(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内層及び外層からなる2層コアと、カバーとを有し、これらの間に少なくとも1層の中間層を介在させてなり、且つ、該カバー表面には塗膜層が形成されるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、内層コアの直径が35.0〜35.5mmであり、上記2層コアはゴム組成物を主材として形成され、中間層及びカバーは樹脂材料を主材として形成されると共に、コア硬度分布において、内層コア中心のJIS−C硬度を(Cc)、内層コア中心から10mmの位置のJIS−C硬度を(C10)、内層コア表面のJIS−C硬度を(Cs)及び外層コア表面のJIS−C硬度を(Css)とするとき、下記式(i)〜(iii)を満足し、更に、コアに中間層を被覆した球体の表面硬度がボールの表面硬度よりも高くなることを特徴するマルチピースソリッドゴルフボール。
31≦Css−Cc≦36 ・・・・(i)
6.8≦(Css−C10)/(C10−Cc)≦8.0 ・・・・(ii)
24≦Cs−Cc≦30 ・・・・(iii)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、内側から外側へ向かって、内層外層を有するコア、中間層、カバー及び塗膜層を有する。
図1には、本発明のゴルフボールの一例を示す内部構造を示す。
図1に示したゴルフボールGは、内層コア1aと外層コア1bとからなるコア1と、該コア1を被覆する中間層2と、該中間層2を被覆するカバー3とを有し、該カバー表面には塗膜層4が形成されている。また、上記カバー3の表面には、通常、空力特性の向上のためにディンプルDが多数形成される。以下、上記の各層について詳述する。
【0011】
コアは、上述したように、内層コア及び外層コアの2層に形成されるものである。
内層コアの直径は、好ましくは20〜40mmであり、より好ましくは30〜38mmであり、さらに好ましくは35〜35.5mmである。内層コアの直径が小さすぎると、ドライバー(W#1)打撃時に実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、内層コアの直径が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、或いはフルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0012】
以下に説明する内層コアの中心硬度(「コアの中心硬度」とも言う。)(Cc)及び所定位置における断面硬度とは、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心及び所定位置において測定される硬度を意味し、表面硬度(Cs)は内層コアの表面(球面)において測定される硬度を意味する。また、後述する表面硬度(Css)は、外層コアの表面硬度を意味する。
【0013】
内層コアの中心硬度(Cc)は、JIS−C硬度で、好ましくは50以上であり、より好ましくは51〜59、さらに好ましくは52〜57である。内層コア中心硬度が大きすぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなることがあり、または打感が硬く感じられることがある。逆に、上記値が小さすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがあり、または打感が軟らかくなりすぎることがある。
【0014】
内層コアの中心から5mm位置でのJIS−C硬度(C5)は、好ましくは52〜66、より好ましくは54〜62、さらに好ましくは56〜60である。また、コアの中心から10mm位置でのJIS−C硬度(C10)は、好ましくは53〜67、より好ましくは55〜63、さらに好ましくは57〜61である。上記硬度値が大きすぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなることがあり、或いは打感が硬く感じられることがある。逆に、上記値が小さすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがあり、または打感が軟らかくなりすぎることがある。
【0015】
内層コアの中心から15mm位置でのJIS−C硬度(C15)は、好ましくは64〜80、より好ましくは67〜77、さらに好ましくは70〜74である。上記硬度値が大きすぎると、打感が硬くなり、または繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。逆に、上記硬度値が小さすぎると、スピンが増え過ぎ、反発が低くなって飛ばなくなることがある。
【0016】
内層コアの表面硬度(Cs)は、JIS−C硬度で、好ましくは70〜91、より好ましくは74〜89、さらに好ましくは77〜87である。上記硬度値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。逆に、上記硬度値が小さすぎると、フルショット時のスピンが増えてしまい、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0017】
(C10−Cc)の値は、好ましくは0〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜6である。即ち、この値は、コア中心から10mm程度までは硬度傾斜が緩やかであることを意味する。また、(C5−Cc)の値は、好ましくは−1〜9、より好ましくは0〜7、さらに好ましくは1〜5である。この値が大きすぎると、フルショットした時の実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られない場合がある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0018】
(C10−C5)の値は、好ましくは−2〜6、より好ましくは−1〜4、さらに好ましくは0〜2である。また、(C15−C10)の値は、好ましくは4〜22、より好ましくは7〜18、さらに好ましくは10〜15である。これらの硬度差が上記範囲を逸脱すると、フルショットした時にスピンが増えすぎて飛距離が出なくなり、或いは繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなる場合がある。
【0019】
内層コアの表面硬度と内層コアの中心硬度との硬度差、(Cs−Cc)については、JIS−C硬度で、好ましくは20〜40、より好ましくは22〜35、さらに好ましくは24〜30である。上記硬度差が大きすぎると、フルショットした時の実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られない場合がある。或いは、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。逆に、上記の硬度差が小さすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0020】
上記硬度分布やたわみを有する内層コアの材料としては、ゴム材を主材として用いることが好適である。具体的には、主材である(A)基材ゴム、(B)有機過酸化物のほか、共架橋剤、不活性充填剤、必要により有機硫黄化合物等を配合するゴム組成物を採用し得る。
【0021】
(A)基材ゴムとしては、ポリブタジエンを用いることが好適である。ポリブタジエンについては、そのポリマー鎖中に、シス−1,4−結合を60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上有することが好適である。分子中の結合に占めるシス−1,4−結合が少なすぎると、反発性が低下する場合がある。
