(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウレタン樹脂が、イソシアネート化合物およびポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、ポリメリックMDIと、活性水素基を有する硬化剤と、を反応させることによって形成される樹脂である、請求項1に記載のシュープレスベルト。
前記ウレタン樹脂が、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとポリメリックMDIとの混合物に、活性水素基を有する硬化剤を反応させることによって形成される樹脂である、請求項1または2に記載のシュープレスベルト。
前記ウレタンプレポリマー中のイソシアネート化合物が、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートからなる群から選ばれる1種または2種以上のイソシアネート化合物を含む、請求項2または3に記載のシュープレスベルト。
前記ポリオールが、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオールからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリオールを含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載のシュープレスベルト。
前記硬化剤が、ポリアミン化合物およびポリオール化合物の群から選ばれる1種または2種以上の化合物を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載のシュープレスベルト。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明のシュープレスベルトの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
まず、本発明の好適な実施形態に係るシュープレスベルトについて説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態にかかるシュープレスベルトの一例を示す機械横断方向断面図である。なお、図中、各部材は、説明の容易化のため適宜大きさが強調されており、実際の各部材の比率及び大きさが示されているものではない。ここで、上記機械横断方向については(Cross Machine Direction)、「CMD」ともいい、また、機械方向(Machine Direction)については、「MD」ともいう。
【0016】
図1に示すシュープレスベルト1は、抄紙機のプレスパートにおいて、より具体的にはシュープレス機構において、フェルトと協働して湿紙を搬送し、湿紙から水分を搾水するために用いられる。
シュープレスベルト1は、無端状の帯状体をなしている。即ち、シュープレスベルト1は環状のベルトである。そして、シュープレスベルト1は、通常、その周方向が抄紙機の機械方向(MD)に沿うようにして配置される。
【0017】
図1に示すシュープレスベルト1は、補強繊維基材層21と、補強繊維基材層21の外表面側にある一方の主面に設けられた第1の樹脂層(フェルトと接触する側の外周層表面221を有する樹脂層)22と、補強繊維基材層21の内表面側にある他方の主面に設けられた第2の樹脂層(シューと接触する内周層表面231を有する樹脂層)23とを有し、これらの層が積層されて形成されている。
【0018】
補強繊維基材層21は、補強繊維基材211と、樹脂212とによって構成されている。樹脂212は、補強繊維基材211中の繊維の間隔を埋めるように補強繊維基材層21中に存在している。即ち、樹脂212の一部は、補強繊維基材211に含浸しており、一方で、補強繊維基材211は、樹脂212中に埋設されている。
【0019】
補強繊維基材211としては、特に限定されないが、例えば、経糸と緯糸とを織機等により製織した織物が一般的に使用される。また、製織せずに、経糸列と緯糸列の重ね合わせによる格子状素材を使用することもできる。
補強繊維基材211を構成する繊維の繊度は、特に限定されないが、例えば300〜10000dtex、好ましくは、500〜6000dtexとすることができる。
また、補強繊維基材211を構成する繊維の繊度は、その繊維を用いる部位によって異なっていてもよい。例えば、補強繊維基材211の経糸と緯糸とでそれらの繊度が異なっていてもよい。
【0020】
補強繊維基材211の素材としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612等)、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、羊毛、綿、金属等を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
次に、シュープレスベルト1の補強繊維基材層21中の樹脂212、第1の樹脂層22の樹脂222および第2の樹脂層23を構成する樹脂232について説明する。また、シュープレスベルト1の少なくとも一部の樹脂は、ポリメリックMDI(PMDI)を構成成分として含むウレタン樹脂を含む。なお、樹脂212、樹脂222および樹脂232の構成は、同様とすることができるため、以下第1の樹脂層22の樹脂222について代表的に詳細に説明する。
