特許第6890796号(P6890796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890796打設管理システム、打設管理方法及び打設管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890796
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】打設管理システム、打設管理方法及び打設管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20210607BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20210607BHJP
【FI】
   E04G21/02ESW
   G06Q50/08
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-171338(P2016-171338)
(22)【出願日】2016年9月1日
(65)【公開番号】特開2018-35628(P2018-35628A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(73)【特許権者】
【識別番号】516206303
【氏名又は名称】株式会社スカイシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 将希
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】末宗 利隆
(72)【発明者】
【氏名】高屋 英永
(72)【発明者】
【氏名】中西 英勝
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−209801(JP,A)
【文献】 特開2015−052912(JP,A)
【文献】 特開2006−099274(JP,A)
【文献】 特開2005−234664(JP,A)
【文献】 特開2009−157739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/02−21/10
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に関する3次元モデル情報と、前記構造物を構成するオブジェクトに関連付けられた属性情報とを記憶する設計総合情報記憶部と、
作業端末がアクセス可能なデータ記憶部に接続された制御部とを備えた打設管理システムであって、
前記制御部は、
前記設計総合情報記憶部に記憶された前記3次元モデル情報を用いて、コンクリートを打設するリフト領域を特定し、
前記リフト領域を、層毎に分割した階層モデルを生成し、
前記階層モデルをブロック割することにより3次元の区画領域を生成し、
前記階層モデル毎に平面画像を生成し、
同一層における前記平面画像に含まれる各区画領域に対して、前記同一層において異なる色情報を付与し、
前記色情報を付与した区画領域を含む平面画像に対して階層情報を関連付けた層別ファイルを生成して前記データ記憶部に記録し、
前記作業端末から取得した前記区画領域の状況情報を、前記区画領域を含む平面画像の階層情報と前記区画領域の色情報とに関連付けて前記データ記憶部から取得し、取得した前記色情報及び前記階層情報に対応する区画領域を特定して、この区画領域に対応する属性情報として前記状況情報を前記設計総合情報記憶部に記録することを特徴とする打設管理システム。
【請求項2】
前記データ記憶部には、前記平面画像において同じ色情報を有する同一範囲を、1の区画領域として特定し、この色情報と前記階層情報とを前記区画領域に対応付けて記録し、
前記作業端末から前記状況情報を取得した場合には、前記色情報と前記階層情報とにより前記区画領域を特定することを特徴とする請求項1に記載の打設管理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記層別ファイルの生成時に、前記層別ファイルのファイル名に前記階層情報を含ませることを特徴とする請求項1又は2に記載の打設管理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記作業端末から区画領域の打設終了時刻を取得し、
前記取得した前記区画領域の終了時刻に基づいて、未打設の区画領域の打設開始時刻を算出し、
前記打設開始時刻が未打設の区画領域の打設制限時間を超える区画領域について警告情報を出力することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の打設管理システム。
【請求項5】
構造物に関する3次元モデル情報と、前記構造物を構成するオブジェクトに関連付けられた属性情報とを記憶する設計総合情報記憶部と、
作業端末がアクセス可能なデータ記憶部に接続された制御部とを備えた打設管理システムを用いて、前記構造物に関する進捗管理を行なう打設管理方法であって、
前記制御部は、
前記設計総合情報記憶部に記憶された前記3次元モデル情報を用いて、コンクリートを打設するリフト領域を特定し、
前記リフト領域を、層毎に分割した階層モデルを生成し、
前記階層モデルをブロック割することにより3次元の区画領域を生成し、
前記階層モデル毎に平面画像を生成し、
同一層における前記平面画像に含まれる各区画領域に対して、前記同一層において異なる色情報を付与し、
前記色情報を付与した区画領域を含む平面画像に対して階層情報を関連付けた層別ファイルを生成して前記データ記憶部に記録し、
前記作業端末から取得した前記区画領域の状況情報を、前記区画領域を含む平面画像の階層情報と前記区画領域の色情報とに関連付けて前記データ記憶部から取得し、取得した前記色情報及び前記階層情報に対応する区画領域を特定して、この区画領域に対応する属性情報として前記状況情報を前記設計総合情報記憶部に記録することを特徴とする打設管理方法。
【請求項6】
構造物に関する3次元モデル情報と、前記構造物を構成するオブジェクトに関連付けられた属性情報とを記憶する設計総合情報記憶部と、
作業端末がアクセス可能なデータ記憶部に接続された制御部とを備えた打設管理システムを用いて、前記構造物に関する進捗管理を行なう打設管理プログラムであって、
前記制御部を、
前記設計総合情報記憶部に記憶された前記3次元モデル情報を用いて、コンクリートを打設するリフト領域を特定し、
前記リフト領域を、層毎に分割した階層モデルを生成し、
前記階層モデルをブロック割することにより3次元の区画領域を生成し、
前記階層モデル毎に平面画像を生成し、
同一層における前記平面画像に含まれる各区画領域に対して、前記同一層において異なる色情報を付与し、
前記色情報を付与した区画領域を含む平面画像に対して階層情報を関連付けた層別ファイルを生成して前記データ記憶部に記録し、
