(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アレイ発光素子やアレイ受光素子など、複数の光素子が集積されるアレイ光素子では、アレイ光素子に含まれる複数の光素子のたとえ一つが規格条件を満たしていない場合、アレイ光素子自体が規格条件を満たさないこととなり、歩留り低下を招き、製造コストの上昇を招くこととなる。それに加えて、例えば、複数の光素子が同一の半導体基板上にモノリシックに集積されるアレイ光素子では、各光素子の活性層を別々の工程で形成するなど、製造コストの上昇を招くこととなる。
【0006】
低コスト化を優先させるならば、複数の光サブアセンブリが搭載される光モジュールが望ましい。ここで、複数の光サブアセンブリそれぞれは、互いに異なる波長の光信号を出射する/受光する1つの光変換素子を含んでいる。しかしながら、光モジュールに複数の光サブアセンブリを搭載するならば、そのための空間が必要となり、小型化が困難となる。
【0007】
小型化を実現するために、複数の光サブアセンブリを平面的にではなく立体的に配置させることが考えられる。その場合、空間の制約から、光サブアセンブリのうち一部をプリント回路基板の表面に配置される端子群に、それ以外を裏面に配置される端子群に、接続させることが望ましい。低コスト化を実現するために、複数の光サブアセンブリを共通するICで制御したい。そのためには、ICの端子群を特別な配列にするか、プリント回路基板の伝送線路を特別な構造にするか、光サブアセンブリとプリント回路基板とを接続するフレキシブル基板の伝送線路を特別な構造にするか、いずれかが必要であり、小型化と低コスト化を阻害する要因となる。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、簡便な構成で実現される複数の光サブアセンブリが搭載される光モジュール及び光伝送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る光モジュールは、第1の方向の正の向きに沿って順に並んで端面に配置される、第1正相リード端子及び第1逆相
リード端子を備える、第1光サブアセンブリと、前記第1の方向の正の向きに沿って順に並んで端面に配置される、第2正相リード端子及び第2逆相
リード端子を備える、第2光サブアセンブリと、互いに並行して延伸するよう表面に配置され、前記第1正相リード端子に接続される第1正相ストリップ導体、及び前記第1逆相リード端子に接続される第1逆相ストリップ導体と、裏面に配置される接地導体層と、を備える、第1フレキシブル基板と、互いに並行して延伸するよう表面に配置され、前記第2正相リード端子に接続される第2正相ストリップ導体、及び前記第2逆相リード端子に接続される第2逆相ストリップ導体と、裏面に配置される接地導体層と、を備える、第2フレキシブル基板と、第1の面及び第2の面を有する、プリント回路基板と、前記プリント回路基板の、前記第1の面又は前記第2の面のいずれか一方の面に搭載され、前記第1光サブアセンブリ及び前記第2光サブアセンブリにともに電気的に接続される、ICと、を備える、光モジュールであって、前記第1光サブアセンブリの前記端面に、前記第1フレキシブル基板の前記裏面が対向するよう、前記第1フレキシブル基板が前記第1光サブアセンブリに接続され、前記第2光サブアセンブリの前記端面に、前記第2フレキシブル基板の前記裏面が対向するよう、前記第2フレキシブル基板が前記第2光サブアセンブリに接続され、前記第1光サブアセンブリの
前記端面との接続部分において、前記第1フレキシブル基板の前記第1正相ストリップ導体及び前記第1逆相ストリップ導体は、前記第1の方向に交差する第2の方向の正の向きに沿って延伸し、前記第2光サブアセンブリの
前記端面との接続部分において、前記第2フレキシブル基板の前記第2正相ストリップ導体及び前記第2逆相ストリップ導体は、前記第2の方向の負の向きに沿って延伸する。
【0010】
(2)上記(1)に記載の光モジュールであって、前記プリント回路基板の前記第1の面の法線方向及び前記第2の面の法線方向は、ともに前記第2の方向に沿っており、前記プリント回路基板は、前記第1の方向の正の向きに沿って順に並んで前記第1の面に配置される、前記第1正相ストリップ導体に接続される第1正相基板端子、及び前記第1逆相ストリップ導体に接続される第1逆相基板端子、を備え、前記プリント回路基板は、前記第1の方向の正の向きに沿って順に並んで前記第2の面に配置される、前記第2正相ストリップ導体に接続される第2正相基板端子、及び前記第2逆相ストリップ導体に接続される第2逆相基板端子、を備えていてもよい。
【0011】
(3)上記(2)に記載の光モジュールであって、前記プリント回路基板の前記第1の面は前記第2の面より、前記第2の方向の正側にあり、前記第1フレキシブル基板は、前記表面が前記第1の面に対向するよう接続され、前記第2フレキシブル基板は、前記表面が前記第2の面に対向するよう接続されていてもよい。
【0012】
(4)上記(2)に記載の光モジュールであって、前記プリント回路基板の前記第1の面は前記第2の面より、前記第2の方向の負側にあり、前記第1フレキシブル基板は、前記裏面が前記第1の面に対向するよう接続され、前記第2フレキシブル基板は、前記裏面が前記第2の面に対向するよう接続されていてもよい。
【0013】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1光サブアセンブリと前記第2光サブアセンブリとは、前記第2の方向に沿って並んで配置されていてもよい。
【0014】
(6)上記(3)に記載の光モジュールであって、前記第1光サブアセンブリと前記第2光サブアセンブリとは、前記第2の方向の負の向きに沿って順に並んで配置されていてもよい。
【0015】
(7)上記(4)に記載の光モジュールであって、前記第1光サブアセンブリと前記第2光サブアセンブリとは、前記第2の方向の正の向きに沿って順に並んで配置されていてもよい。
【0016】
(8)上記(5)に記載の光モジュールであって、前記プリント回路基板は、前記第1正相基板端子及び前記第1逆相基板端子に接続される第1差動伝送線路と、前記第2正相基板端子及び前記第2逆相基板端子に接続される第2差動伝送線路と、を、さらに備え、前記ICは、第3の方向の正の向きに順に並んで配置される、第1正相IC端子及び第1逆相IC端子と、前記第3の方向の正の向きに順に並んで配置される、第2正相IC端子及び第2逆相IC端子と、を備え、前記ICは、前記プリント回路基板の前記第1の面に搭載され、前記第1差動伝送線路は、前記第1正相基板端子及び前記第1逆相基板端子から、前記第1の面を延伸して、前記第1正相IC端子及び前記第1逆相IC端子に接続され、前記第2差動伝送線路は、前記第2正相基板端子及び前記第2逆相基板端子から、前記第2の面を延伸し、前記第2の面から前記第1の面へ積層方向に沿って延伸し、さらに、前記第1の面を延伸して、前記第2正相IC端子及び前記第2逆相IC端子に接続されていてもよい。
【0017】
(9)上記(8)に記載の光モジュールであって、前記第3の方向の正の向きは、前記第1の方向の正の向きであってもよい。
