(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図3を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1〜
図3に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、ケース部材2とカバー部材3とを備えている。ケース部材2は、本体ケース4と外装ケース5とで構成されている。
【0011】
本体ケース4は、
図2および
図3に示すように、金属または硬質の合成樹脂、例えばポリアミド樹脂にカーボン繊維またはガラス繊維を混入させた剛性の高い硬質の合成樹脂で、好ましくはポリアミド樹脂にカーボン繊維を混入させた剛性の高い硬質の合成樹脂で形成されている。この本体ケース4は、ほぼリング状に形成され、その上部側の内部に金属製の補強部4aが埋め込まれた構造になっている。
【0012】
この本体ケース4の上部開口部には、
図2および
図3に示すように、時計ガラス6がガラスパッキン6aを介して取り付けられており、この時計ガラス6の下側における本体ケース4内には、リング状の見切り部材7が配置されている。また、この本体ケース4の下部には、裏蓋8が防水リング8aを介して複数の第1ビス8bによって取り付けられている。この場合、裏蓋8には、複数の第1ビス8bが挿入する複数の第1ビス挿入孔8cがそれぞれ設けられている。
【0013】
この本体ケース4の内部には、
図2および
図3に示すように、時計モジュール10が緩衝シート9を介して配置されている。時計モジュール10は、指針11を運針させて時刻を指示表示する時計ムーブメント(図示せず)、時刻や日付などの情報を電気光学的に表示する表示部(図示せず)、これらを駆動して制御する回路基板12、この回路基板12に電源を供給する電池13などの時計機能に必要な各種の電子部品を備えている。
【0014】
また、この本体ケース4は、
図1および
図2に示すように、外周部における2時側、4時側、6時側、8時側、10時側にそれぞれ押釦スイッチ14の釦取付部15が設けられている。これら複数の釦取付部15それぞれは、本体ケース4の外部に突出する円筒部15aと、この円筒部15a内の中心に位置する本体ケース4にその内外に貫通して設けられた貫通孔15bと、を備えている。
【0015】
この場合、押釦スイッチ14は、
図2に示すように、貫通孔15bにスライド可能に挿入される操作軸14aと、この操作軸14aの外端部に設けられて円筒部15a内に配置される釦頭部14bと、を備えている。これにより、押釦スイッチ14は、本体ケース4の外部から釦頭部14bが押されると、操作軸14aが貫通孔15b内をスライドして、操作軸14aの内端部が本体ケース4内に押し込まれ、この押し込まれた操作軸14aの内端部が時計モジュール10の接点部(図示せず)を押圧してスイッチ動作させるように構成されている。
【0016】
一方、外装ケース5は、
図1〜
図3に示すように、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂によって本体ケース4の上部外周を覆うリング状に形成されている。この外装ケース5は、本体ケース4の上部外周を覆った状態で、本体ケース4の上部に両面粘着テープ16によって取り付けられている。この外装ケース5の外周部には、円弧状の複数の第1切欠き部5aが本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの上部側の外周に対応して設けられている。
【0017】
この場合、複数の第1切欠き部5aそれぞれは、
図2に示すように、下部側が開放された円弧状に形成されている。これにより、外装ケース5は、本体ケース4の上部外周に配置された際に、本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの上部側の外周が複数の第1切欠き部5a内に配置されるように構成されている。また、この外装ケース5の上面には、複数の飾りピース5bが設けられている。
【0018】
ところで、カバー部材3は、
図1〜
図3に示すように、裏蓋8の裏面である下面に配置されるカバー本体17と、本体ケース4の外周に配置される外周カバー部18と、この外周カバー部18における12時側と6時側とに設けられたバンド取付部19と、を備え、これらが合成樹脂によって一体に形成されている。
【0019】
すなわち、このカバー部材3は、
