(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
<基板処理システムの全体構成・全体動作>
図1は、基板処理システム1の構成の一例を概略的に示す図である。なお
図1及び以降の各図では、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0022】
図1の例では、基板処理システム1はコータ/デベロッパ装置であり、主として、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、レジスト塗布装置14、プリベーク装置15、露光装置16、現像装置17及びポストベーク装置18の各処理装置と、上記した装置群への基板の出入を行うインデクサ部11と、を備えている。
【0023】
インデクサ部11から露光装置16までの行きラインには、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、レジスト塗布装置14及びプリベーク装置15等がこの順で配置される。露光装置16からインデクサ部11までの帰りラインには、現像装置17及びポストベーク装置18等がこの順で配置される。
【0024】
インデクサ部11には複数の基板を収納する複数のカセットが載置される。インデクサ部11には、基板搬送手段としてのインデクサロボットが配置されている。インデクサロボットはカセットから基板を取り出し、この基板を洗浄装置12へと搬送(投入)する。洗浄装置12においては、基板に洗浄処理が行われる。洗浄処理が行われた基板は、脱水ベーク装置13に搬送される。脱水ベーク装置13においては、加熱により脱水処理(脱水ベーク処理)が行われる。脱水ベーク処理が行われた基板は、レジスト塗布装置14に搬送され、レジスト塗布処理が行われる。レジスト塗布処理が行われた基板は、プリベーク装置15に搬送され、加熱処理が行われる。加熱処理が行われた基板は、露光装置16に搬送され、露光処理が行われる。基板は、例えば液晶表示装置に用いられる矩形状のガラス基板である。
【0025】
これらの処理が行われた基板は、現像装置17に搬送され、現像処理が行われる。現像処理が行われた基板は、ポストベーク装置18に搬送され、加熱処理が行われる。その後、該基板は、インデクサロボットによってインデクサ部11に載置される元のカセットに収容される。これらの一連の処理により、基板の表面にはレジストのパターンが形成される。
【0026】
また、基板処理システム1は、各処理装置での処理及び基板の搬送を制御する制御部60を有する。
図2は、制御部60の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
【0027】
制御部60は制御回路であって、
図2に示されるように、例えば、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63及び記憶装置64等が、バスライン65を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。ROM62は基本プログラム等を格納しており、RAM63はCPU61が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置64は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0028】
また、制御部60では、入力部66、表示部67、通信部68もバスライン65に接続されている。入力部66は、各種スイッチ、あるいは、タッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の各種の入力設定指示を受ける。表示部67は、液晶表示装置及びランプ等により構成されており、CPU61による制御のもと各種の情報を表示する。通信部68は、LAN(Local Area Network)等を介したデータ通信機能を有する。
【0029】
また、制御部60には、各ロボット(インデクサロボット等の搬送ロボットなど)及び上述の各処理装置が制御対象として接続されている。つまり制御部9は基板の搬送を制御する搬送制御部として機能できる。また制御部60は、インデクサ部11から洗浄装置12への基板の投入を開始させたり、あるいは、当該投入を停止させたりするための制御信号を、インデクサ部11へと発信する信号発信手段として機能することができる。
【0030】
制御部60の記憶装置64には、基板処理システム1を構成する各装置の搬送制御についての複数のモードが予め設定されている(設定工程)。制御部60のCPU61が処理プログラムPを実行することによって、上記複数のモードのうちの1つのモードが選択され、該モードによって基板の搬送動作が制御される(実行工程)。また、処理プログラムPは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部60(コンピュータ)に処理プログラムPをインストールすることができる。また制御部60が実行する機能の一部または全部は必ずしもソフトウェアによって実現される必要は無く、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0031】
図3は、上記の基板処理システム1の一部の構成の一例を概略的に示す斜視図である。
図3の例においては、ベーク装置40と、これよりも上流側に配置される処理装置30とが示されている。このベーク装置40は上述した脱水ベーク装置13、プリベーク装置15及びポストベーク装置18のいずれかである。
