特許第6890920号(P6890920)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6890920-粘着剤層付き透明導電性フィルム 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890920
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】粘着剤層付き透明導電性フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20210607BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20210607BHJP
【FI】
   H01B5/14 A
   B32B7/025
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-195949(P2015-195949)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-110995(P2016-110995A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2018年8月24日
【審判番号】不服2020-6047(P2020-6047/J1)
【審判請求日】2020年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-247539(P2014-247539)
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】友久 寛
(72)【発明者】
【氏名】松田 祥一
(72)【発明者】
【氏名】形見 普史
(72)【発明者】
【氏名】野中 崇弘
【合議体】
【審判長】 細井 龍史
【審判官】 岩田 健一
【審判官】 植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−224397(JP,A)
【文献】 特開2011−18636(JP,A)
【文献】 特開2008−192850(JP,A)
【文献】 特開2020−142525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/14
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と、透明導電層と、粘着剤層とをこの順に備え、
該透明導電層が、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含み、
該粘着剤層が、チオール基を含む化合物と粘着剤材料とを含む粘着剤組成物から形成され、
該粘着剤組成物において、該チオール基を含む化合物の配合量が、該粘着剤組成物中の粘着剤材料100重量部に対して、0.01重量部〜1重量部であり、
該チオール基を含む化合物が、α−チオグリセロール、アミノエタンチオールまたはチオグリコール酸である、粘着剤層付き透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記金属ナノワイヤが、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成される請求項1に記載の粘着剤層付き透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記金属メッシュが、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成される請求項1に記載の粘着剤層付き透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記透明導電層がポリマーマトリックスをさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の粘着剤層付き透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記透明導電層の厚みが10nm〜1000nmである請求項4に記載の粘着剤層付き透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記金属ナノワイヤの一部が、前記透明導電層から突出している、請求項4または5に記載の粘着剤層付き透明導電性フィルム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の粘着剤層付き透明導電性フィルムを含む、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤層付き透明導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチセンサーの電極等に用いられる透明導電性フィルムとして、透明樹脂フィルム上にインジウム・スズ複合酸化物層(ITO層)等の金属酸化物層が形成された透明導電性フィルムが多用されている。しかし、金属酸化物層が形成された透明導電性フィルムは、屈曲性が不十分であるため、フレキシブルディスプレイなどの屈曲性が必要とされる用途には使用し難い。
【0003】
また、透明導電性フィルムとして、銀や銅などを用いた金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含む透明導電性フィルムが提案されている。このような透明導電性フィルムは屈曲性に優れるものの、腐食性ガスに対する耐性が不十分であり、腐食性ガスの接触により、大幅な導電率の低下、および大幅な光透過性の低下をもたらすという問題がある。
【0004】
金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含む透明導電性フィルムの腐食を防止する手段として、金属ナノワイヤまたは金属メッシュから構成される導電層をポリマーマトリックスで保護する方法が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、透明導電性フィルムを電極として使用するためには導電層表面から導通をとる必要があり、そのため、ポリマーマトリックスの厚みが制限され、金属ナノワイヤまたは金属メッシュをポリマーマトリックスで十分に被覆することができないので、依然、腐食防止効果が十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−505358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、屈曲性に優れ、かつ、環境耐久性の高い透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘着剤層付き透明導電性フィルムは、透明基材と、透明導電層と、粘着剤層とをこの順に備え、該透明導電層が、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含み、該粘着剤層が、チオール基を含む化合物と粘着剤材料とを含む粘着剤組成物から形成され、該粘着剤組成物において、該チオール基を含む化合物の配合量が、該粘着剤組成物中の粘着剤材料100重量部に対して、0.01重量部〜1重量部である。
