(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の基板処理装置において、処理液供給パイプは、各主噴出孔から一定の方向に沿って一定の速度で処理槽内に処理液を噴出する。このため、処理槽の内部には、渦を含む処理液の循環流が生じ、この循環流の流速と流れる方向は、時間的に略一定となる。このため基板上には、位置と流れ方とが時間的に略一定の渦が生じる。この渦の中心部の処理液は、基板上に滞留し、新たな処理液によって置換されにくい。このため、処理液に溶解した基板の成分の濃度が上昇して、当該成分が基板上に析出するといった問題がある。また、基板上の各部のうち処理液が入れ替わりやすい部分と、一定の渦が生じて処理液が入れ替わりにくい部分とで、処理液の濃度分布や温度分布が不均一になって基板の各部の処理の均一性が低下するといった問題もある。
【0005】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、処理液を貯留する処理槽内の一定の位置に処理液の渦が生ずることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、第1の態様に係る基板処理装置は、処理液を収容し、当該処理液に浸漬された基板に処理を施す処理槽と、処理液を供給する処理液供給源と、前記処理槽に収容された前記基板の下方に設けられ、前記処理液供給源が供給する処理液を、その噴出方向を振動させつつ
上方の前記基板側に向けて前記処理槽内に噴出するフリップフロップノズルと、を備え
、前記フリップフロップノズルは、前記処理液の流入口と、前記流入口に対向する噴出口と、前記流入口から流入し前記噴出口へ向かう前記処理液の流れを横切る環状の流路を形成する連結ダクトとを備え、前記流入口から前記噴出口に流れる前記処理液により生じた圧力差によって前記環状の流路を流れる前記処理液を駆動して前記噴出口から噴出する前記処理液の噴出方向を前記処理槽に収容された前記基板の主面と平行な面に沿って振動させ、前記環状の流路の全体が、前記処理槽に収容された前記基板の主面と平行である。
【0009】
第
2の態様に係る基板処理装置は、第
1の態様に係る基板処理装置であって、前記処理槽に収容された前記基板の下方に設けられ、前記処理液供給源が供給する前記処理液を内部に導く筒状体をさらに備え、前記フリップフロップノズルは、前記処理液の流入口と、前記流入口に対向する噴出口と、前記流入口から流入し前記噴出口へ向かう前記処理液の流れを横切る環状の流路を形成する連結ダクトとを備え、前記流入口から前記噴出口に流れる前記処理液により生じた圧力差によって前記環状の流路を流れる前記処理液を駆動して前記噴出口から噴出する前記処理液の噴出方向を振動させ、前記流入口は、前記筒状体の
軸周りの周壁を貫通して設けられ、前記連結ダクトは、前記筒状体をその周方向に沿って取り囲むように
前記筒状体の周方向全周にわたって前記筒状体の周壁から外側にそれぞれ立設されて
互いに対向し、前記流入口を間に挟む環状の一対の側壁部と、前記筒状体の周壁のうち前記一対の側壁部の間の
環状の部分周壁に対向して前記一対の側壁部によって囲まれる空間を閉塞する外周壁部とを含み、前記噴出口は、前記外周壁部のうち前記流入口に対向する部分を貫通して設けられている。
【0010】
第
3の態様に係る基板処理装置は、第
2の態様に係る基板処理装置であって、前記筒状体は、前記処理槽に収容された前記基板の主面を含む平面を貫通する方向に延在し、前記連結ダクトの前記一対の側壁部および前記外周壁部と、前記筒状体の周壁とに囲まれた環状の流路は、前記基板の主面と平行である。
【0011】
第
4の態様に係る基板処理装置は、第
2または第
3の態様に係る基板処理装置であって、前記連結ダクトの前記一対の側壁部および前記外周壁部と、前記筒状体の周壁とに囲まれた環状の流路の断面積は前記流入口から前記連結ダクトの周方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなっている。
【0012】
第
5の態様に係る基板処理装置は、第
4の態様に係る基板処理装置であって、前記連結ダクトの前記一対の側壁部の一方の側壁部は、前記筒状体の中心軸と交差する平面に沿って前記筒状体の周壁から立設されており、他方の側壁部は、前記一方の側壁部との間隔が前記流入口から前記連結ダクトの周方向に沿って遠ざかるにつれて拡がるように前記連結ダクトの周方向において湾曲している。
【0013】
第
6の態様に係るノズル構造は、処理液を導くための筒状体と、前記筒状体が導く処理液を噴出するフリップフロップノズルと、を備え、前記フリップフロップノズルは、前記処理液の流入口と、前記流入口に対向する噴出口と、前記流入口から流入し前記噴出口へ向かう前記処理液の流れを横切る環状の流路を形成する連結ダクトとを備え、前記流入口から前記噴出口に流れる前記処理液により生じた圧力差によって前記環状の流路を流れる前記処理液を駆動して前記噴出口から噴出する前記処理液の噴出方向を振動させ、前記流入口は、前記筒状体の
軸周りの周壁を貫通して設けられ、前記連結ダクトは、前記筒状体をその周方向に沿って取り囲むように
前記筒状体の周方向全周にわたって前記筒状体の周壁から外側にそれぞれ立設されて
互いに対向し、前記流入口を間に挟む環状の一対の側壁部と、前記筒状体の周壁のうち前記一対の側壁部の間の
