【実施例1】
【0020】
以下、本発明の単相3線式分電盤の実施例について図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、
図2に示すように、電力計110とアンペアブレーカー121とを接続する2本の電圧線並びに中性線を「第1および第2の電圧線L1,L2」並びに「第1の中性線NL1」と称し、アンペアブレーカー121と欠相保護付漏電ブレーカー122とを接続する2本の電圧線並びに中性線を「第3および第4の電圧線L3,L4」並びに「第2の中性線NL2」と称し、欠相保護付漏電ブレーカー122と複数の配線用ブレーカー123とを接続する2本の電圧線並びに中性線を「第5および第6の電圧線L5,L6」並びに「第3の中性線NL3」と称する。
また、第1の電圧線L1、第1の中性線NL1および第2の電圧線L2は第3の電圧線L3、第2の中性線NL2および第4の電圧線L4とアンペアブレーカー121の操作レバー121aを介してそれぞれ接続されており、第3の電圧線L3、第2の中性線NL2および第4の電圧線L4は第5の電圧線L5、第3の中性線NL3および第6の電圧線L6と欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aを介してそれぞれ接続されているとする。
【0021】
本発明の第1の実施例による単相3線式分電盤10(以下、「分電盤10」と称する。)は、
図1(a)に示すように、原因判別部30、バッテリー(BT)21および表示部22を備えた停電原因判別表示装置20を具備する点で、
図5(a),(b)に示した従来の分電盤120と異なる。
【0022】
ここで、原因判別部30は、停電原因が屋外(低圧引込線1または電力計110の故障)か過負荷(アンペアブレーカー121の作動)か漏電か中性線欠相(中性線の断線による欠相)かを判別するためのものであり、
図2に示すように屋外/過負荷判別部31、漏電/欠相判別部32、表示制御部33およびタイマ34を備える。
【0023】
屋外/過負荷判別部31は、アンペアブレーカー121の入力側の線間電圧値(以下、「入力線間電圧値Va」と称する。)およびアンペアブレーカー121の出力側の電流値(以下、「出力電流値Ia」と称する。)とに基づいて停電原因が屋外か過負荷かを判別し、判別結果を示す屋外/過負荷判別結果信号Saを表示制御部33に出力するためのものである。
【0024】
この例では、入力線間電圧値Vaを測定するための第1の電圧計VM1は第1の電圧線L1と第1の中性線NL1との間に取り付けられており、また、出力電流値Iaを測定するための第1の電流計CM1は第4の電圧線L4に取り付けられている。
なお、第1の電圧計VM1は第2の電圧線L2と第1の中性線NL1との間に取り付けられてもよく、また、第1の電流計CM1は第3の電圧線L3に取り付けられてもよい。
【0025】
漏電/欠相判別部32は、欠相保護付漏電ブレーカー122の出力側(複数の配線用ブレーカー123側)の線間電圧値(以下、「漏電/欠相判別用線間電圧値Vb」と称する。)および電流値(以下、「漏電/欠相判別用電流値Ib」と称する。)に基づいて停電原因が漏電か中性線欠相かを判別し、判別結果を示す漏電/欠相判別結果信号Sbを表示制御部33に出力するためのものである。
漏電/欠相判別部32は、最新の所定時間(例えば、1〜2秒間)の漏電/欠相判別用線間電圧値Vbを記憶するためのメモリを備えている。
【0026】
この例では、漏電/欠相判別用線間電圧値Vbを測定するための第2の電圧計VM2は第5の電圧線L5と第3の中性線NL3(好ましくは、第3の中性線NL3の末端部)との間に取り付けられており、また、漏電/欠相判別用電流値Ibを測定するための第2の電流計CM2は第6の電圧線L6に取り付けられている。
なお、第2の電圧計VM2を第6の電圧線L6に取り付けてもよく、第2の電流計CM2を第5の電圧線L5に取り付けてもよい。
【0027】
表示制御部33は、屋外/過負荷判別部31から入力される屋外/過負荷判別結果信号Saと漏電/欠相判別部32から入力される漏電/欠相判別結果信号Sbとに基づいて表示部22に表示させる表示内容を決定し、決定した表示内容を示す表示データDを表示部22に出力する。
【0028】
