(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源ユニット(100)、放熱体(200)、電気コネクタ(500)、電子制御ユニット(300)、および電子制御ユニット(300)の支持体(400)は、それぞれ、実質的に平行な複数の平面のうちの1つに沿って延在しており、特に、前記放熱体(200)、電源ユニット(100)、および電気コネクタ(500)は、上下に重なり合っている、請求項1に記載の電子装置。
前記電源ユニット(100)、前記電子制御ユニット(300)、および前記少なくとも1つの電気的接続部材(150)は、絶縁材料(A、B)内に埋め込まれており、前記電源ユニット(100)と前記電子制御ユニット(300)の支持体(400)との間に、前記少なくとも1つの電気的接続部材(150)を囲んで存在している前記少なくとも1つの空間には、絶縁材料(A、B)が存在していない、請求項1に記載の電子装置。
前記放熱体(200)の、前記電源ユニット(100)を支持している第1部分(202)と異なる第2部分(204)によって支持されているキャパシタバンクコネクタ(600)を、さらに備えている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子装置。
前記放熱体(200)の第1部分(202)は、絶縁材料(A)が充填されており、それによって、前記電源ユニット(100)は、該絶縁材料(A)内に埋め込まれている、請求項5に記載の電子装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述の欠点を克服するために、体積を最小限に抑えながら、内部で生成される熱を効果的に放熱することができる電子装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するために、本発明は、少なくとも次のものを備えている、自動車の電気機械に電力を供給するための電子装置を提供するものである。
− 電源ユニットと、
− 電源ユニットを支持している放熱体と、
− 電源ユニットを制御するように構成されている電子制御ユニットと、
− 電子制御ユニットを支持しており、電源ユニットと電子制御ユニットとの間に配置されている、電子制御ユニットの支持体と、
− 電気機械および/または電力供給源の少なくともいくつかの電気的要素に電気的に接続されている少なくとも1つの電源配線を有する電気コネクタであって、電源ユニットと電子制御ユニットの支持体との間に配置されており、電源ユニットおよび/または電子制御ユニットを、少なくとも1つの電源配線に電気的に接続するように構成されている電気コネクタ。
【0005】
電子装置内で、電子制御ユニットと電源ユニットとを空間的に分離することによって、電子制御ユニットおよび電源ユニットによって生成された熱を効果的に放出できることが、本発明の1つの利点である。
【0006】
さらに、このような電子装置においては、電子制御ユニットが電源ユニットから分離されており、したがって電源ユニットによって生成された熱の影響を受けず、そのために、電子制御ユニットの製造コストを低下させることが可能であり、電子装置の生産コストを低減させることができる。すなわち、このような電子装置においては、電子制御ユニットに対して、より低い耐熱性しか要せず、したがって、より低価格の部品を使用することができる。
【0007】
本発明による電子装置は、さらに、次の特徴の1つ以上を個別に、または可能な限り任意に組み合わせて備えている。
− 電源ユニット、放熱体、電気コネクタ、電子制御ユニット、および電子制御ユニットの支持体は、それぞれ、実質的に平行な複数の平面のうちの1つに沿って延在しており、特に、放熱体、電源ユニット、および電気コネクタは、上下に重なり合っている。
− 電気コネクタは、次のものを有している。
・ 電源ユニットを、電気機械の1つの相に電気的に接続するための第1電源配線と、
・ 電源ユニットおよび/または電子制御ユニットへの電力供給のために、電力供給源の正極に電気的に接続される第2電源配線と、
・ 電源ユニットおよび/または電子制御ユニットへの電力供給のために、電力供給源の負極または接地に電気的に接続される第3電源配線。
− 電子装置は、さらに、電源ユニットと電子制御ユニットとを電気的に接続している、少なくとも1つの電気的接続部材を備えており、少なくとも1つの空間が、電源ユニットと電子制御ユニットの支持体との間に、少なくとも1つの電気的接続部材を囲んで存在しており、電気コネクタは、少なくとも1つの電気的接続部材を囲んでいる空間に、少なくとも部分的に露出している。
− 電子装置は、放熱体の、電源ユニットを支持している第1部分とは異なる第2部分によって支持されているキャパシタバンクコネクタを、さらに備えている。
