特許第6890948号(P6890948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6890948機械式駐車装置のリモコン装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6890948
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】機械式駐車装置のリモコン装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   E04H6/18 601A
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-207188(P2016-207188)
(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公開番号】特開2018-66241(P2018-66241A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100169199
【弁理士】
【氏名又は名称】石本 貴幸
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野田 整一
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−102804(JP,A)
【文献】 特開平10−231651(JP,A)
【文献】 特開2015−194043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 − 6/42
E05B 49/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信する機械式駐車装置のリモコン装置であって、
前記リモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦と、
前記操作釦に対する操作に応じた前記機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された制御状態信号に応じた所定の報知を行う報知手段と、
を備え
前記機械式駐車装置の制御状態は、入庫予約又は出庫予約の完了の状態及び認証の成否に関する状態の少なくとも一つを含む機械式駐車装置のリモコン装置。
【請求項2】
機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信する機械式駐車装置のリモコン装置であって、
前記リモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦と、
前記操作釦に対する操作に応じた前記機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された制御状態信号に応じた所定の報知を行う報知手段と、
を備え、
前記報知手段は、前記制御状態信号に応じた表示を行う表示部であり、新たな前記制御状態信号を受信するまで表示状態を維持する機械式駐車装置のリモコン装置。
【請求項3】
前記操作釦は、前記機械式駐車装置に対する操作をキャンセルするキャンセル釦を含む請求項1又は請求項2記載の機械式駐車装置のリモコン装置。
【請求項4】
前記報知手段は、LEDであり、前記機械式駐車装置の制御状態に応じて、消灯、点滅、又は点灯する請求項1から請求項3の何れか1項記載の機械式駐車装置のリモコン装置。
【請求項5】
前記報知手段は、ディスプレイ装置であり、前記機械式駐車装置の制御状態に応じて、メッセージを表示する請求項1から請求項3の何れか1項記載の機械式駐車装置のリモコン装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載のリモコン装置と、
前記リモコン装置に対する操作に応じた制御状態を示す制御状態信号を送信する送信手段と、
を備える機械式駐車装置。
【請求項7】
前記リモコン装置は、ユーザ固有の認証情報を記憶し、
前記リモコン装置が所定の直近位置に接近した場合に、前記認証情報を受信して認証を行う操作盤を備える請求項6記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦を備えるリモコン装置を用いた機械式駐車装置の操作方法であって、
前記操作釦に対する操作に応じた前記機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を、前記機械式駐車装置が前記リモコン装置へ送信する第1工程と、
前記制御状態信号を前記リモコン装置が受信する第2工程と、
前記リモコン装置が前記制御状態信号に応じた所定の報知を報知手段によって行う第3工程と、
を有し、
前記機械式駐車装置の制御状態は、入庫予約又は出庫予約の完了の状態及び認証の成否に関する状態の少なくとも一つを含む機械式駐車装置の操作方法。
【請求項9】
機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦及び表示部を備えるリモコン装置を用いた機械式駐車装置の操作方法であって、
前記操作釦に対する操作に応じた前記機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を、前記機械式駐車装置が前記リモコン装置へ送信する送信工程と、
前記制御状態信号を前記リモコン装置が受信する受信工程と、
前記リモコン装置が前記制御状態信号に応じた所定の報知を報知手段によって行う報知工程と、
を有し、
前記報知工程は、前記制御状態信号に応じた表示を前記表示部に行い、新たな前記制御状態信号を受信するまで表示状態を維持させる機械式駐車装置の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置のリモコン装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが携帯する操作装置であるリモコン装置によって、起動や入出庫扉の開閉が可能とされる機械式駐車装置が開発され、普及しつつある。
【0003】
