特許第6890758号(P6890758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スカンジナビアン マイクロ バイオデバイシズ エイピーエスの特許一覧

特許6890758マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ
<>
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000002
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000003
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000004
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000005
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000006
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000007
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000008
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000009
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000010
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000011
  • 特許6890758-マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890758
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】マイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20210607BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20210607BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20210607BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20210607BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20210607BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G01N35/08 A
   G01N21/27 Z
   G01N21/01 B
   G01N21/78 Z
   G01N21/77 B
   G01N37/00 101
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-187299(P2019-187299)
(22)【出願日】2019年10月11日
(62)【分割の表示】特願2016-573097(P2016-573097)の分割
【原出願日】2015年6月15日
(65)【公開番号】特開2020-34562(P2020-34562A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】PA201470363
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514325295
【氏名又は名称】ゾエティス デンマーク エイピーエス
【氏名又は名称原語表記】Zoetis Denmark ApS
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バウ−マドセン、ニールズ クリスチアン
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、ラーズ ブエ
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】クリング、オレ
(72)【発明者】
【氏名】オルデーグ、オルガ
(72)【発明者】
【氏名】オーヴァーバイ、ベント
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−536952(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0327957(US,A1)
【文献】 特表2012−516455(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/029720(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/024437(WO,A1)
【文献】 特開平09−119928(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0292039(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 35/10
G01N 37/00
G01N 21/00 − 21/958
G01N 27/00 − 27/92
G01N 33/48 − 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるアッセイを実施するためのマイクロ流体カートリッジであって、前記カートリッジは、少なくとも1つの流路と、液体試料を供給するための前記流路への入口とを備え、前記流路は、電気的検出部位において電気化学的検出を実施するように構成された電極を備えた少なくとも1つの電気的検出部位と、光学的検出部位における光学的読み取りのための透明窓を有した少なくとも1つの光学的検出部位とを含む複数の検出部位を備え、前記電気的検出部位は前記光学的検出部位の下流に設けられ、前記マイクロ流体カートリッジは、チャネル状のキャビティを有する固体基材と、前記固体基材に接合されて前記チャネル状のキャビティを覆って前記少なくとも1つの流路を画定する、ポリマーのホイルとを備え、前記ホイルは、少なくとも前記電気的検出部位のための電極と、前記電極から読み取るための電気的伝送路とを搭載しているポリマーであり、前記電気的伝送路の少なくとも一部は前記ポリマーのホイル内に埋設されている、マイクロ流体カートリッジ。
【請求項2】
少なくとも1つの前記電極又は少なくとも1つの電気的伝送路は印刷されている、請求項1に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項3】
前記電極は前記ホイルの両面上に設けられている、請求項1又は2に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジは、電圧計の接続パッドに接続される接続パッドを備え、前記電極は電気的伝送路を通じて前記マイクロ流体カートリッジの前記接続パッドに接続され、前記電極は前記電気的検出部位に配置された液体サンプルを通る電流を流す位置に設けられる、請求項1〜のいずれか一項に記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロ流体カートリッジと検出器アセンブリとを備えたマイクロ流体検出システムにおいて
記検出器アセンブリは前記マイクロ流体カートリッジを挿入するためのスロットと、前記カートリッジが前記スロットの第1又は第2の所定位置に挿入された時に、前記接続パッドを通じて前記電気的検出部位からの電気信号を読み取るための少なくとも1つの電気的読取装置とを備え、前記マイクロ流体カートリッジの前記所定位置は、前記マイクロ流体カートリッジに設けられた突出フランジと前記検出器アセンブリの選択された位置に設けられたキャビティ、又は前記検出器アセンブリに設けられた突出フランジと前記マイクロ流体カートリッジの選択された位置に設けられたキャビティによって判定され、前記突出フランジ及びキャビティは嵌合又は定位置にスナップ止めされることによって前記マイクロ流体カートリッジを前記検出器アセンブリの前記第1又は第2の所定位置のうちの1つに一時的に配置し、前記突出フランジ及びキャビティは、前記第1の所定位置に対応する、第1の組の突出フランジ及びキャビティと、前記第2の所定位置に対応する、第2の組の突出フランジ及びキャビティとからなる、マイクロ流体検出システム。
【請求項6】
前記電気的読取装置は、前記スリット内に設けられた電圧計接続パッドに電気的に接続された電圧計を備え、前記マイクロ流体カートリッジが前記第1又は第2の所定位置にて前記スロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの接続パッドが前記電圧計接続パッドと電気的に接続する、請求項に記載のマイクロ流体検出システム。
【請求項7】
前記電極は前記電気的伝送路を通して前記カートリッジの前記接続パッドに接続され、前記電極は前記スリット内の前記第1又は第2の所定位置に挿入され、前記カートリッジの接続パッドが前記電圧計の接続パッドに電気接続した時に、前記電極は前記電気的検出部位に配置された液体サンプルを通る電流を流す位置に設けられる、請求項に記載のマイクロ流体検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の光学的アッセイを実施するのに適したマイクロ流体検出システム、及びそのようなマイクロ流体検出システムに適したマイクロ流体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のシステムのマイクロ流体検出システム及びマイクロ流体カートリッジは当該技術分野において公知である。マイクロ流体検出システムは、通常、検出器アセンブリと、少なくとも1つのマイクロ流体カートリッジとを備え、前記マイクロ流体カートリッジは前記マイクロ流体カートリッジの流路内に、例えば液体試料などの試料を保持するように形成されている。前記マイクロ流体カートリッジは、光学分析のために前記検出器アセンブリのスロット内に挿入され得る。そのようなマイクロ流体検出システムは、通常、液体の分析を非常に迅速に、かつ比較的低コストで実施するために用いられる。多くの場合、マイクロ流体検出システムはハイスループット分析に用いられる。医師により、又は患者の家庭でも実施することができる標準分析の開発のために、マイクロ流体検出システムの一般コストは比較的低いことが要求される。
