(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電力会社の変電所等では、油遮断器や油入変圧器等の高圧絶縁油(以下、絶縁油とも称する。)が充填された電力機器(以下、油入電力機器又は機器とも称する。)が用いられる。油入電力機器に充填される絶縁油は、機器の冷却と電気的絶縁のために、絶縁油用配管(以下、単に配管とも称する。)を用いて循環される。
【0003】
2本の配管同士の接続には、一般に、ボルトナットで締め付けたフランジが用いられる。この際、配管の接続部からの漏油を防ぐために、2個のフランジの当接面には、NBR(ニトリルゴム:Acrylonitrile Butadiene Rubber)等のガスケットを介在させる。しかし、ガスケットは、機器の発熱や、機器設置環境の−20℃以下から+30℃以上に及ぶ温度変化等により劣化する場合がある。ガスケットの劣化は、接続部からの漏油の一因となる。ここでは、接続部を、フランジと、フランジを締結するボルトナットとを含めたものとして説明する。
【0004】
もちろん、劣化したガスケットを新品に交換すれば漏油を止めることができる。しかし、ガスケットの交換には、一旦配管を取り外す必要があるため、交換作業の間、電力機器を停止せざるを得ない。そこで、従来から、機器を運転した状態でフランジ部からの漏油を止める技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0005】
特許文献1には、漏油が生じているフランジ部全体を薄いフィルムで何重にも被覆し、このフィルムの上からコーキング剤を塗布して硬化させることで漏油を止める技術が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ボルト及びナットとフランジ座面との間に、雌ネジが形成されたゴム製ナットをそれぞれ介在させることで、ボルトナットのネジ溝を介する漏油を止める技術が開示されている。
【0007】
特許文献3には、フランジ締結用のボルトナットからの漏油を止めるために、充填剤を満たした状態のフランジのボルト孔に、ボルトを挿通してナットで締め付ける技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0016】
(漏油阻止キット)
図1及び
図2を参照して、漏油阻止キットについて説明する。この漏油阻止キットは、絶縁油の配管、例えば、漏油が発生する可能性が高い、配管の接続部に取り付けられる。
【0017】
漏油阻止キットは、内側容器100と外側容器200を備えて構成される。
【0018】
内側容器100は、下側底板部110と、内側側板部120とを備えて構成される。内側側板部120は、下側底板部110の周縁部から同一方向に延在する。下側底板部11
0と、内側側板部120で囲まれる空間として内側収容部が構成される。内側側板部120には、下側底板部110とは反対側の辺(開放端)132から下側底板部110に向けて、N個(Nは1以上の整数)のU字状の内側切欠部130が設けられている。
【0019】
また、外側容器200は、上側底板部210と、外側側板部220とを備えて構成される。外側側板部220は、上側底板部210の周縁部から同一方向に延在する。上側底板部210と、外側側板部220で囲まれる空間として外側収容部が構成される。外側側板部220には、上側底板部210とは反対側の辺(開放端)232から上側底板部210に向けて、N個のU字状の外側切欠部230が設けられている。
【0020】
外側収容部内に、内側容器100が収容可能である。内側容器100が、外側収容部内に収容されているとき、内側側板部120と、外側側板部220とで、側板部20が構成される。また、このとき、N個の内側切欠部と、N個の外側切欠部が対応する。言い換えると、N個の内側切欠部の一部と、N個の外側切欠部の一部とが重なる。これにより側板部20には、N個の内側切欠部と、N個の外側切欠部とにより、N個の円形状の開口部30が形成される。
【0021】
ここでは、内側切欠部及び外側切欠部がU字状であり、開口部が円形状の例を説明するが、これに限定されない。この漏油阻止キットを取り付ける配管の外形に応じて、開口部が、円形状、楕円形状、又は、矩形状となるように、内側切欠部及び外側切欠部を形成してもよい。開口部の形状は、内側切欠部及び外側切欠部の開放端とは反対側の形状で定まる。
