(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の画像記録装置は、複数のローラにより、印刷用紙を一定の速度で搬送するように設計される。しかしながら、印刷用紙の表面にインクが吐出されると、印刷用紙に僅かな伸びが生じる。そして、この印刷用紙の伸びによって、記録ヘッドの下方における印刷用紙の搬送速度が、理想的な搬送速度からずれる場合がある。そうすると、印刷用紙の表面における各色のインクの吐出位置が搬送方向にずれる、いわゆる見当ずれが生じる。
【0005】
このような見当ずれを抑制するために、従来、印刷用紙の表面には、レジスターマーク等の基準画像が形成される。画像記録装置は、基準画像の位置を検出し、その検出結果に基づいて、各記録ヘッドからのインクの吐出位置を補正する。しかしながら、基準画像は、印刷用紙の搬送方向に所定の間隔で形成される。このため、基準画像に基づいて、印刷用紙の位置ずれを連続的に検知することは困難であった。また、印刷用紙の表面に基準画像を形成すると、目的とする印刷画像を記録するためのスペースが狭くなるという問題もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、長尺帯状の基材を長手方向に搬送しつつ処理する基材処理装置において、基材の表面に形成されたレジスターマーク等の画像に依存することなく、基材の搬送方向の位置ずれ量を検出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、長尺帯状の基材を所定の搬送経路に沿って長手方向に搬送する搬送機構と、前記搬送経路上の第1検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第1検出結果を取得する第1検出部と、前記搬送経路上の前記第1検出位置よりも下流側の第2検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第2検出結果を取得する第2検出部と、前記第1検出結果および前記第2検出結果に基づいて、基材の幅方向の伸縮量を算出し、前記基材の幅方向の伸縮量の算出結果に、基材の幅方向の伸縮量と基材の搬送方向の伸縮量との比率である縦横比率を乗じた結果に基づいて、基材の搬送方向の位置ずれ量を算出するずれ量算出部と、を備える。
【0008】
本願の第2発明は、長尺帯状の基材を所定の搬送経路に沿って長手方向に搬送する搬送機構と、前記搬送経路上の第1検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第1検出結果を取得する第1検出部と、前記搬送経路上の前記第1検出位置よりも下流側の第2検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第2検出結果を取得する第2検出部と、前記第1検出結果および前記第2検出結果に基づいて、基材の幅方向の伸縮量を算出し、前記基材の幅方向の伸縮量の算出結果を、基材の幅方向の伸縮量と基材の搬送方向の伸縮量との関係を表す縦横変換式に代入した結果に基づいて、基材の搬送方向の位置ずれ量を算出するずれ量算出部と、を備える。
【0009】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の基材処理装置であって、前記ずれ量算出部は、前記第1検出結果と、前記第1検出位置から前記第2検出位置までの基材の搬送にかかる時間ΔTの経過後の前記第2検出結果とを比較した結果に基づいて、基材の幅方向の伸縮量を算出する。
【0010】
本願の第4発明は、第3発明の基材処理装置であって、前記ずれ量算出部は、前記第1検出結果から取り出した所定の周波数帯の信号と、前記第1検出位置から前記第2検出位置までの基材の搬送にかかる時間ΔTの経過後の前記第2検出結果から取り出した所定の周波数帯の信号とを比較した結果に基づいて、基材の幅方向の伸縮量を算出する。
【0011】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記搬送経路上の処理位置において、基材を処理する処理部をさらに備え、前記ずれ量算出部は、前記処理位置における基材の搬送方向の位置ずれ量を算出する。
【0012】
本願の第6発明は、第5発明の基材処理装置であって、前記処理部は、基材の表面にインクを吐出して画像を記録する画像記録部である。
【0013】
本願の第7発明は、第6発明の基材処理装置であって、前記処理部は、前記第1検出位置と前記第2検出位置との間において、基材の表面にインクを吐出する。
【0014】
本願の第8発明は、第6発明または第7発明の基材処理装置であって、前記縦横比率は、基材を構成する材料に固有の係数であり、かつ、基材の表面にインクが量を変えながら複数回吐出されつつ、前記基材の幅方向の伸縮量と前記基材の搬送方向の伸縮量とが測定され、得られた前記基材の搬送方向の伸縮量と得られた前記基材の幅方向の伸縮量との関係を示す一次式の係数が前記縦横比率であるとして認識される。
【0015】
本願の第9発明は、第6発明から第8発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記ずれ量算出部により算出された前記位置ずれ量に基づいて、前記画像記録部からのインクの吐出タイミングまたは吐出位置を補正する吐出補正部をさらに備える。
【0016】