− 放熱体の第1部分には、絶縁材料が充填されており、それによって、電源ユニットは、この絶縁材料内に埋め込まれている。
− 電源ユニット、電子制御ユニット、および少なくとも1つの電気的接続部材は、絶縁材料内に埋め込まれており、電源ユニットと電子制御ユニットの支持体との間に、少なくとも1つの電気的接続部材を囲んで存在している少なくとも1つの空間には、絶縁材料が存在していない。
− 電子装置は、電子制御ユニットに対向して、保護カバーを配置されている。
− 電源ユニットは、少なくとも1つの電源モジュールを備えており、電子制御ユニットは、電子制御基板である。
【0008】
このような電子装置は、特に、電源ユニットと電子制御ユニットとの間に、絶縁材料のない空間を有するために、電源ユニットおよび電子制御ユニットによって生成された熱を効果的に放出することができるという利点を有している。
【0009】
さらに、このような電子装置においては、電源ユニット、電子制御ユニット、および電源ユニットと電子制御ユニットとを電気的に接続する電気的接続部材の絶縁に要する絶縁材料の量が減少するから、電子装置の生産コストが低下する。
【0010】
本発明は、さらに、本発明による電子装置を備えている、自動車に組み込むための電気機械を提供するものである。この電気機械は、例えばスタータ、スタータオルタネータ、または自動車に搭載される別の電気機械である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、以下の説明を読むことによって、本発明の他の特徴および利点が明らかになると思う。
【0013】
添付の図面は、以下の説明の理解を助けるために描かれているものであり、本発明の範囲を限定するものではないことに注意されたい。
【0014】
添付図面全体を通して、同様の要素には、同一の符号を付してある。
【0015】
本発明による電子装置は、回転電気機械などの、自動車の電気機械に電力を供給するための装置である。具体的には、
図6に、本発明の一実施形態による電子装置10を備える電気機械1を示してある。電子装置10は、電気機械1の筐体2に取り付けられる。より詳細には、電子装置10は、電気機械1の筐体2にねじ止めされる。しかしながら、電子装置10は、電気機械1の筐体2に取り付けられない場合もある。例えば、電子装置10は、電気機械1から独立した支持体に取り付けられる場合がある。電気機械1は、例えばスタータ、スタータオルタネータ、または自動車に搭載される別の機械である。
【0016】
このような電子装置は、特に電気機械1に電力を供給するように構成された、少なくとも1つの電源ユニット、および特にこの電源ユニットを制御するように構成された電子制御ユニットを備えている。
【0017】
電源ユニットは、例えば添付図面に示されているように、1つ以上の電源モジュールである場合がある。当然ながら、電源ユニットは、電源モジュールに限定されることはなく、電気機械に電力を供給するための、他の任意の電源要素であってもよい。
【0018】
同様に、以下の説明において、電子制御ユニットは、添付図面に示されているように、電子制御基板である。当然ながら、電子制御ユニットは、他の任意の電子制御要素であることもある。
【0019】
本発明の一実施形態による電子装置10が、
図1に詳細に示されている。電子装置10は、少なくとも1つ(この場合には3つ)の電源モジュール100、放熱体200、電子制御基板300、電子制御基板300の支持体400、および電気コネクタ500を備えている。
【0020】
放熱体200は、電源モジュール100を支持しており、電子制御基板300の支持体400は、電子制御基板300を支持している。電子制御基板300の支持体400は、電源モジュール100と電子制御基板300との間に配置されている。電気コネクタ500は、電源モジュール100と、電子制御基板300の支持体400との間に配置されている。
【0021】
電源モジュール100、放熱体200、電気コネクタ500、電子制御基板300、および電子制御基板300の支持体400は、それぞれ、実質的に平行な複数の平面の1つに沿って延在していることが好ましい。特に、電源モジュール100、放熱体200、および電気コネクタ500は、
図1に示すように、実質的に上下に重なり合っている。
【0022】
さらに、図示の実施形態のように、電子装置10は、キャパシタバンクコネクタ600、センサホルダー700、ブラシホルダー800、および保護カバー900を備えていることが好ましい。キャパシタバンクコネクタ600は、電子制御基板300と電源モジュール100との間に配置されており、したがって、電子制御基板300、キャパシタバンクコネクタ600、および電源モジュール100は、部分的に重なり合っていることが好ましい。保護カバー900は、電子制御基板300と対向するように配置されている。