図3の例においては、模式的に4つの処理装置30が示されているものの、ベーク装置40を脱水ベーク装置13、プリベーク装置15及びポストベーク装置18のいずれとみなすかによって、処理装置30の数は変更され得る。例えばベーク装置40が脱水ベーク装置13である場合には、処理装置30は一つ設けられており、その処理装置30は洗浄装置12である。
【0032】
<処理装置30>
処理装置30の例として洗浄装置12を説明する。洗浄装置12は、インデクサ部11から順次、投入される複数の基板Wを一方向に搬送しつつ各基板Wを洗浄する洗浄装置である(以下、一方向搬送型処理装置と称す)。この一方向搬送型処理装置では、基板の搬送方向に沿って互いに平行に配列された複数のローラ(コロ)を用いて基板を搬送するローラ搬送方式(コロ搬送方式、コンベア搬送方式)が採用されている。
【0033】
図4は、処理装置30たる洗浄装置12の構成の一例を概略的に示す図である。洗浄装置12は基板導入部31、処理装置本体32及び基板導出部33を有しており、これらは上流から下流に向かってこの順で直列に配置されている一方向搬送型処理装置である。基板導入部31は、上流の装置(インデクサ部11)から投入された基板Wを受け入れる。処理装置本体32は、基板導入部31から搬送される基板Wに対して各種の洗浄処理を行い、処理後の基板Wを基板導出部33へと搬送する。この基板Wは基板導出部33(
図3のIP)からベーク装置40へと搬送される。
【0034】
基板導入部31は複数のローラ311を有している。複数のローラ311は略円柱状の形状を有しており、その中心軸が基板Wの搬送方向D1に垂直かつ水平となる姿勢で設けられる。複数のローラ311は搬送方向D1に沿って間隔を空けて並んで設けられる。各ローラ311は自身の中心軸を回転軸として回転することができる。各ローラ311の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。この一対の支持板は搬送方向D1に沿って延びる板状部材であり、床面に設けられた所定の架台312に固定される。
【0035】
複数のローラ311は駆動部(不図示)によって駆動されて、予め定められた同じ方向に略等しい回転速度で回転(同期回転)する。駆動部はモータを有しており、制御部60によって制御される。複数のローラ311の上に基板Wが載置された状態で、複数のローラ311が同じ方向に同期回転することにより、基板Wはローラ311の上を搬送方向D1に沿って移動する。
【0036】
処理装置本体32は薬液部34、水洗部35及び水切り部36を有している。薬液部34、水洗部35及び水切り部36は上流から下流へ向かってこの順で直列に設けられている。また処理装置本体32は複数のローラ321も有している。複数のローラ321はローラ311と同様の形状を有しており、ローラ311と同様の姿勢で配置される。複数のローラ321は搬送方向D1に沿って間隔を空けて並んでいる。また複数のローラ321は薬液部34、水洗部35及び水切り部36に亘って設けられている。複数のローラ321が駆動部(不図示)によって駆動されて同期回転する。これにより、基板Wを搬送方向D1に搬送して、薬液部34、水洗部35及び水切り部36をこの順で通過させることができる。
【0037】
薬液部34は、ローラ321上の基板Wへと薬液を供給して基板Wを洗浄する装置である。薬液部34は、薬液を吐出する複数のノズル341と、薬液を貯留する薬液槽342と、薬液槽342およびノズル341を繋ぐ供給管343と、供給管343を経由して薬液をノズル341へ供給するポンプ344とを備えている。ノズル341は鉛直方向において基板Wの両側に設けられており、基板Wの両面へと薬液を供給する。薬液部34は、基板Wをブラッシングするためのブラシ(不図示)などを有していてもよい。薬液を基板Wに供給しながらブラッシングを行うことにより、洗浄効果を高めることができる。基板Wに供給された薬液は主として基板Wの周縁から落ちて、フィルタ(不図示)を介して薬液槽342へと回収される。
【0038】
水洗部35は、基板Wに対して洗浄水を供給することで基板Wに残留した薬液を洗い流す装置である。水洗部35は洗浄水を貯留する第1水槽355及び第2水槽356を有している。また水洗部35は上流から下流に向かってこの順で配置される低圧水供給部351、高圧水供給部352、超音波洗浄水供給部353及び純水供給部354を有している。各部351〜354は薬液部34と同様に、基板Wに液を吐出するノズルと、当該ノズルに連結された供給管と、当該供給管を経由して当該ノズルに液を供給するポンプとを備えている。低圧水供給部351のポンプは低圧ポンプであって、低い圧力で第1水槽355から洗浄水を汲み上げてノズルに供給する。これにより、低圧水供給部351は低圧で洗浄水を基板Wに供給できる。高圧水供給部352のポンプは高圧ポンプであって、高い圧力で第1水槽355から洗浄水を汲み上げてノズルに供給する。これにより、高圧水供給部352は高圧で洗浄水を基板Wに供給できる。低圧水供給部351及び高圧水供給部352によって供給された洗浄水は主として基板Wの周縁から落ちて第1水槽355へと回収される。
【0039】
超音波洗浄水供給部353のノズルには、第2水槽356からの洗浄水に超音波振動を付与する超音波振動子が設けられている。超音波洗浄水供給部353は、振動状態の洗浄水を基板Wへと供給する。超音波洗浄水供給部353によって供給された洗浄水は主として第2水槽356へ回収される。純水供給部354のノズルからは、純水が基板Wに向かって供給される。この純水は主として第2水槽356へ回収される。
【0040】
