特許第6890936号(P6890936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6890936-高アミロース米飯食品製造方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890936
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】高アミロース米飯食品製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20210607BHJP
【FI】
   A23L7/10 B
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-150480(P2016-150480)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-14973(P2018-14973A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591096303
【氏名又は名称】株式会社ブルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】榎 康 明
(72)【発明者】
【氏名】笹 川 克 己
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−089047(JP,A)
【文献】 特公昭41−002230(JP,B1)
【文献】 特開昭63−209554(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/164919(WO,A1)
【文献】 広島女学院大学論集,2007年,57,pp.91-99
【文献】 日本家政学会誌,1998年,49(6),pp.647-654
【文献】 宮城古川農試報,2013年,11,pp.1-16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L7/00−7/104
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯食品の製造方法であって、
該米飯食品が白飯であり、
デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米の生米に対して、呈味性を有するアミノ酸と呈味性ヌクレオチドとを添加すること、ここで、該高アミロース米が短粒型であり、および
該高アミロース米を1.6倍量〜倍量の加水量で炊飯すること
を含んでなる、方法。
【請求項2】
高アミロース米が、越のかおり、雪の穂およびさち未来からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミロース含量が25質量%以上の高アミロース米である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アミノ酸が、グルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ヌクレオチドが、イノシン酸、グアニル酸、イノシン酸塩もしくはグアニル酸塩またはこれらの混合物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
アミノ酸とヌクレオチドとを、高アミロース米の生米100質量部に対して、それぞれ0.001〜1.0質量部で添加する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
米飯食品が、包装白飯である、請求項1〜に記載の方法。
【請求項8】
白飯の食味改善方法であって、
デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米の生米に対して、呈味性を有するアミノ酸と呈味性ヌクレオチドとを添加すること、ここで、該高アミロース米が短粒型であり、および
該高アミロース米を1.6倍量〜4倍量の加水量で炊飯すること
を含んでなる、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、良好な食味を有する高アミロース米飯食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりに伴い、健康に関する機能を有する米の健康食品としての利用が注目されている。その中でも、米のデンプン中のアミロース含量が多い高アミロース米は、デンプンの消化速度が遅く、食後の血糖値や血中インスリン濃度の急激な上昇を抑えられるため、低GI食品としての利用が検討されている。しかしながら、高アミロース米は、一般的な方法で炊飯しただけでは、日本人に好まれるコシヒカリなどの中アミロース米(通常米)と比較すると、硬く粘りが弱く、うま味が少ないため、米飯としての食味が劣るものであった。また、高アミロース米は、炊飯後の時間の経過とともに米飯が硬くなり、老化、すなわちデンプンのβ(ベータ)化が早いことが知られている。
【0003】
