(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890946
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】可動性のアブレーション針を備えるラッソーカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20210607BHJP
A61B 5/25 20210101ALI20210607BHJP
A61B 5/05 20210101ALI20210607BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20210607BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20210607BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20210607BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B5/04 300J
A61B5/05 N
A61M25/00 540
A61M25/14 512
A61M25/092 510
A61N1/06
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-200662(P2016-200662)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2017-74365(P2017-74365A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2019年10月11日
(31)【優先権主張番号】14/881,524
(32)【優先日】2015年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イツハク・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−504473(JP,A)
【文献】
特開2015−119831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 5/05
A61B 5/25
A61M 25/00
A61M 25/092
A61M 25/14
A61N 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端並びに中を貫く少なくとも1つのルーメンを有する、細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端におけるラッソー電極アセンブリと、を備え、前記ラッソー電極アセンブリが、複数の検知電極、及びアブレーション電極を備えた可動性の針を有する、カテーテルであって、
前記ラッソー電極アセンブリが内周部の少なくとも一部分の周りに延在する開口によって画定された軌道を有し、前記可動性の針が前記開口を通って延びており、かつ、前記軌道に沿って移動する、カテーテル。
【請求項2】
前記細長いカテーテル本体の前記ルーメン内に配設され、かつ前記カテーテルの近位端まで延在する、前記可動性の針に固定されたプーラー部材を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記プーラー部材と連結された、前記カテーテルの前記近位端におけるアクチュエータを更に備え、前記アクチュエータの操作によって前記可動性の針の位置が前記軌道に沿って調節される、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記ラッソー電極アセンブリが、前記細長いカテーテル本体の縦軸と相対的に交差する平面内にあり、前記可動性の針が、前記ラッソー電極アセンブリの前記平面に対して近位方向にカーブする、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記ラッソー電極アセンブリが、患者の血管の小孔内で組織と係合するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記可動性の針は、前記ラッソー電極アセンブリが前記小孔内で係合した時に前記アブレーション電極を組織と接触させるように構成された、所定の形状を有する、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記血管が肺静脈である、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記アブレーション電極が灌注される、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記可動性の針が温度センサを更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記細長いカテーテル本体が操縦可能である、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気生理学(EP)カテーテルに関し、具体的には、心臓内でのマッピング及び/又はアブレーションのためのEPカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心組織のある領域から隣接組織に電気信号が異常に伝導されることにより、正常な心周期が乱されて非同期的リズムを生ずる場合に発生する。望まれない信号の重要な発生源は、左心房の肺静脈に沿った、上肺静脈内の組織領域内に位置する。この状況下で、不要な信号が肺静脈内で発生するか、又は他の発生源から肺静脈を通じて伝導された後、それらの信号が左心房の中へと伝導され、そこで不整脈を惹起するか若しくは存続させ得る。