水切り部36は基板Wへと高圧の気流を流すことで基板Wから水を吹き飛ばす装置である。水切り部36は、基板Wに気体を噴射する噴射部361と、気体を収容する気体収容部362と、噴射部361および気体収容部362を連結する管路363とを有している。気体収容部362は工場設備(ユーティリティ)として設けられた高圧ボンベである。
【0041】
以上のように、処理装置本体32において基板Wは搬送方向D1に沿って搬送されて、各位置において各種の処理が行われる。処理装置本体32によって全ての処理が行われた基板Wは基板導出部33へと搬送される。基板導出部33は基板導入部31と同様の構成を有している。よってその詳細な構成の説明は省略する。処理装置30によって処理された基板Wはベーク装置40へと搬送される。
【0042】
<ベーク装置40>
ベーク装置40の例として脱水ベーク装置13を説明する。ベーク装置40である脱水ベーク装置13は、直前の洗浄装置12により洗浄処理された基板を順次に受け入れて、可変の搬送経路で各基板を搬送しつつ、各基板に加熱処理と冷却処理とを行う。具体的には、
図3を参照して、ベーク装置40は、直前の処理装置30からベーク装置40の内部に搬入される基板を保持する搬入部IPと、基板に加熱処理を行う加熱部HPと、基板に冷却処理を行う冷却部CPと、基板をベーク装置40の内部から下流側の処理装置へ搬送する基板を保持する搬出部OPと、を有する。
【0043】
また、ベーク装置40は、搬送トラブル等により搬出部OPから下流側へと基板を搬出できない状況が生じた場合に臨時に使用される部分として、搬入部IPから搬入されて加熱部HPによる加熱処理が行われる前の基板を一時的に待機させる加熱前待機部INBFと、冷却部CPによる冷却処理が行われた基板を一時的に待機させる冷却後待機部OUTBFと、をさらに有する。これらの加熱前待機部INBF及び冷却後待機部OUTBFは基板が基板処理システム1内で正常に搬送されて流れているときには、通常は使用されない。
【0044】
また、ベーク装置40は搬送ロボット(基板搬送部)TRを有する。搬送ロボットTRはベーク装置40内の上記各部から基板を取出すこと及び上記各部に基板を渡すことが可能である。これにより、搬送ロボットTRは上記各部の相互間で基板を搬送できる。例えば搬送ロボットTRは搬入部IPから基板を取り出して、加熱部HPに基板を渡すことにより、基板を搬入部IPから加熱部HPへと搬送することができる。
【0045】
搬入部IPはベーク装置40の上流側と搬送ロボットTR側との両方に基板受渡しのための開口部を有し、その内部に1枚の基板を保持可能な基板保持部である。なおベーク装置40の直前の処理装置30の基板導出部33が搬入部IPとして機能しても構わない。
【0046】
搬入部IPの上には、加熱部HPが設けられている。加熱部HPは複数(図では3つ)の加熱ユニットHP1〜HP3を有している。加熱ユニットHP1〜HP3は下からその順に積層される。加熱ユニットHP1〜HP3はそれぞれ、搬送ロボットTR側に基板受渡しのための開口部を有し、その内部に1枚の基板を保持可能な基板保持部である。また、加熱ユニットHP1〜HP3はそれぞれ、その内部に加熱手段を有し、その内部に保持する基板に加熱処理して基板の表面に付着した水分を蒸発させて脱水処理を行うことができる。加熱ユニットHP1〜HP3では、基板への加熱処理が完了した後は該基板の持続的保持(つまり待機)が禁止される。なお、加熱ユニットHP1〜HP3において、脱水処理に加え、加熱される基板にヘキサメチルジシラザン(HMDS)の蒸気を供給する密着強化処理を実行してもよい。この密着強化処理により、後工程であるレジスト塗布装置14により基板上に形成されたフォトレジスト液による塗布膜と基板表面との密着力が向上する。
【0047】
上述の加熱ユニットHP1〜HP3における基板の持続的保持(つまり待機)の禁止動作は制御部60によって実現される。つまり、制御部60は各加熱ユニットHP1〜HP3において加熱処理が完了したときに、その完了時点から所定時間内に、搬送ロボットTRに各加熱ユニットHP1〜HP3から基板を取り出させる。これにより、各加熱ユニットHP1〜HP3における基板の持続的保持(所定時間を超える保持)が実質的に禁止される。したがって、必要以上の長期間に亘って基板に熱が加えられることを回避できる。
【0048】
加熱部HPの上には、加熱前待機部INBFが設けられている。加熱前待機部INBFは複数(図では3つ)の加熱前待機ユニットINBF1〜INBF3(以下、単に待機ユニットINBF1〜INBF3とも呼ぶ)を有している。これらの待機ユニットINBF1〜INBF3は下からその順に積層される。待機ユニットINBF1〜INBF3はそれぞれ、搬送ロボットTR側に基板受渡しのための開口部を有し、その内部に1枚の基板を保持可能な基板保持部である。待機ユニットINBF1〜INBF3では、基板の持続的保持(待機)が許容される。
【0049】
搬出部OPは、ベーク装置40の下流側と搬送ロボットTR側との両方に基板受渡しのための開口部を有し、その内部に1枚の基板を保持可能な基板保持部である。
【0050】
搬出部OPの上には、冷却部CPが設けられている。冷却部CPは複数(図では3つ)の冷却ユニットCP1〜CP3を有している。冷却ユニットCP1〜CP3は下からその順に積層される。冷却ユニットCP1〜CP3はそれぞれ、搬送ロボットTR側に基板受渡しのための開口部を有し、その内部に1枚の基板を保持可能な基板保持部である。また、冷却ユニットCP1〜CP3はそれぞれ、その内部に冷却手段を有し、その内部に保持する基板に冷却処理を行うことができる。冷却ユニットCP1〜CP3は加熱部HPにより加熱された基板を1枚ずつ冷却する。冷却ユニットCP1〜CP3では、基板への冷却処理の完了後も該基板(処理済み基板)の持続的保持(待機)が許容される。