炊飯しただけの高アミロース米の食味を改善しかつ保存による老化(β化)の進行を抑える方法として、特開2015−126698号公報には、高アミロース米に対して糖アルコールおよび/またはトレハロースを混合して炊飯する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、糖アルコールやトレハロースを多く配合しており、特に糖アルコールが増えれば増えるほど、異味を感じることが多いものであった。また、糖アルコールやトレハロースの配合のみではうま味の少なさは改善されず、高アミロース米の食味上の欠点を十分に改善するものではなかった。さらに、トレハロースは高価であるため、経済的負担が大きいという問題があった。
【0004】
高アミロース米の嗜好性を高める調理法および炊飯方法は、他にも数多く検討されてきた。例えば、2.5倍または3.0倍といった高加水量で高アミロース米を炊飯する方法も報告されており、この方法によれば、通常(1.4倍)の方法で炊飯した場合よりも、ぱさつき(ぽそぽそ感)を抑えることができることが知られている。しかしながら、食味が劣るという点ではほとんど改善がみられず、コシヒカリなどと比較すると大変食べにくいものであった。その結果、現在、高アミロース米は、そのまま白飯として食されることはほとんどなく、チャーハン、炊き込みご飯、かゆ、リゾット、ピラフ、ドライカレーなど、味付けがしっかりしているかあるいは水分の多い加工米飯用途で利用されることが多い。
【0005】
このように、白飯として食されている、コシヒカリなどの中アミロース米飯食品の代替品として、良好な食味を有する高アミロース米を用いた米飯食品、特に白飯の製造方法に関する報告は、発明者が知る限り全くなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−126698号公報
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、今般、高アミロース米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加して、高加水量で炊飯することで、コシヒカリと同程度の良好な食味を有する高アミロース米の米飯食品を製造することに成功した。また、得られた高アミロース米の米飯食品は、何ら調理をしなくても、コシヒカリと同程度の食味を有するため、通常の米飯の代替品として、すなわち白飯として食することのできるものであった。さらに、得られた高アミロース米の米飯食品は、炊飯後の老化も抑えられるものであった。加えて、得られた高アミロース米の米飯食品は、異味がないため、包装米飯に適するものであった。本発明はこれら知見に基づくものである。
【0008】
よって、本発明は、良好な食味を有する高アミロース米の米飯食品の提供、およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、高アミロース米を用いた白飯の食味改善方法を提供することもその目的とする。
【0009】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)米飯食品の製造方法であって、デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加すること、および該高アミロース米を1.6倍量〜10倍量の加水量で炊飯することを含んでなる、方法。
(2)米飯食品が白飯であって、加水量が1.6倍量〜4倍量である、(1)に記載の方法。
(3)高アミロース米が、短粒型または中粒型である、(1)または(2)に記載の方法。
(4)高アミロース米が、越のかおり、雪の穂およびさち未来ならびにこれらの類縁品種からなる群から選択される、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)アミロース含量が25質量%以上の高アミロース米である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)アミノ酸が、グルタミン酸塩である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)ヌクレオチドが、イノシン酸塩もしくはグアニル酸塩またはこれらの混合物である、(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)アミノ酸とヌクレオチドとを、高アミロース米の生米100質量部に対して、それぞれ0.001〜1.0質量部で添加する、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)米飯食品が、包装米飯である、(1)〜(8)に記載の方法。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の方法により製造された、米飯食品。
(11)白飯の食味改善方法であって、デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加すること、および該高アミロース米を1.6倍量〜4倍量の加水量で炊飯することを含んでなる、方法。
【0010】
本発明によれば、良好な食味を有する高アミロース米の米飯食品およびその製造方法が提供できる。また、従来存在しなかった、良好な食味を有する100%高アミロース米の白飯を提供することができる。よって、健康を促進させる目的で、糖尿病や生活習慣病のリスクの高いヒトであっても、低GI食品として、高アミロース米の米飯食品を、コシヒカリなど通常米に代わる主食として、摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、様々な条件で製造した白飯中の水分変化量を示すグラフの一例である。