特許文献1には、機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される認証釦、起動釦、及び扉開釦、並びにこれらの釦が操作された場合に所定の表示を行う送信ランプが備えられたリモコン装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、入出庫扉が開放している状態で機械式駐車装置がリモコン装置に向けて扉開信号を送信し、ユーザが機械式駐車装置から一定距離を超えて離れ、リモコン装置が受信する扉開信号が弱く又は受信できなくなると、入出庫扉の閉め忘れと考えられる異常を検知することでアラームを発するリモコン装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−194043号公報
【特許文献2】特開2016−44445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているリモコン装置では、ユーザは釦操作を行ったことによる機械式駐車装置の制御状態の確認をリモコン装置自体で行えず、機械式駐車装置に設置された予約操作盤の表示、三色灯や入庫管制灯等の点灯状態によって確認していた。なお、機械式駐車装置の制御状態とは、入庫予約又は出庫予約の完了、認証の成否、入出庫扉の開閉、リフトの搬送等であり、ユーザが入庫又は出庫を行うために必要な機械式駐車装置の動作である。
【0007】
また、特許文献2に開示されているリモコン装置は、リモコン装置が機械式駐車装置から扉開信号を受信するものの、扉開信号は入出庫扉の閉め忘れ防止に用いられるものであり、入出庫扉を閉め忘れなければアラームが発せられることもない。このため、特許文献2に開示されているリモコン装置は、ユーザは釦操作を行ったことによる機械式駐車装置の制御状態の確認を行えない。
【0008】
すなわち、ユーザは、特許文献1,2に開示されているリモコン装置を用いた操作を行っても、機械式駐車装置の制御状態を確認するために、操作盤、三色灯又は入庫管制灯のような他の表示装置を逐次確認する必要があり、利便性が悪かった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リモコン装置を用いて機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる、機械式駐車装置のリモコン装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の操作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車装置のリモコン装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の操作方法は以下の手段を採用する。
【0011】
本発明の第一態様に係る機械式駐車装置のリモコン装置は、機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信する機械式駐車装置のリモコン装置であって、前記リモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦と、前記操作釦に対する操作に応じた前記機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された制御状態信号に応じた所定の報知を行う報知手段と、を備える。
【0012】
本構成に係るリモコン装置は、機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信するものであり、ユーザによって操作される操作ボタンを備え、操作釦に対する操作に応じた機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を受信し、受信した制御状態信号に応じた所定の報知を報知手段によって行う。機械式駐車装置の制御状態とは、入庫予約又は出庫予約の完了、認証の成否、入出庫扉の開閉、リフトの搬送等である。報知手段は、例えば、LED(Light Emitting Diode)やLCD(Liquid Crystal Display)、スピーカー、又は振動装置等であり、光、文字、音、又は振動によって報知する。
【0013】
従って、機械式駐車装置は、リモコン装置を用いてユーザによって操作が行われた場合に、制御状態をリモコン装置にフィードバックすることとなる。
【0014】
このように、ユーザはリモコン装置で行われる報知によって機械式駐車装置の制御状態を確認できるので、本構成に係るリモコン装置は、機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる。
【0015】
上記第一態様では、前記操作釦が、前記機械式駐車装置に対する操作をキャンセルするキャンセル釦を含んでもよい。
【0016】
本構成は、機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる。
【0017】
上記第一態様では、前記報知手段が、前記制御状態信号に応じた表示を行う表示部であり、新たな前記制御状態信号を受信するまで表示状態を維持してもよい。
【0018】
本構成によれば、リモコン装置の表示状態によって入出庫扉の閉め忘れ等をユーザが認識できるので、機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる。
【0019】
上記第一態様では、前記報知手段が、LEDであり、前記機械式駐車装置の制御状態に応じて、消灯、点滅、又は点灯してもよい。
【0020】
本構成は、機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる。
【0021】
上記第一態様では、前記報知手段が、ディスプレイ装置であり、前記機械式駐車装置の制御状態に応じて、メッセージを表示してもよい。
【0022】
本構成は、機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる。
【0023】
本発明の第二態様に係る機械式駐車装置は、上記記載のリモコン装置と、前記リモコン装置に対する操作に応じた制御状態を示す制御状態信号を送信する送信手段と、を備える。
【0024】
上記第二態様では、前記リモコン装置が、ユーザ固有の認証情報を記憶し、前記リモコン装置が所定の直近位置に接近した場合に、前記認証情報を受信して認証を行う操作盤