【0003】
標準分析の多くは、様々な波長を有する光学的光源を用いたいくつかの試験に試料を供さなければならないことを必要とする。
米国特許第US3,910,701号(特許文献1)は、試験片に向かって発光するための複数の発光ダイオード(LED)を有する、光の反射率、吸収及び/又は透過を測定するための装置を開示している。この装置は、異なる波長の光を放射するように選択された様々なダイオードと、試験片によって反射及び/又は透過された光及び前記発光ダイオードの各々から発せられた光を受光するように配置された少なくとも1つの光応答センサとを有する。異なる波長の複数のLEDに交互に又は順次にエネルギーを与えるために電気的駆動回路手段が備えられ、その結果、前記センサによって受光される反射光又は透過光は各LEDの様々な波長の関数である。前記複数のLED供給源及び光応答センサは、カメラレンズに類似した大きさ及び形状の内蔵モジュール内に取り付けられており、該モジュールは、器具の携行用ハウジングに分離可能に接続される。このように、単に前記モジュールを移動させることにより、各検出部位に対して、多くの異なる供給源モジュールが提供され得る。
【0004】
米国特許第US7,791,728号(特許文献2)は、複数の選択可能な単一波長光源を有する光源と、前記光源に光学的に接続された物質提示部材と、前記物質提示部材に関連付けられた光検出システムとを備えた、物質を光学的に分析するためのマイクロ流体分析システムを開示している。前記光源及び波長選択システムは、複数の単一波長光源が接続された光生成カルーセルを備える。前記カルーセルは、試験に所望の単一波長光源の位置に回転され得る。前記マイクロ流体分析システムは、発光ダイオード(LED)又はレーザーのような複数の単一波長光源を有する多波長セレクタ構造を用いることにより、ミリメートル又はマイクロリットルのスケールの量の流体に対して光学分析を完了するのに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第US3,910,701号
【特許文献2】米国特許第US7,791,728号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、非常に迅速に、かつ簡単な方法で複数の分析を実施するために利用され得るマイクロ流体検出システムを提供することにある。
本発明の目的は、比較的低コストで非常に高精度の分析を実施するために利用され得るマイクロ流体検出システムを提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、安定しており、長い耐久性を有するマイクロ流体検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明の目的は、複数の異なるアッセイを実施するのに適したマイクロ流体カートリッジを提供することにあり、そのマイクロ流体カートリッジは前記マイクロ流体検出システムの一部として有利に適用され得る。
【0009】
一実施形態において、本発明の目的は、体液の試料のような非常に小量の液体試料に対して分析を実施するために利用され得るマイクロ流体検出システムを提供することにあり、前記マイクロ流体検出システムは、異なる波長の光ビームの使用を伴う複数の異なるアッセイに利用することができ、同時に前記マイクロ流体検出システムのコストは比較的低い。
【0010】
これら及び他の目的は、特許請求の範囲において定義され、本願において以下に記載する本発明によって解決された。
本発明及びその実施形態が以下の記載から当業者には明らかであろう多くの付加的な利点を有することが分かっている。
【0011】
本発明のマイクロ流体検出システムは、広範囲の様々な分析に利用することができ、各分析には液体試料が小量だけ必要とされる、非常に小型のシステムである。前記試験は非常に迅速な方法で実施することができ、従って、前記マイクロ流体検出システムはハイスループット分析に利用され得る。
【0012】
「試験」、「分析」という用語は区別なく用いられる。
本発明のマイクロ流体検出システムは、マイクロ流体カートリッジと、検出器アセンブリとを備える。
【0013】
前記マイクロ流体カートリッジは、原則として、光学的読み取りに適した任意のマイクロ流体カートリッジであり得る。前記マイクロ流体カートリッジは、第1の側及び第2の側と、少なくとも1つの流路と、液体試料を供給するための、前記少なくとも1つの流路への少なくとも1つの入口とを備える。前記少なくとも1つの流路は複数の第1光学的検出部位を備える。
【0014】
適当なマイクロ流体カートリッジの例は、例えば、任意で複数の検出部位を有するように修正された、国際公開第WO13189502号、米国特許出願公開第US2011045492号、同第US2009317793号、又は同第US2007286774号に記載されているそれらのマイクロ流体カートリッジである。さらに好適なマイクロ流体カートリッジを下記に述べる。
【0015】
前記検出器アセンブリは、前記マイクロ流体カートリッジを挿入するためのスロットと、ビーム経路を有した第1固定光源と、第1光学的検出部位からの光信号を読み取るための光学的読取装置とを備える。前記検出器のスロットは、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの第1光学的検出部位のうちの少なくとも1つが第1光源のビーム経路内に配置されるように形成されている。一実施形態において、第1光源は、異なる波長を有する複数の異なる光ビームを放射するように構成された多色発光ダイオード(LED)と、前記複数の異なる光ビームをオン及びオフに切り替えるための回路構成とを備える。有利には、前記異なる光ビームは、好適には狭いスペクトル幅を有する。これについては以下でさらに検討する。
【0016】
「固定光源」という用語は、前記検出器アセンブリ内の1つの物理的位置においてのみ作動可能である光源を意味する。使用時、前記固定光源はこの単一の作動可能位置に位置する。前記光源は、有利には、故障したか、又は他の理由で作動不能な場合に、作動不能の光源を取り外すことによって、交換用光源と交換されてもよい。
【0017】
光源が固定光源であり、可動光源ではないという事実により、前記マイクロ流体検出システムは非常に小型となり、同時に従来技術のマイクロ流体検出システムと比較して、非常に安定しており、かつ/又は堅牢である。
【0018】
「ビーム経路」という用語は、光の経路を意味する。前記ビーム経路は、例えば、1つ以上のレンズもしくはミラー、又は他の光学部品によって操作され得る。有利には、前記ビーム経路の少なくとも一部は、前記LEDと前記ビーム経路内に配置された光学的検出部位との間の自由空間に位置する。
【0019】
一実施形態において、前記LEDは、付加的な光学要素を用いることなく、すなわち前記1つ以上のビーム経路内に配されたいかなる光学部品も有することなく、前記第1検出部位のうちの1つを直接照明するように構成されている。
【0020】
「光学的検出部位」という用語は、透明窓を有した、前記マイクロ流体カートリッジの少なくとも1つの流路のうちの1つの一部を意味しており、前記透明窓を介して光学分析に供される試料部を備えるか、又は備えるように構成されている。光学的検出部位は、有利には、好適には前記少なくとも1つの流路のうちの少なくとも1つに流体が流れるように接続している、好適には前記少なくとも1つの流路及び/又はチャンバの部分の形態にある、前記少なくとも1つの流路の比較的小さな部分である。前記光学的検出部位は、前記光ビームによって照射され、該部位から信号が光学的読取装置に指向される部位として画定され得る。
【0021】
「光学的検出部位」という用語は、第1光学的検出部位のうちの少なくとも1つであり得る。
単数で用いられる「光学的検出部位」という用語は、別段の定めがない限り、「光学的検出部位」の複数形も含むように解釈されるべきである。
【0022】
「第1光学的検出部位」という用語は、第1固定光源から照明されるべき光学的検出部位を示すことを意味する。
「光ビーム」という用語は、本願ではLEDから放射された光の指向性の投射を意味するために用いられる。前記光ビームは連続的ではないが、所望の分析を行なうのに十分な所望の継続時間を有し得る。適当な継続時間は、例えば10秒以内であり、例えば約1ms〜約5秒であり得る。
【0023】
「光線(rays of light)」という用語は、光ビームの一部を示すために用いられ、すなわち、前記光ビームは複数の光線(rays)を含む。
前記検出器アセンブリ内のスロットは、前記マイクロ流体カートリッジに適合している。通常、前記マイクロ流体検出システムは、少なくとも1つの分析を行なうために前記検出器アセンブリ内に順々に挿入され得る複数のマイクロ流体カートリッジを含むであろう。
【0024】
前記検出器アセンブリ内のスロットは、一実施形態において、異なる形状及び/又は大きさのマイクロ流体カートリッジに適合し得る。
一実施形態において、前記検出器アセンブリのスロット及びマイクロ流体カートリッジは、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に完全に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの第1検出部位のうちの少なくとも1つが第1光源のビーム経路内に配置されるように構成されている。それにより、前記マイクロ流体カートリッジを挿入し、前記光学的検出部位を前記検出器アセンブリ内に正しく配置することが簡単になる。