【0051】
冷却部CPの上には、冷却後待機部OUTBFが設けられる。冷却後待機部OUTBFは複数(図では6つ)の冷却後待機ユニットOUTBF1〜OUTBF6(以下、単に待機ユニットOUTBF1〜OUTBF6とも呼ぶ)を有している。これらの待機ユニットOUTBF1〜OUTBF6は下からその順に積層される。待機ユニットOUTBF1〜OUTBF6はそれぞれ、搬送ロボットTR側に基板受渡しのための開口部を有し、その内部に1枚の基板を保持可能な基板保持部である。待機ユニットOUTBF1〜OUTBF6では、基板の持続的保持(待機)が許容される。
【0052】
搬送ロボットTRは、ベーク装置40内の上記各部に対して移動可能であり、上記各部から基板を取出すこと及び上記各部に基板を渡すことが可能な搬送機構である。搬送ロボットTRは、それぞれ独立して駆動可能な2つの基板保持ハンド(基板保持機構)を有する。このため、搬送ロボットTRが一方の基板保持ハンドに基板を保持し他方の基板保持ハンドが空の状態で基板保持部(例えば、加熱ユニットHP1)にアクセスした場合、上記他方の基板保持ハンドで該基板保持部から基板を取出した後、上記一方の基板保持ハンドで該基板保持部に基板を搬送することで、基板保持部と搬送ロボットTRとの間で基板の受渡し動作(交換動作)を行うことができる。
【0053】
搬送ロボットTRは搬入部IPから基板を取り出して加熱部HPへと搬送したり、あるいは、搬入部IPから基板を取り出して加熱前待機部INBFへと搬送したりすることができる。また搬送ロボットTRは冷却部CPから冷却処理済みの基板を取り出して搬出部OPへと搬送したり、あるいは、冷却部CPから冷却処理済みの基板を取り出して冷却後待機部OUTBFへと搬送したりすることができる。つまり、ベーク装置40は、その内部において可変の搬送経路で基板を搬送することができる可変搬送型処理装置である。
【0054】
<ベーク装置40の通常動作>
ベーク装置40の搬入部IPに基板が搬入されると、搬送ロボットTRは搬入部IPから基板を取り出し、この基板を加熱ユニットHP1〜HP3のうち空いている加熱ユニット、例えば加熱ユニットHP1へと搬送する。加熱ユニットHP1は当該基板に対して加熱処理を行う。この加熱ユニットHP1による加熱処理中にも搬入部IPに基板が搬入され得る。このとき搬送ロボットTRは搬入部IPから基板を取り出して、空いている加熱ユニット、例えば加熱ユニットHP2へと基板を搬送する。加熱ユニットHP2は当該基板に対して加熱処理を行う。加熱部HPは3つの加熱ユニットHP1〜HP3を有しているので、3枚の基板に対して並行して加熱処理を行うことができる。この加熱処理により、例えば基板に残留した純水を蒸発させることができる。
【0055】
加熱ユニットHP1において加熱処理が完了したときには、搬送ロボットTRが加熱ユニットHP1から加熱処理済みの基板を取り出し、この基板を冷却ユニットCP1〜CP3のうち空いているユニット、例えば冷却ユニットCP1へと搬送する。冷却ユニットCP1はこの基板に対して冷却処理を行う。冷却ユニットCP1の冷却処理中に加熱ユニットHP2による加熱処理が完了したときには、搬送ロボットTRは加熱ユニットHP2から加熱処理済みの基板を取り出し、この基板を、空いている冷却ユニット、例えば冷却ユニットCP2へと搬送する。冷却ユニットCP2はこの基板に対して冷却処理を行う。冷却部CPは3つの冷却ユニットCP1〜CP3を有しているので、3枚の基板に対して並行して冷却処理を行うことができる。なおここでいう冷却処理は自然冷却を含む。自然冷却とは、加熱された基板に対して動力(電力)を用いた冷却を行わずに、当該基板を放置して冷却することである。
【0056】
<待機禁止部及び待機可能部>
ベーク装置40及びその上流側の処理装置30には、基板待機禁止部(待機禁止部)が存在する。待機禁止部とは、基板への処理が完了した後の所定時間を超える持続的保持(待機)が禁止された場所である。待機禁止部としては、加熱部HPの他、処理装置30の処理装置本体32も例示できる。また搬送ロボットTRも、持続的保持(待機)が禁止されていてもよい。ここでは、搬送ロボットTRは待機禁止部として説明する。
【0057】
その一方で、処理装置30及びベーク装置40には、待機可能部(基板待機可能部)も存在する。待機可能部とは、所定時間を超える基板の持続的保持(待機)が許容される場所である。待機可能部としては、処理装置30の基板導入部31及び基板導出部33と、冷却後待機部OUTBFと、加熱前待機部INBFと、冷却部CPとが例示される。また待機可能部として搬入部IPを採用してもよい。この場合には、搬入部IPは加熱前待機部INBFの一種とみることができる。同様に待機可能部として搬出部OPを採用してもよい。この場合、搬出部OPは冷却後待機部OUTBFの一種とみることができる。
【0058】
<待機可能部の数>
さて、ベーク装置40よりも下流側の装置の搬送トラブル等によって搬出部OPから下流側へと基板を搬出できない場合がある。この場合には、待機禁止部で処理が完了した基板は適宜に待機可能部へと移動させる必要がある。よって、少なくともそのトラブルの発生時点で処理装置30及びベーク装置40に存在する基板の全てを待機可能部で待機させることができる程度に、待機可能部の数が設定されているとよい。これによって、処理装置30及びベーク装置40内の全ての待機禁止部から待機可能部へと基板を搬送できるからである。
【0059】