を備えてもよい。
【0025】
本発明の第三態様に係る機械式駐車装置の操作方法は、機械式駐車装置を制御するためのリモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦を備えるリモコン装置を用いた機械式駐車装置の操作方法であって、前記操作釦に対する操作に応じた前記機械式駐車装置の制御状態を示す制御状態信号を、前記機械式駐車装置が前記リモコン装置へ送信する第1工程と、前記制御状態信号を前記リモコン装置が受信する第2工程と、前記リモコン装置が前記制御状態信号に応じた所定の報知を報知手段によって行う第3工程と、を有する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、リモコン装置を用いて機械式駐車装置を操作するユーザの利便性をより高くできる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る機械式駐車装置の縦断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る乗入階、入出庫口、操作盤、主制御部等を示す斜視透視図である。
図3】本発明の実施形態に係る操作盤及び蓋の正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る蓋を開いた操作盤の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る入出庫口、操作盤、主制御部、リモコン信号受信部(アンテナ)等を示す縦断面図である。
図6】本発明の実施形態に係るリモコン装置の正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
図8】従来のリモコン装置を用いた入庫処理の流れを示すフローチャートである。
図9】従来のリモコン装置を用いた入庫処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係るリモコン装置を用いた入庫処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係るリモコン装置を用いた入庫処理の流れを示すフローチャートである。
図12】従来のリモコン装置を用いた出庫処理の流れを示すフローチャートである。
図13】従来のリモコン装置を用いた出庫処理の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の実施形態に係るリモコン装置を用いた出庫処理の流れを示すフローチャートである。
図15】本発明の実施形態に係るリモコン装置を用いた出庫処理の流れを示すフローチャートである。
図16】本発明の他の実施形態に係るリモコン装置の正面図である。
図17】本発明の他の実施形態に係るリモコン装置と操作盤との通信手段を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置のリモコン装置、機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の操作方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係るエレベータ式の機械式駐車装置1の縦断面図である。なお、本発明に係る機械式駐車装置は、以下に述べるエレベータ式の機械式駐車装置1に限らず、複数の駐車スペースに搬送機で駐車車両を入出庫させる機械式駐車装置であれば、他の様々な形式のものにも幅広く適用することができる。
また、本実施形態に係る機械式駐車装置1は、機械式駐車装置1を制御するためのリモコン信号を送信するリモコン装置を用いてユーザによって操作が可能とされている。
【0030】
図1に示すように、機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車搭3を備えている。駐車搭3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が開設されており、その外側上部に雨よけの庇5が設けられている。入出庫口4には上下スライド式の入出庫扉4aが設けられている。
【0031】
駐車搭3の地上階は図2にも示す乗入室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗入室7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。
【0032】
駐車搭3の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(エレベータ状の搬送機)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車搭3の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる4組のワイヤロープ15に四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0033】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両2を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0034】
リフト14と車両格納棚17の床面には、リフト14と車両格納棚17の床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18、または車両2が積載されたパレット18を、リフト14から車両格納棚17に、または車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0035】
車両2の入庫時は、まず空のパレット18が収容されている車両格納棚17から、リフト14によって空のパレット18が乗入室7に降ろされ、このパレット18に車両2が乗り上げて、そのままパレット18ごとターンテーブル8によって90°方向転回された後、リフト14で昇降通路13を上昇し、車両格納棚17に収容される。
【0036】