【0023】
電子装置10の各要素について、以下に詳細に説明する。
【0024】
具体的に述べると、
図2には、電源ユニット(この場合には電源モジュール100)と放熱体200とを有するアセンブリを示してある。
【0025】
電源モジュール100は、上面112および下面114を有する平面基板110を備えている。下面114は、放熱体200に対向している。平面基板110は、電気絶縁材料(好ましくはプラスチック)で、少なくとも部分的に外側被覆された、少なくとも1本の電源配線を備えている。具体的には、電源モジュール100の平面基板110は、電気絶縁材料で少なくとも部分的に外側が被覆された、3本の電源配線102を備えている。電源配線は、導電性の配線、特に金属配線、例えば金属板、特に銅板である。電源配線は、特に、電気機械に流す電流に耐えるように構成されている。
【0026】
各電源配線102は、電源モジュール100の外部の電気的要素、例えば電気機械の電気的要素との電気的接続のために、少なくとも1つの部分において、電気絶縁材料で外側被覆されていない。例えば、第1電源配線は、電気機械の1つの相φに電気的に接続され、第2電源配線は、電力供給源の正極B
+に電気的に接続され、第3電源配線は、電力供給源の負極B
−または基準電位(例えば接地)に電気的に接続される。
【0027】
平面基板110の厚さは、例えば0.5〜5mmの範囲にあり、一般に、電源配線の厚さに依存する。電源配線の厚さは、例えば600〜2000μmの範囲にある。
【0028】
平面基板110の製造を容易にし、同時に電子装置の占める空間を少なくするために、平面基板110から、特に平面基板110の上面112から、側壁が突き出ていないことが好ましい。
【0029】
好適な一実施形態においては、平面基板110は、上側部分と下側部分とを有している。上側部分と下側部分とは、連続した同一物質で形成されていることが好ましい。具体的には、
図2に明確に示されているように、上側部分は、少なくとも1本の電源配線102を有しており、下側部分は、少なくとも1つの開口空洞126を有している。開口空洞126の底の少なくとも一部分は、電源配線の少なくとも一部分によって、少なくとも部分的に形成されていることが好ましい。電源配線102のオーバーモールド108は、少なくとも部分的に、開口空洞126の縁を形成している。具体的な例として、
図2に示すように、電源モジュール100は、2つの開口空洞126を有している。これらの開口空洞126によって、効果的な放熱が可能となっている。
【0030】
図2に示すように、電源モジュール100は、平面基板110の上面112上に、電源配線102の1つに電気的に接続されている、少なくとも1つの電子部品128が配置されている。
【0031】
さらに電源モジュール100は、電源モジュール100の電源配線が、電源モジュール100の外部の少なくとも1つの電気的要素(例えば電気コネクタ500)に電気的に接続されている、少なくとも1つの外部接続素子130を有している場合がある。外部接続素子130は、平面基板110の、電子部品128が配置されている面と同じ面に配置されている。外部接続素子130は、例えば「Z」字状に折り畳まれた、導電材料から成るタブを有している場合がある。このタブは、平面基板110、詳細には、電源配線に接している少なくとも1つの下側平面、および電源モジュール100の外部の電気的要素(例えば電気コネクタ500)に電気的に接続される上側平面を有している。
【0032】
平面基板110上への、外部接続素子130および電子部品128の実装は、電源モジュールの平面基板110の上面上に、はんだペーストを施した後、外部接続素子130および電子部品128を置くことによって行われることが好ましい(「SMC(表面実装コンタクト)」)。電源モジュール100を炉内に入れて、はんだペーストを溶融させるときに、電源モジュール100の平面基板110の電気絶縁材料が損傷しないように、電気絶縁材料は、高温プラスチック材料であることが好ましい。電源モジュール100のこのような製造方法を用いることによって、電源モジュール100の部品間、とりわけ電子部品128と外部接続素子130との間の接続数を減らすことができ、したがって、電源モジュールの製造方法および組み立て方法を単純化することができる。
【0033】
さらに、電子部品128および外部接続素子130を、平面基板110上に直接実装することによって、電子装置10の占める空間を小さくすることができる。
【0034】