環状の部分周壁に対向して前記一対の側壁部によって囲まれる空間を閉塞する外周壁部とを含み、前記噴出口は、前記外周壁部のうち前記流入口に対向する部分を貫通して設けられている。
【0014】
第
7の態様に係るノズル構造は、第
6の態様に係るノズル構造であって、前記連結ダクトの前記一対の側壁部および前記外周壁部と、前記筒状体の周壁とに囲まれた環状の流路の断面積は前記流入口から前記連結ダクトの周方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなっている。
【0015】
第
8の態様に係るノズル構造は、第
7の態様に係るノズル構造であって、前記連結ダクトの前記一対の側壁部の一方の側壁部は、前記筒状体の中心軸と交差する平面に沿って前記筒状体の周壁から立設されており、他方の側壁部は、前記一方の側壁部との間隔が前記流入口から前記連結ダクトの周方向に沿って遠ざかるにつれて拡がるように前記連結ダクトの周方向において湾曲している。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る発明によれば、基板処理装置は、処理液を収容し、当該処理液に浸漬された基板に処理を施す処理槽と、処理液を供給する処理液供給源と、処理槽に収容された基板の下方に設けられ、処理液供給源が供給する処理液を、その噴出方向を振動させつつ処理槽内に噴出するフリップフロップノズルと、を備える。従って、処理槽内の一定の位置に処理液の渦が生ずることを抑制できる。
【0017】
本願明細書に記載の発明によれば、フリップフロップノズルは、処理槽に収容された基板の主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させる。従って、フリップフロップノズルが噴出する処理液によって基板が損傷することを抑制できる。
【0018】
本願明細書に記載の発明によれば、フリップフロップノズルは、流入口から流入し噴出口へ向かう処理液の流れを横切る環状の流路を形成する連結ダクトを備え、流入口から噴出口に流れる処理液により生じた圧力差によって環状の流路を流れる処理液を駆動して噴出口から噴出する処理液の噴出方向を振動させ、流入口から噴出口へ向かう処理液の流れを環状の流路が横切る方向は、処理槽に収容された基板の主面と平行である。従って、フリップフロップノズルは、処理槽に収容された基板の主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させることができるので、フリップフロップノズルが噴出する処理液によって基板が損傷することを抑制できる。
【0019】
第
2および第
6の何れの態様に係る発明によっても、連結ダクトは、筒状体をその周方向に沿って取り囲むように筒状体の周壁から外側にそれぞれ立設されて、流入口を間に挟む環状の一対の側壁部と、筒状体の周壁のうち一対の側壁部の間の部分周壁に対向して一対の側壁部によって囲まれる空間を閉塞する外周壁部とを含んでいる。すなわち、連結ダクトは筒状体の周壁に隣接して、筒状体の周方向に延在する。これにより、筒状体の軸方向における連結ダクトの長さを短くできるとともに、筒状体の径方向における連結ダクトの突出量を小さくできる。従って、筒状体の軸方向に複数のフリップフロップノズルを設ける場合にフリップフロップノズルの個数、すなわち流入口および噴出口の個数を増やすことができるとともに、筒状体とフリップフロップノズルとを含むノズル構造を小さくできる。
【0020】
第
3の態様に係る発明によれば、筒状体は、処理槽に収容された基板の主面を含む平面を貫通する方向に延在し、連結ダクトの一対の側壁部および外周壁部と、筒状体の周壁とに囲まれた環状の流路は、基板の主面と平行である。従って、流入口から噴出口へ向かう処理液の流れを環状の流路が横切る方向は、処理槽に収容された基板の主面と平行になる。従って、フリップフロップノズルは、処理槽に収容された基板の主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させることができるので、フリップフロップノズルが噴出する処理液によって基板が損傷することを抑制できる。
【0021】
第
4および第
7の何れの態様に係る発明によっても、連結ダクトの一対の側壁部および外周壁部と、筒状体の周壁とに囲まれた環状の流路の断面積は流入口から連結ダクトの周方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなっている。従って、環状の流路を流れる処理液が受ける抵抗を減少させることができるので、流入口から噴出口に流れる処理液により生じた圧力差によって環状の流路を流れる処理液を駆動することが容易になり、噴出口から噴出する処理液の噴出方向を振動させることが容易になる。
【0022】
第
5および第
8の何れの態様に係る発明によっても、連結ダクトの一対の側壁部の一方の側壁部は、筒状体の中心軸と交差する平面に沿って筒状体の周壁から立設されており、他方の側壁部は、一方の側壁部との間隔が流入口から連結ダクトの周方向に沿って遠ざかるにつれて拡がるように連結ダクトの周方向において湾曲している。従って、例えば、連結ダクトを溶接によって筒状体に取り付ける場合に、取付作業が容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。また、以下に参照する各図では、理解容易のため、各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。また、各図では、同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。上下方向は鉛直方向であり、処理槽内の噴出管に対してリフタが上である。