【0022】
なお、(A)基材ゴムには、上記ポリブタジエン以外にも他のゴム成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し得る。上記ポリブタジエン以外のゴム成分としては、上記ポリブタジエン以外のポリブタジエン、その他のジエンゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を挙げることができる。
【0023】
(B)有機過酸化物としては、特に制限されるものではないが、1分間半減期温度が110〜185℃である有機過酸化物を用いることが好適であり、1種または2種以上の有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物の配合量としては、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限値としては、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。上記の有機過酸化物は、市販品を用いることができ、具体的には、商品名「パークミルD」、「パーヘキサC−40」、「ナイパーBW」、「パーロイルL」等(いずれも日油社製)、または、Luperco 231XL(アトケム社製)などを例示することができる。
【0024】
共架橋剤としては、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸として具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。不飽和カルボン酸の金属塩としては特に限定されるものではないが、例えば上記不飽和カルボン酸を所望の金属イオンで中和したものが挙げられる。具体的にはメタクリル酸、アクリル酸等の亜鉛塩やマグネシウム塩等が挙げられ、特にアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。
【0025】
上記不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常10質量部以上、好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、上限として通常60質量部以下、好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下、最も好ましくは40質量部以下配合する。配合量が多すぎると、硬くなりすぎて耐え難い打感になる場合があり、配合量が少なすぎると、反発性が低下してしまう場合がある。
【0026】
また、上記内層コアは、所望の硬度分布を満たすことを実現するため、下記(A)〜(C)成分
(A)基材ゴム
(B)有機過酸化物
(C)水及び/又はモノカルボン酸金属塩
を必須成分として配合するゴム組成物の加熱成形物により形成されることが好適である。
【0027】
即ち、内層コア材料に直接的に水(水を含む材料)を配合することにより、内層コア配合中の有機過酸化物の分解を促進することができる。また、ゴム組成物中の有機過酸化物は、温度によって分解効率が変化することが知られており、ある温度よりも高温になるほど分解効率が上がる。温度が高すぎると、分解したラジカル量が多くなりすぎてしまい、ラジカル同士で再結合や不活性化してしまうことになる。その結果、架橋に有効に働くラジカルが減ることになる。ここで、上記内層コアの加硫の際に有機過酸化物が分解することで分解熱が発生するとき、上記内層コアの表面付近は加硫モールドの温度とほぼ同程度を維持しているが、上記内層コアの中心付近は外側から分解していった有機過酸化物の分解熱が蓄積されるため、モールド温度よりもかなり高温になる。上記内層コアに直接的に水(水を含む材料)を配合した場合、水は有機過酸化物の分解を助長する働きがあるため、上述したようなラジカル反応を内層コアの中心と表面とにおいて変化させることができる。即ち、上記内層コア中心付近では、有機過酸化物の分解が更に助長され、ラジカルの不活性化がより促されることで有効ラジカル量が更に減少するため、中心と表面との架橋密度が大きく異なる内層コアを得ることができ、且つ、コア中心部の動的粘弾性特性の異なるコアを得ることができる。そして、このような内層コアを有するゴルフボールは、より一層の低スピン化を実現すると共に、耐久性に優れ、反発性の経時変化を少なくすることができる。特に中・高のヘッドスピードを有するプロや中上級者にとって、内層コア用ゴム組成物に水を配合することにより、フルショット時の低スピン化を十分に実現し得るものである。なお、上記の水に代えて、モノアクリル酸亜鉛を使用した場合、配合材料の混練中の熱によってモノアクリル酸亜鉛から水が発生する。これによって水を配合したときと同様の効果を得ることができる。
【0028】
上記(A)成分及び(B)成分については上述したとおりである。
上記(C)成分の水については、特に制限はなく、蒸留水であっても水道水であってもよいが、特には、不純物を含まない蒸留水を使用することが好適に採用される。水の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限としては、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下である。
【0029】
また、上記の水を適量配合することにより、加硫前のゴム組成物における水分含有率が1000ppm以上となることが好ましく、より好ましくは1500ppm以上である。上限としては、好ましくは8500ppm以下であり、より好ましくは8000ppm以下である。上記ゴム組成物の水分含有率が小さすぎると、適切な架橋密度・Tan δを得ることが困難となり、エネルギーロスが少なく低スピン化を図ったゴルフボールを成形することが困難となる場合がある。上記ゴム組成物の水分含有率が大きすぎると、コアが軟らかくなりすぎてしまい、適切なコア初速を得ることが困難となる場合がある。
【0030】
上記ゴム組成物に水を直接配合することも可能ではあるが、下記の(i)〜(iii)の方法を採用することができる。
(i)スチームや超音波によりミスト状の水をゴム組成物(配合材料)の全部または一部にあてる方法
(ii)ゴム組成物の全部または一部を水に浸漬させる方法
(iii)ゴム組成物の全部または一部を恒湿槽等の湿度管理可能な場所において高湿度環境下に一定時間放置する方法
なお、高湿度環境とはゴム組成物等を湿らせることができる環境であれば特に制限されるものではないが湿度40〜100%であることが好ましい。
【0031】
また、水をゼリー状に加工して上記ゴム組成物に配合することができる。或いは、予め水を、充填剤,未加硫ゴム,ゴム粉等に担持した材料を用い、これを上記ゴム組成物に配合することができる。このような態様は、直接水を配合するよりも作業性に優れるため、ゴルフボールの生産効率を向上させることができる。水を所定量含有させた材料の種類については特に制限はないが、十分に水を含有させた充填剤、未加硫ゴム、ゴム粉等が挙げられ、特に、耐久性や反発性を損なうことがない材料を使用することが好適である。上記の内層コア材料の水分含有率としては、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、上限として、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
【0032】
また、上記の水の代わりに、モノカルボン酸金属塩を採用することができる。モノカルボン酸金属塩は、カルボン酸が金属に対して配位結合していると推定され、例えば〔CH
2=CHCOO〕
