(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)表面において阻害免疫チェックポイントレセプター(ICR)及びT細胞レセプター(TCR)を表示し、かつ蛍光又は生物発光レポータータンパク質をコードする遺伝子を含むエフェクター細胞、ここで、前記タンパク質の発現は、活性化T細胞の核因子(NFAT)プロモーター及びIL−2プロモーターから選択されるTCRプロモーターの制御下にある、並びに;
(b)表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を表示する人工抗原提示細胞(aAPC)、ここで、前記TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3(CD3)抗体又はFabドメインを含むそのフラグメントである;
を含む組成物であって、
前記阻害ICR及びICLが、相互作用の際に阻害ICR/ICL複合体を形成し、
前記阻害ICR/ICL複合体の形成が、前記蛍光又は生物発光レポータータンパク質の発現の変更を生じる、前記組成物。
阻害ICRが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、CD160、TIGIT、IL−10レセプター、及びBTLAからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
(a)表面において阻害免疫チェックポイントレセプター(ICR)及びT細胞レセプター(TCR)を表示し、かつ蛍光又は生物発光レポータータンパク質をコードする遺伝子を含むエフェクター細胞、ここで、前記タンパク質の発現は、活性化T細胞の核因子(NFAT)プロモーター及びIL−2プロモーターから選択されるTCRプロモーターの制御下にある、並びに;
(b)表面において(i)T細胞レセプター(TCR)活性化因子及び(ii)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を表示する人工抗原提示細胞(aAPC)、ここで、前記TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3(CD3)抗体又はFabドメインを含むそのフラグメントである;
を含むシステムであって、
前記阻害ICR及びICLが、相互作用の際に阻害ICR/ICL複合体を形成し、
前記阻害ICR/ICL複合体の形成が、前記蛍光又は生物発光レポータータンパク質の発現の変更を生じる、前記システム。
【発明の概要】
【0006】
免疫チェックポイントの調節因子を評価するための組成物、システム、及び方法を本明細書において提供する。特に、免疫チェックポイントを阻害する試験因子(例えば、抗体)の効能を評価するする人工抗原提示細胞(aAPC)及び免疫エフェクター細胞を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、表面において(1)抗原応答要素活性化因子及び(2)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)またはリン脂質液滴を含む組成物を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、抗原応答要素活性化因子は、T細胞レセプター(TCR)複合体活性化因子である。いくつかの実施形態において、表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)またはリン脂質液滴を含む組成物を提供する。本明細書に記載されている実施形態は、TCR複合体及びTCR活性化因子を参照して典型的には記載されているが、本明細書に記載されている組成物、システム、及び方法はまた、他の抗原応答要素及びその活性化因子に適用されてもよい。いくつかの実施形態において、aAPCは、その表面において、第2(または第3、第4など)の異なる免疫チェックポイントリガンドをさらに提示する。
【0008】
いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、TCR複合体の構成要素に結合またはさもなければ相互作用してTCR複合体及びTCR依存性経路を活性化する表面提示分子実体(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)である。いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3抗体(抗CD3)、抗CD3の抗体フラグメントを含有する膜融合タンパク質、またはその抗体フラグメント、主要組織適合複合体(MHC)などである。
【0009】
いくつかの実施形態において、ICLは、エフェクター細胞(例えば、T細胞、Jurkatなど)において免疫チェックポイントレセプター(ICR)と相互作用してエフェクター細胞の免疫応答を調節(例えば、阻害、向上など)する分子実体(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)である。いくつかの実施形態において、ICLは、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含めたいずれかの好適な免疫チェックポイントリガンドである。
【0010】
いくつかの実施形態において、表面において(1)TCR活性化因子(例えば、抗CD3)及び(2)免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を含む組成物を本明細書において提供する。
【0011】
いくつかの実施形態において、APCの人工、外因性、及び/または改変要素として、限定されないが、TCR活性化因子(例えば、抗CD3抗体、MHCなど)、免疫チェックポイントリガンド(例えば、PD−L1)などが挙げられる。
【0012】