【0003】
不整脈を治療するための手技としては、不整脈を引き起こしている信号の発生源を外科的に破壊すること、並びにそのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。更に最近では、心内膜の電気特性と心容積をマッピングし、エネルギーの印加により心組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓のある部分から別の部分への不要な電気信号の伝播を停止又は修正することが場合によっては可能となると判明している。アブレーション処理は、非伝導性の損傷部位を形成することによって不要な電気経路を破壊するものである。こうしたアブレーション処置の一例は、肺静脈隔離術と称され、これは肺静脈と左心房との接合部に隣接する部位の組織のアブレーションを伴う。結果として得られる損傷部位(複数可)は、この部位から発生する不規則な電気信号が心房の残りの部位に広がって患者の心拍を乱すことから隔離することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら又はその他の用途に関して、従来の実施方法は、2段階手順を伴ってもよい。第1に、電気的活性を検知するための1つ又は2つ以上の電極を有するマッピングカテーテルを用いて、治療部位の電気的活性を測定してアブレーションの標的領域を特定する。次に、非伝導性の損傷部位を形成するのに十分なエネルギーを送達するために、アブレーションカテーテルを次いで標的領域に隣接して位置決めすることができる。したがって、複数のカテーテルを用いる必要なしに組織をマッピング及びアブレーションするためのカテーテル及び技法を提供することが望ましい。同様に、マッピング及びアブレーション処置を行っている最中にカテーテルを再位置決めする必要を低減する又は回避することが望ましい。以下の資料に記述されるように、本開示はこれら及び他の目的を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、近位端及び遠位端並びに中を貫く少なくとも1つのルーメンを有する、細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端におけるラッソー電極アセンブリと、を備え、ラッソー電極アセンブリが、複数の検知電極、及びアブレーション電極を備えた可動性の針を有する、カテーテルを目的とする。
【0006】
一態様では、ラッソー電極アセンブリは内周部の少なくとも一部分の周りに延在する軌道を有してもよく、可動性の針がこの軌道に沿って移動してもよい。可動性の針は、細長いカテーテル本体のルーメン内に配設されてカテーテルの近位端まで延在するプーラー部材に固定されてもよい。カテーテルの近位端のアクチュエータは、アクチュエータの操作によって軌道に沿って可動性の針の位置が調節されるように、プーラー部材と結合することができる。
【0007】
一態様では、ラッソー電極アセンブリは、細長いカテーテル本体の縦軸と相対的に交差する平面内にあってもよく、可動性の針は、ラッソー電極アセンブリの平面に対して近位方向にカーブすることができる。
【0008】
一態様では、ラッソー電極アセンブリは、患者の血管小孔内部の組織と係合するように構成され得る。可動性の針は、ラッソー電極アセンブリが小孔内で係合した時にアブレーション電極を組織と接触させるように構成された所定の形状を有し得る。例えば、血管は肺静脈であり得る。
【0009】
一態様では、アブレーション電極は灌注されてもよい。
【0010】
一態様では、可動性の針は、温度センサを含んでもよい。
【0011】
一態様では、細長いカテーテル本体は操縦可能であり得る。
【0012】
本開示は更に、近位端及び遠位端並びに中を貫く少なくとも1つのルーメンを備える、細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端におけるラッソー電極アセンブリと、を有し、ラッソー電極アセンブリが、複数の検知電極、及びアブレーション電極を備えた可動性の針を有する、カテーテルを提供することと、カテーテルの遠位端を心臓の所望の領域に位置決めすることと、ラッソー電極アセンブリを血管の小孔の内側と係合させて検知電極のうちの少なくとも1つを組織と接触させることとによって、心臓との電気通信を提供する方法を目的とする。
【0013】
一態様では、電気通信を提供することは、組織と接触する少なくとも1つの電極から受信された電気データを記録することを含んでもよい。
【0014】
一態様では、可動性の針は、アブレーション電極が組織と接触しているように位置決めされてもよく、組織をアブレーションして損傷部位を形成するために高周波エネルギーがアブレーション電極に送達されてもよい。可動性の針の位置は、アブレーション電極が異なる組織領域と接触するように調節されてもよく、組織をアブレーションして別の損傷部位を形成するために高周波エネルギーがアブレーション電極に送達されてもよい。損傷部位は、血管の円周部の周りに形成された損傷部位であってもよい。