【0025】
前記検出器アセンブリのスロット及びマイクロ流体カートリッジは、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に所定位置まで挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの第1検出部位のうちの少なくとも1つが第1光源のビーム経路内に配置されるように構成されている。前記マイクロ流体カートリッジは完全に挿入される必要はない。前記スロット内への前記マイクロ流体カートリッジの所定位置は、前記マイクロ流体カートリッジを一時的に固定された位置に保持するクリック構成によって決定される。それにより、前記マイクロ流体カートリッジは、光源、例えば同一光源のビーム経路内に位置するように前記検出器アセンブリ内において順々に配置され得るいくつかの光学的検出部位を有し得る。
【0026】
そのようなクリック構成はよく知られており、マイクロ流体カートリッジを検出器アセンブリ内に配置するために適所に係合するか、又は嵌り込む突出フランジ及び/又はキャビティを前記マイクロ流体カートリッジ及び/又は検出器アセンブリ上の選択された位置に備え得る。
【0027】
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、前記マイクロ流体カートリッジを1つ以上の所望位置に配置するように構成されている。マイクロ流体カートリッジのそのような自動又は半自動の操作は、他の従来技術システムにおいてよく知られている。
【0028】
前記光学的検出部位は、少なくとも2つの異なる光ビームに対する透明窓を有する。前記透明窓は、例えば前記少なくとも1つの流路の透明壁部の形態にある。
前記マイクロ流体カートリッジは、有利には、少なくとも部分的に透明ガラス又は透明ポリマーであり得る。好適な実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジは、少なくとも光学的検出部位が透明であるホイルによって被覆され、それにより少なくとも1つの流路を形成する1つ以上のチャネル状のキャビティを有するポリマー基材を備える。
【0029】
一実施形態において、前記カートリッジは、前記光学的検出部位又はそれに隣接して配された1つ以上の集積レンズ及び/又はミラーを備える。前記1つ以上の内蔵レンズ及び/又はミラーは、前記ビームを前記光学的検出部位に導き、かつ/又は集束させるように作用し得る。
【0030】
1つ以上の集積レンズ及び/又はミラー、及び/又は他の光学部品は、前記ビームを案内するため、前記ビームを指向させるため、前記ビームを制限するため、前記ビームを集束させるため、及び/又は前記ビームをコリメートにするため、又は前記ビームを他の方法で操作するために、前記マイクロ流体検出システム内の任意の所望位置に配され得る。
【0031】
第1検出部位のうちの少なくとも1つは、前記光学的検出部位からの光信号を読み取るための透明窓を有する。一実施形態において、第1検出部位のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの異なる光ビームのため、及び光信号を読み取るための、透明窓を有する。
【0032】
以下でさらに詳細に述べるように、キャビティ及び/又はチャネルを備えた基材と、前記基材のためのカバーと、任意で、電気的伝送路、アノード、カソード及び/又は他の部品のような他の要素とから、前記マイクロ流体カートリッジを提供することは有利であり得、その場合、前記基材及びカバーの少なくとも一方が透明材料であることにより透明窓を提供する。
【0033】
一実施形態において、前記LEDと光学的読取装置とは、前記カートリッジが前記検出器アセンブリのスロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの両側に配置される。前記LEDは前記光学的検出部位に向かってビームを指向するように構成されており、前記光学的読取装置は、吸収又は反射されていない光、すなわち前記光学的検出部位を通過する光の形態にある信号を読み取るように構成されている。この配列において、前記光学的読取装置はまた、励起蛍光からの放射光の信号(signals emitted light)を読み取るように構成されていてもよい。
【0034】
好適には、前記LEDと光学的読取装置とは、前記カートリッジが前記検出器アセンブリのスロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの同じ側に配置される。前記LEDは、前記光学的検出部位に向けてビームを指向するように構成されており、前記光学的読取装置は、反射光信号の形態にある信号又は励起蛍光からの放射光の信号を読み取るように構成されている。
【0035】
一実施形態において、前記光学的読取装置は、全内部反射の臨界角を超える光の形態にある信号を収集するように配置されている。そのような構造は、測定されるべき標的がフルオロフォアによってマークされる超臨界角蛍光(SAF)アッセイを実施するのに特に有利である。SAFを用いることによって、簡単かつ効率的な方法で非常に高い分解能を得ることができる。SAF法は、従来技術において、トーマス リュックスツール(Thomas Ruckstuhl)及びドリネル ベルデ(Dorinel Verdes)による、Supercritical angle fluorescence (SAF) microscopy、Optics Express、第12巻、第18刷、第4246〜4254頁(2004年)に記載されているように、簡単な顕微鏡検査において予備的に用いられていた。これらのSAF構造及び方法は、簡単な方法で、本発明のマイクロ流体検出システムに適用されるように修正することができる。
【0036】
前記SAF法及び構造は、免疫アッセイを実施するのに特に有用である。
一実施形態において、前記光学的読取装置は、前記カートリッジが前記検出器アセンブリのスロット内に挿入されているときに、第1検出部位のうちの少なくとも1つの液体試料から少なくとも1つの吸収特性を読み取るように構成されている。
【0037】
一実施形態において、前記光学的読取装置は、前記カートリッジが前記検出器アセンブリのスロット内に挿入されているときに、第1検出部位のうちの少なくとも1つの液体試料から少なくとも1つの反射特性を読み取るように構成されている。
【0038】
一実施形態において、前記光学的読取装置は、前記カートリッジが前記検出器アセンブリのスロット内に挿入されているときに、第1検出部位のうちの少なくとも1つの液体試料から少なくとも1つの放射特性を読み取るように構成されている。
【0039】
前記光学的読取装置は、原則として、問題の波長、すなわち、前記光学的検出部位から得られる、例えば、前記光学的検出部位から放射されるか、又は反射されるか、又は前記光学的検出部位を通過する、と予想される波長を有する光線を感知することができる任意の種類の光検出器であり得る。
【0040】
有利には、前記光学的読取装置は多波長読取装置である。
一実施形態において、前記読取装置は、フォトダイオードアレイ及び/又は光電子増倍管を備える。適当な検出器は、例えば、米国ブリッジウォーター所在のハママツ コーポレーション、又は米国サンノゼ所在のアトメル コーポレーションから入手されてもよい。
【0041】
一実施形態において、前記光学的読取装置は、好適には電荷結合素子(CCD)読取装置の形態にあるデジタル画像読取装置である。
有利には、前記CCD読取装置は、3CCD読取装置又はカラーフィルターモザイクCCD読取装置のようなカラー読取装置である。
【0042】
3CCD読取装置は、画像を赤色成分、緑色成分及び青色成分に分割するダイクロイックビームスプリッタプリズムを備えたCCD読取装置である。
カラーフィルターモザイクCCD読取装置は、バイエルマスク、RGBWマスク(赤色、緑色、青色、白色フィルタアレイ)又はCYGMマスク(シアン、イエロー、グリーン、マジェンタフィルターアレイ)のようなカラーフィルターを備えたCCD読取装置である。
【0043】
有利には、前記光学的読取装置は分光計であり、前記分光計は、好適には、少なくとも2つの異なる光ビームを含む帯域幅で作動するように構成されている。
分光計はまた、しばしば分光器と呼ばれ、特定帯域幅にわたる光の強度又は偏光のような特性を測定するために用いられる。
【0044】
好適には、前記分光計は、可視光線を含む帯域幅にわたる光の強度を測定するように構成されている。
一実施形態において、前記分光計は、少なくとも2つの異なる光ビームを含む帯域幅にわたる光の強度を測定するように構成されている。
【0045】
一実施形態において、前記分光計は、少なくとも約20nmの帯域幅、好適には、少なくとも約100nm、例えば800nm以内の、帯域幅にわたる光の強度を測定するように構成されている。一実施形態において、前記分光計は、約0.5〜約20nm、例えば約5〜約1nmなどのスペクトル分解能を有する。
【0046】
一実施形態において、前記光学的読取装置は、前記光学的検出部位からの光線を受光するように構成された複数の光ファイバを備えた光ファイバ分光計である。前記光ファイバ分光計は、例えば、各ファイバがそれらの一端で束ねられ、前記光学的検出部位からの光線を収集するように構成され、かつ前記ファイバのもう一端では、前記ファイバ束が2つ以上の単一ファイバ又はファイバの小束(sub−bandle)に分割され、第2端部の単一ファイバ又は小束の各々は、予め選択された波長範囲内の光を分析するための分光計に接続されるように、構成されている。
【0047】
前記分光計はCCD読取装置を含み得る。
一実施形態において、第1光源の回路構成は、複数の異なる光ビームを互いに独立してオン及びオフに切替えるように構成されており、好適には、前記検出器アセンブリは、第1光源の回路構成を制御するようにプログラムされている。
