(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[15]慣例により、様々な説明される特徴は、原寸に比例して描かれず、例示的な実施形態に関連して特定の特徴を強調するように描かれる。
[16]以下の「発明を実施するための形態」では、本明細書の一部を形成し、そこで特定の例示的な実施形態の説明を通して示される、添付図面を参照する。しかしながら、その他の実施形態が使用されてもよく、論理的、機械的、及び電気的な変更がなされてもよいことを理解されたい。さらに、図面及び明細書に提示された方法は、個々のステップが行われ得る順序を限定すると解釈されるべきではない。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定的に捉えられるべきでははい。
【0012】
[17]本開示の実施形態は、長い基準受信機分離距離を使用して、過度遅延勾配を監視するためのシステム及び方法を提供する。本明細書に説明されるシステム及び方法は、累積搬送波データを使用して(搬送波位相の代わりに)、電離層勾配モニタ(IGM)測定値及び弁別子を生成する。その際に、システム及び方法は、累積搬送波測定値が、搬送波位相測定値のような搬送信号の角度位相によって制限されないことから、長基線基準受信機分離距離(例えば、300mを超える)を可能にする。さらに、短基線IGMの分離距離を超えて分離距離を延ばすことによって、本明細書に説明されるシステム及び方法は、より大きな電離層勾配規模の検出を可能にし、頻繁に起こる非電離層勾配に対する過敏性を緩和した。さらに、本明細書に説明されるシステム及び方法は、地上型システムに必要とされるモニタの個数を少なくすることができ、エフェメリス誤差又はエフェメリス勾配の検出用にIGM設計を適用することができる。
【0013】
[18]本明細書において使用される際、累積搬送波データという用語は、衛星信号の最初の捕捉以降に受信され、メートルに換算された、搬送波位相周期の累積から構成される、基準受信機/衛星ペアから受信された測定データを指す。「累積搬送波データ」という用語は、「搬送波距離(carrier range)」又は「搬送波距離誤差」と交換可能に使用される。
【0014】
[19]
図1は、電離層勾配モニタ(IGM)を使用する地上型システムの1つの例示的な実施形態のブロック図である。例示的な実施形態において、地上型システムは、地上型衛星航法補強システム(GBAS)用の地上局である。本明細書に説明される地上型システムは、空港着陸システム用であるが、本概念は、正確なGNSS情報を必要とする任意のシステムにおいて実装されることが可能であり、飛行機及び/又は飛行機用の地上型システム用に限定されるものではない。
【0015】
[20]
図1に示されるように、地上型システム100は、複数の基準受信機102及びプロセッサ110を含む。基準受信機102は、地上基準受信機である。理解されているように、各基準受信機102は、アンテナ装備の無線周波数受信機である。動作中、基準受信機102は、衛星から無線周波数信号を受信する。基準受信機102は、有線又は無線通信リンク106を通して、プロセッサ110に通信可能に結合される。
図1には4つの基準受信機が示されているが、地上型システム100の要件に応じて、地上型システム100はより多くの又はより少ない基準受信機を含むことができると理解されるべきである。具体的には、地上型システム100は、2つ以上の基準受信機を含み得る。
【0016】
[21]動作中、基準受信機102は、電離層勾配の検出を可能にするために、ペアに編成されるようになる。各基準受信機ペアは、2つの基準受信機102を含む。システム(例えば、システム100)が、4つの基準受信機102を含む場合、最高6つの基準受信機ペアが形成され得る。
図1に示された例示的な実施形態において、基準受信機ペアは、RR12、RR13、RR14、RR23、RR24及びRR34である可能性がある。各ペアにおける2つの基準受信機102は、基線(本明細書では、分離距離とも言われる)によって分けられる。RR1 102−1とRR2 102−2との間の基線は、基線104として示される。いくつかの実施形態において、地上型システム100は、短基線IGMを実装する。その他の実施形態において、地上型システム100は、長基線IGMを実装する。このような実施形態において、基準受信機102間の基線は、300mより長い。いくつかの実施形態において、基準受信機102間の基線は、1〜3kmの範囲であり得る。システム100の所望の性能に応じて、基線のその他の長さが使用され得ることを理解されたい。
【0017】
