(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0011】
図1は、実施の形態に係る文書作成支援装置100を備える文書作成支援システム2の構成を示す模式図である。
【0012】
運用会社A〜運用会社Cは、投資信託を運用する会社である。運用会社は、原則的に投資信託の決算を迎えるごとに投資信託の運用報告書を交付する。文書作成支援会社は、運用会社から運用報告書の作成を委託されている会社である。文書作成支援会社は、本実施の形態では、印刷会社A〜印刷会社Cとともに運用報告書を作成する。もちろん、文書作成支援会社は、印刷会社以外とともに運用報告書を作成してもよい。
【0013】
文書作成支援会社が投資信託に関するデータ(以下、「部品データ」とよぶ)を印刷会社に提供し、印刷会社がその部品データの内容が掲載された運用報告書を作成する。文書作成支援会社は、印刷会社が作成した運用報告書に不備がないか確認する。不備がある場合、印刷会社がその不備を修正する。文書作成支援会社は、修正された運用報告書に不備がないか確認する。不備がある場合、再度印刷会社がその不備を修正する。文書作成支援会社は、このようにして作成された運用報告書を運用会社に納品する。運用会社は納品された運用報告書を投資家に交付する。
【0014】
文書作成支援システム2は、文書作成支援装置100と、支援会社端末200で総称される社員端末200a、派遣社員端末200b、子会社社員端末200cと、印刷会社端末300で総称される印刷会社端末300a、印刷会社端末300b、・・・、印刷会社端末300cと、印刷会社装置310で総称される印刷会社装置310a、印刷会社装置310b、・・・、印刷会社装置310cと、運用会社端末400で総称される運用会社端末400a、運用会社端末400b、・・・、運用会社端末400cと、を備える。
【0015】
文書作成支援装置100は、運用報告書の作成、運用報告書の作成の進捗管理、および運用報告書を作成するプロセスの改善活動、を支援する。文書作成支援装置100の詳細な機能構成は、
図3に関連して後述する。文書作成支援装置100は、運用会社とは異なる事業者である文書作成支援会社により管理される。
【0016】
社員端末200a、派遣社員端末200b、子会社社員端末200cはそれぞれ、文書作成支援会社の社員、派遣社員、子会社の社員により操作される情報処理装置であり、例えばPC、タブレット端末である。子会社社員端末200cは、遠隔地に、たとえば海外にある子会社のオフィスに設置されてもよい。
【0017】
印刷会社端末300は、印刷会社の社員等により操作される情報処理装置であり、例えばPC、タブレット端末である。印刷会社装置310は、印刷会社が管理する情報処理装置である。印刷会社端末300は、印刷会社装置310と接続されている。
【0018】
運用会社端末400は、運用会社の社員等により操作される情報処理端末であり、例えばPC、タブレット端末である。
【0019】
図2は、運用報告書の作成フローを示す模式図である。運用報告書の作成フローは、部品作成フェーズF1と、運用報告書(全体版)作成フェーズF2と、交付運用報告書作成フェーズF3と、に大別される。
【0020】
部品作成フェーズF1では、文書作成支援会社が、運用報告書を作成する投資信託の部品データすなわち運用報告書に掲載されるべき部品データを作成する。部品データは、例えば、決算期、決算日、運用実績、基準価格の推移、などのデータである。作成された部品データは、印刷会社に提供される。
【0021】
運用報告書(全体版)作成フェーズF2では、運用報告書(全体版)を作成する。運用報告書(全体版)作成フェーズF2は、初校作成フェーズF21と、初校単純確認フェーズF22と、初校有識者確認フェーズF23と、修正フェーズF24と、再校確認フェーズF25と、流用フェーズF26と、流用確認フェーズF27と、を含む。
【0022】
初校作成フェーズF21では、印刷会社が、部品データの内容が掲載された運用報告書(全体版)の初校を作成する。作成された運用報告書(全体版)の初校は、文書作成支援会社に納品される。
【0023】
