(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術のような略矩形状の凹部支持タブでは、缶の上端部分又は下端部分における凹部の内周面と接触状態になる表面積が小さく、カートンの抜け落ち強度が低下し、カートン内部に収容された各缶がカートンから落下する可能性があった。
【0010】
また、従来技術のような略矩形状の凹部支持タブを有するブランクを缶等の被包装物に適用する場合に、カートンを缶にかぶせてから、凹部支持タブを缶の上端部分又は下端部分の凹部に押し込むので、包装工程において、凹部支持タブが缶の上端部分又は下端部分の凹部と係合状態になるのに時間がかかっていた。
【0011】
さらに、従来技術において、凹部支持タブと物品受容開口部との間に形成された、取り除かれるべき小片は、凹部支持タブの接続端部に向けて先細になっているくさび形状を有するため、打ち抜き加工する際にブランクに固着している可能性が高く、これらの小片を取り除くことが容易ではなかった。
【0012】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、缶から外れにくい包装体を作製することができるブランクを提供することであり、好ましくは、缶から外れにくいだけでなく、缶にブランクを容易に装着させることができ、且つブランクの作製を容易にするブランクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様としては、第1の壁と、少なくとも第1のパネル折曲線を介して前記第1の壁に接続された第2の壁と、を備えるブランクにおいて、
前記第1の壁は、物品を保持するための物品保持手段を有し、
前記物品保持手段は、前記物品の一部を受け入れる物品受容開口部と、前記物品受容開口部に向けて突出するように設けられた凹部支持タブと、を備えており、
前記凹部支持タブは、その基端部がタブ折曲線を介して前記第1の壁に接続されており、
前記凹部支持タブの基端部の幅(W2)が前記凹部支持タブの最大幅(W1)以下であることを特徴としている。
【0014】
上記のブランクによれば、前記凹部支持タブの少なくとも一側部と前記物品受容開口部の縁部との境界はスリットで形成されており、前記スリットは前記タブ折曲線の一端から前記凹部支持タブの自由端に向かって延びていることが好ましい。
【0015】
上記のブランクによれば、前記凹部支持タブの幅が前記最大幅を有する部分から前記基端部に向かって徐々に減少することが好ましい。
【0016】
上記のブランクによれば、前記一側部は前記物品受容開口部の前記縁部に当接していることが好ましい。
【0017】
上記のブランクによれば、前記スリットの前記第1の壁に隣接する側の端部は、前記タブ折曲線と前記第1のパネル折曲線との間に延在しており、前記スリットにより前記凹部支持タブの前記一側部が前記凹部支持タブの残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部となることが好ましい。
【0018】
上記のブランクによれば、前記耳部は、前記凹部支持タブに耳部折曲線を介して接続されていることが好ましい。
【0019】
上記のブランクによれば、前記スリットの前記端部は、前記タブ折曲線に向かって湾曲していることが好ましい。
【0020】
本発明の第二の態様としては、少なくとも一方の端部に凹部を有する略円筒形状の物品を収納するカートンであって、第1の壁と、少なくとも第1のパネル折曲線を介して前記第1の壁に接続された第2の壁と、を備え、
前記第1の壁は、前記物品を前記カートン内に保持するための物品保持手段を有し、
前記物品保持手段は、前記物品の一部を受け入れる物品受容開口部と、前記物品受容開口部に向けて突出するように設けられた凹部支持タブと、を備えており、
前記凹部支持タブは、その基端部がタブ折曲線を介して前記第1の壁に接続されており、
前記凹部支持タブの基端部の幅(W2)が前記凹部支持タブの最大幅(W1)以下であることを特徴としている。
【0021】
上記のカートンによれば、前記凹部支持タブの少なくとも一側部と前記物品受容開口部の縁部との境界はスリットで形成されており、前記スリットは前記タブ折曲線の一端から前記凹部支持タブの自由端に向かって延びていることが好ましい。
【0022】
上記のカートンによれば、前記凹部支持タブの幅が前記最大幅を有する部分から前記基端部に向かって徐々に減少することが好ましい。
【0023】
上記のカートンによれば、前記一側部は前記物品受容開口部の前記縁部に当接していることが好ましい。
【0024】
上記のカートンによれば、前記スリットの前記第1の壁に隣接する側の端部は、前記タブ折曲線と前記第1のパネル折曲線との間に延在しており、前記スリットにより前記凹部支持タブの前記一側部が前記凹部支持タブの残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部となることが好ましい。
【0025】
上記のカートンによれば、前記耳部は前記凹部支持タブに耳部折曲線を介して接続されていることが好ましい。
【0026】
上記のカートンによれば、前記スリットの前記端部は、前記タブ折曲線に向かって湾曲していることが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、前記凹部支持タブは、その基端部がタブ折曲線を介して前記第1の壁に接続されており、前記凹部支持タブの基端部の幅(W2)が前記凹部支持タブの最大幅(W1)以下であるので、缶等の被包装物の上端部分又は下端部分における凹部の内周壁と接触状態になる凹部支持タブの表面積が広くなり、カートン内部に被包装物を安定して保持することができるとの効果を奏する。
【0028】