【0015】
一態様では、可動性の針は、アブレーション電極が組織と接触しているように位置決めされてもよく、高周波エネルギーがアブレーション電極に送達されてもよく、高周波エネルギーを送達して組織をアブレーションして連続的損傷部位を形成しながら、可動性の針の位置が調節されてもよい。少なくとも1つの連続的損傷部位が、血管の円周部の少なくとも一部分の周りに形成され得る。
【0016】
一態様では、カテーテルの遠位端を心臓の所望の領域に位置決めすることは、ラッソー電極アセンブリを左心房から小孔を通して肺静脈内に前進させることを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
更なる特徴及び利点は、添付図面に例示されるように、本開示の好ましい実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになり、添付図面において、同様の参照記号は、概して、図全体を通して同一の部分又は要素を指す。
【
図1】一実施形態による、可動性の針を有するラッソー電極アセンブリを備えたカテーテルの概略立面図である。
【
図2】一実施形態による、
図1のラッソー電極アセンブリのより詳細な概略図である。
【
図3】一実施形態による、
図2のラッソー電極アセンブリの線A−Aに沿って取った断面図である。
【
図4】一実施形態による、肺静脈(pulmonary vien)の小孔内に位置決めされた、可動性の針を備えるラッソー電極アセンブリの概略図である。
【
図5】一実施形態による、可動性の針を備えるラッソー電極アセンブリを用いた侵襲性医療手技の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、本開示が、具体的に例示された材料、構成、手順、方法、又は構造に限定されず、したがって、変化し得ることを理解されたい。したがって、本明細書に記載されている選択肢と同様又は同等のいくつかの選択肢が本開示の実施又は実施形態において使用され得るが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載されている。
【0019】
また、本明細書で使用される専門用語が、単に本開示の特定の実施形態を説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0020】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態を説明するよう意図されており、本開示が実施され得る唯一の例示的な実施形態を表すようには意図されていない。本説明全体にわたって使用される用語「例示的」とは、「実施例、事例、又は実例としての機能を果たす」ことを意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明には、本明細書の例示的な実施形態の徹底した理解を提供するために、具体的な詳細が含まれる。本明細書の例示的な実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本明細書に提示される例示的な実施形態の新規性を明確にするために、周知の構造及びデバイスがブロック図形態で示される。
【0021】
単に便宜上かつ明確にするために、上、下、左、右、上方、下方、上側、下側、裏側、後側、背側、及び前側などの方向を示す用語が、添付図面に関して使用され得る。これら及び同様の方向を示す用語は、いかなる様式でも本開示の範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【0022】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0023】
最後に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0024】
心室内でのある特定の種類の電気的活性は、周期的ではない。例としては、心房粗動又は心房細動、及び梗塞に起因した心室壁内の損傷から生じる心室頻拍が挙げられる。かかる電気的活性は、拍動間でランダムである。この種類の電気的活性を分析又は「マッピング」するためには、電極のアレイを提供して所望の部位全体にわたる測定を提供することが望ましい。従来のラッソーカテーテルは、肺静脈の小孔などの解剖学的構造を包囲する円弧部に沿って組織に接近するために使用されてきた。しかしながら、電気的活性の検知用に最適化された電極設計は、一般に組織をアブレーションするには有効でない。同様に、アブレーション用に設計された電極は、電気的活性を測定する際に所望される程度の感度を提供できない場合があるか、あるいは灌注及び/又は温度検知といったアブレーションに関する機能を提供するための操縦性が低下する及び/又は空間要件が増大する場合がある。本明細書で詳細に説明する通り、本開示は、少なくとも1つのアブレーション電極を備えた可動性の針を有するラッソーカテーテルを目的とする。
【0025】
可動性の針を備えたラッソーカテーテルの例示的な一実施形態を