また、出庫時は、出庫する車両2が収容されている車両格納棚17の高さまでリフト14が上昇し、パレット18ごと出庫車両がリフト14に引き取られ、そのままパレット18はリフト14によって乗入室7に降ろされ、出庫車両が入出庫口4から出庫する。
【0037】
図2は、乗入室7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫口4に向かって左側に非常用出入口20があり、入出庫口4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、図1図2、及び図5に示すように、入出庫口4に向かって右側、且つ庇5の下に操作盤22(入出庫予約盤)が設けられている。
【0038】
操作盤22は、ユーザが各自で、ユーザ認証と、入出庫予約と、入出庫扉4aの開閉操作等を含む機械操作とを行う入力部であり、庇5の下に設置されることによって風雨から保護されている。さらに、操作盤22の上方の壁面等に、緑、黄、赤の3色を有する三色灯23が設置されている。
【0039】
乗入室7の内部には、中央部にパレット18が設置されるスペースがあり、入出庫口4の正面の壁には車両2の位置をドライバが確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の指示を行う電光式の停車位置指示灯25が設けられている。また、乗入室7の両側面の壁には、車両2の大きさや前後位置を検知するための人感・車両センサ26,27や、非常停止釦28等が設けられている。停車位置指示灯25は、人感・車両センサ26,27により検知される車両位置のデータに基づいて、車両2のドライバに車両位置の指示を行う。
【0040】
さらに、図1図2及び図5に示すように、乗入室7の内部等に、この機械式駐車装置1の全体の制御を行う主制御部(CPU)30が設置されている。主制御部30は、後述する制御装置60の主要部であり、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作(機械操作)を実行する装置である。主制御部30には操作盤22が接続されており、操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。
【0041】
図3に示すように、操作盤22は、手前側に開口する筐体33と、この筐体33の開口部を覆う開閉可能な蓋34とを備えている。筐体33の内部には、図4に示すように、例えばタッチパネル式の液晶画面である操作画面35(表示部35aと入力部35bとを備える)と、認証用のICカード又は図6に示すリモコン装置50からユーザ固有の認証情報(以下「認証ID」という。)を読み取る(ICカード)リーダ36と、非常停止釦37等とが配置されている。操作画面35を使用しない時には、蓋34を閉じることで操作画面35を外部から覆い、部外者の悪戯や風雨等から保護することができる。
【0042】
また、蓋34には、引き開けるための取手を兼ねると共に、蓋34を施錠するための施錠部38が設けられている。施錠部38は、蓋34が閉められると同時に施錠されるオートロック形式であるが、主制御部30からの解錠信号を受けると、図示しないソレノイド等の駆動機構によって解錠されるように構成されている。さらに、施錠部38は、蓋34の開閉状態を主制御部30に出力することができる。
【0043】
施錠部38は、そのキーシリンダ38aに、リモコン装置50に内蔵された専用の機械式キー58を差し込んで捻ることにより、手動で解錠及び施錠することができる。なお、リモコン装置50によって、主制御部30から解錠指令を出力させて自動解錠させてもよい。さらに、蓋34には、施錠部38の解錠時に緑色に点灯し、施錠時に赤色に点灯する施錠灯39と、非常停止釦40と、ディスプレイ画面41と、リモコン操作専用の3色(緑、黄、赤)を有する三色灯23(42)と、リモコン信号検知部43(赤外線リモコン信号の受信部)と、確認釦44と、扉閉釦45等が設置されている。
【0044】
また、例えば、筐体33の下面には、LF送信アンテナ46が設けられている。LF送信アンテナ46はリモコン装置50に対してLF信号SDを送信する。LF信号SDは、リモコン装置50に対して認証IDを問い合わせる指令信号である。
さらに、操作盤22にはRF送受信アンテナ48が設けられている。RF送受信アンテナ48は、例えば庇5の下部に設置されており、ユーザが所持しているリモコン装置50から送信される各種のリモコン信号SA,SB,SCを受信し、操作盤22に設けられた後述の操作盤制御部65に伝送するアンテナである。SAは認証ID、SBは機械操作信号、SCは電池残量警告信号である。
【0045】
また、RF送受信アンテナ48は、操作釦に対する操作に応じた機械式駐車装置1の制御状態を示す制御状態信号SEをリモコン装置50へ送信する。機械式駐車装置1の制御状態とは、入庫予約又は出庫予約の完了及び認証の成否等の各種情報処理、並びに入出庫扉4aの開閉及びリフト14の搬送等の機械動作等、ユーザが入庫又は出庫を行うために必要な機械式駐車装置1の動作である。
【0046】
操作盤22のLF送信アンテナ46がリモコン装置50との間で信号を送受信できる距離(検知範囲)は、例えば3m程度に設定されている。これにより、遠くに居る他のユーザのリモコン装置50との間で信号を無用に送受信してしまうことが防止されると共に、入出庫するユーザが車両2に乗車したままでも信号を送受信できる。
【0047】
また、図5に示すように、この機械式駐車装置1を利用するユーザには、認証IDを記憶されたリモコン装置50が貸与され、ユーザが機械式駐車装置1を利用する時に携帯することが求められる。このリモコン装置50は、例えばタグやキーホルダー状に形成され、車両2のキーと一緒に持ち歩いたり、鞄やバック等に入れたりして持ち運ぶものである。リモコン装置50は、電池70(釦型電池等)を内蔵されており(図7参照)、この電池70から電力を供給されて、後述するようにユーザ認証や操作盤22の遠隔操作等を行う各種のリモコン信号SA,SB,SCを送信することができる。
【0048】
図6は、リモコン装置50の正面図である。
【0049】
図6に示すように、リモコン装置50には、その本体ケース51の片面に、リモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦52として、認証釦52A、起動釦52B、扉開釦52C、及びキャンセル釦52Dが設けられる。操作釦の操作とは、本実施形態では釦を押圧(押下げ)することをいう。なお、図6に示される各釦の配置は一例であり、図6に示される配置に限定されるものではない。