タイマ34は、表示制御部33に接続されており、表示制御部33によって起動およびリセットされる。
【0029】
表示部22は、表示制御部33から入力される表示データDに基づいて、原因判別部30における判別結果に応じた表示内容を表示するためのものである。
【0030】
バッテリー21は、原因判別部30および表示部22を常時駆動して、停電時でも原因判別部30および表示部22が動作できるようにするとともに、夜間でも表示部22に表示された表示内容を確認できるようにするためのものである。
【0031】
次に、原因判別部30の動作について
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
屋外/過負荷判別部31は、第1の電圧計VM1から入力される入力線間電圧値Vaおよび第1の電流計CM1から入力される出力電流値Iaを監視しており(ステップS11,S12)、入力線間電圧値Vaが0Vになると、停電原因を屋外と判別して、その旨を示す屋外/過負荷判別結果信号Saを表示制御部34に出力する(ステップS13)。
【0032】
表示制御部34は、この屋外/過負荷判別結果信号Saが屋外/過負荷判別部31から入力されると、表示内容を「引込線断線か電力計故障。電力会社に連絡」と決定し、決定した表示内容を示す表示データDを表示部22に出力する(ステップS14)。
これにより、表示部22に、「引込線断線か電力計故障。電力会社に連絡」と表示される。
【0033】
その結果、利用者は、周辺の状況を確認するなどして地域全体の停電と分かれば、分電盤10の設置場所に行くことなく停電復帰を待てばよいため、表示部22の表示内容「引込線断線か電力計故障。電力会社に連絡」を確認する必要がないので、表示部22にこのような表示がされても特に問題はない。電力会社も、利用者から連絡があっても地域全体の停電である旨を伝えればよいため、容易に対応することができる。
【0034】
また、利用者は、低圧引込線1の断線や電力計110の故障による停電の場合には、周辺の状況を確認するなどすれば地域全体の停電でないと分かるため、分電盤10の設置場所に行って表示部22の表示内容「引込線断線か電力計故障。電力会社に連絡」を見ることにより、電力会社に「引込線が断線しているか電力計が故障しているようです。」と連絡すればよいため、早急かつ容易に対処することができる。
【0035】
屋外/過負荷判別部31は、入力線間電圧値Vaが100V(商用電源電圧値)であるにもかかわらず出力電流値Iaが0Aになると、停電原因を過負荷と判別して、その旨を示す屋外/過負荷判別結果信号Saを表示制御部34に出力する(ステップS15)。
【0036】
表示制御部34は、この屋外/過負荷判別結果信号Saが屋外/過負荷判別部31から入力されると、表示内容を「電気の使いすぎ。電力会社に連絡」と決定し、決定した表示内容を示す表示データDを表示部22に出力する(ステップS16)。
これにより、表示部22に、「電気の使いすぎ。電力会社に連絡」と表示される。
【0037】
その結果、利用者は、分電盤10の設置場所に行ってアンペアブレーカー121の操作レバー121aが下がっていることと表示部22の表示内容とを確認することにより、今後は電気の使用を抑えるようにする場合には電力会社に連絡しなくてもよく、一方、電気の使用を抑えるよりも契約アンペア数の変更をした方がよいと思った場合には電力会社に連絡して「契約アンペア数を変更したい」旨を伝えればよいため、早急かつ容易に対処することができる。
【0038】
漏電/欠相判別部32は、第2の電流計CM2および第2の電圧計VM2からそれぞれ入力される漏電/欠相判別用電流値Ibおよび漏電/欠相判別用線間電圧値Vbを監視しており、漏電/欠相判別用電流値Ibが0Aになると、欠相保護付漏電ブレーカー122が作動したと判定して、漏電/欠相判別用電流値Ibが0Aになった直前の漏電/欠相判別用線間電圧値Vbと100Vとの差電圧の絶対値(以下、「差電圧絶対値ΔVb」と称する。)が所定の漏電/欠相判別用閾値Vth(例えば、20V)未満か否かを調べる(ステップS17,S18)。
【0039】
その結果、屋外/過負荷判別部31は、漏電/欠相判別用電流値Ibが0Aになった直前の差電圧絶対値ΔVbが漏電/欠相判別用閾値Vth未満であると、停電原因を漏電と判別して、その旨を示す漏電/欠相判別結果信号Sbを表示制御部34に出力する(ステップS19)。