図1に概略的に示す。カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体の近位端における制御ハンドル14とを備え、ラッソー電極アセンブリ16が、遠位端における可動性の針18を有する。ラッソー電極アセンブリ16は、カテーテル本体12の縦軸と実質的に交差する、一般に既知の又は範囲の制限された角度を形成し得る。ラッソー電極アセンブリ16は、カテーテル本体12と接合された別個の要素であってもよく、又はカテーテル本体12の延長部を構成してもよい。ラッソー電極アセンブリ16は、既知の決まった長さであってよく、典型的な力を受けた時に好ましくは捻れ可能であるが伸縮性ではない材料を含む。一態様では、ラッソー電極アセンブリ16は、力が加えられていない時には所定の湾曲形状を取り、力が加えられた時には所定の湾曲形状から歪められるように、十分に弾性であってもよい。例えば、ラッソー電極アセンブリ16は、当該技術分野で知られているように、例えば湾曲区間を弾性の長手部材で内部補強することにより、その全長の少なくとも一部分にわたって概ね一定である弾性を有し得る。ラッソー電極アセンブリ16は、完全な又は部分的なラッソー、即ち、典型的には180°〜360°の範囲で定められる予め形成された弧状構造体を形成し得る。一態様では、ラッソー電極アセンブリ16は、血管の円周部の周囲、又は実質的な周囲をマッピング及び/又はアブレーションすることが可能となるように、実質的に完全な円周を形成し得る。ラッソー電極アセンブリ16の曲率半径は、拘束されていない時、典型的には7.5mm〜15mmであり得る。円弧構造体が弾性で、かつ場合によってはわずかにらせん状であるため、ラッソー電極アセンブリ16が心臓内に位置決めされた時(例えば肺静脈50の小孔に接して)、円弧構造体は、円弧部の全長にわたって心臓組織を圧迫して良好な組織の接触を促進する。ラッソー電極アセンブリ16の弧状及び場合によってはらせん状の形は、後述されるニチノールのような形状記憶材料から作製された、薄いストラットを組み込むことによって維持することができる。
【0026】
電気信号の正確なマッピングを実現するために、ラッソー電極アセンブリ16は、検知電極20のアレイを有してもよい。検知電極20は、必要に応じて軌道22に適合するように改良されたリング電極、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0168548号に記載されるような隆起した突起型電極、又は任意のその他の好適な設計として構成されてもよく、また、10個、20、又はその他の個数などの任意の好適な数だけ組み入れてよい。電極20は、ラッソー電極アセンブリ16に沿って均等に分布してもよく、又は測定された電気信号の分析を促進するために円弧部に沿って任意の分布で偏在してもよい。電極20は、先端部電極、並びにラッソー電極アセンブリ16に沿って分布する電極を含んでもよい。典型的には、電極20は、1mm〜4mmの幅を有し、1mm〜10mm間隔に離間配置される。
【0027】
可動性の針18は、軌道22の内部でラッソー電極アセンブリ16の円弧部の周囲を移動し、遠位端に配設された電極24などの1つ又は2つ以上のアブレーション電極を有することができる。可動性の針18はまた、ラッソー電極アセンブリ16が肺静脈又はその他の血管若しくは構造体の小孔の内部といった患者の心臓の標的領域と係合している時に、アブレーションされる組織との所望される程度の接触を生み出すように構成された予備成形形状を有し得る。この形状はまた、ラッソー電極アセンブリ16に対する所望の場所で組織と接触するようにも構成され得る。例えば、図示される通り、可動性の針18はラッソー電極アセンブリ16に対して近位方向にカーブすることができる。様々な標的部位に接近するためにその他の形状が用いられてもよい。可動性の針18を軌道22に沿った複数の場所に位置決めすることによって、電極24を介して患者の心臓の対応する場所にエネルギーを送達して損傷部位を形成することができる。かくして、ラッソー電極アセンブリ16が肺静脈などの血管の小孔内に位置決めされると、軌道22内の移動によって可動性の針18を血管の円周部の周りで再位置決めすることができ、それによりカテーテル全体を移動する必要が回避される。こうして、実質的に完全な損傷部位が血管の円周部の周りに形成されて、血管の円周部を電気的に隔離することができる。
【0028】
カテーテル本体12は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構成のものであってもよく、任意の好適な材料で作製されていてもよい。他の構成は、ポリウレタン又はPEBAX(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)で作製された外壁を備える。外壁は、カテーテル本体12の捩り剛性を高めるために、ステンレス鋼などの埋め込まれた編組みメッシュを備えており、それにより制御ハンドル14が回転すると、カテーテル本体の遠位端が対応する様式で回転するようになる。後述する通り、制御ハンドル14はまた、軌道22に沿って可動性の針18の位置を調節するために回転ノブ26を有してもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル本体12は当業者に既知の任意の好適な技法を用いて操縦可能及び/又は偏向可能であってもよい。