[22]プロセッサ110は、本明細書に説明される方法200、300、400で提供される機能において使用される、様々な方法、プロセスタスク、計算、及び制御機能を行うためのソフトウェアプログラム、ファームウェア又はその他のコンピュータ可読命令を含む、又はそれらで機能する。
【0018】
[23]これらの命令は、通常、コンピュータ可読命令又はデータ構造の記憶域用に使用される任意の適切なコンピュータ可読媒体に格納される。コンピュータ可読媒体は、汎用又は専用コンピュータ又はプロセッサによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、又は任意のプログラマブルロジックデバイスとして実装され得る。適切なプロセッサ可読媒体は、磁気媒体又は光媒体などの記憶域又はメモリ媒体を含み得る。例えば、記憶域又はメモリ媒体は、従来のハードディスク、コンパクトディスク−読み取り専用メモリ(CD−ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAMy)(それらに限定されるものではないが、シンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート(DDR)RAM、RAMBUSダイナミックRAM(RDRAM)、スタティックRAM(SRAM)などを含む)などの揮発性又は不揮発性媒体、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、及びフラッシュメモリなどを含み得る。適切なプロセッサ可読媒体は、ネットワーク及び/又は無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される、電気信号、電磁信号、又はデジタル信号などの、伝送媒体をさらに含み得る。
【0019】
[24]
図2は、本開示の一実施形態による、電離層勾配モニタ(IGM)を操作する例示的な方法である。上に説明されたこのような実施形態用の機能、構造、及びその他の説明は、方法200の同様の名称の要素に適用してもよく、またその逆も可能である。
【0020】
[25]方法は、複数の基準受信機において、衛星からの無線周波数(RF)信号を受信することで始まる(ブロック202)。例示的な実施形態において、信号は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)擬似距離コード及び搬送信号を含む。
【0021】
[26]方法は、新たに使用可能な衛星が、電離層勾配にあるか否かを決定することで続行する(ブロック204)。例示的な実施形態において、新たに使用可能な衛星は、上がっている衛星、除外から再入された衛星、又は同様のものを含む。電離層勾配に上がっている衛星とは、視界に上がっている衛星の見通し線が、電離層勾配の範囲内にある場合である。ステップ240は、衛星からのコード測定値を利用する初期化テストである。一実施形態において、基準受信機ペア毎に、この決定が並行して行われる。この初期化テストは、本明細書に述べられる搬送波距離技法の使用が有効であることを保証する。ステップ204での決定のさらなる詳細が、
図3に関連して本明細書に含まれる。
【0022】
[27]例示的な実施形態において、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かの決定は、地上型システムのその他のモニタ(例えば、コード搬送波間ダイバージェンス(CCD:Code Carrier Divergence)モニタなど)が、新たに使用可能な衛星が除外されることを示すか否かを決定することを含む。いくつかの実施形態において、その他のモニタは、
図3に関連して以下に説明される、方法300に含まれるステップを行う前に考慮される。このような実施形態において、その他のモニタが、新たに使用可能な衛星が除外されることを示す場合、方法300のステップは、その他のモニタが、新たに使用可能な衛星がもう除外されないことを示すまで、行われない。
【0023】
[28]新たに使用可能な衛星が、特定の基準受信機ペアに対する電離層勾配の範囲内にある場合、方法200は、その特定の基準受信機ペアに対して、ステップ204のプロセスを繰り返す。
【0024】
[29]新たに使用可能な衛星が、電離層勾配の範囲内にない場合、方法は、上で定義されたように、累積搬送波データを使用して、基準受信機ペアに対してモニタ測定値を決定することで続行する(ブロック206)。一実施形態において、それぞれの基準受信機ペアが、ステップ204の初期化テストに合格した時点で(すなわち、衛星の見通し線が、その基準受信機ペアに対する電離層勾配範囲内にない)、この決定が、基準受信機ペア毎に、並行して行われる。例示的な実施形態において、