また、本発明は、前記凹部支持タブは、その基端部がタブ折曲線を介して前記第1の壁に接続されており、前記凹部支持タブの基端部の幅(W2)が前記凹部支持タブの最大幅(W1)以下であるので、上記の形状を有するブランクを組み立てる際に第1の壁又は第2の壁を外側に一時的に折り曲げて、各凹部支持タブを各缶の上端部分又は下端部分における凹部の内側に位置させてから、その後第1の壁又は第2の壁を内側に折り曲げることで、凹部支持タブが、缶等の被包装物の包装工程中に、より迅速に、被包装物の上端部分又は下端部分における凹部の内周壁と係合状態になることができ、被包装物の迅速な包装を行うことができるとの効果を奏する。
【0029】
さらに、本発明は、前記凹部支持タブは、その基端部がタブ折曲線を介して前記第1の壁に接続されており、前記凹部支持タブの基端部の幅(W2)が前記凹部支持タブの最大幅(W1)以下であるので、凹部支持タブの一側部と物品受容開口部の縁部との間に、ブランクに固着する可能性がある、取り除かれるべき小片が発生せず、物品受容開口部を形成するためにブランクを打ち抜き加工する際に、物品受容開口部に対応する部分をブランクから容易に取り除くことができるとの効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第一実施形態]
以下、本発明に係るブランク及び当該ブランクから形成されたカートンの実施形態について
図1〜
図4を参照して説明する。
以下の説明において、方向を明確にするために、参照符号Xの方向を「第一方向」とし、その第一方向Xに直交する参照符号Yの方向を「第二方向」とする。
【0032】
図1は、第一実施形態に係るブランク100を示す平面図であり、
図2は、第一実施形態に係るブランク100の物品保持手段200の拡大図であり、
図3は、第一実施形態に係るブランク100をカートン300に組み立ている組立斜視図であり、
図4は、第一実施形態に係るブランク100から形成された、複数の缶170をその内部に配置した包装体304を示す斜視図である。
【0033】
図1に示すように、ブランク100は、全体として第一方向Xにおいて略矩形状を有しており、厚紙などから形成されている。第一方向Xにおけるブランク100の両端部を互いに接続させることにより、
図3及び
図4に示されるような筒状のカートン300を形成することができる。なお、ブランク100はまた、プラスチックなどの他の材料から形成されてもよい。
【0034】
図1に示すように、ブランク100は、第一方向Xにおける略中央部において、略矩形状の頂壁110を有している。第一方向Xにおける頂壁110の一方の側縁は、第1パネル折曲線130を介して第1の側壁112に接続されており、頂壁110の他方の側縁は、第2パネル折曲線132を介して第2の側壁114に接続されている。第一方向Xにおいて、頂壁110に接続されている側縁と反対側の第1の側壁112の他方の側縁は、第3パネル折曲線134を介して第1の底部傾斜部116に接続されている。また、頂壁110に接続されている側縁と反対側の第2の側壁114の他方の側縁は、第4パネル折曲線136を介して第2の底部傾斜部118に接続されている。さらに、第1の側壁112に接続されている側縁と反対側の第1の底部傾斜部116の他方の側縁は、第5パネル折曲線138を介して第1の底壁120に接続されており、第2の側壁114に接続されている側縁と反対側の第2の底部傾斜部118の他方の側縁は第6パネル折曲線140を介して第2の底壁122に接続されている。カートン300の底壁302はそれ故に、第1の底壁120及び第2の底壁122を接合することによって形成される。
【0035】
頂壁110の略中央部には、運搬用開口部を構成するための一対の第1折曲部分152であって、その一部が第1折曲線154を介して頂壁110に接続される一対の第1折曲部分152と、折曲線を介して第1折曲部分152のそれぞれに接続された第2折曲部分158とが設けられている。これらの第1折曲部分152及び折曲部分158をカートン300の内側に折り曲げながら、運搬用開口部内に使用者の指を挿入することによって、カートン300の内部に収容された複数の缶170を容易に運搬することができる。また、頂壁110には、第二方向Yにおいて一方の端縁から他方の端縁まで延在している一対の破断線156が設けられており、第1折曲部分152及び第2折曲部分158は、その一対の破断線156の間に設けられている。それによって、使用者は、一対の破断線156の間で一方の端縁を把持し、他方の端縁に向けて引っ張ることによって、頂壁110を破断させることができ、複数の缶170を取り出すために包装体304を容易に開封することができる。本実施形態において、第二方向Yにおける頂壁110の寸法は、3本の缶170を並列して配置した場合に3本の缶170の上端部分172を被覆することができる寸法に対応しており、第一方向Xにおける頂壁110の寸法は、2本の缶170を並列して配置することができる寸法に対応する。ここで、缶170は略円筒形状であり、円形状の上端部分172と、円形状の下端部分174と、上端部分172と下端部分174との間に延在している周壁176とを備えている。上端部分172には、缶170の内側に向けて窪んでいる略平坦な凹部178が形成されており、下端部分174には、缶170の内側に向けて窪んでいるドーム形状の凹部180が形成されている。なお、缶170は飲料用の缶であってもよく、又は、他の用途の用の缶、例えばガスボンベ缶であってもよい。
【0036】
第一方向Xにおける第1の側壁112及び第2の側壁114の寸法は、各缶170の高さ寸法と略同一である。また、第二方向Yにおける第1の側壁112及び第2の側壁114の寸法は、第二方向Yにおける頂壁110の寸法と略同一である。さらに、第1の側壁112と第1の底部傾斜部116との間の第3パネル折曲線134及び第2の側壁114と第2の底部傾斜部118との間の第4パネル折曲線136には、第二方向Yに対して垂直な方向(第一方向X)に、すなわち、第3パネル折曲線134及び第4パネル折曲線136に対して垂直な方向に延在している複数の第1スリット190が形成される。
【0037】
図1及び