【0022】
ここでは、内側容器100及び外側容器200が直方体状の外形を有し、第1の配管及び第2の配管の接続部に漏油阻止キットを取り付ける例を説明する。この場合、Nは2である。
【0023】
ここで、第1の配管及び第2の配管の外径が互いに等しく、また、接続部付近において、第1の配管及び第2の配管は同一直線状に接続されているものとする。
【0024】
内側側板部120は、第1〜4の内側側板部120−1〜4で構成される。下側底板部110、及び、第1〜4の内側側板部120−1〜4は、平面形状が矩形(長方形又は正方形)の板状部材である。第1〜4の内側側板部120−1〜4は、下側底板部110に直角に設けられる。この構成により、内側容器100の外形は直方体状になる。下側底板部110と、第1〜4の内側側板部120−1〜4で囲まれる空間として内側収容部が構成されている。
【0025】
第1の内側側板部120−1と第2の内側側板部120−2は、互いに平行に設けられ、また、第3の内側側板部120−3と第4の内側側板部120−4は、互いに平行に設けられている。
【0026】
第1の内側側板部120−1には、U字状の内側切欠部130が設けられている。U字状の内側切欠部130の、下側底板部110側の平面形状は、第1の配管の外径とほぼ同じ径の、半円形状となっている。
【0027】
同様に、第2の内側側板部120−2には、U字状の内側切欠部が設けられている。U字状の内側切欠部の、下側底板部110側の平面形状は、第2の配管の外径とほぼ同じ径の、半円形状となっている。
【0028】
第1の配管及び第2の配管に対して内側容器100を下から上に動かすことによって、
第1の配管を、第1の内側側板部120−1に直交する状態で、U字状の内側切欠部130の開放端側132から半円径状の部分134まで移動させ、半円径状の部分134にはめ込むことができる。また、第2の配管を、第2の内側側板部120−2に直交する状態で、U字状の内側切欠部の開放端側から半円径状の部分まで移動させ、半円径状の部分にはめ込むことができる。
【0029】
外側容器200は、内側容器100と同様に構成される。
【0030】
外側側板部220は、第1〜4の外側側板部220−1〜4で構成される。上側底板部210、及び、第1〜4の外側側板部220−1〜4は、平面形状が矩形の板状部材である。第1〜4の外側側板部220−1〜4は、上側底板部210に直角に設けられる。この構成により、外側容器200の外形は直方体状になる。上側底板部210と、第1〜4の外側側板部220−1〜4で囲まれる空間として外側収容部が構成されている。
【0031】
第1の外側側板部220−1と第2の外側側板部220−2は、互いに平行に設けられ、また、第3の外側側板部220−3と第4の外側側板部220−4は、互いに平行に設けられている。
【0032】
第1の外側側板部220−1には、U字状の外側切欠部230が設けられている。U字状の外側切欠部230の、上側底板部210側の平面形状は、第1の配管の外径とほぼ同じ径の、半円形状となっている。
【0033】
同様に、第2の外側側板部220−2には、U字状の外側切欠部が設けられている。U字状の外側切欠部の、上側底板部210側の平面形状は、第2の配管の外径とほぼ同じ径の、半円形状となっている。
【0034】
第1の配管及び第2の配管に対して外側容器200を上から下に動かすことによって、第1の配管を、第1の外側側板部220−1に直交する状態で、U字状の外側切欠部230の開放端232側から半円径状の部分234まで移動させ、半円径状の部分234にはめ込むことができる。また、第2の配管を、第2の外側側板部220−2に直交する状態で、U字状の外側切欠部の開放端側から半円径状の部分まで移動させ、半円径状の部分にはめ込むことができる。
【0035】
ここで、外側収容部内に、内側容器100が収容可能である。ただし、内側容器100が、外側収容部内に収容されているとき、第k(kは1以上4以下の整数)の内側側板部120−kの外側の面と、第kの外側側板部220−kの内側の面との間隔は小さい方が好ましい。そこで、第kの内側側板部120−kの外側の面とこれに対向する内側側板部の外側の面の間の間隔を第1の距離とし、第kの外側側板部220−kの内側の面とこれに対向する外側側板部の内側の面の間の間隔を第2の距離とすると、第1の距離と第2の距離は、外側収容部内に、内側容器100が収容可能である程度に、ほぼ同じに設計される。