次に冷却後待機部OUTBFにおいて待機可能な基板の枚数(つまり冷却後待機ユニットの数)について考察する。この冷却後待機部OUTBFは主として、待機禁止部である加熱部HP内の基板を待機させるために設けられている。具体的には、搬送ロボットTRが冷却部CPで冷却処理済みの基板を冷却後待機部OUTBFへと搬送して冷却部CPに空きを生じさせることにより、加熱部HP内の基板を、この空いた冷却部CPへと搬送することが可能となる。よって、冷却後待機部OUTBFで待機可能な基板の枚数は、加熱部HP内の基板の枚数の上限(つまり加熱ユニットの数)よりも多く設定される必要がある。より具体的な一例としては、冷却後待機部OUTBFにおいて待機可能な基板の枚数は、加熱部HP内の基板の枚数の上限に2を加算した値以上に設定される。これにより、トラブルの発生時点で加熱部HP内に存在する基板の全てを搬出し、これを待機可能部(冷却部CPまたは冷却後待機部OUTBF)で待機させることができる。
【0060】
加熱前待機部INBFは主として、ベーク装置40よりも上流側の処理装置30で待機できなかった基板を待機させるために設けられている。よって処理装置30で待機できない基板の枚数が多いほど、加熱前待機部INBFの数を多く設定するとよい。言い換えれば、加熱前待機部INBFの数は、処理装置30内の待機禁止部の総数と待機可能部の総数との差が大きいほど大きく設定されてもよい。逆に、当該差が小さく、冷却後待機部OUTBFで足りるときには、加熱前待機部INBFは設けられなくてもよい。
【0061】
<搬送トラブル>
ベーク装置40よりも下流側の装置において搬送トラブル等が発生すると、搬出部OPから基板が搬出されなくなる。以下では、この場合について述べる。
【0062】
<冷却後待機部への搬入条件>
まず冷却後待機部OUTBFへの基板の搬入を許可する搬入条件について述べる。ここでは、搬出部OPから所定時間を超えて基板が搬出されないという条件を当該搬入条件に採用する。つまり、ベーク装置40よりも下流側の搬送トラブル等により搬出部OPから基板が搬送されなくなると、冷却後待機部OUTBFへの搬入が許可される。
【0063】
搬出部OPに基板が存在するか否かの情報は例えばセンサによって取得されてもよい。当該センサとしては例えば光学式のセンサなどを用いることができる。センサの検出結果を示す電気信号は制御部60へと出力される。経過時間は例えばタイマ回路によって計時され、その計時結果を示す電気信号が制御部60へと出力される。制御部60は、所定時間を超えて搬出部OPに基板が存在し続けているか否かを、これらの信号に基づいて判断し、肯定的な判断がなされたときに、冷却後待機部OUTBFへの基板の搬入を許可する。以後、冷却部CPにおいて冷却処理が完了した場合には、制御部60は搬送ロボットTRを制御して、冷却部CPから冷却後待機部OUTBFへとその基板を搬送させる。
【0064】
<インデクサ部から処理装置への基板の投入停止>
搬出部OPから下流側へ基板を搬出できない状況で、インデクサ部11が洗浄装置12(処理装置30)へ順次に基板を投入し続けると、処理装置30及びベーク装置40で待機させることができない基板が溢れることになる。そこで本基板処理システム1は適切にインデクサ部11からの基板の投入を制限する。
【0065】
図5は、基板処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS1にて、制御部60は以下に示す停止条件が満足されているか否かを判断する。なお以下では、条件が満足されることを、条件が成立すると言い換えることがある。
【0066】
M1+M2≧N1+N2 ・・・(1)
ここで、M1は処理装置30内に存在している基板の枚数を示し、M2はベーク装置40内に存在している基板の枚数を示し、N1は処理装置30内で待機させることが可能な基板の枚数を示し、N2はベーク装置40内で待機させることが可能な基板の枚数を示す。よって、式(1)の左辺の和M(=M1+M2)は、処理装置30及びベーク装置40の全体に存在する基板の総在荷枚数を示し、式(1)の右辺の和N(=N1+N2)は、処理装置30及びベーク装置40の全体で待機させることが可能な基板の総数(待機可能枚数)を示す。
【0067】
基板処理システム1の通常動作において、基板が正常に搬送されていれば、この停止条件が成立することはない。
【0068】
枚数M1,M2,N1,N2は具体的には以下の式で表される。
【0069】
M1=Ms ・・・(2)
M2=Mt+Mh+Mc+Mw ・・・(3)
N1=Ns ・・・(4)
N2=Nw+Nc ・・・(5)
ここで、Msは処理装置30で処理(例えば洗浄処理)を受けている基板の枚数を示し、Mtは搬送ロボットTRが搬送している基板の枚数を示し、Mhは加熱部HPにおいて加熱処理を受けている基板の枚数を示し、Mcは冷却部CPにおいて冷却処理を受けている基板の枚数を示し、Mwは加熱前待機部INBF及び冷却後待機部OUTBFに待機している基板の枚数を示し、Nsは処理装置30内に待機させることが可能な基板の枚数を示し、Nwは加熱前待機部INBF及び冷却後待機部OUTBFの全体に待機させることが可能な基板の枚数を示し、Ncは冷却ユニットCP1〜CP3の数(つまり冷却部CPに待機させることが可能な基板の枚数)を示す。例えば、基板導出部33(IP)において基板を待機させても洗浄等の処理には影響がないため、この基板導出部33に待機させることが可能な基板の枚数をNsとする。また、このNsに基板導入部31にて待機させることが可能な枚数も加えてもよい。さらに、基板導入部31に待機させることが可能な枚数のみをNsとしてもよい。なお、処理装置本体32においては基板を連続的に搬送させつつ洗浄処理等を行っているため、処理装置本体32内にて基板を一時的に停止させ、待機させることは好ましくない。