初校単純確認フェーズF22では、文書作成支援会社が、作成された運用報告書(全体版)に不備がないか単純チェックする。単純チェックは、文書作成支援会社の子会社の社員または派遣社員により実施される。もちろん、文書作成支援会社の社員によって実施されてもよい。単純チェックは、投資信託に関する特別な知識を有しない担当者でも実施できるチェックすなわち形式面のチェックをいう。単純チェックでは例えば、運用報告書(全体版)に記載されている情報が部品データと一致しているかチェックする。また例えば、漢字誤変換や助詞の誤りなどの誤字や、脱字がないかをチェックする。また例えば、表が崩れている、ページの余白が広すぎる、などの体裁不備がないかチェックをする。また例えば、予め定められたルールに基づいて、記載内容の整合性が取れているかチェックする。一例としては、特定の金融商品を投資対象に含む投資信託の場合、運用実績を示す表に所定の備考を付す必要があるところ、その金融商品を投資対象に含む場合に備考が付されていること、逆にその金融商品を投資対象に含まない場合に備考が付されていないこと、をチェックする。
【0024】
初校有識者確認フェーズF23では、文書作成支援会社が、作成された運用報告書(全体版)に不備がないか有識者チェックをする。有識者チェックは、文書作成支援会社の社員、特に投資信託に関する豊富な知識を有する有識者により実施される。もちろん、有識者であれば、子会社の社員や派遣社員によって実施されてもよい。有識者チェックでは、単純チェックに加えて、運用報告書(全体版)版に記載されている情報の実質面(内容)のチェックを実施する。例えば、法的根拠、整合性の観点、商品上の観点、市場動向/マーケット/ニュース等の観点で確認する。
【0025】
初校単純確認フェーズF22、初校有識者確認フェーズF23で発見された不備に対する指摘や修正指示が運用報告書(全体版)に書き込まれ、印刷会社に提供される。以下、不備に対する指摘や修正指示を「赤入れ情報」ともよび、赤入れ情報を書き込むことを「赤入れする」ともよび、赤入れされた運用報告書を「赤入れ運用報告書」ともよぶ。
【0026】
修正フェーズF24では、印刷会社が、赤入れ運用報告書(全体版)を基に、運用報告書(全体版)の不備を修正する。修正された運用報告書(全体版)すなわち運用報告書(全体版)の再校は、文書作成支援会社に納品される。
【0027】
再校確認フェーズF25では、文書作成支援会社が、初校単純確認フェーズF22および初校有識者確認フェーズF23で発見した不備が正しく修正されているかチェックする。再校確認フェーズF25で不備が発見された場合、修正フェーズF24に戻る。
【0028】
流用フェーズF26では、印刷会社が、交付運用報告書の内容の一部を運用報告書(全体版)に取り込む。
【0029】
流用確認フェーズF27では、文書作成支援会社が、交付運用報告書から流用した記載について、流用対象が誤っていないか、流用したことにより表が崩れるなどの体裁不備が生じていないか、流用した内容に誤字や脱字がないかチェックする。流用確認フェーズF27で不備が発見された場合、流用フェーズF26に戻る。
【0030】
不備が発見されなくなれば、運用報告書(全体版)は完成となる。完成した運用報告書(全体版)は、運用会社に納品される。
【0031】
交付運用報告書作成フェーズF3では、交付運用報告書を作成する。交付運用報告書作成フェーズF3は、初校作成フェーズF31と、初校単純確認フェーズF32と、初校有識者確認フェーズF33と、修正フェーズF34と、再校確認フェーズF35と、を含む。初校作成フェーズF31、初校単純確認フェーズF32、初校有識者確認フェーズF33、修正フェーズF34、再校確認フェーズF35はそれぞれ、初校作成フェーズF21、初校単純確認フェーズF22、初校有識者確認フェーズF23、修正フェーズF24、再校確認フェーズF25に対応する。運用報告書(全体版)を交付運用報告書に読み替えればよい。
【0032】
図3は、文書作成支援装置100の機能および構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0033】
文書作成支援装置100は、インタフェース部102と、文書作成支援部104と、進捗管理部106と、プロセス改善活動支援部108と、運用報告書基本情報保持部110と、を含む。
【0034】
インタフェース部102は、TCP/IPプロトコルなどの通信プロトコルにしたがい支援会社端末200、印刷会社端末300、および運用会社端末400と通信する。
【0035】
運用報告書基本情報保持部110は、運用報告書に関する基本情報を保持する。