図4に関連して本明細書に説明される方法400を使用して、モニタ測定値が決定される。
【0025】
[30]方法は、モニタ弁別子値を決定するのに十分なほど使用可能な測定値があるか否かを決定することで続行する(ブロック208)。「モニタ弁別子」、「勾配推定値」という用語は、本出願を通して交換可能に使用される。例示的な実施形態において、十分であると見なされるモニタ測定値の個数は、基準受信機ペアの総数に応じて変わってくる。6つの基準受信機ペアが形成される
図1の実施形態では、4つの基準受信機全てを含む、それぞれの基準受信機ペアからの少なくとも3つのモニタ測定値が必要とされる。その他の実施形態において、異なる総数のモニタ測定値が使用され得る。
【0026】
[31]使用可能な十分なモニタ測定値がある場合、方法は、選択された基準受信機ペアに対するモニタ測定値を結合して、モニタ弁別子を決定することで続行する(ブロック210)。例示的な実施形態において、モニタ測定値は、最小二乗推定量を使用して結合される。例えば、モニタ測定値は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,094,064号(‘064特許)において説明された最小二乗技法を使用して結合される。例示的な実施形態において、基準受信機ペアは、モニタ測定値のどの結合が、最小の電離層勾配推定値の結果をもたらすようになるかに基づいて、セレクタ機能で選択される。その他の実施形態において、基準受信機ペアは、モニタ測定値のどの結合が、最大の電離層勾配推定値の結果をもたらすようになるかに基づいて、セレクタ機能で選択される。その他の実施形態において、基準受信機ペアは、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2015/0219766号において説明された最小パリティ法(smallest parity method)を使用して、セレクタ機能で選択される。
【0027】
[32]方法は、モニタ弁別子が選択された閾値を下回るか否かを決定することで続行する(ブロック212)。モニタ弁別子が選択された閾値を下回る場合、方法は、衛星に対して電離層勾配が存在しないという表示を出力することで続行する(ブロック214)。
【0028】
[33]モニタ弁別子が選択された閾値を上回る場合、方法は、衛星に対して電離層勾配が存在するという警報を出力することで続行する(ブロック216)。例示的な実施形態において、衛星からの情報は、飛行機又はその他の車両への放送からは除外されるようになる。さらに、除外された衛星からの情報は、その他の監視又は計算用に使用され得ない。
【0029】
[34]
図3は、新たに使用可能な衛星が、電離層勾配範囲内にあるか否かを決定する例示的な方法300のフロー図である。方法300もまた、電離層勾配モニタ(IGM)用の例示的な初期化テストである。上で説明されたこのような実施形態用の機能、構造、及びその他の説明は、方法300の同様の名称の要素に適用してもよく、またその逆も可能である。例示的な実施形態において、方法300は、
図1に関連して上述されたプロセッサ110によって行われる。上述のように、方法300のステップは、基準受信機ペア毎に、並行して行われる。
【0030】
[35]方法300は、ある基準受信機ペアの基準受信機毎に、コード距離誤差を決定することで続行する(ブロック302)。例示的な実施形態において、新たに使用可能な衛星(例えば、上がっている衛星)に対して、その衛星が3度の仰角(elevation)を超えると、決定が始まる。例示的な実施形態において、特定の基準受信機に対するコード距離誤差(CRE:Code Range Error)が、以下の数式を使用して計算される:
数式1 CRE=(PR−TRUE_RANGE)
[36]PRは、擬似距離を使用した、衛星と基準受信機の間の算出された距離である。TRUE_RANGEは、エフェメリスデータ、及び基準受信機の既知の位置を使用した、衛星と基準受信機との間の算出された距離である。例示的な実施形態において、基準受信機毎にコード距離誤差を決定することは、補正を適用することをさらに含む。例えば、補正は、それらに限定されものではないが、位相中心調整、対流圏モデル、及びコードに基づく場所特定マスキング(code−based site−specific masking)を含み得る。
【0031】