2Znで表わされるジアクリル酸亜鉛のようなジカルボン酸金属塩とは区別される。モノカルボン酸金属塩は、脱水縮合反応をすることによりゴム組成物中に水をもたらすため、上記水と同様の効果を得ることができる。また、モノカルボン酸金属塩は、粉体としてゴム組成物に配合することができるため、作業工程を簡略化することができると共に、ゴム組成物中に均一に分散させることが容易である。なお、上記の反応を効果的に行うためには、モノ塩であることが必要である。モノカルボン酸金属塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは3質量部以上である。上限としては、モノカルボン酸金属塩の配合量は、60質量部以下配合することが好ましく、より好ましくは50質量部以下である。上記モノカルボン酸金属塩の配合量が少なすぎると、適切な架橋密度・Tan δを得ることが困難となり、十分にゴルフボールの低スピン効果を得ることができないことがある。また、配合量が多すぎる場合には、内層コアが硬くなりすぎるため、適切な打感を保つことが困難になる場合がある。
【0033】
上記のカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ステアリン酸等を使用することができる。置換金属としては、Na、K、Li、Zn、Cu、Mg、Ca、Co、Ni、Pb等が挙げられるが、好ましくはZnが好適に用いられる。具体例としては、モノアクリル酸亜鉛、モノメタクリル酸亜鉛等が挙げられ、特に、モノアクリル酸亜鉛を用いることが好ましい。
【0034】
内層コアの製造方法としては、常法に従って、140〜180℃、10〜60分間の加硫条件で加熱圧縮し、球状成形物である内層コアを成形することができる。
【0035】
加硫後の内層コアにおいては、中心が表面よりも水分含有率が高くなることが好適である。上記の水分含有率は、ゴム組成物に配合される水の配合量、成形温度及び成形時間等により、成形後のコアの水分含有率を適宜制御することができる。
【0036】
外層コアの厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.5〜6.0mm、より好ましくは1.0〜5.0mmであり、更に好ましくは1.5〜4.0mmである。外層コアが厚すぎると、フルショットした時の実打初速が低くなり狙いの飛距離が出なくなることがある。逆に、外層コアが薄すぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、フルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0037】
外層コアの表面硬度(Css)については、JIS−C硬度で、好ましくは80以上であり、より好ましくは81〜95、さらに好ましくは82〜93である。この外層コアの表面硬度が大きすぎると、打感が硬くなり、或いは繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。逆に、上記値が小さすぎると、スピンが増えすぎてしまい、或いは反発が低くなって飛ばなくなる場合がある。
【0038】
次に、外層コアの表面硬度と内層コアの中心硬度との硬度差、(Css−Cc)については、JIS−C硬度で、25以上を要するものであり、好ましくは28〜45、より好ましくは30〜40である。上記硬度差が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。また、上記硬度差が小さすぎると、スピンが増えすぎて飛距離が出なくなることがある。
【0039】
(Css−C10)の値は、好ましくは20以上であり、より好ましくは22〜40、さらに好ましくは25〜35である。即ち、“内層コア中心から10mm位置”から外層コア表面まではJIS−C硬度で20を超えるほど急傾斜であることを意味する。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、或いは打感が悪くなることがある。逆に、上記値が小さすぎると、フルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0040】
(Css−C10)の値は、(C10−Cc)の値よりも大きいことが好ましい。即ち、コア硬度分布において、内側よりも外側の方が急勾配であることを意味する。(Css−C10)の値が(C10−Cc)の値よりも小さくなると、フルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0041】
また、内層外層からなる全体コアの硬度分布において、中心部分が平坦で外側で急傾斜であるように設計するために、(Css−C10)/(C10−Cc)の値は5.0以上であることを要するものであり、好ましくは5〜14、より好ましくは6〜12、さらに好ましくは7〜10である。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。逆に、上記値が小さすぎると、フルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0042】
上記コア硬度分布においては、次の数式を満たすことが好適である。
(C10−C5)≦(C5−Cc)≦(C15−C10)
上記関係を外れると、フルショットした時の低スピン効果が足りなくなり、或いは実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0043】
外層コアの材料については、ゴム材を主材として用いることができ、内層ゴムの材料と同種であっても異種であってもよい。具体的には、基材ゴムを主体とし、これに、共架橋剤、有機過酸化物、不活性充填剤、有機硫黄化合物等を配合させてゴム組成物を作成することができる。外層コアを内層コアに被覆する方法については、シート状の未加硫ゴムを用いて一対のハーフカップを形成し、このカップ内に内層コアを入れて更に被包し、加圧加熱成形する方法などを採用できる。例えば、一次加硫(半加硫)して一対の半球カップ体を製造した後、次いで、内層コアを一方の半球カップ体に載せ、更に他方の半球カップ体をこれに被せた状態で二次加硫(全加硫)を行う方法や、ゴム組成物を未加硫状態でシート状にして一対の外層コア用シートを作成し、該シートを半球状突部が設けられた半型により型押して未加硫の半球カップ体を製造した後、これらの一対の半球カップ体を、予め製作した内層コアに被せ、140〜180℃,10〜60分間にて加熱圧縮して球状に形成する方法などを好適に採用し得る。
【0044】
また、内層コアに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは3.6〜5.1mm、より好ましくは3.9〜4.8mm、さらに好ましくは4.2〜4.5mmである。また、内層コアに外層コアを被覆した球体、即ち、コア全体に対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは3.1〜4.2mm、より好ましくは3.3〜4.0mm、さらに好ましくは3.5〜3.8mmである。この値が大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎ、繰り返し打撃した時の耐久性が悪くなり、或いはフルショット時の実打初速が低くなり狙いの飛距離が得られなくなる場合がある。上記の値が小さすぎると、打感が硬くなりすぎ、或いはフルショット時のスピンが多くなり狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0045】
更には、内層コアの上記のたわみ量(mm)をE、内層コアに外層コアを被覆した球体の上記のたわみ量(mm)をFとするとき、E/Fの値は1.5以下となることが好適であり、より好ましくは0.8〜1.4、さらに好ましくは1.0〜1.3である。この値が小さすぎると、打感が硬くなりすぎ、フルショット時のスピンが増えすぎてしまい、ドライバー(W#1)による狙いの飛距離が出なくなることがある。逆に、E/Fの値が大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎ、フルショット時の実打初速が低くなり、ドライバー(W#1)による狙いの飛距離が出なくなることがある。