本願の第10発明は、第9発明の基材処理装置であって、前記画像記録部は、前記搬送方向に沿って配列された複数の記録ヘッドを有し、前記複数の記録ヘッドは、互いに異なる色のインクを吐出する。
【0017】
本願の第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記搬送機構は、複数のローラを有し、前記複数のローラの少なくとも1つを回転駆動する駆動部と、前記ずれ量算出部により算出された前記位置ずれ量に基づいて、前記複数のローラの少なくとも1つの駆動を補正することにより、基材の搬送方向の位置ずれ量を補正する搬送補正部と、をさらに備える。
【0018】
本願の第12発明は、第1発明から第11発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記第1検出部は、基材の幅方向に間隔を空けて配置された2つの第1センサを有し、前記2つの第1センサは、基材における幅方向の両端側の各エッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出し、前記第2検出部は、基材の幅方向に間隔を空けて配置された2つの第2センサを有し、前記2つの第2センサは、基材における幅方向の両端側の各エッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出する。
【0019】
本願の第13発明は、長尺帯状の基材を所定の搬送経路に沿って長手方向に搬送しつつ、基材の搬送方向の位置ずれ量を検出する検出方法であって、a)前記搬送経路上の第1検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第1検出結果を取得する工程と、b)前記搬送経路上の前記第1検出位置よりも下流側の第2検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第2検出結果を取得する工程と、c)前記第1検出結果および前記第2検出結果に基づいて、基材の幅方向の伸縮量を算出する工程と、d)前記基材の幅方向の伸縮量の算出結果に、基材の幅方向の伸縮量と基材の搬送方向の伸縮量との比率である縦横比率を乗じた結果に基づいて、基材の搬送方向の位置ずれ量を算出する工程と、を有する。
【0020】
本願の第14発明は、長尺帯状の基材を所定の搬送経路に沿って長手方向に搬送しつつ、基材の搬送方向の位置ずれ量を検出する検出方法であって、a)前記搬送経路上の第1検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第1検出結果を取得する工程と、b)前記搬送経路上の前記第1検出位置よりも下流側の第2検出位置において、基材のエッジの幅方向の位置を連続的または断続的に検出することにより、第2検出結果を取得する工程と、c)前記第1検出結果および前記第2検出結果に基づいて、基材の幅方向の伸縮量を算出する工程と、d)前記基材の幅方向の伸縮量の算出結果を、基材の幅方向の伸縮量と基材の搬送方向の伸縮量との関係を表す縦横変換式に代入した結果に基づいて、基材の搬送方向の位置ずれ量を算出する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本願の第1発明〜第14発明によれば、基材の表面に形成されたレジスターマーク等の画像に依存することなく、基材の搬送方向の位置ずれ量を検出できる。
【0022】
また、本願の第1発明〜第14発明によれば、基材の幅方向の位置のずれ量を検出するための検出部と、基材の搬送方向の位置ずれ量を検出するための検出部とを、別々に設ける必要がない。これにより、基材処理装置の部品点数を抑制できる。
【0023】
特に、本願の第7発明によれば、インクの吐出により基材の搬送方向の長さが伸びることによって生じる搬送方向の位置ずれ量を検出できる。
【0024】
特に、本願の第9発明によれば、基材の表面の適切な位置に画像を記録できる。
【0025】
特に、本願の第10発明によれば、各記録ヘッドにより形成される単色画像の相互の位置ずれを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
<1.画像記録装置の構成>
図1は、本発明に係る基材処理装置の一例となる画像記録装置1の構成を示した図である。この画像記録装置1は、長尺帯状の基材である印刷用紙9を搬送しつつ、複数の記録ヘッド21〜24から印刷用紙9へ向けてインクを吐出することにより、印刷用紙9に画像を記録するインクジェット方式の印刷装置である。
図1に示すように、画像記録装置1は、搬送機構10、画像記録部20、2つのエッジセンサ30、および制御部40を備えている。
【0029】
搬送機構10は、印刷用紙9をその長手方向に沿う搬送方向に搬送する機構である。本実施形態の搬送機構10は、巻き出しローラ11、複数の搬送ローラ12、および巻き取りローラ13を含む複数のローラを有する。印刷用紙9は、巻き出しローラ11から繰り出され、複数の搬送ローラ12により構成される所定の搬送経路に沿って搬送される。各搬送ローラ12は、水平軸を中心として回転することによって、印刷用紙9を搬送経路の下流側へ案内する。また、搬送後の印刷用紙9は、巻き取りローラ13へ回収される。これらの複数のローラのうち、少なくとも一部のローラは、後述する制御部40の駆動部45によって回転駆動される。
【0030】