[37]方法は、1ペアの基準受信機の基準受信機に対して、コード距離誤差をディファレンシング(データ間の差の計算)(differencing)することで続行する(ブロック304)。例示的な実施形態において、1ペアの基準受信機でのコード距離誤差間差(DCRE:Difference between the Code Range Error)は、以下の数式を使用して計算される:
【0033】
[38]例示的な実施形態において、ディファレンシングされたコード距離誤差にさらに補正が適用される。例えば、これらの補正は、相対的アンテナ誤差(例えば、球面調和関数)、相対的クロックバイアス、相対的エフェメリス不整合、又は同様のものから成ってもよい。
【0034】
[39]方法は、任意選択で、選択された期間で、ディファレンシングされたコード距離誤差値をフィルタ処理することで続行する(ブロック306)。例示的な実施形態において、フィルタ処理は、50秒の時間定数を使用して行われる。システムの所望の性能に応じて、その他の時間定数が、フィルタ処理の際に使用され得ることを理解されたい。
【0035】
[40]方法は、ディファレンシングされたコード距離誤差が収束したか否かを決定することで続行する(ブロック308)。例示的な実施形態において、この決定は、選択された期間を待つことを含む。ブロック306に関して上で説明されたように、任意選択のフィルタ処理が行われる場合、選択された期間は、フィルタ処理時間定数と特有の関係を有する。例示的な実施形態において、この決定に対して選択される期間は、フィルタ処理時間定数の2倍の長さである。ディファレンシングされた搬送波距離誤差の収束を決定する際のその他の時間長と、フィルタ処理と収束の決定との間のその他の比率が、システムの所望の性能に応じて使用され得ることを理解されたい。
【0036】
[41]ディファレンシングされたコード距離誤差が収束した場合、方法は、ディファレンシングされたコード距離誤差の絶対値が閾値を下回るか否かを決定することで続行する(ブロック310)。例示的な実施形態において、閾値は、約9.5cmである。この値は、IGMで経験された正常な雑音状態に対応する。この値はまた、GPS搬送波波長の約2分の1に対応する。システムの所望の性能に応じて、その他の閾値もまた、閾値用に使用され得ることを理解されたい。
【0037】
[42]ディファレンシングされたコード距離誤差の絶対値が閾値を下回る場合、方法は、電離層勾配がその基準受信機ペアに対して存在しないという表示を出力することで続行する(ブロック312)。例示的な実施形態において、表示は、論理値1を含む。電離層勾配がその基準受信機ペアに対して存在しないという表示を出力した時点で、その基準受信機ペアの搬送波距離誤差値が決定され得る。
【0038】
[43]ディファレンシングされたコード距離誤差の絶対値が閾値を下回らない場合、方法は、電離層勾配がその基準受信機ペアに対して存在するという表示を出力することで続行する(ブロック314)。例示的な実施形態において、表示は、論理値0を含む。いくつかの実施形態において、方法300は、電離層勾配がないことが決定されるまで、ブロック302〜310に関して上で説明されたプロセスを繰り返す。その他の実施形態において、電離層勾配が、選択された総数の基準受信機ペアに対して存在しないと決定された時点で、方法300は終了する。例えば、選択された総数は、システム100に対して2つ以上の基準受信機ペアであり得る。例示的な実施形態において、2つ以上の基準受信機ペアが、初期化テストに合格すると(例えば、ステップ312の完了)、2つ以上の基準受信機ペアは、
図4の方法400に関して以下で述べられるように、勾配推定値を生成するために使用される。このような実施形態において、勾配推定値が2つ以上の基準受信機ペア用の閾値を下回ると、全ての基準受信機ペアに対して電離層勾配が存在しないことが決定され、方法300は、全ての基準受信機ペアに対して終了する。
【0039】
[44]
図4は、本開示の一実施形態による、電離層勾配モニタ(IGM)に対してモニタ弁別子を決定する、例示的な方法400のフロー図である。上で説明されたこのような実施形態用の要素の機能、構造、及びその他の説明は、方法400の同様の名称の要素に適用してもよく、またその逆も可能である。例示的な実施形態において、方法400は、
図1に関して上述されたプロセッサ110によって行われる。
【0040】
[45]方法400は、ある基準受信機ペアの基準受信機毎に、搬送波距離誤差の変化を決定することで始まる(ブロック402)。例示的な実施形態において、特定の基準受信機に対する搬送波距離誤差の変化(CCRE:Change in Carrier Range Error)は、以下の数式を使用して計算される:
数式3 CCRE=((acc(t)−acc(t0))−(TRUE_RANGE(t)−TRUE_RANGE(t0))
[46]Acc(t)は、時間tにおける累積搬送波値であり、Acc(t0)は、初期累積搬送波値である。TRUE_RANGEは、エフェメリスデータと、基準受信機の既知の位置を使用した、衛星と基準受信機との間の計算された距離である。例示的な実施形態において、基準受信機毎の搬送波距離誤差の変化の決定は、補正を適用することをさらに含む。例えば、補正は、それらに限定されるものではないが、位相中心調整、対流圏モデル、及び搬送波に基づく場所特定マスキングを含み得る。
図3に関して説明された同様の名称の補正は、これらの補正と同一又は同様であり得る。その他の実施形態において、補正は、搬送波に基づく計算に特有のものである。
【0041】
[47]方法は、その基準受信機ペアの基準受信機に対して、搬送波距離誤差の変化をディファレンシングすることで続行する(ブロック404)。例示的な実施形態において、ディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化に、さらに補正が適用される。例えば、これらの補正は、相対的アンテナ誤差(例えば、球面調和関数)、相対的クロックバイアス、相対的エフェメリス不整合、又は同様のものから成ってもよい。いくつかの実施形態において、
図3に関して説明された同様の名称の補正が、これらの補正と同一又は同様であり得る。その他の実施形態において、補正は、搬送波に基づく計算に特有のものである。
【0042】
[48]ステップ402及び404と並行して、方法は、搬送波位相二重ディファレンシング技法(double differencing technique)を使用して、特定の基準受信機ペアに対して、初期搬送波距離誤差を決定することを含む(ブロック406)。例示的な実施形態において、搬送波位相二重ディファレンシング技法は、‘064特許において述べられたものと同様である。
【0043】
[49]方法は、その基準受信機ペアでのディファレンシングされた搬送波距離誤差と、搬送波位相二重ディファレンシング技法を使用して決定された初期搬送波距離誤差を合算することで続行する(ブロック408)。
【0044】
[50]方法は、任意選択で、選択された期間でモニタ測定値をフィルタ処理することで続行する(ブロック409)。例示的な実施形態において、モニタ測定値は、3秒の時間定数でフィルタ処理される。
【0045】
[51]方法は、モニタ測定値を出力することで続行する(ブロック410)。例示的な実施形態において、モニタ測定値は、
図2に関して上に説明されたセレクタ機能に出力される。
【0046】
[52]いくつかの実施形態において、方法400は、モニタ測定値での誤差を減らすためのフィードバックループをさらに含む。このような実施形態では、搬送波距離誤差は、搬送波位相二重ディファレンシング技法を使用して、絶えず決定される。フィードバックループは、搬送波位相二重ディファレンシング技法を使用して決定された搬送波距離誤差と、ディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化を比較することを含む。値が異なる場合、誤差信号が生成され、ディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化と合算される。いくつかの実施形態において、誤差信号は、経時平均され、それによって平均誤差信号がディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化と合算される。例示的な実施形態において、誤差信号はまた、一定の又は遅く変わる誤差に対する補正を含み得る。例えば、補正のいくつか(例えば、位相中心調整など)は、誤差信号で適用され得る。
【0047】
[53]上述のシステム及び方法は、対流圏勾配に対して、短基線IGMほど過敏ではない存続可能な(viable)長基線IGMを説明する。
図5は、推定勾配雑音対分離距離のグラフである。線502は、様々な分離距離における推定雑音勾配データの近似値を表す。
図5に示されるように、対流圏勾配雑音に対する過敏性は、(1/RR分離)の関数として、より大きな基準受信機分離によって軽減される。このように、例えば、基準受信機分離を300mから900mに移動させることは、対流圏勾配雑音に対する過敏性の約3分の2の軽減をもたらす。さらに、基準受信機間の累積搬送波データから計算されたディファレンシングされた搬送波距離誤差を使用することによって、長基線IGMは、より大きな電離層勾配を検出することができる。
【0048】