【0048】
前記LEDは、有利には、一度に1つの光ビームのみが放射されるように、かつ複数の異なる光ビームが順々にオン及びオフに切り替えられ得るように構成されている。各光ビームの継続時間は等しくてもよいし、又は異なっていてもよく、有利には、前記継続時間は数秒間、例えば10秒間以内である。
【0049】
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、複数の異なる光ビームを一度に一つずつ、所定パターンで、オン及びオフに切り替えるようにプログラムされており、前記所定パターンは、有利には実施されるべき検出アッセイによって選択される。
【0050】
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、一度に前記LEDの異なる光ビームのうちの1つのみがオンに切り替えられるように、前記複数の異なる光ビームをオン及びオフに切り替えるようにプログラムされている。
【0051】
一実施形態において、複数の異なる光ビームは、2つ〜5つの異なる光ビームのような少なくとも2つの異なる光ビームを含む。
一般に、前記光ビームは、それぞれ、好適には100nm以下の狭いスペクトル幅を有することが望ましい。好適には、前記異なる光ビームは互いに独立して約50nm以内のスペクトル幅を有する。そのような狭いスペクトル幅を有する光ビームを用いることによって、前記マイクロ流体検出システムは、濃度が非常に小さいか、又は非常に大きくても、更にその測定が定性的及び定量的のいずれであっても、異なる成分及び/又は異なるフルオロフォアによってマークされた成分を高分解能で検出するために利用され得る。
【0052】
「帯域幅」という用語は、本願では「波長帯域幅」を意味するために用いられる。
「スペクトル幅」という用語は、本願では、光源から放射された光ビームの、最大パワーレベルの半分に等しいパワーレベルにおいて中心波長を取り囲む波長の範囲を意味するために用いられる。
【0053】
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームの各々は、互いに独立して、約25nm以内のスペクトル幅を有する。
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームの各々は、互いに独立して、約5nm以内のスペクトル幅を有する。
【0054】
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームの各々は、互いに独立して、約2nm以内のスペクトル幅を有する。
有利には、前記多色LEDの複数の異なる光ビームは単色光ビームである。
【0055】
原則的に、多色LEDは、好適には分析されるべき標的に適合した、任意の中心波長及び/又はピーク波長を有する光ビームを含み得る。
各光ビームの中心波長及びピーク波長は互いに等しくてもよいし、又は互いと異なっていてもよい。任意の分析について、前記マイクロ流体検出システムは、系統的誤差(systemic errors)を排除するため、又はドリフト又は気温変動を考慮するために、アッセイを実施する前に較正されてもよい。
【0056】
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームは、約575nm〜約625nmの中心波長を有する光ビームを含む。
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームは、約425nm〜約475nm、好適には約450nmの中心波長を有する光ビームを含む。
【0057】
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームは、赤色光ビーム及び青色光ビームを含む。
一実施形態において、前記多色LEDは以下の光ビーム、すなわち、
赤色:610<λ<760、
橙色:590<λ<610、
黄色:570<λ<590、
緑色:500<λ<570、
青色:450<λ<500の光ビームを含む。
【0058】
一実施形態において、前記多色LEDの複数の異なる光ビームは、赤色光ビーム、橙色光ビーム、黄色光ビーム、緑色光ビーム又は青色光ビームのうちから選択された少なくとも3つの単色光ビームを含む。
【0059】
適当な多色LEDの例は、丸紅米国会社(Marubeni America Corporation)、<http://tech−led.com/LED_die_bare_chips.shtml
.>によって販売されている2色LED(2チップ)及び多色LED(マルチチップ)である。
【0060】
前記多色LEDは、有利には、例えば、集積増幅器を備えることによって、又は別個の増幅器又は増幅構造によって、増幅される。
一実施形態において、前記LEDからのビームは、好適には第1検出部位のうちの少なくとも1つにおけるスポットサイズが所望の狭小なスポットサイズ及び所望の高強度を有するように、前記スポットサイズを狭くするためにビーム経路に沿って制限される。
【0061】
有利には、前記マイクロ流体カートリッジは複数の光学的検出部位を有する。
一実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジの少なくとも1つの流路は複数の第1光学的検出部位を含む。前記検出器アセンブリ及びマイクロ流体カートリッジは、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に第1所定位置まで挿入されたときには、前記マイクロ流体カートリッジの第1光学的検出部位のうちの1つが第1光源のビーム経路内に配置され、前記カートリッジが前記スロット内に第2所定位置まで挿入されたときには、前記マイクロ流体カートリッジの第1光学的検出部位のうちの別の1つが第1光源のビーム経路内に配置されるように構成されている。前記スロット内への前記マイクロ流体カートリッジの第1所定位置及び第2所定位置のそれぞれは、好適には、前記マイクロ流体カートリッジを一時的に固定された位置に保持するクリック構成によって決定される。
【0062】
前記クリック構成は上述の通りであり得る。
有利には、前記マイクロ流体検出システムは、互いと同じであってもよいし、又は異なっていてもよい複数の固定光源を備える。
【0063】
本発明に従ったマイクロ流体検出システムはまた、前記マイクロ流体カートリッジの少なくとも1つの流路が少なくとも第2光学的検出部位を備え、前記検出器アセンブリはビーム経路を有した少なくとも第2固定光源を備え、前記検出器のスロットは、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの第2光学的検出部位が第2光源のビーム経路内に配置されるように形成されており、第2光源は、好適には、異なる波長を有する複数の異なる光ビームを放射するように構成された多色発光ダイオード(LED)と、前記複数の異なる光ビームをオン及びオフに切り替えるための回路構成とを備える実施形態も含む。
【0064】
有利には、第1光学的検出部位からの信号を読み取るように構成された光学的読取装置は、第2の光学的検出部位からの光信号を読み取るように構成されている。
「〜するように(〜のために)構成されている(arranged for)」、「〜するように(〜のために)構成されている(configured for)」という用語は区別なく用いられる。
【0065】
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、第2光学的検出部位からの光信号を読み取るように構成された第2光学的読取装置を備える。
有利には、前記マイクロ流体カートリッジの少なくとも1つの流路は、複数の付加的な光学的検出部位を備え、前記検出器アセンブリは各ビーム経路を有する複数の付加的な固定光源を備える。前記検出器のスロットは、前記マイクロ流体カートリッジが該スロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジの複数の付加的な光学的検出部位が前記複数の付加的な光源の各ビーム経路内に配置されるように形成されている。前記複数の付加的な光源は、好適には、異なる波長を有する複数の異なる光ビームを放射するように構成された多色発光ダイオード(LED)と、前記複数の異なる光ビームをオン及びオフに切り替えるための回路構成とを備える。それにより、複数のアッセイを同時に実施することができる。
【0066】
前記検出器アセンブリは、前記複数の光学的検出部位からの信号を読み取るための1つ又は複数の同一又は異なる読取装置を備えてもよい。
異なるLEDから放射される光ビーム間、又は異なる光学的検出部位からの信号間における、例えば入射光による、クロストークの危険性を防止又は低減するために、前記マイクロ流体検出システムは、有利には光導波路を備えてもよい。前記光導波路は、好適には、光ビーム及び/又は信号を制限するように構成され得る。任意で、前記マイクロ流体検出システムは、前記光ビームをさらに案内するためのコリメート要素を備えてもよい。一実施形態において、光を集束させるため、及び/又は指向させるために、レンズ及びミラーが利用されてもよい。
【0067】
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、各固定光源からのビームが光を2つ以上の検出部位に同時に透過させるのを防止するために、固定光源のうちの1つ以上のための光トンネル(light tunnel)を備える。好適には、前記光トンネルは、前記固定光源から前記光源のビーム経路内に配されていない検出部位への入射光の透過を防ぐように構築されている。
【0068】
一実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジの少なくとも1つの流路は、複数の異なるアッセイを実施するように構成された複数の検出部位を備える。前記検出部位は、例えば以下に述べるような任意の種類の検出部位を備え得る。