前記作業端末から取得した前記区画領域の状況情報を、前記区画領域を含む平面画像の階層情報と前記区画領域の色情報とに関連付けて前記データ記憶部から取得し、取得した前記色情報及び前記階層情報に対応する区画領域を特定して、この区画領域に対応する属性情報として前記状況情報を前記設計総合情報記憶部に記録する手段として機能させることを特徴とする打設管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の構築時のコンクリートの打設を管理する打設管理システム、打設管理方法及び打設管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋脚等のコンクリートで構成される構造物を構築する場合に、一度にコンクリートを打設するのではなく、現場の状況に合わせて層状の複数のブロックに分け、下の層から順次打設することがある。この場合、下層の打設からの経過時間が長いと、上層の打設時に不連続面が生じる可能性がある。そこで、コンクリート性状の時間管理が行なわれる(例えば、特許文献1参照。)。この文献には、コンクリートの打重ね時間間隔の管理を行なうためのコンクリートの打重ね時間間隔管理システムが開示されている。この文献に記載された技術では、型枠の上方に配設され、予め設定した時間間隔毎に、型枠内に打設されたコンクリートの形状を捉える形状センサを備える。更に、形状センサから送られたコンクリートの形状データに基づいて、コンクリートの打ち込み領域と、打重ね面に対応する打重ね線とを求める画像処理・演算装置を備える。また、画像処理・演算装置で求めた時間間隔毎の打ち込み領域と打重ね線を表示し、かつ打重ね線の発生からの経過時間が予め設定した警告時間に達すると警告を発する表示装置とを備える。
【0003】
また、打設施工後のコンクリートの品質を維持するためのコンクリート施工管理支援装置も検討されている(例えば、特許文献2参照。)。この文献においては、管理支援の対象とするコンクリートの打設現場におけるコンクリートの受け入れ検査の検査結果を示す受け入れ検査結果情報を入力する。そして、打設後で固化前に、コンクリートに対する欠陥の発生状況の検査結果を示す仕上がり検査結果情報を入力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−114638号公報
【特許文献2】特開2005−234664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日、構造物を設計する場合、設計総合システム(CIM)を用いることがある。設計総合システムにおいては、構造物の3次元モデルデータが蓄積されている。また、打設現場に配置された端末において各種情報が入力され、打設状況を管理することがある。更に、端末において入力された情報を一元管理するために、データサーバを配置することもある。そこで、データベースに記憶された打設状況に関する情報を、設計総合システムにおいても情報共有できれば、コンクリート打設状況を効率的に管理することができる。
【0006】
しかしながら、設計総合システムにおいては、設計した構造物を構成する各オブジェクトに関連付けて、各種属性情報を記憶している。このため、データベースに記録された情報を設計総合システムに反映させるには、この情報が関連付けられたオブジェクトを特定する必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、作業端末で管理されるコンクリート打設情報と設計総合システムで管理される設計情報とを効率的に情報共有するための打設管理システム、打設管理方法及び打設管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
・上記課題を解決する打設管理システムは、構造物に関する3次元モデル情報と、前記構造物を構成するオブジェクトに関連付けられた属性情報とを記憶する設計総合情報記憶部と、作業端末がアクセス可能なデータ記憶部に接続された制御部とを備える。そして、前記制御部は、前記設計総合情報記憶部に記憶された前記3次元モデル情報を用いて、コンクリートを打設するリフト領域を特定し、前記リフト領域を、層毎に分割した階層モデルを生成し、前記階層モデルをブロック割することにより3次元の区画領域を生成し、前記階層モデル毎に平面画像を生成し、同一層における前記平面画像に含まれる各区画領域に対して、異なる色情報を付与し、前記色情報を付与した区画領域を含む平面画像に対して階層情報を関連付けた層別ファイルを生成して前記データ記憶部に記録し、前記作業端末から取得した前記区画領域の状況情報を、前記区画領域の色情報及び階層情報と関連付けて前記データ記憶部から取得し、取得した前記色情報及び前記階層情報に対応する区画領域を特定して、この区画領域に対応する属性情報として前記状況情報を前記設計総合情報記憶部に記録する。これにより、状況情報とともに取得した色情報及び階層情報により区画領域を特定することができる。そして、この区画情報に対応して、取得した状況情報を効率的に設計総合情報記憶部に登録することができる。
【0009】
・上記打設管理システムにおいて、前記データ記憶部には、前記平面画像において同じ色情報を有する同一範囲を、1の区画領域として特定し、この色情報と前記階層情報とを前記区画領域に対応付けて記録し、前記作業端末から前記状況情報を取得した場合には、前記色情報と前記階層情報とにより前記区画領域を特定することが好ましい。これにより、打設管理システムから取得した画像を用いて、色情報及び階層情報に対応する区画領域を特定することができる。
【0010】
・上記打設管理システムにおいて、前記制御部は、前記層別ファイルの生成時に、前記層別ファイルのファイル名に前記階層情報を含ませることが好ましい。これにより、ファイル名から、画像データの階層情報を特定することができる。
【0011】
・上記打設管理システムにおいて、前記制御部は、前記作業端末から区画領域の打設終了時刻を取得し、前記取得した前記区画領域の終了時刻に基づいて、未打設の区画領域の打設開始時刻を算出し、前記打設開始時刻が未打設の区画領域の打設制限時間を超える区画領域について警告情報を出力することが好ましい。これにより、未打設の区画領域において、打設制限時間を超える可能性がある場合には、警告を行なうことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業端末で管理されるコンクリート打設情報と設計総合システムで管理される設計情報とを効率的に情報共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における打設管理システムの構成を説明する構成図。
