特許第6890769号(P6890769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

特許6890769トップ反の耳ゴム切断装置およびタイヤゴム部材の製造装置
<>
  • 特許6890769-トップ反の耳ゴム切断装置およびタイヤゴム部材の製造装置 図000002
  • 特許6890769-トップ反の耳ゴム切断装置およびタイヤゴム部材の製造装置 図000003
  • 特許6890769-トップ反の耳ゴム切断装置およびタイヤゴム部材の製造装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890769
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】トップ反の耳ゴム切断装置およびタイヤゴム部材の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/46 20060101AFI20210607BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20210607BHJP
   B26D 1/547 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   B29D30/46
   B26D3/00 601E
   B26D1/547 E
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-109884(P2017-109884)
(22)【出願日】2017年6月2日
(65)【公開番号】特開2018-202715(P2018-202715A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(72)【発明者】
【氏名】有吉 主税
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−215539(JP,A)
【文献】 特開2014−205288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00− 30/72
B26D 3/00− 3/30
B26D 1/00− 1/62
B29C 48/00− 48/96
B29C 39/00− 43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテキスタイルコードが並列に配置されたテキスタイル部材に、トッピングゴムを被覆して圧延することにより形成されるトップ反の耳ゴム部をカッターで切断するトップ反の耳ゴム切断装置であって、
前記トップ反の幅方向の中心側に向けて下向きに傾斜して配置される傾斜ガイドシャフトと、
前記傾斜ガイドシャフトに回転可能に取り付けられて、前記傾斜ガイドシャフト上を自重によって前記トップ反の幅方向の中心側に向けて摺動するカッター保持治具と、
前記カッター保持治具に張力を掛けた状態で取り付けられて、前記トップ反の耳ゴム部を切断するピアノ線で構成されたカッターとを備えており、
さらに、前記傾斜ガイドシャフトと前記カッター保持治具との間に滑りを発生させる滑り発生手段を備え
前記滑り発生手段が、前記傾斜ガイドシャフトを回転させることにより滑りを発生させる滑り発生手段であることを特徴とするトップ反の耳ゴム切断装置。
【請求項2】
さらに、前記傾斜ガイドシャフトと前記カッター保持治具との間に潤滑油が塗布されていることを特徴とする請求項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置。
【請求項3】
前記カッターを受けるカッター受けローラーと、
前記カッターを前記カッター受けローラーの方向に押し付ける押し付け手段とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトップ反の耳ゴム切断装置。
【請求項4】
前記押し付け手段が、前記カッター保持治具から延設されるアームにウエイトを取り付けて構成されていることを特徴とする請求項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置。
【請求項5】
前記ピアノ線の直径が、0.30〜1.00mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置を備えていることを特徴とするタイヤゴム部材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のテキスタイルコードが埋設されたトップ反の耳ゴム部を切断、除去するトップ反の耳ゴム切断装置および前記トップ反の耳ゴム切断装置を備えたタイヤゴム部材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入リタイヤの製造工程においては、複数のテキスタイルコードが平行に配列されたテキスタイル部材をカレンダーロール(圧延ロール)まで繰り出した後、テキスタイル部材の両面にカレンダーロールによってトッピングゴムを被覆することによりシート状のトップ反をタイヤゴム部材として作製するテキスタイルトッピング工程が設けられている。
【0003】