【0012】
米飯食品およびその製造方法
本発明によれば、デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加すること、および該高アミロース米を1.6倍量〜10倍量の加水量で炊飯することを含んでなる、高アミロース米を用いた米飯食品の製造方法が提供される。
【0013】
「米飯食品」とは、チャーハン、炊き込みご飯、かゆ、リゾット、ピラフ、ドライカレーなどの加工米飯の他、白飯、白がゆなどが挙げられ、好ましくは、白飯または白がゆである。白飯とは、生米を炊いた飯をいい、これには、白米(精米)を炊いた飯だけでなく、精白度合いの低い米を炊いた飯も含まれ、白がゆは、生米または白飯を多めの水でやわらかく煮たものであり、どちらも、米以外の穀物を含まず、また、肉、魚、野菜などの具材を含まないものをいう。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、米飯食品は、包装米飯である。包装米飯とは、パックごはん、チンご飯ともよばれ、主に、炊飯前の生米を機密性のある容器に入れ炊飯調理後無菌包装した米飯類、炊飯後の調理済みごはんを機密性のある容器に入れそのまま無菌包装した米飯類、および包装後加圧加熱殺菌した米飯類の3種類に定義することができる。無菌包装した米飯類は無菌包装米飯(容器包装詰無菌化包装米飯)とよばれ、加圧加熱殺菌した米飯はレトルト米飯(容器包装詰め加圧熱殺菌米飯)ともよばれる。無菌包装米飯での無菌化は、通常行われる殺菌方法であればよく、例えば、HTST(高温短時間加熱)、UHT(超高温短時間加熱)、酸性化、または超高圧により殺菌することができる。このような無菌包装米飯およびレトルト米飯は、電子レンジで簡単に調理でき、一般的に、無菌包装米飯は6月前後、レトルト米飯は6月〜1年前後といった長期間、常温で保存することができる。
【0015】
米の主成分であるデンプンは、グルコースが直鎖状に連なったアミロースと、枝分かれした多分枝構造を持つアミロペクチンから構成される。本発明に用いられる「高アミロース米」とは、生米のデンプン中のアミロース含量が22質量%以上の米をいう。ここで、アミロース含量は同一品種であっても、登熟期の気温などにより変動し、必ずしも一定ではないが、本発明に用いられる高アミロース米は、前記変動を考慮しても、アミロース含量が22質量%以上の米である。本発明の好ましい態様によれば、本発明の高アミロース米のアミロース含量は、前記変動を考慮しても、好ましくは23質量%以上、より好ましくは24質量%以上、より好ましくは25質量%以上、より好ましくは26質量%以上、より好ましくは27質量%以上、より好ましくは28質量%以上、より好ましくは29質量%以上、より好ましくは30質量%以上、より好ましくは31質量%以上、より好ましくは32質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上である。アミロース含量の上限は、特に制限されず、一般に40質量%程度といわれている。アミロース含量の測定は、例えば、ヨウ素呈色比色法、電流滴定法、電圧滴定法、酵素・クロマト法、近赤外線分析法、または示差走査熱量測定法により測定することができる。米の場合、ヨウ素呈色比色法による分析が農林水産省の定める標準計測方法となっており(農林水産省告示第三百三十二号、平成13年3月14日参照)、本発明で示すアミロース含量は、後述する実施例1に記載されるように、ヨウ素呈色比色法により測定したものである。アミロース含量は、炊飯直前の生米に含まれるアミロース含量であり、アミロースの含量は、炊飯後もほとんど変化しないため、炊飯後の米飯食品に含まれるアミロース含量も同程度である。
【0016】
このような高アミロース米の品種として、例えば、越のかおり(北陸207号)、さち未来(東北198号)、モミロマン(関東飼226号)、あみちゃんまい(北陸254号)、北瑞穂(北海315号)、雪の穂、ホシニシキ(水稲関東181号)、こしのめんじまん(新潟79号)、夢十色(北陸142号)、ホシユタカ(中国96号)、インディカ米が知られている。
【0017】
また、米は、短粒、中粒、長粒型に分類される。その分類方法は国際食品規格(コーデックス規格)に記載されている。代表的な方法としては、粒長と粒幅の比率(粒長/粒幅)による分類であり、下記表1のとおり定められている。
【0018】
【表1】
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の高アミロース米は、短粒型または中粒型であり、より好ましくは、コシヒカリなど通常の米飯と同様の見た目(視覚)および食感(触覚)を得ることができる点で、短粒型の米である。このような本発明に用いられる好ましい高アミロース米の品種を、以下の表2にまとめる。
【0020】
【表2】
【0021】