図2】本実施形態における打設管理システムに記憶されたデータの構成図を示し、(a)は設計総合情報記憶部、(b)は「リフト領域」のオブジェクトの設計総合情報の属性情報、(c)は「区画領域」のオブジェクトの設計総合情報の属性情報。
図3】本実施形態におけるデータサーバの各情報記憶部に記憶された情報の構成図を示し、(a)は性状管理情報記憶部、(b)は打設管理情報記憶部。
図4】本実施形態における領域分割処理を説明する説明図であって、(a)は処理手順を説明する流れ図、(b)は構造物からリフト領域を特定した図、(c)はリフト領域を水平面で分割した図、(d)はブロック割した図、(e)は区画領域の3次元ブロックを生成した図、(f)は層別ファイルを生成した図。
図5】本実施形態における層別ファイルの生成処理を説明する図であって、(a)は処理手順を説明する流れ図、(b)は平面画像、(c)は平面画像の各ブロックに配色を施した状態を示す。
図6】本実施形態における層別ファイルの登録処理の処理手順を説明する流れ図。
図7】本実施形態における打設進捗管理処理の処理手順を説明する流れ図。
図8】本実施形態における各端末に表示される画面の説明図であって、(a)は打設作業端末の画面、(b)管理者端末の画面を示す。
図9】本実施形態における各端末に表示される警告情報を含む画面の説明図であって、(a)は打設作業端末の画面、(b)管理者端末の画面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図9を用いて、打設管理システム、打設管理方法及び打設管理プログラムの一実施形態を説明する。本実施形態では、例えば橋脚等におけるコンクリート打設を管理するシステムとして説明する。本実施形態では、構造物を、同日に打設作業を行なうリフト領域に分割し、このリフト領域を複数の階層(輪切り)モデルに分ける。更に、各階層を複数の区画に分割し、区画毎にコンクリート打設作業を行なう場合を想定する。
【0015】
図1に示すように、打設管理システム10は、ネットワークを介して、データ記憶部としてのデータサーバ20に接続される。打設管理システム10には、管理者端末15が接続される。この管理者端末15は、打設管理を行なう管理者が用いるコンピュータ端末であって、入力部及び表示部を有する。入力部は、キーボードやポインティングデバイスにより構成され、表示部は、ディスプレイにより構成される。
【0016】
(打設管理システム10)
打設管理システム10は、制御部11及び設計総合情報記憶部12を備えている。制御部11は、CPU、RAM、ROM等で構成され、データを用いて後述する処理(領域分割段階、ファイル生成段階及び進捗管理段階等の各処理等)を行なう。そのための打設管理プログラムを実行することにより、打設管理システム10の制御部11は、領域分割部111、ファイル生成部112、進捗管理部115として機能する。
【0017】
領域分割部111は、コンクリートの打設作業を行なうために、構造物を分割する処理を実行する。領域分割部111は、構造物を同日に作業を行なうリフト領域に分割し、このリフト領域を階層に分割し、この階層を区画領域に分割する。
【0018】
ファイル生成部112は、コンクリートの打設作業を管理するためのファイルデータを生成する処理を実行する。
進捗管理部115は、データサーバ20を介して、各作業端末から進捗状況を取得して、打設の進捗状況を管理する処理を実行する。このため、進捗管理部115は、各ブロックの作業所要時間と上層開始時間と許容時間とを記憶している。作業所要時間は、各ブロックのコンクリート打設の所要時間(例えば15分)である。上層開始時間は、打設作業が終了した層と隣接する層の打設を開始するまでの時間である。許容時間は、下層のコンクリート打設の終了から、この下層の直上層のコンクリートの打設開始までの許容時間である。
【0019】
図2(a)に示すように、設計総合情報記憶部12には、建設対象の構造物に関する設計総合情報120が記録される。本実施形態では、設計総合情報120は、調査設計段階から3次元モデルを導入し、施工・維持管理の各段階での3次元モデルに連携・発展させるCIM(Construction Information Modeling)により作成される。この設計総合情報120は、構造物モデル(3次元モデル)を構成する各オブジェクトについて、オブジェクト識別情報、形状情報、ロケーション情報及び属性情報を含んで構成されている。
【0020】
オブジェクト識別情報は、各オブジェクトを特定する情報である。このオブジェクト識別情報には、オブジェクト識別子(オブジェクトを特定するための識別子)、オブジェクト名、オブジェクトのタイプに関する情報が含まれている。タイプ情報には、構造物の部位、リフト領域、打設区画等のオブジェクトの構造種別を識別する情報が含まれている。ここで、リフト領域及び区画領域のオブジェクトは、後述する領域分割処理によって生成される。リフト領域は、作業日毎にコンクリートを打設する領域であり、区画領域は、コンクリートの打設作業を管理する最小単位の領域である。
【0021】
形状情報には、各オブジェクトの3次元モデル(形状、寸法、体積、断面積等)に関する情報が含まれる。ロケーション情報には、このオブジェクトが配置されるロケーションに関する情報が含まれる。このロケーションは、基準位置に対する空間位置情報である。
【0022】
属性情報には、各オブジェクトに関連する属性情報が含まれる。以下に示すように、この属性情報は、「リフト領域」、「区画領域」によって異なる情報が記録される。
図2(b)は、「リフト領域」の設計総合情報120のリフト属性情報121を示している。このリフト属性情報121は、領域分割処理によってリフト領域を特定した場合に記録される。そして、データサーバ20の性状管理情報記憶部22の更新に応じて、リフト属性情報121も更新される。この場合、打設管理システム10の制御部11は、データサーバ20から、更新データとともに取得する作業日(打設日)を含むリフト属性情報121を特定し、このリフト属性情報121のデータ更新を行なう。このリフト属性情報121には、リフト識別子、打設日、天候、工場識別子、配合、運搬車識別子、出荷日時、荷卸開始日時及び荷卸終了日時に関するデータが含まれる。
【0023】
リフト識別子データ領域には、各リフト領域を特定するための識別子に関するデータが記録される。
打設日データ領域には、このリフト領域の打設を行なった年月日に関するデータが記録される。
【0024】
天候データ領域には、この打設日における天候に関するデータが記録される。
工場識別子データ領域には、この打設に用いた生コンクリートを製造したコンクリート工場を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0025】
配合データ領域には、この生コンクリートの成分配合に関するデータが記録される。