図4は、運用報告書基本情報保持部110のデータ構造図である。運用報告書基本情報保持部110は、運用報告書を作成する対象である投資信託を一意に識別する投資信託コード602と、運用報告書(全体版)か交付運用報告書かを示す運用報告書種別604と、その投資信託を運用する運用会社606と、その運用報告書を作成する印刷会社608と、を対応付けて保持する。
【0036】
(文書作成支援部について)
文書作成支援部104は、運用報告書の作成を支援する。文書作成支援部104は、生データ取得部112と、部品データ作成部114と、部品データ記録部116と、部品データ保持部118と、部品データ提供部120と、運用報告書取得部122と、運用報告書記録部124と、運用報告書保持部126と、運用報告書提供部128と、赤入れ報告書提供部130と、運用報告書納品部132と、を含む。
【0037】
部品データ保持部118は、運用報告書に掲載されるべきデータを保持する。部品データ保持部118は、投資信託コードと、その投資信託の部品データと、その部品データがどの決算期の部品データであるかを示す決算期情報と、を対応付けて保持する。
【0038】
生データ取得部112は、運用報告書を作成する投資信託に関するデータであって部品データの基となるデータ(以下、「生データ」とよぶ)を外部システム(不図示)からダウンロードする。生データ取得部112は例えば、支援会社端末200によって指定された投資信託の生データを外部システムからダウンロードする。外部システムは例えば、株式会社野村総合研究所が提供するT−STAR(登録商標)である。生データ取得部112は、支援会社端末200からアップロードされた生データを取得してもよい。この場合、生データを外部システムから支援会社端末200にダウンロードし、それを文書作成支援装置100にアップロードする。
【0039】
部品データ作成部114は、生データ取得部112が取得した生データをそのまま運用報告書に掲載できるデータに成形する、すなわち部品データを作成する。
【0040】
部品データ記録部116は、部品データ作成部114が作成した部品データと、投資信託コードと、決算期情報と、を対応付けて部品データ保持部118に記録する。
【0041】
部品データ提供部120は、印刷会社の社員等の電子メールアドレス宛に、部品データをダウンロードできる状態になったことを示す電子メールを送信する。例えば部品データ提供部120は、支援会社端末200を介して入力された文書作成支援会社の社員等の指示を契機に電子メールを送信してもよいし、部品データが部品データ保持部118に記録されたことを契機に電子メール送信してもよい。
【0042】
部品データ提供部120は、印刷会社端末300から部品データのダウンロード要求を受け付けると、対応する部品データを印刷会社端末300に送信する。運用報告書では、掲載する内容によっては、例えば前回期のデータなどの過去の決算期のデータを掲載するものもある。したがって、部品データ提供部120は、所定のデータについては、今回期のデータに加えて過去の決算期のデータも送信する。
【0043】
印刷会社の社員等は、ダウンロードした部品データに基づいて、印刷会社端末300または印刷会社装置310により運報告書を作成し、作成した運用報告書を文書作成支援装置100にアップロード(納品)する。本実施の形態では、運用報告書は、PDF形式で納品される。
【0044】
運用報告書保持部126は、投資信託コードと、運用報告書と、赤入れ運用報告書と、を対応付けて保持する。
【0045】
運用報告書取得部122は、印刷会社端末300がアップロードした運用報告書を取得する。また、運用報告書取得部122は、後述のように支援会社端末200がアップロードする赤入れ運用報告書を取得する。
【0046】
運用報告書記録部124は、運用報告書取得部122が取得した運用報告書を、投資信託コードと対応付けて運用報告書保持部126に記録する。また、運用報告書記録部124は、運用報告書取得部122が取得した運用報告書を、その基となった運用報告書と対応付けて運用報告書保持部126に記録する。
【0047】
運用報告書提供部128は、文書作成支援会社の社員等の電子メールアドレス宛に、運用報告書がダウンロードできる状態になったことを示す電子メールを送信する。例えば運用報告書提供部128は、印刷会社端末300を介して入力された印刷会社の担当者の指示を契機に電子メールを送信してもよいし、運用報告書が運用報告書保持部126に記録されたことを契機に電子メールを送信してもよい。運用報告書提供部128は、支援会社端末200から運用報告書のダウンロード要求を受け付けると、対応する運用報告書を支援会社端末200に送信する。
