(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1プロペラを駆動する主機と、前記第1プロペラに互いに対向して配置された第2プロペラを駆動する電動機とにより、前記主機が前記第1プロペラを、前記電動機が前記第2プロペラを、それぞれ駆動して船舶を推進させるための船舶用推進装置において、前記電動機に電力を供給可能な電力変換装置と、前記電力変換装置に電力を供給する発電機と、前記発電機を駆動する原動機と、前記主機の回転数に基づいて、前記第1プロペラと前記第2プロペラの推進力が最適に分担されるように前記電動機の回転数を制御するための制御装置を備えた前記船舶用推進装置であって、
前記主機の回転数が所定値以上の場合には、前記発電機と前記電動機とを電気的に接続する第1接続手段と、
前記主機の回転数が所定値未満の場合には、前記電力変換装置と前記電動機とを電気的に接続する第3接続手段と、
前記主機の回転数が所定値以上の場合には、前記制御装置と前記原動機とを電気的に接続し、前記主機の回転数が所定値未満の場合には、前記制御装置と前記電力変換装置とを電気的に接続し、前記制御装置によって、それぞれ原動機、電力変換装置を制御して前記電動機の回転数を制御するよう切替えをする第2接続手段と、
前記船舶の航行中の悪天候時に水面上に露出した前記第1プロペラが負荷の低下によって回転数が上昇し、前記上昇した回転数に応じて前記制御装置に制御された前記電動機が前記第2プロペラを駆動させてしまい、前記主機の回転数が所定値以上の場合に前記電動機から回生電力が出力されると、前記電動機の交流回路に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる第1消費手段と、
前記主機の回転数が所定値未満の場合に前記電動機から回生電力が出力されると、前記電力変換装置の直流回路に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる第2消費手段と、
を備えたことを特徴とする船舶用推進装置。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な船舶用推進装置について、
図8に示す電気推進船の船舶用推進装置を例に挙げて説明する。
【0003】
図8は、従来の船舶用推進装置の概略構成を示す模式図である。この船舶用推進装置は、第1プロペラ1、主機2、第2プロペラ3、電動機4、発電機5、原動機6、コンバータ7、インバータ8、第1回転数検出器9、第2回転数検出器10及び制御装置11を備えている。
【0004】
第1プロペラ1は、ディーゼルエンジン等からなる主機2によって回転駆動され、船体に推進力を与える。第2プロペラ3は、第1プロペラ1に対向して設けられ、電動機4によって回転駆動され、船体に推進力を与える。この種の船舶用推進装置は、船舶用ハイブリッド推進装置とも呼ばれる。
【0005】
発電機5は、原動機6によって駆動され、コンバータ7及びインバータ8を介して電動機4へ電力を供給する。また、発電機5は、図示しない船内負荷にも電力を供給する。
【0006】
コンバータ7及びインバータ8は、電動機4へ供給される発電機5の出力電力を電力変換し、電動機4の回転数を制御する。
【0007】
ここで、第1回転数検出器9は、主機2の回転数を検出し、第1検出信号を制御装置11に出力する。第2回転数検出器10は、電動機4の回転数を検出し、第2検出信号を制御装置11に出力する。
【0008】
制御装置11は、第1検出信号及び第2検出信号に基づいて、第1プロペラ1と第2プロペラ3の推進力が最適に分担されるようにコンバータ7及びインバータ8にそれぞれ制御信号を送出する。コンバータ7は、制御信号に基づいて、発電機5が出力する交流電力を直流電力に変換する。インバータ8は、制御信号に基づいて、コンバータ7が出力する直流電力を交流電力に変換し、電動機4を駆動する。これにより、制御装置11は、主機2の回転数に応じて電動機4の回転数を制御する。
【0009】
このような船舶用推進装置は、推進に寄与しない第1プロペラ1の回転流のエネルギーを第2プロペラ3で回収して軸方向流に整流し、推進力に加算させるため、船の推進効率を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のような従来の船舶用推進装置は、通常は何の問題もないが、本発明者の検討によれば、以下の点で改善の余地があると考えられる。
【0012】