【0025】
<1.基板処理装置1>
図1は、実施形態に係る基板処理装置1の概略構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図2は、基板処理装置1の基板処理機構CHB1の概略構成を模式的に示す斜視図である。
図2は、基板処理機構CHB1の処理槽41の内槽43に収容された噴出管70、リフタ47等を透視した図として示されている。
【0026】
基板処理装置1は、バッチ組みされた複数の基板Wに対して一括して処理液を用いた処理を施すバッチ式の基板処理装置である。この基板処理装置1は基板処理機構CHB1と、処理液供給源65と、排出部51と、制御部25とを備えている。
【0027】
制御部25は、図示しないCPUなどを備えている。制御部25には、指示部23と、メモリ24が電気的に接続されている。指示部23は、キーボードなどを含んで構成され、装置のオペレータによって操作される。オペレータは、この指示部23を操作して、例えば、複数の基板Wを処理するための手順を規定したレシピを基板処理装置1に指示する。メモリ24は、指示部23から指示されたレシピ(不図示)と、プログラムPGなどを記憶している。制御部25のCPUは、プログラムPGを実行することによって、基板処理装置1の各部を統括的に制御し、レシピに従った基板Wの処理を基板処理装置1に行わせる。
【0028】
処理液供給源65は、基板Wの処理に供されていない未使用の処理液を貯留しており、不図示のポンプ等によって当該処理液を基板処理機構CHB1の噴出管70に供給可能に構成されている。処理液供給源65には、供給配管67の一端側が連通接続されている。供給配管67には、流量制御が可能な制御弁69が配設されている。処理液には、薬液とリンス液とが含まれる。薬液として、例えば、燐酸溶液、SPM、SC−1、DHF、SC−2などが用いられる。リンス液として、例えば、純水、温水、オゾン水、磁気水、還元水(水素水)、各種の有機溶剤(イオン水、IPA(イソプロピルアルコール)、機能水(CO
2水など)、などが用いられる。
【0029】
基板処理機構CHB1は、処理液供給源65から供給される処理液によって基板Wを処理する。基板処理機構CHB1は、処理槽41と、リフタ47と、リフタ47を昇降させる昇降機構48とを備えている。
【0030】
処理槽41は、処理液供給源65が供給する処理液を貯留して、当該処理液に浸漬された基板Wに対して所定の処理を行う。処理槽41は、内槽43と、内槽43から溢れた処理液を回収する外槽45とを備えている。内槽43は、処理液を内槽43内に供給するための一対の噴出管(「ノズル構造」)70を底部に備えている。また、内槽43の底部には、内槽43内の処理液を排出する際に使用する底部排出口57が形成されている。また、外槽45は、回収した処理液を排出するための排出口52を底部に備えている。
【0031】
供給配管67の他端側は、配管49の上端と接続している。配管49は、上下方向に延設されており、その上端部分は内槽43の上方に配設され、他の部分は内槽43内に配設されている。配管49の下端部分は、内槽43の底部の近傍で二手に分岐し、一対の噴出管70のそれぞれに接続している。処理液供給源65から供給された処理液は、制御弁69の開度によって定まる流量で供給配管67を通って配管49に導かれ、配管49を経て一対の噴出管70に供給される。一対の噴出管70は、供給された処理液を内槽43内に噴出する。
【0032】
リフタ47は、鉛直方向に立った姿勢の板状のリフタヘッド47aと、基板支持部材47bとを備えている。基板処理機構CHB1は、昇降機構48をさらに備える。昇降機構48は、例えば、モーターとボールネジ機構等を備えており、リフタ47を昇降可能に構成されている。
【0033】
基板支持部材47bは、鉛直方向に立った姿勢で水平方向に配列された複数の基板Wを下方から支持可能に設けられている。基板支持部材47bは、複数(図示の例では3個)の長尺部材を含んでいる。当該複数の長尺部材は、リフタヘッド47aの一主面の下端部分から互いに同じ方向(当該一主面の法線方向)に沿って、リフタヘッド47aに対してそれぞれ同じ側に延設されている。互いに隣り合う長尺部材の間には、隙間が設けられている。これにより、リフタ47に支持された各基板Wの下端側の周縁は、リフタ47の下方に設けられている噴出管70に対向する。
【0034】
各基板Wは、その主面がリフタヘッド47aの一主面と平行になるように、基板支持部材47bによって支持される。基板支持部材47bの各長尺部材の上端部分のうち複数の基板Wを支持する複数の部分には、不図示の複数の溝部が形成されている。各溝部は、基板Wの厚みよりも若干広い幅で、基板Wの主面(リフタヘッド47aの一主面)に沿って形成されている。各溝部の深さは、基板Wの周縁部の幅に略等しくなるように設定されている。これにより、基板Wは、その周縁部を各長尺部材のうち対応する各溝部によって挟まれた状態で、基板支持部材47bによって下方から支持される。