【0048】
文書作成支援会社の社員等(例えば派遣社員や子会社の社員)は、支援会社端末200にダウンロードされた運用報告書を印刷して、運用報告書の単純チェックを実施し、不備がある場合は赤入れする。また、文書作成支援会社の社員等(例えば社員)は、単純チェックで使用された運用報告書の印刷を用いて有識者チェックを実施し、不備がある場合は赤入れする。文書作成支援会社の社員等は、赤入れした運用報告書(すなわち赤入れ運用報告書)をスキャナ等で支援会社端末200に取り込み、文書作成支援装置100にアップロードする。
【0049】
赤入れ報告書提供部130は、運用報告書への赤入れが完了すると、印刷会社の社員等の電子メールアドレス宛に、赤入れ運用報告書をダウンロードできる状態になったことを示す電子メールを送信する。そして赤入れ報告書提供部130は、印刷会社端末300から赤入れ運用報告書のダウンロード要求を受け付けると、対応する赤入れ運用報告書(すなわち修正指示)を印刷会社端末300に送信する。印刷会社の社員等は、ダウンロードした赤入れ運用報告書に基づき、印刷会社端末300または印刷会社装置310により運用報告書を修正し、修正した運用報告書を文書作成支援装置100にアップロード(納品)する。
【0050】
運用報告書納品部132は、運用会社の社員等の電子メールアドレス宛に、運用報告書の作成が完了し納品できる状態になったこと、すなわち運用報告書をダウンロードできる状態になったことを示す電子メールを送信する。そして運用報告書提供部128は、運用会社端末400から運用報告書のダウンロード要求(すなわち納品要求)を受け付けると、対応する運用報告書を運用会社端末400に送信(納品)する。運用会社は、納品された運用報告書を投資家に交付する。
【0051】
文書作成支援部104の処理をまとめると、文書作成支援部104はまず、指定された投資信託の生データを外部システムからダウンロードし、それを成形して部品データを作成し、印刷会社端末300に送信する。印刷会社は、部品データに基づいて運用報告書を作成する。文書作成支援部104は、作成された運用報告書を印刷会社端末300から受信し、それを支援会社端末200に送信する。文書作成支援会社の社員等は、支援会社端末200に送信された運用報告書を印刷し、不備がないかチェックする。不備がある場合、赤入れする。文書作成支援部104は、赤入れ運用報告書を支援会社端末200から受信し、修正指示としてその赤入れ運用報告書を印刷会社端末300に送信する。印刷会社は、赤入れ運用報告書に基づいて運用報告書を修正する。文書作成支援部104は、修正された運用報告書を印刷会社端末300から受信し、それを支援会社端末200に送信する。文書作成支援会社の社員等は、支援会社端末200に送信された運用報告書を印刷し、不備がないかチェックする。不備がある場合、赤入れする。文書作成支援部104は、赤入れ運用報告書を支援会社端末200から受信し、再度、修正指示としてその赤入れ運用報告書を印刷会社端末300に送信する。このようなやりとりが不備がなくなるまで繰り返され、運用報告書が完成する。文書作成支援部104は、完成した運用報告書を印刷会社端末300に送信(納品)する。
【0052】
以上説明した文書作成支援部104によると、運用報告書は、運用会社とは異なる事業者である文書作成支援会社により作成され、運用会社に納品される。これにより、運用会社の負担が軽減される。
【0053】
(進捗管理部について)
進捗管理部106は、運用報告書の作成の進捗を管理する。進捗管理部106は、進捗データ取得部134と、進捗データ記録部136と、進捗データ保持部138と、進捗表示制御部140と、を含む。
【0054】
進捗データ保持部138は、運用報告書の作成の進捗状況を示すデータを保持する。このデータは、進捗管理画面502(
図5で後述)で示される各種情報項目であり、例えば、投資信託コード、運用会社、作業項目、担当者、ステータス等を含む。
【0055】
進捗データ取得部134は、進捗管理画面502において社員等が編集(入力)した進捗状況のデータを支援会社端末200から受け付ける。
【0056】