1つの実施形態においては、上記チオール基を含む化合物が、一般式(1)で表される;
HS−R ・・・(1)
式(1)中、Rは、炭素数が1〜30の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。
1つの実施形態においては、上記金属ナノワイヤが、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成される。
1つの実施形態においては、上記金属メッシュが、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成される。
1つの実施形態においては、上記透明導電層がポリマーマトリックスをさらに含む。
1つの実施形態においては、上記透明導電層の厚みが10nm〜1000nmである。
1つの実施形態においては、上記金属ナノワイヤの一部が、前記透明導電層から突出している。
本発明の別の局面によれば、電子機器が提供される。この電子機器は、上記粘着剤層付き透明導電性フィルムを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含む導電層と、チオール基を含む化合物を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層とを備えることにより、屈曲性に優れ、かつ、環境耐久性の高い透明導電性フィルムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態による粘着剤層付き透明導電性フィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.粘着剤層付き透明導電性フィルムの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による粘着剤層付き透明導電性フィルムの概略断面図である。粘着剤層付き透明導電性フィルム100は、透明基材10と、透明導電層20と、粘着剤層30とをこの順に備える。透明導電層は、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含む。なお、図1においては、透明導電層20が、金属ナノワイヤ21を含む例を示している。粘着剤層30は、チオール基を含む化合物を含む粘着剤組成物から形成される。以下、「粘着剤層付き透明導電性フィルム」を単に、透明導電性フィルムとも言う。
【0011】
1つの実施形態においては、透明導電層20は、ポリマーマトリックス22から形成されている。この実施形態においては、ポリマーマトリックス22中に金属ナノワイヤ21または金属メッシュが存在する。
【0012】
金属ナノワイヤ21の一部は、透明導電層20から突出していてもよい。より具体的には、金属ナノワイヤ21の一部は、透明導電層20から粘着剤層30側に突出していてもよい。さらに、金属ナノワイヤ21の一部は、粘着剤層30から外側に突出してもよい。透明導電層20から突出するようにして金属ナノワイヤ21を配置すれば、導通が良好に確保された透明導電性フィルムを得ることができる。本発明においては、金属ナノワイヤの一部が透明導電層から突出していても、金属ナノワイヤの腐食が防止され得る。
【0013】
一般的に金属系の透明導電性フィルムは、大気中の腐食性ガスが接触することにより導電層の大幅な導電率低下、および大幅な光透過性低下をもたらす可能性がある。本発明の透明導電性フィルムは、チオール基を含む化合物を含む粘着剤組成物から形成された粘着剤層を備え、該粘着剤層中のチオール基を含む化合物(あるいは、該化合物由来の構成単位を有するポリマー)が、金属表面に保護膜を形成するようにして、金属体に容易に結合し得る。このように、チオール基を含む化合物(あるいは、該化合物由来の構成単位を有するポリマー)が腐食防止剤として機能するため、透明導電層中の金属ナノワイヤまたは金属メッシュの腐食が防止される。すなわち、本発明においては、透明導電層を構成する材料として金属ナノワイヤまたは金属メッシュを用いながらも、該材料の腐食が防止さるため、屈曲性に優れ、かつ、環境耐久性の高い透明導電性フィルムを得ることができる。なお、透明導電層をポリマーマトリックスにより構成し、該ポリマーマトリックス中に腐食防止剤を添加した場合には、腐食防止剤が金属表面上に安定複合体を形成し、金属とポリマーマトリックスとの界面に障壁を形成する傾向があり、その結果、透明導電層の外観悪化、硬化阻害等の問題が生じるおそれがある。
【0014】
上記粘着剤層付き透明導電性フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜500μmであり、より好ましくは15μm〜300μmであり、さらに好ましくは20μm〜200μmである。
【0015】
上記粘着剤層付き透明導電性フィルムの全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
【0016】
上記粘着剤層付き透明導電性フィルムの表面抵抗値は、好ましくは0.1Ω/□〜1000Ω/□であり、より好ましくは0.5Ω/□〜500Ω/□であり、特に好ましくは1Ω/□〜250Ω/□である。
【0017】
B.粘着剤層
上記粘着剤層は、チオール基を含む化合物を含む粘着剤組成物から形成される。より詳細には、粘着剤組成物は、添加剤としてのチオール基を含む化合物と、粘着剤材料とを含み、粘着剤層は、該粘着剤組成物を乾燥または重合することにより形成される。なお、粘着剤材料とは、ベースポリマー、ならびに、ベースポリマーの前駆体としてのモノマーおよびプレポリマー(A)を含む概念である。これらのベースポリマー、モノマーおよびプレポリマー(A)は混合して用いてもよい。ベースポリマーの前駆体としてのモノマーおよび/またはプレポリマー(A)を含む粘着剤組成物を用いる場合には、該粘着剤組成物を重合することにより粘着剤層が形成され、該粘着剤層は、該モノマーおよび/またはプレポリマー(A)から構成されるベースポリマーを含む。粘着剤層中のベースポリマーは、上記チオール基を含む化合物由来の構成単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。言い換えれば、上記チオール基を含む化合物は、上記粘着剤材料と反応して粘着剤層中のベースポリマー中に取り込まれていてもよく、粘着剤層中でベースポリマーと併存していてもよい。1つの実施形態においては、上記ベースポリマーは、上記チオール基を含む化合物由来の構成単位を含まない。
【0018】