【0022】
第1の樹脂層22の樹脂222の材料としては、ウレタン、エポキシ、アクリル等熱硬化性樹脂、又はポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、好適にはウレタン樹脂を使用することができる。
【0023】
また、樹脂222に用いられるウレタン樹脂としては、ポリメリックMDI(PMDI)を構成成分として含む(用いた)ウレタン樹脂を使用することができる。なお、ウレタン樹脂の形成時において、ポリメリックMDIを添加する時期は特に限定されない。
【0024】
具体的には、このようなウレタン樹脂は、プレポリマーのイソシアネート成分としてポリメリックMDI(PMDI)を含むイソシアネート化合物(イソシアネート混合物)とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、活性水素基を有する硬化剤との反応によって硬化させて形成される樹脂であることができる。
【0025】
あるいは、当該ウレタン樹脂は、他のイソシアネート化合物およびポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、ポリメリックMDIと、活性水素基を有する硬化剤と、を反応させることによって形成される樹脂であることができる。より具体的には、ウレタン樹脂は、他のイソシアネート化合物とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーとポリメリックMDIとを含む組成物(混合物)を、活性水素基を有する硬化剤と反応させることにより形成される樹脂であることができる。
【0026】
さらには、当該ウレタン樹脂は、プレポリマーのイソシアネート成分としてポリメリックMDI(PMDI)を含むイソシアネート化合物(イソシアネート成分の混合物)とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、ポリメリックMDIと、活性水素基を有する硬化剤と、を反応させることにより形成される樹脂であることができる。
【0027】
ポリメリックMDIは、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとも称される、単量体であるモノメリックMDIとこの重合体とを含む混合物である。シュープレスベルト1は、その樹脂層がポリメリックMDIを上述した成分と共に用いて形成されることにより、機械的特性、特に耐摩耗性が優れたものとなる。
【0028】
ポリメリックMDIのNCO%は、特に限定されないが、例えば、29〜33%、好ましくは30〜32.5%であることができる。これにより、耐摩耗性を十分に向上させることができる。
【0029】
また、ポリメリックMDIは、一般に、粘度によって用途が区別され、性質が異なり得る。ポリメリックMDIの25℃における粘度は、特に限定されないが、例えば40〜700mPa・s、好ましくは100〜300mPa・sである。これにより、混合不良がなく耐摩耗性を十分に向上させることができる。なお、粘度は、例えば、JIS Z 8803:2011に記載される方法を用いて測定することができる。
【0030】
ポリメリックMDIの配合量は、特に限定されないが、ポリメリックMDIが使用される部位の全樹脂重量に対し、好ましくは0.1wt%〜15wt%、より好ましくは1wt%〜13wt%である。これにより、シュープレスベルト1の耐摩耗性を十分に向上させつつ、耐クラック性を確保することができる。
【0031】
また、ポリメリックMDIとしては、例えばルプラネートM20S、ルプラネートM11S、ルプラネートM5S(BASF INOAC ポリウレタン株式会社製)、ミリオネートMR−100、ミリオネートMR−200、ミリオネートMR−400(東ソー株式会社製)等を用いることができる。
【0032】
ポリメリックMDIを除く樹脂222に用いられるプレポリマーのイソシアネート成分としては、特に限定されないが、芳香族ポリイソシアネート或いは脂肪族ポリイソシアネートとすることができ、好ましくは、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ジメチルビフェネレンジイソシアネート(TODI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、4,4−ジベンジルジイソシアネート(DBDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、ビス−(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン(H6XDI)及びテトラメチルキシリレン−ジイソシアネート(TMXDI)、更に好ましくはジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート及びこれらの混合物から選択される化合物を含有するイソシアネート化合物とすることができる。
【0033】