図1に示すように、印刷用紙9は、複数の記録ヘッド21〜24の下方において、複数の記録ヘッド21〜24の配列方向と略平行に移動する。このとき、印刷用紙9の記録面は、上方(記録ヘッド21〜24側)に向けられている。また、印刷用紙9は、張力が掛かった状態で、複数の搬送ローラ12に掛け渡される。これにより、搬送中における印刷用紙9の弛みや皺が抑制される。
【0031】
画像記録部20は、搬送経路上の処理位置において、搬送機構10により搬送される印刷用紙9の上面(表面)に対して、インクの液滴(以下「インク滴」と称する)を吐出する処理部である。本実施形態の画像記録部20は、第1記録ヘッド21、第2記録ヘッド22、第3記録ヘッド23、および第4記録ヘッド24を有する。第1記録ヘッド21、第2記録ヘッド22、第3記録ヘッド23、および第4記録ヘッド24は、印刷用紙9の搬送経路に沿って配置されている。
【0032】
図2は、画像記録部20付近における画像記録装置1の部分上面図である。4つの記録ヘッド21〜24は、それぞれ、印刷用紙9の幅方向の全体を覆っている。また、
図2中に破線で示したように、各記録ヘッド21〜24の下面には、印刷用紙9の幅方向と平行に配列された複数のノズル201が設けられている。各記録ヘッド21〜24は、複数のノズル201から印刷用紙9の上面へ向けて、多色画像の色成分となるK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインク滴を、それぞれ吐出する。
【0033】
すなわち、第1記録ヘッド21は、搬送経路上の第1処理位置P1において、印刷用紙9の上面に、K色のインク滴を吐出する。第2記録ヘッド22は、第1処理位置P1よりも下流側の第2処理位置P2において、印刷用紙9の上面に、C色のインク滴を吐出する。第3記録ヘッド23は、第2処理位置P2よりも下流側の第3処理位置P3において、印刷用紙9の上面に、M色のインク滴を吐出する。第4記録ヘッド24は、第3処理位置P3よりも下流側の第4処理位置P4において、印刷用紙9の上面に、Y色のインク滴を吐出する。本実施形態では、第1処理位置P1、第2処理位置P2、第3処理位置P3、および第4処理位置P4は、印刷用紙9の搬送方向に沿って、等間隔に配列されている。
【0034】
4つの記録ヘッド21〜24は、インク滴を吐出することによって、印刷用紙9の上面に、それぞれ単色画像を記録する。そして、4つの単色画像の重ね合わせにより、印刷用紙9の上面に、多色画像が形成される。したがって、仮に、4つの記録ヘッド21〜24から吐出されるインク滴の印刷用紙9上における搬送方向の位置が相互にずれていると、印刷物の画像品質が低下する。このような、印刷用紙9上における単色画像の相互の位置ずれ(いわゆる「見当ずれ」)を許容範囲内に抑えることが、画像記録装置1の印刷品質を向上させるための重要な要素となる。
【0035】
なお、記録ヘッド21〜24の搬送方向下流側に、印刷用紙9の記録面に吐出されたインクを乾燥させる乾燥処理部が、さらに設けられていてもよい。乾燥処理部は、例えば、印刷用紙9へ向けて加熱された気体を吹き付けて、印刷用紙9に付着したインク中の溶媒を気化させることにより、インクを乾燥させる。ただし、乾燥処理部は、光照射等の他の方法で、インクを乾燥させるものであってもよい。
【0036】
2つのエッジセンサ30は、印刷用紙9のエッジ(幅方向の端部)91の幅方向の位置を検出する検出部である。本実施形態では、搬送経路上の第1処理位置P1よりも上流側の第1検出位置Paと、第4処理位置P4よりも下流側の第2検出位置Pbとに、エッジセンサ30が配置されている。
【0037】
図3は、エッジセンサ30の構造を模式的に示した図である。
図3に示すように、エッジセンサ30は、印刷用紙9のエッジ91の上方に位置する投光器301と、エッジ91の下方に位置するラインセンサ302とを有する。投光器301は、下方へ向けて平行光を照射する。ラインセンサ302は、幅方向に配列された複数の受光素子320を有する。
図3のように、印刷用紙9のエッジ91よりも外側においては、投光器301から照射された光が受光素子320に入射し、受光素子320が光を検出する。一方、印刷用紙9のエッジ91よりも内側においては、投光器301から照射された光が印刷用紙9に遮られるため、受光素子320は光を検出しない。エッジセンサ30は、このような複数の受光素子320における光検出の有無に基づいて、印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置を検出する。
【0038】
図1および
図2に示すように、以下では、第1検出位置Paに配置されたエッジセンサ30を、第1エッジセンサ31と称する。また、第2検出位置Pbに配置されたエッジセンサ30を、第2エッジセンサ32と称する。第1エッジセンサ31は、本発明における「第1検出部」の一例である。第1エッジセンサ31は、第1検出位置Paにおいて、印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置を、断続的に検出する。これにより、第1検出位置Paにおけるエッジ91の幅方向の位置の経時変化を示す検出結果を取得する。そして、得られた検出結果を示す検出信号を、制御部40へ出力する。第2エッジセンサ32は、本発明における「第2検出部」の一例である。第2エッジセンサ32は、第2検出位置Pbにおいて、印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置を、断続的に検出する。これにより、第2検出位置Pbにおけるエッジ91の幅方向の位置の経時変化を示す検出結果を取得する。そして、得られた検出結果を示す検出信号を、制御部40へ出力する。