【0070】
制御部60は停止条件が成立していないと判断したときには、ステップS1を再び実行する。停止条件が成立していると判断したときには、ステップS2にて、制御部60は処理装置30への基板の投入を停止する停止制御信号をインデクサ部11へと送信する。インデクサ部11はこの信号を受け取ると、処理装置30(洗浄装置12)への基板の投入を停止する。
【0071】
<搬送トラブル発生時のより具体的な動作の一例>
図6〜
図9は、搬出部OPから基板を搬出できないときの処理装置30及びベーク装置40の一例を模式的に示している。
図6〜
図9においては、処理装置30は5つの処理部30a〜30eを備えている。説明の簡単のために各処理部30a〜30eでは1枚の基板Wが保持または処理されると仮定する。例えば、処理部30aは
図3および
図4に示す洗浄装置12の基板導入部31であり、処理部30bは薬液部34であり、処理部30cは水洗部35であり、処理部30dは水切り部36であり、処理部30eは基板導出部33(搬入部IP)である。
【0072】
処理装置本体32は、基板導入部31から搬送される基板Wに対して各種の洗浄処理を行い、処理後の基板Wを基板導出部33へと搬送する。この基板Wは基板導出部33(
図3のIP)からベーク装置40へと搬送される。
【0073】
処理部30a〜30eはこの順で上流から下流へと直列に配置されている。また、ここでは処理部30b〜30dでは待機可能部が設けられておらず、処理部30a,30eでは待機可能部がそれぞれ一つ設けられていると仮定する。よって、処理装置30内で待機させることが可能な基板Wの枚数N1は2枚である。また、簡単のために搬送ロボットTR及び搬出部OPの図示を省略している。
図6〜
図9の例示では、ベーク装置40内で待機させることが可能な基板Wの枚数N2は12枚(=冷却ユニットCP1〜CP3、待機ユニットINBF1〜INBF3,OUTBF1〜OUTBF6の総数)である。よって和M(=M1+M2)は14枚である。
【0074】
図6は通常動作における状態の一例を示しており、
図6の例では、処理部30a〜30e、加熱ユニットHP1〜HP3及び冷却ユニットCP1〜CP3には、それぞれ1枚の基板Wが存在している。このとき、処理装置30内の基板Wの枚数M1は5枚であり、ベーク装置40内の基板Wの枚数M2は6枚である。よって和N(=N1+N2)は11枚であり、停止条件は成立していない。
【0075】
この状態でベーク装置40よりも下流側で搬送トラブル等が発生して搬出部OPから基板Wが搬出されなくなると、制御部60は冷却後待機部OUTBFへの基板Wの搬入を許可する。よって、例えば冷却ユニットCP1で冷却処理が完了すると、
図7に示すように、冷却ユニットCP1から基板Wが取り出されて、これが待機ユニットOUTBF1へと搬送される。
【0076】
次に
図8に示すように、加熱処理が完了した加熱ユニット、及び、処理が完了した各処理部30a〜30eから次の工程へとそれぞれ基板Wが搬送されつつ、インデクサ部11から処理部30aへと新たな基板Wが投入される。このときベーク装置40内に存在する基板Wの枚数M2は1つ増えて11枚となる。一方、処理装置30内に存在する基板Wの枚数M1は5枚のままである。和M(=M1+M2)は12枚であり、未だ和N(=N1+N2=14枚)よりも少ない。よって停止条件は成立していない(ステップS1でNO)。
【0077】
次に、例えば冷却ユニットCP2において冷却処理が完了すると、冷却ユニットCP2から待機ユニットOUTBF2へ基板Wが搬送される。また各部で処理が完了すると、同様に各部から次工程へと適宜に基板Wが搬送され、インデクサ部11から新たな基板Wの投入が行われる。以下、同様の動作が繰り返される。
【0078】
このようにインデクサ部11から新たな基板Wが搬入される度に、基板Wの枚数M2は1だけ増える。したがって、いずれ和M(=M1+M2)は和N(=N1+N2)に一致する。
図9は和Mが和Nと一致するときの状態を示している。
図9の例では、処理部30a〜30e、加熱ユニットHP1〜HP3、冷却ユニットCP1〜CP3及び待機ユニットOUTBF1〜OUTBF3のそれぞれに1枚の基板Wが存在している。このとき停止条件が成立する(ステップS1でYES)ので、インデクサ部11から処理部30aへの新たな基板Wの投入が停止される(ステップS2)。
【0079】
以後、待機禁止部である処理部30b〜30d及び加熱ユニットHP1〜HP3の基板Wは次の工程へと順次に搬送されて、最終的には、処理部30a,30e、待機ユニットINBBF1〜INBF3,OUTBF3〜OUTBF6及び冷却部CPのいずれかにおいて待機することになる。これにより、処理装置30およびベーク装置40の全ての待機可能部において基板Wが待機する。
【0080】
以上のように、本基板処理システム1によれば停止条件の成立をトリガとして、インデクサ部11からの新たな基板Wの投入を停止する。この停止条件には、ベーク装置40内の待機容量(待機可能な基板Wの枚数:N2)だけでなく、その上流の処理装置30において待機可能な基板Wの枚数(N1)も考慮されている。これにより、基板処理システム1全体としての待機容量を有効に利用できる。よってインデクサ部11からの基板Wの投入の停止頻度が少なくなり、基板処理のスループットを向上できる。
【0081】
図10は処理装置30およびベーク装置40の構成の一例を示す図である。
図10では、
図9と比較して、処理部10c,10dには基板Wが存在していない。これは、例えばインデクサ部11からの基板Wの投入タイミングが通常よりも遅れたためである。
