経路候補に対応する着陸地点候補までの飛行距離と、当該回収経路候補の回収距離との両方に基づいて、着陸地点コストを上記(2)式により算出する。そして、選択部23fは、算出された着陸地点コストに基づいて、複数の回収経路候補の中から何れか1つの回収経路候補を回収経路として選択する。例えば、複数の回収経路候補の中で、着陸地点コストが最も小さい回収経路候補が回収経路として選択される。
【0074】
着陸制御部23gは、選択部23fの選択により決定された緊急着陸地点の位置情報に基づいて、UAV1を緊急着陸地点に着陸させる制御を行う。例えば、着陸制御部23gは、緊急着陸地点の位置情報を、通信ネットワークNWを介して、緊急状態になったUAV1へ送信する。これにより、UAV1は、緊急着陸地点の位置情報に基づいて当該緊急着陸地点へ向けて自律飛行し、当該緊急着陸地点に緊急着陸する。或いは、着陸制御部23gは、緊急着陸地点の位置情報を、通信ネットワークNWを介して、緊急状態になったUAV1のオペレータが使用する操縦端末Tへ送信する。これにより、UAV1は、操縦端末Tからの操縦により緊急着陸地点へ向けて飛行し、当該緊急着陸地点に緊急着陸する。
【0075】
[
2.無人航空機システムSの動作]
次に、
図8を参照して、本実施形態に係る無人航空機システムSの動作例について説明する。
図8は、UAV1が緊急状態になった後の無人航空機システムSの動作の一例を示すシーケンス図である。なお、以下の動作例では、UAV1のオペレータによる指定に基づいて緊急着陸地点及び回収経路が選択される場合の動作を示す。UAV1のオペレータは、UAV1の回収人であるものとする。また、回収出発地点と回収帰還地点とは同一であるものとする。
【0076】
図8において、目的地点に向けて飛行中のUAV1は、異常検出により緊急状態になったと判別すると、緊急状態情報をUAV1の機体ID及び航空機情報とともに、操縦端末T及び制御サーバCSへ送信する(ステップS1)。
【0077】
操縦端末Tは、UAV1からの緊急状態情報を受信すると、回収出発地点を示す回収出発地点情報を制御サーバCSへ送信する(ステップS2)。ここで、回収出発地点は、操縦端末Tのオペレータにより指定(例えば、操縦端末Tに表示された地図上で指定)されてもよいし、操縦端末TのGPS機能により検出された現在位置であってもよい。
【0078】
次いで、UAV1は、撮像部14のカメラ等を用いてUAV1の飛行中に地表のセンシングを開始し(ステップS3)、当該センシングにより得られたセンシングデータを、UAV1の機体ID及び航空機情報とともに制御サーバCSへ送信する(ステップS4)。なお、UAV1によるセンシング及びセンシングデータの送信は、緊急状態が発生する前から例えば常時または定期的(所定間隔で)に行われてもよい。
【0079】
制御サーバCSは、操縦端末Tからの回収出発地点情報を受信すると、回収出発地点を登録する(ステップS5)。次いで、制御サーバCSは、UAV1からの緊急状態情報及びセンシングデータを受信すると、例えばUAV1によりセンシングされた範囲、及び登録された回収出発地点を含む回収エリアを設定し、当該回収エリア内の地表情報を取得する(ステップS6)。
【0080】
次いで、制御サーバCSは、受信された緊急状態情報に含まれる緊急状態の詳細内容、緊急状態の種別、及び緊急状態のレベルのうち少なくとも何れか1つに応じて、検索範囲を設定する(ステップS7)。例えば、UAV1の飛行可能距離に応じた検索範囲が設定される。次いで、制御サーバCSは、ステップS6で取得された地表情報に基づいて、ステップS7で設定された検索範囲に含まれる着陸地点候補を検索する(ステップS8)。例えば、UAV1の着陸に適した着陸地点候補を検索するための閾値(例えば、面積の閾値や勾配の閾値)にしたがって着陸地点候補が検索される。
【0081】
次いで、制御サーバCSは、ステップS8の検索により所定数(例えば、1つ)以上の着陸地点候補を特定できたか否かを判定する(ステップS9)。所定数以上の着陸地点候補を特定できた場合(ステップS9:YES)、制御サーバCSは、ステップS11へ進む。一方、所定数以上の着陸地点候補を特定できない場合(ステップS9:NO)、制御サーバCSは、上記検索範囲を広げるように再設定し(ステップS10)、ステップS8へ戻り、再設定された検索範囲に含まれる着陸地点候補を再検索する。