詳細には、電子部品128および/または外部接続素子130は、電源配線102上に実装されている。したがって、電子部品128や外部接続素子130は、電源配線102に接している面を通じて、その電源配線102に電気的に接続されている。さらに、各電子部品128は、「ボンディングワイヤ」とも呼ばれる接続ワイヤを介して、他の電子部品128、またはその電子部品128が実装されている電源配線102以外の電源配線102に電気的に接続されている場合がある。
【0035】
上述の電源モジュール100は、放熱体200によって包囲されている。すなわち、放熱体200は、1つまたは複数の電源モジュール100を受容するための受容空洞を形成している第1部分202、および次に詳細に説明する第2部分204を有している。
【0036】
放熱体200は、特に接地取り出しおよび放熱のために、良好な熱伝導性および導電性を備えるように構成されている。第1部分202の底には、実質的に垂直に突き出た、少なくとも1つの、放熱体200の突出部206が存在する。電源モジュール100の各開口空洞126は、少なくとも1つの突出部206を受容するように構成されている。
【0037】
各突出部206は、熱伝導性で電気絶縁性である材料、例えば熱グリースで覆われている。各突出部206は、対応する、電源モジュール100の開口空洞126の底に接している。したがって、電源モジュール100は、少なくとも1つの突出部206によって物理的に支持されている。特に断らない限り、電源モジュール100は、放熱体200の突出部206に押し当てられており、電源モジュール100と、放熱体200の第1部分202の底の、突出部206以外の部分との間には、空間が存在している。したがって、電源モジュール100と突出部206との密着が確実になり、電源モジュール100の効果的な放熱が可能になっている。
【0038】
さらに、放熱体200の第1部分202は、電源モジュール100を、放熱体200上のあらかじめ定められた位置に位置決めするための位置決め部材210を有している場合がある。この位置決め部材210を用いることによって、放熱体200上への、電源モジュール100の正確かつ迅速な位置決めが、容易かつ確実になる。
【0039】
図5に明確に示されているように、電源モジュール100を絶縁材料A中に埋め込むために、放熱体200の第1部分202は、絶縁材料Aを充填されるように構成されていることが好ましい。絶縁材料Aは、絶縁性ゲル(例えばシリコーンゲル)、または絶縁性樹脂(例えばエポキシ樹脂)である場合がある。したがって。この構造によって、電源モジュール100の効果的な絶縁が実現される。
【0040】
電源モジュール100と冷却回路(図示せず)との間の熱交換を可能にして、電源モジュール100によって生成された熱を放出するために、電源モジュール100は、例えば放熱体200の第1部分202の底への密着によって、放熱体200に固定される。
【0041】
さらに、電子装置10は、電源モジュール100を電子制御基板に電気的に接続するように構成されている、少なくとも1つの電気的接続部材150を備えている。各電気的接続部材150は、
図2に示すように、対応する電源モジュール100の平面基板110上に配置されていることが好ましく、電子制御基板に電気的に接続される。
【0042】
電源モジュール100と電子制御基板の支持体との間に、各電気的接続部材150を囲んで、少なくとも1つの空間が存在することが好ましい。詳細には、電気コネクタ500が、この空間中に少なくとも部分的に露出している。特に断らない限り、電気コネクタ500は、電源モジュール100と電子制御基板の支持体との間で、電気的接続部材150を囲んでいる。より正確には、電気コネクタ500は、電気コネクタ500の上面側にも下面側にも、上述の空間の一部分が生じるように、電気的接続部材150を受容する構成になされている貫通オリフィス(次に詳述する)を有している。この空間は、空気循環を可能にするように構成されていることが好ましい。
【0043】
図3は、電子制御ユニット(本明細書においては、電子制御基板300)、およびこの電子制御基板300の支持体400を有するアセンブリを示している。詳細には、電子制御基板300は、支持体400に溶接されている。
【0044】
電子制御基板300の支持体400は、例えばプラスチックを成形した絶縁体であることが好ましい。支持体400は、開口空洞402を有しており、その底に、電子制御基板300を受容している。
【0045】
開口空洞402には、絶縁材料が充填され、電子制御基板300は、この絶縁材料中に埋め込まれている。例えば
図5に示すように、電子制御基板300は、絶縁材料B中に埋め込まれている。したがって、電子制御基板300は、効果的に絶縁されている。
【0046】
