特許第6891092号(P6891092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891092
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】押出機を備える装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20210607BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20210607BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20210607BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20210607BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210607BHJP
【FI】
   B29C64/209
   B29C64/118
   B29C64/321
   B33Y10/00
   B33Y30/00
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-203151(P2017-203151)
(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-79688(P2018-79688A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2020年10月20日
(31)【優先権主張番号】15/350,200
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィット・エイ・マンテル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・ニストロム
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0325498(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0242208(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/198706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマニホールド及び複数のノズルを有する押出機であって、各前記マニホールドが熱可塑性材料を貯蔵するように構成され、各前記マニホールドが、前記複数のノズルのうちの、前記マニホールドから熱可塑性材料が放出されることができる少なくとも1つのノズルに動作可能に接続され、前記複数のマニホールドのうちの2つが同じノズルに動作可能に接続されることがない、押出機と、
複数の開口を有するフェースプレートであって、前記フェースプレートにおける各開口が、押し出された熱可塑性材料が前記開口を通過するのを可能とするように1対1対応で前記複数のノズルにおける1つのノズルから前記押し出された熱可塑性材料を受けるように構成されているフェースプレートと、
少なくとも1つの弁であって、各前記弁が、前記複数のノズルのうちの1つのノズルと前記ノズルが前記押出機において動作可能に接続された前記マニホールドとの間に動作可能に接続されており、前記少なくとも1つの弁が選択的に前記ノズルを開閉するように構成されている、少なくとも1つの弁と、
複数の押出材料供給源であって、各前記押出材料供給源が、前記複数の押出材料供給源のうちの他の押出材料供給源によって供給される押出材料の特性とは異なる特性を有する押出材料を供給するように構成される、複数の押出材料供給源と、
複数のチャネルを有する少なくとも1つのヒータであって、前記少なくとも1つのヒータの各前記チャネルが、前記複数のチャネルと前記複数の押出材料供給源との間で1対1対応で前記複数の押出材料供給源のうちの1つのみと動作可能に接続され、各チャネルで生成された熱可塑性材料が前記チャネルが動作可能に接続された前記マニホールドに入るのを可能とするように、前記ヒータの前記各チャネルが、前記複数のチャネルと前記押出機内の前記複数のマニホールドとの間で1対1対応で前記押出機内の1つの前記マニホールドのみと動作可能に接続される、少なくとも1つのヒータと、
複数の機械的可動子であって、各前記機械的可動子が前記ヒータ内の前記チャネルの1つに動作可能に接続された前記押出材料供給源からの押出材料を動かすように構成され、且つ各前記機械的可動子が、前記押出材料供給源に動作可能に接続された前記ヒータ内の前記チャネルに前記押出材料が供給される速度を独立して制御できるようにさらに構成された、複数の機械的可動子と、
選択的に各前記ノズルから熱可塑性材料を押し出すように前記少なくとも1つの弁を動作させるように構成されたコントローラと、を備える装置。
【請求項2】
少なくとも1つの前記マニホールドが少なくとも2つのノズルに動作可能に接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記押出機及び前記フェースプレートが、前記押出機から押し出された熱可塑性材料により形成される物体に対して複数の方向に移動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フェースプレート及び前記複数のノズルが前記フェースプレートに対して垂直な軸まわりに回転するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記マニホールドが複数の前記ノズルに動作可能に接続され、前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された前記ノズルはいずれも前記押出機の他のマニホールドには動作可能に接続されない、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの弁が複数の弁であって、各前記複数の弁が前記少なくとも1つのマニホールドと前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された各前記ノズルとの間に動作可能に接続され、各前記弁は前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された前記ノズルを選択的に開閉するように構成され、