[54]上記のシステム及び方法は、電離層勾配を検出するとして説明されているが、システム及び方法はまた、エフェメリス勾配又はその他のエフェメリス誤差の検出用に使用され得る。エフェメリス勾配は、あるGBAS基準受信機の配列にわたるエフェメリスディファレンシャル距離誤差を意味する。上記システムは、ディファレンシャル距離を直接に測定する。具体的には、
図2〜4に関して上で説明されたように、IGMを実行している間、エフェメリスの破損(corruption)又は別のエフェメリスの問題はまた、IGMにその閾値を超えさせる可能性がある。
【0049】
[55]
図3に関して説明された初期化テストが、電離層勾配が存在しないことを決定し、しかし、モニタ弁別子が閾値を超えることが決定される場合、これは、エフェメリス誤差又は勾配が起こっていることを示す可能性がある。したがって、モニタ弁別子に対して適切な閾値を設定することによって、上述のIGM及び方法が、エフェメリス誤差又は勾配を検出するために使用され得る。例示的な実施形態において、エフェメリス誤差を検出する際の閾値が、電離層勾配を検出する際の閾値とは異なる可能性がある。
【0050】
[56]この方法においてエフェメリス誤差を特定することによって、システムは、ディフレンシャル距離誤差を間接的に測定する5つのモニタを必要としない。さらに、エフェメリス誤差が、GNSSのオペレーショナルコントロールセグメント(動作制御部分)によって補正されると、IGM衛星再入時間は、約1分であり、現在の技法の場合の再入で必要とされる約2日間より大幅に短い。
例示的な実施形態
[57]例1は、衛星信号を受信するように構成された複数の基準受信機と、メモリに結合されたプロセッサであって、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かを決定し、複数の基準受信機ペアの基準受信機ペア毎に、累積搬送波データを使用して、モニタ測定値を決定し、複数の基準受信機ペアのサブセットに対するモニタ測定値を結合して、モニタ弁別子にし、かつモニタ弁別子が閾値を超える場合に警報を出力するように構成されたプロセッサと、を備える地上型システムを含む。
【0051】
[58]例2は、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かを決定することが、新たに使用可能な衛星の見通し線が、電離層勾配及びエフェメリス勾配のうちの少なくとも1つの範囲内にあるか否かを決定することを含む、例1のシステムを含む。
【0052】
[59]例3は、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かを決定することが、コード搬送波間ダイバージェンス(CCD)モニタが、新たに使用可能な衛星が勾配範囲内にあることを示すか否かを決定することを含む、例1及び2のいずれかのシステムを含む。
【0053】
[60]例4は、複数の基準受信機が、4つの基準受信機を含む、例1から3のいずれかのシステムを含む。
[61]例5は、複数の基準受信機ペアのサブセットが、2つ以上の基準受信機ペアを含む、例4のシステムを含む。
【0054】
[62]例6は、2つ以上の基準受信機ペアが、3つの基準受信機ペアを含み、3つの基準受信機ペアが、全ての4つの基準受信機を集合的に含む、例5のシステムを含む。
[63]例7は、警報が、衛星に対して電離層勾配が存在することを示す、例1から6のいずれかのシステムを含む。
【0055】
[64]例8は、警報が、衛星に対してエフェメリス誤差が存在することを示す、例1から7のいずれかのシステムを含む。
[65]例9は、地上型システムが、地上型衛星航法補強システムである、例1から8のいずれかのシステムを含む。
【0056】
[66]例10は、電離層勾配モニタを操作する方法であって、複数の基準受信機において、新たに使用可能な衛星からの無線周波数信号を受信することと、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かを決定することと、複数の基準受信機ペアの基準受信機ペア毎に、累積搬送波データを使用して、モニタ測定値を決定することと、複数の基準受信機ペアのサブセットに対するモニタ測定値を結合して、モニタ弁別子にすることと、モニタ弁別子が第1の閾値を超える場合に、警報を出力することと、を含む、方法を含む。
【0057】