【0082】
従来では、ベーク装置40内の基板Wの枚数(M2)に基づいて、インデクサ部11からの基板Wの投入を停止する。具体的には、ベーク装置40内の基板Wの枚数(N2)が基準値よりも多くなったときに、インデクサ部11からの基板Wの投入を停止する。この基準値は、ベーク装置40内で待機可能な基板Wの枚数(M2=12枚)よりも小さい値に設定される。これは、処理装置30で待機できなかった基板Wをベーク装置40で受け入れて待機させるためである。ここでは基準値は9枚であるとする。
【0083】
図10の例においては、ベーク装置40内の基板Wの枚数(M2)は9枚であるので、インデクサ部11からの基板Wの投入は停止する。しかしながら、
図10の例では処理装置30内に存在する基板Wの枚数(M2)は3枚である。処理装置30内において待機可能な基板Wの枚数(N2)は2枚であるので、処理装置30から3枚の基板Wをベーク装置40へと搬送すれば、処理装置30における待機可能部(処理部30a,30e)は空になる。つまり基板処理システムとしては2枚の基板Wを受け入れることが可能であるにも関わらず、インデクサ部11からの基板Wの投入は停止されていた。
【0084】
一方で、本基板処理システムによれば、
図10の状態では停止条件が成立しない。したがって、インデクサ部11からの基板Wの投入は停止されず、基板Wが処理部30aへと投入される。この基板Wは処理部30b〜30dの洗浄処理を受けた後に処理部30eで待機することになる。更に1枚の基板Wがインデクサ部11から処理部30aに投入されると停止条件が成立し、以後のインデクサ部11からの基板Wの投入が停止される。以上のように従来に比べて基板処理のスループットを向上することができる。
【0085】
<加熱前待機部への搬入条件>
加熱前待機部INBFへの基板の搬入を許可するための条件の一例について説明する。本実施の形態では、この条件として上記停止条件を採用する。つまり、インデクサ部11からの基板の搬入を停止するときに、制御部60は加熱前待機部INBFへの基板の搬送を許可する。以後、搬送ロボットTRは搬入部IPから加熱前待機部INBFへ基板を適宜に搬送する。
図11は基板処理システム1の上記動作の一例を示すフローチャートである。ステップS1,S2の後のステップS3にて、制御部60は、加熱前待機部INBFへの基板の搬入を許可する。
【0086】
例えば
図9では、停止条件が成立しているので、待機ユニットINBF1〜INBF3への基板の搬入が許可される。そして、
図9の例では、処理部30eには基板が待機しているので、搬送ロボットTRは処理部30eから基板Wを取り出して、これを例えば待機ユニットINBF1へと搬送する。
【0087】
以上のように、ここでは、インデクサ部11からの搬入を停止するための条件、及び、加熱前待機部INBFへの基板の搬入を許可するための条件として、共通の停止条件を採用している。よって、これらの条件を異ならせて制御部60がそれぞれ別個に各条件を判断する場合に比べて、制御部60の処理数を低減することができる。
【0088】
<復帰動作>
次に、ベーク装置40よりも下流側の搬送トラブル等が解消することにより、搬出部OPからの基板の搬出が再開される場合について考慮する。この場合、搬送ロボットTRは適宜に加熱前待機部INBF及び冷却後待機部OUTBFから基板を搬出する。以下では、その搬出を許可する搬出条件について述べる。
【0089】
<冷却後待機部からの搬出条件>
まず冷却後待機部OUTBFから基板の搬出を許可するための搬出条件の一例について述べる。この搬出条件としては、搬出部OPに基板が存在しないという条件を採用する。つまり、搬送ロボットTRは搬出部OPから基板の搬出が再開されたことを条件として、冷却後待機部OUTBFから基板を搬出部OPへと搬送する。搬出部OPに搬送した基板は順次に下流側に搬送されるので、搬送ロボットTRは順次に冷却後待機部OUTBFからの基板を搬出部OPへと搬送する。
【0090】
<インデクサ部からの基板の搬入の再開条件>
冷却後待機部OUTBFから搬出部OPへの基板搬送により、冷却後待機部OUTBFには空きが生じる。よって、新たな基板を受け入れても、この基板を待機させることができる。したがって、このときインデクサ部11からの基板の投入を再開してもよい。
【0091】
図12は基板処理システム1の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11にて、制御部60は以下で示す再開条件が成立している否かを判断する。
【0092】
Ma<Na ・・・(6)
Ma=Ms+Mh+Mc+Mw ・・・(7)
Na=Ns+Nc+Nw ・・・(8)
式(6)の左辺は式(7)より、処理装置30及びベーク装置40に存在する基板の総数とみることができる。また式(6)の右辺は式(8)より、処理装置30及びベーク装置40において待機させることが可能な基板の総数を意味する。この再開条件の成立は、処理装置30及びベーク装置40の待機可能部に空きが生じたことを意味する。
【0093】
ステップS11にて再開条件が成立していないと判断したときには、制御部60は再びステップS11を実行する。再開条件が成立していると判断したときには、制御部60は基板の投入を再開させる再開制御信号をインデクサ部11へと発信する。この信号を受け取ったインデクサ部11は基板の投入を再開する。
【0094】
図12の動作によれば、待機可能部に空きが生じたときに、インデクサ部11による基板の投入を再開できる。これにより、極力早いタイミングで基板の投入を再開することができ、基板処理のスループットを向上することができる。
