特許第6890800号(P6890800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890800
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20210607BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B65D5/44 D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-79183(P2018-79183)
(22)【出願日】2018年4月17日
(65)【公開番号】特開2019-182534(P2019-182534A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2020年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518134839
【氏名又は名称】株式会社大和紙工業
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】鵜野 幸治
(72)【発明者】
【氏名】浦野 正雄
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−149453(JP,A)
【文献】 特開平09−039368(JP,A)
【文献】 特開2004−269032(JP,A)
【文献】 米国特許第05632402(US,A)
【文献】 特開2000−318892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の包装箱形成片から成り、収容物を覆う側面と、前記側面に糊付けして所定形状に組み立てる接着領域が設けられた包装箱において、
前記包装箱形成片は、紙基材の表側面に金属の蒸着層を有する蒸着フィルムによる光沢部が帯状に設けられた部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙からなり、
前記接着領域のうちの一部が前記包装箱形成片の両端部の差込片に設けられ、前記光沢部の長手方向と直交する方向の前記紙基材は、前記光沢部よりも幅広で側方にはみ出す幅に形成され、前記差込片の前記紙基材が前記光沢部から外側にはみ出し、
前記包装箱形成片の前記差込片の、前記光沢部の側方にはみ出した前記接着領域は、前記部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙前記紙基材が露出した部分であり、前記差込片の前記接着領域以外の前記包装箱形成片の部分は前記光沢部からなることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸着フィルムが貼り付けられた部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙により形成された包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙から一体的に打ち抜かれた箱体形成片を折り曲げて糊付けし、組み立てられた包装箱がある。この様な包装箱には、外側面に、金属のような光沢を有する蒸着フィルムを貼り、装飾性、美粧性、意匠性に優れたものがある。また蒸着フィルムはガスバリアー性が高いため、液体を収容する包装箱の内側面に貼り、液体収容物の品質を保つものがある。しかし、蒸着層は表面が平滑であるため、接着剤が付きにくく、高い接着強度が得られないという問題があり、包装箱の糊付部分の蒸着層を除去する方法が考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている包装用容器は、所定形状のブランク板を折り曲げて糊付けして組み立てられている。ブランク板は、包装用容器の内面側から順に、蒸着層、熱可塑性樹脂層、紙層にポリエチレン層が積層された基材層、印刷層が積層された構成である。ブランク板の、組み立てる際に糊付けされる熱接着領域は、蒸着層が除去されている。蒸着層は、熱可塑性樹脂層に、熱接着領域を除いた所定のパターンに形成され、熱可塑性樹脂層とともに基材層に取り付けられている。熱可塑性樹脂層に、蒸着層を所定のパターンに形成する方法は、蒸着層を形成する必要のない領域に、水溶性インキを使用して印刷により水溶解層を形成し、水溶解層を形成した熱可塑性樹脂層の全面に金属ないしは金属酸化物を蒸着してから、水溶解層を溶解除去するものである。
【0004】
また、特許文献2に開示されている装飾性紙カップは、カップの胴部を形成する胴部材シートを、筒状にして端縁どうしを重ね合わせて接着して組み立てられている。胴部材シートは、カップの内側面から順に、熱接着性樹脂層、紙基材、アルミ蒸着層、エンボスホログラムフィルムが積層された構成である。胴部材シートの、接着される端縁の一方の接着部は、アルミ蒸着層が除去されている。アルミ蒸着層は、エンボスホログラムフィルムに、接着領域を除いた所定のパターンに形成され、エンボスホログラムフィルムとともに紙基材に取り付けられている。エンボスホログラムフィルムにアルミ蒸着層を所定のパターンに形成する方法は、マスキング加工法、酸アルカリ抜き加工法、水洗い抜き加工法のいずれかの加工方法によって設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−193497号公報