例えば、従来の船舶用推進装置を備えた電気推進船は、航行中の悪天候時に、水面上に露出した第1プロペラ1が負荷の低下によって回転数が上昇し、その影響で第2プロペラ3が駆動されてしまい、電動機4に回生電力が生じることがある。
【0013】
この影響で、発電機5の出力電圧、周波数が上昇してしまい、発電機5から電力供給している船内負荷へ悪影響を及ぼす可能性がある点で改善の余地があると考えられる。
【0014】
また、船舶は、ほぼ一定速度で航行することが多いにもかかわらず、航行中に電動機4が、電力変換ロスの大きいインバータ8及びコンバータ7を介して駆動されている。このため、省エネルギーの観点から改善の余地があると考えられる。
【0015】
そこで、本発明は、電動機の回生電力による船内負荷への悪影響を回避すると共に、省エネルギー化を図り得る船舶用推進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一つの局面は、第1プロペラを駆動する主機と、前記第1プロペラに互いに対向して配置された第2プロペラを駆動する電動機とにより、前記主機が前記第1プロペラを、前記電動機が前記第2プロペラを、それぞれ駆動して船舶を推進させるための船舶用推進装置において、前記電動機に電力を供給可能な電力変換装置と、前記電力変換装置に電力を供給する発電機と、前記発電機を駆動する原動機と、前記主機の回転数に基づいて、
前記第1プロペラと前記第2プロペラの推進力が最適に分担されるように前記電動機の回転数を制御するための制御装置とを備えた前記船舶用推進装置であって、前記主機の回転数が所定値以上の場合には、前記発電機と前記電動機とを電気的に接続する第1接続手段と、前記主機の回転数が所定値未満の場合には、前記電力変換装置と前記電動機とを電気的に接続する第3接続手段と、前記主機の回転数が所定値以上の場合には、前記制御装置と前記原動機とを電気的に接続し、前記主機の回転数が所定値未満の場合には、前記制御装置と前記電力変換装置とを電気的に接続し、前記制御装置によって、それぞれ原動機、電力変換装置を制御して前記電動機の回転数を制御するよう切替えをする第2接続手段と、
前記船舶の航行中の悪天候時に水面上に露出した前記第1プロペラが負荷の低下によって回転数が上昇し、前記上昇した回転数に応じて前記制御装置に制御された前記電動機が前記第2プロペラを駆動させてしまい、前記主機の回転数が所定値以上の場合に前記電動機から回生電力が出力されると、前記電動機の交流回路に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる第1消費手段と、前記主機の回転数が所定値未満の場合に前記電動機から回生電力が出力されると、前記電力変換装置の直流回路に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる第2消費手段と、を備えた船舶用推進装置である。
【0017】
前記船舶用推進装置は、前記主機の回転数を検出する回転数検出器と、前記検出された回転数と前記所定値とを比較する回転数比較手段と、を備えてもよい。前記第2接続手段は、前記制御装置と、前記原動機又は前記電力変換装置との接続を切り替える切替器と、前記回転数比較手段の比較結果に応じて前記切替器を制御する切替制御手段と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電動機に生じた回生電力を抵抗で消費するので、発電機の周波数、電圧が上昇せず、電動機の回生電力による船内負荷への悪影響を回避することができる。また、ほぼ一定の速度で航行中は、電力変換装置を介さずに発電機の出力電力で電動機を直接駆動するので、電力変換装置による電力変換ロスが生じず、省エネルギー化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る船舶用推進装置の概略構成を示す模式図であり、
図8と同一部分には同一符号を付けて説明する。
【0022】
本実施形態における船舶用推進装置は、
図8に示す構成に加え、第1スイッチ20、バイパス回路21、第2スイッチ22、第3スイッチ23、放電抵抗24、直流回路25、第4スイッチ26、切替器27、電力検出器28及び開閉制御装置29を備えている。なお、
図8は、第1プロペラ1を駆動する主機2と、第1プロペラ1に対向配置された第2プロペラ3を駆動する電動機4と、電動機4に電力を供給可能な電力変換装置(インバータ8及びコンバータ7)と、電力変換装置に電力を供給する発電機5と、発電機5を駆動する原動機6と、主機2の回転数に基づいて、電動機4の回転数を制御するための制御装置11とを備えた船舶用推進装置を示している。