図1〜
図3に示すように、硬質の合成樹脂、例えばポリアミド樹脂にカーボン繊維またはガラス繊維を混入させた剛性の高い硬質の合成樹脂で、好ましくはポリアミド樹脂にガラス繊維を混入させた剛性の高い硬質の合成樹脂で形成されている。このカバー部材3のカバー本体17は、円板状に形成され、複数の第2ビス20によって裏蓋8に取り付けられるように構成されている。
【0020】
すなわち、このカバー本体17には、
図2および
図3に示すように、複数の第2ビス20がリング状の複数の緩衝体21を介して挿入する複数の第2ビス挿入孔17aが設けられている。複数の緩衝体21は、複数の第2ビス20の各ネジ部20aがそれぞれ挿入されて裏蓋8にねじ込まれた際に、複数の第2ビス20の各頭部20bによってカバー本体17の下面に押し当てられるように構成されている。
【0021】
この場合、裏蓋8には、
図2および
図3に示すように、複数の第2ビス20が螺入する複数のネジ孔8dがカバー本体17の複数の第2ビス挿入孔17aに対応して設けられている。これにより、カバー本体17は、複数の第2ビス20がリング状の緩衝体21を介して複数の第2ビス挿入孔17aに挿入されて裏蓋8の複数のネジ孔8dに螺入して締め付けられることにより、裏蓋8に取り付けられるように構成されている。
【0022】
外周カバー部18は、
図2に示すように、カバー本体17の外周に設けられて、本体ケース4の外周を覆うものであり、ほぼリング状に形成されている。この外周カバー部18には、円弧状の複数の第2切欠き部18aが本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの下部側の外周に対応して設けられている。
【0023】
これにより、外周カバー部18は、
図2に示すように、本体ケース4の外周に配置された際に、本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの下部側の外周が複数の第2切欠き部18a内にそれぞれ挿入されて配置されるように構成されている。この場合、外周カバー部18は、その上端部が本体ケース4の上部外周に取り付けられた外装ケース5の外周側の下端部に接近または接触して配置されるように構成されている。
【0024】
また、この外周カバー部18は、
図3に示すように、カバー本体17が裏蓋8の下面に取り付けられて本体ケース4の外周に配置された際に、外周カバー部18の内周面と本体ケース4の外周面とが接近または接触して配置されていても良く、また外周カバー部18の内周面と本体ケース4の外周面との間に、後述するバンド取付部19と本体ケース4との間の隙間S1と同じ隙間(図示せず)をもって配置されていても良い。
【0025】
これにより、外周カバー部18は、
図3に示すように、カバー本体17が裏蓋8の下面に取り付けられて本体ケース4の外周に配置された状態で、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃を外周カバー部18によって緩衝するように構成されている。この場合、外周カバー部18は、その内周面と本体ケース4の外周面との間の隙間によって、本体ケース4の外周面に向けて接近するように撓み変形して、衝撃を緩衝するように構成されていることが望ましい。
【0026】
一方、バンド取付部19は、
図1および
図2に示すように、腕時計ケース1の12時側と6時側とに時計バンド23を取り付けるためのものであり、一対の取付突起部24とバンド受け部25とを備えている。一対の取付突起部24は、外周カバー部18から斜め下側に向けて突出して設けられている。
【0027】
この場合、一対の取付突起部24は、
図1および
図2に示すように、本体ケース4側の内端面が本体ケース4の外周面に接近して配置され、かつ外端部側の下部がカバー本体17の下面よりも下側に位置するように、斜め下側に向けて傾斜して設けられている。
【0028】
また、一対の取付突起部24は、
図3に示すように、本体ケース4側の内端面と本体ケース4の外周面との間に隙間S1が設けられている。この隙間S1は、一対の取付突起部24が下側から衝撃を受けた際に、一対の取付突起部24の内端部を本体ケース4の外周面に接近させるように撓み変形させるためのものである。
【0029】
また、これら一対の取付突起部24は、