【特許文献2】特開2006−151434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景技術の場合、蒸着層を接着領域から除去する方法は、マスキング加工法、酸アルカリ抜き加工法、水洗い抜き加工法等で行っており、工数が多く、時間と手間がかかるものであり、製造コストも高くなるものである。
【0007】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な方法で製造され、装飾性、美粧性、意匠性に優れ、また接着領域の糊付け強度が高い部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙により形成された包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に用いられる部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙は、所定形状にカットされた紙基材で形成され、前記紙基材の表側面には、金属のような光沢を有する光沢部が帯状に形成され、前記光沢部以外の部分は前記紙基材が露出しているものである。前記光沢部は、金属の蒸着層を有する蒸着フィルムが貼られたものである。
【0009】
また、前記光沢部は、複数が互いに平行に設けられ、前記一対の光沢部は、前記紙基材が露出するスリット部で区切られている。
【0010】
本発明に用いられる部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙は、金属の蒸着層を有する蒸着フィルムに、前記蒸着フィルムの原反ロールから引き出しながらカッターを接触させて長手方向に沿って切断線を形成し、前記蒸着フィルムの、前記切断線の片側部分を不要部として除去し、残りの必要部のみを、所定形状にカットされた紙基材の表側面に貼り付けて、平滑で光沢を有する光沢部を前記紙基材の前記表側面に、帯状に形成するものである。
【0011】
また、前記紙基材は、複数枚を連続して供給し、連続して供給された前記紙基材に前記蒸着フィルムが引き出されながら貼られる多列貼加工を行う。また、前記切断線を複数本形成し、前記不要部は一対の前記切断線で周囲から区切られたテープ状となり、前記紙基材の、前記不要部が除去された部分は前記紙基材が露出するスリット部となり、前記複数の光沢部は前記スリット部で区切られる。
【0012】
本発明は、一枚の包装箱形成片から成り、収容物を覆う側面と、前記側面を糊付けして所定形状に組み立てる接着領域が設けられた包装箱である。前記包装箱形成片は、紙基材の表側面に金属の蒸着層を有する蒸着フィルムが帯状に設けられた部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙からなり、前記包装箱形成片の前記接着領域のうちの一部は、前記部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙の前記光沢部以外の前記紙基材が露出する部分からなり、前記一部の接着領域以外の部分は前記光沢部からなる。また、前記包装箱形成片は、前記包装箱形成片から、帯状の前記光沢部に沿って複数枚を並べて打ち抜かれたものである。前記一部の接着領域が前記光沢部の外側に位置するように打ち抜かれている。
【0013】
前記接着領域のうちの一部が前記包装箱形成片の両端部の差込片に設けられ、前記光沢部の長手方向と直交する方向の前記紙基材は、前記光沢部よりも幅広で側方にはみ出す幅に形成され、前記差込片の前記紙基材が前記光沢部から外側にはみ出し、前記差込片の、前記光沢部の側方にはみ出した前記接着領域は、前記部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙の前記紙基材が露出した部分である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙により形成された包装箱は、簡単な方法で製造され、装飾性、美粧性、意匠性に優れ、紙基材が露出した差込片の接着領域の糊付強度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙の正面図である。
図2】この実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙の製造方法を示す斜視図である。
図3】この実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙の製造方法を示す正面図である。
図4】この実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙のその他の製造方法を示す正面図である。