【0036】
内側容器100が、外側収容部内に収容されているとき、第kの内側側板部120−kと、第kの外側側板部220−kとで、第kの側板部20−kが構成される。第1及び第2の側板部20−1及び2には、それぞれ、円形状の第1及び第2の開口部30が設けられる。また、内側容器100の下側底板部110が、漏油阻止キットの下側底板部10となり、外側容器200の上側底板部210が、漏油阻止キットの上側底板部15となる。
【0037】
上述のように、U字状の切欠を設けることにより、第1の開口部の内径は、第1の配管の外径とほぼ同じになり、第1の開口部に第1の配管がはめ込まれる。同様に、第2の開
口部の内径は、第2の配管の外径とほぼ同じになり、第2の開口部に第2の配管がはめ込まれる。
【0038】
内側容器100と外側容器200とは、例えば、ビス止めで固定される。ビス止めの位置は任意好適に設定できるが、例えば、第1の内側側板部120−1と第1の外側側板部220−1、及び、第2の内側側板部120−2と第2の外側側板部220−2の間を1又は複数のビスで固定する。このようにして、漏油阻止キットが構成される。
【0039】
(漏油阻止キットの使用方法)
図3〜6を参照して、この発明の漏油阻止方法として、上述の漏油阻止キットの使用方法を説明する。
図3(A)及び
図4(A)は、配管の接続部を側面からみた模式図である。なお、
図3(A)及び
図4(A)では、内側容器及び外側容器に便宜的にハッチングを付しているが、このハッチングは断面を意味するものではない。
図3(B)、
図4(B)、
図5(A)〜(C)、並びに、
図6(A)及び(B)は、漏油阻止キットを第1の側板部に直交する方向(第1の配管が延在する方向)からみた模式図である。
【0040】
先ず、第1の過程において、接続部が内側収容部内に収容され、かつ、第1及び第2の配管310及び320が、第1及び第2の内側側板部120−1及び120−2の内側切欠部にはめ込まれるように、接続部の下から、内側容器を配置する(
図3(A)及び(B)参照)。また、内側容器が外側収容部内に収容され、かつ、第1及び第2の配管310及び320が、第1及び第2の外側側板部220−1及び220−2の外側切欠部にはめ込まれるように、接続部の上から、外側容器を配置する(
図4(A)及び(B)参照)。その後、内側容器100と外側容器200とは、例えば、ビス止めで固定される。
【0041】
ここでは、先に内側容器の配置を行い、後に外側容器の配置を行う例を説明したが、内側容器と外側容器の配置順は、これに限定されない。先に外側容器の配置を行い、後に内側容器の配置を行ってもよいし、両者を同時に配置してもよい。
【0042】
なお、内側容器100の下側底板部110が、外側容器200の上側底板部210よりも下側に配置するのがよい。これは、第kの内側側板部120−kと第kの外側側板部220−kの隙間が、下側底板部110側に露出するためである。この隙間が上側に露出していると、漏油阻止キットを屋外で用いる場合など、漏油阻止キットの内部に雨水が侵入してしまうためである。
【0043】
このとき、内側容器100の下側底板部110及び第1〜4の内側側板部120−1〜4、並びに、外側容器200の上側底板部210及び第1〜4の外側側板部220−1〜4が、透明な材質、例えばアクリルやポリカーボネートで構成されるのがよい。これら各板部を透明な材質で構成すると、内部の視認、すなわち、漏油の有無の判断が容易になる。
【0044】
ここで、第kの内側側板部120−kと第kの外側側板部220−kの間は、ビスで止められるだけで、第kの内側側板部120−kと第kの外側側板部220−kの隙間は特に埋め込まれていない。すなわち、漏油阻止キットは、密閉されていない。これは、漏油阻止キットを密閉しておくと、内部に湿気が溜まり、漏油の有無を視認しにくくなるためである。密閉しないことで、外部と通気され、内部に湿気が溜まるのを防ぐことができる。
【0045】
また、下側底板部10と第3の側板部20−3とが接続される辺の部分が、最も低くなるように配置するのがよい(