1つの実施形態においては、上記チオール基を含む化合物は、プレポリマー(B)に取り込まれた状態で添加される。この実施形態においては、プレポリマー(B)形成用のモノマーとチオール基を含む化合物とを反応させてプレポリマー(B)を形成した後に、該プレポリマーと粘着剤材料とを混合して、粘着剤組成物を調製する。
【0019】
上記チオール基を含む化合物の配合量は、上記粘着剤組成物中の粘着剤材料100重量部に対して、0.01重量部〜1重量部であり、好ましくは0.01重量部〜0.5重量部であり、より好ましくは0.01重量部〜0.3重量部であり、さらに好ましくは0.1重量部〜0.2重量部である。このような範囲であれば、透明導電層中の金属ナノワイヤまたは金属メッシュの腐食が防止される。なお、上記のように、チオール基を含む化合物由来の構成単位を有するプレポリマー(B)を用いる場合、「チオール基を含む化合物の配合量」とは、粘着剤組成物中のプレポリマー(B)に導入されたチオール基を含む化合物の量を意味する。また、粘着剤材料にプレポリマー(B)は含まれない。
【0020】
上記チオール基を含む化合物としては、例えば、一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
HS−R ・・・(1)
式(1)中、Rは、炭素数が1〜30の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、好ましくは炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。Rは、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。また、Rは、二重結合および/または三重結合を任意の適切な位置に含んでいてもよい。また、Rは、任意の適切な置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、SH基、水酸基、NH基、アルキルエステル基、カルボキシル基、アリル基、ハロゲン基等が挙げられる。また、Rは、N、S、O、Si、P等の元素を含む置換基を有していてもよい。
【0021】
チオール基を含む化合物の具体例としては、α−チオグリセロール、アミノエタンチオール、チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル等が挙げられる。なかでも好ましくは、α−チオグリセロール、チオグリコール酸、アミノエタンチオール、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸イソオクチルである。これらのチオール基を含む化合物を用いれば、金属ナノワイヤまたは金属メッシュの腐食を防止する効果が顕著となる。
【0022】
上記粘着剤組成物に含まれるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、シリコン系モノマー、ウレタン系モノマー、エポキシ系モノマー等が挙げられる。なかでも好ましくは、透明性および耐久性の観点から、(メタ)アクリル系モノマーである。上記粘着剤組成物に含まれるベースポリマーまたはプレポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー、シリコン系モノマー、ウレタン系モノマー、エポキシ系モノマー等から構成されるベースポリマーまたはプレポリマーが挙げられる。
【0023】
上記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。なかでも、炭素数が4〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられ得る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、粘着剤組成物中の全モノマー100重量部に対して、好ましくは60重量部以上であり、より好ましくは80重量部以上である。
【0024】
上記粘着剤組成物は、別のモノマーをさらに含み得る。別のモノマーとしては、例えば、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なモノマーが挙げられる。該モノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イコタン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー等が挙げられる。また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
【0025】
上記チオール基を含む化合物由来の構成単位を有するプレポリマー(B)は、プレポリマー(B)形成用のモノマーとチオール基を含む化合物とを反応させて得ることができる。プレポリマー(B)形成用のモノマーとしては、上述のモノマーが用いられ得る。
【0026】
1つの実施形態においては、上記プレポリマー(B)形成用のモノマーとして、三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーが用いられる。三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いれば、耐久性および接着性(特に、高温下における耐久性および接着性)に優れる粘着剤層を形成することができる。三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロペンタニルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート等が挙げられる。
【0027】
上記プレポリマー(B)において、三環以上の脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位の含有割合は、プレポリマー(B)100重量部に対して、好ましくは40重量部〜80重量部であり、より好ましくは50重量部〜70重量部である。
【0028】
上記プレポリマー(B)の重量平均分子量は、好ましくは100〜50000であり、より好ましくは1000〜10000である。重量平均分子量は、GPC(溶媒:THF)により測定され得る。
【0029】
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。該添加剤としては、例えば、開始剤、粘着付与剤、可塑剤、顔料、染料、充填剤、老化防止剤、導電材、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、軟化剤、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤等が挙げられる。使用される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0030】