【0039】
制御部40は、画像記録装置1内の各部を動作制御するための手段である。
図1中に概念的に示したように、制御部40は、CPU等のプロセッサ401、RAM等のメモリ402、およびハードディスクドライブ等の記憶部403を有するコンピュータにより構成されている。記憶部403内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムCPが、記憶されている。また、
図1中に破線で示したように、制御部40は、上述した搬送機構10、4つの記録ヘッド21〜24、および2つのエッジセンサ30と、それぞれ電気的に接続されている。制御部40は、コンピュータプログラムCPに従って、これらの各部を動作制御する。これにより、画像記録装置1における印刷処理が進行する。
【0040】
<2.検出・補正処理について>
制御部40は、印刷処理の実行時に、第1エッジセンサ31および第2エッジセンサ32から検出信号を取得する。そして、得られた検出信号に基づいて、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を検出する。また、検出された位置ずれ量に基づいて、4つの記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出タイミングを補正する。これにより、上述した見当ずれを抑制する。
【0041】
図4は、このような検出・補正処理を実現するための制御部40内の機能を、概念的に示したブロック図である。
図4に示すように、制御部40は、ずれ量算出部41、吐出補正部42、印刷指示部43、および駆動部45を有する。ずれ量算出部41、吐出補正部42、印刷指示部43、および駆動部45の各機能は、コンピュータプログラムCPに基づいて、プロセッサ401が動作することにより実現される。なお、駆動部45は、巻き出しローラ11、複数の搬送ローラ12、および巻き取りローラ13を含む複数のローラの少なくとも1つを一定の回転速度で回転駆動することによって、印刷用紙9を搬送経路に沿って搬送する。なお、制御部40に、第1エッジセンサ31および第2エッジセンサ32から後述するずれ量算出部41に送られる第1検出結果R1および第2検出結果R2を一時的に記憶するメモリを備えていてもよい。
【0042】
ずれ量算出部41は、第1エッジセンサ31から得られる第1検出結果R1と、第2エッジセンサ32から得られる第2検出結果R2とに基づいて、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を検出する。
図5Aは、第1検出結果R1の例を示したグラフである。
図5Bは、第2検出結果R2の例を示したグラフである。
図5Aおよび
図5Bのグラフにおいて、横軸は時刻を示し、縦軸はエッジ91の幅方向の位置を示す。なお、
図5Aおよび
図5Bのグラフの横軸は、左端が現在時刻であり、右側へ向かうほど時刻が古くなる。したがって、
図5Aおよび
図5B中のデータ線は、時間の経過とともに、白抜き矢印のように右側へ移動する。このため、例えば、
図5A中のデータ線の右端の値は、
図5A中のデータ線の中で最も早い時刻に第1エッジセンサ31を通過した部位の印刷用紙9のエッジ91の幅方向位置を示している。また、
図5B中のデータ線の右端の値は、
図5B中のデータ線の中で最も早い時刻に第2エッジセンサ32を通過した部位の印刷用紙9のエッジ91の幅方向位置を示している。
【0043】
印刷用紙9のエッジ91には、微細な凹凸が存在する。第1エッジセンサ31および第2エッジセンサ32は、予め設定された微小時間ごとに、印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置を検出する。これにより、
図5Aおよび
図5Bに示すように、印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置の経時変化を示すデータが得られる。
図5Aに示す第1検出結果R1は、第1検出位置Paを通過する印刷用紙9のエッジ91の形状を反映したデータとなる。
図5Bに示す第2検出結果R2は、第2検出位置Pbを通過する印刷用紙9のエッジ91の形状を反映したデータとなる。
【0044】
ずれ量算出部41は、第1検出結果R1と第2検出結果R2とを比較する。そして、第1検出結果R1と第2検出結果R2とで、印刷用紙9の同一のエッジ91を検出した箇所を特定する。具体的には、第1検出結果R1に含まれるデータ区間(一定の時間範囲)ごとに、第2検出結果R2に含まれる一致性の高いデータ区間を特定する。以下では、第1検出結果R1に含まれるデータ区間を、比較元データ区間D1と称する。また、第2検出結果R2に含まれるデータ区間を、比較先データ区間D2と称する。
【0045】
データ区間の特定には、例えば、相互相関や残差平方和等のマッチング手法が用いられる。ずれ量算出部41は、第1検出結果R1に含まれる比較元データ区間D1ごとに、第2検出結果R2に含まれる複数の比較先データ区間D2を、対応するデータ区間の候補として選択する。また、選択された複数の比較先データ区間D2のそれぞれについて、比較元データ区間D1との一致性を示す評価値を算出する。そして、評価値が最も高くなる比較先データ区間D2を、比較元データ区間D1に対応する比較先データ区間D2とする。