運搬車識別子データ領域には、この生コンクリートを運搬した車両(ミキサー車)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0026】
出荷日時データ領域には、この運搬車が、現場に向けてコンクリート工場から出発した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
荷卸開始日時データ領域、荷卸終了日時データ領域は、それぞれ、この運搬車から生コンクリートを作業車に移し替える作業を開始した年月日、終了した年月日に関するデータが記録される。
【0027】
図2(c)は、「区画領域」の設計総合情報120の区画属性情報122を示している。この区画属性情報122は、領域分割処理において、リフト領域を各層及び各ブロックに分割した場合に生成されて記録される。そして、データサーバ20の打設管理情報記憶部23の更新に応じて、区画属性情報122も更新される。この区画属性情報122には、区画識別子、リフト識別子、打設層識別子、関連付けID、打設開始時刻、打設終了時刻、打ち重ね時間、作業車識別子、運搬車識別子に関するデータが含まれる。
【0028】
区画識別子データ領域には、各区画を特定するための識別子に関するデータが記録される。
リフト識別子データ領域には、この区画領域が含まれるリフトを特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0029】
打設層識別子データ領域には、この区画領域が含まれる打設層を特定するための階層情報に関するデータが記録される。
関連付けIDデータ領域には、この区画を特定するための識別子(ID)に関するデータが記録される。本実施形態では、後述するように、関連付けIDとして色情報を用いる。
【0030】
打設開始日時データ領域、打設終了時刻データ領域には、この区画において打設を開始した年月日及び時刻、この打設を終了した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
打ち重ね時間データ領域には、荷卸開始日時から打ち込終了時間までの時間に関するデータが記録される。
【0031】
作業車識別子データ領域には、この区画の打設作業に用いられる作業車(ポンプ車)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
運搬車識別子データ領域には、この生コンクリートを運搬した車両(ミキサー車)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0032】
(各現場における作業端末)
図1に示すように、データサーバ20には、コンクリート工場の出荷作業端末30、現場の到着作業端末41、荷卸作業端末42及び打設作業端末45が、ネットワークを介して接続される。データサーバ20は、打設管理システム10とデータの送受信を行なうサーバコンピュータである。このデータサーバ20は、これら各作業端末(30,41,42,45)に画面データを送信する。
【0033】
出荷作業端末30は、コンクリート工場に設置されており、担当者によって入力された出荷情報をデータサーバ20に送信する。出荷情報には、工場識別子、運搬車識別子、出荷日時及び配合に関するデータが含まれる。
【0034】
工場識別子データ領域には、このコンクリート工場を特定するための識別子に関するデータが記録される。
運搬車識別子データ領域には、この生コンクリートを運搬した車両(ミキサー車)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0035】
出荷日時データ領域には、この運搬車が、現場に向けて工場から出発した月日及び時刻に関するデータが記録される。
配合データ領域には、この工場において生成されたコンクリートの配合に関するデータが記録される。
【0036】
到着作業端末41、荷卸作業端末42及び打設作業端末45は、それぞれ、現場の到着担当者、荷卸担当者、打設担当者が使用する携帯端末(例えばタブレット端末)である。到着担当者は、現場の入口において、ミキサー車の到着を管理する。荷卸担当者は、ミキサー車からポンプ車にコンクリートを移し替える(荷卸)。打設担当者は、打設箇所において、コンクリートの打設作業を行なう。この各作業端末(41,42,45)は、入力部及び表示部としてのタッチパネルディスプレイを備えている。
【0037】
到着作業端末41は、タッチパネルディスプレイに入力された、各運搬車に関する到着情報をデータサーバ20に送信する。この到着情報には、運搬車識別子及び到着日時に関するデータが含まれる。
【0038】
運搬車識別子は、現場に到着した各運搬車(ミキサー車)を特定するための識別子である。
到着日時は、この運搬車が現場に到着した年月日及び時刻である。
【0039】
荷卸作業端末42には、タッチパネルディスプレイに入力された荷卸情報をデータサーバ20に送信する。この荷卸情報には、運搬車識別子、作業車識別子、荷卸開始日時、荷卸終了日時に関するデータが含まれる。
運搬車識別子は、この生コンクリートを運搬した車両(ミキサー車)を特定するための識別子である。
作業車識別子は、この運搬車から生コンクリートを移し替えた作業車(ポンプ車)を特定するための識別子である。
荷卸開始日時、荷卸終了日時は、それぞれ、この運搬車から生コンクリートを作業車に移し替える作業を開始した年月日、終了した年月日である。
【0040】
打設作業端末45は、データサーバ20から取得した層別ファイルに基づいて生成した打設作業画面を、タッチパネルディスプレイに表示する。打設担当者は、この打設作業画面に表示された情報を用いて打設作業を行なう。そして、打設作業状況(担当している区画の打設開始日時、打設終了日時及び打設に用いた作業車識別子)を打設作業端末45に入力する。この場合、打設作業端末45は、入力された打設作業状況を、データサーバ20に送信する。
【0041】
(データサーバ20)
データサーバ20は、性状管理情報記憶部22及び打設管理情報記憶部23を備えている。データサーバ20は、作業端末(30,41,42,45)から各種情報を取得し、性状管理情報記憶部22及び打設管理情報記憶部23のデータを更新し、更新データを打設管理システム10に送信する。性状管理情報記憶部22のデータを更新した場合、データサーバ20は、更新データとともに、作業日(打設日等)に関するデータを打設管理システム10に送信する。
【0042】
図3(a)に示すように、性状管理情報記憶部22には、構造物に使用されるコンクリートの性状を管理する性状管理データ220が記憶されている。この性状管理データ220は、出荷作業端末30から情報を取得した場合に記録される。性状管理データ220には、運搬車識別子、工場識別子、配合、出荷日時、到着日時、荷卸開始日時、荷卸終了日時、打設日、天候、作業車識別子に関するデータが含まれる。
【0043】