【0082】
なお、再設定された検索範囲が回収エリアを超えた場合、着陸地点候補が無いことを示す情報が操縦端末Tへ送信されてもよい。或いは、再設定された検索範囲が回収エリアを超えた場合、UAV1の着陸に適した着陸地点候補を検索するための閾値が緩和されるように変更してもよい(例えば、面積の閾値を下げる、または勾配の閾値を上げる)。この場合、制御サーバCSは、検索範囲を元に戻す設定を行った上で、ステップS8へ戻り、緩和された閾値にしたがって着陸地点候補を再検索する。
【0083】
ステップS11では、制御サーバCSは、ステップS6で取得された地表情報に基づいて、UAV1の回収に適した通路を回収エリアから検出する。例えば、UAV1の回収に適した通路を検出するための閾値(例えば、道幅の閾値や勾配の閾値)にしたがって回収に適した通路が検出される。次いで、制御サーバCSは、ステップS11で検出された通路に基づいて、ステップS5で登録された回収出発地点とステップS9で特定された着陸地点候補とを結ぶ回収経路候補を回収エリアから検索する(ステップS12)。
【0084】
次いで、制御サーバCSは、ステップS12の検索により所定数(例えば、1つ)以上の回収経路候補を特定できたか否かを判定する(ステップS13)。所定数以上の回収経路候補を特定できた場合(ステップS13:YES)、制御サーバCSは、ステップS15へ進む。一方、所定数以上の回収経路候補を特定できない場合(ステップS13:NO)、制御サーバCSは、UAV1の回収に適した通路を検出するための閾値が緩和されるように変更して(ステップS14)、ステップS11へ戻り、緩和された閾値にしたがって通路を回収エリアから再検出し、上記と同様にステップS12以降の処理を行う。
【0085】
ステップS15では、制御サーバCSは、回収経路候補における回収距離と特徴量を表すパラメータとの少なくとも何れかに基づいて、ステップS13で特定された回収経路候補に関する回収コストを算出する。次いで、制御サーバCSは、ステップS15により算出された回収コストを含む提示情報を操縦端末Tへ送信する(ステップS16)。提示情報には、複数の着陸地点候補の中から何れか1つの着陸地点候補を緊急着陸地点として指定させるための要求情報が含まれる。或いは、提示情報には、複数の回収経路候補の中から何れか1つの回収経路候補を回収経路として指定させるための要求情報が含まれる。なお、ステップS13で特定された回収経路候補が1つのみである場合、提示情報には、当該1つの回収経路候補を回収経路として指定させるための要求情報が含まれる。
【0086】
操縦端末Tは、制御サーバCSからの提示情報を受信すると、着陸地点候補または回収経路候補のそれぞれについての回収コストとともに上記要求情報を表示画面に表示する(ステップS17)。そして、UAV1のオペレータは当該要求情報に応じて所望の着陸地点候補または回収経路候補(例えば、地図上に表示された着陸地点候補または回収経路候補)を指定すると、操縦端末Tは、当該指定された着陸地点候補または回収経路候補を示す指定情報を制御サーバCSへ送信する(ステップS18)。
【0087】
なお、UAV1のオペレータは所望の着陸地点候補または回収経路候補がないため、着陸地点候補または回収経路候補を指定できない場合、例えば表示画面に表示された再検索ボタンを指定してもよい。これにより、操縦端末Tは、着陸地点候補または回収経路候補の再検索要求を制御サーバCSへ送信する。制御サーバCSは、操縦端末Tからの再検索要求を受信すると、ステップS10に移行して、上記検索範囲を広げるように再設定し、再設定された検索範囲に含まれる着陸地点候補を再検索して(ステップS8)、上記と同様にステップS9以降の処理を行う。
【0088】
制御サーバCSは、操縦端末Tからの指定情報を受信すると、当該指定情報に示される着陸地点候補を緊急着陸地点として選択するとともに、当該着陸地点候補と回収出発地点とを結ぶ回収経路候補を回収経路として選択する(ステップS19)ことで緊急着陸地点及び回収経路を決定する。或いは、制御サーバCSは、当該指定情報に示される回収経路候補を回収経路として選択するとともに、当該回収経路候補に接続される着陸地点候補を緊急着陸地点として選択することで緊急着陸地点及び回収経路を決定する。