支持体400は、さらに、電子制御基板300と電源モジュール100とを電気的に接続するための各電気的接続部材150が挿入される、少なくとも1つの中空柱状体404を有している。中空柱状体404は、開口空洞402から突き出ており、その第1端部において、開口空洞402に通じている。詳細には、電子制御基板の支持体400は、複数の中空柱状体404を有している場合がある。各中空柱状体404は、それぞれ1つの電源モジュール100と、電子制御基板300とを電気的に接続するための電気的接続部材150を受容するように構成されている。
【0047】
電子制御基板300の支持体400は、中空柱状体404に絶縁材料を充填するためのチャネル406(充填部とも呼ばれる)を備えていることが好ましい。当然ながら、支持体400は、複数のチャネル406を備えている場合がある。各チャネル406は、それぞれ1つの中空柱状体404に通じている。例えば
図3において、電子制御基板の支持体400は、3つのチャネル406を有している。各チャネル406は、それぞれ1つの中空柱状体404への絶縁材料の充填に用いられる。
【0048】
チャネル406は、傾斜状の全体形状、例えば螺旋状の全体形状を呈していることが好ましい。チャネル406の一端は、開口空洞402の底に通じており、他端は、中空柱状体404の側壁に通じている。したがって、チャネル406は、中空柱状体404内への絶縁材料の、迅速かつ非常にスムーズな流入を可能にする。
【0049】
中空柱状体404は、具体的には電子制御基板300上への、すなわち開口空洞402内への絶縁材料の充填中に、チャネル406を介して絶縁材料Bを充填される。したがって、電気的接続部材150は、絶縁材料B中に埋め込まれる。チャネル406は、中空柱状体404への絶縁材料Bの確実な充填を可能にし、したがって、電気的接続部材150の効果的な電気絶縁の確実な遂行を可能にする。
【0050】
図5に示すように、中空柱状体404の第2端部は、電源モジュール100が埋め込まれている絶縁材料Aに接していることが好ましい。このような構成によって、中空柱状体404内への絶縁材料Bの完全な充填を確実にすることができ、したがって、ほこり、液体、気体や湿気に対する、電気的接続部材150の効果的な絶縁を確実にすることができる。したがって、絶縁材料Bは、電子制御基板300と電源モジュール100との相互接続領域において短絡の生じるいかなる危険性も排除することができる。
【0051】
詳細には、電子制御基板300と電源モジュール100とは、同じ絶縁材料で絶縁される場合も、異なる絶縁材料で絶縁される場合もあるが、同じ絶縁材料、特に同じ絶縁性ゲルで絶縁されることが好ましい。
【0052】
電源モジュール100の絶縁材料Aと、電子制御基板300の絶縁材料Bとの境界面は、
図5に示すように、中空柱状体404の第2端部に近接して、中空柱状体404の内側に位置している。
【0053】
電気的接続部材150を囲んで、より正確には、中空柱状体404を囲んで、電子制御基板300と電源モジュール100との間に存在する空間には、物体、具体的には絶縁材料が存在しない。物体、具体的には絶縁材料が存在しない空間は、特に、空気の循環、したがって対流による冷却のための自由空間を提供するという効果がある。さらに、このような構造によって、絶縁材料が節約されるため、電子装置の製造コストが低下する。物体が存在しないこの空間には、電気コネクタ500が、少なくとも部分的に露出している。
【0054】
さらに、チャネル406を介して、中空柱状体404内に絶縁材料Bを充填することを可能にするために、電子制御基板300は、チャネル406の、開口空洞402の底に通じている端に対向するように、オリフィス306を形成されていることが好ましい。
【0055】
電子制御基板300の支持体400は、少なくとも1つの別の放熱体412を有していることが好ましい。例えば
図3において、支持体400は、電子制御基板300によって生成された熱を放出するための、2つの放熱体412を有している。
【0056】
さらに、電子制御基板300を、支持体400上のあらかじめ定められた位置に位置決めするための位置決め部材408を、開口空洞402の底に設けてあることが好ましい。特に断らない限り、電子制御基板の支持体400上に配置されている位置決め部材408は、電子制御基板300上に配置されている相補的位置決め部材308と組み合う。例えば
図3には、6つの位置決め部材408が示されている。各位置決め部材408は、開口空洞402の底から、底に直角に突き出ている円柱形状の突起を有している。電子制御基板300の6つの相補的位置決め部材308は、位置決め部材408の形状および寸法と相補的な形状および寸法を有する断面(この場合には円形断面)を備えている、位置決め用のオリフィスであることが好ましい。これらの位置決め部材408は、電子制御基板300を、支持体400上に正確かつ迅速に位置決めすることを可能にし、したがって、電子制御基板300と電源モジュール100との効果的な電気的接続が可能となっている。