図3に示すように、その内端部側の上端部が本体ケース4の上部外周に設けられた外装ケース5の外周部の下端部に接近または接触して配置されている。これにより、一対の取付突起部24は、その外端下部が押し上げられて、一対の取付突起部24が押し上げられるように変形することにより、一対の取付突起部24の内端部が本体ケース4の外周面に向けて接近するように撓み変形するように構成されている。
【0030】
また、バンド取付部19は、
図1および
図2に示すように、一対の取付突起部24の間に時計バンド23の端部が配置された状態で、時計バンド23の端部が連結ピン26によって回転可能に取り付けられるように構成されている。すなわち、一対の取付突起部24には、連結ピン26の両端部が挿入して取り付けられる一対の取付孔24aが同一軸上に対応して設けられている。
【0031】
この場合、連結ピン26は、
図2に示すように、ばね棒であり、時計バンド23の端部に設けられたピン挿入孔23aに挿入され、両端部がピン挿入孔23aから外部に突出し、この突出した両端部が一対の取付突起部24の各取付孔24aに出没可能に挿入することにより、時計バンド23の端部が一対の取付突起部24間に配置された状態で回転可能に取り付けられるように構成されている。
【0032】
バンド受け部25は、
図2に示すように、一対の取付突起部24間に配置された時計バンド23の端部の下面を受け止めるためのものであり、一対の取付突起部24間における下部に一対の取付突起部24と同様に斜め下側に向けて傾斜して設けられている。
【0033】
この場合、バンド受け部25は、
図2に示すように、時計バンド23の長手方向の長さが、一対の取付突起部24の突出長さよりも短く形成されている。このため、時計バンド23は、一対の取付突起部24間に連結ピン26によって取り付けられた状態で、連結ピン26を中心に回転するように構成されている。
【0034】
これにより、バンド取付部19は、
図2に示すように、予め、ばね棒である連結ピン26を時計バンド23の端部のピン挿入孔23aに挿入させて、連結ピン26の両端部をピン挿入孔23aの両側から突出させた状態で、一対の取付突起部24間に配置させる際に、突出した連結ピン26の両端部を連結ピン26の内部に押し込むことにより、一対の取付突起部24間に時計バンド23の端部が配置されるように構成されている
【0035】
また、このバンド取付部19は、
図2に示すように、連結ピン26の両端部が押し込まれて一対の取付突起部24間に時計バンド23の端部が配置された際に、時計バンド23の端部の下面がバンド受け部25上に押し当てられ、この状態で連結ピン26の両端部が一対の取付突起部24の各取付孔24aに対応して挿入されるように構成されている。これにより、時計バンド23は、その端部がバンド取付部19に回転可能に取り付けられている。
【0036】
このため、このバンド取付部19は、
図2および
図3に示すように、腕時計ケース1が裏面側から落下して床などの当接面Tに当接する際に、カバー本体17の下側に突出した一対の取付突起部24の外端下部が当接面Tに当接するので、一対の取付突起部24の外端下部が押し上げられて、一対の取付突起部24が押し上げられるように変形し、これら一対の取付突起部24の内端部が本体ケース4の外周面に向けて接近するように撓み変形して、衝撃を緩衝するように構成されている。
【0037】
次に、このような腕時計の作用について説明する。
この腕時計を組み立てる場合には、まず、ケース部材2を組み立てる。このときには、本体ケース4の上部開口部に、まず、リング状の見切り部材7を配置し、この状態で時計ガラス6をガラスパッキン6aと共に取り付けて、時計ガラス6によって見切り部材7を本体ケース4内に押し付けて固定する。
【0038】
この状態で、本体ケース4の上部外周に外装ケース5を両面粘着テープ16によって取り付ける。このときには、外装ケース5に設けられた円弧状の複数の第1切欠き部5aを本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの上部側の外周にそれぞれ対応させて、複数の第1切欠き部5a内に複数の円筒部15aの各上部側の外周をそれぞれ配置させる。これにより、ケース部材2が組み立てられる。
【0039】
そして、本体ケース4の内部に時計モジュール10を本体ケース4の下側から挿入させて収納する。この状態で、本体ケース4の外周部における2時側、4時側、6時側、8時側、および10時側に設けられた複数の釦取付部15に複数の押釦スイッチ14をそれぞれ取り付ける。
【0040】