【0046】
なお、第1検出結果R1と第2検出結果R2との時間差は、第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでの印刷用紙9の理想的な搬送時間から大幅にずれることはない。このため、上述した比較先データ区間D2の探索は、比較元データ区間D1から理想的な搬送時間だけ経過した時刻の近傍のみについて行えばよい。また、比較元データ区間D1に対応する比較先データ区間D2が一旦特定されれば、次回以降の探索は、探索済みの比較先データ区間D2に隣接するデータ区間の近傍のみについて行えばよい。なお、「理想的な搬送時間」とは、印刷用紙9が搬送される際、インクによる印刷用紙の伸びが生じない場合に、第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでにかかる時間を示す。また、以下、当該インクによる印刷用紙の伸びが生じない場合の印刷用紙9の搬送速度を、「理想的な搬送速度」と称する。
【0047】
このように、ずれ量算出部41は、第1検出結果R1の比較元データ区間D1に対応する第2検出結果R2の比較先データ区間D2を推定し、推定されたデータ区間の近傍のみにおいて、比較元データ区間D1と一致性の高い比較先データ区間D2を探索してもよい。このようにすれば、比較先データ区間D2の探索範囲が狭まる。したがって、ずれ量算出部41の演算処理負担を軽減できる。
【0048】
その後、ずれ量算出部41は、比較元データ区間D1の検出時刻(
図5A中の時刻T1)と、それに対応する比較先データ区間D2の検出時刻(
図5B中の時刻T2)との時間差に基づいて、第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでの印刷用紙9の搬送にかかる実際の搬送時間ΔTを算出する。そして、ずれ量算出部41は、第1検出結果R1と、算出した搬送時間ΔTの経過後の第2検出結果R2とを比較する。
図5Cは、第1検出結果R1と、搬送時間ΔTの経過後の第2検出結果R2の例を重ね合わせたグラフである。
図5Cでは、データ区間D2の検出時刻T2がデータ区間D1の検出時刻T1に重なるように第2検出結果R2の例を示したグラフを水平方向に移動させた上で、第1検出結果R1の例を示したグラフに重ね合わせて表示している。
【0049】
なお、合わせて、算出した第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでの印刷用紙9の搬送にかかる実際の搬送時間ΔTから、画像記録部20の下方における印刷用紙9の実際の搬送速度を算出する。実際の搬送速度は、第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでの距離を、搬送時間ΔTで除することによって、算出できる。
【0050】
図5Cに戻る。次に、重ね合わせた第1検出結果R1のデータ区間D1と第2検出結果R2のデータ区間D2とを比較する。データ区間D2におけるエッジ91の幅方向位置とデータ区間D1におけるエッジ91の幅方向位置との差分は、インクの吐出による第1検出位置Paから第2検出位置Pbまで搬送された印刷用紙9のエッジ91の幅方向位置の変化量(伸縮量)を示す。つまり、上述のとおり、第1検出結果R1と、第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでの印刷用紙9の搬送にかかる時間ΔTの経過後の第2検出位置Pbとを比較した結果に基づいて、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewを算出することができる。なお、データ区間D2におけるエッジ91の幅方向位置とデータ区間D1におけるエッジ91の幅方向位置との差分を算出する際、例えば、それぞれの平均値の差分を算出してもよい。ただし、算出方法は、これに限定されない。
【0051】
さらに、ずれ量算出部41は、重ね合わせた第1検出結果R1のデータ区間D1と第2検出結果R2のデータ区間D2とを比較する際、第1検出結果R1および第2検出結果R2のデータをそれぞれフィルタリングした後のデータを比較してもよい。つまり、ずれ量算出部41は、第1検出結果R1から取り出した所定の周波数帯の信号と、第1検出位置Paから第2検出位置Pbまでの印刷用紙の搬送にかかる実際の搬送時間ΔTの経過後の第2検出結果R2から取り出した所定の周波数帯の信号とを比較した結果に基づいて、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewを算出してもよい。このようにすれば、印刷用紙9のエッジ91に存在する微細な凹凸による誤差を、より低減できる。
【0052】
次に、ずれ量算出部41は、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewの算出結果に、「縦横比率k」を乗じた結果に基づいて、印刷用紙9の搬送方向の位置のずれ量を算出する。ここで、「縦横比率k」について説明する。「縦横比率k」は、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elとの比率を示し、かつ、印刷用紙9を構成する材料に固有の係数である。