【0023】
ここで、第1スイッチ20は、バイパス回路21に設けられ、開閉制御装置29による開閉制御に応じて、当該バイパス回路21を介して発電機5と電動機4とを電気的に接続又は開放するためのスイッチである。
【0024】
バイパス回路21は、一端が発電機5に電気的に接続され、他端が電動機4に電気的に接続され、第1スイッチ20を介してコンバータ7及びインバータ8をバイパス(迂回、回避)しながら発電機5と電動機4とを接続するための回路である。
【0025】
第2スイッチ22は、インバータ8と電動機4との間に設けられ、開閉制御装置29による開閉制御に応じて、インバータ8と電動機4とを電気的に接続又は開放するためのスイッチである。
【0026】
第3スイッチ23は、バイパス回路21と放電抵抗24との間に設けられ、開閉制御装置29による開閉制御に応じて、バイパス回路21と放電抵抗24とを電気的に接続又は開放するためのスイッチである。
【0027】
放電抵抗24は、第3スイッチ23及び第4スイッチ26にそれぞれ接続され、第3スイッチ23又は第4スイッチ26を介して流入する回生電力を消費するための抵抗である。
【0028】
直流回路25は、コンバータ7とインバータ8との間に介在し、コンバータ7により得られた直流電力をインバータ8に供給するための回路である。なお、コンバータ7、直流回路25及びインバータ8は、電力変換装置を構成している。以下、「コンバータ7、直流回路25及びインバータ8」を「電力変換装置」ともいう。
【0029】
第4スイッチ26は、直流回路25と放電抵抗24との間に設けられ、開閉制御装置29による開閉制御に応じて、直流回路25と放電抵抗24とを電気的に接続又は開放するためのスイッチである。
【0030】
切替器27は、開閉制御装置29による切替制御に応じて、制御装置11と、原動機6又は電力変換装置との接続を切り替える機器である。すなわち、切替器27は、制御装置11の出力信号をコンバータ7及びインバータ8への制御信号、あるいは、原動機6への制御信号として切り替える。
【0031】
電力検出器28は、電動機4の交流回路の電力を検出し、電力検出信号を開閉制御装置29に送出する機器である。
【0032】
開閉制御装置29は、主機2の回転数を検出する第1回転数検出器9から送出された第1検出信号と、電力検出器28から送出された電力検出信号とに基づいて、各スイッチ20、22、23、26及び切替器27の開閉制御及び切替制御を実行する装置である。
【0033】
具体的には例えば、開閉制御装置29は、
図2に示すように、回転数比較部30、第1開閉制御部31、第2開閉制御部32、第3開閉制御部33、第4開閉制御部34、切替制御部35及び回生電力判定部36を備えた構成として実現してもよい。なお、各部30〜36は、開閉制御装置の制御機能の一例を説明するための機能ブロックである。
【0034】
ここで、回転数比較部(回転数比較手段)30は、第1回転数検出器9から送出された第1検出信号が示す主機2の回転数と、所定の回転数(所定値)とを比較し、比較結果を開閉制御部31〜34及び切替制御部35に送出する。なお、比較結果は、主機2の回転数が所定値以上か否(所定値未満)かを示している。
【0035】
また、回転数比較部30は、必須ではなく、省略してもよい。回転数比較部30を省略した場合、例えば、第1〜第4開閉制御部31〜34及び切替制御部35のそれぞれが、第1回転数検出器9から送出された第1検出信号が示す主機2の回転数と、所定の回転数(所定値)とを比較し、比較結果を得るようにしてもよい。
【0036】
第1開閉制御部31は、回転数比較部30の比較結果に基づき、主機2の回転数が所定値以上の場合には第1スイッチ20を閉塞状態に制御し、否の場合には第1スイッチ20を開放状態に制御する。このような第1開閉制御部31、第1スイッチ20及びバイパス回路21は、主機2の回転数が所定値以上の場合には、発電機5と電動機4とを電気的に接続する第1接続手段を構成している。
【0037】
第2開閉制御部32は、回転数比較部30の比較結果及び回生電力判定部36の判定結果に基づき、第3スイッチ23を開閉制御する。すなわち、第2開閉制御部32は、主機2の回転数が所定値以上の場合に電動機4から回生電力が出力された状況では第3スイッチ23を閉塞状態に制御し、他の状況では第3スイッチ23を開放状態に制御する。このような第2開閉制御部32及び第3スイッチ23は、主機2の回転数が所定値以上の場合に電動機4から回生電力が出力されると、電動機4の交流回路に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる第1消費手段を構成している。