1つの実施形態においては、上記粘着剤層は、上記粘着剤組成物を上記透明導電層上に塗布した後、塗布層を重合して形成され得る。この実施形態においては、粘着剤組成物中のモノマーを部分重合させた後に、該粘着剤組成物を上記透明導電層上に塗布し、塗布層をさらに重合させてもよい。重合方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、光重合が採用される。また、別の基材上で重合により形成した粘着剤層を、透明導電層上に転写してもよい。
【0031】
別の実施形態においては、粘着剤組成物中のモノマーを重合させて塗工液を調製した後、該塗工液を上記透明導電層上に塗布し、必要に応じて乾燥して、上記粘着剤層を形成する。
【0032】
さらに別の実施形態においては、ベースポリマーを含む粘着剤組成物を上記透明導電層上に塗布し、必要に応じて乾燥して、上記粘着剤層を形成する。
【0033】
上記粘着剤層中のベースポリマーの重量平均分子量は、好ましくは200000〜4000000であり、より好ましくは400000〜2000000である。
【0034】
上記ベースポリマーが、上記チオール基を含む化合物由来の構成単位を含む場合、粘着剤層中におけるチオール基を含む化合物由来の構成単位の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜1重量部であり、より好ましくは0.01重量部〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部〜0.3重量部であり、特に好ましくは0.1重量部〜0.2重量部である。このような範囲であれば、透明導電層中の金属ナノワイヤまたは金属メッシュの腐食が防止される。
【0035】
上記ベースポリマーが、上記チオール基を含む化合物由来の構成単位を含まない場合、すなわち、上記ベースポリマーとチオール基を含む化合物とが粘着剤層中で併存している場合、粘着剤層中におけるチオール基を含む化合物の含有割合は、粘着剤層中の全固形分100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜1重量部であり、より好ましくは0.01重量部〜0.5重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部〜0.3重量部であり、特に好ましくは0.1重量部〜0.2重量部である。このような範囲であれば、透明導電層中の金属ナノワイヤまたは金属メッシュの腐食が防止される。
【0036】
上記粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜500μmであり、より好ましくは2μm〜300μmである。
【0037】
C.透明導電層
上記透明導電層は、金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含む。金属ナノワイヤまたは金属メッシュを含む透明導電層を形成すれば、屈曲性に優れ、かつ、光透過率に優れる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0038】
1つの実施形態においては、透明導電層は、ポリマーマトリックスをさらに含む。この実施形態においては、ポリマーマトリックス中に、金属ナノワイヤまたは金属メッシュが存在する。ポリマーマトリックスから構成される透明導電層においては、ポリマーマトリックスにより金属ナノワイヤまたは金属メッシュが保護される。その結果、金属ナノワイヤまたは金属メッシュの腐食が防止され、耐久性により優れる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0039】
上記透明導電層の厚みは、好ましくは10nm〜1000nmであり、より好ましくは20nm〜500nmである。なお、透明導電層がポリマーマトリックスを含む場合は、該透明導電層の厚みはポリマーマトリックスの厚みに相当する。
【0040】
1つの実施形態においては、上記透明導電層はパターン化されている。パターン化の方法としては、透明導電層の形態に応じて、任意の適切な方法が採用され得る。透明導電層のパターンの形状は、用途に応じて任意の適切な形状であり得る。例えば、特表2011−511357号公報、特開2010−164938号公報、特開2008−310550号公報、特表2003−511799号公報、特表2010−541109号公報に記載のパターンが挙げられる。透明導電層は透明基材上に形成された後、透明導電層の形態に応じて、任意の適切な方法を用いてパターン化することができる。
【0041】
上記透明導電層の全光線透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
【0042】
(金属ナノワイヤを含む透明導電層)
金属ナノワイヤとは、材質が金属であり、形状が針状または糸状であり、径がナノメートルサイズの導電性物質をいう。金属ナノワイヤは直線状であってもよく、曲線状であってもよい。金属ナノワイヤで構成された透明導電層を用いれば、金属ナノワイヤが網の目状となることにより、少量の金属ナノワイヤであっても良好な電気伝導経路を形成することができ、電気抵抗の小さい透明導電性フィルムを得ることができる。さらに、金属ナノワイヤが網の目状となることにより、網の目の隙間に開口部を形成して、光透過率の高い透明導電性フィルムを得ることができる。
【0043】
上記金属ナノワイヤの太さdと長さLとの比(アスペクト比:L/d)は、好ましくは10〜100,000であり、より好ましくは50〜100,000であり、特に好ましくは100〜10,000である。このようにアスペクト比の大きい金属ナノワイヤを用いれば、金属ナノワイヤが良好に交差して、少量の金属ナノワイヤにより高い導電性を発現させることができる。その結果、光透過率の高い透明導電性フィルムを得ることができる。なお、本明細書において、「金属ナノワイヤの太さ」とは、金属ナノワイヤの断面が円状である場合はその直径を意味し、楕円状である場合はその短径を意味し、多角形である場合は最も長い対角線を意味する。金属ナノワイヤの太さおよび長さは、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡によって確認することができる。
【0044】
上記金属ナノワイヤの太さは、好ましくは500nm未満であり、より好ましくは200nm未満であり、特に好ましくは10nm〜100nmであり、最も好ましくは10nm〜50nmである。このような範囲であれば、光透過率の高い透明導電層を形成することができる。
【0045】
上記金属ナノワイヤの長さは、好ましくは2.5μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜500μmであり、特に好ましくは20μm〜100μmである。このような範囲であれば、導電性の高い透明導電性フィルムを得ることができる。
【0046】
上記金属ナノワイヤを構成する金属としては、導電性の高い金属である限り、任意の適切な金属が用いられ得る。上記金属ナノワイヤを構成する金属としては、例えば、銀、金、銅、ニッケル等が挙げられる。また、これらの金属にメッキ処理(例えば、金メッキ処理)を行った材料を用いてもよい。金属ナノワイヤは、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成されることが好ましい。