図5(A)参照)。このように配置すると、漏油が有った場合に、この辺の付近(符号40で示す。)に油が溜まる。このため、例えば、下側底板部
10が水平に設けられる場合に比べて、特に漏油が少量である場合に、漏油の有無の判断が容易になる。
【0046】
次に、第2の過程において、第1及び第2の側板部20−1及び20−2に設けられる開口部と、第1及び第2の配管310及び320との間を樹脂で埋め込む。この樹脂として、例えば、シリコンシーラントなどの樹脂製の接着剤が用いられる。
【0047】
このように、漏油阻止キットを第1及び第2の配管の接続部に取り付けると、この漏油阻止キットは、漏油予防の防油堤として機能する。すなわち、上記の第1の過程及び第2の過程は、漏油予防の過程となる。
【0048】
続いて、漏油が発生した場合の処理について説明する。漏油が発生した場合は、漏油阻止キット内に補修剤を圧力注入することで漏油を阻止する。
【0049】
このため、先ず、第3の過程において、第kの内側側板部と第kの外側側板部の隙間に補修剤を埋め込む。
【0050】
ここで、補修剤を圧力注入したとき、油が配管の塗膜の下に入り込み、塗膜の下を突き破って漏油阻止キットの外側に油が漏れだす恐れがある。従って、第3の過程を行う前に、一度、外側容器及び内側容器を取り外す過程を行うのがよい。外側容器及び内側容器を取り外した後、第1及び第2の配管の、外側容器及び内側容器が取り付けられる部分の、特に、内側切欠部と外側切欠部と接する部分の塗膜及び下地塗膜(プライマー)を除去して、配管の地金を露出させる。そして、上述の、第1の過程及び第2の過程と同様の過程により、漏油阻止キットを再度取り付ける。その後、上記の第3の過程を行う。
【0051】
第3の過程を行った後、最も高い位置に配置される、上側底板部15と第4の側板部20−4とが接続される辺の近傍に、第4の過程において、第1の開孔17と第2の開孔18の2つの開孔を設けて、一方の開孔、例えば、第2の開孔18から空気抜きをしながら、他方の開孔、例えば第1の開孔17から補修材を圧力注入する。例えば、第1の開孔17は、上側底板部15と第4の側板部20−4とが接続される辺の近傍の上側底板部15側に設けられ、第2の開孔18は、上側底板部15と第4の側板部20−4とが接続される辺の近傍の第4の側板部20−4側に設けられる。
【0052】
ここでは、第1の開孔17及び第2の開孔18の2つの開孔を備える例を説明するが、開孔の数は2に限定されない。補修剤の注入用の開孔を2以上設けてもよいし、空気抜き用の開孔を2以上設けてもよい。
【0053】
なお、第1の開孔17及び第2の開孔18については、予め、封止された状態で設けておき、圧力注入を行う時点で開放する構成にすることができる。また、漏油予防に用いる時点では、第1の開孔17及び第2の開孔18を形成せず、圧力注入を行う時点で第1の開孔及び第2の開孔を形成する構成にしてもよい。
【0054】
シーリング材の空カートリッジ容器60に、補修剤としてフレクサン(製品名)を充填したものを用意する。必要な補修剤の量などに応じて、空カートリッジ容器60は必要数用意される。第1の開孔17から、漏油阻止キット内に、フレクサンを注入する(
図5(B)参照)。この空カートリッジ容器60として、例えば、オート化学工業社製のペール缶用詰め替え容器「せがれ」(商品名)を用いることができる。
【0055】
この例では、フレクサンを短時間で大量注入するために、この目的に対して好適な空カートリッジ容器60を用いる。これは、注入に時間がかかると、フレクサンが途中で硬化
してしまい、漏油阻止キット内に完全に注入することが難しくなるからである。
【0056】
フレクサンが第1の開孔17及び第2の開孔18付近まで流し込まれた後、第1の開孔17に、グリースニップル(図示を省略する。)を取り付ける。グリースニップルは、樹脂注入の注入口に用いられる部材である。ハンドグリースガン62などで圧力をかけると樹脂がグリースニップルを経て注入される。注入を止めた場合は、グリースニップルは逆流防止弁として機能する。上述した機能を有するグリースニップルとして、市販品を用いることができる。
【0057】
その後、ハンドグリースガン62でフレクサンの圧力注入を行う。このハンドグリースガン62でのフレクサンの注入は、第2の開孔18ぎりぎりまで行われる(