【0069】
前記複数の検出部位は、有利には、少なくとも1つの電気的検出部位を含み得る。電気的検出部位は、電極を介して電気信号を読み取るように構成された流路内の部位である。従って、電気的検出部位は透明である必要はない。
【0070】
前記電気的検出部位は、前記電気的検出部位において電気化学的検出を実施するように構成された電極を備える。前記電極は、マイクロ流体カートリッジ接続パッドに接続された電線を含む。
【0071】
前記電線は、印刷された金属線のような任意の種類の電気的伝送路の形態にあり得る。他の選択物については以下に述べる。
前記マイクロ流体カートリッジの接続パッドは、前記検出器アセンブリに読取部電気接点を提供するように構成されている。
【0072】
前記検出器アセンブリは、前記接続パッドを介して前記電気的検出部位からの電気信号を読み取るための少なくとも1つの電気的読取装置を備える。
一実施形態において、前記電気的読取装置は、電圧計接続パッドに電気的に接続された電圧計を備える。前記電圧計接続パッドは、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に挿入されたときに、前記マイクロ流体カートリッジ接続パッドが前記電圧計接続パッドと電気的に接続するように、スリット内に配されている。それにより、前記マイクロ流体カートリッジは、簡単な方法で、例えば上述したクリック構成をさらに用いた検出器アセンブリに対して正確に配置することができる。
【0073】
有利には、前記検出器アセンブリは、表示装置及び/又はプリンタ及びプロセッサのような少なくとも1つの出力インタフェースをさらに備える。前記プロセッサは、任意の種類のプロセッサであってもよく、好適には前記検出器アセンブリに一体化されたプログラム可能なコンピュータであってもよい。実施形態において、前記検出器アセンブリは、有線又は無線接続によってコンピュータに接続される。
【0074】
前記検出器アセンブリは、例えば、患者日誌を含む中央データベースに接続され、患者を識別することによって、例えば、患者に関連するバーコード又はチップ、例えば、患者の手首上のバーコード、又は患者内のチップを走査することによって、結果が中央データベース内の患者日誌に入力されることを保証してもよく、又は、前記検出器アセンブリが患者からの試料に対してどのアッセイを実施するかについて患者日誌から指示を受けてもよい。
【0075】
前記プロセッサは、1つ以上の所望のアッセイを実施するためのソフトウェアによってプログラムされてもよい。
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、読取信号の多重化を実施するようにプログラムされている。
【0076】
一実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジは、前記カートリッジを用いて実施されるべきアッセイについての指示を含む機械可読コードを含み、前記検出器アセンブリは、前記機械可読コードを読み取り、実施されるべきアッセイについての指示を前記プロセッサに供給するためのコード読取装置を備える。前記プロセッサは、前記機械可読コードから得られた指示に少なくとも部分的に基づいて、前記読取装置及び出力インタフェースのうちの少なくとも1つを制御するようにプログラムされており、好適には、前記少なくとも1つの読取装置は、光学的読取装置及び電気的読取装置のうちの少なくとも一方である。
【0077】
前記バーコードは、1Dバーコード、2Dバーコード、又は3Dバーコードのような任意の種類のバーコードであってよい。
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、異なるアッセイをコード化した異なるバーコードを含む複数のマイクロ流体カートリッジを備える。
【0078】
有利には、前記マイクロ流体カートリッジの各バーコードは、それぞれ、所定数の検出部位の読み取りの実施をコード化している。
前記バーコードシステムは、例えば、クライアントがどのアッセイを利用すべきか、及び/又はクライアントがどのディスパッチ部位からの読み取りにアクセスするべきかを示すために用いられてもよい。
【0079】
それにより、異なるバーコードを有するいくつかの異なるアッセイのために準備されたマイクロ流体カートリッジを販売することができ、各バーコードは各アッセイの使用の許容をコード化している。それにより、異なるアッセイ又はアッセイの組合せに対して異なるマイクロ流体カートリッジを製造する必要がなくなり、複数の異なるアッセイに対して、多数の異なる種類のマイクロ流体カートリッジを製造する代わりに、1種類又は数種類のマイクロ流体カートリッジを大量生産することにより、コストが大幅に低減される。
【0080】
一実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジの少なくとも1つは、前記検出部位のうちのいくつかだけからの読み取りの実施をコード化したバーコードを備える。
前記検出器アセンブリは、有利には、適当なソフトウェアを用いてプログラムされる。前記ソフトウェアは、有利には、例えば、既知の組成物を有する試料について実施される試験に対する較正のために、結果として生じた検出を分析するために用いることができる中央データベースを備える。
【0081】
一実施形態において、前記ソフトウェアは、予め選択された疾患を識別するデータを有するデータベースを含み、患者がこれらの疾患の1つを有する場合には、この患者からの試料に対してアッセイを実施したときに、その疾患を識別することができる。それにより、例えば、ある地域における感染症の発生を比較的迅速に識別することができる。
【0082】
一実施形態において、前記ソフトウェアは、それに対してアッセイを実施することができる病原体微生物のような予め選択された病原体成分を識別するデータを有するデータベースを含み、前記アッセイを実施することによって、患者からの試料中のそのような病原体成分の濃度を非常に迅速に測定することができ、患者の治療中に他の同様の患者と比較した治療経過の監視を実施することができる。
【0083】
一実施形態において、前記ソフトウェアは、複数のアッセイの結果についてビルトイン
デシジョンツリー(built−in decision−tree)を実施し、それにより試料に対して行われたアッセイの実際の数に応じて適応応答を提供するためのプログラムを備える。
【0084】
一実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジのバッチ情報は中央データベース内に存在し、前記検出器アセンブリは、前記バーコード、又はバッチ番号によって、この情報にアクセスすることができる。それにより、前記マイクロ流体カートリッジに関する限られたデータが要求される。
【0085】
前記検出器アセンブリは、好適には、前記マイクロ流体カートリッジが前記検出器アセンブリのスロット内に挿入されたときに、前記スロット内の、好適には前記検出部位のうちの少なくとも1つに隣接したマイクロ流体カートリッジと接触するように構成された温度制御要素を備えてもよい。
【0086】
そのような温度制御要素は、例えば、ペルチェ素子、薄膜発熱体及び/又は他の抵抗性発熱体を含むことができる。
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、マイクロ流体カートリッジのポンピングチャンバに加熱空気及び冷却空気を交互に適用することにより、前記マイクロ流体カートリッジの流路内においてポンプ作用を行うように構成されている。前記ポンピングチャンバは前記流路と流体が流れるように接触している。前記ポンピングチャンバに加熱空気及び冷却空気を交互に適用することにより、前記ポンピングチャンバ内の圧力は交互に増大及び低下し、それによりポンプ作用を生じるであろう。
【0087】
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、前記流路内の液体試料を駆動するための可動ピンを備える。この実施形態に適用され得るマイクロ流体カートリッジは、前記流路又は前記流路に流体が流れるように接続されたチャンバの一部を被覆する、例えばホイルの形態にある可撓性膜を備え、前記ピンはポンプ作用を実施するために前記流路又はチャンバ内に押し込まれるように構成されている。
【0088】
そのようなポンプ作用は、例えば前記流路のチャンバなどの所望の領域を充填するため、及び/又は液体と固体との混合を行うために利用され得る。
一実施形態において、前記検出器アセンブリは、例えば、前記流路を一時的に圧迫し、任意で流路を閉鎖するための可動ピンの形態にあるアクチュエータを備える。
【0089】
前記アクチュエータは、例えば国際公開第WO2012016107号に記載されているような、例えばステップモーターで駆動されるアクチュエータである。
前記アクチュエータは、流体力学的抵抗と組み合わされて、すべてのチャンバのような1つ以上のチャンバの充填を保証することができる膜ポンプを形成し得る。
【0090】
使用時には、液体試料がマイクロ流体カートリッジに供給され、前記マイクロ流体カートリッジは、例えば手動で、又はロボット、例えばカセット−ロボット機能を用いて、前記検出器アセンブリのスロット内に挿入される。
【0091】
好適なマイクロ流体装置についてさらに以下に記載する。
「液体試料」という用語は、分散液及び懸濁液のような固形部を含有する液体試料を含む、試料を含有する任意の液体を意味する。前記試料は、本方法を実施する時に液体を含む。
【0092】
原則として、分散粒子のような粒子を含有する液体試料を含むが、これに限定されない、いかなる液体試料も適用され得る。一実施形態において、前記液体試料は、任意で水と混合された、粉砕された食物又は組織であるか、又はそれらの抽出物であってもよい。よって、前記マイクロ流体検出システムは、例えば、組織、野菜、肉などについての定量試験及び/又は定性試験を実施するために利用され得る。
【0093】