【0018】
(10)上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1フレキシブル基板及び前記第2フレキシブル基板は、共通の構造を有していてもよい。
【0019】
(11)上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1光サブアセンブリ及び前記第2光サブアセンブリそれぞれは、互いに異なる波長の光信号を出射する発光素子を備えるとともに、前記発光素子以外については、共通の構造を有していてもよい。
【0020】
(12)本発明に係る光伝送装置は、上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の光モジュールが搭載されていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、簡便な構成で実現される複数の光サブアセンブリが搭載される光モジュール及び光伝送装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置1及び光モジュール2の構成を示す模式図である。光伝送装置1は、プリント回路基板11と、IC12と、を備えている。光伝送装置1に、複数の光モジュール2が、電気コネクタ5によりそれぞれ搭載されている。光伝送装置1は、例えば、大容量のルータやスイッチである。光伝送装置1は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。光伝送装置1は、光モジュール2より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、プリント回路基板11に搭載されるIC12などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、該当する光モジュール2へそのデータを伝達する。
【0025】
光モジュール2は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバであり、プリント回路基板21と、フレキシブル基板22A,22Bと、電気信号を光信号に変換して光ファイバ3Aへ送信する光送信器部23Aと、光ファイバ3Bを介して受信する光信号を電気信号に変換する光受信器部23Bと、を備えている。プリント回路基板21と、光送信器部23A及び光受信器部23Bとは、それぞれフレキシブル基板22A,22Bを介して接続されている。プリント回路基板21より電気信号がフレキシブル基板22Aを介して光送信器部23Aへ伝送され、光受信器部23Bより電気信号がフレキシブル基板22Bを介してプリント回路基板21へ伝送される。光変換素子は、光信号又は電気信号のうち一方から他方へ変換する素子である。電気信号を光信号へ変換する光変換素子が発光素子であり、光信号を電気信号へ変換する光変換素子が受光素子である。光送信器部23Aは、1又は複数(ここでは、4個)の発光素子を含み、光受信器部23Bは1又は複数(ここでは4個)の受光素子を含んでいる。
【0026】
当該実施形態に係る伝送システムは、2個以上の光伝送装置1と2個以上の光モジュール2と、1個以上の光ファイバ3を含む。各光伝送装置1に、1個以上の光モジュール2が搭載される。2個の光伝送装置1にそれぞれ搭載される光モジュール2の間を、光ファイバ3(例えば、光ファイバ3A)が接続している。一方の光伝送装置1が生成した送信用のデータが搭載される光モジュール2によって光信号に変換され、かかる光信号を光ファイバ3へ送信される。光ファイバ3上を伝送する光信号は、他方の光伝送装置1に搭載される光モジュール2によって受信され、光モジュール2が光信号を電気信号へ変換し、信用のデータとして当該他方の光伝送装置1へ伝送する。
【0027】
当該実施形態に係る光伝送装置1及び光モジュール2は、ビットレートが100Gbit/s級の高速の光ファイバ伝送に対応しており、近年の通信トラフィックの増大に伴い、ブロードバンドネットワークの普及と高速化の要請を満たしている。また、当該実施形態に係る光モジュール2は、小型化・低コスト化の要請を満たす光送受信機(光トランシーバ)である。現在、かかる光送受信機(光モジュール)は、複数のメーカー間でのMSA((Multi Source Agreement)が締結され、電気特性、光学特性、外形寸法等を同一規格での製品化が進んでいる。イーサネット(登録商標)系のMSAが主導となっており、光モジュールの外形寸法については、例えば、100Gbit/s光通信モジュールCFP(100 Gigabit Form Factor Pluggable)や、100Gbit/s光通信モジュールCFPの外形をさらに小さくしたCFP2、CFP4、QSFP28等の規格があり、光送信用レセプタクル、光受信用レセプタクル、電気インターフェースカードエッジの位置がこれにより定められている。こうした規格化、小型化の流れは今後も続いていくと考えられる。
【0028】
当該実施形態に係る光モジュール2は、例えばQSFP28,CFP4とのMSA規格に基づいている。かかる規格では、ケース体積の縮小化・部品数の削減化が進んでいる。また、かかる規格における伝送方式は、4波長の波長多重分割(WDM)方式である。光送信器部23Aには、互いに異なる波長の光信号を出射する4個の発光素子(例えば半導体レーザ素子)が用いられている。光モジュール2に備えられるプリント回路基板21には、送信用が4チャネル、受信用が4チャネルの差動伝送線路が配置される。そのシリアルデータの電気信号の仕様はOIF CEI−28Gに基づいており、各々のチャネルを伝送する電気信号のビットレートは25Gbit/s乃至28Gbit/sのいずれかである。4個の発光素子はチャネルごとにドライバ回路により変調駆動される。発光素子として、直接変調型DFB−LD素子(分布帰還型レーザ:Distributed Feedback Laser)を用いるのが、低コスト化の点で好適である。
【0029】
図2は、当該実施形態に係る光送信器部23Aの構成を示す模式斜視図である。当該実施形態に係る光送信器部23Aは、4つのLDモジュール31A,31B,31C,31D(LD:Laser Diode)と、光MUXモジュール32(MUX:Multiplexer)と、を備える。各LDモジュールは光サブアセンブリである。光MUXモジュール32は、光送信器部23Aの光合波機能を内蔵し、合波される光(波長多重光信号)を外部の光ファイバ3Aへ接続するためのスリーブアセンブリ33を備えている。4つのLDモジュール31A,31B,31C,31Dは、互いに異なる波長の光信号をそれぞれ出射する。例えば、CWDM用途では、4つのLDモジュール31A,31B,31C,31Dは、1271nm帯、1291nm帯、1311nm帯、及び1331nm帯の4つの波長帯の光波長の光信号をそれぞれ出射する。
【0030】
図3は、当該実施形態に係る光送信器部23Aの構成を示す模式斜視図である。
図3は、