前記コントローラが、前記少なくとも1つのマニホールドと前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された各前記ノズルとの間に動作可能に接続された各前記弁に動作可能に接続され、前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された各前記ノズルから熱可塑性材料を押し出すように各前記弁を選択的に動作させるように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のノズルのうちの他のノズルと前記複数のマニホールドのうちの前記少なくとも1つのマニホールドとは違う他のマニホールドとの間に動作可能に接続された他の弁と、
前記押出機に動作可能に接続された少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、
前記コントローラが前記他の弁と前記少なくとも1つのアクチュエータにも動作可能に接続され、
前記コントローラは
前記押出機を1つの方向に動かし、前記フェースプレートの前記開口の向きを調節するように、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させ、
前記少なくとも1つのマニホールドと前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続されたノズルとの間に動作可能に接続された前記弁を動作させ、
前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された前記少なくとも1つのノズルと、前記他のマニホールドに動作可能に接続された前記他のノズルとが、熱可塑性材料を同時に押し出すのを可能とするように、前記他のマニホールドと前記他のマニホールドに動作可能に接続された前記他のノズルとの間に動作可能に接続された前記他の弁を動作させるように、さらに構成される、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された前記少なくとも1つのノズルから押し出される熱可塑性材料と、前記他のマニホールドに動作可能に接続された前記他のノズルから押し出される熱可塑性材料とが、お互いに隣接するのを可能とするように、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて前記フェースプレートの前記開口の向きを調節するように、前記コントローラがさらに構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマニホールドに動作可能に接続された前記少なくとも1つのノズルから押し出される熱可塑性材料が、前記他のマニホールドに動作可能に接続された前記他のノズルから押し出される熱可塑性材料の上に配置可能とするように、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させ、前記フェースプレートの前記開口の向きを調節するように、前記コントローラがさらに構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのヒータが、
複数のヒータであって、各前記ヒータが、前記複数のチャネルと前記複数の押出材料供給源との間で1対1対応で前記複数の押出材料供給源のうちの1つの押出材料供給源のみに動作可能に接続され、各前記ヒータが、各前記チャネルによって生成される熱可塑性材料が前記チャネルが動作可能に接続される前記マニホールドに入るのを可能とするように、前記複数のヒータと前記押出機内の前記複数のマニホールドとの間で1対1対応で前記押出機内の1つの前記マニホールドのみに動作可能に接続される、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元物体プリンタにおいて使用される押出機に関し、より具体的には、異なる色の複数の押出を使用する3次元物体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形としても知られている3次元印刷は、実質的に任意形状のディジタルモデルから3次元立体物体を製造するプロセスである。多くの3次元印刷技術は、積層造形装置が以前に堆積された層上に部品の連続層を形成する積層プロセスを使用する。これらの技術の一部は、熱可塑性材料中にABS樹脂などの押出材料を軟化又は溶融した後に、所定パターンで熱可塑性材料を放出する押出機を使用する。プリンタは、通常、様々な形状及び構造を有する3次元印刷物体を形成する熱可塑性材料の連続層を形成するように押出機を動作させる。3次元印刷物体の各層が形成された後、熱可塑性材料は、3次元印刷物体の下地層に層を接着するために冷却されて硬化する。この積層造形方法は、切断又は穿孔などの減法プロセスによるワークピースからの材料の除去にほとんど依拠する従来の物体形成技術から区別可能である。
【0003】