このときには、複数の押釦スイッチ14の各操作軸14aを本体ケース4の外部から複数の釦取付部15の各円筒部15aを通して本体ケース4の各貫通孔15b内にそれぞれ挿入させて、複数の押釦スイッチ14の各釦頭部14bを複数の釦取付部15の各円筒部15a内にそれぞれ配置させる。
【0041】
すると、複数の押釦スイッチ14の各操作軸14aの内端部が、本体ケース4内に押し込まれて、本体ケース4内の時計モジュール10の複数の接点部(図示せず)にそれぞれ対応する。これにより、複数の押釦スイッチ14は、時計モジュール10の複数の接点部をスイッチ操作可能な状態で、本体ケース4の複数の釦取付部15にそれぞれ取り付けられる。
【0042】
この後、時計モジュール10の下側に緩衝シート9を配置させて、本体ケース4の下面に裏蓋8を防水リング8aと共に複数の第1ビス8bによって取り付ける。このときには、複数の第1ビス8bを裏蓋8の複数の第1ビス挿入孔8cにそれぞれ挿入させて本体ケース4の下部にネジ込んで締め付ける。これにより、裏蓋8が本体ケース4の下面に取り付けられる。
【0043】
そして、裏蓋8の下面にカバー部材3を取り付ける。この場合には、カバー部材3のカバー本体17を裏蓋8の下面に配置させて、外周カバー部18を本体ケース4の外周に対応させると共に、バンド取付部19を本体ケース4の12時側と6時側とに対応させて配置させる。
【0044】
このときには、外周カバー部18に設けられた複数の第2切欠き部18aを本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの下部側の外周に対応させ、これら複数の第2切欠き部18aに複数の釦取付部15の各円筒部15aにおける下部側の外周をそれぞれ挿入させて配置させる。
【0045】
これにより、本体ケース4の外周面と外周カバー部18の内周面とが接近または接触して配置されるか、あるいは本体ケース4の外周面と外周カバー部18の内周面との間にバンド取付部19の隙間S1と同じ隙間(図示せず)をもって配置される。また、この状態では、外周カバー部18の上端部が本体ケース4の上部外周に取り付けられた外装ケース5の外周側の下端部に接近または接触して配置される。このため、本体ケース4は、その外周が外装ケース5の外周部とカバー部材3の外周カバー部18とによって覆われる。
【0046】
また、このときは、バンド取付部19が本体ケース4の12時側と6時側との外周面に対応して配置される。この場合には、バンド取付部19の一対の取付突起部24の内端面と本体ケース4の外周面との間に隙間S1が設けられると共に、一対の取付突起部24の内端部側の上端部が本体ケース4の上部外周に取り付けられた外装ケース5の外周側の下端部に接近または接触して配置される。
【0047】
そして、カバー本体17に設けられた複数の第2ビス挿入17aを裏蓋8に設けられた複数のネジ孔8dに対応させる。この状態で、複数の第2ビス20をリング状の複数の緩衝体21にそれぞれ挿入させて、複数の第2ビス20に複数の緩衝体21をそれぞれ取り付ける。
【0048】
このときには、複数の緩衝体21が取り付けられた複数の第2ビス20をカバー本体17の複数の第2ビス挿入17aにそれぞれ挿入させて裏蓋8の複数のネジ孔8dに螺合させる。これにより、複数の緩衝体21が複数の第2ビス20の各頭部20bによってカバー部材3のカバー本体17の下面に弾力的に押し当てられ、この状態でカバー部材3が裏蓋8の下面に取り付けられる。
【0049】
この場合には、本体ケースの下面の裏蓋8がカバー本体17によって覆われ、本体ケース4の上部外周が外装ケース5によって覆われ、本体ケース4の外周が外装ケース5の外周部とカバー部材3の外周カバー部18とによって覆われた状態で、腕時計ケース1が組み立てられる。
【0050】
この後、カバー部材3のバンド取付部19に時計バンド23を取り付ける。このときには、まず、連結ピン26を時計バンド23の端部のピン挿入孔23aに挿入させて、連結ピン26の両端部をピン挿入孔23aの両側から突出させる。この状態で、一対の取付突起部24間に配置させる際には、突出した連結ピン26の両端部を連結ピン26の内部に押し込んで、時計バンド23の端部を一対の取付突起部24間に配置させる。
【0051】
このときには、一対の取付突起部24間に配置された時計バンド23の端部の下面をバンド受け部25上に配置させて、連結ピン26の両端部を一対の取付突起部24に設けられた一対の取付孔24aにそれぞれ対応させる。すると、連結ピン26の両端部が時計バンド23の端部の両側から押し出されて一対の取付孔24aにそれぞれ挿入される。これにより、時計バンド23の端部がカバー部材3のバンド取付部19に回転可能に取り付けられ、腕時計が組み立てられる。