カテーテル本体12の外径は重要ではないが、一般に可能な限り小さくあるべきであり、所望の適用に応じてわずか約10フレンチであってもよい。例えば、肺静脈を隔離するためのマッピング及びアブレーションに用いる場合、カテーテル本体は約7〜7.5フレンチの外径を有してもよい。同様に、外壁の厚さも重要ではないが、中央ルーメンがプーラワイヤ、リードワイヤ、センサケーブル、及び任意の他のワイヤ、ケーブル、又はチューブを収容することができるように十分に薄いものであってもよい。所望により、外壁の内表面は補剛チューブ(図示せず)で裏張りされて、捩り安定性の改善を提供する。本発明に関連して使用するのに好適なカテーテル本体構造の例が、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,064,905号に記載及び図示されている。
【0029】
ラッソー電極アセンブリ16の更なる詳細を
図2に示す。図示されるように、軌道22は、ラッソー電極アセンブリ16の内周部の少なくとも一部分の周囲に延在して、可動性の針18を様々な場所に位置決めすることを可能にする。上述したように、可動性の針18の遠位端は組織をアブレーションするように構成された電極24を有してもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションされる組織の温度の管理を補助するために、電極24は、灌注流体を治療部位に送達させるための穿孔を有してもよい。高周波電流を電極24に送達する間、組織の電気抵抗のために組織の加熱が起きる。組織の加熱が標的組織における細胞の破壊を引き起こし、その結果、異常な電気信号の影響の阻害を目的とする非伝導性の損傷部位が形成される。しかしながら、組織の過熱によって、炭化物及び凝塊の望ましくない形成が起きるおそれがあり、あるいは液体が沸点を超えて加熱された時にスチームポップが発生し、これにより続いて心臓組織内にクレーター又は穿孔が生じ得るおそれがある。これに対して、アブレーション部位で灌注することにより、電極及び組織を冷却して組織の過熱を防ぐことを含む利益を提供することができる。加えて、可動性の針18はまた、こうした有害事象を回避するためにアブレーション処置中の組織温度を評価するため、また、灌注流体の流れの調節を補助して過熱を防止又は最小化するために、熱電対28及びその他の好適な温度センサを有してもよい。いくつかの実施形態では、ラッソー電極アセンブリ16は、後述するように、患者体内のカテーテル10の位置決めの決定を補助するために用いられ得る、センサ30及び32などの1つ又は2つ以上のシングル又はマルチコイル式位置センサを含んでもよい。図示するように、第1の位置センサ30は、ラッソー電極アセンブリ16の遠位端に位置決めされてもよく、第2の位置センサは、ラッソー電極アセンブリ16がカテーテル本体12と接合するその基部に配置されてもよい。
【0030】
次に、
図3は、
図2で示す線A−Aに沿って取った断面である。図示するように、ラッソー電極アセンブリ16は、軌道22に対応するスロットを有する外側管状部材34から形成され得る。外側管状部材34のルーメン36内にはプーラー部材38が配設されており、プーラー部材38には可動性の針18を固定することができる。プーラー部材38は、カテーテル10の近位端まで延在し、ここでプーラー部材38はノブ26と結合する。ノブ26の操作によりカテーテル本体12内でプーラー部材38を伸縮させ、これによって軌道22の長さに沿って可動性の針18の位置を調節することが可能になる。理解されるであろうが、カテーテル10の近位端には、スクロールホイールなどの、軌道22内で可動性の針18の相対位置を調節する任意の好適なアクチュエータ構成を提供してもよい。ノブ26はまた、可動性の針の現在位置及び/又はアブレーション点間の推奨距離を示すインジケータを特徴として備えてもよい。プーラー部材38の内部には、可動性の針18内の対応するルーメンと流体連通して、灌注流体を電極24に送達することを可能にする灌注ルーメン40が埋め込まれてもよい。温度センサを有する実施形態では、プーラー部材38はまた、電極24用にリード42、また熱電対28用にリード44を組み込んでもよい。電極20用のリード46はまた、ルーメン36内に配設されてもよい。一態様では、内側管状部材48がルーメン36内に配設されて、位置センサ30用のストラット50及びリード52を含むことができる。上述した通り、ストラット50は、ラッソー電極アセンブリ16が拘束から解放された時に円弧形状を取ることを可能にする弾性材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、これは、生理的温度に加熱されると記憶された形状を取るニチノール又は他のニッケル−チタン合金などの好適な形状記憶合金から形成してもよい。
【0031】
一態様では、当該技術分野で一般に知られているように、電気生理学者は、患者の内部にガイドシース、ガイドワイヤ、及び拡張器を導入することができる。一例として、本発明のカテーテルに関連して使用するためのガイドシースは、適切なサイズのPREFACE(商標)Braided Guiding Sheath(Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,CA)から市販されている)である。ガイドワイヤが挿入され、拡張器が取り除かれ、カテーテルがガイドシースを通して導入され、それにより拡張器内のガイドワイヤルーメンは、カテーテルがガイドワイヤの上を通過するのを可能にする。