多くの押出機は、熱可塑性材料を形成するように溶融又は軟化される押出材料フィラメントが供給される。フィラメントは、色の全範囲において製造されるにもかかわらず、3次元物体プリンタにおける現在の押出機は、非常に限られた色能力しか有しない。通常、異なる色の押出材料は、1色のみの材料を押し出す別個の押出機によって製造される。押出熱可塑性材料は、高粘度を有することから、異なる押出材料は混合するのが困難である。したがって、この種のプリンタの多くは、2つの異なる色の材料に制限される。1色で物体のベースを且つベース上に第2の色でパターンを印刷することによって2つの別個の押出機からの異なる色の材料が物体内又は物体上にカラー画像を作成するために使用可能である。プリンタに複数の押出機を追加することは、プリンタの複雑さを大幅に追加するが、限られた色範囲を提供するにすぎない。複数の押出機から押し出された熱可塑性材料を有する物体の輪郭を形成することは、常に表面に切れ目を残す。これらの切れ目を回避するために、異なる色が層毎に交互になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異なる色の押出材料を製造するために使用される他のプリンタ構成は、直列に長手方向にそれらを組み合わせることにより、複数の異なる色の押出材料フィラメントから単一のマルチカラーフィラメントを製造するフィラメントスプライサを使用する。単一のマルチカラーフィラメントは、単一の押出機を供給するヒータに供給される。それゆえに、フィラメントの異なる着色部として押出機変更によって押し出された熱可塑性材料が溶融又は軟化される。スプライサは、特定色を有する物体の一部を形成するのに必要な熱可塑性材料の量を事前に算出し、その色の押出材料フィラメントのセグメントは、単一フィラメントにスプライシングされる。他の色のフィラメントの適切な長さを単一フィラメントにスプライシングし続けることにより、押出機は、その形成が完了するまで、物体を製造し続けることができる。このスプライサは、物体にソリッドカラーの領域を形成するために主に使用される。スプライサの使用は、単一フィラメントを形成するために異なるフィラメントセグメントの長さについての正確な計算を必要とし、押出機によって押し出された熱可塑性材料の解像度を制限する。さらに、マルチカラーフィラメントから製造された熱可塑性材料の送達が適切な物体部分の形成と同期しているかどうかを検出することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
既知のプリンタよりも広い範囲の色を有する3次元物体プリンタを提供し、物体を形成するための様々な技術を可能とすることは有益であろう。
【0006】
新たな押出機は、異なる特性の範囲を有する押出材料を使用し、物体を形成するためにより柔軟な異なる押出材料を配置する。装置は、複数のマニホールド及び複数のノズルを有する押出機であって、各マニホールドが熱可塑性材料を貯蔵するように構成され、各マニホールドが、マニホールドから熱可塑性材料が放出されることができ且つマニホールドのうちの2つが同じノズルに動作可能に接続されていない複数のノズルにおける少なくとも1つのノズルに動作可能に接続されている押出機と、複数の開口を有するフェースプレートであって、フェースプレートにおける各開口が、押し出された熱可塑性材料が開口を通過するのを可能とするように1対1対応で複数のノズルにおける1つのノズルから押し出された熱可塑性材料を受けるように構成されているフェースプレートとを含む。
【0007】
新たな方法は、異なる特性の範囲を有する押出材料を使用し、物体を形成するためにより柔軟な異なる押出材料を配置するように押出機を動作させる。本方法は、1対1対応で押出機における複数のマニホールドに複数の熱可塑性材料を供給することであって、各マニホールドが押出機の異なるノズルに動作可能に接続されており且つ各熱可塑性材料が他の熱可塑性材料の特性とは異なる特性を有することと、フェースプレートにおける複数の開口を介して押出機の異なるノズルから熱可塑性材料を押し出すこととを含む。
【0008】
押出機から押し出された熱可塑性材料によって物体を形成するシステムの上述した態様及び他の特徴が、添付図面と関連して以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、押出材料によって物体を形成する際に押出機によって押し出され且つより柔軟な熱可塑性材料の広い範囲の色を可能とする積層造形システムを示している。
図2図2は、図1のシステムにおいて使用可能なフェースプレート及び押出機ノズルの構成である。
図3図3は、物体における色を生成するために図2に示された構成の動作を示している。
図4A図4Aは、フェースプレート及び押出機ノズル構成の代替実施形態を示している。
図4B図4Bは、フェースプレート及び押出機ノズル構成の代替実施形態を示している。
図5図5は、物体内に異なる色を生成するための図2のフェースプレート及び押出機ノズル構成の使用を示している。
図6図6は、複数のチャネルを有する1つのヒータのみ有する図1に示されるシステムの代替実施形態のブロック図である。
図7図7は、従来技術の3次元物体プリンタの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願明細書に開示された装置の環境及び装置の詳細の一般的な理解のために図面が参照される。図面において、同様の参照符号は同様の要素を示している。
【0011】
本願明細書において使用される場合、用語「押出材料」は、積層造形システムにおける押出機によって放出される熱可塑性材料を形成するために軟化又は溶融された材料を指す。押出材料は、厳密に限定されるものではないが、3次元印刷物体の永久部分を形成する「造形材料」及び印刷プロセス中に造形材料の部分を支持するための一時的構造を形成し且つ印刷プロセスの完了後に必要に応じて除去される「支持材料」の双方を含む。造形材料の例は、限定されるものではないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)プラスチック、ポリ乳酸(PLA)、脂肪族若しくは半芳香族ポリアミド(ナイロン)、懸濁炭素繊維若しくは他の骨材材料を含むプラスチック、導電性ポリマー、及び押出機を介した放出するのに適した熱可塑性材料を生成するために熱処理されることができる任意の他の形態の材料を含む。支持材料の例は、限定されるものではないが、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリビニルアルコール(PVA)、及び熱処理された後に押出可能な他の材料を含む。いくつかの押出プリンタにおいて、押出材料は、一般に「フィラメント」として知られる連続した細長い長さの材料として供給される。