図2に示されるように、第1の底部傾斜部116には、第1の底壁120から第1の側壁112に向けて延在し、且つ第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された3つの物品保持手段200が設けられており、第2の底部傾斜部118には、第2の底壁122から第2の側壁114に向けて延在し、且つ第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された3つの物品保持手段200が設けられている。これらの物品保持手段200は、各缶170の下端部分174の一部を受容する略矩形状の物品受容開口部202と、物品受容開口部202に向けて突出するように形成された凹部支持タブ204と、を備える。
【0038】
図1及び
図2に示されるように、物品受容開口部202は、第1の底部傾斜部116から第1の側壁112に向けて又は第2の底部傾斜部118から第2の側壁114に向けて延在しており、物品受容開口部202の幅は第一方向Xにおいて、つまり、第1の底部傾斜部116から第1の側壁112に向けて又は第2の底部傾斜部118から第2の側壁114に向けて、漸進的に増加するように形成される。さらに、第1の側壁112側又は第2の側壁114側の物品受容開口部202の縁部は、第1の側壁112又は第2の側壁114に向かって膨らむように円弧状に湾曲している。
【0039】
凹部支持タブ204は、タブ折曲線206を介して、第1の底壁120又は第2の底壁122に接続されている。タブ折曲線206は、第5パネル折曲線138又は第6パネル折曲線140上から延在し始めており、第5パネル折曲線138又は第6パネル折曲線140上で終端している。このようなタブ折曲線206は、物品受容開口部202と反対側に向かって膨らんでいるように円弧状に形成されている。また、物品受容開口部202側の凹部支持タブ204の自由端は、第二方向Yに対して平行であり、直線状に形成される。
【0040】
凹部支持タブ204の両側部(又は一側部)とそれらに隣接する物品受容開口部202の縁部との境界は、第2スリット208で形成されているが、凹部支持タブ204の両側部(又は一側部)と物品受容開口部202の縁部との間に実質的な隙間は無く、凹部支持タブ204の両側部(又は一側部)と物品受容開口部202の縁部とは互いに当接するように配置されている。この第2スリット208はタブ折曲線206の一端から凹部支持タブ204の自由端に向かって延びている。さらに、第1の底部傾斜部116の一部から形成された凹部支持タブ204の幅は、第一方向Xに沿って第1の底壁120から第1の側壁112に向かう方向に漸次増加するように形成されており、第2の底部傾斜部118の一部から形成された凹部支持タブ204の幅は、第一方向Xに沿って第2の底壁122から第2の側壁114に向かう方向に漸次増加するように形成される。つまり、第1の底壁120又は第2の底壁122に接続されている凹部支持タブ204の基端部は、幅W2を有しており、物品受容開口部202側の凹部支持タブ204の自由端は、最大幅W1を有している。そのため、凹部支持タブ204の基端部の幅W2は、凹部支持タブ204の最大幅W1以下であり、凹部支持タブ204は、凹部支持タブ204の幅が、最大幅W1を有する部分から凹部支持タブ204の基端部に向けて徐々に減少するように形成される。
【0041】
第1の底壁120又は第2の底壁122に隣接する側の第2スリット208の端部210は、タブ折曲線206に向かって湾曲して第5パネル折曲線138又は第6パネル折曲線140とタブ折曲線206とを分断する位置に延在している。このような端部210を持つ第2スリット208により凹部支持タブ204の両側部(又は一側部)が第1又は第2の底部傾斜部116、118および第1又は第2の底壁120、122の拘束から自由になる。これにより凹部支持タブ204の両側部は凹部支持タブ204の残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部212を形成する。これら耳部212は凹部支持タブ204の両側から第二方向外方に延びて、カートン300の組立時に凹部支持タブ204の残りの部分とともに缶170の下端部分174における凹部180の内周面に当接する。
図2における参照符号214は耳部折曲線である。耳部折曲線214は耳部212を凹部支持タブ204に対して折り曲げ自在に接続するものであって、たとえばスリット等により形成されてもよい。
【0042】
耳部折曲線214は、第5パネル折曲線138又は第6パネル折曲線140に対して略垂直な方向(つまり、第一方向X)に延在している。この耳部折曲線214の一方の端部は、前記第2スリット208の端部210に隣接して設けられている。
【0043】
さらに、凹部支持タブ204はまた、一対の折曲線216を備える。折曲線216は、凹部支持タブ204の両先端角部を略三角形状に折り曲げて缶170の下端部分174における凹部180の内周面の形状に沿わせることができるように、凹部支持タブ204の両先端角部に形成されている。折曲線216もたとえばスリット等により形成されてもよい。
【0044】
図1を参照すると、第2の底壁122には、第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された4つの「きのこ」形状の連結タブ230が設けられている。各連結タブ230は、切断線232によって形成されており、第2の底部傾斜部118側の連結タブ230の接続部分は第2折曲線234を介して第2の底壁122に接続されている。
【0045】
また、第1の底壁120には、第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された4つのタブ嵌合開口部236が設けられている。タブ嵌合開口部236は略矩形状であり、略「コ」字状の切断線により形成されている。タブ嵌合開口部236のそれぞれは、連結タブ230のそれぞれに対応する位置に設けられている。
【0046】