【0040】
表示制御部34は、この漏電/欠相判別結果信号Sbが漏電/欠相判別部32から入力されると、表示内容を「漏電発生。漏電対処法を実施。」と決定し、決定した表示内容を示す表示データDを表示部22に出力する(ステップS20)。
これにより、表示部22に、「漏電発生。漏電対処法を実施。」と表示される。
【0041】
表示制御部34は、表示データDを表示部22に出力すると、タイマ34を起動させて、経過時間tが所定の待機時間Ta(例えば、10分)を超えないか監視する(ステップS21)。
【0042】
このとき、漏電対処法を知らない利用者は、表示部22の表示内容を見て漏電が発生していることを確認しても漏電対処法を行えないため、欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aは下がったままとされる。
そのため、漏電により欠相保護付漏電ブレーカー122が作動した旨を示す漏電/欠相判別結果信号Sbが待機時間Ta内に再び入力されることはないため、表示制御部34は、利用者は漏電対処法を知らないと判定して、表示内容を「漏電発生。電力会社または電気工事店に連絡」と決定し、決定した表示内容を示す表示データDを表示部22に出力するとともに、タイマ35をリセットする(ステップS22,S23)。
これにより、表示部22に、「漏電発生。電力会社または電気工事店に連絡」と表示される。
【0043】
その結果、漏電対処法を知らない利用者は、表示部22の表示内容を確認することにより、電力会社または電気工事店に連絡して「漏電が発生したようなので調べて欲しい」旨を伝えればよいため、早急かつ容易に対処することができる。
【0044】
一方、漏電対処法(上記の手順1〜6)を知っている利用者は、分電盤10の設置場所に行って欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aが下がっていることと表示部22の表示内容「漏電発生。漏電対処法を実施」とを確認して、漏電対処法を行って漏電個所を調べようとする。
【0045】
そのため、漏電/欠相判別用電流値Ibは、利用者が上記の手順2において欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aを上げたのちに複数の配線用ブレーカー123の操作レバーを一つずつ上げていくと0Aよりも大きくなるが、上記の手順3において欠相保護付漏電ブレーカー122が再び作動すると0Aとなる。
【0046】
その後、漏電/欠相判別用電流値Ibは、利用者が上記の手順4において欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aおよび当該配線用ブレーカー123の操作レバーを上げると0Aよりも大きくなるが、利用者が上記の手順5において漏電していた電気機器の差込プラグをコンセントに差し込むと欠相保護付漏電ブレーカー122が再び作動して0Aとなる。
【0047】
このとき、差電圧絶対値ΔVbは漏電/欠相判別用閾値Vth未満のままであるため、漏電/欠相判別部32は、漏電/欠相判別用電流値Ibが0Aになるたびに、漏電によって欠相保護付漏電ブレーカー122が作動したと判別して、その旨を示す漏電/欠相判別結果信号Sbを表示制御部34に出力する。
【0048】
そのため、表示制御部34は、待機時間Ta内に漏電/欠相判別結果信号Sbが再び入力されると、利用者は漏電対処法を行っていると判定して、表示部22に表示内容を消させるとともに、タイマ35をリセットする(ステップS22,S24)。
【0049】
その結果、利用者は、自分で漏電対処法を行うことにより、早急かつ容易に対処することができる。
【0050】
なお、漏電対処法を知らない利用者が試しに欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aを1回だけ上げてしまうことを考慮すると、ステップS22において、待機時間Ta内に漏電/欠相判別結果信号Sbが1回しか入力されないとステプS23に進み、一方、待機時間Ta内に漏電/欠相判別結果信号Sbが2回入力されるとステップS23に進むようにしてもよい。
【0051】