【0046】
次に、中間層について説明する。
中間層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で好ましくは57〜67、より好ましくは59〜65、さらに好ましくは61〜63である。また、中間層を被覆した球体の表面硬度は、ショアD硬度で好ましくは63〜74、より好ましくは65〜72、さらに好ましくは67〜70である。上記中間層が軟らかすぎると、フルショット時のスピン量が増えすぎてしまい飛距離が出なくなることがある。また、中間層が硬すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなり、またはパターやショートアプローチ実施時の打感が硬くなりすぎることがある。
【0047】
コアに中間層を被覆した球体、即ち中間層被覆球体に対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは2.4〜3.6mm、より好ましくは2.6〜3.4mm、さらに好ましくは2.8〜3.1mmである。上記の値が大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎ、または繰り返し打撃した時の耐久性が悪くなり、或いは、フルショット時の実打初速が低くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、打感が硬くなりすぎ、フルショット時のスピンが多くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0048】
中間層の厚さは、好ましくは0.8〜2.1mm、より好ましくは1.0〜1.7mm、さらに好ましくは1.2〜1.4mmである。また、中間層の厚さは、後述するカバー(最外層)よりも厚いことが好適である。上記の範囲を逸脱し、或いはカバーより薄くなると、ドライバー(W#1)ショット時において低スピン効果が足りずに飛距離が出なくなることがある。
【0049】
中間層の材料については、特に制限はないが、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に採用することができる。特には、本発明の所望の効果を十分に奏することができる点から、高反発な樹脂材料を中間層の材料として採用することが好適である。例えば、アイオノマー樹脂材料や特開2011−120898号公報に記載されるような高中和型樹脂材料を使用することが好適である。
【0050】
なお、上記中間層材料には、非アイオノマー熱可塑性エラストマーを配合することができる。非アイオノマー熱可塑性エラストマーの配合量は、ベース樹脂の合計量100質量部に対して、1〜50質量部配合することが好適である。
【0051】
上記の非アイオノマー熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー(ポリオレフィン、メタロセンポリオレフィン含む)、ポリスチレン系エラストマー、ジエン系ポリマー、ポリアクリレート系ポリマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアセタールなどが挙げることができる。
【0052】
中間層材料には、任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。例えば、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、上記(I)〜(IV)の総和100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
【0053】
中間層材料については、後述するように、カバー(最外層)として好適に用いられるポリウレタンとの密着度を高めるために中間層表面を研磨することが好適である。更に、その研磨処理の後にプライマー(接着剤)を中間層表面に塗布するか、もしくは材料中に密着強化材を添加することが好ましい。
【0054】
中間層材料の比重は、通常1.1未満であり、好ましくは0.90〜1.05、さらに好ましくは0.93〜0.99である。その範囲を逸脱すると、反発が低くなり飛距離が伸びなくなり、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。
【0055】
次に、ボールの最外層に相当するカバーについて説明する。
カバー(最外層)の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは30〜58、より好ましくは35〜54、更に好ましくは40〜50である。
【0056】
カバー(最外層)を被覆した球体、即ちボールの表面硬度は、ショアD硬度で、好ましくは38〜70、より好ましくは43〜66、更に好ましくは48〜62である。上記範囲よりも軟らかすぎると、ドライバー(W#1)打撃時やアイアンフルショット時にはスピンが多くなりすぎてしまい飛距離が出なくなることがある。上記範囲よりも硬すぎると、アプローチ時にスピンが不足し、或いは打感が硬くなりすぎる場合がある。
【0057】
カバー(最外層)の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.3〜1.5mm、より好ましくは0.45〜1.2mm、更に好ましくは0.6〜0.9mmである。その範囲よりも厚すぎると、W#1やアイアンショット時に反発が足りなくなるとともにスピンが多くなり、その結果として飛距離が出なくなることがある。逆に、上記範囲よりも薄すぎると、耐擦過傷性が悪くなり、または、アプローチでのスピンが掛からなくなりコントロール性が不足することがある。
【0058】
カバー(最外層)を被覆した球体、即ちボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは2.1〜3.6mm、より好ましくは2.3〜3.3mm、さらに好ましくは2.5〜3.0mmである。上記の値が大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎ、または繰り返し打撃した時の耐久性が悪くなり、或いは、フルショット時の実打初速が低くなり狙いどおりの飛距離が得られない場合がある。逆に、上記の値が小さすぎると、打感が硬くなりすぎ、フルショット時のスピンが多くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0059】
カバー(最外層)の材料については、特に制限はなく、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に用いることができる。本発明のカバー材料としては、コントロール性と耐擦過傷性の観点から、ウレタン樹脂を使用することが好適である。特に、ボール製品の量産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンを主体としたものを使用することが好適であり、より好ましくは、(O)熱可塑性ポリウレタン及び(P)ポリイソシアネート化合物を主成分とする樹脂配合物により形成することができる。
【0060】
上記の(O)及び(P)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物においては、ボール諸特性をより一層改善させるために、必要十分量の未反応のイソシアネート基がカバー樹脂材料中に存在すればよい。具体的には、上記の(O)成分と(P)成分とを合わせた合計質量が、カバー層全体の質量の60%以上であることが推奨されるものであり、より好ましくは、70%以上である。上記(O)成分及び(P)成分については以下に詳述する。