一実施形態において、前記液体試料は、ヒト又は動物の糞便を、例えば水性懸濁液で含有する。
一実施形態において、前記液体試料は、例えば湖、川などの自然供給源からの廃水又は水を含有する。
【0094】
一実施形態において、前記液体試料は、好適には少なくとも1つのアッセイが実施されるべき標的成分に結合するフルオロフォアのようなマーカを含有する。前記フルオロフォアは、一実施形態において、磁性粒子に結合されていてもよい。
【0095】
一般に、標的成分のより簡単な定性的又は定量的測定のためには、比較的特異的な発光波長及びエネルギーを有するフルオロフォアを選択することが望ましい。具体的には、発光波長は比較的特異的であることが望ましい、すなわち、発光波長は、好適には、その測定の方法において、他の放射と区別するために十分に狭い波長域を有するべきである。
【0096】
「比較的特異的な波長」という用語は、その波長をその試験において他の放射波長と区別することができることを意味する。
特に、いくつかの異なるフルオロフォア、及び任意でいくつかの標的成分が存在する状況では、前記フルオロフォアは、各フルオロフォアからの放射を互いに区別することができるように、比較的特異的な発光波長を有することが好適である。
【0097】
前記フルオロフォアは、磁性粒子の捕捉部位に結合するように構成され得る任意の種類のフルオロフォアであり得る。フルオロフォアは当業者によく知られており、市販されている。
【0098】
米国特許第US7498177号には量子ドットの例が記載されており、ライフ テクノロジーズ ヨーロッパ ベスローテン ヴェンノーツハップ(Life Technologies Europe BV)から入手可能な量子ドットは、広い波長範囲に及ぶ発光波長を有する150を超える様々な製品構成を含んでおり、例えば、525、545、565、585、605、625、655及びIR705及び800nmの各発光波長を有する量子ドットを含む。一実施形態において、インビトロジェン社/ライフ テクノロジーズ社の量子ドット製品のポートフォリオでは、ストレプトアビジン、ビオチン、抗体及びいくつかの異なる官能基がコンジュゲートされている。
【0099】
量子ドットの例としてはまた、アーカンソー州72764、スプリングデール所在のオーシャン ナノテク(Ocean NanoTech)から入手可能な量子ドットも挙げられ、該量子ドットは、nmに及ぶ発光波長と、PEG又は他の生物学的適合性コーティングの官能化された外側コアとを有し、例えば530、550、580、590、600、610、620及び630nmの各発光波長を有する40を超える異なる製品構成を含む。オーシャン ナノ テクからの量子ドットは、様々な官能基、例えばアミン、COOH、フェニルボロン酸(PBA)を有する量子ドット、並びに両親媒性ポリマー及びPEGコーティングを備えた量子ドットを含む。オーシャン ナノ テクから入手可能な量子ドットの他の例は、例えばトルエン中に提供された単独のコアを備えた量子ドット、及びオクタデシルアミン被膜のみを有する量子ドット、又は両親媒性ポリマー及びPEGコーティングを有する量子ドットである。
【0100】
一実施形態において、前記フルオロフォアは、フルオレスセイン、ベンゼンの誘導体、金属カルコゲニドフルオロフォア又はそれらの組合せのような、量子ドット又は芳香族プローブ及び/又はコンジュゲートプローブである。
【0101】
前記フルオロフォアは、一実施形態において、例えばマイクロ流体カートリッジの光学的検出部位内において、選択された捕捉部位に結合するように構成されていてもよい。
本発明はまた、前記マイクロ流体検出システムの一部となるのに適した好適なマイクロ流体カートリッジにも関する。本発明のマイクロ流体カートリッジはまた、単独で、又は従来技術の検出器アセンブリと共に用いることができる。
【0102】
本発明のマイクロ流体カートリッジは、上述した通りであり得る。
本発明のマイクロ流体カートリッジは、複数の異なるアッセイを実施するために設計されている。前記カートリッジは、少なくとも1つの流路と、液体試料を供給するための前記流路への入口とを備える。前記流路は、電気的検出部位において電気化学的検出を実施するように構成された電極を備えた少なくとも1つの電気的検出部位と、光学的検出部位における光学的読み取りのために透明窓を有した少なくとも1つの光学的検出部位とを含む複数の検出部位を備える。
【0103】
これまでに同一の試料からの光学的読み取りと電気的読み取り(red outs)とを同時に実施するために利用することができるマイクロ流体カートリッジを提供することは示唆されていない。本発明のマイクロ流体検出システムは、それにより、新たな範囲の複合アッセイが非常に迅速に、かつ同一試料に対して実施されるように広がる新たな概念を提供する。このマイクロ流体カートリッジは時間を節約するとともに、更に電気的試験及び光学的試験を同一試料において同時に実施することができるので、得られた結果はより正確であり得る。
【0104】
有利には、前記カートリッジは、複数の電気的検出部位及び/又は複数の光学的検出部位を備える。
好適には、前記1つ以上の光学的検出部位の各々は、チャンバに通じる流路の断面積よりも少なくとも約25%、例えば少なくとも約50%、例えば少なくとも100%大きい断面積を有するチャンバの形態にある。
【0105】
各チャンバは同一の大きさ又は異なる大きさを有し得る。
有利には、前記光学的検出部位のうちの1つ以上は試薬を含み、好適には、前記光学的検出部位のすべては反応剤を含む。前記試薬は、原則として、従来技術から既知の試薬のような任意の試薬であり得る。
【0106】
一実施形態において、前記カートリッジの少なくとも1つの光学的検出部位は、吸収検出のために構成された吸収光学的検出部位であり、前記吸収光学的検出部位は、好適には、凝集試薬、凝固試薬、抗体及び/又は抗原のうちから選択される少なくとも1つの試薬を含む。
【0107】
一実施形態において、前記カートリッジの少なくとも1つの光学的検出部位は、比色検出のために構成された比色検出部位であり、好適には、前記比色検出部位は、発色試薬のうちから選択される少なくとも1つの試薬を含む。
【0108】
前記発色試薬は、前記マイクロ流体カートリッジを用いるための、試験されるべき標的との反応により色の変化を引き起こす任意の種類の試薬であり得る。
例えば、色生成反応によって着色した生成物に化学的に変換されることにより、比色検出の対象となることができる標的は、酵素基質及び補助因子を含む。そのような標的の限定されない例としては、グルコース、コレステロール及びトリグリセリドが挙げられる。特に、体液中の総コレステロール(すなわち遊離コレステロールとエステル型コレステロールとの合計)のレベルは、流体をコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、被酸化性色素、例えばn,n−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン二ナトリウム(TODB)、4−アミノアンチピリン及びホースラディッシュペルオキシダーゼなどを含む発色反応物と反応させることにより、よく知られている発色アッセイによって分光光度法で測定することができる。
【0109】
厖大な数の発色反応物が、着色生成物の形成を触媒するために用いられてもよい。そのような発色反応物の例としては、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが挙げられる。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)は肝機能を示す反応物である。他の適当な発色反応物としては、アルファ−ケトグルタル酸、ピルビン酸オキシダーゼ、被酸化性色素、例えばN,N−ビス(4−スルホブチル)−3−メチルアニリン二ナトリウム(TODB)、4−アミノアンチピリン及びホースラディッシュペルオキシダーゼなどが挙げられる。
【0110】
色を生成する比色検出によって検出され得る他の標的は、酵素結合免疫吸着測定法(enzyme−linked immunosorbent assay:ELISA)のような免疫学的測定法(immunoassays)によって検出される標的を含む。典型的なELISAにおいて、標的は抗体によって特異的に結合され、それらは次に二次酵素結合抗体によって検出される。結合した酵素(発色反応物)は色生成反応を触媒する。そのような酵素としては、ベータ−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ(alkaline phophatase)、及びホースラディッシュペルオキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】
適当な発色反応物の選択は、検査される特定の標的に依存するであろう。一般に、標的と直接又は間接的に反応して着色生成物を生成することができる任意の発色反応物が、本発明のマイクロ流体カートリッジにおいて使用するのに適している。
【0112】
一実施形態において、前記カートリッジの少なくとも1つの光学的検出部位は、分光検出のために構成された分光検出部位であり、好適には、前記分光検出部位は、マーカ、例えば、上述したフルオロフォアのようなフルオロフォアのうちから選択される少なくとも1つの試薬を含む。
【0113】
一実施形態において、前記カートリッジは、ディスパッチ部位のためのチャンバ及び任意で付加的なチャンバ、例えば国際公開第WO2012016107号に記載されているポンピングチャンバ及びシンク部を有する前記流路を形成するために、少なくとも1つのチャネル状のキャビティを有した固体基材を備える。
【0114】
前記流路を形成するために、前記固体基材にフレキシブルホイルが接合される。前記ホイルは、好適には溶着によって前記固体基材に接合されている。
一実施形態において、前記ホイルは、毛細管ベンチング(capillary venting)、例えば選択された気体の蒸発のために、半透過性ホイルである。
【0115】