【0052】
このような腕時計においては、カバー部材3がケース部材2の外周部を覆って裏蓋8の下面に取り付けられているので、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃がカバー部材3によって緩衝される。このため、カバー部材3によってケース部材2が良好に保護されているので、耐衝撃性が高められる。
【0053】
すなわち、カバー部材3は、腕時計ケース1が裏面側から衝撃を受けた際に、裏蓋8の下面に配置されたカバー本体17によって裏面側の衝撃から裏蓋8および本体ケース4を保護することができる。また、腕時計ケース1が外周側から衝撃を受けた際には、外装ケース5の外周部、および本体ケース4の外周に配置された外周カバー部18とバンド取付部19とによって外周側からの衝撃から本体ケース4を保護することができる。
【0054】
この場合、腕時計が裏面側から落下して床などの当接面Tに当接する際には、カバー部材3のバンド取付部19における一対の取付突起部24の各外端下部が当接面Tに当接して、バンド取付部19が衝撃を受ける。このときには、バンド取付部19の一対の取付突起部24の内端部が本体ケース4の外周面に向けて接近するように、一対の取付突起部24が撓み変形して、衝撃を緩衝する。
【0055】
すなわち、バンド取付部19における一対の取付突起部24の各内端面と本体ケース4の外周面との間に隙間S1が設けられ、かつ一対の取付突起部24の各内端部側の上端部が本体ケース4の上部外周に取り付けられた外装ケース5の外周側の下端部に接近または接触して配置されているので、バンド取付部19における一対の取付突起部24の各外端下部が当接面Tに当接すると、一対の取付突起部24の各外端下部が押し上げられる。
【0056】
このため、バンド取付部19の一対の取付突起部24がカバー本体17の外周部に位置する外周カバー部18の下部を支点として本体ケース4の外周面に向けて接近する方向に撓み変形する。これにより、一対の取付突起部24がその撓み変形によって本体ケース4の外周面に向けて接近するように変形するので、腕時計ケース1の落下による衝撃が緩衝される。このため、腕時計ケース1内の時計モジュール10が衝撃による影響を受けないようにすることができる。
【0057】
この場合、一対の取付突起部24がその撓み変形によって本体ケース4の外周面に向けて接近するように変形して、カバー部材3のカバー本体17が当接面Tに押し当てられた際には、複数の第2ビス20の各頭部20bよって裏蓋8の下面に押し当てられた複数の緩衝部21によって衝撃が緩衝される。
【0058】
また、腕時計ケース1が上方から衝撃を受けた際には、本体ケース4の上部外周に設けられた外装ケース5がウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂によって形成されているので、この外装ケース5によって上方からの衝撃が緩衝されるので、本体ケース4が上方からの衝撃を直接受けないようにすることができる。
【0059】
このように、この腕時計によれば、裏面である下面に裏蓋8が取り付けられたケース部材2と、このケース部材2の外周を覆って裏蓋8の下面に取り付けられ、かつバンド取付部19がケース部材2の外周に対応して設けられたカバー部材3と、を備えていることにより、耐衝撃性の高いものを提供することができる。
【0060】
すなわち、この腕時計では、カバー部材3がケース部材2の外周を覆って裏蓋8の下面に取り付けられているので、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けても、その衝撃をカバー部材3によって緩衝することができ、これによりカバー部材3によってケース部材2を良好に保護することができるので、耐衝撃性の高いものを提供することができる。
【0061】
この場合、この腕時計では、ケース部材2の外周面とこれに対応するカバー部材3のバンド取付部19における内端部との間に隙間S1が設けられていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、ケース部材2の外周面とバンド取付部19の内端面との間の隙間S1によって、バンド取付部19をケース部材2の外周面に向けて良好に変形させることができるので、腕時計ケース1が受けた衝撃をカバー部材3のバンド取付部19によって良好に緩衝することができる。