図6は、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elとの関係を示すグラフである。
図6では、画像記録装置1の内部または外部において、当該長尺帯状の印刷用紙9の表面にインクの量を変えながら複数回吐出した際の、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと印刷用紙9の搬送方向(延伸方向)の伸縮量Elを測定した結果が点で表示されている。
図6に示すように、印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elは、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewに係数を乗じた一次式で近似することができる。そして、このように得られた印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elとの関係を示す一次式の当該係数が、「縦横比率k」であるとして認識され、制御部40に記憶される。
【0053】
第1検出位置Paと第2検出位置Pbとの間の印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elが算出された後、第1処理位置P1、第2処理位置P2、第3処理位置P3、および第4処理位置P4における、理想的な搬送速度で搬送される場合に対する、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量が算出される。第1処理位置P1、第2処理位置P2、第3処理位置P3、および第4処理位置P4における搬送方向の位置ずれ量は、例えば、搬送方向の伸縮量Elを、各処理位置P1〜P4と、第1検出位置Paおよび第2検出位置Pbとの位置関係から割り振る(位置関係に基づいて案分する)ことによって算出される。例えば、4つの処理位置P1〜P4と2つの検出位置Pa,Pbの、合わせて6つの位置が互いに等間隔に配列されている場合、第2検出位置Pbに最も近い第4処理位置P4において、印刷用紙9は、第1検出位置Paと第2検出位置Pbとの間の伸縮量Elに5分の4を乗じた大きさの分だけ、搬送方向に伸びていると解釈できる。つまり、第4処理位置P4における位置ずれ量は、伸縮量Elの5分の4であるとして算出できる。
【0054】
なお、第1検出位置Paと第2検出位置Pbとの間の印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elから各処理位置P1〜P4における印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を算出する方法は、これに限定されない。例えば、第1検出位置Paが第1処理位置P1の極めて近くに設けられている場合、第1処理位置P1における位置ずれ量は、伸縮量Elと同じであると解釈してもよい。
【0055】
このように、本実施形態の画像記録装置1は、印刷用紙9のエッジ91の形状を、第1検出位置Paと第2検出位置Pbの2箇所で検出し、それらの検出結果に基づいて、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を算出する。このため、印刷用紙9の表面に形成されるレジスターマーク等の画像に依存することなく、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を検出できる。
【0056】
特に、本実施形態では、第1検出位置Paと第2検出位置Pbとの間において、印刷用紙9の記録面にインク滴が吐出される。このため、インクの付着によって印刷用紙9の搬送方向の長さが局所的に伸びた場合でも、その伸びに起因する搬送方向の位置ずれ量を、第1検出位置Paおよび第2検出位置Pbの検出結果から求めることができる。
【0057】
図4に戻る。吐出補正部42は、ずれ量算出部41により算出された位置ずれ量に基づいて、各記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出タイミングを補正する。例えば、各処理位置P1〜P4において印刷用紙9の伸びによる位置ずれが生じている場合、つまり、印刷用紙9の画像を記録すべき部分が各処理位置P1〜P4に到達する時刻が、理想的な時刻よりも遅れる場合には、吐出補正部42は、各記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出タイミングを遅らせる。また、印刷用紙9の画像を記録すべき部分が各処理位置P1〜P4に到達する時刻が、理想的な時刻よりも早くなる場合には、吐出補正部42は、各記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出タイミングを早める。なお、インク滴の吐出タイミングの補正量は、例えば、各処理位置P1〜P4における印刷用紙9の位置ずれ量を、印刷用紙9の実際の搬送速度で除することにより算出すればよい。
【0058】