このとき、作製されたトップ反の幅方向の両側には余分にトッピングゴムが付着して耳ゴム部が形成されるため、従来より、タイヤゴム部材の製造装置にトップ反の耳ゴム切断装置(以下、単に「耳ゴム切断装置」ともいう)を設けて、作製後のトップ反から耳ゴム部を切断、除去することが行われている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この耳ゴム切断装置の一例を図3に示す。図3に示すように、耳ゴム切断装置2は、トップ反の幅方向の中心側、即ち矢印Y方向に向けて下向きに傾斜して配置された傾斜ガイドシャフト1と、傾斜ガイドシャフト1に回転可能に取り付けられ、自重によってトップ反の幅方向の中心側に向けて摺動するカッター保持治具21と、張力を掛けた状態でカッター保持治具21に取り付けられたピアノ線で構成されたカッター3とを備えている。
【0005】
そして、このカッター保持治具21は、ウエイト24などの重みによって押し付け手段5を傾斜ガイドシャフト1を中心に矢印X方向に回転させることにより、カッター保持治具21に取り付けられたカッター3をカッター受けローラー4に押し付ける。そして、カッター3とカッター受けローラー4とが接触した位置で、カッター受けローラー4に懸架されて所定の張力が掛けられた状態で搬送されてきたトップ反の耳ゴム部をカッター3に通すことにより、耳ゴム部が切断される。
【0006】
このとき、カッター保持治具21は、自重によって傾斜ガイドシャフト1上を摺動するように取り付けられており、カッター3にもトップ反の幅方向の中心側に移動しようとする力が作用するが、カッター3を構成するピアノ線はテキスタイル部材を切断することができないため、カッター3はテキスタイル部材の外縁部に近い位置まで移動して停止することになる。この結果、耳ゴム部の切断中にテキスタイル部材の幅が変動したとしても、カッター3は常にテキスタイル部材の外縁部に近い境目部分を切断できるような位置に移動して、テキスタイル部材の変動に自在に追従することができ、耳ゴム部を高い寸法精度の下で切断、除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−215539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した耳ゴム切断装置を長い間使用していると、稼働中に傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21との間に、所謂「かじり」が発生してカッター保持治具21の摺動に動作不良が生じ、カッター3の位置決め精度の低下を招くことがあったため、さらなる改良が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、傾斜ガイドシャフトとカッター保持治具とのかじりによるカッター保持治具の摺動の動作不良を防止して、カッターの位置決め精度の低下を招かないトップ反の切断技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に記載する発明により上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
請求項1に記載の発明は、
複数のテキスタイルコードが並列に配置されたテキスタイル部材に、トッピングゴムを被覆して圧延することにより形成されるトップ反の耳ゴム部をカッターで切断するトップ反の耳ゴム切断装置であって、
前記トップ反の幅方向の中心側に向けて下向きに傾斜して配置される傾斜ガイドシャフトと、
前記傾斜ガイドシャフトに回転可能に取り付けられて、前記傾斜ガイドシャフト上を自重によって前記トップ反の幅方向の中心側に向けて摺動するカッター保持治具と、
前記カッター保持治具に張力を掛けた状態で取り付けられて、前記トップ反の耳ゴム部を切断するピアノ線で構成されたカッターとを備えており、
さらに、前記傾斜ガイドシャフトと前記カッター保持治具との間に滑りを発生させる滑り発生手段を備え
前記滑り発生手段が、前記傾斜ガイドシャフトを回転させることにより滑りを発生させる滑り発生手段であることを特徴とするトップ反の耳ゴム切断装置である。
【0013】
請求項に記載の発明は、
さらに、前記傾斜ガイドシャフトと前記カッター保持治具との間に潤滑油が塗布されていることを特徴とする請求項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置である。
【0014】
請求項に記載の発明は、
前記カッターを受けるカッター受けローラーと、
前記カッターを前記カッター受けローラーの方向に押し付ける押し付け手段とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトップ反の耳ゴム切断装置である。
【0015】
請求項に記載の発明は、
前記押し付け手段が、前記カッター保持治具から延設されるアームにウエイトを取り付けて構成されていることを特徴とする請求項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置である。
【0016】
請求項に記載の発明は、
前記ピアノ線の直径が、0.30〜1.00mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置である。
【0017】
請求項に記載の発明は、