【0057】
さらに、少なくとも1つの電気的接続部材150を電子制御基板300に向かって案内するように構成されている、少なくとも1つの電気的接続部材150の案内部410が、開口空洞402の底の、中空柱状体404の第1端部の部分に設けられていることが好ましい。例えば
図3には、開口空洞402の底に、案内部410の3つのグループが設けられている。案内部410は、電源モジュール100と電子制御基板300との電気的接続のために、電気的接続部材150のセンタリングを行い、それによって、電源モジュール100と電子制御基板300とを正確に接続することを可能にする案内オリフィスを有している。
図5に示すように、電気的接続部材150の、より良好なセンタリングを可能にするために、案内オリフィスの、電源モジュール100に面する側の断面は、電子制御基板300に面する側の断面より大きいことが好ましい。
【0058】
特に
図4に明確に示してあるように、電子装置は、さらに、電気コネクタ500を備えている。電気コネクタ500は、馬蹄状の全体形状を有しており、その空洞部分に、電気機械のブラシホルダーを収容可能である(後に詳述する)。
【0059】
電気コネクタ500は、実質的に平板状であって、電気機械および/または電力供給源の少なくともいくつかの電気的要素に電気的に接続するための、少なくとも1つの電源配線を有していることが好ましい。さらに、電気コネクタ500は、電源ユニットおよび/または電子制御ユニットを、それらの少なくとも1つの電源配線に電気的に接続するように構成されている。
【0060】
例えば
図4に示す電気コネクタ500は、その面上に、3本の電源配線を少なくとも部分的に有している。例えば、第1電源配線は、電源モジュールを電気機械の1つの相φに電気的に接続するためのものであり、第2電源配線は、電源モジュールおよび/または電子制御基板への電力の供給のために、電力供給源の正極B
+に電気的に接続するためのものであり、第3電源配線は、電源モジュールおよび/または電子制御基板への電力の供給のために、電力供給源の負極B
−または接地に電気的に接続するためのものである。
【0061】
電源配線は、少なくとも部分的に、電気絶縁材料(例えばプラスチック)で被覆されている。電源配線のオーバーモールド508の一部を、
図4に示してある。
【0062】
第2電源配線と第3電源配線とは、電気コネクタ500の面と実質的に直交する方向において、少なくとも部分的に重なり合っていることが好ましい。特に断らない限り、第2電源配線と第3電源配線とは、電気コネクタ500の実質的に平坦な面上に、少なくとも部分的に上下に重なり合って形成されている。
【0063】
第2電源配線と第3電源配線とは、絶縁材料(一般的には、例えばプラスチックなどの電気絶縁材料)で分離されている。重なり合っている部分の第2電源配線と第3電源配線とを分離している絶縁材料の厚さは、2mm以下であり、特に1mm以下であることが好ましい。絶縁材料の厚さは、1〜100μmの範囲にあることが、より好ましい。
【0064】
さらに、各電源配線は、電源モジュールとの電気的接続をなすことができるように、オーバーモールドを施されていない、少なくとも1つの端子を有している。これらの端子は、電気コネクタ500の面に配置されており、電気絶縁材料の窓を通して接続可能となっていることが好ましい。
図4に示すように、第1電源配線は、2つの端子502を有し、第2電源配線は、3つの端子504を有し、第3電源配線は、6つの端子506を有している。端子502、504、506は、電源モジュールとの電気的接続を可能にする。第2電源配線と第3電源配線との重なり面積を最大にしながら、電気コネクタと電源モジュールとの電気的接続を可能にするために、第2電源配線と第3電源配線とは、端子領域を除いて完全に重ね合わされていることが好ましい。この構成により、電気コネクタの占める空間をさらに少なくすることができる。
【0065】
第2電源配線および第3電源配線は、さらに、それぞれに、電子制御基板との電気的接続のための、少なくとも1つの突起(ピンとも呼ばれる)を備えている場合がある。突起514、516が、電気コネクタ500の面から、電子制御基板に向かう方向に突き出ていることが好ましい。第2電源配線および第3電源配線の各々の突起は、それぞれ、第2電源配線および第3電源配線の端部に位置していることが好ましい。さらに、第2電源配線の突起514は、