印刷指示部43は、入稿された画像データIに基づいて、各記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出動作を制御する。このとき、印刷指示部43は、吐出補正部42から出力される吐出タイミングの補正量を参照する。そして、当該補正量に従って、画像データIに基づく本来の吐出タイミングをずらす。これにより、各処理位置P1〜P4において、印刷用紙9上の搬送方向の適切な箇所に、各色のインク滴が吐出される。したがって、各色のインクにより形成される単色画像の相互の位置ずれが抑制される。その結果、見当ずれの少ない高品質な印刷画像を得ることができる。
【0059】
<3.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
上述の第1実施形態では、吐出補正部42は、ずれ量算出部41により算出された位置ずれ量に基づいて、各記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出タイミングを補正していた。しかし、インク滴の吐出タイミングを補正する代わりに、ずれ量算出部41により算出された位置ずれ量に基づいて、複数のローラのうちの少なくとも1つの駆動を補正することによって、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を補正する搬送補正部(図示省略)をさらに設けてもよい。例えば、各処理位置P1〜P4において印刷用紙9の伸びによる位置ずれが生じている場合に、搬送補正部(図示省略)は、ローラの回転数を調節して、印刷用紙9の搬送速度を変化させる。これにより、印刷用紙9上の搬送方向の適切な箇所に、各色のインク滴が吐出されるように補正できる。
【0061】
上述の第1実施形態では、吐出補正部42は、入稿された画像データI自体を補正することなく、記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出タイミングを補正していた。しかしながら、吐出補正部42は、ずれ量算出部41により算出された位置ずれ量に基づいて、画像データIを補正してもよい。その場合、印刷指示部43は、補正後の画像データIに従って、各記録ヘッド21〜24からのインク滴の吐出を行えばよい。また、吐出補正部42は、ずれ量算出部41により算出された位置ずれ量に基づいて、各記録ヘッド21〜24からのインクの吐出位置を補正してもよい。すなわち、吐出補正部42は、画像記録部20からのインク滴の吐出タイミングまたは吐出位置を補正するものであればよい。
【0062】
上述の第1実施形態では、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewの算出結果に、「縦横比率k」を乗じた結果に基づいて、印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elを算出していた。また、「縦横比率k」は、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと搬送方向の伸縮量Elとの関係を示す一次式の係数として表されていた。しかし、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと搬送方向の伸縮量Elとの関係は、「多項式(縦横変換式)」を用いて表されるものであってもよい。そして、ずれ量算出部41は、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewの算出結果を、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewと印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elとの関係を表す当該「縦横変換式」に代入した結果に基づいて、印刷用紙9の搬送方向の伸縮量Elを算出してもよい。
【0063】
上述の第1実施形態では、画像記録装置1は、印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置を、第1検出位置Paと第2検出位置Pbの2箇所で検出し、それらの検出結果に基づいて、印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量を算出していた。しかし、第1検出位置Paおよび第2検出位置Pbにエッジセンサ30を設ける代わりに、各記録ヘッド21〜24の下方位置、または各記録ヘッド21〜24の下方位置に極めて近い位置に、それぞれエッジセンサ30を設けてもよい。そして、これらの4つのエッジセンサ30による印刷用紙9のエッジ91の幅方向の位置の検出結果に基づいて、印刷用紙9の幅方向の伸縮量Ewを算出してもよい。これにより、各記録ヘッド21〜24における印刷用紙9の搬送方向の位置ずれ量をより精度良く算出できる。
【0064】
また、上述の
図2では、各記録ヘッド21〜24において、ノズル201が幅方向に一列に配置されていた。しかしながら、各記録ヘッド21〜24において、ノズル201が2列以上に配置されていてもよい。
【0065】
また、上述の第1実施形態では、画像記録装置1は、第1検出位置Paと第2検出位置Pbの2箇所のそれぞれにおいて、印刷用紙9の幅方向の一端側のみに設けられたエッジセンサ30によって、印刷用紙9の幅方向の片方のエッジの幅方向の位置を検出していた。しかしながら、画像記録装置1は、第1検出位置Paと第2検出位置Pbの2箇所のそれぞれにおいて、印刷用紙9の幅方向の両側に設けられたエッジセンサ30によって、印刷用紙9における幅方向の両端側の各エッジの幅方向の位置を検出してもよい。例えば、