進捗データ記録部136は、進捗データ取得部134が受け付けたデータを進捗データ保持部138に記録する。
【0057】
進捗表示制御部140は、進捗情報保持部を参照して、運用報告書の作成の進捗状況を示す進捗管理画面502を支援会社端末200に送信して表示させる。
図5は、進捗管理画面502を示す図である。進捗管理画面502は、投資信託コード欄と、運用会社欄と、作業項目欄と、担当者欄と、ステータス欄と、開始予定日欄と、終了予定日欄と、開始日欄と、開始時刻欄と、終了日欄と、終了時刻欄と、作業時間と、を含む。
【0058】
運用会社欄には、投資信託を運用している運用会社が表示される。作業項目欄には、運用報告書を作成するための作業項目であって、
図2で示した各フェーズに対応する作業項目が表示される。開始日欄、開始時刻欄にはそれぞれ、実際に作業を開始した日にち、時刻が表示される。終了日欄、終了時刻欄には、実際に作業が終了した日にち、時刻が表示される。
【0059】
以上説明した進捗管理部106によると、文書作成支援会社の社員等は、各運用報告書の進捗状況を把握できる。また、印刷会社の担当者や運用会社の担当者に例えば参照専用で進捗管理画面502を提供することにより、印刷会社の担当者や運用会社の担当者が各運用報告書の進捗状況を把握することも可能となる。
【0060】
(プロセス改善活動支援部について)
プロセス改善活動支援部108は、運用報告書の品質や納期を改善するために必要となる情報を提供する。プロセス改善活動支援部108は、納期情報取得部142と、赤入れ情報取得部144と、作業詳細情報取得部146と、集計部148と、集計結果表示制御部150と、納期情報保持部152と、赤入れ基本情報保持部154と、初校赤入れ情報保持部156と、再校赤入れ情報保持部158と、作業詳細情報保持部160と、を含む。
【0061】
納期情報保持部152は、運用報告書の納期に関する情報を保持する。
図6は、納期情報保持部152のデータ構造図である。納期情報保持部152は、投資信託コード610と、運用報告書種別612と、印刷会社から文書作成支援会社への初校納品予定日時を示す印刷会社初校納品予定日時614と、印刷会社から文書作成支援会社への実際の初校納品日時を示す印刷会社初校納品日時616と、文書作成支援会社から運用会社への納品予定日618と、実際の納品日620と、を対応付けて保持する。
【0062】
赤入れ基本情報保持部154は、赤入れに関する情報を保持する。
図7は、赤入れ基本情報保持部154のデータ構造図である。赤入れ基本情報保持部154は、投資信託コード622と、運用報告書種別624と、運用会社への納品予定日626と、運用報告書に赤入れされた重大な不備の件数である赤入れ件数(重大)628と、運用報告書に赤入れされた軽微な不備の件数である赤入れ件数(軽微)630と、運用報告書が完成するまでに印刷会社が修正した回数、すなわち文書作成支援会社と印刷会社との間で発生した修正のやりとりの回数である校正回数632と、運用報告書の納品後に運用会社により指摘された運用報告書の重大な不備の件数である顧客指摘不備件数(重大)634と、軽微な不備の件数である顧客指摘不備件数(軽微)636と、を対応付けて保持する。
【0063】
初校赤入れ情報保持部156は、初校の赤入れに関する情報を保持する。
図8は、初校赤入れ情報保持部156のデータ構造図である。初校赤入れ情報保持部156は、投資信託コード638と、運用報告書種別640と、運用会社への納品予定日642と、単純確認を担当した担当者(例えば文書作成支援会社の派遣社員、子会社社員)を示す単純確認担当者644と、単純確認で赤入れされた重大な不備の件数を示す初校赤入れ件数(重大)646と、単純確認で赤入れされた軽微な不備の件数を示す初校赤入れ件数(軽微)648と、有識者確認を担当した担当者(例えば文書作成支援会社の社員)を示す有識者確認担当者650と、有識者確認の結果赤入れされた不備の件数を示す初校有識者赤入れ件数652と、単純確認で赤入れされた不備のうち有識者確認でも赤入れされた不備の件数(以下、「赤入れ一致件数」とよぶ)である初校赤入れ一致件数654と、有識者確認では赤入れされたが単純確認では赤入れされなかった不備および単純確認では赤入れされたが有識者確認では赤入れされなかった不備の合計の件数、すなわち単純確認と有識者確認とで不一致な赤入れの件数(以下、「赤入れ不一致件数」とよぶ)を示す初校赤入れ不一致件数656と、不備を引き起こした担当者(例えば部品データ作成を担当した社員等や印刷会社)を示す起因者658と、を対応付けて保持する。