本発明に用いられる高アミロース米は、越のかおり、さち未来、モミロマン、あみちゃんまい、北瑞穂、雪の穂、ホシニシキ、こしのめんじまん、夢十色およびホシユタカから選択される米品種だけでなく、これらの類縁品種であってもよく、より好ましくは、越のかおり、さち未来および雪の穂ならびにこれらの類縁品種から選択され、さらに好ましくは、越のかおりおよびこれの類縁品種である。これらの品種は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、類縁品種とは、対象となる品種と類縁関係のある品種をいい、好ましくは、類縁品種は、各品種・系統間の近縁係数が0.125以上、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.5以上のものをいう。
【0022】
本発明に用いられる「生米」とは、精白した米であって、デンプンがα(アルファ)化していないものをいい、炊く、蒸す、煮るなどといった加熱処理を施していない米をいう。精白とは、精米または搗精とも言い換えることができる。本発明に用いられる生米は、生米での水分の吸収が十分できる限り特に限定されず、玄米の糠層の一部または全部が取り除かれている限り低い精白度合いの米であってもよく、分つき度合が、例えば、1分つき、好ましくは3分つき、より好ましくは5分つき、より好ましくは7分つき、より好ましくは8分つき、さらに好ましくは9分つきの米であってもよい。好ましくは、白米(精米)といわれる10分つきの生米である。
【0023】
本発明に用いられる「アミノ酸」とは、呈味性を有するアミノ酸をいい、呈味性を有する限り特に限定されず、例えば、グルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩が挙げられる。アミノ酸はL体であっても、D体であっても、DL体であってもよい。好ましくは、濃度に比例する旨味が良好な点で、グルタミン酸塩であり、より好ましくは、食品添加物として許可されている点で、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸マグネシウムであり、さらに好ましくは、グルタミン酸ナトリウムである。これらのアミノ酸は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アミノ酸は、市販品を用いてもよいし、常法に従って調製したものを用いてもよい。市販品としては、例えば、グルタミン酸ナトリウムであるグルエースS−1(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)および古来味(株式会社シマヤ製)、アスパラギン酸ナトリウムであるL−アスパラギン酸ナトリウム協和(協和発酵バイオ株式会社製)が挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる「ヌクレオチド」とは、呈味性ヌクレオチドを意味し、呈味性を有する核酸関連物質である限り特に限定されず、例えば、イノシン酸、グアニル酸、イノシン酸塩、グアニル酸塩が挙げられる。イノシン酸は、ヌクレオチド構造を持つ有機化合物の一種であり、ヒポキサンチンとD−リボースとリン酸で構成されたリボヌクレオチドであり、IMPと略記される。主に肉類の中に存在する天然化合物である。グアニル酸は、イノシン酸と同様にヌクレオチド構造を持つ有機化合物の一種であり、核酸塩基のグアニンとD−リボースとリン酸より構成されたリボヌクレオチドであり、GMPと略記される。イノシン酸、グアニル酸は、リン酸の結合位置が異なる2’−体、3’−体、5’−体があることが知られており、好ましくは、呈味性に有用な5’−体である。本発明に用いられるヌクレオチドは、好ましくは、食品添加物として許可され、かつ、アミノ酸であるグルタミン酸ナトリウムとの呈味性の相乗効果がある点で、リボヌクレオチド二ナトリウムであり、より好ましくは、5’リボヌクレオチド二ナトリウムであり、具体的には、5’−イノシン酸二ナトリウムまたは5’−グアニル酸二ナトリウムである。本発明の好ましい態様では、ヌクレオチドは、イノシン酸塩もしくはグアニル酸塩またはこれらの混合物であり、より好ましくは、イノシン酸二ナトリウムもしくはグアニル酸二ナトリウムまたはこれらの混合物である。混合物とする場合の混合比率は、特に制限されず、適宜選択することができる。ヌクレオチドは、市販品を用いてもよいし、常法に従って調製したものを用いてもよい。市販品の場合は、例えば、イノシン酸二ナトリウムおよびグアニル酸二ナトリウムの等量混合物であるWPダブルプラス(味の素株式会社製)、リボタイド(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)が挙げられる。
【0025】
本発明の米飯食品は、高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加すること、および該高アミロース米を1.6倍量〜10倍量の加水量で炊飯することにより得ることができる。アミノ酸とヌクレオチドとの混合物は、相乗効果により優れた呈味力を発揮するため、それぞれ1.0質量%以下という少量配合であっても、高アミロース米に旨味を付与することができる。
【0026】