【0089】
次いで、制御サーバCSは、決定された緊急着陸地点及び回収経路を示す回収経路情報を操縦端末Tへ送信する(ステップS20)。この回収経路情報には、例えば緊急着陸地点の位置及び回収経路の軌跡を示す地図情報(例えば、回収エリアの地図情報)が含まれる。操縦端末Tは、制御サーバCSからの回収経路情報を受信すると、回収エリアの地図を表示画面に表示するとともに、当該地図上に緊急着陸地点の位置及び回収経路の軌跡を表示する(ステップS21)。これにより、回収人は、表示された回収経路を利用して緊急着陸地点へ向かうことができる。
【0090】
次いで、制御サーバCSは、決定された緊急着陸地点の位置情報をUAV1へ送信する(ステップS22)。UAV1は、制御サーバCSからの緊急着陸地点の位置情報を受信すると、当該位置情報に基づいて当該緊急着陸地点へ向けて自律飛行し、当該緊急着陸地点に緊急着陸する(ステップS23)。なお、上記動作例では、UAV1のオペレータはUAV1の回収人と同一であったが、UAV1のオペレータがGCSの管理者である場合、UAV1のオペレータ以外の者(例えば、当該管理者と連絡を取り合うことができる者)がUAV1の回収人であってもよい。この場合、上記提示情報は、制御サーバCSから、GCSを構成するサーバを経由してGCSの管理者の端末へ送信され、当該管理者へ提示される。当該管理者の端末は、上記操縦端末Tと同様の機能を有し、上記指定情報等を制御サーバCSへ送信することが可能になっている。
【0091】
以上説明したように、上記実施形態によれば、無人航空機システムSは、目的地点に向けて飛行するUAV1を目的地点以外に緊急着陸させるための緊急着陸地点の候補となる着陸地点候補を特定し、基準地点と着陸地点候補とを結ぶ回収経路候補に関する回収コストであって、当該基準地点と緊急着陸地点とを結ぶ回収経路または緊急着陸地点の決定に利用される回収コストを算出するように構成したので、UAV1を回収するための好適な情報を得ることができる。
【0092】
また、上記動作例では、UAV1の着陸に適した着陸地点候補の検索及び特定、UAV1の回収に適した通路の検出、回収経路候補の検索及び特定、回収経路候補に関する回収コストの算出は制御サーバCSにより行われるように構成したが、これらの処理の全部または一部はUAV1または無人航空機システムSに含まれる他のコンピュータにより行われてもよい。
【0093】
なお、上記実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、上記実施形態において、地表情報は、UAV1による地表のセンシングにより取得されたセンシングデータに基づき得られるように構成した。しかし、センシングデータを取得できない場合であっても、記憶部22に記憶されている地図情報から地表情報を取得することができる。この場合、当該地図情報に基づき得られた地表情報に基づいて、UAV1の着陸に適した着陸地点候補の特定及び回収に適した通路の検出が行われる。また、上記実施形態において、UAV1が緊急状態になったか否かを判別するように構成したが、これに代えて、制御サーバCSがUAV1の緊急状態を、UAV1からの情報や他のサーバからの情報(例えば、気象情報)に基づき判別するように構成してもよい。また、上記実施形態において、制御サーバCSは、複数の装置から構成されてもよく、例えば、地点候補特定部と回収コスト算出部とは、別々の装置に備えられるように構成してもよい。また、上記実施形態において、回収に関わる基準地点として、回収出発地点及び回収帰還地点を例にとって説明したが、これらの地点以外の例えば回収出発地点または回収帰還地点の近傍範囲内の地点、或いは着陸地点候補に向かう途中の道路から山道に入る境の地点などを基準地点として、上述した回収コストが算出されるように構成してもよい。
無人航空機システムSは、目的地点に向けて飛行するUAV1を目的地点以外に緊急着陸させるための緊急着陸地点の候補となる着陸地点候補を特定し、基準地点と着陸地点候補とを結ぶ回収経路候補に関する回収コストであって、当該基準地点と緊急着陸地点とを結ぶ回収経路または緊急着陸地点の決定に利用される回収コストを算出する。