カートン300を形成するためにブランク100を組み立てる際に、各連結タブ230を各タブ嵌合開口部236に嵌合させることにより、第1の底壁120を第2の底壁124に接続させて、カートン300の底壁302を形成することができる。なお、第1の底壁120と第2の底壁122との接続手段については、本実施形態に限定されず、第1の底壁120及び第2の底壁122の端縁を接着材料などにより接着させてもよい。
【0047】
さらに、第一方向Xに沿って延在している頂壁110、第1の側壁112及び第2の側壁114、並びに第1の底壁120及び第2の底壁122の両端部には、凹部240がそれぞれ形成される。それにより、第一方向Xに延在しているブランク100の両端部に沿って、これらの凹部240の間に位置した凸部242がそれぞれ形成される。
【0048】
頂壁110と第1の側壁112又は第2の側壁114との間に亘って形成される凸部242は、カートン300の内部に複数の缶170を保持するための物品被覆手段244を構成する。各物品被覆手段244は、複数のスリットを有する第3折曲線246を介して第1の側壁112又は第2の側壁114に接続された折り返し片248と、ウェブ片252に向けて膨らんでいるスリットを有する第4折曲線250を介して折り返し片248に接続されたウェブ片252と、第1パネル折曲線130又は第2パネル折曲線132と同一直線上に位置した第5折曲線254を介してウェブ片252に接続された被覆片256であって、第6折曲線258を介して頂壁110に接続された被覆片256と、缶170の上端部分172の一部を受容する略ひし形形状の開口部260と、を備えている。
【0049】
ブランク100を組み立てる際に、第4折曲線250を谷折り(外側)に折り曲げて、第3折曲線246、第5折曲線254及び第6折曲線258を山折り(内側)に折り曲げることによって、物品被覆手段244は、カートン300の内部に収容された缶170の上端部分172及び周壁176の上部分を立体的に当接することができる。これにより、カートン300の内部に各缶170を安定して保持することができる。
【0050】
次に、
図1及び
図2に示されたブランク100をカートン300に組み立てる手順について説明する。
まず、ブランク100の頂壁110上に各缶を2列×3行に整列配置させる。次いで、ブランク100の第4折曲線250を谷折り(外側)に折り曲げて、第3折曲線246、第5折曲線254及び第6折曲線258を山折り(内側)に折り曲げ、それによって、各被覆片256及び各ウェブ片252の内面を各缶170の上端部分172及び周壁176の上部分に立体的に沿うように配置させる。また、ブランク100の第1パネル折曲線130及び第2パネル折曲線132を山折り(内側)に折り曲げて、各折り返し片248の内面を第1の側壁112又は第2の側壁114の内面に当接させるとともに、第1の側壁112及び第2の側壁114の内面を各缶170の周壁176に沿うように配置させる。
【0051】
次いで、第3パネル折曲線134及び第4パネル折曲線136を山折り(内側)に折り曲げて、第1の底部傾斜部116及び第2の底部傾斜部118を各缶170の下端部分174における傾斜部分に沿うように配置させる。
【0052】
その後、第1の底壁120及び第2の底壁122を外向きに開くように第5パネル折曲線138及び第6パネル折曲線140を谷折り(外側)に一時的に折り曲げて、各凹部支持タブ204をブランク100から突出した状態にさせる。突出した凹部支持タブ204のそれぞれを、各缶170の下端部分174における凹部180の縁部の内側に位置させる。その後、
図3に示されるように、第1の底壁120及び第2の底壁122を接合するために第5パネル折曲線138及び第6パネル折曲線140を山折り(内側)に折り曲げて、各凹部支持タブ204を各缶170の下端部分174における凹部180の内周面に係合させる。
【0053】
そして、第1の底壁120及び第2の底壁122を重ね合わせて、各連結タブ230を各タブ嵌合開口部236に嵌合させ、第1の底壁120及び第2の底壁122を接続することで、
図4に示されるように、カートン300の底壁302を構成し、各缶170の下端部分174を被覆する。
【0054】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態によれば、第1の底部傾斜部116の一部から形成された物品保持手段200の凹部支持タブ204の幅が、第一方向Xに沿って第1の底壁120から第1の側壁112に向かう方向において漸次増加するように形成されており、第2の底部傾斜部118の一部から形成された物品保持手段200の凹部支持タブ204の幅は、第一方向Xに沿って第2の底壁122から第2の側壁114に向かう方向において漸次増加するように形成される。つまり、第1の底壁120又は第2の底壁122に接続されている凹部支持タブ204の基端部は、幅W2を有しており、物品受容開口部202側の凹部支持タブ204の自由端は、最大幅W1を有している。そのため、凹部支持タブ204の基端部の幅W2は、凹部支持タブ204の最大幅W1以下であり、凹部支持タブ204は、凹部支持タブ204の幅が、最大幅W1を有する部分から凹部支持タブ204の基端部に向けて徐々に減少するように形成される。また、第1の底壁120又は第2の底壁122に隣接する側の第2スリット208の端部210は、タブ折曲線206に向かって湾曲して第5パネル折曲線138又は第6パネル折曲線140とタブ折曲線206とを分断する位置に延在している。このような端部210を持つ第2スリット208により凹部支持タブ204の両側部が第1又は第2の底部傾斜部116、118および第1又は第2の底壁120、122の拘束から自由になる。それによって、凹部支持タブ204は、凹部支持タブ204の残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部212であって、カートン300の組立時に缶170の下端部分174における凹部180の内周面に当接する、第二方向外方に延在している耳部212を備える。