図4に図示される例示的な一手順では、カテーテルは、最初に下大静脈(IVC)を介して右心房(RA)を通って患者の心臓(H)に導入され、ここでそれは左心房(LA)に到達するために心房中隔(S)を通過する。
【0032】
理解されるであろうが、可動性の針18を含むラッソー電極アセンブリ16は、歪めて直線状の構成にしてからガイドシース54内に拘束して、カテーテル10が患者の血管系を通過して所望の場所に到達することを可能にし得る。カテーテルの遠位端が所望の場所、例えば左心房に到達すると、ガイドシース54が引き抜かれてラッソー電極アセンブリ16が露出され、ラッソー電極アセンブリ16が跳ね返って弧状構成を取る。続いてラッソー電極アセンブリ16が肺静脈(PV)の小孔内に位置決めされると、電極20が小孔組織と接触して、この部位内で電気信号をマッピングするのに用いることができる。電気生理学者は、カテーテル10を再位置決めする必要なしに、1つ又は2つ以上の場所で組織をアブレーションするために、ノブ26を操作して可動性の針18の相対位置を調節することができる。いくつかの実施形態では、電気的隔離を達成するために肺静脈の円周部の周りに実質的に完全な損傷部位を形成することが望ましい場合がある。これは、複数のアブレーションを、重複する又は他の方法で隔離を完成するように十分に互いに近接させて実施することで達成され得る。あるいは、可動性の針が再位置決めされて連続的損傷部位を形成しながらエネルギーを電極24に供給してもよい。
【0033】
ラッソー電極アセンブリ16の使用を例示することを助けるために、
図5は、本発明のある実施形態による、侵襲性医療手技の概略図である。ラッソー電極アセンブリ16(この図では図示せず)を遠位端に備えるカテーテル10は、リード42、44、46、52及び/又はその他を、これらに対応する電極及びセンサ(この図では図示せず)から、これらが検出する信号を記録及び分析し、かつアブレーションエネルギーを供給するためのコンソール62まで連結するためのコネクタ60をその近位端に有してもよい。電気生理学者64は、患者の心臓68からの電極電位信号を取得するために、カテーテル10を患者66の体内に挿入することができる。電気生理学者64は、挿入を行うために、カテーテルに取り付けられた制御ハンドル14を使用する。コンソール62は、受信された信号を分析し、コンソールに取り付けられたディスプレイ72上に分析の結果を提示することができる処理ユニット70を含むことができる。この結果は、典型的には、信号から得られたマップ、数値表示、及び/又はグラフの形態である。処理ユニット70はまた、1つ又は2つ以上の損傷部位を作り出すための、電極24へのエネルギーの送達を制御することもできる。電気生理学者64は、上述したように、ノブ26を操作して可動性の針18の位置を調節して、損傷部位(複数可)を形成する位置を選択することができる。
【0034】
更に、処理ユニット70はまた、位置センサ30及び32(この図では図示せず)からの信号を受信することもできる。上述したように、センサ(複数可)はそれぞれ、磁界応答コイル又は複数のかかるコイルを備えてもよい。複数のコイルの使用は、6次元位置及び配向座標の判定を可能にする。したがって、センサは、外部コイルからの磁界に応答して電気位置信号を発生することができ、それによりプロセッサ70が心臓腔内におけるカテーテルの遠位端10の位置(例えば、場所及び配向)を判定することを可能にする。その後、電気生理学者は、ディスプレイ72上における患者の心臓の画像上でラッソー電極アセンブリ16の位置を見ることができる。例として、この位置検知方法は、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)により製造されるCARTO(商標)システムを使用して実施することができ、また、これは、その開示のすべてが参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT特許公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号、及び同第2004/0068178 A1号に詳細に記載されている。理解されるであろうが、他の場所検知技法がまた用いられてもよい。所望する場合は、少なくとも2つの場所センサをラッソー電極アセンブリ16の近位及び遠位に位置決めしてもよい。近位センサに対する遠位センサの座標が決定され得、そして、ラッソー電極アセンブリ16の構成に関連する他の既知の情報と合わせて、電極20及び/又は電極24のそれぞれの位置を見つけるために用いることができる。
【0035】
上記の説明は、本発明の現在開示されている実施形態を参照して提示された。本発明が属する技術分野の専門家であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を有意に逸脱することなく、説明された構造に改変及び変更が実施されてもよいことを理解するであろう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。したがって、上記の説明は、添付図面に記載及び例示される精確な構造のみに関連するものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読まれるべきである。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 近位端及び遠位端並びに中を貫く少なくとも1つのルーメンを有する、細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端におけるラッソー電極アセンブリと、を備え、前記ラッソー電極アセンブリが、複数の検知電極、及びアブレーション電極を備えた可動性の針を有する、カテーテル。