【0035】
リフタ47は、処理槽41の上方の受渡し位置において、予めバッチ組みされた複数の基板Wを不図示の搬送ロボットから受け取る。リフタ47は、複数の基板Wを受け取った後に、処理槽41の内槽43の開口部から内槽43内に降下することによって、複数の基板Wを一括して内槽43内に収容し、処理液に浸漬する。複数の基板Wに対する処理が終了すると、リフタ47は、処理槽41の上方の受渡し位置まで上昇して、処理済みの複数の基板Wを搬送ロボットに引き渡す。
【0036】
排出部51は、処理槽41に貯留された処理液を処理槽41から排出できるように構成されている。排出部51は、例えば、排出管53と、底部排出管58と、ポンプ55とを備えて構成される。
【0037】
排出管53は、外槽45の排出口52に連通接続しており、排出口52から排出される処理液を廃液タンクなどに導く。排出管53には、排出口52側から順に、開閉弁54と、ポンプ55と、開閉弁56とが配設されている。開閉弁54、開閉弁56が開いた状態でポンプ55が作動することによって、内槽43から外槽45に溢れた処理液は、排出口52から排出管53に導かれ、排出管53から排液タンクなどに排出される。
【0038】
底部排出管58は、内槽43の底部排出口57と連通接続しているとともに、ポンプ55よりも上流側で排出管53にも連通接続しており、内槽43内の処理液を排出管53に導く。底部排出管58には、開閉弁59が配設されている。開閉弁59、開閉弁56が開いた状態でポンプ55が作動することにより、内槽43内の処理液は、底部排出口57と、底部排出管58と、排出管53とを介して排液タンク等に排出される。排液タンク等に回収された処理液をフィルターなどで浄化して再度使用するようにすればランニングコストを低減させることができる。
【0039】
<2.噴出管70>
図3は、噴出管70の一部を拡大して示す斜視図である。
図4は、噴出管70の一部の断面図である。
図4では、側面断面図と正面断面図とが示されている。
図5は、噴出管70のうちノズル72部分の断面斜視図である。
【0040】
噴出管70は、処理液を導くための筒状体71と、少なくとも1つのノズル72を備える。図示の例では、複数のノズル72が筒状体71の軸方向に配列して筒状体71の周壁に設けられている。噴出管70、すなわち、筒状体71と、各ノズル72とは、処理槽41の内槽43の底部において、内槽43に収容される基板Wの下方に位置するように設けられている。噴出管70は、好ましくは、石英によって形成される。
【0041】
筒状体(「導管」)71は、処理槽41の内槽43の底部に設けられている。筒状体71は、内槽43に収容された基板Wの下方において、基板Wの主面を含む平面を貫通する方向に延在する。筒状体71は、好ましくは、当該平面と直交する方向に延在する。筒状体71としては、好ましくは直管が採用される。筒状体71の一端には、配管49の下端が連通接続している。処理液供給源65が供給する処理液は、配管49等を介して筒状体71の一端から筒状体71内に導入される。配管49から筒状体71内に処理液を供給可能であれば、筒状体71の一端以外の箇所において配管49が筒状体71に接続してもよい。筒状体71の他端(「先端」)は閉塞されている。筒状体71の周壁のうち上側の部分には、少なくとも1つ流入口73が設けられる。図示の例では、複数のノズル72の個数に応じて複数の流入口73が筒状体71の軸方向に一列に配列されている。
【0042】
ノズル(「フリップフロップノズル」、「自励振動ノズル」)72は、処理液の流入口73と、流入口73に対向する噴出口74と、連結ダクト75とを備える。流入口73は、筒状体71の周壁を貫通して設けられている。連結ダクト75は、一対の側壁部75a、75bと、筒状体71の周壁と間隔を隔てて対向する外周壁部75cと、を含んでいる。噴出口74は、外周壁部75cのうち流入口73に対向する部分を貫通して設けられている。流入口73、噴出口74は、筒状体71の径方向に見て矩形にそれぞれ形成されている。当該各矩形は、筒状体71の軸に平行な辺と、当該軸と直交する辺(筒状体71の周方向に沿って延在する辺)とを有する。流入口73がなす矩形は、例えば、筒状体71の周方向と軸方向とに沿って、0.5mm×2mm程度の大きさを有し、噴出口74がなす矩形は、6mm×2mm程度の大きさを有する。すなわち、噴出口74の方が流入口73よりも筒状体71(連結ダクト75)の周方向の長さが長い。
【0043】
ノズル72は、処理液供給源65から筒状体71内に供給された処理液を、流入口73から導入し、噴出口74から基板Wに向けて処理槽41内に噴出する。ノズル72は、処理液を噴出する際に、その噴出方向を振動させる。
【0044】
連結ダクト75は、筒状体71の中心軸を中心とする周方向に筒状体71を取り囲んで延在している。連結ダクト75は、一対の側壁部75a、75bが筒状体71の周壁に溶接されること等により当該周壁に固定されている。連結ダクト75の外観形状は、筒状体71の軸方向に見て、円環形の平板形状である。連結ダクト75は、中空構造となっている。
【0045】
一対の側壁部75a、75bのそれぞれは、筒状体71をその周方向に沿って取り囲むように筒状体71の周壁から外側にそれぞれ立設されている。各側壁部75a、75bは、環状に形成されており、筒状体71の周壁に沿って筒状体71をその周方向に取り囲んでいる。一対の側壁部75a、75bは、流入口73を互いの間に挟んで筒状体71の周壁から立設されている。