【0050】
認証釦52Aは、ユーザを特定するリモコン信号(認証ID)を送信する場合に操作される。
起動釦52B及び扉開釦52Cは、機械式駐車装置1を制御するリモコン信号(機械操作信号)を送信する場合に操作される。具体的には、起動釦52Bは、パレット18を呼び出す場合に操作され、扉開釦52Cは、入出庫扉4aを開ける場合に操作される。
キャンセル釦52Dは、認証釦52A、起動釦52B、又は扉開釦52Cを押圧したことによる、機械式駐車装置1に対する操作をキャンセルするためのリモコン信号(キャンセル信号)を送信する場合に操作される。
【0051】
また、本実施形態に係るリモコン装置50には、操作釦が操作された場合にユーザに視認可能な位置にステータス表示部56が配置される。
【0052】
ステータス表示部56は、機械式駐車装置1の制御状態を報知する報知手段であり、機械式駐車装置1の制御状態を示す制御状態信号SEに応じた所定の報知(以下「制御状態報知」という。)として、ユーザの視覚で認識される表示を行う。
このように、ステータス表示部56を備える本実施形態に係るリモコン装置50は、機械式駐車装置1へ操作信号等を送信するだけでなく、機械式駐車装置1から制御状態が逐次フィードバックされ、それをユーザに報知する双方向のリモコン装置である。換言すると、制御状態信号とは、リモコン装置50を用いたユーザによる機械式駐車装置1の操作に対して、機械式駐車装置1から逐次送信されるフィードバック信号である。
これにより、ユーザは、自身が行った機械式駐車装置1に対する操作が実行されたか否かをリモコン装置50によって確認できる。
【0053】
本実施形態に係るステータス表示部56は、一例として、LEDであり、上記報知とはLEDの点灯である。より具体的には、ステータス表示部56は、予約LED56A、呼出LED56B、及び扉開LED56Cを有する。そして、予約LED56A、呼出LED56B、及び扉開LED56Cは、制御状態信号SEにより示される機械式駐車装置1の制御状態に応じて、消灯、点滅、又は点灯する。
【0054】
リモコン装置50には、操作盤22の蓋34の施錠を解錠可能な機械式キー58が、本体ケース51の端部に付属している。本実施形態に係る機械式キー58は、ステータス表示部56が配置されている本体ケース51側と同じ側の本体ケース51の端部に付属される。これにより、機械式キー58を触覚により認識することで、ユーザは暗い車内でもリモコン装置50の向きを把握できる。
また、機械式キー58は、例えば本体ケース51の内部に抜き差し可能に内蔵され、図示しないロック釦を押すことによって本体ケース51から抜き取ることができる。この機械式キー58を操作盤22のキーシリンダ38aに差し込んで捻ることにより、施錠部38の施錠を手動で解錠し、操作盤22の蓋34を開けることができる。
【0055】
図7は、この機械式駐車装置1の制御装置の全体概略構成を示すブロック図である。
制御装置60は、乗入室7の内部に設置された主要部である主制御部30と、操作盤22と、ユーザが携帯するリモコン装置50とを備えて構成されている。
【0056】
主制御部30には、データベース61、機械制御部62、施錠制御部63等が含まれている。データベース61には、機械式駐車装置1内の在車状況、各契約車両に対応するパレット形状、EV(電動車両)の充電の必要の有無、ユーザ登録情報等の各データが記憶されている。機械制御部62は、旋回駆動部11、リフト14、入出庫扉4a等の制御を行う。施錠制御部63は、操作盤22の蓋34の施錠状態、開閉状態を把握すると共に、蓋34の施錠部38を解錠させる解錠信号を発信する。
【0057】
操作盤22には、操作盤制御部65が内蔵され(図5も参照)、操作盤制御部65に、操作画面35を構成する表示部35a及び入力部35b、前述の非常停止釦37,40、施錠部38、キーシリンダ38a、LF送信アンテナ46、及びRF送受信アンテナ48等が接続されている。
【0058】
リモコン装置50には、リモコン制御部68が内蔵され、リモコン制御部68に、前述の認証釦52A、起動釦52B、扉開釦52C、及びステータス表示部56等が接続されている。また、リモコン装置50には電源となる電池70が交換可能に内蔵され、リモコン制御部68に電力を供給している。さらに、リモコン制御部68には、電池残量センサ71、RF送受信アンテナ72、及びLF受信アンテナ73等が接続されている。
【0059】
本実施形態に係るリモコン制御部68は、操作盤22から制御状態信号SEを受信した場合、制御状態信号SEに応じた制御状態報知を表示するようにステータス表示部56を制御する。
【0060】
また、リモコン制御部68は、制御状態信号SEを受信して制御状態信号SEに応じた表示をステータス表示部56に行わせた場合、新たな制御状態信号SEを受信するまで、ステータス表示部56の表示状態を維持させる。
【0061】
リモコン装置50のRF送受信アンテナ72は、操作盤22のRF送受信アンテナ48にリモコン信号SA,SB,SCを送信し、操作盤22のRF送受信アンテナ48から送信される制御状態信号SEを受信するアンテナである。
【0062】
また、LF受信アンテナ73は、操作盤22のLF送信アンテナ46から送信されるLF信号SD(認証IDの問い合わせ指令信号)を受信するアンテナである。リモコン装置50は、LF受信アンテナ73によってLF信号SDを受信すると、RF送受信アンテナ72によって認証IDを示すリモコン信号SAを送信する。
【0063】
また、電池残量センサ71は、電池70の残量(以下「電池残量」という。)を監視する、所謂AD変換機であり、電池70の電圧のアナログ値を検出してデジタル値に変換し、その結果をリモコン制御部68に随時入力するようになっている。
【0064】
図8,9を参照して、従来のリモコン装置を用いた入庫処理の流れを説明する。なお、従来のリモコン装置とは、本実施形態に係るリモコン装置50と同様の機能を有する認証釦、起動釦、及び扉開釦を備えるものの、ステータス表示部56は備えていない。このため、従来のリモコン装置は、制御状態報知を行えない。
また、以下の説明において、車両2が載置されていなパレット18を空パレットといい、車両2が載置されているパレット18を実パレットという。