そのため、缶170等の被包装物の下端部分174における凹部180の内周壁と当接状態(接触状態)になる、凹部支持タブ204の表面積が広くなり、カートン300の抜け落ち強度が高まり、カートン300の内部に缶170等の被包装物を安定して保持することができる。
【0055】
さらに、本実施形態によれば、タブ折曲線206に向かって湾曲している端部210を持つ第2スリット208により凹部支持タブ204の両側部が第1又は第2の底部傾斜部116、118および第1又は第2の底壁120、122の拘束から自由になり、凹部支持タブ204の両側部は凹部支持タブ204の残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部212を形成し、これらの耳部は凹部支持タブ204の両側から第二方向外方に延びて、カートン300の組立時に凹部支持タブ204の残りの部分とともに缶170の下端部分174における凹部180の内周面に当接するので、カートン300を組み立てる際に、第1の底壁120及び第2の底壁122を外側に一時的に折り曲げて、ブランク100から凹部支持タブ204を突出させて、凹部支持タブ204を各缶170の下端部分174における凹部180の内側に位置させ、その後第1の底壁120及び第2の底壁122を内側に折り曲げて、各凹部支持タブ204を各缶170の下端部分174における凹部180の内周面と係合させる。
そのため、凹部支持タブ204が、缶170等の被包装物の包装工程中に、より迅速に、缶170等の被包装物の下端部分174における凹部180の内周壁と係合状態になることができ、被包装物の迅速な包装を行うことができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、凹部支持タブ204の両側部(又は一側部)と物品受容開口部202の縁部との境界は、第2スリット208で形成されているが、凹部支持部タブ204の両側部(又は一側部)と物品受容開口部202の縁部との間に実質的な隙間はなく、凹部支持部タブ204の両側部(又は一側部)と物品受容開口部202の縁部とは互いに当接するように配置されている。
そのため、打ち抜き加工によりブランク100に物品受容開口部202を形成する際に、凹部支持タブ204の両側部と物品受容開口部202の縁部との間には、取り除くべき小片が生じず、物品受容開口部202に対応する部分をブランク100から容易に取り除くことができる。
【0057】
[第二実施形態]
ここから、本発明の第二実施形態に係るブランク500について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の特徴については説明を適宜省略する。
【0058】
図5には、第二実施形態に係るブランク500を示す平面図であり、
図6は、第二実施形態に係るブランク500の物品保持手段600の拡大図であり、
図6は、第二実施形態に係るブランク500をカートン700に組み立ている組立斜視図であり、
図7は、第二実施形態に係るブランク500から形成された、複数の缶170をその内部に配置した包装体704を示す斜視図である。
【0059】
図5に示されるように、ブランク500は、第一方向Xにおける略中央部において、略矩形状の底壁526を有している。第一方向Xにおいて、底壁526の一方の側縁は第5パネル折曲線538を介して第1の底部傾斜部522に接続されており、底壁526の他方の側縁は第6パネル折曲線540を介して第2の底部傾斜部524に接続されている。底壁526に接続されている側縁と反対側の第1の底部傾斜部522の他方の側縁は、第3パネル折曲線534を介して第1の側壁518に接続されている。また、底壁526に接続されている側縁と反対側の第2の底部傾斜部524の他方の側縁は、第4パネル折曲線536を介して第2の側壁520に接続されている。さらに、第1の底部傾斜部522に接続されている側縁と反対側の第1の側壁518の他方の側縁は第7パネル折曲線542を介して第1の上部傾斜部514に接続されており、第2の底部傾斜部524に接続されている側縁と反対側の第2の側壁520の他方の側縁は第8パネル折曲線544を介して第2の上部傾斜部516に接続されている。また、第1の側壁518に接続されている側縁と反対側の第1の上部傾斜部514の他方の側縁は第1パネル折曲線530を介して第1の頂壁510に接続されており、第2の側壁520に接続されている側縁と反対側の第2の上部傾斜部516の他方の側縁は第2パネル折曲線532を介して第2の頂壁512に接続されている。カートン700の頂壁702はそれ故に、第1の頂壁510及び第2の頂壁512を接合することによって形成される。
【0060】
第一方向Xにおける第1の頂壁510の寸法は、第一方向Xにおける第2の頂壁512の寸法より短く、カートン700の組立時に、第2の頂壁512が第1の頂壁510の外側に存在するように第2の頂壁512が第1の頂壁510に連結される。
【0061】
第1の頂壁510には、運搬用開口部550を構成するための一対の開口部558が形成されている。
一方、第一方向Xにおける第2の頂壁512の略中央部分には、運搬用開口部550を構成するための一対の折曲部分552が形成されている。折曲部分552の一方の部分は、第1折曲線554を介して第2の頂壁512に接続されており、折曲部分552の他方の部分は略U字形状の切断線556により第2の頂壁512から切断されている。折曲部分552の形状は開口部558の形状と略同一である。
【0062】
第1の頂壁510を第2の頂壁512と接合してカートン700の頂壁702を構成する際に、第1の頂壁510の開口部558は第2の頂壁512の折曲部分552と位置合わせされる。次いで、折曲部分552が開口部558を通じてカートン700の内部に延在するように第1折曲線554に関して折り曲げられて、運搬用開口部550を構成する。
【0063】