いくつかの実施形態において、表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)またはリン脂質液滴を含む組成物を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、aAPCまたはリン脂質液滴とTCR及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)を含むエフェクター細胞との相互作用の際、TCR活性化因子が、エフェクター細胞のTCRを活性化し、ICLが、ICR/ICL複合体を形成するICRと相互作用する。いくつかの実施形態において、ICR/ICL複合体の形成は、TCR活性化の下流の効果を調節する。いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、または主要組織適合複合体(MHC)である。いくつかの実施形態において、ICLは、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、及びHVEMからなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、(a)表面において(i)T細胞レセプター(TCR)活性化因子及び(ii)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞またはリン脂質液滴と、(b)表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示し、(i)TCR複合体ならびに(ii)(A)ICR/ICL複合体形成、(B)TCR活性化、及び/または(C)TCR活性化経路依存性レポーターの1以上のレポーター(例えば、TCR経路依存性レポーター)を含む人工エフェクター細胞とを含むシステムを本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、ICR/ICL複合体の形成は、(例えば、ICR/ICL相互作用の非存在下に対する)TCR活性化経路依存性レポーターからのシグナルの検出可能な変更(例えば、活性の変化、表現の変化など)を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、システムは、遮断因子または試験遮断因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、ICR/ICL複合体の形成を阻害し、TCR活性化経路依存性レポーターからのシグナルの阻害を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、TCR活性化経路依存性レポーターからのシグナルの変更は、少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、及びこれらの中のいずれかの範囲)である。
【0014】
いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、TCR複合体の構成要素に結合またはさもなければ相互作用してTCR複合体及びTCR依存性経路を活性にする表面提示分子実体(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)である。いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3抗体(抗CD3)またはその抗体フラグメント、主要組織適合複合体(MHC)などである。
【0015】
いくつかの実施形態において、ICLは、エフェクター細胞(例えば、T細胞、Jurkatなど)において免疫チェックポイントレセプター(ICR)と相互作用してエフェクター細胞の免疫応答を調節(例えば、阻害、向上など)する分子実体(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)である。いくつかの実施形態において、ICLは、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含めたいずれかの好適な免疫チェックポイントリガンドである。
【0016】
いくつかの実施形態において、人工エフェクター細胞は、親(例えば、非人工)細胞にネイティブでない1以上の要素(例えば、レポーター構築物、外因性遺伝子など)を含有、発現等するように改変されている、限定されないが、Jurkat細胞、HuT−78、CEM、Molt−4などを含む群から選択されるT細胞である。
【0017】
いくつかの実施形態において、ICRは、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、TIGIT、CD160、BTLA、IL−10レセプターなどを含めたいずれかの好適な免疫阻害レセプターである。
【0018】
いくつかの実施形態において、TCR複合体は、可変TCRレセプターα及びβ鎖と、3種の二量体シグナリングモジュールCD3δ/ε、CD3γ/ε、及びCD247ζ/ζまたはζ/ηとの八量体複合体である。
【0019】
いくつかの実施形態において、レポーター(例えば、TCR活性化経路依存性レポーター)は、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路の活性化の1以上に依存するまたはこれと相関する特徴(例えば、活性、発現、濃度、局在、相互作用、修飾など)を有するエフェクター細胞におけるまたは該細胞内の要素である。いくつかの実施形態において、レポーターは、ICR/ICL複合体形成及び/またはTCR活性化の下流にある(例えば、改変レポーター構築物、上記エフェクター細胞内に自然発生する、検出可能な要素/シグナル/相互作用)。いくつかの実施形態において、レポーターは、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路の1以上によって変更される特徴(例えば、活性、発現、濃度、局在、相互作用、修飾など)を有するエフェクター細胞におけるまたは該細胞内の要素である。いくつかの実施形態において、レポーターは、エフェクター細胞(例えば、T細胞、Jurkat細胞などの内在性要素)に内在性である。かかる実施形態において、内在性レポーターの特徴の変更は、i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路活性化の1以上の存在、非存在及び/またはレベルのシグナルとして検出可能である。例示的な内在性レポーター及び/またはシグナルとして、限定されないが、遺伝子発現(例えば、TCR経路依存性遺伝子の)、タンパク質濃度(例えば、TCR経路依存性遺伝子によって発現されるタンパク質)、タンパク質−タンパク質相互作用(例えば、ICR/ICL複合体形成及び/またはTCR活性化によって媒介される)、TCR依存性タンパク質(例えば、酵素、プロテイナーゼ、キナーゼ)の活性、内在性エフェクター細胞要素の局在及び移動などが挙げられる。いくつかの実施形態において、レポーターは、エフェクター細胞(例えば、エフェクター細胞に導入または改変されたレポーター要素または構築物)に対して外在性である。かかる実施形態において、外在性及び/または改変レポーターの特徴の変更は、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路活性化の1以上の存在、非存在及び/またはレベルのシグナルとして検出可能である。例示的な外在性レポーター及び/またはシグナルとして、限定されないが、TCR依存性及び/またはTCR経路依存性レポーター構築物の発現(例えば、NFAT−応答要素、NF−κB−応答要素、AP1−応答要素、上記言及の応答要素のうち1または複数を含有するプロモーター、IL−2プロモーターの制御下)、活性化及び/または発現がTCR−またはTCR−経路依存性であるレポーター(例えば、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質など)の活性、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質移動、qPCRを介した内因性遺伝子上方調節などが挙げられる。