運搬車識別子データ領域には、生コンクリートを現場に運搬した運搬車を特定する識別子に関するデータが記録される。
工場識別子データ領域には、この生コンクリートを製造した工場を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0044】
配合データ領域には、この運搬車に乗せた生コンクリートの配合に関するデータが記録される。
出荷日時データ領域には、この運搬車が、現場に向けて工場から出発した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0045】
到着日時データ領域には、この運搬車が現場に到着した年月日及び時刻が記録される。
荷卸開始日時データ領域、荷卸終了日時データ領域は、それぞれ、この運搬車から生コンクリートを作業車に移し替える作業を開始又は終了した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0046】
打設日データ領域には、この運搬車によって運搬された生コンクリートを用いて打設を行なった年月日に関するデータが記録される。
天候データ領域には、この打設日における天候に関するデータが記録される。
作業車識別子データ領域には、この運搬車によって運搬された生コンクリートを使用した作業車(ポンプ車)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0047】
図3(b)に示すように、打設管理情報記憶部23には、打設状況管理データ231と、打設層画像データ232とが記憶されている。これら打設状況管理データ231及び打設層画像データ232は、打設管理システム10から層別ファイル(後述)を受信した場合に記録される。
【0048】
打設状況管理データ231は、現場における打設作業状況を管理するためのデータである。この打設状況管理データ231には、関連付けID、打設層識別子、打設開始日時、打設終了日時、作業車識別子に関するデータが含まれる。
【0049】
関連付けIDデータ領域には、平面画像に含まれる各区画領域を特定するための識別子(ID)に関するデータが記録される。本実施形態では、関連付けIDとして、後述する色情報を用いる。
打設層識別子データ領域には、この区画領域が含まれる打設層を特定するための階層情報に関するデータが記録される。
【0050】
打設開始日時データ領域、打設終了日時データ領域には、この区画において打設を開始又は終了した年月日及び時刻に関するデータが記録される。
作業車識別子データ領域には、この区画の打設作業に用いられた作業車(ポンプ車)を特定するための識別子(作業車識別子)に関するデータが記録される。
【0051】
打設層画像データ232は、打設層毎の平面の画像(平面画像)に関するデータである。この打設層画像データ232は、打設層識別子に関連付けられている。
【0052】
(領域分割処理)
次に、図4図6を用いて、領域分割処理について説明する。この領域分割処理は、コンクリート打設の計画時に実行される。
【0053】
まず、図4(a)に示すように、打設管理システム10の制御部11は、3次元モデルの表示処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部11の領域分割部111は、設計総合情報記憶部12に記憶された設計総合情報120を用いて、構造物の3次元形状を、管理者端末15のタッチパネルディスプレイに表示する。
【0054】
次に、打設管理システム10の制御部11は、リフト割情報の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部11の領域分割部111は、設計総合情報記憶部12において、構造物の形状情報(形状、寸法、体積、断面積等)を取得し、管理者端末15のディスプレイに表示する。管理者は、表示された構造物の形状や体積等に基づいて、打設を行なう打設日のリフト領域を指定する。この場合、領域分割部111は、指定されたリフト領域に対してオブジェクト識別情報、形状情報、ロケーション情報及び属性情報を付与して、設計総合情報記憶部12に記録する。このリフト領域の形状情報及びロケーション情報は、構造物の形状情報及びロケーション情報と、管理者によって指定された領域の形状及びロケーション情報とを用いて生成される。
【0055】
図4(b)に示す構造物50においては、例えば、管理者が、円筒形状の一部をリフト領域60として指定する。この場合には、このリフト領域60をオブジェクトとする設計総合情報120が生成される。
【0056】
次に、打設管理システム10の制御部11は、輪切りモデルの生成処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部11の領域分割部111は、特定したリフト領域を含む分割指示画面を管理者端末15に表示する。この分割指示画面には、リフト領域が、高さ軸とともに3次元で表示される。更に、分割指示画面には、分割実行ボタンが含まれている。そして、管理者は、分割指示画面において、分割する水平面の位置を指定する。ここでは、管理者は、各層の高さが、所定値(例えば50cm)以下であって、ほぼ均等分割となる位置を指定し、分割実行ボタンを選択する。この場合、領域分割部111は、指定された高さ位置を境界面として、リフト領域を各層に分割する。
【0057】
例えば、図4(c)に示すように、リフト領域60を、4つの階層61,62,63,64に分割する。ここでは、円筒形状のリフト領域60が、円筒形状の4つの階層(61〜64)に分割される。
【0058】
次に、打設管理システム10の制御部11は、ブロック割処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部11の領域分割部111は、ステップS1−3で生成した輪切りモデル(階層モデル)の上面図(2次元平面図)において、管理者の指示に応じた個数(範囲)となるように、複数のブロックに分割する。この場合、管理者は、各層の高さを用いて、分割した各ブロックの体積が基準体積以下となるように分割する。
例えば、図4(d)に示すように、水平断面が扇形状の4つのブロックXa,Xb,Xc,Xdに等分割する。
【0059】
次に、打設管理システム10の制御部11は、区画領域の3次元ブロックの生成処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部11の領域分割部111は、特定した4つのブロックXa,Xb,Xc,Xdに応じて各層(61〜64)を分割する。
【0060】
そして、領域分割部111は、分割した各区画(各層の各ブロック)に対して、区画識別子を付与する。そして、領域分割部111は、各区画領域をオブジェクトとする設計総合情報120を生成して、設計総合情報記憶部12に記録する。各区画領域の形状情報及びロケーション情報は、リフト領域の形状情報及びロケーション情報と、各層を分割する境界(水平面)の高さ及び各ブロックを分割する境界の位置とを用いて生成される。