【0046】
外周壁部75cは、筒状体71の周壁のうち一対の側壁部75a、75bの間の部分(「部分周壁」)と対向している。外周壁部75cは、一対の側壁部75a、75bのそれぞれの上端に連なって設けられており、一対の側壁部75a、75bによって囲まれる空間を閉塞する。閉塞された当該空間によって、環状の流路80が形成される。流路80は、連結ダクト75の一対の側壁部75a、75bおよび外周壁部75cと、筒状体71の周壁とに囲まれた環状の空間であり、筒状体71の周方向に延在する。環状の流路80は、連結ダクト75内に形成される。
【0047】
流路80は、流入口73から流入し噴出口74へ向かう処理液の流れを横切る。流路80が、当該処理液の流れを横切る方向は、好ましくは、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行である。また、流路80は、好ましくは、基板Wの主面と平行な面に沿って延在する。流入口73と噴出口74とは、流入口73から流入し噴出口74へ向かう処理液の流れが連結ダクト75の一部を横断するように、すなわち、当該流れが流路80の一部を横断するように配置されている。噴出口74は、好ましくは、流入口73側の端部から出口側端部へ向けて、その断面積が緩やかに連続して拡大されるようなテーパ状とされる。また、流入口73から流入する液流がコアンダ効果により噴出口74の内壁に沿って流れ易いように、噴出口74の連結ダクト75側の開口面積が流入口73の連結ダクト75側の開口面積よりも大きくなっている。
【0048】
次に、ノズル72の作用について説明する。
図6は、噴出管70のうちノズル72部分の正面断面図である。
【0049】
流入口73からノズル72内に流入した処理液の液流11は、連結ダクト75(連結ダクト75内の環状の流路80)を横断し、噴出口74へ到達してノズル72から流出する。この際、処理液は、コアンダ効果によって連結ダクト75の周方向における噴出口74の壁面74a、74bのいずれか一方に沿って流出する。
【0050】
図6に示すように、液流11が壁面74bに沿って流出した場合、流路80のうち連結ダクト75の周方向において壁面74bに近い点B付近に渦を生じ、圧力が低下し、流路80のうち反対側の壁面74aに近い点A付近の圧力は、点B付近の圧力よりも高くなる。この結果、連結ダクト75内(流路80)に点Aから点Bへ向かう処理液の流れ12が生ずる。この流れ12により、点A、点B間の圧力差は徐々に低下し、圧力差はやがてゼロとなる。しかし、連結ダクト75内の流れ12は慣性により流れ続け、その結果、点Aと点Bの圧力が逆転する。これにより、壁面74bに沿って流れていた液流11が剥がされ、反対側の壁面74aに沿って流れる様になる。その後、連結ダクト75内を通る流れの向きも、圧力差に従って逆転し、今度は点Bから点Aに向かい連結ダクト内を流れる。以上の動作が自動的に繰り返されることにより、処理液の液流の自励振動が実現される。
【0051】
連結ダクト75は、筒状体71の周囲を取り囲む円状(曲線状)の配設経路に沿って設けられているので、連結ダクト75の流路80を処理液が流れる際の抵抗を低減できる。これにより、流入口73から噴出口74に向かう処理液の液流11の一部が点A、点Bから連結ダクト75内の流路80に入り込み易くなるので、噴出口74から噴出する液流11の振動が安定する。
【0052】
このように、ノズル72は、流入口73から噴出口74に流れる処理液によって流路80に生じた圧力差により流路80を流れる処理液を駆動して噴出口74から噴出する処理液の噴出方向を振動させる。ノズル72は、好ましくは、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させる。
【0053】
図7は、噴出管70のノズル72が処理槽41(内槽43)内に噴出する処理液の流れの時間的な変化の一例を示す図である。ノズル72は、処理液の噴出方向を振動させつつ基板W側に処理液を噴出するので、基板W上の処理液の流れは、一定とならず、時間的に変動する。これにより、基板W上に発生する渦(渦の中心)の位置も時間的に変動する。また、処理槽41内の処理液の流れが時間的に変動するので、処理槽41内の処理液の濃度分布および温度分布が均一化される。
【0054】
図8、
図9は、噴出管70と、処理槽41に収容される複数の基板Wの配置関係の一例を説明するための図である。
【0055】
図8に示される例では、各ノズル72の流入口73、噴出口74が、基板Wの配列方向(筒状体71の軸方向)において、隣り合う基板Wの中央に位置するように各ノズル72が筒状体71に設けられている。基板処理装置1は、例えば、50枚の基板Wを一括して処理槽41内に収容して処理するので、噴出管70は、約50個のノズル72を備える。
【0056】
図9に示される例では、基板Wの配列方向において、隣り合う基板Wの間に、2つのノズル72の流入口73、噴出口74が位置するように各ノズル72が筒状体71に設けられているので、噴出管70は、約100個のノズル72を備える。隣り合う基板Wの間に3個以上の噴出口74が位置するように噴出管70が複数のノズル72を備えてもよい。また、隣り合う基板W同士の間に複数の噴出口74が位置すれば、基板W上における処理液の流れを、より効率良く時間的に変動させることができる。