一実施形態において、前記固体基材は、少なくとも電気的検出部位のための電極と、前記電極から読み取るための電気的伝送路とを搭載している。前記電極及び電気的電送路は、有利には、大量生産における頑強性を増すために、成形されたベース上に位置する印刷電極であってもよい。
【0116】
一実施形態において、前記ホイルは、少なくとも電気的検出部位のための電極と、前記電極から読み取るための電気的伝送路とを搭載しているポリマーである。
一実施形態において、前記電極は、好適には接続を容易にし、かつ前記電極の頑強性を改善するためにスルーホールを有した前記ホイルの両面上に設けられている。
【0117】
有利には、前記電極及び/又は電気的伝送路は、蒸着、スパッタリング及び/又は印刷によって付着され、好適には、前記電極及び/又は電気的伝送路の少なくとも1つは印刷されている。
【0118】
前記印刷は、スクリーン印刷、グラビア印刷又は転写印刷であることができる。
一実施形態において、前記電気的伝送路の少なくとも一部は、前記ポリマー内に埋設されており、任意で、前記ホイルは、前記電気的伝送路の少なくとも一部の上に積層されたカバーポリマーフィルムを備え、それにより前記電気的伝送路の少なくとも一部を埋設する。
【0119】
前記ポリマーホイルは、例えば、好適にはポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)又はポリイミド(PI)のうちから選択される熱可塑性ポリマーを含有する。
前記マイクロ流体カートリッジは、任意の適当な材料で、例えば、従来技術のマイクロ流体カートリッジに用いられる材料で製造され得る。
【0120】
前記マイクロ流体カートリッジは、例えば、環状オレフィンコポリマー(cyclic
oloefin copolymers)(COC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリジメチル−シロキサン(PDMS)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリテトラ−フルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリジン(polyvinylidine fluoride)、スチレン−アクリルコポリマー ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、シリコーン、エポキシ樹脂、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリル樹脂、セルロイド、酢酸セルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVAL)、フッ素樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリアクリレート(アクリル樹脂)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリアミド−イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリケトン(PK)、ポリエステル/ポリテン/ポリエテン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンクロリネート(polyethylenechlorinates)(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)及びそれらの混合物のうちから選択されるポリマーのようなポリマーから形成された1つ以上の要素から生成され得る。
【0121】
好適なポリマーは、ポリイミド、例えば、ポリ(4,4’−オキソジフェニレン−ピロメリトイミド)、例えばカプトン(登録商標)などのフェニレン−ピロメリトイミドを含む。
【0122】
一実施形態において、前記マイクロ流体カートリッジは、1つ以上のチャネル及び任意のキャビティ及び/又は穴を備えた硬質基材を提供し、前記1つ以上のチャネル及び任意のキャビティ及び/又は穴を1つ以上のフィルムで被覆することによって製造される。前記硬質基材は、有利には、射出成形によって生成されるが、他の成形方法が利用されてもよい。前記フィルムは、ポリマーもしくは金属フィルム、又はポリマー及び/又は金属を含む積層フィルム、例えば、ポリマー被覆金属フィルム又は金属スパッタポリマーフィルム(metal sputtered polymer film)であってもよい。
【0123】
前記基材及びフィルムのうちの少なくとも一方は、好適には可視領域内において、少なくとも1つの波長に対して透過性である。有利には、前記基材及びフィルムのうちの少なくとも一方は、共に用いられると思われる検出器アセンブリの異なる光ビームのうちの少なくとも1つに対して透過性である。
【0124】
前記フィルムは、有利には前記基材に溶着されてもよい。また接着も提供されてもよい。
前記マイクロ流体カートリッジを記載したような基材及びフィルムから提供することにより、前記マイクロ流体カートリッジは基材側とフィルム側とを有するであろう。
【0125】
本願において用いられる場合、「備える/備えた(comprises/comprising)」という用語は、オープンターム(open term)として解釈されるべきであり、すなわち、要素、ユニット、整数値、工程、構成要素及びそれらの組合せのような特に明示された特徴の存在を明示すると捉えられるべきであるが、1つ以上の他の述べられた特徴の存在又は追加を妨げるものではないことが強調されなければならない。
【0126】
範囲及び好適な範囲を含む本発明のすべての特徴は、そのような特徴を組み合わせない特定の理由がない限り、本発明の範囲内において様々な方法で組み合わせることができる。
【0127】
以下で、本発明について好適な実施形態に関連して、図面を参照しながらより完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】本発明に従った検出器アセンブリを示す図。
図2】本発明に従ったマイクロ流体カートリッジを示す図。
図3】マイクロ流体カートリッジの側面図。
図4】マイクロ流体カートリッジの代替実施形態を示す図。
図5】マイクロ流体カートリッジのさらに別の実施形態を示す図。
図6】LED及びCCDによる検出を示す図。
図7】LED及びCCDによる別の検出を示す図。
図8】分光計による検出を示す図。
図9】電気的検出を示す図。
図10】光トンネルを示す図。
図11】電気的検出に適合したマイクロ流体カートリッジを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0129】
図は概略的なものであり、単に本発明の原理を示すものであり、明瞭にするために単純化されていることがある。全体にわたって、同一の部分又は対応する部分には同一の参照数字を用いている。
【0130】
本発明の適用のさらなる範囲は以下に与えられた詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好適な実施形態を示しているが、本発明の趣旨及び範囲内における様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者には明らかになるため、単に実例として与えられていることが理解されるはずである。
【0131】
本発明は独立請求項の特徴によって定義される。好適な実施形態は従属請求項において定義されている。特許請求の範囲における任意の参照数字は、それらの範囲を限定するものではない。
【0132】
いくつかの好適な実施形態が前述に示されているが、本発明はこれらに限定されることはなく、しかしながら以下の特許請求の範囲において定義された主題内において他の方法で具体化されてもよいことが強調されるべきである。
【0133】
図1は本発明に従った検出器アセンブリ1を示している。前記検出器アセンブリは、前記検出器アセンブリを視覚的に設定し、前記検出器アセンブリ1上で実施された測定の結果を視覚的に表示するために用いられるスクリーン2を備える。
【0134】
検出器アセンブリ1は、前記検出器アセンブリを設定及び操作するために用いられる制御ボタン3を備える。前記検出器アセンブリはまた、コンピュータ又はプリンタのような他のハードウェアと接続するための手段も備える。
【0135】
検出器アセンブリ1はまた、マイクロ流体カートリッジが挿入され得るスロット4を備える。前記マイクロ流体カートリッジについては以下でさらに詳細に説明する。前記検出器アセンブリの内部は、前記マイクロ流体カートリッジが前記スロット内に挿入されたときに、前記カートリッジを固定位置に維持するための手段を備える。
【0136】
よって、対象の試料を含むマイクロ流体カートリッジが検出器アセンブリ1のスロット4内に挿入されているときに、前記検出器アセンブリは前記試料に対して測定を実施し得る。前記測定は、例えば、光度測定又は比色測定のような光学測定であってもよい。前記測定はまた、電荷結合素子に基づいた測定又は磁気測定であってもよい。
【0137】
図2は本発明において使用するのに適したマイクロ流体カートリッジ10を示す。この実施形態において、マイクロ流体カートリッジ10は、チャネル11の形態にある5つのキャビティを有した基材12を備える。各チャネル11は、入口13と、図示していない可撓性壁部を備えたシンク14とを備える。
【0138】
マイクロ流体カートリッジ10はまた、チャネル11に読取部16を提供する窪みも備え、前記窪みにおいて、前記チャネルは透明窓を備え、また磁性粒子が図示されていない磁石を用いて一時的に固定されてもよい。
【0139】
この実施形態において、各チャネル11は、一時的に固定された磁性粒子及び一時的に固定されたフルオロフォアを含む。微小流体装置は、入口ゾーンであるゾーン0と、それらが液体試料と接触するまで反応しないように構成された、一時的に固定されたフルオロフォア及び磁性粒子17を含むゾーン1及びゾーン2と、読取部ゾーンであるゾーン3と、シンクゾーンであるゾーン4とを含むゾーンに分けられる。