【0062】
また、この腕時計では、ケース部材2が硬質の本体ケース4とこの本体ケース4の上部外周に設けられた軟質の外装ケース5とを備えていることにより、腕時計ケース1が上方から衝撃を受けた際に、その衝撃を軟質の外装ケース5によって緩衝することができるので、軟質の外装ケース5によって硬質の本体ケース4を良好に保護することができ、これによっても耐衝撃性を確保することができる。
【0063】
また、この腕時計では、隙間S1が本体ケース4の外周面とこれに対応するカバー部材3のバンド取付部19の内端面つまりバンド取付部19の一対の取付突起部24の内端面との間に設けられていることにより、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、ケース部材2の外周面と一対の取付突起部24の内端面との間の隙間S1によって、バンド取付部19の一対の取付突起部24をケース部材2の外周面に向けて変形させることができるので、腕時計ケース1が受けた衝撃をバンド取付部19によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0064】
この場合、この腕時計では、カバー部材3のバンド取付部19における一対の取付突起部24の外端下部がカバー部材3のカバー本体17の下面よりの下側に突出して設けられていることにより、腕時計ケース1が裏面側から落下して、床などの当接面Tに一対の取付突起部24の外端下部が当接して、一対の取付突起部24の外端下部を押し上げるように変形させることができる。
【0065】
このため、この腕時計では、落下による衝撃によって押し上げられた一対の取付突起部24の内端部をケース部材2の外周面に向けて接近させるように、一対の取付突起部24を撓み変形させることができるので、腕時計ケース1が落下によって受けた衝撃をバンド取付部19によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0066】
また、この腕時計では、外装ケース5の外周側の下端部がカバー部材3のバンド取付部19における一対の取付突起部24の各上端部に接近または接触して配置されていることにより、腕時計ケース1が落下による衝撃を受けた際に、外装ケース5によって妨げられることなく、バンド取付部19の一対に取付突起部24をケース部材2の外周面に向けて確実にかつ良好に変形させて、腕時計ケース1が落下によって受けた衝撃をバンド取付部19によって確実にかつ良好に緩衝することができる。
【0067】
さらに、この腕時計では、カバー部材3が裏蓋8に複数の緩衝体21を介して複数の第2ビス20によって取り付けられていることにより、カバー部材3が裏面側から衝撃を受けた際に、その衝撃を複数の緩衝体21によって緩衝することができる。すなわち、カバー部材3のカバー本体17が当接面Tに押し当てられた際には、複数の第2ビス20の各頭部20bよって裏蓋8の下面に押し当てられた複数の緩衝部21によって衝撃を良好に緩衝することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、
図4を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、
図1〜
図3に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、
図4に示すように、外装ケース30が第1実施形態と異なる構造であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構造になっている。
【0069】
すなわち、この外装ケース30は、
図4に示すように、第1実施形態と同様、ウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂によってリング状に形成されている。この場合にも、外装ケース30は、本体ケース4の上部外周を覆った状態で、本体ケース4の上部に両面粘着テープ16によって取り付けられている。
【0070】
この外装ケース30の外周部には、第1実施形態と同様、複数の第1切欠き部5aが本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの上部側の外周に対応して設けられている。これら複数の第1切欠き部5aそれぞれは、下部側に開放された円弧状に形成されている。これにより、外装ケース30は、本体ケース4の上部外周に配置された際に、本体ケース4の複数の釦取付部15における各円筒部15aの上部側の外周が複数の第1切欠き部5a内にそれぞれ配置されるように構成されている。