図5】この実施形態の包装箱形成片を示す正面図である。
図6】この実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙と包装箱形成片を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10は、一方向に僅かに長い紙基材12で形成されている。
【0017】
紙基材12の表側面12aには、金属のような光沢を有する光沢部14が部分的に形成されている。光沢部14は、紙基材12の長手方向に沿って帯状に形成され、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の長手方向に交差する一対の側縁部10aに達している。光沢部14は同じ幅の帯状に3本設けられ、光沢部14同士の間に位置する2個のスリット部16は紙基材12が露出し、また互いに等しい幅である。部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の長手方向に沿う一対の側縁部10bと、光沢部14の間の両側部17も、紙基材12が露出している。光沢部14の長手方向と直交する幅は、後述する包装箱形成片20の、一対の差込片52を除く長さであり、図5に示すように包装箱形成片20を光沢部14に沿って並べた時に、一対の蓋片48を含み一対の差込片52は、外側にはみ出すものである。スリット部16の幅は差込片52が2個、両側から突出して並べた長さよりも僅かに広く形成されている。
【0018】
光沢部14は、蒸着フィルム18が紙基材12に貼られて形成されている。蒸着フィルム18は、PET樹脂やPVA樹脂のフィルムにアルミニウム等の金属又は金属酸化物を蒸着させたものである。蒸着フィルム18は、金属のような光沢を有し、上述のような問題があるが、装飾性、美粧性、意匠性に優れている。
【0019】
次に、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の製造方法について、図2図3に基づいて説明する。紙管等に蒸着フィルム18を巻き回した原反ロール70が回転可能に保持されている。蒸着フィルム18は、原反ロール70に巻かれた状態の外側面に、熱圧で接着する接着剤であるヒートシール剤が予め取り付けられている。原反ロール70の近傍に、原反ロール70の軸方向に平行な一対のローラ72,74が設けられ、原反ロール70から引き出された蒸着フィルム18を略水平方向に転向している。
【0020】
一対のローラ72,74の間には、蒸着フィルム18を切断するカッター76が設けられている。カッター76は、蒸着フィルム18の幅方向の所定位置に、蒸着フィルム18の上流側に向かう5枚の刃が設けられ、蒸着フィルム18が走行することにより、長手方向に沿って5本の切断線78を形成する。切断線78の位置は、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の光沢部14とスリット部16の境界に位置する。5枚の刃のうちの1枚は、蒸着フィルム18を所定寸法にするためフィルム端近辺に位置し、他の4枚の刃の位置は、互いに幅が狭い一対の刃が2組となり、2組の一対の刃の位置は、蒸着フィルム18の端部を切って所定寸法になった幅を3等分する等間隔の2か所である。
【0021】
切断線78が形成された蒸着フィルム18は、ローラ74を通過して原反ロール70の軸方向に平行な熱圧ローラ80に巻き回されて下方に向かい、次に反転し、熱圧ローラ80と、熱圧ローラ80の下方に位置するローラ82に挟まれて紙基材12に貼り付けられる。紙基材12は、図示しない給紙部から、熱圧ローラ80とローラ82の間に連続して供給され蒸着フィルム18が連続して貼られ、多列貼加工される。紙基材12は、熱圧ローラ80とローラ82に蒸着フィルム18とともに送られて蒸着フィルム18が貼り付けられ、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10が製造される。部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の一対の側縁部10aは部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の流れ方向に対して略直角に位置し、一対の側縁部10bは、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の流れ方向に対して略平行であり、光沢部14は帯状に側縁部10bに対して平行に設けられる。蒸着フィルム18の、5本の切断線78のうち、幅が狭い一対の切断線78の内側に位置する部分と蒸着フィルム18の端縁部は、紙基材12に貼着しない不要部18aであり、蒸着フィルム18が熱圧ローラ80に巻き回される工程でその周囲の必要部18bから離されて取り除かれている。不要部18aはテープ状であるため図示しないローラで巻き上げて廃棄してもよい。紙基材12に貼着されるのは、蒸着フィルム18から不要部18aを除いた必要部18bのみである。所定幅の蒸着フィルム18は、熱圧ローラ80に巻き回されて下方に向かい、次に反転して紙基材12に貼り付けられ、この後、各紙基材12毎に蒸着フィルム18を切断して、各々の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10が製造される。