【0020】
いくつかの実施形態において、(a)表面において(i)T細胞レセプター(TCR)活性化因子、(ii)第1免疫チェックポイントリガンド(ICL)、及び(iii)第2ICLを提示する人工抗原提示細胞またはリン脂質液滴と、(b)表面において(i)第1免疫チェックポイントレセプター(ICR)、(ii)第2ICR、及び(iii)TCR複合体を提示する人工エフェクター細胞とを含み、(A)第1ICR及び第1ICL間の複合体形成、(B)第2ICR及び第2ICL間の複合体形成、(C)TCR活性化、ならびに/または(D)TCR活性化経路依存性レポーターの1以上のレポーター(例えば、TCR経路依存性レポーター)を含むシステムを本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、第1ICR及び第1ICLならびに/または第2ICR及び第2ICL間の複合体の形成は、(例えば、ICR/ICL相互作用の非存在下に対する)TCR活性化経路依存性レポーターからのシグナルの検出可能な変更(例えば、活性の変化、表現の変化など)を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、システムは、遮断因子または試験遮断因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、第1ICR及び第1ICLならびに/または第2ICR及び第2ICL間の複合体の形成を阻害し、TCR活性化経路依存性レポーターからのシグナルの阻害を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、TCR活性化経路依存性レポーターからのシグナルの変更は、少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、及びこれらの中のいずれかの範囲)である。
【0021】
いくつかの実施形態において、(a)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)、ならびにTCR活性化経路依存性レポーター(例えば、活性化T細胞(NFAT)プロモーターの核因子依存性レポーター)を提示するエフェクター細胞と、(b)TCR活性化因子(例えば、表面発現された抗分化抗原群列3抗体または抗体フラグメント、主要組織適合複合体(MHC)など)及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)とを含むシステムであって、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記システムを本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、ICR/ICL複合体の形成は、NFAT−プロモーター依存性レポーターの抑制された発現を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、システムは、遮断因子または試験遮断因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、ICR/ICL複合体の形成を阻害して、NFAT−プロモーター依存性レポーターの増加された発現を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、増加された発現は、少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、及びこれらの中のいずれかの範囲)である。いくつかの実施形態において、増加された発現は、抑制された発現に対して6〜12倍増加する。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、限定されないが、Jurkat細胞、HuT−78、CEM、Molt−4などを含めたT細胞である。いくつかの実施形態において、レポーターは、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質、遺伝子産物(例えば、qPCR、質量分析などによって検出される)などである。いくつかの実施形態において、ICRは、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、TIGIT、CD160、BTLA、IL−10レセプターなどを含めたいずれかの免疫阻害レセプターであり、ICLは、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含めたいずれかの対応する免疫阻害リガンドである。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、抗体(もしくは抗体フラグメント)、タンパク質、ペプチド、もしくは小分子、ワクチン、またはこれらの組み合わせである。
【0022】
いくつかの実施形態において、(a)表面におけるTCR及びPD−1、ならびにTCR活性化経路依存性(例えば、NFAT−プロモーター依存性)レポーターを含むエフェクター細胞と、(b)表面においてTCR活性化因子(例えば、抗分化抗原群列3抗体または抗体フラグメント、主要組織適合複合体(MHC)などの表面発現)及びPD−L1を提示する人工抗原提示細胞とを含むシステムを本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、PD−1/PD−L1複合体の形成は、TCR活性化経路依存性(例えば、NFAT−プロモーター依存性)レポーターの抑制された発現を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、システムは、遮断因子または試験遮断因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、PD−1/PD−L1複合体の形成を阻害して、TCR活性化経路依存性レポーターの増加された発現を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、増加された発現は、少なくとも2倍(例えば、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍、及びこれらの中のいずれかの範囲)である。