樹脂222に用いられるプレポリマーのポリオール成分としては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリカーボネートジオール(PCD)及びこれらの混合物から選択される化合物を含有することが好ましい。
【0034】
樹脂222に用いられる硬化剤としては、ポリアミン及びポリオール化合物からなる群から選択された1種または2種以上の化合物を含む硬化剤を使用することができ、好ましくは、ジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)および/または1,4−ブタンジオール(1,4−BD)を使用することができる。
【0035】
また、樹脂222に、酸化チタン、カオリン、クレー、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、マイカなどの、無機充填剤を1種又は2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
【0036】
なお、樹脂222にポリメリックMDIを含まない部位が存在する場合、当該部位は、適宜、上述した各成分を用いて形成することができる。具体的には、樹脂222の当該部位は、イソシアネート成分とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの混合物に活性水素基を有する硬化剤を反応させることによって硬化・形成されるウレタン樹脂であることができる。
【0037】
第2の樹脂層23を構成する樹脂232としては、上述したような第1の樹脂層22に用いることのできる樹脂材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。第2の樹脂層23を構成する樹脂232は、第1の樹脂層22を構成する樹脂222と、種類及び組成について、同一であっても異なるものであってもよい。
また、第2の樹脂層23は、第1の樹脂層22と同様に、無機充填剤を1種又は2種以上含むものであってもよい。
【0038】
特に、第2の樹脂層23を構成する樹脂232としては、第2の樹脂層23の耐摩耗性を向上させる観点、及び樹脂製作効率向上の観点から、第1の樹脂層22の樹脂222と同一とすることが好ましい。
【0039】
補強繊維基材層21を構成する樹脂212としては、上述したような第1の樹脂層22に用いることのできる樹脂材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。補強繊維基材層21を構成する樹脂212は、第1の樹脂層22を構成する樹脂222と、種類及び組成について、同一であっても異なるものであってもよい。
また、補強繊維基材層21は、第1の樹脂層22と同様に、無機充填剤を1種又は2種以上含むものであってもよい。
【0040】
特に、補強繊維基材層21を構成する樹脂212としては、樹脂製作効率向上の観点から、第1の樹脂層22の樹脂222と同一とすることもできる。
【0041】
なお、本発明においては、上述した第1の樹脂層22、補強繊維基材層21および第2の樹脂層23のいずれか1層以上において少なくとも一部がポリメリックMDIを用いて形成されたウレタン樹脂により形成されていればよい。しかしながら、耐摩耗性の向上の観点から、第1の樹脂層22の樹脂222および/または第2の樹脂層23の樹脂232は、ポリメリックMDIを用いて形成されたウレタン樹脂により形成されていることが好ましい。
【0042】
上述したようなシュープレスベルト1の寸法は、特に限定されず、その用途に合わせて適宜設定することができる。
例えば、シュープレスベルト1の巾は、特に限定されないが、700mm〜13500mm、好ましくは2500mm〜12500mmとすることができる。
また例えば、シュープレスベルト1の長さ(周長)は、特に限定されないが150cm〜600cm、好ましくは、200cm〜500cmとすることができる。
【0043】
また、シュープレスベルト1の厚さは、特に限定されないが、例えば、1.5mm〜7.0mm、好ましくは2.0mm〜6.0mmとすることができる。
また、シュープレスベルト1は、部位ごとにそれぞれ厚さが異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0044】
また、
図2に例示するように、シュープレスベルト1Aの第1の樹脂層22Aの表面に排水溝223を形成することで、湿紙からより多くの水分を脱水することができる。排水溝の形態としては特に限定されないが、通常一般的に、シュープレスベルトの機械方向に平行で連続的な複数の溝が形成される。例えば溝巾が、0.5mm〜2.0mm、溝深さが0.4mm〜2.0mm、溝本数が5本〜20本/inchと設定することができる。また溝の断面形状は、矩形型、台形型、U字型、或いはランド部及び溝底部と溝壁の接する部位に丸みを持たせる等、適宜設定することができる。
また、これらの排水溝の形態は、溝の巾、深さ、本数、断面形状について、同一のものとしてもよいし、異なるものを組み合わせて形成してもよい。更にまた、これらの排水溝については、不連続として形成してもよいし、機械横断方向に平行な複数の溝として形成されてもよい。
【0045】