【0047】
上記金属ナノワイヤの製造方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば溶液中で硝酸銀を還元する方法、前駆体表面にプローブの先端部から印可電圧又は電流を作用させ、プローブ先端部で金属ナノワイヤを引き出し、該金属ナノワイヤを連続的に形成する方法等が挙げられる。溶液中で硝酸銀を還元する方法においては、エチレングリコール等のポリオール、およびポリビニルピロリドンの存在下で、硝酸銀等の銀塩の液相還元することにより、銀ナノワイヤが合成され得る。均一サイズの銀ナノワイヤは、例えば、Xia,Y.etal.,Chem.Mater.(2002)、14、4736−4745 、Xia, Y.etal., Nano letters(2003)3(7)、955−960 に記載される方法に準じて、大量生産が可能である。
【0048】
上記金属ナノワイヤを含む透明導電層は、溶媒中に上記金属ナノワイヤを分散させた分散液を、上記透明基材上に塗布した後、塗布層を乾燥させて、形成することができる。
【0049】
上記溶媒としては、水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられる。環境負荷低減の観点から、水を用いることが好ましい。
【0050】
上記金属ナノワイヤ分散液中の金属ナノワイヤの分散濃度は、好ましくは0.1重量%〜1重量%である。このような範囲であれば、導電性および光透過性に優れる透明導電層を形成することができる。
【0051】
上記金属ナノワイヤ分散液は、目的に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。上記添加剤としては、例えば、金属ナノワイヤの腐食を防止する腐食防止材、金属ナノワイヤの凝集を防止する界面活性剤等が挙げられる。使用される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
【0052】
上記金属ナノワイヤ分散液の塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。塗布方法としては、例えば、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコート、凸版印刷法、凹版印刷法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布層の乾燥方法としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的には50℃〜200℃であり、乾燥時間は代表的には1〜10分である。
【0053】
上記透明導電層における金属ナノワイヤの含有割合は、透明導電層の全重量に対して、好ましくは30重量%〜90重量%であり、より好ましくは45重量%〜80重量%である。このような範囲であれば、導電性および光透過性に優れる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0054】
上記金属ナノワイヤが銀ナノワイヤである場合、透明導電層の密度は、好ましくは1.3g/cm〜10.5g/cmであり、より好ましくは1.5g/cm〜3.0g/cmである。このような範囲であれば、導電性および光透過性に優れる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0055】
(金属メッシュを含む透明導電層)
金属メッシュを含む透明導電層は、上記透明基材または樹脂層上に、金属細線が格子状のパターンに形成されてなる。金属メッシュを構成する金属としては、導電性の高い金属である限り、任意の適切な金属が用いられ得る。上記金属メッシュを構成する金属としては、例えば、銀、金、銅、ニッケル等が挙げられる。また、これらの金属にメッキ処理(例えば、金メッキ処理)を行った材料を用いてもよい。金属メッシュは、金、白金、銀および銅からなる群より選ばれた1種以上の金属により構成されることが好ましい。
【0056】
金属メッシュを含む透明導電層は、任意の適切な方法により形成させることができる。該透明導電層は、例えば、銀塩を含む感光性組成物(透明導電層形成用組成物)を上記透明基材上に塗布し、その後、露光処理および現像処理を行い、金属細線を所定のパターンに形成することにより得ることができる。また、該透明導電層は、金属微粒子を含むペーストを所定のパターンに印刷して得ることもできる。このような透明導電層およびその形成方法の詳細は、例えば、特開2012−18634号公報に記載されており、その記載は本明細書に参考として援用される。また、金属メッシュから構成される透明導電層およびその形成方法の別の例としては、特開2003−331654号公報に記載の透明導電層およびその形成方法が挙げられる。
【0057】
(ポリマーマトリックス)
上記ポリマーマトリックスを構成するポリマーとしては、任意の適切なポリマーが用いられ得る。該ポリマーとしては、例えば、アクリル系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の芳香族系ポリマー;ポリウレタン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;ポリオレフィン系ポリマー;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS);セルロース;シリコン系ポリマー;ポリ塩化ビニル;ポリアセテート;ポリノルボルネン;合成ゴム;フッ素系ポリマー等が挙げられる。好ましくは、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(NPGDA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)等の多官能アクリレートから構成される硬化型樹脂(好ましくは紫外線硬化型樹脂)が用いられる。
【0058】
好ましくは、上記ポリマーマトリックスは、金属腐食防止材を含まない。金属腐食防止材を含まない透明導電層を形成すれば、外観に優れる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0059】
上記ポリマーマトリックスは、上記のとおり、透明基材上に金属ナノワイヤまたは金属メッシュからなる層を形成した後、該層上に、ポリマー溶液を塗布し、その後、塗布層を乾燥または硬化させて、形成され得る。この操作により、ポリマーマトリックス中に金属ナノワイヤまたは金属メッシュが存在した透明導電層が形成される。
【0060】
上記ポリマー溶液は、上記ポリマーマトリックスを構成するポリマー、または該ポリマーの前駆体(該ポリマーを構成するモノマー)を含む。
【0061】