【0071】
また、この外装ケース30は、
図4に示すように、本体ケース4の外周の上部側を覆う外周部のうち、少なくともバンド取付部19に対応する箇所の外周部の上下方向の長さが、第1実施形態の外装ケース5における外周部の上下方向の長さよりも長く形成されている。これにより、外装ケース30は、その外周側の下端部がバンド取付部19の内端部と本体ケース4との間に挟まれた状態で配置されるように構成されている。
【0072】
すなわち、この外装ケース30は、
図4に示すように、外装ケース30の外周側の下端部がバンド取付部19の一対の取付突起部24における内端部と本体ケース4の外周面との間に設けられた隙間S1の上部側に食い込んで挟まれた状態で配置されるように構成されている。この場合、外装ケース30の外周側の下端部の下側には、隙間S1の空間が設けられている。
【0073】
このような腕時計では、第1実施形態と同様、カバー部材3がケース部材2の外周部を覆って裏蓋8の下面に取り付けられているので、腕時計ケース1が外部から衝撃を受けた際に、その衝撃がカバー部材3によって緩衝される。このため、カバー部材3によってケース部材2が良好に保護されているので、耐衝撃性が高められる。
【0074】
すなわち、カバー部材3は、第1実施形態と同様、腕時計ケース1が裏面側から衝撃を受けた際に、裏蓋8の下面に配置されたカバー本体17によって裏面側の衝撃から裏蓋8および本体ケース4を保護することができる。また、腕時計ケース1が外周側から衝撃を受けた際には、外装ケース5の外周部、および本体ケース4の外周に配置された外周カバー部18とバンド取付部19とによって外周側の衝撃から本体ケース4を保護することができる。
【0075】
この場合にも、腕時計が裏面側から落下してカバー部材3のバンド取付部19における一対の取付突起部24の各外端下部が床などの当接面T上に当接した際には、落下による衝撃によって一対の取付突起部24の各外端下部が当接面Tに当接して押し上げられて、一対の取付突起部24の各内端部が本体ケース4の外周面に向けて接近するように、一対の取付突起部24が撓み変形する。
【0076】
このときには、外装ケース30の外周側の下端部がバンド取付部19の一対の取付突起部24の各内端部と本体ケース4の外周面との間に設けられた隙間S1の上部側に食い込んで挟まれた状態で配置され、かつ外装ケース30の外周側の下端部の下側に隙間S1の空間が設けられるので、一対の取付突起部24がカバー本体17の外周部に位置する外周カバー部18の下部を支点として本体ケース4の外周面に向けて接近する方向に撓み変形する。
【0077】
すなわち、外装ケース30がウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成され、かつ外装ケース30の外周側の下端部がカバー部材3の外周カバー部18の内端部と本体ケース4の外周面との間に挟まれていることにより、腕時計ケース1の落下による衝撃が外装ケース30の外周側の下端部の弾力によって緩衝されるので、腕時計ケース1内の時計モジュール10が衝撃による影響を受けないようにすることができる。
【0078】
このように、この腕時計によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、本体ケース4の外周面とカバー部材3のバンド取付部19の内端面との間に設けられた隙間S1の上部側に外装ケース30の外周部の下端部が食い込んだ状態で配置されていることにより、外装ケース30の外周側の下端部によって腕時計ケース1の落下による衝撃を緩衝することができる。
【0079】
すなわち、この腕時計では、外装ケース30がウレタン樹脂などの軟質の合成樹脂で形成され、かつ外装ケース30の外周側の下端部がバンド取付部19の一対の取付突起部24における各内端部側の上端部とケース本体4の外周面との間に挟まれているので、外装ケース30の外周側の下端部によって腕時計ケース1の落下による衝撃を緩衝することができ、これにより腕時計ケース1内の時計モジュール10が衝撃による影響を受けるのを防ぐことができるので、耐衝撃性を高めることができる。
【0080】