【0057】
図2〜
図3、
図8、
図9に示される例では、複数のノズル72が筒状体71の軸方向に沿って等間隔で設けられているが、等間隔で設けられなくてもよい。この場合には、例えば、処理槽41の周壁や底壁に対する位置関係等によって処理槽41の収容空間の中で処理液が滞留しやすい部分に隣り合って配列される基板W同士の間に位置する噴出口74の個数が増加するように各ノズル72が設けられる。
【0058】
<3.噴出管の他の実施形態>
図10〜
図13は、他の実施形態に係る噴出管70A〜70Dの構成例を示す断面図である。
図10〜
図13には、噴出管70A〜70Dの正面断面図と側面断面図とが示されている。基板処理装置1が噴出管70に代えて、例えば、噴出管70A〜70Dを備えてもよい。噴出管70A〜70Dは、ノズル72A〜72Dをそれぞれ備えており、処理槽41内に噴出管70と同様に配設される。また、噴出管70A〜70Dは、複数のノズルをそれぞれ備えているが、これらのノズルは、噴出管70における複数のノズル72と同様に配置される。
【0059】
図10に示される噴出管70Aと、噴出管70との違いは、噴出管70Aが噴出管70のノズル72に代えてノズル(「フリップフロップノズル」)72Aを備えることである。ノズル72Aは、ノズル72の連結ダクト75に代えて連結ダクト76を備えることを除いてノズル72と同様に構成されている。連結ダクト76は、連結ダクト75の一対の側壁部75a、75b、外周壁部75cに代えて一対の側壁部76a、76b、外周壁部76cを備えている。
【0060】
図11に示される噴出管70Bと、噴出管70との違いは、噴出管70Bが、噴出管70の筒状体71に代えて筒状体71Bを備えるとともに、噴出管70のノズル72に代えてノズル(「フリップフロップノズル」)72Bを備えることである。筒状体71Bは、断面矩形の角筒状である。ノズル72Bは、ノズル72の連結ダクト75に代えて連結ダクト77を備えることを除いてノズル72と同様に構成されている。連結ダクト77は、連結ダクト75の一対の側壁部75a、75b、外周壁部75cに代えて一対の側壁部77a、77b、外周壁部77cを備えている。
【0061】
連結ダクト76(77)の一対の側壁部76a、76b(77a、77b)の一方の側壁部76b(77b)は、筒状体71の中心軸と交差(直交)する平面に沿って筒状体71(71B)の周壁から立設されており、他方の側壁部76a(77a)は、一方の側壁部76b(77b)との間隔が流入口73から連結ダクト76(77)の周方向に沿って遠ざかるにつれて拡がるように当該周方向において湾曲している。
【0062】
すなわち、連結ダクト76(77)の一対の側壁部76a、76b(77a、77b)および外周壁部76c(77c)と、筒状体71(71B)の周壁とに囲まれた環状の流路80の断面積は流入口73から連結ダクト76(77)の周方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなっている。
【0063】
より具体的には、
図10、
図11において、正面断面図に記載の角度θは、筒状体71(71B)の中心軸から噴出口74の中心に延びる第1の半直線と、筒状体71(71B)の中心軸からノズル72A(72B)の外周壁部76c(77c)上の点に延びる第2の半直線とがなす角度である。外周壁部76c上の各点は、第2の半直線と外周壁部76cとの交点として表現される。反時計回り方向の回転角度の符号を正とすると、角度θの範囲は、−180°〜180°となる。角度θが0°のときに、第2の半直線は、第1の半直線と一致する。角度が−180°と180°のときには、第2の半直線は、筒状体71(71B)の中心軸に対して、第1の半直線と線対称となる。
【0064】
連結ダクト76(77)の他方の側壁部76a(77a)上の各点と、一方の側壁部76b(77b)との間隔は、他方の側壁部76a(77a)上の各点を通る第2の半直線が第1の半直線となす角度θの絶対値に比例して拡がっている。
【0065】
連結ダクト76(77)においては、流路80の断面積が、流入口73から連結ダクト76(77)の周方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなっているので、流路80を通過する処理液が流路80から受ける抵抗を減少させることができる。
【0066】
図10、
図11の例では、一方の側壁部76b(77b)は、筒状体71(71B)の中心軸と交差(直交)する平面に沿って筒状体71(71B)の周壁から立設されているが、筒状体71(71B)の中心軸と直交する平面に関して、一方の側壁部76b(77b)が、湾曲している他方の側壁部76a(77a)と、例えば、面対称となるように形成されていてもよい。また、
図10、
図11の例とは逆に、一方の側壁部76b(77b)が湾曲しており、他方の側壁部76a(77a)が平面に沿っていてもよい。
【0067】
図12に示される噴出管70Cと、噴出管70との違いは、噴出管70Cが噴出管70のノズル72に代えてノズル(「フリップフロップノズル」)72Cを備えることである。ノズル72Cは、ノズル72の噴出口74に代えて噴出口74Cを備えることを除いてノズル72と同様に構成されている。
【0068】