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のトップ反の耳ゴム切断装置を備えていることを特徴とするタイヤゴム部材の製造装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、傾斜ガイドシャフトとカッター保持治具とのかじりによるカッター保持治具の摺動の動作不良を防止して、カッターの位置決め精度の低下を招かないトップ反の切断技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】テキスタイルトッピング工程の概略を説明する図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るトップ反の耳ゴム切断装置の要部を示す斜視図である。
図3】従来のトップ反の耳ゴム切断装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施の形態に基づき、図面を用いて説明する。
【0021】
[1]テキスタイルトッピング工程
本発明に係るトップ反の耳ゴム切断装置(以下、単に「耳ゴム切断装置」ともいう)は、前記したように、テキスタイルトッピング工程において使用される装置であるため、予め、テキスタイルトッピング工程について説明する。
【0022】
図1はテキスタイルトッピング工程の概略を説明する図である。図1に示すように、テキスタイルトッピング工程においては、まず、テキスタイル部材aが、繰り出しロールbから繰り出されて、所定の張力を加えられながらカレンダーロールcまで搬送される。
【0023】
そして、搬送されてきたテキスタイル部材aは、カレンダーロールcの間を通過する際に、両面にトッピングゴムdが圧延、被覆されることにより、テキスタイル部材aとトッピングゴムdが一体化されたトップ反eが作製される。そして、作製されたトップ反eは、その後、巻き取りロールfに巻き取られる。
【0024】
このとき、前記したように、作製されたトップ反eの幅方向の両側には余分にゴムが付着して耳ゴム部が形成されるため、カレンダーロールcの下流側に、図示しないカッターおよびカッター受けローラーを備えたトップ反の耳ゴム切断装置を設けて、作製後のトップ反eから耳ゴム部を切断、除去した後、巻き取りロールfに巻き取っている。
【0025】
[2]トップ反の耳ゴム切断装置
次に、本実施の形態に係るトップ反の耳ゴム切断装置について説明する。
【0026】
(1)全体構成
図2は本実施の形態に係るトップ反の耳ゴム切断装置の要部を示す斜視図である。図2に示すように、本実施の形態において、耳ゴム切断装置2は、傾斜ガイドシャフト1と耳ゴム切断装置2の間に滑りを発生させる滑り発生手段(図2では、回転駆動装置7)を備えていることを除いては、基本的に、図3に示した従来の耳ゴム切断装置と同じ構成を有している。
【0027】
即ち、本実施の形態に係るトップ反の耳ゴム切断装置2は、トップ反の幅方向の中心側、即ち矢印Y方向に向けて下向きに傾斜して配置された傾斜ガイドシャフト1と、傾斜ガイドシャフト1に回転可能に取り付けられて、傾斜ガイドシャフト1上を自重によってトップ反の幅方向の中心側に向けて摺動するカッター保持治具21と、カッター保持治具21に張力を掛けた状態で取り付けられて、トップ反の耳ゴム部を切断するピアノ線で構成されたカッター3とを備えている。
【0028】
(2)傾斜ガイドシャフト
傾斜ガイドシャフト1は、カッター保持治具21が自重によってトップ反の幅方向の中心側に向けて摺動できるように、トップ反の幅方向の中心側に向けて下向きに傾斜して設置されている。そして、この傾斜ガイドシャフト1は、カッター保持治具21のブッシュ25に挿通されている。
【0029】
(3)カッター保持治具
カッター保持治具21は、一方の端部に傾斜ガイドシャフト1が挿通されるシャフト孔を有しており、シャフト孔にはブッシュ25が設けられている。
【0030】
ブッシュ25には、例えば、ボールベアリングなどを用いた軸受けが設けられており、カッター保持治具21は、挿通された傾斜ガイドシャフト1によって回転自在かつ軸方向へ摺動自在に支持されている。
【0031】
(4)カッター
カッター3は、カッター保持治具21に張力を掛けた状態でピアノ線が取り付けられて構成されている。ピアノ線の直径としては、0.30〜1.00mmであることが好ましい。
【0032】
(5)押し付け手段
カッター3が、搬送されてきたトップ反が懸架されているカッター受けローラー4に、カッター保持治具21の回転に合わせて押し付けられることにより、トップ反の耳ゴム部を切断することができる。このような押し付け手段5は、カッター保持治具21のアームの一端に、ウエイト24が取り付けられて構成されている。
【0033】
このようにウエイト24を設けることなどにより、挿通された傾斜ガイドシャフト1によってブッシュ25を介して回転自在に支持されたカッター保持治具21を、ウエイト24の重みに応じて、矢印X方向に向けて回転させることができる。そして、カッター保持治具21の回転に合わせて、カッター3をカッター受けローラー4の方向に回転させて、押し付ける。そして、カッター3とカッター受けローラー4とが接触した位置で、カッター受けローラー4に懸架されて所定の張力が掛けられた状態で搬送されてきたトップ反の耳ゴム部をカッター3に通すことにより、耳ゴム部が切断される。
【0034】
なお、上記したウエイトが取り付けられて構成されている押し付け手段に替えて、エアーシリンダーによる圧力を用いた押し付け手段を採用してもよい。
【0035】
(6)滑り発生手段