このフィラメントは、スプール又は他の供給源から押出材料フィラメントを引っ張り且つ押出機内のマニホールドに流体的に接続されたヒータにフィラメントを供給することにより、1つ以上のローラによって固体形態で供給される。ヒータは、マニホールドに流入する熱可塑性材料を形成するように押出材料フィラメントを軟化又は溶融する。ノズルとマニホールドとの間に位置する弁が開放されたとき、熱可塑性材料の一部は、ノズルを介してマニホールドから流出し、熱可塑性材料の流れとして放出される。本願明細書において使用される場合、押出材料に適用される用語「溶融」は、3次元物体プリンタの動作中に押出機における1つ以上のノズルを介した熱可塑性材料の押出を可能とするように押出材料を軟化又は相変化させる押出材料についての温度の任意の上昇を指す。溶融した押出材料はまた、本願明細書において「熱可塑性材料」として示される。当業者が認識するように、特定のアモルファス押出材料は、プリンタの動作中に純粋な液体状態に遷移しない。
【0012】
本願明細書において使用される場合、用語「押出機」は、単一の流体チャンバ内で押出材料を溶融し、1つ以上のノズルに接続されたマニホールドに溶融した押出材料を供給するプリンタの構成要素を指す。いくつかの押出機は、熱可塑性材料が選択的にノズルを通って流れるのを可能とするように電子的に動作されることができる弁アセンブリを含む。弁アセンブリは、マニホールドへの1つ以上のノズルの独立した接続が熱可塑性材料を押し出すのを可能とする。本願明細書において使用される場合、用語「ノズル」は、押出機におけるマニホールドに流体的に接続され且つ熱可塑性材料が受像面に向けて放出される押出機におけるオリフィスを指す。動作中において、ノズルは、押出機のプロセス経路に沿って熱可塑性材料の略連続した直線状配置を押し出すことができる。コントローラは、弁アセンブリに接続されたノズルが熱可塑性材料を押し出すのを制御するように弁アセンブリにおける弁を動作させる。ノズルの直径は、押し出された熱可塑性材料のライン幅に影響を与える。異なる押出機の実施形態は、より狭いオリフィスによって生成されるライン幅よりも大きい幅を有するラインを生成するより広いオリフィスを有するオリフィスサイズの範囲を有するノズルを含む。
【0013】
本願明細書において使用される場合、用語「マニホールド」は、3次元物体印刷動作中に押出機における1つ以上のノズルに送達するための熱可塑性材料の供給部を保持する押出機のハウジング内に形成された空洞を指す。本願明細書において使用される場合、用語「押出材料の配置」は、押出機が3次元物体印刷動作中に受像面上に形成する押出材料の任意のパターンを指す。押出材料の一般的な配置は、押出材料の直線状の直線配置と押出材料の曲線配置とを含む。いくつかの構成において、押出機は、押出材料の連続した塊を有する配置を形成するように連続的に熱可塑性材料を押し出す一方で、他の構成において、押出機は、直線又は曲線経路に沿って配置された熱可塑性材料の小さな群を形成するように間欠的に動作させる。3次元物体プリンタは、押出材料の異なる配置の組み合わせを使用して様々な構造を形成する。さらに、3次元物体プリンタにおけるコントローラは、押出材料の各配置を形成するために押出機を動作させる前に押出材料の異なる配置に対応する物体画像データ及び押出機経路データを使用する。以下に記載されるように、コントローラは、必要に応じて、3次元印刷動作中に1つ以上のノズルを介して熱可塑性材料の複数の配置を形成するように弁アセンブリの動作を調整する。
【0014】
本願明細書において使用される場合、用語「プロセス方向」は、押出機と押出機における1つ以上のノズルから押し出された熱可塑性材料を受ける受像面との間の相対運動の方向を指す。受像面は、積層造形プロセス中に3次元印刷物体又は部分的に形成された3次元物体の表面を保持する支持部材のいずれかである。本願明細書に記載された例示的な実施形態において、1つ以上のアクチュエータは、支持部材まわりに押出機を移動させるが、代替システムの実施形態は、押出機が静止したままプロセス方向における相対運動を生み出すように支持部材を移動させる。いくつかのシステムは、異なる運動軸に対して双方のシステムの組み合わせを使用する。
【0015】
本願明細書において使用される場合、用語「クロスプロセス方向」は、プロセス方向の平面においてプロセス方向に対して垂直な軸を指す。プロセス方向及びクロスプロセス方向は、押出機及び熱可塑性材料を受ける表面の運動の相対経路を指す。いくつかの構成において、押出機は、クロスプロセス方向に沿って延在するノズルのアレイを含む。押出機内の隣接ノズルは、クロスプロセス方向において所定距離だけ離れている。いくつかの構成において、システムは、押出機におけるノズルから押し出される熱可塑性材料の配置を分離する対応クロスプロセス方向距離を調整するために押出機における異なるノズルを分離する有効クロスプロセス方向距離を調整するように押出機を回転させる。
【0016】
積層造形システムの動作中において、押出機は、3次元物体印刷プロセス中に熱可塑性材料を受ける表面に対して直線及び曲線経路の双方に沿ってプロセス方向に移動させる。さらに、システムにおけるアクチュエータは、必要に応じて、押出機が熱可塑性材料の各配置間に所定距離を有する熱可塑性材料の2つ以上の配置を形成するのを可能とするように、押出機におけるノズルを分離する有効クロスプロセス距離を調整するようにZ軸まわりに押出機を回転させる。押出機は、印刷物体の層における2次元領域の外壁を形成するように外周に沿って及び熱可塑性材料を有する2次元領域の全部又は一部を満たすように周囲内に沿っての双方において移動する。
【0017】