噴出口74Cの連結ダクト75側の開口は、噴出口74の連結ダクト75側の開口と同様に形成されている。また、噴出口74Cは、噴出口74と同様に外周壁部75cの一部(基板Wの周縁に対向する一部)を貫通して形成されている。しかし、噴出口74Cは、流入口73に対向する断面矩形の筒状に形成されており、外周壁部75cに対して連結ダクト75(筒状体71)の径方向の外側に突出している。より詳細には、噴出口74Cは、筒状体71の軸に垂直な切断面における断面が台形の角筒状に構成されており、その先端に向かう(基板W側に向かう)につれて連結ダクト75の周方向(筒状体71の周方向)の幅が拡大する。
【0069】
図13に示される噴出管70Dと、噴出管70との違いは、噴出管70Dが噴出管70のノズル72に代えてノズル(「フリップフロップノズル」)72Dを備えることである。ノズル72Dは、ノズル72の噴出口74、連結ダクト75に代えて噴出口74D、連結ダクト78を備えることを除いてノズル72と同様に構成されている。
【0070】
連結ダクト78は、連結ダクト75の一対の側壁部75a、75bと外周壁部75cに代えて、一対の側壁部78a、78bと外周壁部78cとを備える。一対の側壁部78a、78bは、一対の側壁部75a、75bに比べて筒状体71の径方向に短い。外周壁部78cは、外周壁部75cよりも肉厚である、すなわち、外周壁部75cよりも外周壁部78cの径方向の幅が大きい。また、外周壁部78cの厚みは、筒状体71の周壁の厚みよりも大きい。そして、噴出口74Dは、外周壁部78cの一部(基板Wの周縁に対向する一部)を貫通して形成されている。噴出口74Dは、筒状体71の軸に垂直な切断面における断面が台形の角孔状に構成されており、その先端に向かう(基板W側に向かう)につれて連結ダクト78の周方向(筒状体71の周方向)の幅が拡大する。
【0071】
図12(
図13)のノズル72C(72D)によれば、筒状体71の径方向において、噴出口74C(74D)の周壁は、流入口73の周壁よりも長いので、噴出口74C(74D)においてコアンダ効果が得られやすくなっている。
【0072】
図14は、
図3の噴出管70が含むノズル72のシミュレーション結果である。
図14では、流入口73の中心と噴出口74の中心とを結ぶ方向が横向きになるようにノズル72が示されている。
図15は、
図14のシミュレーションにおけるノズル72の各部のサイズを示す断面図である。
図15では、正面断面図と側面断面図とが示されている。
【0073】
ノズル72の半径r1は、19mmである。角度θ1は、筒状体71の中心軸に沿って見たときに、筒状体71の中心軸と噴出口74の壁面74aとを結ぶ直線と、当該中心軸と噴出口74の壁面74bとを結ぶ直線とがなす角度であり、θ1は、15°である。筒状体71の周方向における流入口73の幅d1は、0.5mmである。筒状体71の径方向における流路80の幅d2は、4.5mmである。筒状体71の径方向において、流入口73の幅d3は、2.5mmであり、噴出口74の幅d4は、2mmである。流入口73と噴出口74のそれぞれの筒状体71の軸方向における長さd5は、1.5mmである。
【0074】
図14のシミュレーション結果は、一定の間隔の3つの時刻におけるノズル72の内部および周囲の各部における処理液の流れの向きを図中の各矢印にて示している。噴出口74から噴出する処理液の液流は、壁面74bに沿って流出した後、一定時間の経過後に壁面74aに沿って流出し、さらに一定時間の経過後に、再び、壁面74bに沿って流出している。このシミュレーション結果からノズル72が噴出する処理液の噴出方向が振動していることが判る。すなわち、ノズル72が噴出する処理液の液流の自励振動が実現されることが判る。
【0075】
図16は、他の実施形態に係る噴出管70Eの一部を拡大して示す斜視図である。
図17は、筒状体71の中心軸と垂直な切断面における噴出管70Eの断面図である。
【0076】
上述した基板処理装置1は、ノズル72(72A〜72D)を含む噴出管70(70A〜70D)を備え、ノズル72(72A〜72D)は、連結ダクト75(76〜78)を備え、連結ダクト75(76〜78)は筒状体71(71B)の周壁に隣接して、筒状体71(71B)の周方向に延在している。しかし、
図16、
図17に示されるように、基板処理装置1が、例えば、噴出管70に代えて、噴出管70Eを備え、噴出管70Eが、筒状体71と、筒状体71に設けられた少なくとも1つのノズル(「フリップフロップノズル」)72Eを備えていてもよい。
図16、
図17の例では、噴出管70Eは、複数のノズル72Eを備えている。
【0077】
当該複数のノズル72Eは、筒状体71から処理槽41内の基板W(不図示)側にそれぞれ突出して、筒状体71の中心軸に沿って一列に配列されている。ノズル72Eは、ノズル72の流入口73、噴出口74、および連結ダクト75に代えて、流入口73E、噴出口74E、および連結ダクト75Eを備えている。連結ダクト75Eは、筒状体71の軸方向と直交する軸を取り囲む矩形状の配設経路に沿って延在している。
図16の例では、筒状体71から各ノズル72Eに処理液を供給しているが、各ノズル72Eについて、当該ノズルのみに処理液を供給する専用の供給管が筒状体71に代えて設けられてもよい。
【0078】