アミノ酸とヌクレオチドとの添加量は、高アミロース米の生米に対して、特に限定されず、好ましくは、高アミロース米の生米100質量部に対して、それぞれ0.001質量部〜0.1質量部となるような添加量であり、より好ましくは、0.005〜0.1質量部であり、より好ましくは、0.005〜0.075質量部、より好ましくは、0.005〜0.05質量部、さらに好ましくは、0.005〜0.025質量部、となる添加量である。添加量が0.005質量部以上であれば、旨味を感じることが多く、0.025質量部以下であれば、異味を感じることが少ない点で好ましい。高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドの添加量の比率は、旨味の相乗効果が得られる限り特に限定されず、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは1:7〜7:1、より好ましくは1:4〜4:1、より好ましくは1:3〜3:1、さらに好ましくは1:2〜2:1である。アミノ酸とヌクレオチドの添加量の比率は、アミノ酸の比率を高めたものが、コストが安くなる点で好ましい。
【0027】
加水量は、高アミロース米の生米に対して、1.6〜10倍量が好ましい。米飯食品が白飯の場合には、加水量は、高アミロース米の生米に対して、1.6〜4倍量が好ましく、より好ましくは1.6〜3倍量、さらに好ましくは1.6〜2.6、さらに好ましくは1.6〜2.4、さらに好ましくは1.8〜2.4、特に好ましくは1.8〜2.2である。ここで加水量は、洗米前の生米の重量に対する倍率で示され、生米の洗米時に付着した水分量も合算した水分量をいう。洗米前の生米中に含まれる水分は、通常13〜15%程度で一定であるため考慮しない。なお、コシヒカリなど一般の米の炊飯での加水量は、生米に対して、通常では1.3〜1.4倍量、業務用米飯(蒸気炊飯)では1.3〜1.5倍量である。蒸気炊飯の場合は、炊飯中に炊き水が飛ばないため、加水量を低く設定する必要がある。本発明では、炊飯時の加水量を高加水量にすることにより、炊飯後の高アミロース米の老化の早さを抑制することができる。
【0028】
アミノ酸とヌクレオチドの、生米への添加方法は、特に限定されず、高アミロース米を炊飯する通常の手順において、炊飯開始前に、生米と、アミノ酸とヌクレオチドと、所望の加水量とするための水とが、炊飯釜または鍋の中で共存できる限り特に制限されない。例えば、高アミロース米の生米を、必要に応じて洗米し、そこに所望の加水量とするための水、すなわち炊き水を加えて浸漬させ、さらに、アミノ酸とヌクレオチドとをあらかじめ混合した混合物を配合してもよいし、それぞれを別々に配合してもよい。あるいは、高アミロース米の生米を、必要に応じて洗米し、そこに、アミノ酸とヌクレオチドとをあらかじめ配合した炊き水を加えて浸漬させてもよい。ここで、炊飯開始時点では、高アミロース米と、アミノ酸とヌクレオチドとは、均質に混合されていることが好ましい。すなわち、高アミロース米が浸漬されている炊き水が、アミノ酸とヌクレオチドとを均質に分散ないし溶解していることが好ましい。
【0029】
炊き水とは、洗米を行った場合には、洗米時に付着した水分量を控除して、生米の重量に対して所望の倍率となるように加える水をいう。洗米を行っていない場合には、生米の重量に対して所望の倍率となるように加える水そのものをいう。また、炊き水は、本発明の効果を損なわない限り、アミノ酸、ヌクレオチド以外の他の成分を含んでいても良い。他の成分としては、例えば、増粘多糖類(例えば、アルギン酸ナトリウム、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンズガム、ペクチンなど)、タンパク質(例えば、ゼラチン、卵白など)、有機酸(例えば、グルコン酸、フィチン酸、クエン酸、コハク酸など)、乳化剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなど)、油脂(例えば、米糠油、亜麻仁油、ゴマ油、オリーブ油、中鎖脂肪酸など)、寒天、デンプン分解物、糖類、糖アルコール、またはアミノ酸が挙げられる。
【0030】
炊飯とは、生米を水から煮ることであって、生米が水分を十分に吸って膨らみ、かつ、所望の水分状態になるまで加熱することをいう。特に、「炊く」という場合は、米粒が煮あがった時に水分が残らず米粒に吸収された状態を指し、白飯などがこれに該当する。
【0031】
炊飯方法は、特に限定されず、コシヒカリなど通常米の炊飯方法を用いることができる。例えば、市販の電気炊飯器を使用してもよいし、土鍋など鍋を用いて直火で炊飯してもよい。また、業務用炊飯や包装米飯の炊飯方法の一つである蒸気炊飯でもよい。蒸気炊飯とは、加熱蒸気で満たされたトンネル内を、加水済みの生米が通過しながら炊飯される方法をいう。
【0032】
本発明の方法により得られる米飯食品は、高アミロース米にもかかわらず、コシヒカリなど一般の米飯に近い軟らかい食感を有し、かつ、食味も損なわれていないため、一般に食されているコシヒカリなどの米飯同様に、何ら加工をしなくても、そのまま白飯として、食することができる。また、デンプンの老化も抑制されていることから、保存による品質変化が少ない。また、レンジなどで加熱しても、アミロース米飯を加熱した際に生じる異味やざらつき感、きしみ感、およびムレ臭が生じにくい。そのため、本発明の米飯食品は、包装米飯の調製に好適に用いることができる。さらに、健康を促進させる目的で、糖尿病や生活習慣病のリスクの高いヒトであっても、低GI食品として、高アミロース米の米飯食品を、コシヒカリなど通常米に代わる主食として、摂取することができる。ここで、GIとは、Glycemic Indexの略であり、炭水化物を含む食品を食べた時の血糖値の上がりやすさを表した指標である。GIが低いほど血糖値の上昇がおだやかであり、GIが70以上の食品を高GI食品、56〜69を中GI食品、55以下を低GI食品として分類する。