【0061】
そして、属性情報には、この区画の区画識別子及びリフト識別子が記録される。更に、領域分割部111は、この区画領域が含まれるリフト領域における最下層からの順番を特定し、この順番に応じた打設層識別子を、この属性情報に記録する。
【0062】
具体的には、図4(e)に示すように、各層(61〜64)を4つのブロックに分割する。この場合には、各層の各ブロック(区画領域)をオブジェクトとする設計総合情報120が生成されて、設計総合情報記憶部12に記録される。
【0063】
次に、打設管理システム10の制御部11は、層別ファイルの生成処理を実行する(ステップS1−6)。
具体的には、図4(f)に示すように、制御部11のファイル生成部112は、各層の平面画像を含む層別ファイル(71,72,73,74)を生成する。この層別ファイルの生成処理の詳細は、後述する。
【0064】
次に、打設管理システム10の制御部11は、層別ファイルの送信処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部11のファイル生成部112は、生成した層別ファイルを、データサーバ20に送信する。
【0065】
そして、データサーバ20は、層別ファイルの登録処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、データサーバ20は、受信した層別ファイルを、打設管理情報記憶部23の打設層画像データ232として記録する。この層別ファイルの登録処理については後述する。
【0066】
(層別ファイルの生成処理)
次に、図5を用いて、層別ファイルの生成処理(ステップS1−6)について説明する。
【0067】
図5(a)に示すように、まず、打設管理システム10の制御部11は、各層の画像データの生成処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部11のファイル生成部112は、各層(61〜64)の平面画像を生成する。この平面画像においては、構造物の打設部分は各ブロックに分割されている。
【0068】
例えば、図5(b)に示すように、4つのブロック(61a〜61d)を含む階層61を表示した平面画像が生成される。この平面画像としては、カラー画像を用いる。従って、画像を構成する各ピクセル(画素)には、色情報(RGB情報)が関連付けられている。
【0069】
そして、生成した画像データ毎に、以下の処理を繰り返す。
打設管理システム10の制御部11は、同一ブロックに対して色情報の付与処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部11のファイル生成部112は、ステップS3−1において生成した画像に含まれる各ブロックの配色を決定する。この場合、ファイル生成部112は、1つのブロックの領域を示すピクセルに対して、他のブロックとは異なる配色の色情報を付与する。この場合、同一層の各ブロックに対して異なる色情報を付与すればよく、異なる層において同じ色情報を用いることも可能である。
【0070】
そして、ファイル生成部112は、この区画領域の設計総合情報120の区画属性情報122の関連付けIDとして、各ブロック(各区画)に付与した色情報を記録する。
これにより、図5(c)に示すように、各ブロックに、それぞれ異なる配色(図中では、配色を異なる網掛けで示す)を付与された平面画像ファイル(71)が生成される。
【0071】
次に、打設管理システム10の制御部11は、ファイル生成処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部11のファイル生成部112は、配色した平面画像ファイルのファイル名に、この画像の層の打設層識別子(階層情報)を含める。本実施形態では、打設層識別子として、最下層からの順番を用いる。
以上の処理を、各層の画像データ毎に繰り返し行なう。これにより、各層の平面画像を含む層別ファイルが生成される。
【0072】
(層別ファイルの登録処理)
次に、図6を用いて、層別ファイルの登録処理(ステップS2−1)について説明する。
【0073】
まず、データサーバ20は、層別ファイルの記録処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、データサーバ20は、打設管理システム10から、各層の平面画像ファイル(層別ファイル)を取得し、打設層画像データ232として打設管理情報記憶部23に記録する。
【0074】
そして、データサーバ20は、ファイル毎に、以下の処理を繰り返す。
データサーバ20は、色情報を用いて各ブロックの特定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、データサーバ20は、処理対象のファイルに含まれる画像データにおいて、同一色の色情報が付与されたピクセルを特定し、同一色のピクセルの領域を1つのブロックとして特定する。本実施形態では、平面画像において4つのブロックを特定する。
【0075】
次に、データサーバ20は、打設状況管理データの生成処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、データサーバ20は、平面画像ファイル(層別ファイル)のファイル名から打設層識別子を特定し、打設層識別子を含む打設状況管理データ231を生成して、打設管理情報記憶部23に記憶する。更に、データサーバ20は、この打設状況管理データ231の関連付けIDとして色情報を記録する。
【0076】
(打設進捗管理処理)
次に、図7図9を用いて、打設作業中に行なわれる打設進捗管理処理について説明する。この打設進捗管理処理は、コンクリート打設を行なう当日(打設日)に実行される。
【0077】
まず、図7に示すように、打設作業端末45は、打設作業画面の要求処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、打設作業端末45は、打設担当者の打設作業開始指示に応じて、ディスプレイに作業開始画面を表示する。この画面には、打設担当者が打設作業に用いる作業車(ポンプ車)の作業識別子を入力する入力欄が含まれている。作業開始画面に、打設担当者が担当するブロックのコンクリート打設に用いる作業車(ポンプ車)の作業車識別子が入力された場合、打設作業端末45は、この作業車識別子を記憶する。
そして、打設作業端末45は、データサーバ20に対して打設作業画面データの要求を送信する。
【0078】