図7は、3次元印刷物体140を形成するために押出機108を動作させるように構成された従来技術の3次元物体積層造形システム又はプリンタ100を示している。プリンタ100は、物体を形成するために平面運動を使用するプリンタとして示されているが、押出機と本願明細書に記載された押出材料の機械的可動子とを有する他のプリンタアーキテクチャが使用可能である。これらのアーキテクチャは、デルタ・ボット、選択的コンプライアンス・アセンブリ・ロボットアーム(SCARA)、多軸プリンタ、非デカルトプリンタなどを含む。プリンタ100は、支持部材102と、マルチノズル押出機108と、押出機支持アーム112と、コントローラ128と、メモリ132と、X/Yアクチュエータ150と、任意のZθアクチュエータ154と、Zアクチュエータ158とを含む。プリンタ100において、X/Yアクチュエータ150は、図7に示されている物体140などの3次元印刷物体における1つの層を形成する熱可塑性材料の配置を押し出すようにX及びY軸に沿って2次元平面(「X−Y平面」)内の異なる位置に押出機108を移動させる。例えば、図7において、X/Yアクチュエータ150は、Y軸に沿って移動させるようにガイドレール113に沿って支持アーム112及び押出機108を並進させるとともに、X/Yアクチュエータ150は、X軸に沿って印刷ヘッドを移動させるように支持アーム112の長さに沿って押出機108を並進させる。押し出されたパターンは、層内の1つ以上の領域及び熱可塑性材料パターンの輪郭内の領域を埋める熱可塑性材料の領域の双方の輪郭を含む。Zアクチュエータ158は、物体が印刷プロセス中に形成されるのにともない、押出機108におけるノズルが物体140の上に熱可塑性材料を押し出すのに適切な高さのままであるのを確実にするために、Z軸に沿って押出機108と支持部材102との間の距離を制御する。Zθアクチュエータ154は、Z軸まわりに回転する押出機108のいくつかの実施形態についてのZ軸まわりの押出機108の回転角度(図4におけるZθとして参照)を制御する。この移動は、押出機108におけるノズル間の分離を制御するが、いくつかの押出機は、製造プロセス中に回転を必要としない。システム100において、X/Yアクチュエータ150、Zθアクチュエータ154及びZアクチュエータ158は、電動モータ、ステッピングモータ、又は任意の他の適切な電気機械装置などの電気機械アクチュエータとして具現化される。図7の例示的な実施形態において、3次元物体プリンタ100は、熱可塑性材料の複数の層から形成される3次元印刷物体140の形成中に示されている。
【0018】
支持部材102は、製造プロセス中に3次元印刷物体140を支持するガラス板、ポリマー板、又は発泡体面などの平面部材である。図6の実施形態において、Zアクチュエータ158はまた、押出機108が物体140の上面から所定距離を維持するのを確実にするために、熱可塑性材料の各層の塗布後に押出機108から離れてZ方向に支持部材102を移動させる。押出機108は、複数のノズルを含み、各ノズルは、支持部材102の表面又は物体140のような部分的に形成された物体の表面上に熱可塑性材料を押し出す。図7の例において、押出材料は、ABSプラスチックのスプールである押出材料供給源110からのフィラメント又は押出機108に押出材料を供給するためにスプールから剥がす他の適切な押出材料フィラメントとして供給される。
【0019】
支持アーム112は、支持部材と、印刷動作中に押出機108を移動させる1つ以上のアクチュエータとを含む。システム100において、1つ以上のアクチュエータ150は、印刷動作中にX及びY軸に沿って支持アーム112及び押出機108を移動させる。例えば、アクチュエータ150のうちの1つは、Y軸に沿って支持アーム112及び押出機108を移動させる一方で、他のアクチュエータは、X軸に沿って移動させるように支持アーム112の長さに沿って押出機108を移動させる。システム100において、X/Yアクチュエータ150は、必要に応じて、直線又は曲線経路のいずれかに沿って同時にX及びY軸の双方に沿って押出機108を移動させる。コントローラ128は、押出機108におけるノズルが支持部材102上に又は物体140の前に形成された層上に熱可塑性材料を押し出すのを可能とする直線及び曲線経路の双方における押出機108の移動を制御する。コントローラ128は、必要に応じて、X軸又はY軸に沿ったラスタライズ動作において押出機108を移動させるが、X/Yアクチュエータ150はまた、X−Y平面内の任意の直線又は曲線経路に沿って押出機108を移動させることができる。
【0020】
コントローラ128は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又はプリンタ100を動作させるように構成された他のディジタルロジックなどのディジタルロジックデバイスである。プリンタ100において、コントローラ128は、支持部材102及び支持アーム112の移動を制御する1つ以上のアクチュエータに動作可能に接続されている。コントローラ128はまた、メモリ132に動作可能に接続されている。プリンタ100の実施形態において、メモリ132はランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどの揮発性データ記憶装置と、固体データ記憶装置、磁気ディスク、光ディスク又は任意の他の適切なデータ記憶装置などの不揮発性データ記憶装置とを含む。メモリ132は、プログラミングされた命令データ134及び3次元(3D)物体画像データ136を記憶する。コントローラ128は、3次元印刷物体140を形成し且つ物体140の1つ以上の表面上に2次元画像を印刷するためにプリンタ100における要素を動作させるように記憶されたプログラム命令134を実行する。3D物体画像データ136は、例えば、プリンタ100が3次元物体印刷プロセス中に形成する熱可塑性材料の各層に対応する複数の2次元画像データパターンを含む。押出機経路制御データ138は、コントローラ128がX/Yアクチュエータ150を使用して押出機108の移動の経路を制御し且つZθアクチュエータ154を使用して押出機108の向きを制御するように処理する幾何学的データのセット又はアクチュエータ制御コマンドを含む。コントローラ128は、上述したように支持部材102の上方において押出機108を移動させるとともに、押出機が物体を形成するために熱可塑性材料を押し出すようにアクチュエータを動作させる。
【0021】