上記ポリマー溶液は溶剤を含み得る。上記ポリマー溶液に含まれる溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、炭化水素系溶剤、または芳香族系溶剤等が挙げられる。好ましくは、該溶剤は、揮発性である。該溶剤の沸点は、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは150℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
【0062】
D.透明基材
上記透明基材の厚みは、好ましくは8μm〜500μmであり、より好ましくは10μm〜250μmであり、さらに好ましくは10μm〜150μmであり、特に好ましくは15μm〜100μmである。
【0063】
上記透明基材の全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。このような範囲であれば、タッチパネル等に備えられる透明導電性フィルムとして好適な透明導電性フィルムを得ることができる。
【0064】
上記透明基材を構成する樹脂としては、本発明の効果が得られる限り、任意の適切な樹脂が用いられ得る。透明基材を構成する樹脂としては、例えば、シクロオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂等が挙げられる。好ましくは、シクロオレフィン系樹脂である。シクロオレフィン系樹脂を用いれば、高い水分バリア性を有する透明基材を安価に得ることができる。高い水分バリア性を有する透明基材を用いれば、耐湿性の低い圧電フィルム(例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂フィルム)を備える圧電素子に備えられる透明導電性フィルムとして有用な透明導電性フィルムを得ることができる。
【0065】
上記シクロオレフィン系樹脂として、例えば、ポリノルボルネンが好ましく用いられ得る。ポリノルボルネンとは、出発原料(モノマー)の一部または全部に、ノルボルネン環を有するノルボルネン系モノマーを用いて得られる(共)重合体をいう。
【0066】
上記ポリノルボルネンとしては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン(Arton)」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
【0067】
上記透明基材を構成する樹脂のガラス転移温度は、好ましくは50℃〜200℃であり、より好ましくは60℃〜180℃であり、さらに好ましくは70℃〜160℃である。
このような範囲のガラス転移温度を有する透明基材であれば、透明導電層を形成する際の劣化が防止され得る。
【0068】
上記透明基材は、必要に応じて任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤の具体例としては、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、相溶化剤、架橋剤、および増粘剤等が挙げられる。使用される添加剤の種類および量は、目的に応じて適宜設定され得る。
【0069】
上記透明基材を得る方法としては、任意の適切な成形加工法が用いられ、例えば、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、およびソルベントキャスティング法等から適宜、適切なものが選択され得る。これらの製法の中でも好ましくは、押出成形法またはソルベントキャスティング法が用いられる。得られる透明基材の平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができるからである。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類等に応じて適宜設定され得る。
【0070】
必要に応じて、上記透明基材に対して各種表面処理を行ってもよい。表面処理は目的に応じて任意の適切な方法が採用される。例えば、低圧プラズマ処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理が挙げられる。1つの実施形態においては、透明基材を表面処理して、透明基材表面を親水化させる。透明基材を親水化させれば、水系溶媒により調製された透明導電層形成用組成物(後述)を塗工する際の加工性が優れる。また、透明基材と透明導電層との密着性に優れる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0071】
E.用途
上記導電性フィルムは、画像表示装置等の電子機器に好適に用いられ得る。より具体的には、導電性フィルムは、例えば、タッチパネル等に用いられる電極;電子機器の誤作動の原因となる電磁波を遮断する電磁波シールド等として用いられ得る。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。実施例および比較例における評価方法は以下のとおりである。
【0073】
(1)表面抵抗値
NAPSON製 商品名「EC−80」を用いて測定した。測定温度は23℃とした。
(2)全光線透過率、ヘイズ
株式会社村上色彩研究所製の商品名「HR−100」を用いて測定した。測定温度は23℃とした。繰り返し回数3回の平均値を、測定値とした。
(3)加熱試験
透明導電性フィルムを、縦5cm×横4.5cmに裁断し、透明導電性フィルムにガラス板を貼り合せて得られた積層体を、温度90℃の恒温装置(エスペック社製、製品名「PH−3KT」)に投入して240時間放置した。
加熱前後の表面抵抗値を上記(1)の方法で測定し、その変化率(加熱後/加熱前)により、透明導電性フィルムの耐久性を評価した。
【0074】
[実施例1]
(銀ナノワイヤの合成および銀ナノワイヤ分散液の調製)
攪拌装置を備えた反応容器中、160℃下で、無水エチレングリコール5ml、PtCl2の無水エチレングリコール溶液(濃度:1.5×10−4mol/L)0.5mlを加えた。4分経過後、得られた溶液に、AgNOの無水エチレングリコール溶液(濃度:0.12mol/l)2.5mlと、ポリビニルピロリドン(MW:55000)の無水エチレングリコール溶液(濃度:0.36mol/l)5mlとを同時に、6分かけて滴下した。この滴下後、160℃に加熱し1時間以上かけて、AgNOが完全に還元されるまで反応を行い、銀ナノワイヤを生成した。次いで、上記のようにして得られた銀ナノワイヤを含む反応混合物に、該反応混合物の体積が5倍になるまでアセトンを加えた後、該反応混合物を遠心分離して(2000rpm、20分)、銀ナノワイヤを得た。
得られた銀ナノワイヤは、短径が30nm〜40nmであり、長径が30nm〜50nmであり、長さは5μm〜50μmであった。
純水中に、該銀ナノワイヤ(濃度:0.2重量%)、およびペンタエチレングリコールドデシルエーテル(濃度:0.1重量%)を分散させ、銀ナノワイヤ分散液Iを調製した。