データサーバ20は、打設作業画面の送信処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、データサーバ20は、打設作業端末45に対して、打設管理情報記憶部23に記憶された各打設層画像データ232を打設作業端末45に送信する。この場合、データサーバ20は、画像に含まれる各ブロックに、関連付けID及び打設層識別子を関連付けた打設層画像データ232を送信する。打設作業端末45は、打設層画像データ232をメモリに記憶する。
【0079】
そして、打設作業端末45は、作業対象層について、以下の処理を繰り返して実行する。ここで、打設作業端末45は、打設層画像データ232を記憶した場合には、最下層(一層目)を、作業対象層として特定する。
【0080】
打設作業端末45は、打設箇所の表示処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、打設作業端末45は、作業対象層及び、この作業対象層の直上層に対応する打設層画像データ232を特定する。そして、打設作業端末45は、これら打設層画像データ232を含む打設作業画面をタッチパネルディスプレイに表示する。
【0081】
図8(a)に示すように、打設作業端末45には、作業対象層L1及びその直上層L2の平面画像を含む打設作業画面100がディスプレイに表示される。打設作業画面100に表示された各層(L1,L2)には、それぞれを特定する打設層識別子が関連付けられている。更に、打設作業画面100において、各層(L1,L2)の各ブロックは、選択可能に表示されている。打設作業画面100においては、各ブロックが選択された場合、このブロックに対して打設開始又は打設終了を指示できるように表示されている。また、各ブロックには、それぞれに対応する関連付けIDが関連付けられている。また、打設作業画面100には、表示層の上層又は下層を閲覧するための表示層変更ボタンが設けられている。
【0082】
そして、打設作業端末45は、打設開始時刻の送信処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、打設作業者は、打設作業端末45の打設作業画面100に表示された作業中の作業対象層L1において、打設作業を開始するブロックを指定し、打設作業開始を指示する。この場合、打設作業端末45は、打設開始日時として、システムタイマから現在日時を取得する。そして、打設作業端末45は、打設開始情報をデータサーバ20に送信する。この打設開始情報には、指定されたブロックの関連付けID、打設作業端末45が記憶している作業車識別子、打設開始日時を含める。
【0083】
データサーバ20は、打設状況の更新処理を実行する(ステップS5−5)。具体的には、データサーバ20は、打設管理情報記憶部23において、打設開始情報の関連付けIDを含む打設状況管理データ231を特定する。データサーバ20は、この打設状況管理データ231に、取得した打設開始日時及び作業車識別子を記録する。そして、データサーバ20は、打設管理情報記憶部23において、打設終了情報の関連付けIDを含む打設状況管理データ231を特定する。データサーバ20は、打設開始情報を打設管理システム10に送信する。打設開始情報には、打設状況管理データ231の関連付けID、打設層識別子、打設開始日時が含まれる。打設管理システム10は、取得した打設開始情報の関連付けID及び打設層識別子を含む区画属性情報122を特定し、この区画属性情報122に、打設開始日時及び作業車識別子を記録する。
【0084】
その後、打設作業端末45は、打設終了時刻の送信処理を実行する(ステップS5−6)。具体的には、打設作業端末45は、打設作業画面100に表示された作業対象層L1において、打設作業を終了するブロックを指定し、打設作業終了を指示する。この場合、打設作業端末45は、打設終了日時として、システムタイマから現在日時を取得する。そして、打設作業端末45は、打設終了情報をデータサーバ20に送信する。この打設終了情報には、指定されたブロックの関連付けID、打設終了日時を含める。
【0085】
データサーバ20は、打設状況の更新処理を実行する(ステップS5−7)。具体的には、データサーバ20は、打設管理情報記憶部23において、打設終了情報の関連付けIDを含む打設状況管理データ231を特定する。そして、データサーバ20は、この打設状況管理データ231に、取得した打設終了日時を記録する。
【0086】
そして、データサーバ20は、更新情報の送信処理を実行する(ステップS5−8)。具体的には、データサーバ20は、更新情報を打設管理システム10に送信する。この更新情報には、打設状況管理データ231の関連付けID、打設層識別子及び打設終了日時を含める。
【0087】
次に、打設管理システム10の制御部11は、打設情報の更新処理を実行する(ステップS5−9)。具体的には、制御部11の進捗管理部115は、設計総合情報記憶部12において、更新情報の打設層識別子及び関連付けIDを含む区画属性情報122を特定する。次に、進捗管理部115は、この区画属性情報122に、取得した打設開始日時及び打設終了日時を記録する。更に、進捗管理部115は、この区画属性情報122の作業車識別子を含むリフト属性情報121を設計総合情報記憶部12において特定し、このリフト属性情報121の荷卸開始日時を特定する。そして、進捗管理部115は、荷卸開始日時から打設終了日時を減算して打ち重ね時間を算出して、区画属性情報122に記録する。
【0088】
次に、打設管理システム10の制御部11は、警告情報があるか否かの判定処理を実行する(ステップS5−10)。ここで、制御部11の進捗管理部115は、荷卸開始日時に打ち重ね制限時間を加算した打ち重ね制限時刻を算出する。次に、進捗管理部115は、この打ち重ね制限時刻と打設終了日時とを比較する。そして、打設終了日時が打ち重ね制限時刻を経過している場合、又は打ち重ね制限時刻まで作業所要時間以下である場合には、警告情報があると判定する。更に、進捗管理部115は、打設終了日時に、上層開始時間を加算して、上層の打設開始予定時刻を算出する。進捗管理部115は、打設開始予定時刻が、許容時間を超える場合には、警告情報があると判定する。
【0089】
ここで、警告情報がないと判定した場合(ステップS5−10において「NO」の場合)、打設管理システム10の制御部11は、表示更新処理を実行する(ステップS5−11)。具体的には、制御部11の進捗管理部115は、更新した区画属性情報122のリフト領域について、管理者端末15のディスプレイに、作業済及び作業中を示す情報を表示する。
【0090】
ここでは、図8(b)に示すように、進捗管理部115は、作業開始が指示され作業終了が指示されていない作業中のブロックW1を黄色で表示し、作業が終了したブロックW2を緑色で表示する。
【0091】
一方、警告情報があると判定した場合(ステップS5−10において「YES」の場合)、打設管理システム10の制御部11は、警告情報の表示・送信処理を実行する(ステップS5−12)。具体的には、制御部11の進捗管理部115は、3次元リフト領域において、警告情報があると判定した区画の領域に注意喚起を付与した画面を、管理者端末15のディスプレイに表示する。