【0033】
本発明の方法により得られる米飯食品は、白飯の場合、水分は、好ましくは、あらかじめ生米中に含まれる水分、炊飯時、冷却時に蒸散する水分を考慮すると61〜78%、より好ましくは65〜73%、さらに好ましくは68〜70%である。なお、コシヒカリなど一般の米について、常法の炊飯条件によって炊飯された米飯の水分は、あらかじめ生米中に含まれる水分、炊飯時、冷却時に蒸散する水分を考慮すると56〜63%である。
【0034】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の米飯食品の製造方法は、デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加すること、および該高アミロース米を1.6倍量〜10倍量の加水量で炊飯することからなる、高アミロース米を用いた米飯食品の製造方法である。このようにして得られた米飯食品は、白飯または白がゆであり、具材を含む米飯食品、例えば、炊き込みご飯とは区別される。
【0035】
白飯の食味改善方法
本発明の一つの態様によれば、デンプン中のアミロース含量が22質量%以上の高アミロース米を用いた白飯の食味改善方法が提供される。本発明の方法では、高アミロース米の生米に対して、アミノ酸とヌクレオチドとを添加すること、および該高アミロース米を1.6倍量〜4倍量の加水量で炊飯することにより、得られる白飯の食味が改善されている。ここで食味の改善とは、後述する実施例に記載された項目の改善をいい、例えば、味の向上、外観の改善、粘りの向上、硬さの改善、総合評価の改善が挙げられる。また、食味の改善には、炊飯後の老化の防止も含まれる。
【実施例】
【0036】
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、特に記載が無い限り、「%」は質量基準である。
【0037】
例1:米飯製造方法の検討
(1)米の分析
生米として、粒長/粒幅比の異なる高アミロース米3品種:越のかおり(新潟県産)、夢十色(千葉県産)、インディカ米(タイ産)および、中アミロース米であるコシヒカリ(新潟県産)の白米を使用した。それぞれの、アミロース含量、粒長/粒幅比は、下記の方法に従って、測定した。
【0038】
アミロース含量は、生米をヨウ素呈色比色法(農林水産省の定める標準計測方法(農林水産業産省告示第三百三十二号))に従って測定した。具体的には、標準計測方法に従い、4つの濃度のアミロース標準品を調製し、分光光度計により波長620nmの吸光度を測定して検量線を作成した。生米を粉砕し100メッシュのふるいを通過した粉末試料100mgに、エタノール1ml、さらに1mol/l水酸化ナトリウム9mlを添加し、沸騰水中で10分間加熱し、水を加えて100mlとして試料液を得た。得られた試料液5mlと1mol/l酢酸1mlを混合し、ヨウ素/ヨウ化カリウム試液2mlを加え混合し、水を加えて100mlとしたもの(測定液)を、分光光度計により波長620nmの吸光度を測定した。測定液の吸光度および検量線から試料液のアミロース量(mg)を次式により求めた:アミロース量(mg)=((測定吸光度×0.75)−b)/a×20[a:検量線の傾き、b:検量線の切片、0.75:測定液の吸光度のアミロースによる吸光度の寄与率]。さらに、試料のタンパク質含有率および水分値から、次式によりアミロースの含有率を算出した:アミロースの含有率(%)=アミロース量/(S×(100−P−M))×10000[S:試料量(mg)、P:試料のタンパク質含有率(%)、M:試料の水分値(%)]。
【0039】
粒長/粒幅比は、生米(白米)の粒長および粒幅をノギスを用いて測定し、粒長/粒幅の比率として算出した。それぞれ、コーデックス規格に従い、長幅比3.0以上を長粒型(品種)、2.0〜2.9を中粒型、1.9以下を短粒型の米と分類した。
【0040】
それぞれの結果を下記表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
(2)米飯の調製
それぞれ、生米200gを計量し、十分量の蒸留水で3回洗米した。その後、下記表4の配合となるように、炊き水および/または添加物(グルタミン酸ナトリウムとしてグルエースS−1(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)および/またはヌクレオチドとしてイノシン酸二ナトリウムおよびグアニル酸二ナトリウムの等量混合物:WPダブルプラス(味の素株式会社製))を添加し、室温で30分間浸漬した後、一般家庭用炊飯器(象印マホービン株式会社製、NP−BC18型)にて炊飯した。表4に示していないが、加水倍率が2.2になるように炊き水を添加した米飯(「高加水炊飯、添加物なし」という)も同様に炊飯した。炊き水は、洗米時に付着した水分量と合算し、米重量の所定の倍率となるように加えた。また、添加物は炊き水に溶解させた状態で加えた。
【0043】
得られたそれぞれの米飯について、官能評価試験を行った。
【0044】