図5(C)参照)。ハンドグリースガン62は、大量注入には必ずしも好適ではないが、圧力注入には有効である。このため、この例では、ハンドグリースガン62を用いている。このハンドグリースガン62として、例えば、ヤマダコーポレーション社製のハンドグリースガン(型番:GC−57K)を用いることができる。
【0058】
第2の開孔18ぎりぎりまでフレクサンが注入された後、第2の開孔18にばね付低圧注入器(マトロンシリンダー)64を取り付ける。例えば、第2の開孔18にタップが設けられている場合、先端がねじになっているマトロンシリンダー64を第2の開孔18にねじ込んで取り付ける。
【0059】
マトロンシリンダー64を取り付けた後、ハンドグリースガン62により圧力注入を行う(
図6(A)参照)。ここで、マトロンシリンダー64のピストン64aが上がると、漏油阻止キット内に圧力が発生したものと考えられる(
図6(B)参照)。これは、ピストン64aが上がることは、マトロンシリンダー64が有するばねの力以上の圧力(例えば、0.6kg/cm
2)で、フレクサンが押し返したことを意味するからである。
【0060】
このように漏油阻止キット内にフレクサンが圧力注入されると、フレクサンの圧力により漏油箇所からの漏油を抑え込むことができる。
【0061】
一般的な変圧器では、油面の高さは例えば4m程度であり、油面の高さが1mのときの圧力は、0.09kg/cm
2程度である。このとき、配管内に生じる圧力は、0.36kg/cm
2(=4×0.09kg/cm
2)となる。漏油阻止キット内に、フレクサンを0.6kg/cm
2の圧力で圧力注入すれば、配管内に生じている圧力以上の圧力が、漏油阻止キット内に発生しているため、確実に漏油阻止を行うことができる。
【0062】
このように漏油阻止キット内部に圧力が発生し、補修剤の硬化が完了した時点で、マトロンシリンダー64の先端を切断してマトロンシリンダー64を撤去する。これにより、漏油阻止の過程が終了する。
【0063】
この発明の漏油阻止キット及び漏油阻止方法によれば、1つの漏油阻止キットを用いて、漏油予防及び漏油阻止の両者を実現できる。
【0064】
ここでは、内側容器100及び外側容器200が直方体状の外形を有し、外径が互いに等しく、また、接続部付近において、同一直線状に接続されている第1の配管及び第2の配管の接続部に漏油阻止キットを取り付ける例を説明したがこれに限定されない。
【0065】
第1の配管及び第2の配管の外形は異なっていてもよい。この場合、第1の開口部と第2の開口部の径が異なるように、内側切欠部及び外側切欠部を設ければよい。
【0066】
また、L字状の配管を用いている場合には、第1の開口部と第2の開口部は、互いに平行な面ではなく、非平行な面に設けられる。
【0067】
また、接続部において、第1の配管に封止フランジ(Blind Flange)を用いる場合は、開口部を1つ(N=1)にすればよく、T字状又は十字状の配管を用いている場合は、Nは3又は4とすればよい。開口部の数Nは、側板を貫通する配管の本数に応じて、適宜設定すればよい。
【0068】
また、下側底板部及び上側底板部の平面形状を六角形状にして、内側容器及び外側容器の外形を、六角柱状にしてもよいし、下側底板部及び上側底板部の平面形状を円形状にして、内側容器及び外側容器の外形を、円柱状にしてもよい。このように、内側容器及び外側容器の外形は、直方体状に限らず、多角柱状、円筒状など任意好適に設定できる。下側底板部及び上側底板部は平板状に限られない。例えば、下側底板部及び内側側板部、並びに、上側底板部及び外側底板部が曲面状であってもよい。
【解決手段】内側容器は、下側底板部と、下側底板部の周縁部から同一方向に延在する内側側板部とを有し、下側底板部と、内側側板部で囲まれる空間として内側収容部が構成され、内側側板部には、下側底板部に向けてN個(Nは1以上の整数)の内側切欠部が設けられている。外側容器は、上側底板部と、上側底板部の周縁部から同一方向に延在する外側側板部とを有し、上側底板部と、外側側板部で囲まれる空間として外側収容部が構成され、外側側板部には、上側底板部に向けてN個の外側切欠部が設けられている。N個の内側切欠部と、N個の外側切欠部が対応するように、外側収容部内に内側容器が収容可能である。