【0023】
いくつかの実施形態において、レポーターは、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質、タンパク質−タンパク質相互作用などである。いくつかの実施形態において、発現は、(例えば、qPCRによって、質量分析によって等)遺伝子発現の量を直接測定することによって検出される。
【0024】
いくつかの実施形態において、TCR、及び、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、TIGIT、CD160、BTLA、IL−10レセプターなどを含めたいずれかの免疫阻害レセプターを表面において提示し、TCR活性化経路依存性レポーター(例えば、NFAT−プロモーター依存性レポーター)、例えばルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質などを含む人工エフェクター細胞を含む組成物を本明細書において提供する。
【0025】
いくつかの実施形態において、(a)表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示し、T細胞レセプター(TCR)を含むエフェクター細胞と、(b)表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)とを含むシステムであって、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記システムを本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、ICR/ICL複合体の形成は、TCR活性化因子によるTCR活性化の調節及び/または1以上のTCR依存性経路の調節を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、調節は、(a)TCR活性化因子によるTCR活性化及び/もしくは1以上のTCR依存性経路の阻害、または(b)TCR活性化因子によるTCR活性化及び/もしくは1以上のTCR依存性経路の向上を含む。いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、または主要組織適合複合体(MHC)である。いくつかの実施形態において、ICLは、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、及びHVEMからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ICRは、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、CD160、TIGIT、IL−10レセプター、及びBTLAからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、Jurkat、HuT−78、CEM、及びMolt−4からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、TCR活性化、TCR経路活性化、及び/またはTCR活性化もしくはTCR経路活性化のICR/ICL複合体調節のレポーターをさらに含む。いくつかの実施形態において、レポーターの特徴は、細胞濃度、発現、活性、局在、またはタンパク質−タンパク質相互作用を含む。いくつかの実施形態において、ICR/ICL複合体の形成は、上記特徴を調節する。いくつかの実施形態において、レポーターは、例えば、エフェクター細胞型に内在性であって、TCR活性化、TCR経路活性化、及び/またはTCR活性化もしくはTCR経路活性化のICR/ICL複合体調節を検出可能でありかつこれと相関する特徴を有する天然レポーターである。いくつかの実施形態において、レポーターは、例えば、エフェクター細胞型に外因性であって、TCR活性化、TCR経路活性化、及び/またはTCR活性化もしくはTCR経路活性化のICR/ICL複合体調節を検出可能でありかつこれと相関する特徴を有する人工レポーターである。いくつかの実施形態において、レポーターは、遺伝子であり、その発現は、TCR経路依存性レポーターの制御下にある。いくつかの実施形態において、TCR経路依存性レポーターは、活性化T細胞(NFAT)プロモーターの核因子である。いくつかの実施形態において、レポーターは、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質、または定量化可能な遺伝子産物からなる群から選択されるタンパク質をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、システムは、遮断因子または試験遮断因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、遮断因子は、ICR/ICL複合体の形成を阻害して、TCR活性化またはTCR経路活性化の調節を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、小分子、ペプチド、タンパク質、または抗体である。
【0026】
いくつかの実施形態において、(a)表面におけるTCR及びPD−1と、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼをと含むエフェクター細胞と、(b)表面において抗CD3抗体またはその抗体フラグメント及びPD−L1を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)とを含むシステムを本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、PD−1/PD−L1複合体の形成は、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼの抑制された発現を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、システムは、遮断因子または試験遮断因子をさらに含む。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、PD−1/PD−L1複合体の形成を阻害して、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼの増加された発現を結果として生じさせる。
【0027】