(2) 前記ラッソー電極アセンブリが内周部の少なくとも一部分の周りに延在する軌道を有し、前記可動性の針が前記軌道に沿って移動する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記細長いカテーテル本体の前記ルーメン内に配設され、かつ前記カテーテルの近位端まで延在する、前記可動性の針に固定されたプーラー部材を更に備える、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記プーラー部材と連結された、前記カテーテルの前記近位端におけるアクチュエータを更に備え、前記アクチュエータの操作によって前記可動性の針の位置が前記軌道に沿って調節される、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記ラッソー電極アセンブリが、前記細長いカテーテル本体の縦軸と相対的に交差する平面内にあり、前記可動性の針が、前記ラッソー電極アセンブリの前記平面に対して近位方向にカーブする、実施態様1に記載のカテーテル。
【0037】
(6) 前記ラッソー電極アセンブリが、患者の血管の小孔内で組織と係合するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記可動性の針は、前記ラッソー電極アセンブリが前記小孔内で係合した時に前記アブレーション電極を組織と接触させるように構成された、所定の形状を有する、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記血管が肺静脈である、実施態様6に記載のカテーテル。
(9) 前記アブレーション電極が灌注される、実施態様1に記載のカテーテル。
(10) 前記可動性の針が温度センサを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
【0038】
(11) 前記細長いカテーテル本体が操縦可能である、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 心臓との電気通信を提供するための方法であって、
近位端及び遠位端並びに中を貫く少なくとも1つのルーメンを備える、細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端におけるラッソー電極アセンブリと、を有するカテーテルを提供することであって、前記ラッソー電極アセンブリが、複数の検知電極、及びアブレーション電極を備えた可動性の針を有する、提供することと、
前記カテーテルの前記遠位端を前記心臓の所望の領域に位置決めすることと、
前記ラッソー電極アセンブリを血管の小孔内で係合させて前記検知電極のうちの少なくとも1つを組織と接触させることと、を含む、方法。
(13) 電気通信を提供することが、組織と接触している前記少なくとも1つの電極から受信された電気データを記録することを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記アブレーション電極が組織と接触しているように前記可動性の針を位置決めすることと、高周波エネルギーを前記アブレーション電極に送達することで前記組織をアブレーションして損傷部位を形成することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記アブレーション電極が異なる組織領域と接触するように前記可動性の針の位置を調節することと、高周波エネルギーを前記アブレーション電極に送達することで前記組織をアブレーションして損傷部位を形成することと、を更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0039】
(16) 前記血管の円周部の周りに損傷部位を形成することを更に含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記アブレーション電極が組織と接触しているように前記可動性の針を位置決めすることと、高周波エネルギーを前記アブレーション電極に送達することと、高周波エネルギーを送達しながら前記可動性の針の前記位置を調節することで前記組織をアブレーションして連続的損傷部位を形成することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記血管の前記円周部の少なくとも一部分の周りに少なくとも1つの連続的損傷部位を形成することを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記カテーテルの前記遠位端を前記心臓の所望の領域に位置決めすることが、前記ラッソー電極アセンブリを、左心房から小孔を通して肺静脈内に前進させることを含む、実施態様12に記載の方法。