【0075】
(導電層形成用のポリマー溶液の調製)
イソプロピルアルコール(和光純薬工業株式会社製)、ダイアセトンアルコール(和光純薬工業株式会社製)を重量比1:1で混合したものを溶媒として用いた。該溶媒に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(新中村化学社製、商品名「A−DPH」)1.6重量%、および光反応開始剤(チバ・ジャパン社製、製品名「イルガキュア907」)が0.09重量%を投入して、ポリマー溶液Iを調製した。
【0076】
(透明導電性フィルムの作製)
透明基材としてノルボルネン系シクロオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア」)を用いた。
この透明基材上に、バーコーター(第一理科株式会社製 製品名「バーコーター No.10」)を用いて上記銀ナノワイヤ分散液Aを塗布し、120℃の送風乾燥機内で2分間乾燥させた。その後、上記ポリマー溶液IをWet膜厚6μmでスロットダイにて塗布し、120℃の送風乾燥機内で2分間乾燥させた。次いで、酸素濃度100ppm環境とした紫外光照射装置(Fusion UV Systems社製)で積算照度210mJ/cmの紫外光を照射してポリマー溶液Iを硬化させて、透明導電層を形成した。透明基材と透明導電層から構成される積層体の表面抵抗値は、表面抵抗値は161Ω/□であり、全光線透過率は91.6%であり、ヘイズは2.0%であった。
さらに、上記透明導電層上に、アクリル系ポリマーとα−チオグリセロールとを含む粘着剤組成物I(日東電工社製、商品名「CS9862U」、α−チオグリセロールの配合割合:アクリル系ポリマー100重量部に対して0.01重量部)を塗布して、粘着剤層を形成した。
上記のようにして、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:50μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0077】
[実施例2]
粘着剤組成物Iに代えて、粘着剤組成物II(日東電工社製、商品名「CS9912U」;アクリル系ポリマーとα−チオグリセロールとを含み、α−チオグリセロールの配合割合:アクリル系ポリマー100重量部に対して0.15重量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0078】
[実施例3]
(プレポリマー(b1)の作製)
ジシクロペンタニルメタリレート60重量部、メチルメタクリレート40重量部、α−チオグリセロール3.5重量部および重合溶媒としてのトルエン100重量部を、4つ口フラスコに投入し、これらを窒素雰囲気下にて70℃で1時間撹拌した。次に、重合開始剤としての2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を4つ口フラスコに投入し、70℃で2時間反応させ、続いて、80℃で2時間反応させた。その後、反応液を130℃温度雰囲気下に投入し、トルエンおよび未反応モノマーを乾燥除去させ、固形状のアクリル系プレポリマー(b1)を得た。アクリル系プレポリマー(b1)の重量平均分子量(Mw)は5.1×10であった。また、アクリル系プレポリマー(b1)中、α−チオグリセロール由来の構成単位の含有割合は、アクリル系プレポリマー100重量部に対して、0.3重量部であった。
(粘着剤組成物IIIの調製)
モノマーとして、イソステアリルアクリレート40.5重量部と、2−エチルヘキシルアクリレート40.5重量部と、N−ビニルピロリドン18重量部と、4−ヒドロキシブチルアクリレート1重量部とを用いた。これらのモノマー(全量:100重量部)と、開始剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製、商品名「イルガキュア184」)0.1重量部とを4つ口フラスコに投入し、窒素雰囲気下で紫外線に曝露して部分的に光重合することによって、粘着剤材料(モノマーと、重合率10%の部分重合物とを含む)を含む前駆組成物を得た。得られた前駆組成物(粘着剤材料100重量部を含む)に、上記アクリル系プレポリマー(b1)5重量部と、トリメチロールプロパントリアクリレート0.02重量部とを添加した後、これらを均一に混合して粘着剤組成物IIIを調製した。この粘着剤組成物IIIにおいて、チオール基を含む化合物の配合量は、粘着剤材料100重量部に対して、0.015重量部である。
(粘着剤層付き透明導電性フィルムの作製)
片面をシリコーンで剥離処理した厚み75μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、粘着剤組成物IIIを厚み100μmになるように塗布して塗布層を形成し、該塗布層上に、片面をシリコーン剥離処理した厚みが38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面を貼り合わせてから、厚み38μmのポリエステルフィルム側の面上からランプ直下での照射面の強度が5mW/cmになるようにランプ高さを調節したブラックライトにより、紫外線を照射した。光量で3000mJ/cm照射されるまで重合を行い、厚み150μmの粘着剤層を得た。
実施例1と同様にして、透明基材上に透明導電層を形成させた。さらに、上記透明導電層上に、上記粘着剤層を転写して、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0079】
[実施例4]
(プレポリマー(b2)の作製)
α−チオグリセロール3.5重量部に代えて、チオグリコール酸3.5重量部を用いた以外は実施例3と同様にして、アクリル系プレポリマー(b2)を得た。アクリル系プレポリマー(b2)の重量平均分子量(Mw)は5.4×10であった。また、アクリル系プレポリマー(b2)中、チオグリコール酸由来の構成単位の含有割合は、アクリル系プレポリマー100重量部に対して、0.33重量部であった。
(粘着剤組成物IVの調製)
アクリル系プレポリマー(b1)5重量部に代えて、アクリル系プレポリマー(b2)5重量部を用いた以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物IVを調製した。この粘着剤組成物IVにおいて、チオール基を含む化合物の配合量は、粘着剤材料100重量部に対して、0.0165重量部である。
(粘着剤層付き透明導電性フィルムの作製)
粘着剤組成物IIIに代えて、粘着剤組成物IVを用いた以外は、実施例3と同様にして、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0080】
[実施例5]
(プレポリマー(b3)の作製)
α−チオグリセロール3.5重量部に代えて、アミノエタンチオール3.5重量部を用いた以外は実施例3と同様にして、アクリル系プレポリマー(b3)を得た。アクリル系プレポリマー(b3)の重量平均分子量(Mw)は4.9×10であった。また、アクリル系プレポリマー(b3)中、チオグリコール酸由来の構成単位の含有割合は、アクリル系プレポリマー100重量部に対して、0.32重量部であった。