【0061】
上記(O)熱可塑性ポリウレタンについて述べると、その熱可塑性ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、鎖延長剤およびポリイソシアネート化合物からなるハードセグメントとを含む。ここで、原料となる長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、反発弾性率が高く低温特性に優れた熱可塑性ポリウレタンを合成できる点で、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0062】
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量400以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブチレングリコールがより好ましい。
【0063】
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−(又は)2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
【0064】
具体的な(O)成分の熱可塑性ポリウレタンとしては、市販品を用いることもでき、例えば、パンデックスT8295,同T8290,同T8283,同T8260(いずれもディーアイシーバイエルポリマー社製)などが挙げられる。
【0065】
上記(O)及び(P)成分の他成分としては、必須成分ではないが、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(Q)成分を上記樹脂配合物に配合することにより、樹脂配合物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等、ゴルフボールカバー材として要求される諸物性を高めることができる。
【0066】
上記(O)、(P)及び(Q)成分の組成比については、特に制限はないが、本発明の効果を十分に有効に発揮させるためには、質量比で(O):(P):(Q)=100:2〜50:0〜50であることが好ましく、さらに好ましくは、(O):(P):(Q)=100:2〜30:8〜50(質量比)とすることである。
【0067】
さらに、上記の樹脂配合物には、必要に応じて、上記の熱可塑性ポリウレタンを構成する成分以外の種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
【0068】
上述した2層コア(内層コア及び外層コア)、中間層及びカバー(最外層)の各層を積層して形成されたマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法については、公知の射出成形法等の常法により行なうことができる。例えば、2層コアを所定の射出成形用金型内に配備し、中間層材料を射出して中間球状体を得、次いで、該球状体を別の射出成形用金型内に配備してカバー(最外層)の材料を射出成形することによりマルチピースソリッドゴルフボールを得ることができる。また、カバー(最外層)を中間球状体に被覆する方法により、カバーを積層することもでき、例えば、予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップで該中間球状体を包み加熱加圧成形することができる。
【0069】
次に、上記のゴルフボールについては、更に、以下の要件を満たすことが好適である。
(1)
内層コアと中間層被覆球体との所定荷重負荷時のたわみ量の関係
内層コアの初期荷重98Nから終荷重1275Nまで負荷したときのたわみ量(mm)をE、コアに中間層を被覆した球体(中間層被覆球体)の初期荷重98Nから終荷重1275Nまで負荷したときのたわみ量(mm)をGとするとき、E/Gの値は、2.0以下であることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.7、さらに好ましくは1.4〜1.5である。この値が小さすぎると、打感が硬くなりすぎ、フルショット時のスピンが増えすぎてしまい、ドライバー(W#1)による狙いの飛距離が出なくなることがある。逆に、E/Gの値が大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎ、フルショット時の実打初速が低くなり、ドライバー(W#1)による狙いの飛距離が出なくなることがある。
【0070】
(2)
内層コアとボールとの所定荷重負荷時のたわみ量の関係
内層コアの初期荷重98Nから終荷重1275Nまで負荷したときのたわみ量(mm)をE、ゴルフボールの初期荷重98Nから終荷重1275Nまで負荷したときのたわみ量(mm)をHとするとき、E/Hの値は、2.1以下であることが好ましく、より好ましくは1.2〜1.9、さらに好ましくは1.5〜1.7である。この値が小さすぎると、打感が硬くなりすぎ、フルショット時のスピンが増えすぎてしまい、ドライバー(W#1)による狙いの飛距離が出なくなることがある。逆に、E/Hの値が大きすぎると、打感が軟らかくなりすぎ、フルショット時の実打初速が低くなり、ドライバー(W#1)による狙いの飛距離が出なくなることがある。
【0071】
また、上記のE−Hの値は、好ましくは0.8〜2.5mm、より好ましくは1.0〜2.2mm、さらに好ましくは1.3〜2.0mmである。この値が小さすぎると、フルショット時のスピンが増えすぎてしまい、ドライバーによる狙いの飛距離が出なくなることがある。逆に、上記値が大きすぎると、フルショット時の実打初速が低くなりすぎてしまい、ドライバーによる狙いの飛距離が出なくなることがある。
【0072】
(3)
外層コアと中間層被覆球体との表面硬度の関係
外層コアと中間層被覆球体との表面硬度の関係を所定範囲に適正化する。即ち、中間層被覆球体の表面硬度から外層コアの表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは1〜20、より好ましくは3〜16、さらに好ましくは5〜13である。この値が上記範囲を逸脱すると、フルショット時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られず、或いは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0073】
(4)
ボールと中間層被覆球体との表面硬度の関係
ボールの表面硬度から中間層被覆球体の表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは−18〜−1、より好ましくは−15〜−3、さらに好ましくは−12〜−5である。上記の値が大きくなると、アプローチした時のスピンが掛からなくなり、或いは、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなる場合がある。逆に、上記値が小さすぎる(マイナス方向に大きくなる)と、フルショットした時のスピンが増え、或いは、ボール初速が低くなり狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0074】
(5)
中間層とカバーとの厚さ関係
カバーの厚さは中間層の厚さより小さい、即ち、中間層をカバーより厚く形成することが好適である。中間層厚さからカバー厚さを引いた値は、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.2〜0.8mm、さらに好ましくは0.3〜0.6mmである。上記の値が大きすぎると、打感が硬くなりすぎ、または、アプローチした時のスピンが掛かり難くなる場合がある。逆に、上記値が小さすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、或いは、フルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られない場合がある。