図2に示す光送信器部23Aから、LDモジュール31A,31B,31C,31Dを取り外した状態を示している。光MUXモジュール32は4つの設置部34A,34B,34C,34Dを有しており、4つの設置部34A,34B,34C,34Dは、4つのLDモジュール31A,31B,31C,31Dそれぞれの先端(後述するフェルール36)と接合箇所にて接触して接合し、各設置部はLDモジュールを保持固定する機能を有している。各LDモジュールは、フレキシブル基板22Aと接続する側に、ステム35を備えており、ステム35には、1対のリード端子が備えられている。なお、
図2及び
図3に示す+x方向は、第1の方向の正の向きであり、+y方向は、第2の方向の正の向きである。第2の方向は第1の方向に交差する方向であり、ここでは、直交している。
【0031】
図4は、当該実施形態に係るLDモジュール31Aの構成を示す模式断面図である。他のLDモジュール31B,31C,31Dも同じ構造をしている。ここでは、LDモジュール31Aについて説明する。LDモジュール31Aは、LD素子36Aと、集光レンズ37と、フェルール38と、をさらに備えている。各LDモジュールは、1つのLD素子を備えており、ここで、各LD素子は、直接変調型のDFB−LD素子が用いられている。なお、LD素子36Aが電気信号を光信号へ変換する発光素子である。LDモジュール31B,31C,31Dはそれぞれ、LD素子36B,36C,36Dを備えている。LD素子36A,36B,36C,36Dは、互いに異なる波長の光信号を出射する点において、半導体多層構造が異なっているが、それ以外については共通する構造を有している。さらに、LDモジュール31A,31B,31C,31Dは、LD素子36A,36B,36C,36D以外については、共通の構造を有している。
【0032】
図5A及び
図5Bは、当該実施形態に係る光モジュール2の構成を示す斜視模式図である。
図5Aは光モジュール2の外観図を、
図5Bは光モジュール2のうち内部に搭載される主要部品を、それぞれ示している。前述の通り、光モジュール2は、ビットレートが100Gbit/s級の光送受信機であり、ここでは、QSFP28のMSA規格に基づいている。
図5Aに示すように、光モジュール2は、ケース41と、プルタブ42と、スライダ43と、プリント回路基板21と、を含んでいる。これら主要部品が、光モジュール2の外形を構成する。ケース41は、亜鉛などの金属を用いてダイカストすることにより、成型加工して形成される。スライダ43は、ステンレスなどの金属を用いて板金加工して形成される。プルタブ42は、熱可塑性エラストマーを用いて射出成形して形成される。以上の各部品をこれらの方法によりそれぞれ形成するのが、低コスト化の点で好適である。
【0033】
次に、
図5Bを用いて、光モジュール2のケース41の内部に搭載される主要部品について説明する。なお、説明を簡単にするために、
図5Bに、光MUXモジュール32は示されていない。
図1に示す通り、光モジュール2は、プリント回路基板21と、フレキシブル基板22A,22Bと、光送信器部23Aと、光受信器部23Bと、を含んでいる。光送信器部23Aは、それぞれの波長に対応する4個のLDモジュール31A,31B,31C,31Dを含んでおり、各LDモジュールはTO−CAN型TOSA(Transmitter Optical SubAssembly)である。
図1に示すフレキシブル基板22Aは、実際には、4つのフレキシブル基板45A,45B,45C,45Dを含んで構成される。なお、4つのフレキシブル基板45A,45B,45C,45Dは、フレキシブル基板22Aに対しては、サブフレキシブル基板であると言える。各LDモジュール(TO−CAN型TOSA)の直径サイズは、ここでは3.8mmである。ここで、光モジュール2に、4個のLDモジュールが上下2列に並んで配置されている。上段2つのLDモジュール31A,31Dは、
図5Bに示す+x方向(第1の方向の正の向き)に沿って順に並んで配置されており、LDモジュール31A,31Dの端面(ステム35の接続面35A:図示せず)はそれぞれ、フレキシブル基板45A,45Dの裏面L2が対向するよう、フレキシブル基板45A,45Dがそれぞれ、LDモジュール31A,31Dに接続される。フレキシブル基板45A,45Dの表面L1が、プリント回路基板21の第1の面S1(上表面)に対向するよう、フレキシブル基板45A,45Dが、プリント回路基板21に接続される。下段2つのLDモジュール31B,31Cは、
図5Bに示す+x方向(第1の方向の正の向き)に沿って順に並んで配置されており、LDモジュール31B,31Cの端面(ステム35の接続面35A:図示せず)はそれぞれ、フレキシブル基板45B,45Cの裏面L2が対向するよう、フレキシブル基板45B,45Cがそれぞれ、LDモジュール31B,31Cに接続される。フレキシブル基板45B,45Cの表面L1が、プリント回路基板21の第2の面S2(下表面)に対向するよう、フレキシブル基板45B,45Cが、プリント回路基板21に接続される。かかる構成により、QSFP28のMSA規格のケース41の内部の空間に実装が可能となる。
【0034】
光モジュール2の光受信器部23Bは、4個の受光素子が内蔵される4チャネルROSA46(Receiver Optical SubAssembly)を含んでいる。ここで、受光素子はPD(Photo Diode)素子である。4チャネルROSA46は、フレキシブル基板22Bの一端に接続される。フレキシブル基板22Bの他端は、プリント回路基板21の第1の面S1に接続される。
【0035】
図5Bに示す通り、プリント回路基板21の第1の面S1(上表面)に、2個のIC48,49が搭載されている。IC48は、送信側用の4チャネルのCDR回路と4チャネルのドライバ回路を集積化した駆動ICである。すなわち、IC48は、LDモジュール31A,31B,31C,31Dにともに電気的に接続される。IC49は、受信側用の4チャネルのCDR回路を集積化したICである。
【0036】
当該実施形態に係る光モジュールは、第1光サブアセンブリと、第2光サブアセンブリと、第1フレキシブル基板と、第2フレキシブル基板と、プリント回路基板と、ICと、を備える。当該実施形態に係る光モジュールの主な特徴は、第1光サブアセンブリ及び第1フレキシブル基板の接続関係と、第2光サブアセンブリ及び第2フレキシブル基板の接続関係と、にある。
【0037】
図6は、当該実施形態に係る2つのLDモジュール31A,31Bと2つのフレキシブル基板45A,45Bとの接続関係を示す図である。ここで、上段のLDモジュール31Aが第1光サブアセンブリであり、下段のLDモジュール31Bが第2光サブアセンブリである。LDモジュール31AとLDモジュール31Bとは、y方向に沿って並んで沿って並んで配置されており、ここでは、LDモジュール31AとLDモジュール31Bとは、−y方向に沿って順に並んで配置される。LDモジュール31Aに接続されるフレキシブル基板45Aが第1フレキシブル基板であり、LDモジュール31Bに接続されるフレキシブル基板45Bが第2フレキシブル基板である。
【0038】
LDモジュール31Aのステム35は、+x方向(第1の方向の正の向き、