ステップS18において差電圧絶対値ΔVbが漏電/欠相判別用閾値Vth以上であると、漏電/欠相判別部32は、停電原因を中性線欠相と判別して、その旨を示す漏電/欠相判別結果信号Sbを表示制御部34に出力する(ステップS25)。
【0052】
表示制御部34は、この漏電/欠相判別結果信号Sbが漏電/欠相判別部32から入力されると、表示内容を「中性線の断線による停電発生。電力会社に連絡」と決定し、決定した表示内容を示す表示データDを表示部22に出力する(ステップS26)。
これにより、表示部22に、「中性線の断線による停電発生。電力会社に連絡」と表示される。
【0053】
その結果、利用者は、分電盤10の設置場所に行って欠相保護付漏電ブレーカー122の操作レバー122aが下がっていることと表示部22の表示内容とを確認して、電力会社に連絡して「中性線が断線して停電したようなので調べて欲しい。」と伝えればよいため、早急かつ容易に対処することができる。
【実施例2】
【0054】
次に、本発明の第2の実施例による単相3線式分電盤50(以下、「分電盤50」と称する。)について、
図4(a),(b)を参照して説明する。
なお、以下の説明では、電力計110と欠相保護付漏電ブレーカー132とを接続する2本の電圧線並びに中性線を「第1および第2の電圧線L1’,L2’」並びに「第1の中性線NL1’」と称し、欠相保護付漏電ブレーカー132と複数の配線用ブレーカー123とを接続する2本の電圧線並びに中性線を「第3および第4の電圧線L3’ L4’」並びに「第2の中性線NL2’」と称する。
また、第1の電圧線L1’、第1の中性線NL1’および第2の電圧線L2’は第3の電圧線L3’、第2の中性線NL2’および第4の電圧線L4’と欠相保護付漏電ブレーカー132の操作レバー132aを介してそれぞれ接続されているとする。
【0055】
本実施例による分電盤50は、
図4(a)に示すように、
図1(a)に示したアンペアブレーカー121を具備しておらず、その代わりに、電気使用量が所定の電気量を超過すると作動する機能(以下、「過負荷時遮断機能」と称する。)を欠相保護付漏電ブレーカー132が有する点で、上述した第1の実施例による分電盤10と相違する。
【0056】
分電盤50は、停電原因判別表示装置60が原因判別部70、バッテリー61および表示部62を備える点と、
図4(b)に示すように原因判別部70が屋外/過負荷判別部71、漏電/欠相判別部72、表示制御部73およびタイマ74を備える点とでは、上述した第1の実施例による分電盤10と同様である。
【0057】
分電盤50は、欠相保護付漏電ブレーカー132の入力側の線間電圧値(以下、「入力線間電圧値Va’」と称する。)を測定するための第1の電圧計VM1’を第1の電圧線L1’と第1の中性線NL1’との間に取り付けるとともに、欠相保護付漏電ブレーカー132の出力側の電流値(以下、「出力電流値Ia’」と称する。)を測定するための第1の電流計CM1’を第3の電圧線L3’に取り付けて、原因判別部70の屋外/過負荷判別部71に以下のようにして停電原因が屋外(低圧引込線1または電力計110の故障)か過負荷(過負荷時遮断機能による欠相保護付漏電ブレーカー132の作動)かを判別させる点で、上述した第1の実施例による分電盤10と相違する。
【0058】
屋外/過負荷判別部71は、第1の電圧計VM1’から入力される入力線間電圧値Va’および第1の電流計CM1’から入力される出力電流値Ia’を監視し、入力線間電圧値Va’が0Vになると停電原因を屋外と判別する。
【0059】
また、屋外/過負荷判別部71は、入力線間電圧値Va’が100Vであるにもかかわらず出力電流値Ia’が0Aになると、出力電流値Ia’が0Aになった直前の出力電流値Ia’と第2の電流計CM2’から入力される漏電/欠相判別用線間電流値Ib’との合計電流値が所定の過負荷用閾値Ith以上であると過負荷停電と判別する。
屋外/過負荷判別部71は、最新の所定時間(例えば、1〜2秒間)の出力電流値Ia’および漏電/欠相判別用線間電流値Ib’を記憶するためのメモリを備えている。
【0060】
なお、第1の電圧計VM1’は第2の電圧線L2’と第1の中性線NL1’との間に取り付けられてもよく、また、第1の電流計CM1’は第4の電圧線L4’に取り付けられてもよい。