【0038】
第3開閉制御部33は、回転数比較部30の比較結果に基づき、主機2の回転数が所定値未満の場合には第2スイッチ22を閉塞状態に制御し、否の場合には第2スイッチ22を開放状態に制御する。このような第3開閉制御部33及び第2スイッチ22は、主機2の回転数が所定値未満の場合には、電力変換装置と電動機4とを電気的に接続する第3接続手段を構成している。
【0039】
第4開閉制御部34は、回転数比較部30の比較結果及び回生電力判定部36の判定結果に基づき、第4スイッチ26を開閉制御する。すなわち、第4開閉制御部34は、主機2の回転数が所定値未満の場合に電動機4から回生電力が出力された状況では第4スイッチ26を閉塞状態に制御し、他の状況では第4スイッチ26を開放状態に制御する。このような第4開閉制御部34及び第4スイッチ26は、主機2の回転数が所定値未満の場合に電動機4から回生電力が出力されると、電力変換装置の直流回路25に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる第2消費手段を構成している。
【0040】
切替制御部(切替制御手段)35は、回転数比較部30の比較結果に応じて切替器27を制御する。詳しくは、切替制御部35は、主機の回転数が所定値以上の場合には切替器27をa接点側に切替制御する。また、切替制御部35は、主機の回転数が所定値未満の場合には切替器27をb接点側に切替制御する。このような切替制御部35及び切替器27は、主機2の回転数が所定値以上の場合には、制御装置11と原動機6とを電気的に接続し、主機2の回転数が所定値未満の場合には、制御装置11と電力変換装置(のインバータ8及びコンバータ7)とを電気的に接続し、制御装置11によって、それぞれ原動機6、電力変換装置を制御して電動機4の回転数を制御するよう切替えをする第2接続手段を構成している。
【0041】
回生電力判定部36は、電力検出器28からの電力検出信号に基づいて、電動機4の回生電力が検出されたか否かを判定し、判定結果を第2開閉制御部32及び第4開閉制御部34に送出する。なお、回生電力判定部36は、必須ではなく、省略してもよい。回生電力判定部36を省略した場合、例えば、第2開閉制御部32及び第4開閉制御部34のそれぞれが、電力検出器28からの電力検出信号に基づいて、電動機4の回生電力が検出されたか否かを判定してもよい。
【0042】
また、
図1及び
図2に示した概略構成は、一例であり、適宜、変更してもよい。例えば、電力検出器28に代えて、電流検出器(CT)及び電圧検出器(PT)を電動機4の交流回路に配置し、電流検出器(CT)及び電圧検出器(PT)の各々の検出信号に基づいて、開閉制御装置29が、電動機4から出力された回生電力を検出してもよい。
【0043】
次に、以上のように構成された船舶用推進装置の動作を
図3のフローチャート及び
図4乃至
図7の模式図を用いて説明する。
【0044】
いま、船舶用推進装置を備えた電気推進船は、略一定速度で航行中であるとする。
【0045】
船舶用推進装置の主機2は、第1プロペラ1を駆動して回転制御する。
【0046】
一方、この船舶用推進装置の原動機6は発電機5を駆動する。発電機5は、原動機6により駆動され、電動機4に電力を供給する。電動機4は、第1プロペラ1に対向配置された第2プロペラ3を駆動する。このとき、制御装置11は、第1プロペラ1と第2プロペラ3の推進力が最適に分担されるように主機2の回転に応じて電動機4の回転を制御する。ここで、推進力の最適な分担については、例えば、主機2の回転数と、予め定めた演算式とに基づいて電動機4の回転数を算出することにより、実現してもよい。あるいは、主機2の回転数毎に、電動機4の回転数を予め設定することにより、推進力の最適な分担を実現してもよい。なお、主機2の回転数は第1プロペラ1の回転数と呼んでもよく、電動機4の回転数は第2プロペラ3の回転数と呼んでもよい。回転数は回転速度と呼んでもよい。いずれにしても、船舶用推進装置は、推進に寄与しない第1プロペラ1の回転流のエネルギーを第2プロペラ3で回収して軸方向流に整流し、推進力を増やすので、船を効率よく推進させる。
【0047】
このような船舶用推進装置は、概略的には、
図3のステップST1〜ST10に示すように動作する。
【0048】