図6の左向き)に沿って順に並んで配置される1対のリード端子51A,51Bを備えている。すなわち、LDモジュール31Aの端面に配置される1対のリード端子51A,51Bを、LDモジュール31Aは備えている。ここで、リード端子51Aが第1正相リード端子であり、リード端子51Bが第1逆相リード端子である。リード端子51Aは、LDモジュール31AのLD素子36Aの正極(Anode)に電気的に接続され、リード端子51Bは、LD端子36Aの負極(Cathode)に電気的に接続される。LDモジュール31Aのステム35は接地電位に維持されており、ステム35は、フレキシブル基板45Aの裏面L2に対向する平坦面である接続面を有している。
【0039】
フレキシブル基板45Aは、互いに並行して延伸するよう、その表面L1に配置される1対のストリップ導体61A,61Bと、その裏面L2(図示せず)に配置される接地導体層62(図示せず)と、接地導体パターン63A,63Bと、を備える。ここで、ストリップ導体61Aが、リード端子51Aに接続される第1正相ストリップ導体(LD素子の正極に対し正相の信号を伝送するストリップ線路をなす導体)であり、ストリップ導体61Bが、リード端子51Bに接続される第1逆相ストリップ導体(LD素子の負極に対し逆相の信号を伝送するストリップ線路をなす導体)である。1対のストリップ導体61A,61Bは、LDモジュール31Aの端面との接続部分において、+x方向に沿って順に並んで配置されるとともに、互いに並行して+y方向(第2の方向の正の向き)に沿って延伸している。1対のストリップ導体61A,61Bはそれぞれ、その一端に、1対のリード端子51A,51Bを貫通されるために設けられる開口部を有する。フレキシブル基板45Aの表面L1の両縁に、接地導体パターン63A,63Bがそれぞれ配置されている。表面L1に配置される接地導体パターン63A,63Bそれぞれと、裏面L2に配置される接地導体層62と、を貫く複数の貫通穴64が設けられている。
【0040】
LDモジュール31Aの端面(ステム35の接続面)の1対のリード端子51A,51Bが、フレキシブル基板45Aの1対のストリップ導体61A,61Bの開口部に、それぞれ貫通するように、フレキシブル基板45AがLDモジュール31に配置され、1対のリード端子51A,51Bは、半田55Aを介して、1対のストリップ導体61A,61Bと、それぞれ電気的に接続される。ステム35の接続面は、半田55Bを介して、フレキシブル基板45Aの接地導体パターン63A,63Bと、それぞれ電気的に接続される。半田55Bは複数の貫通穴64(のうちの少なくとも一部)を埋めて、接地導体パターン63A,63Bは、裏面に配置される接地導体層62とも電気的に接続される。フレキシブル基板45Aの表面L1には、1対のリード端子51A,51Bとの接続領域と、ステム35本体と2つの接地導体パターン63A、63Bとを電気的に接続する半田55Bの配置領域と、を除いて、1対のストリップ導体61A,61Bを覆って、カバーレイ65が配置される。同様に、フレキシブル基板45Aの裏面L2には、ステム35の接続面35Aと対向する領域を除いて、接地導体層62(図示せず)を覆ってカバーレイ65(図示せず)が配置される。
【0041】
LDモジュール31Bのステム35は、LDモジュール31Aと同様に、+x方向に沿って順に並んで配置される1対のリード端子51A,51Bを備えている。ここで、リード端子51Aが第2正相リード端子であり、リード端子51Bが第2逆相リード端子である。すなわち、LDモジュール31Bのステム35は、LDモジュール31Aのステム35と同じ構造をしており、LDモジュール31Aのステム35を−y方向に並進移動させたものと一致する。内蔵されるLD素子36Bは、LD素子36Aと異なる波長の光信号を出射するよう構造がLD素子36Aと異なっているが、それ以外については、LDモジュール31Bは、LDモジュール31Aを、−y方向に並進移動させたものと一致する。すなわち、当該実施形態に係る光モジュールでは、第1光サブアセンブリと第2光サブアセンブリは、内蔵する光変換素子以外については、共通する構造を有しており、2種類の光サブアセンブリを設計し、製造し、準備する必要がなく、製造コストの低減が実現される。LDモジュール(TO−CAN型のTOSA)のうちLD素子以外の部分(TO−CAN型パッケージ:PKG)を同一設計品とすることができれば、PKGの物量は1つの光モジュール当たり4倍となり、数量効果による価格低減も見込める。発明者らの検討によれば、4つのLDモジュールに分割するために、LDモジュール(のステム)の外径が4mm以下が望ましく、外径が3.8mm以下だとさらに望ましい。
【0042】
なお、当該実施形態に係るステム35では、1対のリード端子51A,51Bが、ステム35の接続面のy方向における中心線上に配置されている。このように、当該実施形態に係る光サブアセンブリの端面に配置される1対のリード端子は、光サブアセンブリの端面のy方向における中心線付近に配置されるのが望ましい。y方向に沿って、端面の外径(x方向における中心線上の一方の縁から他方の縁までの長さ)に対して、中心より±10%以内に配置されるのが望ましく、±5%以内が望ましい。
【0043】
また、ステム35に備えられるリード端子は、当該実施形態に係る1対のリード端子51A,51Bのみに限定されることはなく、他のリード端子を含んでいてもよい。例えば、LD素子の光出力を検出するために配置されるモニターPD素子の出力電気信号に接続されるリード端子をさらに含んでいてもよい。また、接地電位に関しては、光サブアセンブリの小型化の観点からは、当該実施形態のように、フレキシブル基板の接地導体領域とステム本体とを直接ロウ付けするのが望ましいが、これに限定されることはなく、光サブアセンブリの接地電位に接続されるリード接地端子をさらに含んでいてもよい。かかる場合、ステム35の配置を、LDモジュール31A,31Bに対して、y方向に沿って反転させる必要がある。
【0044】
フレキシブル基板45Bは、その表面L1に配置される1対のストリップ導体61A,61Bと、その裏面L2に配置される接地導体層62(図示せず)と、接地導体パターン63A,63Bと、を備える。ここで、ストリップ導体61Aが第2正相ストリップ導体であり、ストリップ導体61Bが第2逆相ストリップ導体である。1対のストリップ導体61A,61Bは、LDモジュール31Bの端面との接続部分において、+x方向に沿って順に並んで配置されるとともに、互いに並行して−y方向に沿って延伸している。すなわち、フレキシブル基板45Aの1対のストリップ導体61A,61Bと、フレキシブル基板45Bの1対のストリップ導体61A,61Bとは、ともに+x方向に沿って順に並んでいるが、+y方向及び−y方向と、互いに反対の向きへ延伸している。