官能評価は、訓練を受けたパネリスト5人で行い、米飯の食味に深く影響する5項目:味(極めてよい−極めて悪い)、外観(極めてよい−極めて悪い)、粘り(非常に粘りがある−極めてぱさつく)、硬さ(非常に柔らかい−極めて硬い)、総合評価(極めてよい−極めて悪い)について評価した。評価は独立記帳方式で行い、各項目+5〜−5の11段階評価とし、該当する数字に○印を付す形で実施し、その平均値を結果に示した。
【0045】
(官能試験の評価基準)
「味」について、口に含んで数回かみ、ごはんとしての甘み・うまみ、飲み込む際ののど越しのよい滑らかさについて、以下の判断基準で評価した。味は、好ましくは−2以上、より好ましくは−1以上、より好ましくは0以上であり、より好ましくは1以上、より好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上である。コシヒカリの場合、一般的に3前後となる。
5:極めてよい。
4:とてもよい。
3:よい。
2:ややよい。
1:どちらかといえばよい。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば悪い
−2:やや悪い。
−3:悪い。
−4:とても悪い
−5:極めて悪い。
【0046】
「外観(つや・粒感)」について、米の白さ、ツヤ、粒の形の整否・粒面の花咲き具合などを観察し、以下の判断基準で評価した。外観は、好ましくは0以上であり、より好ましくは1以上、より好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上である。コシヒカリの場合、一般的に3前後となる。
5:極めてよい。
4:とてもよい。
3:よい。
2:ややよい。
1:どちらかといえばよい。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば悪い
−2:やや悪い。
−3:悪い。
−4:とても悪い
−5:極めて悪い。
【0047】
「粘り」について、口に含んで数回かみ、ご飯を噛んで離す時の歯や口腔の感覚について、パネラーの好みとは無関係に、以下の判断基準で評価した。粘りは、好ましくは−2〜5であり、より好ましくは0〜4、さらに好ましくは1〜3である。コシヒカリの場合、一般的に2〜3となる。
5:非常に粘りがある。
4:とても粘りがある。
3:粘りがある。
2:やや粘りがある。
1:どちらかといえば粘りがある。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえばぱさつく。
−2:ややぱさつく。
−3:ぱさつく。
−4:とてもぱさつく
−5:極めてぱさつく。
【0048】
「硬さ」について、口に含んで数回かみ、歯ごたえが硬いか柔らかいかについて、パネラーの好みとは無関係に、以下の判断基準で評価した。硬さは、好ましくは−2〜3、より好ましくは−2〜2であり、より好ましくは−1〜1、より好ましくは0〜1、さらに好ましくは0である。コシヒカリの場合、一般的に0前後となる。
5:非常に柔らかい。
4:とても柔らかい。
3:柔らかい。
2:やや柔らかい。
1:どちらかといえば柔らかい。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば硬い。
−2:やや硬い。
−3:硬い。
−4:とても硬い。
−5:極めて硬い。
【0049】
「総合評価」について、「味」、「外観」、「硬さ」、「粘り」の4項目の個別評価を平均するような、計算するようなものではなく、パネラーが米として良いか悪いかを感覚で総合的に判断した。総合評価は、好ましくは−1以上、より好ましくは0以上であり、より好ましくは1以上、より好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上である。コシヒカリの場合、3前後となる。
5:極めてよい。
4:とてもよい。
3:よい。
2:ややよい
1:どちらかといえば柔らかい。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば悪い。
−2:やや悪い。
−3:悪い。
−4:とても悪い。
−5:極めて悪い。
【0050】
結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表4に示されるように、高加水およびアミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分を組み合わせることによって、短粒型高アミロース米(越のかおり)の食味がコシヒカリと同程度に改善した。食味の改善は、アミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分の添加のみまたは高加水炊飯のみ(データ示さず)では効果が弱く、両方を併用することにより高い効果が得られることがわかった。特に、高加水炊飯のみでは、インディカ米では、高加水およびアミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分とを組み合わせた炊飯(試験例4)に比べて、粘り、硬さ、および総合評価において同程度の評価であった。夢十色および越のかおりでは、高加水炊飯のみでは、高加水およびアミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分とを組み合わせた炊飯(それぞれ、試験例7および10)に比べて、全ての項目、特に、味および総合評価がより低いものであった。さらに、高加水およびアミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分とを組み合わせた炊飯方法による食味改善効果は、長粒型高アミロース米ではほとんど効果がみられず、短粒型に近づくにつれて効果が高くなる傾向がみられた。