なお、上述した第2実施形態では、外装ケース30の外周側の下端部がバンド取付部19の一対の取付突起部24の各内端部と本体ケース4の外周面との間に設けられた隙間S1の上部側に食い込んで配置されている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば外装ケース30の外周側の下端部を一対の取付突起部24の内端面と本体ケース4の外周面との間の隙間S1の全域に食い込ませて配置させた構造であっても良い。
【0081】
また、上述した第1、第2実施形態では、腕時計が裏面側から落下して床などの当接面Tに当接する場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば腕時計ケース1を卓上などの載置面上に配置させてカバー部材3のバンド取付部19に一対の取付突起部24の各外端下部を載置面上に接触させた状態で、腕時計ケース1が上方から衝撃を受けた場合にも、上述した第1、第2実施形態と同様の作用効果がある。
【0082】
また、上述した第1、第2実施形態では、ケース部材2が硬質の本体ケース4と軟質の外装ケース5、30とで構成されている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば硬質の本体ケースと硬質の外装ケースとで構成されていても良く、また硬質の本体ケースのみで形成されていても良い。
【0083】
また、上述した第1、第2実施形態では、連結ピン26がばね棒である場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば一方の棒状部材に雄ねじ部が設けられ、他方の棒状部材に雌ネジ部が設けられたネジ部材であっても良く、また単純な棒状部材であっても良い。
【0084】
さらに、上述した第1、第2実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯通信機や携帯端末機などの電子機器にも適用することができる。
【0085】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0086】
(付記)
請求項1に記載の発明は、裏蓋が取り付けられたケース部材と、前記ケース部材の外周を覆って前記裏蓋の前記ケース部材側と異なる面に配置され、かつバンド取付部が前記ケース部材の前記外周に対応して設けられたカバー部材と、を備えていることを特徴とするケースである。
【0087】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケースにおいて、前記ケース部材の外周面とこれに対応する前記バンド取付部の内端面との間には、隙間が設けられていることを特徴とするケースである。
【0088】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のケースにおいて、前記ケース部材は、硬質の本体ケースと、前記本体ケースの上部外周に設けられた軟質の外装ケースと、を備えていることを特徴とするケースである。
【0089】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のケースにおいて、前記隙間は、前記ケース部材の本体ケースの外周面とこれに対応する前記バンド取付部の内端面との間に設けられていることを特徴とするケースである。
【0090】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のケースにおいて、前記バンド取付部は、その内端部側の上端部がこれに対応する前記本体ケースの上部外周に設けられた外装ケースの外周部側の下端部に接近または接触して配置されていることを特徴とするケースである。
【0091】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のケースにおいて、前記隙間の少なくとも一部には、前記本体ケースの上部外周に設けられた外装ケースの外周側の下端部が配置されていることを特徴とするケースである。
【0092】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれに記載のケースにおいて、前記カバー部材は、前記裏蓋に緩衝体を介して複数のビスによって取り付けられていることを特徴とするケースである。
【0093】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれに記載されたケースを備えていることを特徴とする時計である。