図1は、より詳細には後述する図2に示されるフェースプレートにおける開口を介して複数の熱可塑性材料を押し出す押出機108を有する積層造形システム100’を示している。図を簡略化するために1つのみのマニホールド216が図1に示されているが、押出機108は、複数のマニホールド216を有する。1つの実施形態において、押出機108における各マニホールド216は、1対1対応で異なる押出材料供給源110によって供給される異なるヒータ208に動作可能に接続されている。あるいは、各マニホールド216は、図6の実施形態100’’に示されるように、複数の押出材料供給源110によって供給される複数のチャネル232’を収容する単一のヒータ208’に結合されることができる。図6における各チャネル232’は、各マニホールドが他のマニホールドが受けている材料とは異なる材料を受けるのを可能とするように押出機108におけるマニホールド216に熱可塑性材料を供給する。押出機108において、各ノズル218は、押出機108内のマニホールドのうちの一方のみに流体的に接続されており、そのため、各ノズルは、他のマニホールドに接続されたノズルから押し出される材料とは異なる熱可塑性材料を押し出すことができる。各ノズルからの押し出しは、弁アセンブリ204における弁を動作させるコントローラ128によって選択的に且つ独立して活性化及び不活性化される。各ノズル218はまた、以下により詳細に記載されるように、物体における材料の配置のより柔軟な形成のためにノズルを構成するようにフェースプレート260における開口と整列されている。図6の構成は、図4Bに示されるものと同様のフェースプレートの実施形態に対応するが、図4Bに示されるように6つのマニホールドについて3つのノズルではなく5つのマニホールドのそれぞれについて3つのノズルを設けている。
【0022】
図1及び図6の実施形態において、弁アセンブリ204は、押出機108におけるマニホールドと押出機108におけるマニホールドに接続されたノズルのそれぞれとの間に弁を配置する。弁アセンブリ204は、コントローラ128に動作可能に接続されており、そのため、コントローラは、押出機108における複数のノズルから熱可塑性材料を押し出すために弁を開閉することができる。具体的には、コントローラ128は、ノズルから熱可塑性材料を押し出して3次元印刷物体140の各層に異なる熱可塑性材料の配置を形成するように押出機108における弁に接続されたアセンブリ204内の異なるアクチュエータを活性化及び不活性化する。
【0023】
図1のシステム100’はまた、押出機108におけるマニホールドに接続された各ヒータ208についての押出材料分配システム212を含む。各別個の供給源110からの押出材料は、システム100’の動作中にヒータに接続されたマニホールドにおける熱可塑性材料の圧力を所定範囲内に維持する速度で対応するヒータ208に供給される。分配システム212は、押出機108の各マニホールドにおける熱可塑性材料の圧力調整に適している1つの実施形態である。図6の実施形態100’’において、複数の押出材料分配システム212は、1対1対応で複数の押出材料供給源110とヒータ208’におけるチャネル232’との間に動作可能に接続されている。さらに、双方の実施形態において、コントローラ128は、分配システム212が供給源によって供給された押出材料を供給源110からヒータに送達する速度を制御するように、各分配システム212のアクチュエータに動作可能に接続されている。図6の分配システム212は、図1の分配システム212として構成されることができる。ヒータ208及び208’は、駆動ローラ224を介してヒータ208に供給される押出材料220を軟化又は溶融する(図1)。アクチュエータ240は、ローラ224を駆動し、コントローラ128に動作可能に接続されており、そのため、コントローラは、アクチュエータがローラ224を駆動する速度を調整することができる。ローラ224に対向する他のローラはフリーホイールであり、そのため、ローラ224が駆動される回転速度に追随する。図1は、ヒータ208又は208’にフィラメント220を移動させるための機械的可動子として電気機械アクチュエータ及び駆動ローラ224を使用する供給システムを示しているが、分配システム212の代替実施形態は、回転オーガ又はスクリュの形態の機械的可動子を動作させるために1つ以上のアクチュエータを使用する。オーガ又はスクリュは、押出材料粉末又はペレットの形態で固相押出材料を供給源110からヒータ208又は208’へと移動させる。
【0024】
図1及び図6の実施形態において、各ヒータは、ステンレス鋼から形成され且つコントローラ128に動作可能に接続された電気抵抗加熱素子などの1つ以上の加熱素子228を含む。コントローラ128は、ヒータ208又は208’内の1つのチャネル又は複数のチャネルにおける押出材料220のフィラメントを軟化又は溶融するように選択的に電流に加熱素子228を接続するように構成されている。図1及び図6は、固体フィラメント220として固相で押出材料を受けるヒータ208及びヒータ208’を示しているが、代替実施形態においては、ヒータは、粉末状又はペレット状押出材料として固相で押出材料を受ける。冷却フィン236は、ヒータから上流のチャネル内の熱を減衰する。冷却フィン236において又は冷却フィン236の付近においてチャネル内で固体のままである押出材料の一部は、マニホールド216に対する接続部以外の任意の他の開口からの熱可塑性材料がヒータから出るのを防止するチャネル内のシールを形成する。押出機108はまた、押出機内の各マニホールド内の熱可塑性材料について高温を維持するために追加の加熱素子を含むことができる。いくつかの実施形態において、押出機内のマニホールド内の温度を維持するために断熱材が押出機108の外側部分を被覆している。読者は、図6におけるノズルの長さが図1に示されるものと同じ程度に短いため、熱可塑性材料がフェースプレートにおける開口への移動中に凝固を開始しないことを理解すべきである。
【0025】