以上のようなシュープレスベルト1、1Aは、後述するシュープレスベルトの製造方法により製造可能である。
【0046】
以上、本実施形態に係るシュープレスベルト1、1Aは、機械的特性、特に耐摩耗性が向上している。
【0047】
次に、上述したシュープレスベルトの製造方法の好適な実施形態について説明する。
図3乃至
図6は、シュープレスベルトの製造方法の好適な実施形態を説明する概略図である。
【0048】
本発明の一実施形態に係るシュープレスベルトの製造方法は、フェルトを介して湿紙を担持し、湿紙を搬送し、湿紙から水分を脱水するためのシュープレスベルトの製造方法であって、第1の樹脂層(フェルトと接触する側の外周層表面を有するフェルト側樹脂層)、補強繊維基材層、第2の樹脂層(シューと接触する内周層表面を有するシュー側樹脂層)を形成する樹脂層形成工程と、必要に応じ、前記第1の樹脂層の表面に排水溝を形成する工程と、を有する。
【0049】
まず、樹脂層形成工程においては、樹脂層を形成する。本工程においては、具体的には、環状かつ帯状の補強繊維基材211が樹脂材料中に埋設された補強繊維基材層21と、その両面に樹脂層としての第1の樹脂層22と第2の樹脂層23とが積層した積層体を形成する。
【0050】
このような積層体の形成はいかなる方法であってよいが、本実施形態においては、第2の樹脂層23を形成し、第2の樹脂層23の一方の表面に補強繊維基材211を配置し、補強繊維基材211に樹脂材料を塗布、含浸、貫通させ、補強繊維基材層21と第2の樹脂層23とが一体化した積層体を形成し、次に補強繊維基材層21と第2の樹脂層23の接着面に対向する補強繊維基材層21の表面に、第1の樹脂層を形成する。
【0051】
具体的には、例えば、まず、
図3に示すように、第2の樹脂層23は、離型剤を表面に塗布したマンドレル31に、マンドレル31を回転させながら樹脂材料をマンドレル表面に0.8〜3.5mmの厚みになるように塗布し、第2の樹脂層23を40〜140℃に昇温し、0.5〜1時間かけて前硬化させて形成される。
【0052】
そして、その上から補強繊維基材を配置し(図示せず)、
図4に示すように該マンドレル31を回転させながら補強繊維基材層21を形成する樹脂材料を0.5〜2.0mm塗布し、補強繊維基材に含浸、貫通させると共に前記第2の樹脂層23と接着させ、補強繊維基材層21と第2の樹脂層23とが一体化された積層体が形成される。
【0053】
しかる後に、
図5に示すように該マンドレル31を回転させながら第1の樹脂層22を形成する樹脂材料を、前記補強繊維基材層21の表面に1.5〜4mmの厚みに形成されるように塗布、含浸させ、該樹脂層を70〜140℃にて2〜20時間かけて加熱硬化させて、外周層表面221を有する第1の樹脂層22と、補強繊維基材層21と、第2の樹脂層23とが積層された積層体が形成される。
【0054】
なお、樹脂材料の塗布はいかなる方法で行うものであってもよいが、本実施形態においては、マンドレル31を回転しつつ注入成形用ノズル33から樹脂材料を吐出して、各層に樹脂材料を付与することにより行い、同時に付与された樹脂材料についてコーターバー32を用いて各層に均一に塗布する。
また、加熱方法は特に限定されないが、例えば、遠赤外線ヒーター等による方法を用いることができる。
また、樹脂材料として、ポリメリックMDI(PMDI)を構成成分として含むウレタン樹脂を少なくとも樹脂層の一部、好ましくは、少なくとも第1の樹脂層22(フェルト側樹脂層)の一部に使用する。該樹脂材料は、上述した無機充填剤との混合物として付与されるものであってもよい。また、各層の各部位を形成するための樹脂材料及び無機充填剤の種類及び組成は同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
【0055】
次に、溝形成工程においては、第1の樹脂層に排水溝を形成する。本工程においては、具体的には、積層体の外表面(外周層表面(フェルト接触表面)221)に、排水溝223を形成する。
【0056】
このような排水溝223の形成はいかなる方法であってよいが、本実施形態においては、上記で得られた積層体の外表面をシュープレスベルト1の所望の厚みとなるように、研磨やバフ加工を施し(図示せず)、その後、例えば
図6に示すように、マンドレル31を回転させながら、複数枚の円盤状の回転刃が取り付けられた溝加工装置34を外周層表面(フェルト接触表面)221に当接させ、排水溝223を形成し、シュープレスベルト1を完成させる。
【0057】
なお、排水溝223の形態としては特に限定されないが、通常一般的に、シュープレスベルトの機械方向に平行で連続的な複数の溝が形成される。例えば溝巾が、0.5〜2.0mm、溝深さが0.4〜2.0mm、溝本数が5〜20本/inchと設定することができる。また溝の断面形状は、矩形型、台形型、U字型、或いはランド部及び溝底部と溝壁の接する部位に丸みを待たせる等、適宜設定することができる。
また、これらの排水溝の形態は、溝の巾、深さ、本数、断面形状について、同一のものとしてもよいし、異なるものを組み合わせて形成してもよい。更にまた、これらの排水溝については、不連続として形成してもよいし、機械横断方向に平行な複数の溝として形成されてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施形態に係るシュープレスベルトの製造方法として、第1の樹脂層、補強繊維基材層、第2の樹脂層が積層された樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、第1の樹脂層に排水溝を形成する溝形成工程と、を有する製造方法について説明した。