【0064】
再校赤入れ情報保持部158は、再校の赤入れに関する情報を保持する。
図9は、再校赤入れ情報保持部158のデータ構造図である。再校赤入れ情報保持部158は、投資信託コード660と、運用報告書種別662と、運用会社への納品予定日664と、運用報告書の再校確認を担当した担当者(例えば文書作成支援会社の社員)を示す再校確認担当者666と、再校確認で赤入れされた重大な不備を示す再校赤入れ件数(重大)668と、再校確認で赤入れされた軽微な不備を示す再校赤入れ件数(軽微)670と、を対応付けて保持する。
【0065】
作業詳細情報保持部160は、運用報告書を作成する作業に関する詳細な情報を保持する。
図10は、作業詳細情報保持部160のデータ構造図である。作業詳細情報保持部160は、投資信託コード672と、運用報告書種別674と、運用会社への納品予定日676と、運用報告書を作成するための作業であって
図2で示した各フェーズに対応する作業を示す作業項目678と、作業の担当者(すなわち、文書作成支援会社の社員等や印刷会社)を示す作業担当者680と、作業にかかった時間を示す作業時間682と、を対応付けて保持する。
【0066】
納期情報取得部142は、社員等により支援会社端末200に入力された、運用報告書の納期に関する情報を取得する。この情報は、納期情報保持部152の各種情報項目である。納期情報取得部142は、取得した情報を納期情報保持部152に記録する。
【0067】
赤入れ情報取得部144は、例えば運用報告書の作成後に社員等により収集され支援会社端末200に入力された、赤入れに関する情報を取得する。この情報は、赤入れ基本情報保持部154、初校赤入れ情報保持部156、再校赤入れ情報保持部158の各種情報項目である。赤入れ情報取得部144は、取得した情報を赤入れ基本情報保持部154、初校赤入れ情報保持部156、再校赤入れ情報保持部158に記録する。
【0068】
作業詳細情報取得部146は、進捗管理部106の進捗データ保持部138から、運用報告書を作成する各作業に関する情報を取得する。なお、作業詳細情報取得部146は、社員等により支援会社端末200に入力された各作業に関する情報を取得してもよい。この情報は、作業詳細情報保持部160の各種情報項目である。作業詳細情報取得部146は、取得した種情報を作業詳細情報保持部160に記録する。
【0069】
集計部148は、納期情報保持部152、赤入れ基本情報保持部154、初校赤入れ情報保持部156、再校赤入れ情報保持部158、および作業詳細情報保持部160と、運用報告書基本情報保持部110とを参照し、後述する
図11〜18の各画面に示される項目ごとに各種情報を集計する。
【0070】
集計結果表示制御部150は、集計部148による集計結果を示す各種画面を支援会社端末200に送信して表示させる。本実施の形態では、集計結果表示制御部150は、支援会社端末200からの指定に応じて、顧客指摘不備情報画面510、納期遵守情報画面520、担当者別納期遵守情報画面530、生産性情報画面540、校正回数画面550、初校赤入れ件数画面560、単純確認品質情報画面570、および印刷会社品質情報画面580を表示させる。文書作成支援会社の社員等は、これら各種画面を参照することにより、運用報告書を作成するプロセスに問題等がないか把握し、運用報告書の品質をより高めるための対策を検討する。
【0071】
図11は、顧客指摘不備情報画面510を示す。顧客指摘不備情報画面510には、運用会社から指摘された不備の件数であって、1投資信託あたりの重大度別の不備の件数511と、運用会社から指摘された不備の件数であって、運用会社別、かつ、重大度別の不備の件数512と、合計の不備件数513と、1投資信託あたりの不備件数514、運用報告書を作成した投資信託数515と、が表示される。
【0072】
図11を参照することにより例えば、運用会社ごとの運用報告書の品質を把握できる。
【0073】
図12は、納期遵守情報画面520を示す。納期遵守情報画面520には、運用会社への運用報告書の納期の遵守率521と、運用会社別の納期の予実差522と、が表示される。予実差522には、運用会社ごとに、運用報告書の納品数と、納品予定日と実際の納品日との日数差と、その日数差の平均と、が表示される。なお、マイナスの日数差は、納品予定日よりも前倒しで納品されたことを示している。