【0075】
上記カバー(最外層)の外表面には多数のディンプルを形成することができる。カバー表面に配置されるディンプルについては、特に制限はないが、好ましくは250個以上、より好ましくは300個以上であり、上限として、好ましくは500個以下、より好ましくは450個以下具備することができる。
【0076】
ディンプルの表面占有率SR(即ち、ディンプルがないと仮定したゴルフボールの
仮想球面の全表面積に対して、ディンプルの面積の総和が占める比率)については、70%以上とすることが好ましく、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上である。ディンプルの表面占有率SRの上限は、特に限定されないが、99%以下が好ましい。特に、大きさが異なる少なくとも3種類のディンプルを配置することが好ましく、これによって、ゴルフボールの球状表面上に隙間なく均一にディンプルを配置することができる。
【0077】
ディンプルの体積占有率VR(即ち、ディンプルがないと仮定したゴルフボールの
仮想球容積に対して、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容
積の総和が占める比率)を0.75%以上にすることが好ましく、より好ましくは0.80%以上、さらに好ましくは1.1%以上である。ディンプルの体積占有率VRの上限は、1.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.4%以下である。
【0078】
ディンプルの形状については、特に制限はないが、例えば、ディンプルの底面が、ディンプルの中央で、ゴルフボールの外側方向に向かって凸状に湾曲した所定の形状とすることで、ディンプル本来の空力性能を損なうことなく、後述する所定の加圧面積を有するようにすることができる。上記のディンプル形状において、凸状に湾曲した形状の部分は、更にその中央の領域で、平坦な形状とすることもできる。この場合、この平坦な領域の外縁部分は、角部分が面取りされた構成とすることにより、ボール打撃時の接触面積を効果的に増加することができる。
【0079】
また、ゴルフボールの加圧面積、仮想平面積、たわみ量の関係を後述した式の範囲にすることが好適である。
【0080】
ゴルフボールに6864N(700kgf)の荷重をかけたときに、平面に接するゴルフボールの面積である加圧面積(mm
2)をPS
7、ゴルフボールの直径に沿った断面の円の面積であって、ゴルフボール表面にディンプルが全くない場合の仮想平面積(mm
2)をS、及びゴルフボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)をHとするとき、下記の数式を満足することが好適である。
PS
7/S/H×100≧5.70(mm
-1)
であり、より好ましくは、
PS
7/S/H×100≧6.70(mm
-1)
【0081】
即ち、一般的なゴルファーのドライバーショットにおける荷重でのゴルフボールの加圧面積が上記の数式を満たすような構成とすることにより、ボールとゴルフクラブとの接触面積が増加すると共に、クラブとの摩擦力が向上し、その結果、ドライバーショットでのバックスピン量が低減して飛距離を向上させることできる。
【0082】
また、ゴルフボールに1961N(200kgf)の荷重をかけたときに、平面に接するゴルフボールの面積である加圧面積(mm
2)をPS
2、ゴルフボールの直径に沿った断面の円の面積であって、ゴルフボール表面にディンプルが全くない場合の仮想平面積(mm
2)をS、及びゴルフボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)をHとするとき、下記の数式を満足することが好適である。
PS
2/S/H×100≧1.70(mm
-1)
であり、より好ましくは、
PS
2/S/H×100≧1.90(mm
-1)
【0083】
即ち、一般的なゴルファーのアプローチショットにおける荷重でのゴルフボールの加圧面積が上記の数式を満たすような構成とすることにより、ボールとゴルフクラブとの接触面積が増加すると共に、クラブとの摩擦力が向上し、アプローチショットでのバックスピン量が増加して、落下地点付近でより直ぐに止めることができる。
【0084】
上記のゴルフボールの仮想平面積Sは、ゴルフボールの直径によって定まる。ゴルフボールの直径は、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、42.672mm内径のリングを通過しない大きさで42.80mm以下である。
【0085】
上記のゴルフボールの所定加重の加圧面積PS
7、PS
2は、所定のショット時のゴルフクラブに対するゴルフボールの接触面積を表すものであり、ディンプルの構造によって、この接触面積を従来よりも広くすることができる。この加圧面積PSは、ゴルフボールの大きさに依存し、ゴルフボールの寸法が大きいほど広くなり、ゴルフボールの寸法が小さいほど狭くなることから、仮想平面積Sで除して百分率とすることで、ゴルフボールの大きさに影響されずに、ディンプルの構造による接触面積の増加を評価することができる。また、上記の加圧面積PSは、ゴルフボールのたわみ量Hに依存し、このたわみ量Hが大きいほど広くなり、このたわみ量Hが小さいほど狭くなることから、更にたわみ量Hで除することで、ゴルフボールのたわみ量にも影響されずに、ディンプルの構造による接触面積の増加を評価することができる。また、この加圧面積の測定方法については、例えば、平面上に感圧紙を敷き、対象のゴルフボールを設置し、該ゴルフボールに対して、6864N、1961Nの各荷重をかけ、ゴルフボールとの接触によって感圧紙が発色した部分の面積の総和を測定するものである。
図4(A)は、ゴルフボールに6864Nの荷重をかけた際、実際に発色した感圧紙の一例を示し、
図4(B)は、
図4(A)と同じゴルフボールに1961Nの荷重をかけた時に実際に発色した感圧紙の一例を示す。図中、丸い部分がディンプルを示し、塗りつぶされた箇所が発色した部分を示す。発色した部分の面積は、市販の圧力画像解析システムを用いることにより、容易に求めることができる。
【0086】
本発明では、カバー表面には塗膜層が形成される。この塗膜層を形成する塗料としては、2液硬化型ウレタン塗料を採用することが好適である。具体的には、この場合、上記2液硬化型ウレタン塗料は、ポリオール樹脂を主成分とする主剤と、ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤とを含むものである。
【0087】
カバー表面に上記の塗料を塗装して塗膜層を形成する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、エアガン塗装法や静電塗装法等、所望の方法を用いることができる。
【0088】
塗膜層の厚さについては、特に制限はないが、通常、8〜22μm、好ましくは10〜20μmである。
【0089】
また、塗膜層の弾性仕事回復率が30〜98%となることが好適であり、より好ましくは70〜90%である。塗膜層の弾性仕事回復率が上記の範囲内であると、ゴルフボール表面に形成される塗膜が一定の硬度及び弾性を維持しながら自己修復回復機能が高くなりボールの優れた耐久性及び耐擦過傷性に寄与し得るものである。また、この塗膜層の弾性仕事回復率が上記範囲を逸脱すると、十分なアプローチスピンが得られないおそれがある。上記の弾性仕事回復率の測定方法については後述する。
【0090】