図6に示す通り、LDモジュール31AとLDモジュール31Bとの中心線を、直線X1とすると、フレキシブル基板45Bは、直線X1に対して、フレキシブル基板45Aを線対称に対称移動させたものと一致する。フレキシブル基板45Aとフレキシブル基板45Bとを、外縁が一致するように重ねてみれば(フレキシブル基板45Aを直線X1上の中心Oに対して点対称に対称移動させてみれば)、フレキシブル基板45Aとフレキシブル基板45Bとは完全に一致しており、共通の構造を有している。ただし、1対のストリップ導体61A,61Bの配置は互いに逆となっている。すなわち、フレキシブル基板45Aとフレキシブル基板45Bとは、同じ製品であってよく、1対のストリップ導体のうち一方が、フレキシブル基板45Aでは第1正相ストリップ導体となる場合、フレキシブル基板45Bでは第2逆相ストリップ導体となっている。1対のストリップ導体のうち他方が、第1フレキシブル基板では第1逆相ストリップ導体となる場合、第2フレキシブル基板では第2正相ストリップ導体となっている。当該実施形態に係る光モジュールでは、第1フレキシブル基板と第2フレキシブル基板は共通する構造を有しており、2種類のフレキシブル基板を設計し、製造し、準備する必要がなく、製造コストの低減が実現される。
【0045】
フレキシブル基板45A(又は45B)の1対のストリップ導体61A,61Bは、一端をLDモジュール31A(又は31B)の1対のリード端子51A,51Bにそれぞれ接続されるとともに、他端をプリント回路基板21の1対の基板信号端子71A,71Bにそれぞれ電気的に接続される。当該実施形態に係るプリント回路基板21は
図5Bに示す通り、第1の面S1(上表面)と第2の面S2(下表面)を有し、第1の面S1の法線方向及び第2の面の法線方向は、ともにy方向に沿っている。ここでは、第1の面S1は第2の面S2より、y方向の正側(
図5Bの上方)にある。
図5Bに示す通り、フレキシブル基板45Aは、その表面L1が第1の面S1に対向するよう接続され、フレキシブル基板45Bは、その表面L1が第2の面S2に対向するよう接続される。
【0046】
図7Aは、当該実施形態に係るフレキシブル基板45A(第1フレキシブル基板)端部の平面図であり、
図7Bは、当該実施形態に係るフレキシブル基板45A(第1フレキシブル基板)端部の底面図である。すなわち、
図7Aは、フレキシブル基板45Aの表面L1を示しており、
図7Bは,フレキシブル基板45Aの裏面L2を示している。
図7A及び
図7Bには、+x方向(第1の方向)と+z方向とが示されている。なお、z方向は、x方向(第1の方向)とy方向(第2の方向)との両方に直交する方向である。フレキシブル基板45の表面L1に配置される1対のストリップ導体61A,61Bは、一端(開口部)より互いに並行に延伸している。1対のストリップ導体61A,61Bそれぞれは共通する所定の幅(第1の幅)を維持しつつ、1対のストリップ導体61A,61Bは所定の間隔(第1の間隔)を維持して互いに離間しつつ、互いに並行に+z方向に沿って延伸して、他端へ至っている。1対のストリップ導体61A,61Bは、その他端に1対の表面信号端子66A,66Bをそれぞれ備える。1対のストリップ導体61A,61Bの他端側の端部において、1対のストリップ導体61A,61Bそれぞれは、幅を該所定の幅(第1の幅)より徐々に広くなり、1対の表面信号端子66A,66Bの幅(第2の幅)となり、該幅を維持して他端へ至る。また、他端側の端部において、1対のストリップ導体61A,61Bは、該所定の幅(第1の間隔)より徐々に広くなり、1対の表面信号端子66A,66Bの間隔(第2の間隔)となり、該間隔を維持して他端へ至る。フレキシブル基板45Aの表面には、1対の表面信号端子66A,66Bそれぞれの外側に、表面接地端子67A,67Bが配置されている。1対のストリップ導体61A,61Bの形状は、1対の表面信号端子66A,66Bの形状を含み、適宜適当なものを選択すればよい。
【0047】
図7Bに示す通り、フレキシブル基板45Aの裏面に、1対の表面信号端子66A,66Bに平面視して重畳するように、1対の裏面信号端子68A,68Bが配置されている。接地導体層62は、その他端に1対の裏面接地端子69A,69Bを備えており、1対の裏面接地端子69A,69Bは、1対の表面接地端子67A,67Bに平面視して重畳するように配置されている。1対の表面信号端子66A,66Bと、1対の裏面信号端子68A,68Bとの間には、それぞれ複数の貫通穴70が設けられている。同様に、表面接地端子67A,67Bと、裏面接地端子69A,69Bとの間には、それぞれ複数の貫通穴70が設けられている。なお、実際には、フレキシブル基板45Aの表面L1と裏面L2とには、端子群(表面信号端子、表面接地端子、裏面信号端子、及び裏面接地端子)が配置される領域を除いて、カバーレイ65が配置されているが、説明を簡単にするために、
図7A及び
図7Bにカバーレイ65の表示は省略されている。
【0048】
図8は、当該実施形態に係るプリント回路基板21端部の平面図である。
図8は、プリント回路基板21の第1の面S1を示している。プリント回路基板21は、第1の面S1に配置される、1対の基板信号端子71A,71B、及び1対の基板接地端子72A,72Bを備えている。プリント回路基板21は、z方向において、LDモジュール31A,31B,31C,31Dと対向するよう配置しており、その端部に配置される1対の基板信号端子71A,71Bは、+x方向に沿って順に並んでいる。ここで、基板信号端子71Aが第1正相ストリップ導体に接続される第1正相基板端子であり、基板信号端子71Bが第1逆相ストリップ導体に接続される第1逆相基板端子である。フレキシブル基板45Aの1対の表面信号端子66A,66B、及び表面接地端子67A,67Bが、プリント回路基板21の第1の面S1に配置される1対の基板信号端子71A,71B,及び基板接地端子72A,72Bと、それぞれ対向するように配置され、フレキシブル基板45Aの裏面側より、半田を注入して、電気的接続を確保する。これにより、1対の表面信号端子66A,66Bは、1対の基板信号端子71A,71Bとそれぞれ電気的に接続され、裏面接地端子69A,69Bは、基板接地端子72A,72Bとそれぞれ電気的に接続される。
【0049】
プリント回路基板21は、第1の面S1に、1対のストリップ導体73A,73Bを備え、1対のストリップ導体73A,73Bのその一端に、1対の基板信号端子71A,71Bを備えている。ここで、ストリップ導体73Aは、第1正相基板ストリップ導体であり、ストリップ導体73Bは、第1逆相基板ストリップ導体である。
図8に示す通り、1対のストリップ導体73A,73Bはそれぞれ、1対の基板信号端子71A,71Bの幅(第2の幅)より、徐々に狭くなり、所定の幅(第3の幅)となり、該幅を維持して+z方向(
図8に示す下向き)に沿って延伸し、IC48の1対の第1IC信号端子91A,91Bに接続される。1対のストリップ導体73A,73Bは、1対の基板信号端子71A,71Bの間隔(第2の間隔)を維持して延伸する。すなわち、1対のストリップ導体73A,73Bは、互いに並行して+z方向に沿って延伸している。1対のストリップ導体73A,73Bの形状は、1対の基板信号端子71A,71Bの形状を含み、適宜適当なものを選択すればよい。
【0050】