いくつかの実施形態において、(a)(i)表面において(A)T細胞レセプター(TCR)活性化因子及び(B)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、(ii)TCR複合体を含み、表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示するエフェクター細胞と接触させることにおいて、TCR活性化因子とTCR複合体との相互作用が、TCRシグナリング経路を活性化し、上記ICR及び上記ICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成し、ICR/ICL複合体の形成が、TCR活性化及び/またはTCRシグナリング経路を向上または阻害することと、(b)上記エフェクター細胞におけるTCR活性化の存在、非存在及び/またはレベルを検出することとを含む方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、(c)上記エフェクター細胞及び/または上記aAPCを遮断因子または試験遮断因子と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、(d)上記遮断因子または試験遮断因子の、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路に対する効果を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態において、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路の1以上が、上記遮断因子または試験遮断因子の存在及び非存在下で検出されて、効果を決定する。
【0028】
いくつかの実施形態において、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路は、ICR/ICL複合体形成及び/またはTCR活性化の下流のレポーター(例えば、改変レポーター構築物、上記エフェクター細胞内に自然発生する、検出可能な要素/シグナル/相互作用)に基づいて検出される。いくつかの実施形態において、レポーターは、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路の1以上によって変更される特徴(例えば、活性、発現、濃度、局在、相互作用、修飾など)を有するエフェクター細胞におけるまたは該細胞内の要素である。いくつかの実施形態において、レポーターは、エフェクター細胞(例えば、T細胞、Jurkat細胞などの内在性要素)に内在性である。かかる実施形態において、内在性レポーターの特徴の変更は、i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路活性化の1以上の存在、非存在及び/またはレベルのシグナルとして検出可能である。例示的な内在性レポーター及び/またはシグナルとして、限定されないが、遺伝子発現(例えば、TCR経路依存性遺伝子の)、タンパク質濃度(例えば、TCR経路依存性遺伝子によって発現されるタンパク質)、タンパク質−タンパク質相互作用(例えば、ICR/ICL複合体形成及び/またはTCR活性化によって媒介される)、TCR経路依存性タンパク質修飾、TCR依存性タンパク質の活性、内在性エフェクター細胞要素の局在など挙げられる。いくつかの実施形態において、レポーターは、エフェクター細胞に対して外在性である(例えば、エフェクター細胞に導入または改変されたレポーター要素または構築物)。かかる実施形態において、外在性及び/または改変レポーターの特徴の変更は、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路活性化の1以上の存在、非存在及び/またはレベルのシグナルとして検出可能である。例示的な外在性レポーター及び/またはシグナルとして、限定されないが、TCR依存性及び/またはTCR経路依存性レポーター構築物の発現(例えば、NFATプロモーターの制御下)、活性化及び/または発現がTCR−またはTCR−経路依存性であるレポーター(例えば、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質など)の活性、タンパク質−タンパク質相互作用、タンパク質移動、タンパク質修飾の検出、qPCRを介した内因性遺伝子上方調節などが挙げられる。
【0029】
いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、TCR複合体の構成要素に結合またはさもなければ相互作用してTCR複合体及びTCR依存性経路を活性化する表面提示分子実体(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)である。いくつかの実施形態において、TCR活性化因子は、抗分化抗原群列3抗体(抗CD3)またはその抗体フラグメント、主要組織適合複合体(MHC)などである。
【0030】
いくつかの実施形態において、ICLは、エフェクター細胞(例えば、T細胞、Jurkatなど)において免疫チェックポイントレセプター(ICR)と相互作用してエフェクター細胞の免疫応答を調節(例えば、阻害、向上など)する分子実体(例えば、タンパク質、ペプチド、ポリペプチドなど)である。いくつかの実施形態において、ICLは、限定されないがPD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含めたいずれかの好適な免疫チェックポイントリガンドである。
【0031】
いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、限定されないが、Jurkat細胞、HuT−78、CEM、Molt−4などを含む群から選択されるT細胞である。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、人工的である(例えば、親(例えば、非人工)細胞にネイティブでない1以上の要素(例えば、レポーター構築物、外因性遺伝子など)を含有、発現等するように改変されている)。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、非改変ヒトまたは動物T細胞である。
【0032】
いくつかの実施形態において、ICRは、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、TIGIT、CD160、BTLA、IL−10レセプターなどを含むいずれかの好適な免疫阻害レセプターである。
【0033】
いくつかの実施形態において、TCR複合体は、可変TCRレセプターα及びβ鎖と3種の二量体シグナリングモジュールCD3δ/ε、CD3γ/ε、及びCD247ζ/ζまたはζ/ηとの八量体複合体である。