図4に示すように、電子制御基板との接続を容易にするために、第3電源配線の突起516に隣接している場合がある。突起514、516は、例えば、実質的に電気コネクタ500の中心に、隣接し合って配置されている。第2電源配線および第3電源配線のオーバーモールド508は、第2電源配線の突起514および第3電源配線の突起516に物理的につながっていることが好ましい。第2電源配線および第3電源配線の突起514および516は、例えば金属から成っている。
【0066】
電気コネクタ500は、さらに、電子制御基板と電気コネクタ500との間で、突起514および516を囲んでいる密封剤518を有している場合がある。これによって、電子制御基板を絶縁材料で絶縁するときに、突起514および516の領域における、電気コネクタ500と電子制御基板との間の耐漏洩性を確保することができる。さらに、この密封剤518によって、絶縁材料Bが、突起514および516の周囲を流れることを防止することができる。
【0067】
さらに、
図4に示すように、電気コネクタ500は、少なくとも1つの電気的接続部材を受容するための、少なくとも1つの貫通オリフィス520を有している場合がある。貫通オリフィス520は、円筒状の全体形状を呈しており、電気コネクタ500の実質的に平面の部分から、電子制御基板に向かって、電気コネクタ500の平面の部分に実質的に直交する方向に突き出ている、少なくとも1つの側壁522を有していることが好ましい。側壁522は、電気的接続部材を物理的に保護できるという利点を有している。
【0068】
側壁522は、
図4に示すように、貫通オリフィス520の輪郭の少なくとも一部分に沿っていることが好ましい。側壁522は、2〜10mmの範囲の高さ、0.5〜3mmの範囲の厚さを有していることが好ましい。
【0069】
電気コネクタ500は、複数の貫通オリフィス520を有している場合がある。各貫通オリフィス520は、電子制御基板と各電源モジュールとを接続するための少なくとも1つの電気的接続部材を受容するように構成されている。例えば
図4において、電気コネクタ500は、3つの貫通オリフィス520を有している。各貫通オリフィス520は、それぞれ1つの側壁522を備えている。
【0070】
上述のように、本発明による電子装置10は、キャパシタバンクコネクタ600を有していることが好ましい。
【0071】
キャパシタバンクコネクタ600は、詳細には、電源モジュール100を支持している、放熱体200の第1部分202から分離された第2部分204(
図2を参照)によって支持されている。放熱体200の第1部分202と第2部分204とは、少なくとも1つの仕切り壁208によって互いに分離されている。仕切り壁208は、電源モジュール100を、放熱体200の第1部分202内に隔離することを可能にする。
【0072】
電気コネクタ500とキャパシタバンクコネクタ600とは、電源モジュール100への電力供給のために電気的に接続されている。キャパシタバンクコネクタ600は、馬蹄状の全体形状を呈している場合がある。キャパシタバンクコネクタ600と電気コネクタ500とは、電気機械のブラシホルダーを受容するためのオリフィスの輪郭を形成している。
【0073】
キャパシタバンクコネクタ600は、少なくとも、第4電源配線および第5電源配線を有している。第4電源配線は、例えば電力供給源の正極B
+に電気的に接続するためのものであり、第5電源配線は、電力供給源の負極B
−または接地に電気的に接続するためのものである。第4電源配線と第5電源配線とは、互いに分離されており、少なくとも部分的に、電気絶縁材料(例えばプラスチック)によって外側被覆されている。一例として、これらの電源配線のオーバーモールド608の一部分を、
図4に明確に示してある。
【0074】
電気コネクタ500の第2電源配線および第3電源配線と同様に、キャパシタバンクコネクタ600の第4電源配線および第5電源配線は、少なくとも部分的に重なり合っており、電気絶縁材料(例えばプラスチックなどの)によって分離されていることが好ましい。より正確には、第4電源配線および第5電源配線は、少なくとも部分的に、キャパシタバンクコネクタ600内で、上下方向に重ねて配置されている。例えば
図4において、第4電源配線と第5電源配線との少なくとも一部分は、電気コネクタ500の面と実質的に直交する方向に重なり合っている。
【0075】
さらに、第4電源配線および第5電源配線の各々は、電源モジュール100への電力供給のために、電源モジュール100および電気コネクタ500との電気的接続を行うことができるように、オーバーモールドが施されていない、少なくとも1つの端子を有している。
図4に示すように、第4電源配線は、少なくとも1つの端子604を備えており、第5電源配線は、少なくとも1つの端子606を備えている。
【0076】