【0092】
ここでは、図9(b)に示すように、進捗管理部115は、制限時刻を経過したと判定された時間経過ブロックW3を赤色で表示する。更に、進捗管理部115は、制限時刻まで作業所要時間以下、又は打設開始予定時刻が許容時間を超えると判定された時間接近ブロックW4をピンク色で表示する。
【0093】
そして、進捗管理部115は、時間経過ブロックと時間接近ブロックを含む打設層の平面画像を生成する。この平面画像には、赤色の時間経過ブロックと、ピンク色の時間近接ブロックとが含まれる。更に、この平面画像ファイルのファイル名には、この打設層の階層情報が含まれる。
【0094】
そして、データサーバ20は、警告情報の転送処理を実行する(ステップS5−13)。具体的には、データサーバ20は、警告情報を含む平面画像ファイルを、各打設作業端末45に送信する。
【0095】
そして、打設作業端末45は、警告箇所の表示処理を実行する(ステップS5−14)。具体的には、打設作業端末45は、データサーバ20から取得した平面画像を、打設作業画面100に表示する。なお、表示されていない層に警告情報がある場合には、その旨を打設作業画面100に表示する。
【0096】
具体的には、図9(a)に示すように、打設作業端末45の打設作業画面100には、時間経過ブロックW3が赤色に変更され、時間接近ブロックW4がピンク色で表示される。
【0097】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態において、打設管理システム10の制御部11は、層別ファイルの生成処理において、層別の平面画像において、同一ブロックに対して色情報の付与処理を実行する(ステップS3−2)。これにより、色情報を関連付けIDとして用いて、データサーバ20から取得する打設作業情報を「区画領域」のオブジェクトの属性情報として、設計総合情報記憶部12に効率的に記録することができる。
【0098】
(2)本実施形態において、データサーバ20は、各ブロックの特定処理(ステップS4−2)において、画像データにおいてブロックの範囲を色情報から特定する。これにより、画像データにおいて同じ色情報を有する同一範囲を、1の区画領域として特定することができる。
【0099】
(3)本実施形態において、打設管理システム10の制御部11は、ファイル生成処理(ステップS3−2)において、配色した平面画像ファイルのファイル名に、この画像の層の打設層識別子(階層情報)を含める。これにより、ファイル名から、画像の打設層識別子を特定することができる。
【0100】
(4)本実施形態において、打設管理システム10の制御部11は、打設情報の更新処理(ステップS5−9)を実行した後、警告情報があるか否かを判定する(ステップS5−10)。ここで、警告情報がないと判定した場合(ステップS5−10において「NO」の場合)、打設管理システム10の制御部11は、表示更新処理を実行する(ステップS5−11)。これにより、管理者は、現在の打設状況をリアルタイムで把握することができる。
【0101】
(5)本実施形態において、警告情報があると判定した場合(ステップS5−10において「YES」の場合)、打設管理システム10の制御部11は、警告情報の表示・送信処理を実行する(ステップS5−12)。これにより、管理者端末15のディスプレイに、注意喚起が必要なリフト領域が表示されるので、管理者が、打設作業についての警告を把握することができる。更に、打設作業端末45は、警告箇所の表示処理を実行する(ステップS5−14)。従って、打設担当者においても、打設作業についての警告を把握することができる。
【0102】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、打設管理システム10が、警告情報があると判定した場合(ステップS5−10において「YES」の場合)、打設管理システム10から取得した警告情報を用いて打設作業端末45は、警告箇所の表示処理を実行する。打設管理システム10が警告情報の判定及び送信処理を行なう代わりに、データサーバ20が警告情報の判定及び送信処理を行なってもよい。具体的には、データサーバ20は、更新情報の送信処理(ステップS5−8)を実行した後、性状管理情報記憶部22及び打設管理情報記憶部23に記録された情報を用いて警告情報があるか否かを判定する。そして、データサーバ20は、警告情報があると判定した場合には、打設作業端末45に警告情報を送信し、警告箇所の表示処理を実行させる。これにより、打設管理システムとデータサーバ20との通信状況とは関係なく、打設作業端末45に対して迅速に警告情報を出力することができる。
【0103】
・上記実施形態においては、打設管理システム10は、警告情報の表示・送信処理(ステップS5−12)において、3次元リフト領域において、警告情報があると判定した区画の領域に注意喚起を付与した画面を出力した。これに加えて、警告情報があると判定した区域が見やすくなるように、3次元リフト領域の視野角度を変更してもよい。具体的には、打設管理システム10は、リフト領域の3次元モデルにおいて、警告情報が設定された区域が、正面になるように視点を配置した画面を生成する。
【0104】
・上記実施形態においては、打設管理システム10は、ブロック割処理(ステップS1−4)を実行した後、区画領域の3次元ブロック生成処理(ステップS1−5)を実行した。リフト領域を水平面で分割した階層モデルが、同一形状でない場合には、個々の階層において、それぞれ3次元ブロックを生成してもよい。
【0105】
・上記実施形態においては、打設管理システム10は、警告情報があるか否かの判定処理(ステップS5−10)において、打設作業が終了した階層の上層の打設開始予定時刻を用いて判定した。警告情報があるか否かを判定する区画領域は、打設作業が終了した区画領域の上層の区画領域に限られず、打設作業が終了した周囲の未打設の区画領域であってもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…打設管理システム、11…制御部、12…設計総合情報記憶部、15…管理者端末、20…データサーバ、22…性状管理情報記憶部、23…打設管理情報記憶部、30…出荷作業端末、41…到着作業端末、42…荷卸作業端末、45…打設作業端末、50…構造物、60…リフト領域、61,62,63,64…階層、111…領域分割部、112…ファイル生成部、115…進捗管理部、120…設計総合情報、121…リフト属性情報、122…区画属性情報、220…性状管理データ、231…打設状況管理データ、232…打設層画像データ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9