すなわち、第2プロペラ3を所定の回転数以上で駆動する場合、発電機5の出力電力を電動機4へ直接供給するように発電機5と電動機4を電気的に接続し、制御装置11で原動機6を速度制御することにより電動機4を速度制御する(ステップST1〜ST5)。
【0049】
電動機4が第2プロペラ3によって駆動され、電動機4から回生電力が出力されると、電動機4の交流回路に放電抵抗24を接続して回生電力を消費させる(ステップST4,ST6)。
【0050】
一方、第2プロペラ3を所定の回転数以下で駆動する場合、発電機5の出力電力をインバータ8−コンバータ7を介して電動機4へ供給するように構成し、制御装置11でインバータ8−コンバータ7を制御することにより電動機4を速度制御する(ステップST2、ST7〜ST9)。
【0051】
電動機4が第2プロペラ3によって駆動され、電動機4から回生電力が出力されると、インバータ8−コンバータ7の直流回路25に放電抵抗24を接続して回生電力を消費させる(ステップST8、ST10)。
【0052】
続いて、このようなステップST1〜ST10に示す動作を詳細に説明する。
【0053】
第1回転数検出器9は、主機2の回転数を検出し(ST1)、第1検出信号を制御装置11及び開閉制御装置29に出力する。第2回転数検出器10は、電動機4の回転数を検出し、第2検出信号を制御装置11に出力する。制御装置11は、第1検出信号及び第2検出信号に基づいて、第1プロペラ1と第2プロペラ3の推進力が最適に分担されるように、電動機4の回転数を制御するための制御信号を切替器27に送出する。また、電力検出器28は、電動機4の交流回路の電力を検出し、電力検出信号を開閉制御装置29に送出する。
【0054】
開閉制御装置29は、第1回転数検出器9からの第1検出信号に基づいて、主機2の回転数が所定値以上か否かを判定し(ST2)、否の場合にはステップST7に移行する。
【0055】
また、ステップST2の結果、主機2の回転数が所定値以上の場合には、開閉制御装置29は、第1スイッチ20を閉塞状態に制御し、第2スイッチ22を開放状態に制御すると共に、切替器27をa接点側に切替える(ST3)。
【0056】
これにより、
図4に示すように、原動機6は、制御装置11からの制御信号により、主機2の回転数に応じて速度制御され、電動機4は発電機5の出力電力で直接駆動される。この結果、電動機4は電力変換ロスの大きいコンバータ7、インバータ8を介さずに、原動機6によって速度制御することができ、省エネルギー化を図ることができる。
【0057】
このとき、開閉制御装置29は、電力検出器28からの電力検出信号に基づいて、電動機4の回生電力が検出されたか否かを判定しており(ST4)、否の場合にはステップST6に移行し、第3スイッチ23を開放状態に制御する。ステップST4の結果、回生電力が検出されると、開閉制御装置29は、
図5に示すように、第3スイッチ23を閉塞状態に制御し(ST5)、回生電力を放電抵抗24によって放電させる。これにより、発電機5は電動機4の回生電力の影響を受けず、船内負荷に対する悪影響を回避することができる。
【0058】
なお、このように主機2の回転数が所定値以上となる場合は、船舶がほぼ一定速度で航行している状態の時であり、主機2、原動機6の回転数もほとんど変化しない。その結果、発電機5から出力される出力周波数もほとんど変化せずに、船内負荷へは何ら影響を与えない。
【0059】
一方、船舶の速度が上昇中又は下降中の時には、主機2の回転数が所定値未満である場合が多い。ステップST2の結果、主機2の回転数が所定値未満の場合には、開閉制御装置29は、第1スイッチ20を開放状態に制御し、第2スイッチ22を閉塞状態に制御すると共に、切替器27をb接点側に切替える(ST7)。
【0060】
これにより、コンバータ7及びインバータ8は、
図6に示すように、制御装置11からの制御信号により、主機2の回転数に応じて発電機5の出力電力を電力変換する。よって、電動機4は主機2の回転変動に応じて速度制御される。なお、原動機6は、制御装置11からの制御信号を受けないので、一定回転数で回転し、発電機5の出力周波数も変化しないため、船内負荷へは何ら影響を与えない。
【0061】
このとき、開閉制御装置29は、電力検出器28からの電力検出信号に基づいて、電動機4の回生電力が検出されたか否かを判定しており(ST8)、否の場合にはステップST10に移行し、第4スイッチ26を開放状態に制御する。ステップST8の結果、回生電力が検出されると、開閉制御装置29は、