キャパシタバンクコネクタ600の第4電源配線の端子604と、電気コネクタ500の第2電源配線の端子504とは、電気的に接続されるようになっており、キャパシタバンクコネクタ600の第5電源配線の端子606と、電気コネクタ500の第3電源配線の端子506とは、電気的に接続されるようになっていることが好ましい。
【0077】
さらに、キャパシタバンクコネクタ600は、少なくとも1つのリンクキャパシタ610を有する、少なくとも1つのキャパシタバンク614を備えている場合がある。例えば
図4に示すように、キャパシタバンクコネクタ600は、その馬蹄形状上に実質的に対称に配置されている2つのキャパシタバンク614を備えている。各キャパシタバンク614は、3つのリンクキャパシタ610を有している。キャパシタバンクコネクタ600は、これらの少なくとも1つのキャパシタバンク614を、電気コネクタ500に電気的に接続している。
【0078】
さらに、キャパシタバンクコネクタ600は、リンクキャパシタ610を流れる電流を測定するために強磁性コア、例えば
図4に示す磁気トーラス612を備えている場合がある。
【0079】
さらに、この実施形態においては、電子装置10は、センサホルダー700内に、少なくとも1つのセンサを配置されていることが好ましい。センサホルダー700は、電気絶縁材料(例えばプラスチック)から成っている。
【0080】
センサホルダー700は、電気機械のロータの回転速度および位置を測定するように構成されている複数のセンサ、例えば3つのホール効果センサを備えていることが好ましい。ホール効果センサは、電気機械のロータに配置されている磁気素子によって放出される磁界を検出するためのものであり、電子制御基板300に電気的に接続されるように構成されている。
【0081】
放熱体200は、センサホルダー700を受容するための貫通オリフィス212を有している場合がある。放熱体200の第1部分と第2部分とによって、貫通オリフィス212が画定されていることが好ましい。センサホルダー700は、放熱体200にねじ止めされていることが好ましい。
【0082】
さらに、電子装置10は、導電材料から成る少なくとも2つのブラシを、ブラシホルダー800内に配置されていることが好ましい。ブラシホルダー800は、電気絶縁材料(例えばプラスチック)から成っている。
【0083】
これらのブラシは、電気機械のロータに電力を供給するために、電力供給源の正極B
+および負極B
−に電気的に接続されている。ブラシホルダー800は、
図6に明確に示すように、例えば電気機械1のロータシャフト4が挿入される本体802を有している。
【0084】
ブラシは、電子装置と電気機械1のロータシャフト4との恒久的な電気的コンタクトを可能にする。この電気的コンタクトは、ブラシと、電気機械の軸のまわりに回転運動可能な、電気機械のロータシャフト4とが擦れ合うことによって行われる。
【0085】
ブラシホルダー800は、各ブラシの一端に、その一端がロータシャフト4に向かう方向に付勢される力を与えるばねを備えていることが好ましい。より正確には、このばねは、ブラシの摩耗を補償して、ブラシとロータシャフト4との永続的な電気的コンタクトを可能にするものである。
【0086】
放熱体200の貫通オリフィス212は、さらに、ブラシホルダー800も受容していることが好ましい。この構成によって、電子装置の占める空間を相当に小さくすることができる。
【0087】
ブラシホルダー800は、放熱体200にねじ止めされていることが好ましい。それによって、例えばブラシが摩耗したときに、迅速かつ簡単にそのブラシを取り出すことができる。
【0088】
本発明による電子装置10は、電子制御基板300の絶縁に役立てられる保護カバー900を備えていることが好ましい。保護カバー900は、電気絶縁材料(好ましくはプラスチック)から成り、電子制御基板300に電気的に接続するように構成されている、少なくとも1つの導電配線902(特に銅配線)を有している。導電配線902は、さらに、電子装置と、電気機械を組み込まれている自動車との電気的接続が可能になっている。したがって、保護カバー900は、電子装置の生産コストの低減を可能にし、自動車への電子装置の適応性を向上させ、自動車への電子装置の実装を容易にする。
【0089】
以上、自動車の電気機械に電力を供給するための、本発明による電子装置を、複数の電源モジュール、およびこれらの電源モジュールのための電子制御基板の範囲内で説明した。当然ながら、本発明は、本明細書において示され、説明されており、かつ単なる例示としてあげられている実施形態に限定されるものではない。反対に、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明による他の種類の電気装置も考えることができる。