上記の弾性仕事回復率は、押し込み荷重をマイクロニュートン(μN)オーダーで制御し、押し込み時の圧子深さをナノメートル(nm)の精度で追跡する超微小硬さ試験方法であり、塗膜の物性を評価するナノインデンテーション法の一つのパラメータである。従来の方法では最大荷重に対応した変形痕(塑性変形痕)の大きさしか測定できなかったが、ナノインデンテーション法では自動的・連続的に測定することにより、押し込み荷重と押し込み深さとの関係を得ることができる。そのため、従来のような変形痕を光学顕微鏡で目視測定するときのような個人差がなく、確実且つ精度高くなる塗膜の物性を評価することができると考えられる。このため、ゴルフボール表面の塗膜がドライバーや各種のクラブの打撃より大きな影響を受け、当該塗膜がゴルフボールの各種の物性に及ぼす影響は小さくないことから、ゴルフボール用塗膜を超微小硬さ試験方法で測定し、従来よりも高精度に行うことは、非常に有効な評価方法となる。
【0091】
なお、本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、重さとしては、好ましくは45.0〜45.93gに形成することができる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0093】
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
コアの形成
表1に示すゴム組成の内層コアを同表中に示す加硫温度及び加硫時間にて形成した。次に、表2に示すゴム組成の外層コアを同表中に示す加硫温度及び加硫時間にて被覆形成して各実施例及び比較例の内外層のゴム製のソリッドコアを製造した。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
なお、表1及び表2に記載した各成分の詳細は以下の通りである。
・ポリブタジエンA:JSR社製、商品名「BR01」
・ポリブタジエンB:JSR社製、商品名「BR51」
・アクリル酸亜鉛:日本触媒社製
・有機過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、日油社製、商品名「パークミルD」
・有機過酸化物(2):1,1ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、日油社製、商品名「パーヘキサC−40」
・「水」:蒸留水、和光純薬工業社製
・老化防止剤:2,2−メチレンビス(4−メチル−6−ブチルフェノール)、大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックNS−6」
・硫酸バリウム:商品名「バリコ#300」(ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛:商品名「酸化亜鉛3種」(堺化学工業社製)
・ステアリン酸亜鉛:商品名「ジンクステアレートG」(日油社製)
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:ZHEJIANG CHO & FU CHEMI社製
【0097】
中間層及びカバーの形成
上記で得た2層コアの周囲に、表3に示した配合の中間層材料を用いて射出成形法により中間層被覆球体を得た。次に、上記で得た中間層被覆球体の周囲に、同表に示した配合のカバー材料を用いて射出成形法によりカバー(最外層)を形成し、コアの周囲に中間層及びカバー(最外層)を備えたゴルフボールを作製した。
【0098】
【表3】
【0099】
表3に記載した材料の詳細は下記の通りである。
・「T−8295、T−8290、T−8283」:DIC Bayer Polymer社製の「(商標)パンデックス」、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン
・「ハイミラン1706、ハイミラン1557、ハイミラン1605」:三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー
・「AN4319」:未中和のエチレン−メタクリル酸−エステル成分の3元共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製)
・「AN4221C」:未中和のエチレン−アクリル酸2元共重合体(三井・デュポンポリケミカル社製)
・「ハイトレル4001」:東レデュポン社製のポリエーテルエステルエラストマー
・「ポリエチレンワックス」:三洋化成社製、商品名「サンワックス161P」
・「イソシアネート化合物」:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
・「ステアリン酸マグネシウム」:日油社製「マグネシウムステアレートG」
・「水酸化カルシウム」:白石カルシウム社製「水酸化カルシウムCLS−B」
・「酸化マグネシウム」:協和化学工業社製「キョーワマグMF150」
・「ポリテールH」:三菱化学社製
【0100】
この際、各実施例、比較例のカバー表面には、下記表4に示した仕様態様のディンプルが形成される。実施例及び比較例のいずれのゴルフボールについては、表4に示すように6種類の直径の異なるディンプルを配置して、同一の表面占有率SR(%)とした。
【0101】
【表4】
【0102】
ディンプルの定義
直径:ディンプルの縁に囲まれた平面の直径(mm)
SR:ディンプルがないと仮定したゴルフボールの仮想球面の全表面積に対して、ディンプルの面積の総和が占める比率(単位:%)
【0103】
ディンプル形状については、実施例1、2、4及び比較例1〜3はディンプルa(
図2)、実施例3のみディンプルb(
図3)を使用した。表4中の直径の異なる6種類のディンプルのうち、代表的である直径が4.4mmのディンプルの構造は、以下の通りである。
ディンプルa
図2の断面形状では、最深点の深さLは0.150mmである。
ディンプルb
図3の断面形状のものは、中心地点Cの深さHが0.097mm、最深点の深さDが0.131mm、外周縁Eから中心地点Cまでの距離を100として外周縁から最深点までの位置が39、曲率半径Rは0.5mm、エッジ角A2が10.5°である。
【0104】
塗膜層の形成
次に、下記表5に示す塗料配合において、ディンプルが多数形成されたカバー(最外層)表面に、エアースプレーガンにより上記塗料を塗装し、厚み15μmの塗膜層を形成したゴルフボールを作製した。
【0105】
【表5】
【0106】
表5中のアクリル系ポリオール(1)及び(2)の合成例を以下に記載する。なお、以下において、「部」は「質量部」を意味する。
【0107】
[アクリル系ポリオールの合成例1]
攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、酢酸ブチルを1000部仕込み、撹拌しながら100℃まで昇温した。そこに、ポリエステル含有アクリルモノマー(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセルFM−3)220部、メチルメタクリレート610部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート170部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル30部からなる混合物を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で6時間反応させた。反応終了後、酢酸ブチル180部,ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセルL205AL)150部仕込み、混合して固形分50%、粘度100mPa・s(25℃)、重量平均分子量10,000、水酸基価113mgKOH/g(固形分)の、透明なアクリル系ポリオール樹脂溶液〔ポリオール(1)〕を得た。
【0108】
[アクリル系ポリオールの合成例2]
攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入管、および滴下装置を備えた反応器に、酢酸ブチルを1000部仕込み、撹拌しながら100℃まで昇温した。そこに、ポリエステル含有アクリルモノマー(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセルFM−3)620部、メチルメタクリレート317部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート63部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル12部からなる混合物を、4時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で6時間反応させた。反応終了後、酢酸ブチル532部,ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業株式会社製、プラクセルL205AL)520部仕込み、混合して固形分50%、粘度600mPa・s(25℃)、重量平均分子量70,000、水酸基価142mgKOH/g(固形分)の、透明なアクリル系ポリオール樹脂溶液〔ポリオール(2)〕を得た。
【0109】
得られた各ゴルフボールにつき、コア硬度分布、各層の厚さ及び材料硬度、各被覆球体の表面硬度等の諸物性を下記の方法で評価し表6に示す。
【0110】
内層コア硬度分布及び外層コアの表面硬度
内層コアの表面は球面であるが、その球面に硬度計の針をほぼ垂直になるようにセットし、JIS K6301−1975規格に従ってJIS−C硬度で内層コア表面硬度(Cs)を計測した。
また、内層コアの中心硬度(Cc)及び所定位置における断面硬度(C5、C10、C15)については、内層コアを半球状にカットして断面を平面にして測定部分に硬度計の針を垂直に押し当てて測定した。JIS−C硬度の値で示される。
外層コアの表面硬度(Css)については、外層コアの表面に硬度計の針をほぼ垂直になるようにセットし、JIS−C硬度で当該硬度を計測した。
なお、内層コアの中心硬度(Cc)及び外層コアの表面硬度(Css)のショアD硬度をASTM D2240−95規格に準拠したタイプDデュロメータによっても計測した。
【0111】
内層コア、外層コア被覆球体または中間層被覆球体の外径
23.9±1℃の温度で、任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個の内層コア、外層コア被覆球体(コア全体)、または中間層被覆球体の測定値とし、測定個数5個の各球体の平均値を求めた。
【0112】
ボールの直径
23.9±1℃の温度で、任意のディンプルのない部分を5箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数5個のボールの平均値を求めた。
【0113】
内層コア、外層コア被覆球体、中間層被覆球体、ボールのたわみ量
内層コア、外層コア被覆球体(コア全体)、中間層被覆球体又はボールを硬板の上に置き、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷したときまでのたわみ量をそれぞれ計測した。なお、上記のたわみ量は、いずれも23.9℃に温度調整した後の測定値である。
【0114】
中間層及びカバーの材料硬度(ショアD硬度)
中間層及びカバーの樹脂材料を厚さ2mmのシート状に成形し、2週間以上放置した。その後、ショアD硬度はASTM D2240−95規格に準拠して計測した
【0115】
中間層被覆球体、ボールの表面硬度(ショアD硬度)
中間層被覆球体又はボール(カバー)の表面に対して針を垂直になるように押し当てて計測した。なお、ボール(カバー)の表面硬度は、ボール表面においてディンプルが形成されていない陸部における測定値である。ショアD硬度はASTM D2240−95規格に準拠したタイプDデュロメータによって計測した。
【0116】
塗膜層の弾性仕事回復率
塗料の弾性仕事回復率の測定には、厚み100μmの塗膜シートを使用して測定する。測定装置は、エリオニクス社の超微小硬度計「ENT−2100」が用いられ、測定の条件は、以下の通りである。
・圧子:バーコビッチ圧子(材質:ダイヤモンド、角度α:65.03°)
・荷重F:0.2mN
・荷重時間:10秒
・保持時間:1秒
・除荷時間:1秒
塗膜の戻り変形による押し込み仕事量Welast(Nm)と機械的な押し込み仕事量Wtotal(Nm)とに基づいて、下記数式によって弾性仕事回復率が算出される。
弾性仕事回復率=Welast / Wtotal × 100(%)
【0117】
加圧面積
ゴルフボールの加圧面積PSの測定方法は、平面上に感圧紙(富士フィルム社製の圧力測定フィルム・プレスケール中圧用)を敷き、各実施例及び比較例のゴルフボールを設置した。そして、インストロン・コーポレーション製4204型を用いて、これらゴルフボールに6864N(700kgf)、1961N(200kgf)の各荷重をかけ、ゴルフボールとの接触によって感圧紙が発色した部分の面積の総和を測定した。プレスケール圧力画像解析システムFPD−9270(富士フィルム社製)を用いて、発色した部分の面積を求めた。上記の加圧面積は、ゴルフボールの任意の一位置における測定の結果である。
【0118】
【表6】
【0119】
そして、各実施例、比較例のゴルフボールの飛び性能(W#1)、アプローチスピン性能及び塗膜外観を下記の基準に従って評価した。その結果を表7に示す。
【0120】
飛び性能(W#1打撃)
ゴルフ打撃ロボットにドライバー(W#1)をつけてヘッドスピード(HS)45m/sにて打撃した時の飛距離を測定し、下記基準により評価した。クラブはブリヂストン社製「TourStage X−Drive709 D430ドライバー(2013年モデル)」(ロフト9.5°)を使用した。なお、上記のヘッドスピードは中上級者の平均的なヘッドスピードに相当する。
〔判定基準〕
トータル飛距離225.0m以上 ・・・・ ○
トータル飛距離225.0m未満 ・・・・ ×
【0121】
アプローチスピン性能
ゴルフ打撃ロボットにサンドウエッジをつけてヘッドスピード(HS)20m/sにて打撃した時のスピンの量を下記の基準により判断した。
〔判定基準〕
スピン量5900rpm以上 ・・・・ ○
スピン量5900rpm未満 ・・・・ ×
【0122】
塗膜外観(砂摩耗試験後のボール表面の外観評価)
外径210mmのポットミルに5mm前後の大きさの砂を約4kg入れ、該ポットミルに15個のボールを投入した。そして、ボールミルにて50〜60rpmの回転数で120分間、撹拌した。その後、ボールをポットミルから取り出し、下記の基準により、ボール外観を評価した。
〔判定基準〕
◎:ボール表面には、剥離や汚れなど目立った外傷なし
〇:ボール表面には、摩耗による汚れや艶の減退などがわずかにあるが気にならないレベル
×:ボール表面には、摩耗による剥離、または汚れや艶の減退などが目立つ
【0123】
【表7】
【0124】
表7の試験結果から以下のことが考察される。
比較例1は、コア硬度分布における(Css−C10)/(C10−Cc)の値が小さいものであり、その結果、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果が足りずに飛距離が出ない。
比較例2は、コア硬度分布における(Css−C10)/(C10−Cc)の値が小さく、且つ、外層コア表面と内層コア中心との硬度差(Css−Cc)が小さい。その結果、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果が足りずに飛距離が出ない。
比較例3は、カバー硬度が中間層の硬度よりも硬く、このため、ボールの表面硬度の方が、コアに中間層を被覆した球体の表面硬度よりも高くなっている。その結果、アプローチ時にスピンがかからず、所望のアプローチスピン効果が得られない。