【0022】
なお、蒸着フィルム18に、熱圧で接着するヒートシール剤が予め設けられていない場合は、図4に示すように、切断線78を形成しローラ74を通過した後、蒸着フィルム18の片面に、接着剤84を塗布用ローラ86で塗布し、図示しない乾燥部を通過して乾燥させる。次に熱ロール88に巻き回して接着剤を溶かし、また不要部18aを取り除く。不要部18aが除去された必要部18bは、次に圧ロール90に巻き回されて下方に向かい、次に反転して紙基材12に貼り付けられ、この後、各紙基材12毎に蒸着フィルム18を切断して、各々の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10が製造される。
【0023】
なお、紙基材12に蒸着フィルム18を上記のように多列貼加工を行うときは、蒸着フィルム18の蛇行(位置の偏り)を発生させないようにして、コストアップにならないように、所定のスピードで加工する。光沢部14の鏡面の平滑度を確保できる最適の温度、圧力、スピード条件は、既存の接着方法により適宜選択することができる。また、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の、必要な部分には、オフセット印刷により印刷部62を形成する。印刷部62は、光沢部14、スリット部16、両側部17のいずれに設けてもよい。印刷部62は、商品名、メーカー名、商品についての説明等を表示する文字や、装飾用の絵柄等である。
【0024】
次に、この様に製造された部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10を打ち抜いて、図5に示す包装箱形成片20を形成する。図5は、包装箱形成片20を表面から見た展開図であり、包装箱形成片20は、側面22,24,26,28が、互いに平行に連接して形成されている。側面22の側縁部には、包装箱形成片20の組立状態で側面28の裏側面に糊付けされる接着領域である糊付片30が設けられている。側面22,24,26,28、糊付片30は、各々折罫線32,34,36,38で区切られている。
【0025】
側面22において、側面同士の連接方向に対して直角な方向の1個の端部22a近傍には、開封用破断線40が設けられている。開封用破断線40は、端部22aから離れる方向に膨出するコの字形で形成され、開封用破断線40と端部22aで囲まれた矩形の部分は、包装箱形成片20を組み立てて作った包装箱を開封する際の押し部42となる。端部22aの反対側の端部22bは、自立しやすいように中央部分が僅かに外側に突出する凸型に形成されている。
【0026】
側面24の、側面22の端部22a,22bから連なる一対の端部には、小さい矩形のフラップ44が、折罫線46で区切られて各々設けられている。
【0027】
側面26の、側面24の折罫線46から連なる一対の端部には、矩形の蓋片48が折罫線50で区切られて各々設けられている。さらに、各蓋片48の折罫線50と反対側の端部には、差込片52が折罫線54で区切られて設けられている。各差込片52のほぼ中央には、接着強度を高めるための破断線56が形成されている。破断線56は紙基材12の表側面から紙基材12の厚みの途中まで切断するハーフカットで形成され、5本の直線が互いに平行に等間隔に並んで形成されている。なお一対の折罫線50の、側面22の端部22b側に位置する方は、紙基材12の厚みを貫通してカットする破断線で設けてもよい。
【0028】
側面28の、側面26の折罫線50に隣接する一対の端部には、フラップ44と同形状のフラップ58が折罫線60で区切られて各々設けられている。
【0029】
包装箱形成片20は、図6に示すように、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10を包装箱形成片20の形に打ち抜いて設けられる。部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10の光沢部14の長手方向に対して、包装箱形成片20の側面同士の連接方向が平行となるように、並べられて打ち抜く。一対の差込片52は、光沢部14から外側にはみ出し、光沢部14以外のスリット部16または両側部17から打ち抜かれ、紙基材12の表側面12aが露出する。包装箱形成片20の、それ以外の部分には、紙基材12の表側面12aに蒸着フィルム18が貼り付けられる。差込片52の、蓋片48に接する部分には、光沢部14が蓋片48から連続して設けられている。包装箱形成片20の、側面22,26の任意の位置には、光沢部14の表面にオフセット印刷した印刷部62が設けられている。
【0030】
次に、この実施形態の包装箱形成片20から包装箱を組み立てる方法の一例について説明する。なお、ここでは図5が包装箱形成片20の表面を見たものであり、表面の大部分には光沢部14が設けられ、差込片52には光沢部14が設けられず紙基材12の表側面12aが露出している。なお裏面は、紙基材12の裏側面12bである。包装箱形成片20の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