第一実施形態の第1の底壁120のタブ嵌合開口部236及び第2の底壁122の連結タブ230の代わりに、第二実施形態において、第2の上部傾斜部516が接続している側縁と反対側の第2の頂壁512の他方の側縁には、第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された2つの連結タブ630が設けられている。これらの連結タブ630は略「きのこ」形状である。また、連結タブ630は第一方向Xにおいて外側に向けて突出しており、第2折曲線634を介して第2の頂壁512に接続されている。第2の頂壁512に対する連結タブ630の接続部分には、第一方向Xに延在する一対の第5スリット632が設けられている。
【0064】
また、第1の頂壁510における第1の上部傾斜部514付近には、第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された2つのタブ嵌合開口部636が設けられている。各タブ嵌合開口部636は略矩形状であり、略「コ」字状の切断線638により形成されている。また、第6スリット640が、タブ嵌合開口部の各角部から第1の上部傾斜部514又は第2の上部傾斜部516に向けて第二方向外方に傾斜して延在している。タブ嵌合開口部636のそれぞれは、連結タブ630のそれぞれに対応する位置に設けられている。
【0065】
カートン700を形成するためにブランク500を組み立てる際に、各連結タブ630を各タブ嵌合開口部636に嵌合させることにより、第2の頂壁512を第1の頂壁510に接続させて、カートン700の頂壁702を形成することができる。なお、第1の頂壁510と第2の頂壁512との接続手段については、本実施形態に限定されず、第1の頂壁510及び第2の頂壁512の端縁を接着材料などにより接着させてもよい。
【0066】
図5及び
図6に示されるように、第一実施形態における第1の底部傾斜部116及び第2の底部傾斜部118における物品保持手段200の代わりに、第二実施形態における第1の上部傾斜部514には、第1の頂壁510から第1の側壁518に向けて延在する3つの物品保持手段600が設けられており、第2の上部傾斜部516には、第2の頂壁512から第2の側壁520に向けて延在する3つの物品保持手段600が設けられている。これらの物品保持手段600は、各缶170の上端部分172を受容する略三角形形状の物品受容開口部602と、物品受容開口部602に向けて突出するように形成された凹部支持タブ604と、を備える。
【0067】
図6に示されるように、物品受容開口部602は、第1の上部傾斜部514から第1の側壁518に向けて又は第2の上部傾斜部516から第2の側壁520に向けて延在しており、物品受容開口部602の幅は第一方向Xにおいて、第1の上部傾斜部514から第1の側壁518に向けて又は第2の上部傾斜部516から第2の側壁520に向けて、漸次減少するように形成される。
【0068】
凹部支持タブ604は、タブ折曲線606を介して、第1の頂壁510又は第2の頂壁512に接続されている。これらのタブ折曲線606は、第1パネル折曲線530又は第2パネル折曲線532上から延在し始めており、第1パネル折曲線530又は第2パネル折曲線532上で終端している。このタブ折曲線606は、物品受容開口部602と反対側に向けて膨らんでいるように円弧状に形成されている。
【0069】
さらに、第1の上部傾斜部514の一部から形成された凹部支持タブ604の幅は、第一方向Xに沿って第1の頂壁510から第1の側壁518に向かう方向において漸次増加するように形成されており、最大幅W1を得た後で、物品受容開口部602側の凹部支持タブ604の自由端に向けて漸次減少する。さらに、第2の上部傾斜部516の一部から形成された凹部支持タブ604の幅は、第一方向Xに沿って第2の頂壁512から第2の側壁520に向かう方向において漸次増加するように形成されており、最大幅W1を得た後で、物品受容開口部602側の凹部支持タブ604の自由端に向けて漸次減少する。つまり、第1の頂壁510又は第2の頂壁512に接続されている凹部支持タブ604の基端部は、幅W2を有しており、凹部支持タブ604は、その基端部と物品受容開口部602側の自由端との間に最大幅W1を有している。そのため、凹部支持タブ604の基端部の幅W2は、凹部支持タブ604の最大幅W1以下であり、凹部支持タブの基端部の幅W2は、物品受容開口部602側の凹部支持タブ604の自由端における幅以下である。さらに、凹部支持タブ604は、凹部支持タブ604の幅が、最大幅W1を有する部分から凹部支持タブ204の基端部に向けて徐々に減少するように形成される。また、凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)とそれらに隣接する物品受容開口部602の縁部との境界は、第2スリット608により形成されている。凹部支持タブ604の両側部と物品受容開口部602の縁部との間に実質的な隙間は無く、凹部支持タブ604の両側部と物品受容開口部602の縁部とは互いに当接するように配置される。この第2スリット608はタブ折曲線606の一端から凹部支持タブ604の自由端に向かって延びている。
【0070】
第1の頂壁510又は第2の頂壁512に隣接する側の第2スリット608の端部610は、タブ折曲線606に向かって湾曲して、第1パネル折曲線530又は第2パネル折曲線532とタブ折曲線606とを分断する位置に延在している。このような端部610を持つ第2スリット608により凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)が第1又は第2の上部傾斜部514、516および第1または第2の頂壁510、512の拘束から自由になる。これにより凹部支持タブ604の両側部は凹部支持タブ604の残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部612を形成する。これら耳部612は凹部支持タブ604の両側から第2方向外方に延びて、カートン700の組立時に凹部支持タブ604の残りの部分とともに缶170の上端部分172における凹部178の内周面に当接する。