【0065】
まず、車両2が乗入室7の前へ移動する(S200)。このとき、三色灯23は緑点灯し(S400)、操作盤22の操作画面35はユーザ認証画面を表示する(S600)。ユーザは、乗車したままでリモコン装置の認証釦を押す(S201)。
【0066】
ユーザ認証が成功すると、三色灯23は黄点灯し(S401)、操作画面35は入庫のために機械式駐車装置1を機械動作させるための入庫起動確認画面を表示する(S601)。黄点灯した三色灯23又は入庫起動確認画面を確認したユーザは、リモコン装置の起動釦を押す(S202)。また、操作盤22は入庫待ちの状態を示す入庫待確認画面を表示する(S602)。機械式駐車装置1は、入庫予約が完了するまで待ち状態となる(S700)。入庫予約が完了すると、三色灯23は赤、黄、緑同時点灯(例えば2秒)し(S402)、その後、緑点灯、黄点灯を繰り返す。そして、機械式駐車装置1は、機械動作として駐車搭3から空パレットを呼び出す(S701)。
【0067】
空パレットが乗入室7に到着すると(S702)、入庫管制灯21は青点滅する(S500)。ユーザは、入庫管制灯21の青点滅を確認すると、リモコン装置の扉開釦を押す(S203)。これにより、機械式駐車装置1は、機械動作として入出庫扉4aを開く(S703)。入出庫扉4aが完全に開かれると、入庫管制灯21は青点灯し(S501)、操作画面35はユーザに乗入室7への移動を促す入場案内画面を表示する(S603)。ユーザは、入庫管制灯21の青点灯又は入場案内画面を確認すると、車両2の入庫(乗入室7への移動)を行い(S204)、乗入室7内の空パレットに車両2を載置させると降車し(S300)、乗入室7から退出する(S301)。
【0068】
次に、ユーザは操作盤22の蓋34を開ける(S302)。これにより操作画面35は、ユーザ認証画面を表示する(S604)。ユーザ認証画面を確認したユーザは、リモコン装置の認証釦を押す(S303)。
【0069】
ユーザ認証が成功すると、操作画面35は、入出庫扉4aを閉める前の最終的な安全確認をユーザに促す安全確認画面を表示する(S605)。ユーザは、操作画面35に表示された安全確認画面を確認すると、乗入室7の安全を確認し、安全確認画面と共に表示されている安全確認釦を押す(S304)。安全確認釦が押されると、操作画面35は、入出庫扉4aを閉めるための扉閉画面を表示する(S606)。扉閉画面を確認したユーザが扉閉画面と共に表示されている扉閉釦を押すと(S305)、機械式駐車装置1は、機械動作として入出庫扉4aを閉める閉動作を行う(S704)。ユーザは、入出庫扉4aが完全に閉められたことを確認すると、操作盤22の蓋34を閉じて鍵を閉め(S306)、操作盤22から離れる(S307)。機械式駐車装置1は、入出庫扉4aの閉動作が完了すると、車両2を載置した実パレットをリフト14によって搬送して駐車搭3へ格納する(S705)。
【0070】
次に、図10,11を参照して、本実施形態に係るリモコン装置50を用いた入庫処理の流れを説明する。図10,11において、機械式駐車装置1からリモコン装置50へ向かう矢印線が、機械式駐車装置1からリモコン装置50へ送信される制御状態信号SEを模擬している。
なお、図10,11における図8,9と同一のステップについては図8,9と同一の符号を付して、その説明を一部省略する。
【0071】
まず、車両2が乗入室7の前へ移動する(S200)。このとき、三色灯23は緑点灯し(S400)、操作盤22の操作画面35はユーザ認証画面を表示する(S600)。ユーザは、乗車したままでリモコン装置50の認証釦52Aを押す(S100)。
【0072】
ユーザ認証が成功すると、三色灯23は黄点灯し(S401)、操作画面35は入庫起動確認画面を表示する(S601)。ユーザは、リモコン装置50の起動釦52Bを押す(S101)。また、リモコン装置50は予約LED56Aが点滅し(S102)、操作盤22は入庫待確認画面を表示し(S602)、機械式駐車装置1は待ち状態となる(S700)。
【0073】
入庫予約が完了すると、三色灯23は赤、黄、緑同時点灯し(S402)、その後、緑点灯、黄点灯を繰り返し、リモコン装置50の予約LED56Aが点灯する(S103)。そして、機械式駐車装置1は、機械動作として駐車搭3から空パレットを呼び出す(S701)。空パレットを呼び出す機械動作が行われると、リモコン装置50の呼出LED56Bが点滅する(S104)。
【0074】
空パレットが乗入室7に到着すると(S702)、入庫管制灯21は青点滅する(S500)。また、リモコン装置50の呼出LED56Bが点灯する(S105)。ユーザは、呼出LED56Bの点灯を確認すると、リモコン装置50の扉開釦を押す(S106)。これにより、リモコン装置50の扉開LED56Cは点滅を開始し(S107)、機械式駐車装置1は入出庫扉4aを開く(S703)。
【0075】
なお、S700からS702までの間は、キャンセル可能タイミングである。ユーザは、このキャンセル可能タイミングの間にリモコン装置50のキャンセル釦52Dを押した後に起動釦52Bを押すことで、入庫処理をキャンセルできる。
【0076】
入出庫扉4aが完全に開かれると、リモコン装置50の扉開LED56Cは点灯し(S108)、入庫管制灯21は青点灯し(S501)、操作画面35は入場案内画面を表示する(S603)。ユーザは、扉開LED56Cの点灯、入庫管制灯21の青点灯又は入場案内画面を確認すると、車両2の入庫を行った後に降車し、乗入室7から退出する(S204、S300、S301)。
【0077】
次に、ユーザは操作盤22の蓋34を開ける(S302)。これにより操作画面35は、ユーザ認証画面を表示する(S604)。ユーザ認証画面を確認したユーザは、リモコン装置50の認証釦52Aを押す(S109)。
【0078】
ユーザ認証が成功すると、操作画面35は、安全確認画面を表示する(S605)。ユーザは、操作画面35に表示された安全確認画面を確認すると、乗入室7の安全を確認し、安全確認釦を押す(S304)。安全確認釦が押されると、操作画面35は、扉閉画面を表示する(S606)。扉閉画面を確認したユーザが扉閉釦を押すと(S305)、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを閉める閉動作を行う(S704)。