マニホールド216内の熱可塑性材料の流体圧力を所定範囲内に維持し、押出材料への損傷を回避し、ノズルを通る押出速度を制御するために、スリップクラッチ244が供給源110からヒータへとフィラメントを供給する各アクチュエータ240の駆動軸に動作可能に接続されている。本願明細書において使用される場合、用語「スリップクラッチ」は、物体に摩擦力を加えて物体を所定の設定ポイントまで移動させる装置を指す。摩擦力の所定の設定ポイントまわりの範囲を超えると、装置はスリップし、そのため、もはや摩擦力は物体に加えられなくなる。スリップクラッチは、アセンブリ204内のいくら多くの弁が若しくはいくら長く弁が開放されても又はいくら高速にアクチュエータ240がローラ224を駆動してもフィラメント220に及ぼされる力が一定のままであるのを可能とする。この一定の力は、フィラメント駆動ローラ224の最速予想回転速度よりも高速でアクチュエータ240を駆動することによって又はローラ224上にエンコーダホイール248を配置してセンサ252によって回転速度を検知することによって維持されることができる。センサ252によって生成された信号は、ローラ224の回転角度を示し、コントローラ128は、ローラ224の速度を特定するためにこの信号を受信する。コントローラ128は、さらに、アクチュエータの速度を制御するためにアクチュエータ240に供給される信号を調整するように構成されている。コントローラがアクチュエータ240の速度を制御するように構成されている場合、コントローラ128は、アクチュエータ240を動作させ、そのため、その速度は、ローラ224の回転よりも僅かに高速である。この動作は、駆動ローラ224上のトルクが常にスリップクラッチトルクの関数であるのを確実にする。
【0026】
コントローラ128は、ローラ224の回転速度よりもアクチュエータ出力軸の僅かに高速な速度を特定するコントローラに接続されたメモリに記憶された設定ポイントを有する。本願明細書において使用される場合、用語「設定ポイント」は、設定ポイントに対応するパラメータを設定ポイントまわりの所定範囲内に維持するように構成要素を動作させるためにコントローラが使用するパラメータ値を意味する。例えば、コントローラ128は、設定ポイントまわりの所定範囲内の出力信号によって特定される速度で出力軸を回転させるようにアクチュエータ240を動作させる信号を変化させる。アクチュエータについての指令速度に加えて、弁アセンブリ204内で開閉される弁の数及びクラッチについてのトルク設定ポイントはまた、フィラメント駆動システム212の動作に影響を与える。ローラ224の得られる回転速度は、センサ252によって生成される信号によって特定される。コントローラ128内の比例・積分・微分(PID)コントローラは、メモリに記憶された差分設定ポイントを参照してこの信号からエラーを特定し、アクチュエータ240を動作させるようにコントローラによって出力される信号を調整する。あるいは、コントローラ128は、スリップクラッチについてのトルクレベルを変更することができ、又は、コントローラ128は、トルクレベルを変更してコントローラがアクチュエータを動作させる信号を調整することができる。
【0027】
スリップクラッチ244は、固定又は調整可能なトルク摩擦板クラッチ、磁粉クラッチ、磁気ヒステリシスクラッチ、強磁性流体クラッチ、空気圧クラッチ、又は永久磁石クラッチとすることができる。磁気的に動作するクラッチタイプは、クラッチに電圧を印加することによって調整されるそれらのトルク設定ポイントを有することができる。この特徴は、クラッチに対するトルク設定ポイントが印刷条件を参照して変更されるのを可能とする。用語「印刷条件」は、物体の適切な形成のためにマニホールドに必要な熱可塑性材料の量に影響を与える現在進行中の製造動作のパラメータを指す。これらの印刷条件は、押出機に供給される押出材料の種類、押出機から放出される熱可塑性材料の温度、押出機がX−Y平面内で移動される速度、物体上に形成される特徴の位置などを含む。
【0028】
図2は、フェースプレート260と、フェースプレートにおける6つの開口268と整列している6つのノズル264A、264B、264C、264D、264E及び264Fの構成を示している。本願明細書において使用される場合、用語「フェースプレート」は、熱可塑性材料が複数の押出機のノズルから押し出されるのを可能とする複数の開口を有する単一の平面部材を指す。押出機における複数のノズルについての単一のフェースプレートの使用は、異なる材料が同時に印刷されるのを可能とし、そのため、それらは高温でありながら互いに接合する。この異なる材料の接合は、物体内の弱点が形成されるのを防ぐのに役立つ。しかしながら、異なる材料の接合は、材料が互いに混合することを意味していない。それゆえに、異なる材料の順序及び配置は、物体の層及び表面に実質的に影響を与える。
【0029】
以下の説明において、異なる押出材料は、複数のヒータ208に供給されるか、又は、単一のヒータ208’は、異なる色を有する。層内の配置の選択的形成は、物体が物体の表面及びエッジにおいて異なる色及び色の濃淡を有して形成されるのを可能とする。読者は、異なる押出材料が色以外の異なる特性を有することを理解すべきである。例えば、異なる特性は、物体が物体の異なる部分における硬さの程度を変化させることで形成されるのを可能とするための材料の硬さとすることができる。しかしながら、以下の説明において、色は、様々な実施形態の動作及びそれらがどのように物体の部分における変化を生み出すかを記載するために使用されている特性である。本願明細書において使用される場合、用語「特性」は、積層造形システムにおいて使用される各押出材料について異なることができる押出材料の特性を指す。
【0030】
物体エッジにおいては、エッジの外側に向かって押し出される材料の色が優勢であるが、上面においては、押し出された材料は、色を決定するように、互いに隣接して配置されることができるか、又は、他の材料のものの上に配置されることができる。1つのノズルがフェースプレートについての移動方向において他のノズルと整列しているとき、後に押し出された材料は、先に押し出された材料上にあるため、それは上面の色外観を支配する傾向がある。例えば、図2において、ノズル264A及び264Bは、フェースプレートが左から右へ又は右から左へ移動したときに整列される。したがって、フェースプレートが右に移動するとき、ノズル264Aからの材料の色は、上面の外観を支配する傾向があり、フェースプレートが左に移動するとき、ノズル264Bからの材料の色が支配する傾向がある。ノズルからの熱可塑性材料の流れを操作してノズルを異なって向けるようにフェースプレートを回転させることにより、物体の可視部分において知覚される色が制御されることができる。物体の内部のように色が知覚できない場合、全てのノズルは、物体についての配置を形成して印刷速度を最大化するように動作することができる。