【0071】
また、一対の耳部折曲線614は、耳部612を凹部支持タブ604の残りの部分に折り曲げ自在に接続する。耳部折曲線614は第1パネル折曲線530又は第2パネル折曲線532に対して略垂直な方向(つまり、第一方向X)に延在している。この耳部折曲線614の一方の端部は、スリット608の端部610に隣接して設けられている。この耳部折曲線614はスリット等により形成されてもよい。
【0072】
また、第二実施形態において、第1の底部傾斜部522には、第1の側壁518から底壁526に向けて延在しており、且つ第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された3つの第2の物品保持手段670が設けられており、第2の底部傾斜部524には、第2の側壁520から底壁526に向けて延在しており、且つ第二方向Yにおいて一定の間隔をあけて配置された3つの第2の物品保持手段670が設けられている。
【0073】
第2の物品保持手段670は、各缶170の下端部分174を受容するための、略矩形状の第2物品受容開口部672と、第2物品受容開口部672に向けて突出している保持タブ674が設けられている。
【0074】
底壁526側の第2物品受容開口部672の縁部は、第2物品受容開口部672に向けて突出している円弧状の縁部676であり、この円弧状の縁部676は、第5パネル折曲線538又は第6パネル折曲線540上から延在し始めており、第5パネル折曲線538又は第6パネル折曲線540上で終端している。円弧状の縁部676は、缶170の下端部分174における凹部180の内周面と係合する。
【0075】
第一方向Xにおいて底壁526から第1の側壁518又は第2の側壁520に向けて延在している第2物品受容開口部672の両縁部は、左右対称に形成された略「く」形状であり、第一方向Xにおいて延在している第2物品受容開口部672の両縁部間の間隔が第3パネル折曲線534又は第4パネル折曲線536上で最大になるようになっている。
【0076】
第1の側壁518側又は第2の側壁520側の第2物品受容開口部672の縁部には、略「C」字形状の保持タブ674が設けられており、第2物品受容開口部672側の保持タブ674の縁部は、第二方向Yに対して平行に形成されている。第1の側壁518又は第2の側壁520に対する保持タブ674の接続部分には、第二方向外方に傾斜して形成された第7スリット678が設けられている。
【0077】
第一実施形態における頂壁110の一対の破断線156の代わりに、第二実施形態における第1の側壁518には、包装体704を容易に開封するための、第二方向Yにおいて一方の端縁から他方の端縁まで互いに平行に延在している一対の破断線560が設けられている。なお、この一対の破断線560は第2の側壁に設けられてもよい。
【0078】
また、第一実施形態における頂壁110、第1の側壁112及び第2の側壁114、並びに第1の底壁120及び第2の底壁122の両端部における凹部240及び当該凹部240の間の凸部242の代わりに、第二実施形態においては、第一方向Xにおける第1の頂壁510及び第2の頂壁512、第1の上部傾斜部514及び第2の上部傾斜部516、第1の側壁518及び第2の側壁520、第1の底部傾斜部522及び第2の底部傾斜部524、並びに底壁526の両端部は、直線状に形成されている。
【0079】
次に、
図5及び
図6に示されたブランク500をカートン700に組み立てる手順について説明する。
まず、ブランク500の底壁526上に各缶170を2列×3行に整列配置される。この配置状態において、ブランク500の第5パネル折曲線538及び第6パネル折曲線540を山折り(内側)に折り曲げることで、各缶170の下端部分174の一部は、第2の物品保持手段670のそれぞれにおける第2物品受容開口部672内に受容されて、底壁526側の第2物品受容開口部672の縁部が各缶170の下端部分174における凹部180の内周面に係合する。
【0080】
次いで、ブランク500の第3パネル折曲線534及び第4パネル折曲線536を山折り(内側)に折り曲げて、第1の側壁518及び第2の側壁520の内面が各缶170の周壁176に沿うように配置させる。
【0081】
その後、ブランク500の第7パネル折曲線542及び第8パネル折曲線544を山折り(内側)に折り曲げて、第1の上部傾斜部514及び第2の上部傾斜部516の内壁が各缶170の上端部分172における傾斜部分に沿うように配置させる。
【0082】
次いで、第1の頂壁510及び第2の頂壁512を外向きに開くように第1パネル折曲線530及び第2パネル折曲線532を谷折り(外側)に一時的に折り曲げて、各物品保持手段600の凹部支持タブ604をブランク500から突出した状態にさせる。突出した凹部支持タブ604を、各缶170の上端部分172における凹部178の縁部の内側に位置させる。その後、
図7に示されるように、第1の頂壁510及び第2の頂壁512を接合させるために第1パネル折曲線530及び第2パネル折曲線532を山折り(内側)に折り曲げて、各凹部支持タブ604を各缶170の上端部分172における凹部178の内周面に係合させる。
【0083】
そして、第2の頂壁512の折曲部分552を第1の頂壁510の開口部558と位置合わさせるように第2の頂壁512を第1の頂壁510上に重ね合わせて、各連結タブ630を各タブ嵌合開口部636に嵌合させ、第1の頂壁510及び第2の頂壁512を接続することで、
図8に示されるように、カートン700の頂壁702を構成し、各缶170の上端部分172を被覆する。