【0059】
なお、上記実施形態におけるシュープレスベルトの製造方法は、マンドレル(1本ロール)製法として説明したが、別の実施形態として、2本の平行に配置されたロールに環状の補強繊維基材を掛け入れ、この補強繊維基材に樹脂を塗布、含浸、積層をし、シュー側樹脂層を形成してから、これを反転し、反転後の補強繊維基材層表面に、フェルト側樹脂層を形成、溝加工を施すことによってシュープレスベルトを製造することもできる(2本ロール製法)。また各樹脂層の形成順序は任意とすることもできる。
【0060】
また、溝形成工程は、シュープレスベルトに溝を形成する必要がない場合には省略することができる。
【0061】
以上、本発明について好適な実施形態に基づき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
【0062】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0063】
1.シュープレスベルトの製造
表1に示す樹脂を用いて、各実施例1〜5、各比較例1〜4のシュープレスベルトを以下の方法により製造した。樹脂材料の調製は、まず、表1に示すイソシアネートとポリオールを反応させてウレタンプレポリマーを得、当該ウレタンプレポリマーとPMDIとを混合して混合物を得、これをさらに表1に示す硬化剤と混合することにより行った。なお、PMDIとしては東ソー株式会社製ミリオネートMR−200を使用した。PMDIの25℃での粘度は203mPa・s、NCO%は30.9%であった。
【0065】
(1)樹脂層形成工程
適宜駆動手段により回転可能な直径1500mmのマンドレルの表面に、マンドレルを回転させながら、樹脂材料を、マンドレルの回転軸に対して平行に移動可能な注入成形用のノズルによって1.4mm厚に塗布、硬化処理し、シュー側樹脂層(第2の樹脂層)を形成した(
図3)。その後マンドレルを回転させたまま室温で10分間放置し、マンドレルに付属している加熱装置によって140℃に加熱し、140℃で1時間かけて前硬化させた。
【0066】
次に、緯糸がポリエチレンテレフタレート繊維の5000dtexのマルチフィラメント糸の撚糸で、経糸がポリエチレンテレフタレート繊維の550dtexのマルチフィラメント糸で、経糸が緯糸で挟まれ、緯糸と経糸の交差部がウレタン系樹脂接着により接合されてなる格子状素材(経糸密度は1本/cm、緯糸密度は4本/cm)を、緯糸がマンドレルの軸方向に沿うように、シュー側樹脂層の外周表面に隙間なく一層配置した。そして、この格子状素材の外周に、ポリエチレンテレフタレート繊維の6700dtexのマルチフィラメント糸を螺旋状に30本/5cmピッチで巻きつけて糸巻層を形成し、これら格子状素材と糸巻層とで補強繊維基材を形成した。その後、補強繊維基材の隙間を塞ぐようにシュー側樹脂層の樹脂材料と同一の樹脂材料を塗布し、補強繊維基材層とシュー側樹脂層とが一体化された積層体を形成した(
図4)。
【0067】
次に、補強繊維基材層の上から、マンドレルを回転させながら、補強繊維基材層及びシュー側樹脂層の樹脂材料と同一の樹脂材料をマンドレルの回転軸に対して平行に移動可能な注入成形用ノズルによって約2.5mm厚に塗布、含浸し、硬化処理を行い、フェルト側樹脂層(第1の樹脂層)と補強繊維基材層とシュー側樹脂層とが一体化された積層体を形成した(
図5)。硬化処理は、マンドレルを回転させたまま室温で40分間放置し、更にマンドレルに付属している加熱装置によって140℃に加熱し、140℃で3時間かけて加熱硬化させた。
その後、全厚が5.2mmとなるように、外周層(フェルト側樹脂層)のフェルト接触表面を研磨し、積層体を得た。
【0068】
(2)溝形成工程
得られた積層体のフェルト側樹脂層の外周層表面(フェルト接触表面)に、溝加工装置を当接させ、フェルト側樹脂層に、MD方向の排水溝(溝巾0.8mm、溝深さ0.8mm、ピッチ巾2.54mm)を多数形成してシュープレスベルトを得た(
図6)。
【0069】
2.摩耗性評価
得られた各シュープレスベルトから、試験片を採取し、
図7に示す耐摩耗性評価の評価装置を用い、試験片35をプレスボード36の下部に取り付け、その下の面(測定対象面)に、外周に摩耗子38を備える回転ロール37を押し付けながら回転させた。このとき、回転ロールによる圧力を6.6kg/cm、回転ロールの回転速度を100m/分とし、45秒間回転させた。回転後にベルトサンプル(試験片35)の厚みの減少量(摩耗量)を測定した。
各実施例、各比較例の耐摩耗性評価の試験結果について表2に示す。なお、評価結果は、各実施例、比較例の摩耗量の比較例1の摩耗量に対する相対値とした。したがって表2中の「耐摩耗性」の欄の値が小さいほど、シュープレスベルトの耐摩耗性は優れている。
【0071】
表2に示すように、実施例1〜5に係るシュープレスベルトは、比較例1〜4に係るシュープレスベルトに対して、耐摩耗性が向上したことがわかる。