【0053】
(3)水分変化量の測定
上記試験例1(コシヒカリ、通常炊飯)と、越のかおりに関する試験例8(通常炊飯)、および試験例10(本発明)とについて、炊飯後の米飯の水分変化量を確認した。炊飯後の米飯を直ちにステンレスボールに移し、炊飯直後、炊飯1、2、3、6時間後にサンプリングし、常圧加熱乾燥法により水分量を測定した。結果を図1に示す。
【0054】
図1に示されるように、試験例10の水分変化量は他の試験例と比較して高かった。このことから、高加水およびアミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分を組み合わせることによって、アミノ酸とヌクレオチドとからなる呈味成分の添加または高加水炊飯、それぞれ単独の場合よりも、水分変化率が高くなることがわかった。また、試験例10は、炊飯後6時間経過しても米飯中の水分量は大きく変化せず、老化が抑制され、柔らかさの持続、つややかさの向上といった、良好な食味が保たれていた。特に炊飯後3時間では、試験例10は、コシヒカリ並の柔らかさを維持していた。なお、図1に示していないが、加水倍率が2.2になるように炊き水を添加して炊飯した米飯(高加水炊飯、添加物なし)は、試験例8と同様の結果を示した。
【0055】
例2:加水量の検討(呈味成分の添加なし)
生米として、例1で用いた越のかおりおよびコシヒカリを使用した。
【0056】
生米200gを計量し、十分量の蒸留水で3回洗米した。その後、炊き水を添加し、室温で30分間浸漬した後、一般家庭用炊飯器(象印マホービン株式会社製、NP−BC18型)にて炊飯した。炊き水は、洗米時に付着した水分量と合算し、米重量に対して、それぞれ、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6および3.0倍量となるように加えた。
【0057】
得られたそれぞれの米飯について、例1に従い、官能評価試験を行った。
【0058】
その結果、加水量の増加は米飯の硬さおよび粘りを改善する、一方、4.0倍量加水量を超えると米粒の形態が保てなくなるほど米飯が柔らかくなり、白飯としての総合評価は下がった。また、加水量の増加は、米飯にツヤを与え、外観を改善する、一方、4.0倍量の加水量を超えると米粒が爆ぜたような外観となり、白飯としての外観の評価が低下した。白飯の製造方法としては、4.0倍量の加水量を超えると、水っぽく、味気ない米飯となることが分かった。なお、コシヒカリに対して、高加水(例えば、加水量が生米に対して2.2倍以上)条件で炊飯すると、粥状となり、白飯としての形状が維持できないことが分かった。
【0059】
例3:アミノ酸とヌクレオチドの添加量の検討
生米として、例1で用いた越のかおりを使用した。
【0060】
生米200gを計量し、十分量の蒸留水で3回洗米した。その後、下記の表5の配合となるように、炊き水および/または添加物(グルタミン酸ナトリウムとしてグルエースS−1(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)および/またはヌクレオチドとしてイノシン酸二ナトリウムおよびグアニル酸二ナトリウムの等量混合物:WPダブルプラス(味の素株式会社製))を添加し、室温で30分間浸漬した後、一般家庭用炊飯器(象印マホービン株式会社製、NP−BC18型)にて炊飯した。炊き水は、洗米時に付着した水分量と合算し、米重量の所定の倍率となるように加えた。また、添加物は炊き水に溶解させた状態で加えた。
【0061】
得られた米飯10〜17について、例1に従い、官能評価試験を行った。結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
表5に示されるように、アミノ酸とヌクレオチドは旨味を付与するため、「味」の改善に有効であるが、所定の添加量を超えると、えぐみ等の異味を生じさせ、「味」の評価が低下することがわかった。
【0064】
例4:包装米飯の検討
例1で用いた越のかおりの生米を、洗米後、水に浸漬させた。浸漬後、得られた越のかおりを、包装米飯のトレーに充填し、アミノ酸・ヌクレオチドの等量混合物(グルタミン酸ナトリウムとしてグルエースS−1(MCフードスペシャリティーズ株式会社製)およびヌクレオチドとしてイノシン酸二ナトリウムおよびグアニル酸二ナトリウムの等量混合物:WPダブルプラス(味の素株式会社製))を生米100質量部に対し0.03質量部含む炊き水を添加し、雰囲気温度100℃の蒸気で満たされた炊飯ラインを通過させ、炊飯した。
【0065】
試験米飯18〜24の炊飯時の加水量と、炊飯後の米飯の水分含量とを表6に示す。加水倍率は、洗米および浸漬時に付着した水分も含む。
【0066】
【表6】
【0067】
蒸気炊飯の場合、一般家庭用炊飯器などと異なり、炊飯中に蒸気として水分が飛ばないため、表6に示されるように、蒸気炊飯の場合は、加水量を1.6倍〜2.2倍にすることが好ましい。
図1