以上のように構成された本実施形態に係る基板処理装置によれば、処理液を収容し、当該処理液に浸漬された基板Wに処理を施す処理槽41と、処理液を供給する処理液供給源65と、処理槽41に収容された基板Wの下方に設けられ、処理液供給源65が供給する処理液を、その噴出方向を振動させつつ処理槽41内に噴出するノズル72と、を備える。従って、処理槽41内の一定の位置に処理液の渦が生ずることを抑制できる。
【0079】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、ノズル72は、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させる。従って、ノズル72が噴出する処理液によって基板Wが損傷することを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、ノズル72は、流入口73から流入し噴出口74へ向かう処理液の流れを横切る環状の流路80を形成する連結ダクト75を備え、流入口73から噴出口74に流れる処理液により生じた圧力差によって環状の流路80を流れる処理液を駆動して噴出口74から噴出する処理液の噴出方向を振動させ、流入口73から噴出口74へ向かう処理液の流れを環状の流路80が横切る方向は、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行である。従って、ノズル72は、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させることができるので、ノズル72が噴出する処理液によって基板Wが損傷することを抑制できる。
【0081】
また、本実施形態に係る基板処理装置と、以上のように構成された本実施形態に係る噴出管の何れによっても、連結ダクト75は、筒状体71をその周方向に沿って取り囲むように筒状体71の周壁から外側にそれぞれ立設されて、流入口73を間に挟む環状の一対の側壁部75a、75bと、筒状体71の周壁のうち一対の側壁部75a、75bの間の部分周壁に対向して一対の側壁部75a、75bによって囲まれる空間を閉塞する外周壁部75cとを含んでいる。すなわち、連結ダクト75は筒状体71の周壁に隣接して、筒状体71の周方向に延在する。筒状体71が周方向に延在することにより、連結ダクトが筒状体71の軸方向に延在するフリップフロップノズルを備える噴出管に比べて、筒状体71の軸方向における連結ダクト75の長さを短くできる。また、連結ダクト75が筒状体71の周壁に隣接しててることにより、連結ダクトが筒状体71の軸方向に延在するフリップフロップノズルを備える噴出管に比べて、筒状体71の径方向における連結ダクト75の突出量を小さくできる。従って、筒状体71の軸方向に複数のノズル72を設ける場合にノズル72の個数、すなわち流入口73および噴出口74の個数を増やすことができるとともに、筒状体71とノズル72とを含む噴出管70を小さくできる。
【0082】
また、本実施形態に係る基板処理装置によれば、筒状体71は、処理槽41に収容された基板Wの主面を含む平面を貫通する方向に延在し、連結ダクト75の一対の側壁部75a、75bおよび外周壁部75cと、筒状体71の周壁とに囲まれた環状の流路80は、基板Wの主面と平行である。従って、流入口73から噴出口74へ向かう処理液の流れを環状の流路80が横切る方向は、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行になる。従って、ノズル72は、処理槽41に収容された基板Wの主面と平行な面に沿って処理液の噴出方向を振動させることができるので、ノズル72が噴出する処理液によって基板Wが損傷することを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態に係る基板処理装置と、本実施形態に係る噴出管の何れによっても、連結ダクト76(77)の一対の側壁部76a、76b(77a、77b)および外周壁部76c(77c)と、筒状体71(71B)の周壁とに囲まれた環状の流路80の断面積は流入口73から連結ダクト76(77)の周方向に沿って遠ざかるにつれて大きくなっている。従って、環状の流路80を流れる処理液が受ける抵抗を減少させることができるので、流入口73から噴出口74に流れる処理液により生じた圧力差によって環状の流路80を流れる処理液を駆動することが容易になり、噴出口74から噴出する処理液の噴出方向を振動させることが容易になる。
【0084】
また、本実施形態に係る基板処理装置と、本実施形態に係る噴出管の何れによっても、連結ダクト76(77)の一対の側壁部76a、76b(77a、77b)の一方の側壁部76b(77b)は、筒状体71(71B)の中心軸と交差する平面に沿って筒状体71(71B)の周壁から立設されており、他方の側壁部76a(77a)は、一方の側壁部76b(77b)との間隔が流入口73から連結ダクト76(77)の周方向に沿って遠ざかるにつれて拡がるように当該周方向において湾曲している。従って、例えば、連結ダクト76(77)を溶接によって筒状体71(71B)に取り付ける場合に、取付作業が容易になる。
【0085】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての態様において例示であって限定的ではない。したがって、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。