[67]例11は、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かを決定することが、基準受信機ペアの基準受信機毎に、コード距離誤差を決定することと、基準受信機ペアのコード距離誤差をディファレンシングすること、基準受信機ペアに対するディファレンシングされたコード距離誤差が収束したか否かを決定することと、ディファレンシングされたコード距離誤差の絶対値が第2の閾値を下回るか否かを決定することと、ディファレンシングされたコード距離誤差の絶対値が第2の閾値を下回る場合、その基準受信機ペアに対する勾配がないという表示を出力することと、ディファレンシングされたコード距離誤差の絶対値が第2の閾値を下回らない場合、その基準受信機ペアに対して勾配が存在するという表示を出力することと、を含む、例10の方法を含む。
【0058】
[68]例12は、基準受信機ペアの基準受信機毎のコード距離誤差、及びその基準受信機ペアのディファレンシングされたコード距離誤差のうちの少なくとも1つに補正を適用することをさらに含む、例10及び11のいずれかの方法を含む。
【0059】
[69]例13は、基準受信機ペアのディファレンシングされたコード距離誤差を、選択された時間定数でフィルタ処理することをさらに含み、基準受信機ペアに対するディファレンシングされたコード距離誤差が収束したか否かを決定することが、選択された時間定数の2倍の長さで待つことを含む、例10から12のいずれかの方法を含む。
【0060】
[70]例14は、複数の基準受信機ペアの基準受信機ペア毎に、累積搬送波データを使用して、モニタ測定値を決定することが、基準受信機ペアの基準受信機毎に、搬送波距離誤差の変化を決定することと、基準受信機ペアの基準受信機に対する搬送波距離誤差の変化をディファレンシングすることと、搬送波位相二重ディファレンシングを使用して、基準受信機ペアに対して、初期搬送波距離誤差を決定することと、ディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化と、搬送波位相二重ディファレンシングを使用した、基準受信機ペアに対する初期搬送波距離誤差を合算することと、を含む、例10から13のいずれかの方法を含む。
【0061】
[71]例15は、複数の基準受信機ペアの基準受信機ペア毎に、累積搬送波データを使用して、モニタ測定値を決定することが、フィードバック誤差信号を生成することと、フィードバック誤差信号と、ディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化を合算することと、をさらに含む、例14の方法を含む。
【0062】
[72]例16は、基準受信機ペアの基準受信機毎の搬送波距離誤差の変化、及びその基準受信機ペアに対するディファレンシングされた搬送波距離誤差の変化、のうちの少なくとも1つに補正を適用することをさらに含む、例14及び15のいずれかの方法を含む。
【0063】
[73]例17は、モニタ測定値のどの結合が、最小の勾配推定値の結果をもたらすようになるかに基づいて、複数の基準受信機ペアのサブセットを選択することをさらに含む、例10から16のいずれかの方法を含む。
【0064】
[74]例18は、モニタ測定値のどの結合が、最大の勾配推定値の結果をもたらすようになるかに基づいて、複数の基準受信機ペアのサブセットを選択することをさらに含む、例10から17のいずれかの方法を含む。
【0065】
[75]例19は、複数の基準受信機ペアのサブセットに対するモニタ測定値を結合して、モニタ弁別子にすることが、基準受信機ペアの2つ以上に対するモニタ測定値を結合することを含む、例10から19のいずれかの方法を含む。
【0066】
[76]例20は、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサに、新たに使用可能な衛星の見通し線が勾配範囲内にあるか否かを決定するステップと、複数の基準受信機ペアの基準受信機ペア毎に、累積搬送波データを使用して、モニタ測定値を決定するステップと、複数の基準受信機ペアのサブセットに対するモニタ測定値を結合して、モニタ弁別子にするステップと、モニタ弁別子が閾値を超える場合に、警報を出力するステップと、を行わせるプロセッサ実行可能命令が格納された、非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0067】
[77]特定の実施形態が、本明細書において図示され、説明されたが、同じ目的を達成すると判断されるいずれの構成も、示された特定の実施形態に代わるものであり得ることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本発明は、明らかに、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ制限されるものである。