【0079】
入出庫扉4aが完全に閉められると扉開LED56Cは消灯する(S110)。すなわち、ユーザが、入出庫扉4aを閉め忘れると、リモコン装置50の扉開LED56Cは点灯が維持されたままとなる。このため、ユーザは、機械式駐車装置1から離れても、リモコン装置50の表示状態を確認することで入出庫扉4aの閉め忘れの有無を認識できる。
【0080】
ユーザは、扉開LED56Cが消灯したことを確認すると、操作盤22の蓋34を閉じて鍵を閉め(S306)、操作盤22から離れる(S307)。機械式駐車装置1は、入出庫扉4aの閉動作が完了すると、実パレットを搬送して駐車搭3へ格納する(S705)。
【0081】
次に、図12,13を参照して、従来のリモコン装置を用いた出庫処理の流れを説明する。
【0082】
まず、ユーザは、乗入室7の前、すなわち操作盤22の前へ移動する(S350)。このとき、三色灯23は緑点灯し(S450)、操作盤22の操作画面35はユーザ認証画面を表示する(S650)。ユーザは、リモコン装置の認証釦を押す(S351)。
【0083】
ユーザ認証が成功すると、三色灯23は黄点灯し(S451)、操作画面35は出庫のために機械式駐車装置1を機械動作させるための出庫起動確認画面を表示する(S651)。黄点灯した三色灯23又は出庫起動確認画面を確認したユーザは、リモコン装置の起動釦を押す(S352)。これにより、操作盤22は出庫待ちの状態を示す出庫待確認画面を表示する(S652)。機械式駐車装置1は、出庫予約が完了するまで待ち状態となる(S750)。出庫予約が完了すると、三色灯23は赤、黄、緑同時点灯(例えば2秒)し(S452)、その後、緑点灯、黄点灯を繰り返し、機械式駐車装置1は、機械動作として駐車搭3からユーザの車両2が載置された実パレットを呼び出す(S751)。
【0084】
実パレットが乗入室7に到着すると(S752)、入庫管制灯21は赤点滅する(S550)。ユーザは、入庫管制灯21の赤点滅を確認すると、リモコン装置の扉開釦を押す(S353)。これにより、機械式駐車装置1は、機械動作として入出庫扉4aを開く(S753)。入出庫扉4aが完全に開かれると、入庫管制灯21は赤点灯し(S551)、操作画面35は入場案内画面を表示する(S653)。ユーザは、入庫管制灯21の赤点灯又は入場案内画面を確認すると、乗入室7へ移動し(S354)、乗入室7内の車両2に搭乗し(S355)、車両2を出庫させる(S250)。
【0085】
次に、ユーザは降車して操作盤22の前へ移動し(S356)、操作盤22の蓋34を開ける(S357)。これにより操作画面35は、ユーザ認証画面を表示する(S654)。ユーザ認証画面を確認したユーザは、リモコン装置の認証釦を押す(S358)。
【0086】
ユーザ認証が成功すると、操作画面35は、安全確認画面を表示する(S655)。ユーザは、操作画面35に表示された安全確認画面を確認すると、乗入室7の安全を確認し、安全確認釦を押す(S359)。安全確認釦が押されると、操作画面35は、扉閉画面を表示する(S656)。扉閉画面を確認したユーザが扉閉釦を押すと(S360)、機械式駐車装置1は、機械動作として入出庫扉4aを閉める閉動作を行う(S754)。ユーザは、入出庫扉4aが完全に閉められたことを確認すると、操作盤22の蓋34を閉じて鍵を閉め(S361)、操作盤22から離れる(S362)。機械式駐車装置1は、入出庫扉4aの閉動作が完了すると、空パレットをリフト14によって搬送して駐車搭3へ格納する(S755)。
【0087】
次に、図14,15を参照して、本実施形態に係るリモコン装置50を用いた出庫処理の流れを説明する。図14,15において、機械式駐車装置1からリモコン装置50へ向かう矢印線が、機械式駐車装置1からリモコン装置50へ送信される制御状態信号SEを模擬している。
なお、図14,15における図12,13と同一のステップについては図12,13と同一の符号を付して、その説明を一部省略する。
【0088】
まず、ユーザは、操作盤22の前へ移動する(S350)。このとき、三色灯23は緑点灯し(S450)、操作盤22の操作画面35はユーザ認証画面を表示する(S650)。ユーザは、リモコン装置50の認証釦52Aを押す(S150)。
【0089】
ユーザ認証が成功すると、三色灯23は黄点灯し(S451)、操作画面35は出庫起動確認画面を表示する(S651)。黄点灯した三色灯23又は出庫起動確認画面を確認したユーザは、リモコン装置50の起動釦を押す(S151)。これにより、リモコン装置50は予約LED56Aが点滅し(S152)、操作盤22は出庫待確認画面を表示し(S652)、機械式駐車装置1は待ち状態となる(S750)。
【0090】
出庫予約が完了すると、三色灯23は赤、黄、緑同時点灯し(S452)、その後、緑点灯、黄点灯を繰り返し、リモコン装置50の予約LED56Aが点灯する(S153)。そして、機械式駐車装置1は、機械動作として駐車搭3から実パレットを呼び出す(S751)。実パレットを呼び出す機械動作が行われると、リモコン装置50の呼出LED56Bが点滅する(S154)。
【0091】
実パレットが乗入室7に到着すると(S752)、入庫管制灯21は赤点滅する(S550)。また、リモコン装置50の呼出LED56Bが点灯する(S155)。ユーザは、呼出LED56Bの点灯を確認すると、リモコン装置50の扉開釦を押す(S156)。これにより、リモコン装置50の扉開LED56Cは点滅を開始し(S157)、機械式駐車装置1は入出庫扉4aを開く(S753)。
【0092】
なお、S750からS752までの間は、キャンセル可能タイミングである。ユーザは、このキャンセル可能タイミングの間にリモコン装置50のキャンセル釦52Dを押した後に起動釦52Bを押すことで、出庫処理をキャンセルできる。
【0093】
入出庫扉4aが完全に開かれると、リモコン装置50の扉開LED56Cは点灯し(S158)、入庫管制灯21は赤点灯し(S551)、操作画面35は入場案内画面を表示する(S653)。ユーザは、扉開LED56Cの点灯、入庫管制灯21の赤点灯又入場案内画面を確認すると、乗入室7へ移動し、車両2に搭乗して出庫させる(S354、S355、S250)。
【0094】
次に、ユーザは降車して操作盤22の前へ移動し(S356)、操作盤22の蓋34を開ける(S357)。これにより操作画面35は、ユーザ認証画面を表示する(S654)。ユーザ認証画面を確認したユーザは、リモコン装置50の認証釦52Aを押す(S159)。