【0031】
まず、糊付片30の蒸着フィルム18側の表面に、蒸着フィルム用の糊64を塗布する。糊64は、折罫線32に沿って長く塗布する。そして、折罫線34を正折りし、次に折罫線38を正折りする。これにより、側面28の裏面は糊64により糊付片30の表面に糊付けされ、折り畳み状態となり、この状態で包装箱形成片20による折り畳み状態の包装箱が出荷される。糊64は、蒸着フィルム用であり、糊付片30の蒸着フィルム18と側面18の裏面に広い面積で、強い圧力をかけて、強固に接着することができる。
【0032】
次に、収容物を収容し包装する工場等において、折罫線32,34,36,38を各々90°に正折りし、側面22,24,26,28を四角形の筒体にする。そして、筒体の一方の開口部において折罫線46,60でフラップ44,58を90°に正折りする。そして、差込片52の表面に破断線56を含む範囲に紙用の糊66を塗布し、蓋片48を折罫線50で90°に正折りし、更に差込片52を折罫線54で正折りして、差込片52を側面22の端部22aまたは端部22bから内側に差し込んで、側面22の裏面に糊66で糊付けする。これにより筒体の一方の端部を閉鎖する。
【0033】
この状態で、反対側の端部開口から収容物を中に入れる。そして、他方の端部と同様に、差込片52の差込片52の表面に破断線56を含む範囲に糊66を塗布し、蓋片48を折罫線50で90°に正折りし、更に差込片52を折罫線54で正折りして、差込片52を側面22の端部22aまたは端部22bから内側に差し込んで、側面22の裏面に糊66で糊付けする。これにより筒体の他方の端部を閉鎖し、包装箱による包装作業が終了する。包装箱は、外側全面に蒸着フィルム18により金属のような光沢が取り付けられる。
【0034】
なお、包装箱を組み立てる順番は、これ以外でも良い。糊66は、最初に側面22の裏面に塗布され、その後差し込まれた差込片52に接着されてもよい。差込片52は紙基材12が露出しているため、側面22の裏面の紙基材12に高い接着強度で糊付けされる。紙用の糊66で接着可能であり、蒸着フィルム用の糊を使用する必要がなく、熱圧着工程も不要である。差込片52は蓋片48に沿う所定幅の矩形の部分まで、光沢部14が蓋片48から連続して設けられているため、折罫線54を正折りして差込片52を側面22の裏側面に糊付けした際に端部22aから僅かに見える部分まで光沢部14が設けられ、外観が良好である。
【0035】
この実施形態の部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10により形成された包装箱によれば、簡単な方法で製造され、蒸着フィルム18により光沢部14が形成され、装飾性、美粧性、意匠性に優れた包装箱を作ることができる。包装箱は、外側全面に、蒸着フィルム18により金属のような光沢が取り付けられ、装飾性、美粧性、意匠性に優れている。接着領域である差込片52は蒸着フィルム18が除去され、紙基材12が露出し、確実に側面22に糊付けすることができる。差込片52の接着強度が高いため、蓋片48は確実に閉鎖される。差込片52の糊付には、蒸着フィルム用の糊を使用する必要がなく、熱圧着工程も不要である。特に、差込片52には、広い範囲に糊66を塗布することが難しく、糊付け後強い圧力を掛けることもできないが、破断線56を含む範囲のみで良好に糊付けし、差込片52を確実に封緘することができる。
【0036】
部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10は、蒸着フィルム18が貼られた光沢部14と、紙基材12が露出するスリット部16と両側部17が帯状に形成され、包装箱形成片20を打ち抜く際に接着領域をスリット部16又は両側部17から取ることで、蒸着フィルム18のない部分を簡単に形成することができる。部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙10は、蒸着フィルム18を原反ロール70から引き出しながら連続して紙基材12に貼着するため、効率よく製造することができる。
【0037】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙の形状や、光沢部の形状は、形成する包装箱形成片に合わせて適宜変更可能である。包装箱の形状は変更可能であり、また箱体以外でも良い。蒸着フィルムを除去する接着領域は、差込片以外でも良く、側面の側方に位置する糊付片の蒸着フィルムを除去しても良い。
【符号の説明】
【0038】
10 部分蒸着フィルム付き包装箱用台紙
12 紙基材
12a 表側面
14 光沢部
16 スリット部
18 蒸着フィルム
18a 不要部
18b 必要部
20 包装箱形成片
22,24,26,28 側面
52 差込片
70 原反ロール
76 カッター
78 切断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6