プリント回路基板21は、複数の金属層が積層される多層構造を有しており、隣り合う金属層の間にはそれぞれ誘電体層が配置される。多層構造の金属層のうち、第1の面S1側からみて、第1番目の金属層に、1対のストリップ導体73A,73B、及び基板接地端子72A,72Bが配置される。第2番目の金属層に、接地導体層74A(図示せず)が配置される。基板接地端子72A,72Bと接地導体層74Aとの間には、それぞれ複数の貫通穴70が設けられており、フレキシブル基板45Aとプリント回路基板21とを半田により接続する際に、半田がプリント回路基板21の複数の貫通穴70に注入され、基板接地端子72A,72Bは、接地導体層74Aと電気的に接続される。
【0051】
1対のストリップ導体73A,73Bと接地導体層74Aとを含んで、マイクロストリップ線路形式の第1差動伝送線路が構成される。ここで、1対のストリップ導体73A,73Bは、理想的には+z方向を延伸してIC48の1対の第1IC信号端子91A,91Bに接続される。1対のストリップ導体73A,73Bは、実際には必要に応じて屈曲する部分を含んで、IC48の1対の第1IC信号端子91A,91Bに接続される。
【0052】
当該実施形態に係るフレキシブル基板45B(第2フレキシブル基板)端部は、
図7A及び
図7Bに示すフレキシブル基板45Aと共通の構造を有しているが、前述の通り、1対のストリップ導体61A,61Bの配置は互いに逆になっている。また、フレキシブル基板45Bは、その表面L1がプリント回路基板21の第2の面S2に対向するよう接続されるので、フレキシブル基板45Bの表面L1における+x方向は、
図7Aに示すフレキシブル基板45Aの表面L1における+x方向と逆向きであり、フレキシブル基板45Bの表面L1に備えられる1対のストリップ導体61A,61Bは、
図7Aに示す1対のストリップ導体61A,61Bと逆向きに並んでおり、+x方向に沿って(
図7Aの右側から左側へ)順に並んでいる。同様に、1対の表面信号端子66A,66b、及び表面接地端子67A,67Bは、
図7Aに示す場合と逆向きに並んでいる。なお、表面接地端子67A,67Bはともに接地電位に維持されるので、両者を識別する必要はないが、説明の簡単のため、逆向きに並んでいるとする。
【0053】
当該実施形態に係るフレキシブル基板45B(第2フレキシブル基板)の裏面L2についても、表面L1と同様に、フレキシブル基板45Bの裏面L2における+x方向は、
図7Bに示すフレキシブル基板45Aの裏面L2における+x方向と逆向きであり、1対の裏面信号端子68A,68B、及び裏面接地端子69A,69Bは、
図7Bに示す場合と逆向きに並んでいる。
【0054】
当該実施形態に係るプリント回路基板21の第2の面S2についても同様であり、プリント回路基板21の第2の面S2における+x方向は、
図8に示す第1の面S1における+x方向と逆向きであり、プリント回路基板21の第2の面S2に備えられる1対のストリップ導体75A,75Bは、
図8に示す第1の面S1における1対のストリップ導体73A,73Bと逆向きに並んでおり、+x方向に沿って(
図8の左側から右側)へ順に並んでいる。ここで、ストリップ導体75Aは、第2正相基板ストリップ導体であり、ストリップ導体75Bは、第2逆相基板ストリップ導体である。同様に、1対のストリップ導体75A,75Bは、その一端に1対の基板信号端子71A,71Bを備えているが、1対の基板信号端子71A,71B、及び基板接地端子72A,72Bは、
図8に示す場合と逆向きに並んでいる。
【0055】
プリント回路基板21の多層構造の金属層のうち、第2の面S2側からみて、第1番目の金属層に、1対のストリップ導体75A,75B、及び基板接地端子72A,72Bが配置される。第2番目の金属層に、接地導体層74B(図示せず)が配置される。1対の基板接地端子72A,72Bと接地導体層74Bとの間は、複数の貫通穴70を介して、半田により電気的に接続される。プリント回路基板21の第2の面S2側においても、1対のストリップ導体75A,75Bと接地導体層74Bとを含んで、マイクロストリップ線路形式の第2差動伝送線路が構成される。ここで、1対のストリップ導体75A,75Bは、理想的には+z方向を延伸してIC48の1対の第2IC信号端子92A,92Bに接続される。IC48が、プリント回路基板21の第1の面S1に搭載されており、かかる場合は、IC48は、LDモジュール31Bに電気的に接続されているので、第2差動伝送線路は、1対の基板信号端子71A,71B(及び接地導体層74B)から、第2の面を延伸し(第2の面差動伝送線路)、第2の面から第1の面へ積層方向(+y方向)に沿って延伸し(積層方向差動伝送線路)、さらに、第1の面を延伸して(第1の面差動伝送線路)、1対の第2IC信号端子92A,92Bに接続される。詳細については、後述する。
【0056】
当該実施形態において、xyz座標は空間に対して定義されている点に留意する。それゆえ、例えば、+y方向(プリント回路基板21の上方)より光モジュール2を観測者が見るとき、LDモジュール31A,31Bそれぞれの1対のリード端子51A,51Bが並ぶ順は、ともに+x方向に沿っている。LDモジュール31A,31Bとの接続部分におけるフレキシブル基板45A,45Bの1対のストリップ導体61A,61Bが並ぶ順も、ともに+x方向に沿っている。プリント回路基板21との接続部分におけるフレキシブル基板45A,45Bの1対のストリップ導61A,61Bが並ぶ順(すなわち、1対の表面信号端子66A,66Bが並ぶ順)も、ともに+x方向に沿っている。プリント回路基板の第1の面S1及び第2の面S2それぞれに配置される1対の基板信号端子71A,71Bが並ぶ順も、ともに+x方向に沿っている。これら構成は、LDモジュール31A,31Bは(LD素子以外に)共通の構造を有しており、低コストにより、2つのLDモジュール31A,31Bを準備することが出来る。同様に、フレキシブル基板45A,45Bは共通の構造を有しており、低コストにより、2つのフレキシブル基板45A,45Bを準備することが出来る。それにも関わらず、平面視して、プリント回路基板21に配置される複数対のストリップ導体の正相・逆相の順を同じくすることが出来ており、第2差動伝送線路のように、第2の面から第1の面に亘って構成される場合であっても、1対のストリップ導体を立体的に交差させて並び順を反転させるなどの特別な構造を必要とせず、プリント回路基板21を構成することができる。
【0057】
図9は、当該実施形態に係るプリント回路基板21の平面図である。
図10は、当該実施形態に係るプリント回路基板21の断面図である。
図9は、プリント回路基板21の第1の面S1の一部を示している。
図10は、
図9に示すX−X線による断面を示している。前述の通り、上段のLDモジュール31A,31Dにそれぞれ接続されるフレキシブル基板45A,45Dは、プリント回路基板21の第1の面S1に接続される。下段のLDモジュール31B,31Cにそれぞれ接続されるフレキシブル基板45B,45Cは、プリント回路基板21の第2の面S2に接続される。