【0074】
図13は、担当者別納期遵守情報画面530を示す。
図13では、印刷会社の納期遵守率について表示しているが、他の担当者(例えば子会社)の納期遵守率を集計、表示してもよい。また、
図13では、印刷会社から文書作成支援会社への納期時間が8:40である場合について表示している。担当者別納期遵守情報画面530には、運用報告書種別531と、担当者532と、納期遵守率情報533と、が表示される。納期遵守率情報533には、担当者ごとに、担当した投資信託数と、納期時間である8:40までに納品された運用報告書(全体)の割合と、納期当日の12:00(納期時間は過ぎている)までに納品された運用報告書(全体)の割合と、納品の前倒し度合いを示す前倒し係数と、が表示される。前倒し係数は、担当した運用報告書(全体)について下記の評価値を合計し、担当した運用報告書(全体)の数で割ることによって算出される。マイナスの前倒し係数は、納品が遅れ気味であることを示している。
+1.0:納期の前営業日の8:40までに納品
+0.5:納期の前営業日の12:00までに納品
0 :納期通り、すなわち前営業日12:00〜納期当日8:40までに納品
−0.5:納期当日の8:40〜12:00に納品
−1.0:納期当日の12:00〜翌営業日8:40までに納品
【0075】
図12および
図13を参照することにより、例えば、各作業の人員が足りているか把握できる。また例えば、納期が遵守できていないものがある場合に、その原因となった担当者すなわち作業の進め方等を改善すべき担当者を把握できる。
【0076】
図14は、生産性情報画面540を示す。
図14では、初校有識者確認作業と初校単純確認作業の生産性に関する情報を表示しているが、他の作業の生産性に関する情報を集計、表示してもよい。生産性情報画面540には、作業の担当者541と、作業項目542と、1投資信託あたりの作業時間543と、を含む。作業時間543には、作業ごとに、1投資信託あたりの平均の作業時間と、1投資信託あたりの運用会社別の作業時間と、が表示される。
【0077】
図14を参照することにより、例えば、担当者の作業の進め方に問題がないか、すなわち効率的に作業を進められているか把握できる。また例えば、効率的に作業を進められるように対策を施した場合に、その効果を把握できる。また例えば、作業負荷が高い運用会社を把握できる。また、
図14に加えて後述の
図17を参照することにより、例えば、生産性が上がった結果、不備が多くなっていないか、すなわち、作業効率を重視するあまり作業品質が落ちていないか確認できる。
【0078】
図15は、校正回数画面550を示す。校正回数画面550には、運用報告書の校正回数の集計単位551と、集計単位ごとの1投資あたりの平均の校正回数552と、が表示される。
図15の例では、全運用報告書を集計した場合の1投資信託あたりの平均の校正回数と、運用会社別で集計した1投資信託あたりの校正回数と、印刷会社別で集計した1投資信託あたりの校正回数と、運用報告書別で集計した1投資信託あたりの校正回数と、が表示されている。
【0079】
図16は、初校赤入れ件数画面560を示す。初校赤入れ件数画面560には、運用報告書種別561と、初校の赤入れ件数の集計単位562と、集計単位ごとの1投資信託あたりの平均の初校の赤入れ件数563と、が表示される。
図16の例では、運用報告書(全体)と交付運用報告書のそれぞれについて、全運用報告書を集計した場合の1投資信託あたりの平均の初校の赤入れ件数と、運用会社別で集計した1投資信託あたりの初校の赤入れ件数と、印刷会社別で集計した1投資信託あたりの初校の赤入れ件数と、が表示されている。
【0080】
図17は、単純確認品質情報画面570を示す。
図17では、子会社による単純確認作業の品質に関する情報を示している。派遣社員による単純確認作業の品質についても同様に表示してもよい。単純確認品質情報画面570は、単純確認作業の担当者571と、その担当者による単純確認の品質情報572と、が表示される。品質情報572には、担当者が担当した投資信託数と、有識者確認での赤入れ件数と、赤入れ一致件数と、赤入れ不一致件数と、有識者確認での赤入れ件数に対する赤入れ一致件数の割合を示す赤入れ一致率と、不一致件数のうちの担当者(