しかしながら、上記の構成の耳ゴム切断装置を長い間使用していると、稼働中に傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21との間にかじりが発生して、カッター保持治具21の摺動に動作不良が生じ、カッター3の位置決め精度の低下を招く恐れがある。
【0036】
そこで、本実施の形態においては、傾斜ガイドシャフト1とブッシュ25との間に滑り発生手段を設けて、傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21との間におけるかじりの発生を抑制している。
【0037】
滑り発生手段としては、例えば、傾斜ガイドシャフト1を回転させる回転駆動装置7が用いられる。回転駆動装置7を用いて傾斜ガイドシャフト1を回転させることにより、傾斜ガイドシャフト1とブッシュ25との間に滑りが生じて、カッター保持治具21を容易に摺動させることができる。この結果、傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21とのかじりによる動作不良の発生を防止することができる。
【0038】
具体的には、回転駆動装置7はモーターMを備えており、傾斜ガイドシャフト1とモーターMのシャフトにはそれぞれVプーリーPが取り付けられており、これら2つのVプーリーPの間にVベルトBが架け渡されている。そして、モーターMを作動させることにより傾斜ガイドシャフト1が回転する。
【0039】
[3]トップ反の耳ゴム切断装置の動作
次に、本実施の形態に係るトップ反の耳ゴム切断装置の動作を説明する。前記したように、耳ゴム切断装置2は傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21とを備えている。傾斜ガイドシャフト1は、トップ反の幅方向の中心側に向けて下向きに傾斜して配置され、カッター保持治具21は、自重によって傾斜ガイドシャフト1上を摺動するように取り付けられている。このため、カッター3にもトップ反の幅方向の中心側に移動しようとする力が作用する。
【0040】
一方、カッター3はピアノ線で構成されているため、耳ゴムの切断には適しているものの、切断抵抗の大きいテキスタイル部材を切断することができない。このため、耳ゴム部の切断時、カッター3がテキスタイル部材に当接すると、テキスタイル部材から反力を受けてトップ反の幅方向の中心から離れる方向に移動する(カッター3の移動に合わせてカッター保持治具21も傾斜ガイドシャフト1上を摺動する。)。
【0041】
このため、耳ゴム部の切断中にテキスタイル部材の幅が変動することがあっても、カッター3をトップ反のテキスタイル部材と耳ゴムとの境目に常に位置させて、境目部分で切断することができ、トップ反のテキスタイル部材の外側縁に沿って精度高く耳ゴムを切断することができる。
【0042】
例えば、テキスタイル部材の幅が広い方向に変動した場合には、上記境目部分が外側に移動することになるため、カッター3をトップ反の幅方向の中心から離れる方向に移動させようとして、カッター保持治具21が傾斜ガイドシャフト1上をトップ反の幅方向の中心から離れる方向(上方)に摺動する。
【0043】
一方、テキスタイル部材の幅が狭い方向に変動した場合には、上記境目部分が内側に移動することになるため、カッター3をトップ反の幅方向の中心側に向けて移動させようとして、カッター保持治具21が傾斜ガイドシャフト1上をトップ反の幅方向の中心方向(下方)に摺動する。
【0044】
この結果、カッター3は常にテキスタイル部材の外縁部に近い上記境目部分を切断できるような位置に移動して、テキスタイル部材の幅寸法の変動に自在に追従するため、精度高く耳ゴムを切断することができる。
【0045】
本実施の形態に係る耳ゴム切断装置は、上記したように、さらに、傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21との間に滑りを発生させる滑り発生手段を備えている。このため、カッター保持治具21は、上記したカッター3の移動に合わせて、傾斜ガイドシャフト1上をスムースに摺動することが可能となる。
【0046】
これにより、長い時間使用しても、傾斜ガイドシャフト1とカッター保持治具21とのかじりによる摺動の動作不良の発生が防止され、カッターの位置決め精度の低下が抑制されるため、切断後のトップ反において耳ゴムを安定して精度高く切断することができる。
【0047】
なお、滑り発生手段としては、上記した回転駆動装置に替えて、スライドブッシュ、リニアブッシュ等を滑り発生手段として用いてもよい。
【0048】
なお、傾斜ガイドシャフト1とブッシュ25との間に潤滑油が塗布されていると、さらに、高い滑り効果が発揮されて好ましい。なお、具体的な潤滑油としては、グリース、鉱物油、合成油、焼き付き防止剤など、一般的に使用される潤滑油を用いることができる。より具体的には、ミネラルオイル、二硫化モリブデンなどである。
【0049】
そして、このような耳ゴム切断装置をタイヤゴム部材の製造装置に備えることにより、安定した品質のタイヤを製造することができる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 傾斜ガイドシャフト
2 耳ゴム切断装置
3 カッター
4 カッター受けローラー
5 押し付け手段
7 回転駆動装置
21 カッター保持治具
24 ウエイト
25 ブッシュ
a テキスタイル部材
b 繰り出しロール
c カレンダーロール
d トッピングゴム
e トップ反
f 巻き取りロール
B Vベルト
M モーター
P Vプーリー
図1
図2
図3