【0031】
図2において、例えば、ノズル264Aは、シアン着色材料を放出し、ノズル264Bは、マゼンタ色材料を放出し、ノズル264Dは、イエロー色材料を放出し、ノズル264Fは、ブラック色材料を放出する。ホワイトはまた、色を変化させるために有用であり、そのため、ノズル264Eは、ホワイト材料を押し出すとともに、ノズル264Cは、レッド材料を押し出す。この色の選択は、押出機108における様々なマニホールドについてのヒータ208に供給するフィラメントとしての例示にすぎず、任意の既知のフィラメント色とすることができる。図3は、矩形物体304のグリーンエッジを形成するように動作する図2の構成の使用を示している。ノズル264B、264D、264E及び264Fにおける「X」は、閉じられたそれらのノズルに供給する弁を示している。それゆえに、ノズル264Aからのシアン材料及びノズル264Cからのイエロー材料のみが押し出される。フェースプレート260が右から左へと又は左から右へと移動される方向にかかわらず、フェースプレート260は、図に示される向き1及び向き2の間においてフェースプレート260に対して垂直な軸まわりに回転する。向き1において、シアンが支配的であるが、向き2において、イエローが支配的である。2つの向きの間において交互にすることにより、人間の観察者がグリーンであると知覚するようにエッジが形成される。他の向きに対して1つの向きが使用される時間量は、観察者が知覚するグリーンの濃淡を決定する。読者はまた、シアン及びイエロー材料が相対的に不透明である場合にシアン及びイエロー材料を押し出すノズルが物体の外側にとどまることから、ノズル264B、264D、264E及び264Fがエッジの色を損なうことなく開放したままとすることができることに留意すべきである。シアン及びイエロー材料が比較的高い半透明である場合、ホワイト材料は、形成される色の劣化を回避するために必要とされることがある。コーナーの形成は、フェースプレートがコーナーを通って回転している前又はときに、シアン又はイエロー材料を押し出さないノズルの閉鎖を必要とすることがあるが、いくつかの場合において、これらのノズルの使用は、徐々に曲線を成形するために有用とすることができる。
【0032】
図3を参照して説明した例は、2色のみを使用しているが、任意数の色及び向きが物体のエッジ又は表面において色を形成するために使用可能である。また、より明るい又はより暗い色合いの色は、それぞれ、ホワイト又はブラックの押出材料を含むことによって生成されることができる。イジェクタが交互にされる速度及び物体の表面に材料を押し出すノズルの選択的活性化は、どのように微細に色間の変動が詳細であり得るか及びどのように正確に所望の色変化が物体のエッジ及び表面において生成されることができるのかを決定する。
【0033】
フェースプレート260及び押出機の複数の他の構成の代替実施形態が図4A及び図4Bに示されている。これらの実施形態において、図2のフェースプレート260におけるノズルによって供給される各色の熱可塑性材料が複数のノズルを介して押し出される。例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト、レッドの着色材料のそれぞれは、図4Aのフェースプレート260’における2つのノズルを介して供給されるとともに、それらの材料の色のそれぞれは、図4Bのフェースプレート260’’における3つのノズルを介して供給される。同じ色を押し出すノズルのそれぞれは、押出機108における同じマニホールドに接続されており、アセンブリ204における異なる弁は、そのマニホールドと各ノズルとの間に配置されている。それゆえに、コントローラ128は、ノズルの全て又は特定色について選択されたノズルのみを開閉するように弁アセンブリ204を動作させることができる。さらに、単一色のノズルのそれぞれは、同じ直径又は異なる直径を有することができる。それゆえに、図4A及び図4Bの実施形態は、これらの実施形態のフェースプレートを介して押し出された熱可塑性材料の配置の柔軟性及び分解能を向上させることができる。さらに、ノズルがフェースプレートに配置されて異なる色が均一に重なる場合、単一色についてのノズルのそれぞれは、図3を参照して上述したものと同様の効果を生み出すようにノズルについての弁を独立して動作させることによって配列されることができる。さらに、弁の動作は、物体についての色の形成にさらなる柔軟性を追加するようにフェースプレートの異なる回転と組み合わせることができる。
【0034】
図3に示される向き1及び2は、物体の表面を見下ろす視点からみたときに物体の表面上に異なる色の効果を生み出すように図5に示されるように使用可能である。図の左側において、向き1は、フェースプレートが移動する方向にかかわらず、イエローの熱可塑性材料に隣接しているシアンの熱可塑性材料を生み出す。同様に、向き2が使用された場合、2つの材料は逆になっているが、フェースプレートの移動方向にかかわらず互いに隣接したままである。右側において、向きは、ノズル264Cとノズル264Aを整列させるように示されている。フェースプレートが右上描写における矢印によって示されるように右に移動する場合、シアンの熱可塑性材料は、イエローの熱可塑性材料を被覆するが、同じ向きが右下描写における矢印によって示されるように左に移動する場合、イエロー材料は、シアン材料を被覆する。それゆえに、物体についての色形成は、フェースプレートを回転させ、マニホールドとノズルの間の弁を制御し、特定方向にフェースプレートを移動させることによって影響を受けることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7