図9に示す第1の面S1には、+x方向に沿って、CH1(LDモジュール31A)用の4つの接続端子(基板接地端子72A,基板信号端子71A,基板信号端子71B,基板接地端子72B)と、CH4(LDモジュール31D)用の4つの接続端子とが、順に並んでいる。第2の面S2には、同様に、+x方向に沿って、CH2用(LDモジュール31B)の4つの接続端子と、CH3(LDモジュール31C)用の4つの接続端子とが、順に並んでいる。平面視すると、CH1用の4つの接続端子はCH2用の4つの接続端子とそれぞれ重畳しており、CH4用の4つの接続端子はCH3用の4つの接続端子とそれぞれ重畳している。
【0058】
IC48は、矩形状を有しており、矩形状のうちx方向に延びるとともにCH1用及びCH4用の接続端子と第1の面S1上において対向する1辺に、+x方向に沿って、CH1用の1対の第1IC信号端子91A,91B、CH1用の1対の第2IC信号端子92A,92B、CH3用の1対の第3IC信号端子93A,93B、及びCH4用の1対の第4IC信号端子94A,94Bが、順に並んでいる。ここで、CH1用の第1IC信号端子91Aが第1正相IC端子であり、CH1用の第1IC信号端子91Bが第1逆相IC端子である。同様に、CH2用の第2IC信号端子92Aが第2正相IC端子であり、CH2用の第2IC信号端子92Bが第2逆相IC端子である。CH3及びCH4についても同様である。
【0059】
前述の通り、CH1用の1対の基板信号端子71A,71Bより、1対のストリップ導体73A,73Bが延伸し、(CH1用の)1対の第1IC信号端子91A,91Bにそれぞれ接続される。1対のストリップ導体73A,73Bと接地導体層74Aとを含んで第1差動伝送線路が構成される。第2差動伝送線路は、第2の面S2に配置される1対のストリップ導体75A,75Bと、1対のバイアホール76A,76Bと、第1の面S1に配置される1対のストリップ導体77A,77Bと、接地導体層74Bと、複数の接地バイアホール78(図示せず)と、接地導体層74Aと、を含んでおり、(CH2用の)1対の第2IC信号端子92A,92Bにそれぞれ接続される。1対のストリップ導体75A,75Bはその一端にランド部をそれぞれ有し、同様に、1対のストリップ導体77A,77Bその一端にランド部をそれぞれ有する。1対のバイアホール76A,76Bは、1対のストリップ導体75A,75Bのランド部と、1対のストリップ導体77A,77Bのランド部と、をそれぞれ電気的に接続する。複数の接地バイアホール78は、接地導体層74Bと接地導体層74Aとを電気的に接続する。
【0060】
前述の通り、第2差動伝送線路は、第2の面差動伝送線路と、積層方向差動伝送線路と、第1の面差動伝送線路と、を含んでいる。第2の面差動伝送線路は、1対のストリップ導体75A,75Bと、接地導体層74Bとを含んで構成される。積層方向差動伝送線路は、1対のバイアホール76A,76Bと、複数の接地バイアホール78とを含んで構成される。第1の面差動伝送線路は、1対のストリップ導体77A,77Bと、接地導体層74とを含んで構成される。1対のストリップ導体77A,77Bが延伸し、(CH2用の)1対の第2IC信号端子92A,92Bにそれぞれ接続される。
【0061】
CH3用の伝送線路(第3差動伝送線路)は、CH2用の伝送線路と同じ構造をしている。また、CH4用の伝送線路(第4差動伝送線路)は、CH1用の伝送線路と同じ構造をしている。
図10に示す通り、プリント回路基板21の第1の面S1及び第2の面S2には、フレキシブル基板45A,45Bと同様に、カバーレイ65が配置されているが、
図9には説明を簡単にするために表示を省略している。
図10に示す通り、フレキシブル基板21は多層構造を有しているが、隣り合う金属層の間には、誘電体層80が配置される。
【0062】
なお、当該実施形態において、IC48に配置される第1IC信号端子91A,91B、第2IC信号端子92A,92B、第3IC信号端子93A,93B、及び第4IC信号端子94A,94Bは、+x方向に沿って順に並んで配置されている。差動伝送線路(のストリップ導体)をなるべく直線に近づけることにより、省スペースを実現することが出来るので、当該実施形態のように、これらIC信号端子は、+x方向に沿って順に並んで配置されるのが望ましい。しかしながら、これに限定されることはなく、例えば、これらIC信号端子は、IC48のz方向に沿って順に並んで配置されていてもよい。この場合、これらIC信号端子は、第3の方向の正の向きに沿って順に配置されるとする。また、当該実施形態において、第3の方向の正の向きは、第1の方向の正の向きである。
【0063】
当該実施形態に係る光モジュールは、光サブアセンブリの外径が4.0mm以下である場合に最適である。当該実施形態において、IC48は4つのLDモジュール31A,31B,31C,31Dを制御することが出来る駆動回路である。かかるICがプリント回路基板21の第1の面S1に搭載される場合、上段のLDモジュール31A,31Dは、フレキシブル基板45A,45Dを介して、第1の面S1上の接続端子に接続される。これに対して、下段のLDモジュール31B,31Cは、フレキシブル基板45B,45Cを介して、第2の面S2上の接続端子に接続される。この場合、差動伝送線路は、積層方向差動伝送線路により、第2の面S2から第1の面S1へ移動する必要がある。IC48に配置される複数対のIC信号端子は、順に、正相、逆相、正相、逆相と繰り返し並んで配置されているのが一般的であり、第2の面S2から第1の面S1へ移動する差動伝送線路においても、各チャネルの1対のストリップ導体の正相・逆相の並び順を維持することが重要となる。当該実施形態では、第1フレキシブル基板と第2フレキシブル基板と延伸する方向を互いに反対とすることにより、平面視して、正相・逆相の並び順を容易に維持することができている。
【0064】
フレキシブル基板とプリント回路基板との接続部分は、特性インピーダンスの不整合が発生しやすい。特性インピーダンスをより整合させるために、電磁界シミュレーションを用いた構造最適化を図る必要がある。例えば、フレキシブル基板が接続する面(表面又は裏面)、プリント回路基板の第1の面に接続する場合と、第2の面に接続する場合とで、異なる場合、接続部分に規制するインダクタンスやキャパシタンスも変わるため、プリント回路基板の第1の面及び第2の面それぞれに配置される差動伝送線路の構成(1対のストリップ導体の形状)が変わってくるので、設計に多大な時間を要することとなり、製造コストの増大を招くこととなる。当該実施形態に係る光モジュールでは、プリント回路基板に対するフレキシブル基板の実装向きを、第1の面と第2の面とで変更することなく、平面視して正相・逆相の並び順を揃えることが出来ており、製造コストを低減できる。なお、本明細書では説明の便宜上正相・逆相をという呼び名をしているが、本実施形態の正相・逆相の配置が逆であっても本発明の効果が得られることは言うまでもない。この場合、+x方向となる向きが反転することとなる。
【0065】
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る光モジュール2の断面図である。