(粘着剤組成物Vの調製)
アクリル系プレポリマー(b1)5重量部に代えて、アクリル系プレポリマー(b3)5重量部を用いた以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物Vを調製した。この粘着剤組成物Vにおいて、チオール基を含む化合物の配合量は、粘着剤材料100重量部に対して、0.016重量部である。
(粘着剤層付き透明導電性フィルムの作製)
粘着剤組成物IIIに代えて、粘着剤組成物Vを用いた以外は、実施例3と同様にして、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0081】
[実施例6]
透明基材としてノルボルネン系シクロオレフィンフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア」)を用いた。
このノルボルネン系シクロオレフィンフィルムをコロナ処理し、表面を親水化した。その後、ノルボルネン系シクロオレフィンフィルム上に、銀ペースト(トーヨーケム株式会社製、商品名「RA FS 039」)を用いてスクリーン印刷法にて金属メッシュを形成し(線幅:8.5μm、ピッチ300μmの格子)、120℃で10分間焼結して透明導電層を形成した。透明基材と透明導電層から構成される積層体の表面抵抗値は、表面抵抗値は155Ω/□であり、全光線透過率は98.1%であり、ヘイズは7.0%であった。
さらに、上記透明導電層上に、実施例1で用いた粘着剤組成物I、すなわち、アクリル系ポリマーとα−チオグリセロールとを含む粘着剤組成物I(日東電工社製、商品名「CS9862U」、α−チオグリセロールの配合割合:アクリル系ポリマー100重量部に対して0.01重量部)を塗布して、粘着剤層を形成した。
上記のようにして、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:50μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0082】
[実施例7]
粘着剤組成物Iに代えて、粘着剤組成物II(日東電工社製、商品名「CS9912U」;アクリル系ポリマーとα−チオグリセロールとを含み、α−チオグリセロールの配合割合:アクリル系ポリマー100重量部に対して0.15重量部)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0083】
[実施例8]
実施例3と同様にして、粘着剤組成物IIIを調製し、さらに、粘着剤層を得た。
実施例6と同様にして、透明基材上に透明導電層を形成させた。さらに、透明導電層上に、上記粘着剤層を転写して、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0084】
[実施例9]
実施例4と同様にして、粘着剤組成物IVを調製し、さらに、粘着剤層を得た。
実施例6と同様にして、透明基材上に透明導電層を形成させた。さらに、透明導電層上に、上記粘着剤層を転写して、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0085】
[実施例10]
実施例5と同様にして、粘着剤組成物Vを調製し、さらに、粘着剤層を得た。
実施例6と同様にして、透明基材上に透明導電層を形成させた。さらに、透明導電層上に、上記粘着剤層を転写して、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0086】
[比較例1]
粘着剤組成物Iに代えて、粘着剤組成物VI(日東電工社製、商品名「CS9892U」;アクリル系ポリマーから構成され、チオール基を含む化合物を含まない)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを得た。
【0087】
[比較例2]
粘着剤組成物Iに代えて、粘着剤組成物VII(日東電工社製、商品名「CS9922U」;アクリル系ポリマーから構成され、チオール基を含む化合物を含まない)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、透明導電性フィルムを得た。
【0088】
[比較例3]
(粘着剤組成物VIIIの調製)
アクリル系プレポリマー(b1)5重量部に代えて、アクリル系プレポリマー(b1)0.05重量部を用いた以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物VIIIを調製した。この粘着剤組成物VIIIにおいて、チオール基を含む化合物の配合量は、粘着剤材料100重量部に対して、0.00015重量部である。
(粘着剤層付き透明導電性フィルムの作製)
粘着剤組成物IIIに代えて、粘着剤組成物VIIIを用いた以外は、実施例3と同様にして、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0089】
[比較例4]
粘着剤組成物Iに代えて、粘着剤組成物VI(日東電工社製、商品名「CS9892U」;アクリル系ポリマーから構成され、チオール基を含む化合物を含まない)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、透明導電性フィルムを得た。
【0090】
[比較例5]
粘着剤組成物Iに代えて、粘着剤組成物VII(日東電工社製、商品名「CS9922U」;アクリル系ポリマーから構成され、チオール基を含む化合物を含まない)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、透明導電性フィルムを得た。
【0091】
[比較例6]
比較例3と同様にして、粘着剤組成物VIIIを調製し、さらに、粘着剤層を得た。
実施例6と同様にして、透明基材上に透明導電層を形成させた。さらに、透明導電層上に、上記粘着剤層を転写して、透明基材(厚み:100μm)/透明導電層(厚み0.1μm)/粘着剤層(厚み:150μm)から構成される粘着剤層付き透明導電性フィルムを得た。得られた粘着剤層付き透明導電性フィルムを上記(3)の評価に供した。結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
表1から明らかなように、本発明の粘着剤層付き透明導電性フィルムは、加熱試験前後の表面抵抗値変化率が低減される。このような透明導電性フィルムは、粘着剤層中のチオール基を含む化合物が腐食防止剤として金属体に容易に結合し、金属表面において保護膜を形成し、金属の腐食を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 透明基材
20 透明導電層
21 金属ナノワイヤ
22 ポリマーマトリックス
30 粘着剤層
100 粘着剤層付き透明導電性フィルム

図1