図7に示すように、第4スイッチ26を閉塞状態に制御し(ST9)、コンバータ7とインバータ8との間の直流回路25に生じる回生電力を放電抵抗24によって放電させる。これにより、発電機5は電動機4の回生電力の影響を受けず、船内負荷に対する悪影響を回避することができる。
【0062】
上述したように本実施形態によれば、電力変換装置を介さずに発電機5の出力電力で電動機4を直接駆動中に回生電力が生じた場合でも、回生電力を抵抗で消費させることができる。また、主機2の回転数に応じて、電力変換装置からの電力供給の有無を切り替えつつ、電動機4の回転数を制御中に回生電力が生じた場合でも、回生電力を抵抗で消費させることができる。
【0063】
従って、電動機4の回生電力による船内負荷への悪影響を回避することができる。また、主機2の回転数に応じて、電力変換装置を介さずに発電機5の出力電力で電動機4を直接駆動する場合には、電力変換ロスが生じず、省エネルギー化を図ることができる。
【0064】
補足すると、主機2の回転数が所定値以上の場合に電動機4から回生電力が出力されると、電動機4の交流回路に抵抗(放電抵抗24)を接続して当該回生電力を消費させる。これにより、電動機4に生じた回生電力を抵抗で消費するので、発電機5の周波数、電圧が上昇せずに船内負荷への悪影響を回避することができる。
【0065】
また、主機2の回転数が所定値以上の場合には、発電機5と電動機4とを電気的に接続する。これにより、ほぼ一定の速度で航行中は、電力変換装置(インバータ8及びコンバータ7)を介さずに発電機5の出力電力で電動機4を直接駆動するので、電力変換装置による電力変換ロスが生じず、省エネルギー化を図ることができる。
【0066】
一方、主機2の回転数が所定値未満の場合には、電力変換装置と電動機4とを電気的に接続する。これにより、船の航行速度の上昇中又は下降中には、主機2の回転数に応じて電力変換装置を制御することにより、電動機4の回転数を制御することができる。
【0067】
また、主機2の回転数が所定値未満の場合に電動機4から回生電力が出力されると、電力変換装置の直流回路25に抵抗を接続して当該回生電力を消費させる。これにより、電力変換装置の直流回路25に生じた回生電力を抵抗(放電抵抗24)で消費するので、発電機5の周波数、電圧が上昇せずに船内負荷への悪影響を回避することができる。
【0068】
また、主機2の回転数が所定値以上の場合には、制御装置11と原動機6とを電気的に接続し、主機2の回転数が所定値未満の場合には、制御装置11と電力変換装置(のインバータ8及びコンバータ7)とを電気的に接続する。これにより、既存の制御装置11の構成を用い、主機2の回転数に応じて、原動機6又は電力変換装置を速度制御することができる。なお、制御装置11と他の装置とを電気的に接続する構成は、制御装置11と、原動機6又は電力変換装置との接続を切り替える切替器27と、主機2の回転数と所定値との比較結果に応じて切替器27を制御する切替制御部35とにより実現してもよい。
【0069】
また、本実施形態の船舶用推進装置は、既存の船舶用推進装置に対し、第1〜第4スイッチ20,22,23,26、バイパス回路21、放電抵抗24、切替器27、電力検出器28及び開閉制御装置29を備えた構成により実現可能である。すなわち、本実施形態の船舶用推進装置は、既存の船舶用推進装置の構成を流用して実現できるので、制御装置等を新たに設計する場合に比べ、容易に設計及び製造することができる。
【0070】
但し、既存の制御装置11の構成や既存の船舶用推進装置の構成を流用することは、必須ではない。
例えば、本実施形態の船舶用推進装置は、開閉制御装置29及び制御装置11に代えて、開閉制御装置29及び制御装置11の機能を有する新たな制御装置を備えた構成に変形してもよい。この新たな制御装置は、例えば切替器27を含む構成としてもよい。
【0071】
あるいは、本実施形態の船舶用推進装置は、制御装置11に代えて、制御装置11及び切替器27の機能を有する新たな制御装置を備えた構成に変形してもよい。この新たな制御装置は、例えば切替器27に対応する切替回路が開閉制御装置29に切替制御される構成としてもよい。
【0072】
すなわち、本実施形態の船舶用推進装置は、一例であり、各部、各機器又は各装置の配置を限定するものではなく、全体として同様の機能を実現する構成に、適宜、変形することが可能である。
【0073】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0074】
その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。