【0034】
いくつかの実施形態において、試験遮断因子の効能を測定して、免疫チェックポイントレセプター及び免疫チェックポイントリガンドの相互作用を阻害する方法であって、(a)(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR活性化経路依存性レポーターとを提示するエフェクター細胞と、(ii)抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、及び免疫チェックポイントリガンドを提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記人工抗原提示細胞(aAPC)と、(iii)試験遮断因子とを共培養することと、(b)(a)における混合物をインキュベートしてシグナル誘発を可能にすることと、(c)上記レポーターから上記シグナルを検出することと、(d)試験遮断因子との細胞共培養システム及び試験遮断因子を用いない細胞共培養システムからの上記シグナルを比較することにおいて、シグナルのゲインが、上記試験遮断因子による上記ICR/ICL複合体の阻害を示すこととを含む、上記方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、限定されないが、Jurkat細胞、HuT−78、CEM、Molt−4などを含めたT細胞である。いくつかの実施形態において、レポーターは、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質などである。いくつかの実施形態において、ICRは、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、TIGIT、CD160、BTLA、IL−10レセプターなどを含めたいずれかの免疫阻害レセプターであり得、ICLは、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含めたいずれかの免疫阻害リガンドであり得る。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、抗体(もしくは抗体フラグメント)、タンパク質、ペプチド、もしくは小分子、またはこれらの組み合わせである。
【0035】
いくつかの実施形態において、試験遮断因子の効能を測定して、免疫チェックポイントレセプター及び免疫チェックポイントリガンドの相互作用を阻害する方法であって、(a)(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR活性化経路依存性レポーター(例えば、NFAT−プロモーター依存性レポーター)とを提示するエフェクター細胞と、(ii)TCR活性化因子(例えば、抗分化抗原群列3(CD3)抗体またはその抗体フラグメント)及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記人工抗原提示細胞(aAPC)とを共培養することと、(b)上記レポーターからのシグナルを検出することと、(c)上記試験遮断因子を添加することと、(d)上記レポーターからの上記シグナルの検出を繰り返すことと、(e)ステップ(b)からの上記シグナルをステップ(d)からの上記シグナルと比較することにおいて、ステップ(b)からステップ(d)のシグナルのゲインが、上記試験遮断因子による上記ICR/ICL複合体の阻害を示すこととを含む、上記方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、限定されないが、Jurkat細胞、HuT−78、CEM、Molt−4などを含めたT細胞である。いくつかの実施形態において、レポーターは、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質、遺伝子発現(例えば、qPCRによって定量化される)などである。いくつかの実施形態において、ICRは、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、TIGIT、CD160、BTLA、IL−10レセプターなどを含めたいずれかの免疫阻害レセプターであり得、ICLは、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含めたいずれかの対応する免疫阻害リガンドであり得る。いくつかの実施形態において、遮断因子または試験遮断因子は、抗体(もしくは抗体フラグメント)、タンパク質、ペプチド、もしくは小分子、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、ICRは、PD−1であり、ICLは、PD−L1である。いくつかの実施形態において、試験遮断因子は、抗体または小分子である。
【0036】
いくつかの実施形態において、試験遮断因子の効能を測定して、免疫チェックポイントレセプター及び免疫チェックポイントリガンドの相互作用を阻害する方法であって、(a)(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR活性化経路依存性レポーター(例えば、NFAT−プロモーター依存性レポーター)とを提示するエフェクター細胞と、(ii)TCR活性化因子(例えば、抗分化抗原群列3(CD3)抗体またはその抗体フラグメント)及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記人工抗原提示細胞(aAPC)とを共培養することと、(b)上記レポーターからのシグナルを試験遮断因子の存在下で検出することと、(c)ステップ(b)からの上記シグナルを対照(例えば、上記試験遮断因子の非存在下でのシグナル、対照シグナル、バックグラウンド、ゼロ対照、ネガティブ対照など)と比較することにおいて、対照に対するシグナルのゲインが、上記試験遮断因子による上記ICR/ICL複合体の阻害を示すこととを含む、上記方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、試験遮断因子を添加するステップをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、(a)(i)表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示し、T細胞レセプター(TCR)及びTCR経路依存性レポーターを含むエフェクター細胞と、(ii)表面においてTCR活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)とを含むシステムを形成することにおいて、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成し、ICR/ICL複合体の形成が、TCR活性化因子によるTCR活性化の調節及び/または1以上のTCR依存性経路の調節を結果として生じさせることと、(b)上記TCR経路依存性レポーターまたは上記レポーターからのシグナルを検出することとを含む方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、方法は、システムに遮断因子を添加することをさらに含み、遮断因子が、ICR/ICL複合体の形成を阻害し、またはTCR活性化因子によるTCR活性化のICR/ICL依存性調節及び/もしくは1以上のTCR依存性経路の調節を阻害する。