【0140】
一実施形態において、ゾーン1は一時的に固定されたフルオロフォアを含み、かつゾーン2は一時的に固定された磁性粒子を含む。
一実施形態において、ゾーン1は一時的に固定された磁性粒子を含み、かつゾーン2は一時的に固定されたフルオロフォアを含む。
【0141】
マイクロ流体カートリッジ10は、所望により、ゾーン1及びゾーン2のいくつかのサブゾーンを備えてもよい。
使用時、液体試料は入口13に供給され、前記試料は、可撓性壁部を用いて前記チャネルのゾーン1内に吸い込まれる。前記可撓性壁部については後でより詳細に説明する。任意で、前記液体試料は、ゾーン1内の固定された要素17を溶解するか、又は再懸濁するために、ゾーン1内で振動させられる。その後、前記液体試料は、ゾーン2内の固定された要素17を溶解するか、又は再懸濁するために、チャネル11内においてゾーン2までさらに引き込まれる。予め選択されたインキュベーション時間後、前記液体試料は、シンク14内に完全に引き込まれる。前記磁性粒子は、読取部ゾーン3に固定される。さらに、所望により、シンク14の可撓性壁を用いることによって前記液体試料をチャネル11内に再導入することができ、その液体試料を用いて前記固定された磁性粒子を洗い流して、固定されていないフルオロフォア及び潜在的にノイズを提供し得る他の要素を除去することができる。
【0142】
図3は、側面から見た図1のマイクロ流体カートリッジ10を示す。原則として既知のマイクロ流体カートリッジを本発明に適用してもよいが、示したマイクロ流体カートリッジは目的のために特に設計されており、本願に記載するように本発明に付加的な利点を提供する。
【0143】
マイクロ流体カートリッジ10は、チャネル11の形態にある5つのキャビティを有した基材12を備える。チャネル11は、ホイル11aで被覆された溝の形態で設けられている。各チャネル11は入口13と接続されており、それらの反対端では、チャネル11は共通シンク14と接続されている。入口13は井戸状の穴(well)の形状を有する。
【0144】
シンク14の可撓性壁部15を押圧することによって、前記壁が動かされて、チャネル11から空気が押し出され、圧力が解除されると、可撓性壁部15はその初期位置に戻り、入口13に配された液体試料は、チャネル11内に所望位置まで吸い込まれるであろう。前記可撓性壁部をさらに操作することによって、前記液体試料をチャネル11内にさらに引き込むこともできるし、又は前記液体試料をチャネル内で振動させてもよい。最後に、所望により、可撓性壁部15は、前記試料を前記シンク内に収集するため、及び前記試料を前記チャネル内に再び押し流す(re−flush)ために操作されてもよい。可撓性壁部15は、それによりマイクロ流体装置内の液体試料を制御する簡単で安価な方法を提供する。
【0145】
前記マイクロ流体カートリッジはまた、チャネル11に読取部16を提供する窪みを備える。チャネル11の読取部16において、前記チャネルは透明窓を備え、また前記磁性粒子は、図示されていない磁石を用いて、一時的に固定され得る。前記磁石は、読取部16を介して信号を読み取るための示度(reading)も含む検出器アセンブリに取り付けられている。
【0146】
図4及び図5は、マイクロ流体カートリッジ20の代替実施形態を示す。
図4では、マイクロ流体カートリッジ20は、一端において入口23と接続され、反対端ではシンク24に接続されている2つのチャネル21を備えて示されている。
【0147】
2つのチャネル21に沿って、多数のチャンバ27,28が位置する。各チャンバは前記チャネルと接続されており、各チャンバはアナライトを含み得る。前記アナライトは、入口23からチャネル21を通ってシンク24まで通過すると前記チャンバを充填する液体試料と反応し得る。
【0148】
チャネル21、入口23、シンク24、チャンバ27,28は、基材22内において凹部として形成されている。チャネル21、シンク24、及びチャンバ27、28へのアクセスはホイル21aによって閉鎖されており、そのため、それらは入口23を介してのみアクセス可能である。
【0149】
チャンバ27,28はチャネル21の両側に対をなして配置されている。前記チャンバは同一又は異なるアナライトを含み得る。例えば、前記チャネルに沿った各対は同一のアナライトを含んでもよく、そのため前記試料は同一のアナライトによって2回試験され、それにより測定結果の確実性を改善する。よって、図4に示すマイクロ流体カートリッジ20は、例えば、12種の異なるアナライトによって測定され得る。すなわち、マイクロ流体カートリッジ20は、チャネル21に沿って位置する12対のチャンバ27,28を備える。前記アナライトはアナライトの組み合わせであってもよく、それらは光学的手段、電気的手段又は磁気的手段のような様々な手段によって測定されてもよい。よって、前記アナライトは、例えば、液体試料がチャンバ内に進入したときに前記液体試料と反応する発色反応物として機能する固定された磁性粒子又は固定化酵素であってもよい。
【0150】
図5は、図4に示したマイクロ流体カートリッジにほぼ相当するマイクロ流体カートリッジ20を示している。しかしながら、この特定の実施形態ではシンクが省略されている。液体試料が入口23に配置されると、該液体試料は、圧力及び毛細管力により、チャネル21及びチャンバ27,28に流入する。
【0151】
従って、前記マイクロ流体カートリッジは、2本のチャネル21と接続した入口23を備え、チャネル21は該チャネルに沿ったチャンバ27,28の対と接続されている。チャンバ27,28は、例えば多色LEDなどの光源からの光に対して透過性である。そのため、チャンバ27,28は光学的検出手段によって用いるのに適している。
【0152】
以下の図6図9では、図5に示したマイクロ流体カートリッジが、本発明に従ったマイクロ流体検出システムによって実施され得るいくつかの測定の一例として用いられている。
【0153】
図6は、LED30が実質的な単色光ビームをマイクロ流体カートリッジ20内のチャンバに向けて放射する光検出システムを示している。前記光ビームは、前記チャンバ内の試料に基づいており、異なる波長を有した光ビーム32に変換される。光ビーム32はマイクロ流体カートリッジ20の下方に位置するCCD検出器35によって検出される。
【0154】
図7は、マイクロ流体カートリッジ20がLED30から放射された光ビーム31を受光する別の実施形態を示している。光ビーム31は前記マイクロ流体カートリッジのチャンバ内の試料によって反射される。その反射光は2つの異なる波長32,33を有する光に分割され、それらの光はマイクロ流体カートリッジ20のLED30と同じ側に配置されたCCD検出器35によって検出される。
【0155】
図8は、前記検出システムの別の実施形態をさらに示している。この実施形態では、前記検出システムは、マイクロ流体カートリッジ20のチャンバ内の試料から反射された光の検出に分光計36を用いる。光ビーム31はLED30から放射され、マイクロ流体カートリッジ20内に保持された試料によって反射される。その反射光は、3つの異なる波長32,33,34を有する光として反射される。それらの反射光は分光計36によって検出され、結果として生じた曲線が挿入ボックス37に示される。
【0156】
図9は、前記検出システムの代替実施形態を示す。これはアレイ又は電極38が、マイクロ流体カートリッジ20内のチャンバのうちの1つ以上を介して電流を送るシステムである。試料の抵抗により、前記検出システムは、その試料の性質を検出することができる。
【0157】
図10は、本発明に従った光トンネルの原理を示す。光トンネルは、他の2つのLEDの波長とは異なる波長を有する光をそれぞれ放射する3つのLED30a,30b,30cを備える。LED30aは、610<λ<760の範囲の光を放射し得る。LED30bは、570<λ<590の範囲の光を放射し得、最後にLED30cは、450<λ<500の範囲の光を放射し得る。
【0158】
各LEDは、1つ以上の特定の検出部位に光を放射し、かつ所望されない検出部位への入射光線の透過を防ぐように意図されており、前記光トンネルは、入射光線の望ましくない透過が防がれることを保証する仕切り部材39によって構成されている。
【0159】
よって、各LED30a,30b,30cは仕切り部材39によって包囲されており、仕切り部材39はLEDから放射された光が、その光が意図された検出部位のみに光を伝えることを保証する。
【0160】
前記光トンネルは、光を2つ以上の検出部位を介して同時に透過させることを可能にする。図10の実施形態において見られるように、LED30a,30b,30cは、光をマイクロ流体カートリッジ20上の3つの異なる検出部位を介して同時に透過させる。結果として生じた光ビームは、CCD検出器35によって検出される。
【0161】
図11は、本発明に従ったマイクロ流体カートリッジ40の代替実施形態を示す。マイクロ流体カートリッジ40は、試料を導入するための入口43を備える。入口43はチャネル41と接続されており、チャネル41は反対端においてシンク44と接続されている。チャネル41の長さに沿って、光学的検出のための2つの検出部位47と、電気的検出のためのさらに2つの検出部位48とが位置している。
【0162】
電気的検出部位48は、電気配線49によって接続パッド50と接続された電極を備え得る。前記電気配線はマイクロ流体カートリッジ40の基材42上に印刷されていてもよい。
【0163】
接続パッド50は、前記検出アセンブリ内の対応する接続パッドと接続され、さらに電圧計のような電気的読取装置に接続され得る。
図は、単に本発明を従った限られた数の実施形態を例示しているに過ぎず、本発明の全範囲は特許請求の範囲において定義される。しかしながら、いくつかの組み合わせが可能であり、前記光学的検出は磁気的検出及び/又は電気的検出と組み合わせられてもよいことは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11