図7のように、「第1検出部」として、印刷用紙9Bの幅方向に間隔を空けて2つの第1エッジセンサ311B,312Bが配置されてもよく、「第2検出部」として、印刷用紙9Bの幅方向に間隔を空けて2つの第2エッジセンサ321B,322Bが配置されてもよい。そして、2つの第1エッジセンサ311B,312Bは、第1検出位置Paにおいて、印刷用紙9Bにおける幅方向の両端側の各エッジの幅方向の位置を断続的に検出てもよい。また、2つの第2エッジセンサ321B,322Bは、第2検出位置Pbにおいて、印刷用紙9Bにおける幅方向の両端側の各エッジの幅方向の位置を断続的に検出てもよい。
【0066】
これにより、各記録ヘッド21B〜24Bにおける印刷用紙9Bの搬送方向の位置ずれ量をより精度良く算出できる。例えば、印刷用紙9Bへのインクの付着量が幅方向に異なることによって、印刷用紙9における幅方向の両端側の各エッジの幅方向の位置ずれ量が互いに異なる場合でも、第1エッジセンサ311B,312Bおよび第2エッジセンサ321B,322Bを用いて検出できる。この結果、第1検出位置Paと第2検出位置Pbとの間における印刷用紙9の幅方向の伸縮量をより正確に捉えることができる。なお、エッジセンサ30Bの配置方法は、これに限定されない。例えば、搬送経路上の第1処理位置P1よりも上流側の第1検出位置Paと、第2処理位置P2と第3処理位置P3との間の中間検出位置(図示省略)と、第4処理位置P4よりも下流側の第2検出位置Pbとの3箇所において、それぞれ印刷用紙9Bの幅方向の両側にエッジセンサ30Bを配置してもよい。
【0067】
また、上述の第1実施形態および変形例では、第1検出位置Paを通過する印刷用紙9のエッジ91の形状と、第2検出位置Pbを通過する印刷用紙9のエッジ91の形状とを比較して、同一のエッジ91を検出した箇所を特定していた。そして、印刷用紙9の同一のエッジ91を検出した箇所の幅方向位置の変化量(幅方向の伸縮量)を算出していた。しかしながら、印刷用紙9が第1検出位置Paを通過した後、上述の理想的な搬送時間の経過後に第2検出位置Pbを通過すると仮定して、同一のエッジ91を検出した箇所を特定してもよい。つまり、第1検出位置Paで検出された印刷用紙9のエッジ91の幅方向位置と、その時点から理想的な搬送時間経過後に第2検出位置Pbで検出された印刷用紙9のエッジ91の幅方向位置から、印刷用紙9の幅方向位置の変化量(幅方向の伸縮量)を算出してもよい。
【0068】
また、第1処理位置P1と第2処理位置P2、第2処理位置P2と第3処理位置P3、および第3処理位置P3と第4処理位置P4との間で生じる位置ずれ量を、第1検出結果R1と第2検出結果R2を用いて、線形補間等によって算出してもよい。
【0069】
また、上述の第1実施形態および変形例では、第1検出部および第2検出部に、透過式のエッジセンサを用いていた。しかしながら、第1検出部および第2検出部の検出方式は、他の方式であってもよい。例えば、反射式の光学センサや、CCDカメラなどを用いてもよい。第1検出部および第2検出部は、印刷用紙のエッジの位置を、搬送方向および幅方向の二次元において検出するものであってもよい。また、第1検出部および第2検出部による検出動作は、上述の実施形態のように断続的であってもよく、連続的であってもよい。
【0070】
さらに、画像記録装置は、印刷用紙の幅方向の位置ずれ量に基づいて、印刷用紙の蛇行、斜行変化、走行位置、または幅方向の寸法変化を、検出および補正する機能を有していてもよい。
【0071】
また、上述の第1実施形態および変形例において、印刷用紙の搬送時間や各地点の時刻を計測する際、例えば、画像記録装置とは別途設置されたクロックやカウンタを用いることができる。ただし、これらを用いる代わりに、搬送機構において一定の回転速度で回転駆動するローラに接続するロータリーエンコーダ(図示省略)の信号に基づいて、時間を計測してもよい。
【0072】
また、上述の第1実施形態および変形例では、画像記録装置内に4つの記録ヘッドが設けられていた。しかしながら、画像記録装置内の記録ヘッドの数は、1〜3つであってもよく、5つ以上であってもよい。例えば、K,C,M,Yの各色に加えて、特色のインクを吐出する記録ヘッドが設けられていてもよい。また、これらの記録ヘッドは等間隔に配置されていなくてもよい。
【0073】
また、本発明は、印刷用紙の表面に形成されるレジスターマーク等の基準画像に基づいて、印刷用紙の位置ずれ量を検出することを、排除するものではない。例えば、レジスターマーク等の基準画像の検出結果と、上述のようなエッジセンサによるエッジの検出結果とを併用して、印刷用紙の搬送方向の位置ずれ量を検出してもよい。
【0074】
また、上述の画像記録装置は、インクジェット方式で印刷用紙に画像を記録するものであった。しかしながら、本発明の基材処理装置は、インクジェット以外の方法(例えば、電子写真方式や露光など)で、印刷用紙に画像を記録する装置であってもよい。また、上述の画像記録装置は、基材としての印刷用紙に印刷処理を行うものであった。しかしながら、本発明の基材処理装置は、一般的な紙以外の長尺帯状の基材(例えば、樹脂製のフィルム,金属箔など)に、所定の処理を行うものであってもよい。
【0075】
また、上述の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。