【0095】
ユーザ認証が成功すると、操作画面35は、安全確認画面を表示する(S655)。ユーザは、操作画面35に表示された安全確認画面を確認すると、乗入室7の安全を確認し、安全確認釦を押す(S359)。安全確認釦が押されると、操作画面35は、扉閉画面を表示する(S656)。扉閉画面を確認したユーザが扉閉釦を押すと(S360)、機械式駐車装置1は、入出庫扉4aを閉める閉動作を行う(S754)。入出庫扉4aが完全に閉められると扉開LED56Cは消灯する(S160)。
【0096】
ユーザは、扉開LED56Cが消灯したことを確認すると、操作盤22の蓋34を閉じて鍵を閉め(S361)、操作盤22から離れる(S362)。機械式駐車装置1は、入出庫扉4aの閉動作が完了すると、空パレットを搬送して駐車搭3へ格納する(S755)。
【0097】
以上説明したように、本実施形態に係るリモコン装置50は、リモコン信号を送信するために、ユーザによって操作される操作釦52と、操作釦52に対する操作に応じた機械式駐車装置1の制御状態を示す制御状態信号SEを受信するRF送受信アンテナ72と、RF送受信アンテナ72によって受信された制御状態信号SEに応じた所定の報知を行うステータス表示部56と、を備える。
これにより、機械式駐車装置1は、リモコン装置50を用いてユーザによって操作が行われた場合に、制御状態をリモコン装置50にフィードバックすることとなる。
【0098】
従って、ユーザはリモコン装置50で行われる報知によって機械式駐車装置1の制御状態を確認できるので、リモコン装置50は、機械式駐車装置1を操作するユーザの利便性をより高くできる。
【0099】
以上、本発明を、上記実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
例えば、上記実施形態では、ステータス表示部56をLEDとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、図16に示されるようにリモコン装置50が備えるステータス表示部56をLCD等のメッセージを表示するディスプレイ56Dとする形態としてもよい。
【0101】
なお、ディスプレイ56Dに表示されるメッセージとして、以下のような例が挙げられる。
入庫予約メッセージとしては、“入庫予約中です”、“入庫予約が完了しました”、“入庫呼び出し中です”、“入庫パレットが到着しました”、“扉開釦を押してください”、“扉が開きました”、“同乗者を降ろして入庫してください”、等が例示される。
出庫予約メッセージとしては、“出庫予約中です”、“出庫予約が完了しました”、“出庫呼び出し中です”、“出庫パレットが到着しました”、“扉開釦を押してください”、“扉が開きました”、“ドライバ一人で、場内に入り、出庫してください”、等のガイダンスが例示される。
さらに、入庫誘導メッセージとしては、“前進してください”、“前進してください”、“右へ”、“左へ“、等のガイダンスが例示される。
入庫停止メッセージとしては、“サイドブレーキを引いてください”、“ドアミラーを畳んでください”、“アンテナを下げてください”、等のガイダンスが例示される。
入庫降車後メッセージとしては、“車内の無人を確認してください”、“場内の無人を確認してください”、等のガイダンスが例示される。
【0102】
また、制御状態報知を行う報知手段にスピーカーや振動装置を含め、ステータス表示部56と組み合わせてもよい。例えば、スピーカーは、リモコン装置50の正面又は背面に設けられ、上記メッセージ等を出力する。また、スピーカーはメッセージではなく、制御状態報知に応じたブザー音を出力してもよい。
振動装置は、リモコン装置50に内蔵され、制御状態報知に応じた振動を発生させる。
これにより、ユーザは、聴覚又は触覚によっても、機械式駐車装置1の制御状態を確認できる。
【0103】
また、上記実施形態では、リモコン装置50と操作盤22との信号の送受信をRF及びLFで行う形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではい。
【0104】
図17は、リモコン装置50と操作盤22との信号の送受信の他の実施形態を示す模式図である。なお、図17の例に示すユーザ認証は、リモコン装置50が所定の直近位置に接近した場合に、操作盤22が認証IDを受信して認証を行う、所謂、近接認証である。
【0105】
図17(A)に示す例では、リモコン装置50がトランスポンダ80を備え、操作盤22がトランスポンダリーダ82を備え、ユーザ認証を近接認証によって行う。
【0106】
リモコン装置50のトランスポンダ80は、認証IDを記憶しており、操作盤22のトランスポンダリーダ82に近接(タッチ)させた場合に、トランスポンダリーダ82から発信される電磁波EMWを受信することにより自ら励磁電力を発生させて起動し、認証IDを無電源認証信号に変換して操作盤22に送信する。
【0107】
図17(B)に示す例では、ICカードと同様に認証IDを記憶しているICカード機能部84をリモコン装置50が備え、ICカードリーダ36を操作盤22が備え、ユーザ認証を近接認証によって行う。
【0108】
図17(C)に示す例では、リモコン装置50と操作盤22とがWIFI(登録商標)等の無線通信88による通信が可能な通信部90,92を備え、リモコン信号SA,SB,SCを送受信する。
【0109】
図17(D)に示す例では、リモコン装置50と操作盤22とがインターネット93等の通信網による通信が可能な通信部94,96を備え、リモコン信号SA,SB,SCを送受信する。
【0110】
なお、図17(C),(D)の例では、スマートフォン等の携帯通信端末にリモコン装置50の機能を搭載し、携帯通信端末をリモコン装置50として使用してもよい。
【0111】
また、上記実施形態で説明した入庫処理及び出庫処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 機械式駐車装置
22 操作盤
50 リモコン装置
52 操作釦
56 ステータス表示部(報知手段)
72 RF送受信アンテナ(受信手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17