図17の例では子会社)が起因の不一致件数と、担当者の責任達成率と、が表示される。責任達成率は、次式で算出される値であり、すべての運用報告書を集計した場合の値と、運用会社別の値が表示されている。
責任達成率=(赤入れ一致件数)/((赤入れ一致件数)+(担当者起因の不一致件数))
【0081】
図18は、印刷会社品質情報画面580を示す。印刷会社品質情報画面580は、印刷会社が担当した投資信託数581と、印刷会社が担当した運用報告書の初校の赤入れ件数582と、その赤入れ件数のうちの印刷会社起因の赤入れ件数583と、印刷会社の責任達成率584と、印刷会社起因の再校の赤入れ件数585と、1投資信託あたりの赤入れ件数586と、が表示される。1投資信託あたりの赤入れ件数586には、全運用報告書を集計した場合の1投資信託あたりの平均の赤入れ件数と、運用会社別で集計した1投資信託あたりの赤入れ件数と、が表示される。
【0082】
図15〜
図18を参照することにより、例えば、作業品質が低い作業フェーズ、作業品質が低い作業担当者を把握できる。
【0083】
以上、実施の形態に係る文書作成支援システムの構成と動作について説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0084】
(変形例1)
実施の形態では、運用報告書の単純確認を手作業で実施する場合について説明したが、これに限られず、文書作成支援装置100により実施されてもよい。また、実施の形態では、赤入れ件数を社員等が支援会社端末200に入力する場合について説明したが、これに限られず、文書作成支援装置100により赤入れ件数が計数されてもよい。
【0085】
図19は、変形例に係る文書作成支援装置100の機能および構成を示すブロック図である。本変形例では、文書作成支援部104は運用報告書チェック部162をさらに備える。
【0086】
運用報告書チェック部162は、運用報告書に不備がないか単純確認する。運用報告書チェック部162は、運用報告書変換部164と、データ比較部166と、体裁チェック部168と、整合性チェック部170と、赤入れ部172と、を含む。
【0087】
運用報告書変換部は、データ比較部、体裁チェック部および整合性チェック部が処理(すなわち単純確認)しやすいように、PDF形式の運用報告書をアスキー形式たとえばEXCEL形式に変換する。
【0088】
データ比較部は、運用報告書に掲載されているデータと、その基となった部品データとを比較し、異なる場合は不備として検出する。
【0089】
体裁チェック部は、運用報告書の体裁に関する不備を検出する。体裁チェック部は例えば、広すぎる余白すなわち所定のサイズ以上の余白を不備として検出する。
【0090】
整合性チェック部は、予め定められたルールに基づき、整合性がとれていない記載を不備として検出する。
【0091】
赤入れ部は、運用報告書記録部124からPDF形式の運用報告書を取得する。赤入れ部は、取得した運用報告書に、データ比較部、体裁チェック部および整合性チェック部の検出結果に基づいて赤入れする。赤入れ部は特に、赤入れ情報であることを識別できる態様で赤入れする。本変形例では、赤入れ部は、赤入れ情報の先頭に記号「★」を含めることによって赤入れ情報であることを識別できるようにする。なお、赤入れ部は、他の記号や文字(例えば「◆」、「(赤)」)を含めたり、赤入れ情報を特定の色(例えば「赤色」)で書き込むことによって赤入れ情報であることを識別できるようにしてもよい。
【0092】
プロセス改善活動支援部108の赤入れ情報取得部144は、本変形例では、赤い連用報告書から赤入れ件数を取得する。具体的には、赤入れ情報取得部144は、赤入れ運用報告書を画像解析して記号「★」を検出し、検出した記号「★」の数を赤入れ件数として取得する。
【0093】
本変形例によれば、運用報告書チェック部162により単純確認が実施される。また、運用報告書チェック部162により赤入れ件数が計数される。これにより、文書作成支援会社の社員等が手作業でこれらを実施する必要がなくなるため、負担が軽減される。
【0094】
(変形例2)
実施の形態では、投資信託の運用報告書を対象に説明しているが、これに限られず、本実施の技術的思想は、他の文書を作成する場合にも適用できる。
【0095】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。