図12は、当該実施形態に係る2つのLDモジュール31A,31Bと2つのフレキシブル基板45A,45Bとの接続関係を示す図である。当該実施形態に係る光モジュール2は、2つのフレキシブル基板45A,45BのLDモジュール31A,32Bとの接続関係や、プリント回路基板21との接続関係が、第1の実施形態と異なっているが、それ以外については、第1の実施形態と同じ構造をしている。
【0066】
図12に示す通り、フレキシブル基板45Aの1対のストリップ導体61A,61Bは、LDモジュール31Aの端面との接続部分において、+x方向に沿って順に並んで配置されるとともに、互いに並行して、
図12の下向きに沿って延伸している。これに対して、フレキシブル基板45Bの1対のストリップ導体61A,61Bは、LDモジュール31Bの端面との接続部分において、+x方向に沿って順に並んで配置されるとともに、互いに並行して、
図12の上向きに沿って延伸している。本明細書において、第2の方向(y方向)の向きを、第1フレキシブル基板の1対のストリップ導体が延伸する向きを正の向きと定義しているので、
図12に示す通り、当該実施形態において、y方向の向きは、第1の実施形態におけるy方向の向きと反対である。すなわち、フレキシブル基板45Aの1対のストリップ導体61A,61Bは、LDモジュール31Aの端面との接続部分において、+y方向に沿って延伸し、フレキシブル基板45Bの1対のストリップ導体61A,61Bは、LDモジュール31Bの端面との接続部分において、−y方向に沿って延伸しているが、前述の通り、+y方向の向きが第1の実施形態と反対であるので、互いにより近づく向きに、両者は延伸している。
【0067】
当該実施形態において、プリント回路基板21の第1の面S1は第2の面S2より、y方向の負側(
図11の上方)にある。LDモジュール45AとLDモジュール45Bとは、+y方向に沿って順に並んで配置される。
図11に示す通り、LDモジュール31Aの端面がフレキシブル基板45Aの裏面L2に対向するよう、フレキシブル基板45AがLDモジュール31Aに接続される。フレキシブル基板45Aの裏面L2がプリント回路基板21の第1の面S1に対向するよう、フレキシブル基板45Aが、プリント回路基板21に接続される。これに対して、LDモジュール31Bの端面がフレキシブル基板45Bの裏面L2に対向するよう、フレキシブル基板45BがLDモジュール31Bに接続される。フレキシブル基板45Bの裏面L2がプリント回路基板21の第
2の面S
2に対向するよう、フレキシブル基板45
Bが、プリント回路基板21に接続される。
【0068】
フレキシブル基板45A,45Bは、LDモジュール31A,31Bとそれぞれ接続する部分から、互いに近づく向きに延伸しているが、ともに曲げられて、フレキシブル基板45A,45Bは、ともに裏面L2を対向するように、プリント回路基板21へ進む。接地導体層42が配置される裏面L2が対向することにより、隣接して配置されるフレキシブル基板45A,45Bとの間に生じるクロストークが低減される。高密度実装を実現するために、LDモジュールを近距離に隣接させて配置させることとなり、両者の間でクロストークが発生しうるが、当該実施形態に係る光モジュール2では、第1の実施形態に係る光モジュール2と同様の効果を奏する上に、クロストークを低減することが出来ている。
【0069】
当該実施形態において、フレキシブル基板45Aの裏面L2がプリント回路基板21の第1の面S1と対向するよう、フレキシブル基板45Aはプリント回路基板21に接続される。しかしながら、当該実施形態に係るフレキシブル基板45Aは、
図7A及び
図7Bに示す第1の実施形態に係るフレキシブル基板45Aと同じ構造を有している。言い換えれば、第1の実施形態と第2の実施形態の両方において、同じ構造のフレキシブル基板45A,45Bを用いることが出来る。当該実施形態において、フレキシブル基板45Aの裏面L2がプリント回路基板21の第1の面S1に対向するので、
図7Bに示す1対の裏面信号端子68A,68Bが、
図8に示す1対の基板信号端子71A,71Bと重畳するよう配置される。
図7Bに示す裏面接地端子69A,69Bが、
図8に示す基板接地端子72A,72Bと重畳する。
図7Aに示す1対の表面信号端子66A,66B、及び表面接地端子67A,67Bより半田を注入し、電気的な接続を確保する。
【0070】
当該実施形態においても、第1の実施形態と同様に、LDモジュール31A,31Bそれぞれの1対のリード端子51A,51Bが並ぶ順は、ともに+x方向に沿っている。LDモジュール31A,31Bとの接続部分におけるフレキシブル基板45A,45Bの1対のストリップ導61A,61Bが並ぶ順も、ともに+x方向に沿っている。プリント回路基板21との接続部分におけるフレキシブル基板45A,45Bの1対のストリップ導61A,61Bが並ぶ順(すなわち、1対の表面信号端子66A,66Bが並ぶ順)も、ともに+x方向に沿っている。プリント回路基板の第1の面S1及び第2の面S2それぞれに配置される1対の基板信号端子71A,71Bが並ぶ順も、ともに+x方向に沿っている。
【0071】
以上、本発明の実施形態に係る光モジュール、光伝送装置、及び光伝送システムについて説明した。本発明は上記実施形態に限定されることなく、光送信モジュール、及び光受信モジュールに広く適用することができる。上記実施形態では、光サブアセンブリがLDモジュールである場合、すなわち、光サブアセンブリが発光素子を含む場合について説明したが、これに限定されることはなく、光サブアセンブリがPDモジュールである場合、すなわち、光サブアセンブリが受光素子を含む場合であっても、本発明を適用することが出来る。
【0072】
また、上記実施形態では、ICがプリント回路基板の第1の面に搭載される場合について説明したが、対称性により、第2の面に搭載される場合であってもよいのは言うまでもない。ICがプリント回路基板の第2の面に搭載される場合は、第1差動伝送線路は、第1正相基板端子及び第1逆相基板端子から、第1の面を延伸し、第1の面から第2の面へ積層方向に沿って延伸し、さらに、第2の面を延伸して、第1正相IC端子及び前記第1逆相IC端子に接続され、第2差動伝送線路は、第2正相基板端子及び第2逆相基板端子から、第2の面を延伸して、第2正相IC端子及び第2逆相IC端子に接続される。
【0073】
上記実施形態では、送信用のIC48と受信用のIC49がプリント回路基板21の第1の面S1にともに搭載されているが、これに限定されることはなく、例えば、IC48が第1の面S1に搭載され、IC49が第2の面S2に搭載されてもよい。この場合、フレキシブル基板22Bは第2の面S2に接続される。
【0074】
上記実施形態では、第1光サブアセンブリと第2サブアセンブリとが第2の方向に沿って(縦方向に)並んで配置されているが、これに限定されることはない。例えば、第1の光サブアセンブリと第2サブアセンブリとが第1の方向に沿って(横方向に)並んで配置されていても、第1の面と第2の面とに分けて接続する必要があるときに、本発明を適用することが出来る。なお、本明細書において、「第1の方向に沿う」とは、第1の方向と平行である場合に限定されず、第1の方向に沿うように配置されている場合を含んでいる。