【0095】
<加熱前待機部からの搬出条件>
次に加熱前待機部INBFからの基板の搬出を許可するための条件の一例について説明する。本実施の形態では、この条件として再開条件を採用する。上述のように、搬出部OPから基板の搬出再開に伴って、冷却後待機部OUTBFから搬出部OPへと基板が搬送されると、冷却後待機部OUTBFには基板の空きが生じる。よって、加熱部HPへと基板を搬送した後に再び搬出部OPからの基板の搬出が滞ったとしても、加熱部HPの基板を、この空いた冷却後待機部OUTBFで待機させることができる。よって、再開条件の成立をトリガとして、加熱前待機部INBFからの搬出を許可するのである。
【0096】
<復帰動作の詳細な一例>
図13〜
図15は復帰動作における処理装置30及びベーク装置40の一例を模式的に示す図である。
図13では、処理装置30及びベーク装置40の全ての待機可能部において基板Wが待機している。この状態で搬出部OP(
図13〜
図15において不図示)からの基板Wの搬出が再開されると、
図14に示すように、搬送ロボットTRは待機ユニットOUTBF1から基板を取り出す。そして、搬送ロボットTRはこの基板を搬出部OPへと搬送する。これにより、再開条件が成立する。このとき処理部30aの基板Wは次の処理部30bへと搬送され、続けてインデクサ部11は新たな基板Wを処理部30aへと投入する。また搬送ロボットTRは待機ユニットINBF1から基板Wを取り出して、当該基板Wを加熱ユニットHP3へと搬送する。
【0097】
このとき停止条件が再び成立する。よってインデクサ部11からの新たな基板Wの搬入は再び停止される。また上述のように停止条件を加熱前待機部INBFへの基板Wの搬入条件に採用している場合、この停止条件の成立をトリガとして、加熱前待機部INBFへの基板Wの搬入が許可される。しかしながら、搬出部OPから基板Wの搬出が可能であるにも関わらず、処理部30eの基板Wをわざわざ取り出して加熱前待機部INBFへと搬送することは、基板処理のスループットという点で好ましくない。なぜなら、加熱前待機部INBFを経由することなく直接に処理部30eから加熱部HPへと搬送する方が、スループットが高く、また基板Wが正常に流れている場合には、加熱前待機部INBFで基板Wを待機させる必要がないからである。
【0098】
そこで、復帰動作における加熱前待機部INBFへの基板Wの搬入条件は、通常動作における当該搬入条件とは異ならせてもよい。つまり、一旦、加熱前待機部INBFから基板Wの搬出が許可された場合には、加熱前待機部INBFの全ての待機ユニットが空になるまでは、通常動作における搬入条件とは異なる搬入条件を採用するのである。具体的には、当該搬入条件としては、冷却後待機部OUTBFに基板Wが満載されているという条件を採用する。逆に言えば、冷却後待機部OUTBFに空きが生じている場合には、加熱前待機部INBFへの基板Wの搬入を許可しない。
【0099】
図16は復帰動作における基板処理システム1の上記動作の一例を示すフローチャートである。
図16に示す一連の動作は復帰動作が完了するまで例えば所定期間ごとに繰り返し行われる。ステップS21にて、制御部60は冷却後待機部OUTBFに空きがあるか否かを判断する。言い換えれば、制御部60は基板Wが待機していない冷却後待機ユニットが存在するか否かを判断する。冷却後待機部OUTBFに空きがあると判断したときには、ステップS22にて、制御部60は加熱前待機部INBFへの基板Wの搬入を許可しない。よって搬送ロボットTRは、加熱前待機部INBFへ基板Wを搬入しない。
【0100】
ステップS21にて、冷却後待機部OUTBFに空きがないと判断したときには、つまり冷却後待機部OUTBFに基板Wが満載しているときには、ステップS23にて、制御部60は加熱前待機部INBFへの基板Wの搬入を許可する。
【0101】
この動作によれば、
図14の状況でも処理部30eで待機中の基板Wが加熱前待機部INBFへと搬送されることがなく、加熱前待機部INBFへの不要な基板搬送を回避することができる。
【0102】
なお制御部60は搬送ロボットTRを制御して、加熱部HPの基板Wの枚数が、冷却後待機部OUTBFにおいて空いている冷却後待機ユニットの数を超えないように、加熱前待機部INBFから加熱部HPへの基板Wの搬送を行う。よって、
図14の状況では、加熱前待機部INBFから加熱部HPへの更なる基板Wの搬送は行われない。
【0103】
搬出部OPの基板Wが下流側に搬送されると、
図15に示すように、待機ユニットOUTBF2から基板Wが取り出されて、これが搬出部OPへと搬送される。このとき再開条件が再び成立する。また処理部30bでの処理が完了すると、処理部30bの基板Wが次の処理部30cへと搬送される。また処理部30aの基板Wが、空いた処理部30bへと搬送される。再開条件が成立し処理部30aが空くので、インデクサ部11から処理部30aへと新たな基板Wが投入される。
【0104】
また冷却後待機部OUTBFには新たな空きが生じているので、搬送ロボットTRは待機ユニットINBF2からの基板Wを取り出して、この基板Wを加熱ユニットHP2へと搬送する。以後、同様の動作を繰り返して、加熱前待機部INBF及び冷却後待機部OUTBFから基板Wを全て搬出することで、復帰動作が完了し、続けて通常動作が行われる。
【0105】
上記実施形態では、基板処理システム1としてコータ/デベロッパ装置を説明した。基板処理システムはコータ/デベロッパ装置に限定されず、上記一方向搬送型処理装置と、可変搬送型処理装置とが含まれる基板処理システムに本発明を適用することができる。