【0084】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態によれば、第1の上部傾斜部514の一部から形成された物品保持手段600の凹部支持タブ604の幅が、第一方向Xに沿って第1の頂壁510から第1の側壁518に向かう方向において漸次増加するように形成されており最大幅W1を得た後で、物品受容開口部602側の凹部支持タブ604の自由端に向けて漸次減少する。さらに、第2の上部傾斜部516の一部から形成された物品保持手段600の凹部支持タブ604の幅は、第一方向Xに沿って第2の頂壁512から第2の側壁520に向かう方向において漸次増加するように形成されており、最大幅W1を得た後で、物品受容開口部602側の凹部支持タブ604の自由端に向けて漸次減少する。つまり、第1の頂壁510又は第2の頂壁512に接続されている凹部支持タブ604の基端部は、幅W2を有しており、凹部支持タブ604は、その基端部と物品受容開口部602側の自由端との間に最大幅W1を有している。そのため、凹部支持タブ604の基端部の幅W2は、凹部支持タブ604の最大幅W1以下であり、凹部支持タブの基端部の幅W2は、物品受容開口部602側の凹部支持タブ604の自由端における幅以下である。さらに、凹部支持タブ604は、凹部支持タブ604の幅が、最大幅W1を有する部分から凹部支持タブ204の基端部に向けて徐々に減少するように形成される。また、第1の頂壁510又は第2の頂壁512に隣接する側の第2スリット608の端部610は、タブ折曲線606に向かって湾曲して、第1パネル折曲線530又は第2パネル折曲線532とタブ折曲線606とを分断する位置に延在している。このような端部610を持つ第2スリット608により凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)が第1又は第2の上部傾斜部514、516および第1または第2の頂壁510、512の拘束から自由になる。それによって、凹部支持タブ604は、凹部支持タブ604の残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部612であって、カートン700の組立時に缶170の上端部分172における凹部178の内周面に当接する、第二方向外方に延在している耳部612を備える。
そのため、缶170等の被包装物の上端部分172における凹部178の内周壁と当接状態(接触状態)になる、凹部支持タブ604の表面積が広くなり、カートン700の抜け落ち強度が高められ、カートン700の内部に缶170等の被包装物を安定して保持することができる。
【0085】
さらに、本実施形態によれば、タブ折曲線606に向かって湾曲している端部610を持つ第2スリット608により凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)が第1又は第2の上部傾斜部514、516および第1または第2の頂壁510、512の拘束から自由になり、凹部支持タブ604の両側部は凹部支持タブ604の残りの部分に対して折り曲げ自在な耳部612を形成し、これら耳部612は凹部支持タブ604の両側から第2方向外方に延びて、カートン700の組立時に凹部支持タブ604の残りの部分とともに缶170の上端部分172における凹部178の内周面に当接するので、第1の頂壁510及び第2の頂壁512を外側に一時的に折り曲げて、ブランク500から凹部支持タブ604を突出させて、凹部支持タブ604を各缶170の上端部分172における凹部178の内側に位置させ、その後第1の頂壁510及び第2の頂壁512を内側に折り曲げて、各凹部支持タブ604を各缶170の上端部分172における凹部178の内周面と係合させる。
そのため、凹部支持タブ604が、缶170等の被包装物の包装工程中に、より迅速に、缶170等の被包装物の上端部分172における凹部178の内周壁と係合状態になることができ、被包装物の迅速な包装を行うことができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)と物品受容開口部602の縁部との境界は、第2スリット608により形成されているが、凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)と物品受容開口部602の縁部との間に実質的な隙間はなく、凹部支持タブ604の両側部(又は一側部)と物品受容開口部202との縁部とは互いに当接するように配置されている。
そのため、打ち抜き加工によりブランク500に物品受容開口部602を形成する際に、凹部支持タブ604の縁部と物品受容開口部602の縁部との間には取り除くべき小片が生じず、物品受容開口部602に対応する部分をブランク500から容易に取り除くことができる。
【0087】
以上、本発明に係るブランクの実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施形態では、2列×3行に整列された複数の缶170に装着されるカートン700を作製するためのブランクについて説明しているが、本発明は例えば1列×3行に整列された複数の缶又は2列×2行に整列された複数の缶に装着されるカートン700を作製するためのブランクであってもよい。
【0088】
また、上記した実施形態では、厚紙からなるブランクについて説明しているが、本発明は、厚紙以外の材料からなるブランクであってもよく、厚紙と同程度の可撓性を有する限り、材料は適宜変更可能である。
【0089】
さらに、上記した実施形態において、底部傾斜部を備えるブランク或いは底部傾斜部及び上部傾斜部を備えるブランクについて説明しているが、本願発明のブランクは傾斜部を備えていない構成であってもよい。そのような構成の場合には、頂部壁は側壁に直接的に接続されており、底部壁は側壁に直接的に接続されている。それ故に、物品保持手段は、第1の側壁及び第1の底壁に亘って又は第2の側壁及び第2の底壁に亘って設けられてもよく、或いは、第1の側壁及び頂壁に亘って又は第2の側壁及び頂壁に亘って設けられてもよい。第2の物品保持手段は第1の側壁及び底壁に亘って、又は第2の側壁及び底壁に亘って設けられてもよい。
【0090】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。