いくつかの実施形態において、TCR経路依存性レポーターまたは上記レポーターからのシグナルは、上記遮断因子の添加の(1)前、(2)同時、及び/または(3)後に検出される。いくつかの実施形態において、システムは、上記遮断因子の添加の(1)前、(2)同時、及び/または(3)後にシグナルを比較して、遮断因子の効果を決定するステップをさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、(a)(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR活性化経路依存性レポーターとを提示するエフェクター細胞と、(ii)TCR活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記人工抗原提示細胞(aAPC)とを共培養することと、(b)上記試験遮断因子を添加することと、(c)上記レポーターからの上記シグナルを検出することと、(d)上記レポーターからの上記シグナルを対照と比較することにおいて、対照に対するシグナルのゲインが、上記試験遮断因子による上記ICR/ICL複合体の阻害を示すこととを含む方法を本明細書において提供する。
【0039】
いくつかの実施形態において、ICR/ICL遮断因子を同定する方法であって、(a)(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR活性化経路依存性レポーターとを提示するエフェクター細胞と、(ii)抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、及び免疫チェックポイントリガンドを提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、上記人工抗原提示細胞(aAPC)とを共培養することと、(b)上記レポーターからのシグナルを検出することと、(c)上記試験遮断因子を添加することと、(d)上記レポーターからの上記シグナルの検出を繰り返すことと、(e)ステップ(b)からの上記シグナルをステップ(d)からの上記シグナルと比較することにおいて、ステップ(b)からステップ(d)のシグナルのゲインが、上記試験遮断因子による上記ICR/ICL複合体の阻害を示すこととを含む、上記方法を本明細書において提供する。
【0040】
いくつかの実施形態において、ICR/ICL遮断因子を同定する方法であって、(a)(i)表面においてPD−1を提示し、T細胞レセプター(TCR)及び活性化T細胞(NFAT)プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーターの核因子を含むエフェクター細胞を、(ii)抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、及びPD−L1を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と接触させることと、(b)上記NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーターからのシグナルを検出することとを含む、上記方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(c)上記試験遮断因子を添加することと、(d)上記レポーターからの上記シグナルの検出を繰り返すこととをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、(e)ステップ(b)からの上記シグナルをステップ(d)からの上記シグナルと比較することにおいて、ステップ(b)からステップ(d)のシグナルのゲインが、上記試験遮断因子による上記ICR/ICL複合体の阻害を示すことをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、天然エフェクター細胞を含むシステムに投与することを含む方法を本明細書において提供する。
【0042】
いくつかの実施形態において、表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、人工エフェクター細胞を含むシステムに投与することを含む方法を本明細書において提供する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】免疫チェックポイントの阻害因子を評価するための一般的なシステムの概略を示す。細胞膜においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示するaAPCは、免疫チェックポイントレセプター(ICR)、CD28及びTCR複合体を提示し、TCR経路プロモーター依存性レポーター構築物を含む改変エフェクター細胞と相互作用すると示されている。aAPC及び改変エフェクター細胞の共培養の際、TCR活性化因子は、TCR複合体を活性化する;しかし、ICR及びICLの相互作用は、TCR経路からの発現の活性化を阻害し、レポーターのわずかな発現が生じる。ICR/ICL相互作用を阻害する遮断因子の存在下で、TCR経路は活性化され、TCR経路プロモーターからのレポーターの発現が向上され、レポーターシグナルが上昇する。
【
図2】免疫チェックポイントの阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。細胞膜においてPD−L1及び抗CD3抗体Fabドメインを提示するaAPCは、PD−1、TCR複合体を提示し、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の共発現の際、抗CD3は、TCR複合体を活性化する;しかし、PD−1及びPD−L1の相互作用は、NFATプロモーターからの発現の活性化を阻害し、ルシフェラーゼのわずかな発現が生じる。PD−1/PD−L1相互作用の阻害因子の存在下で、活性化されたTCR複合体は、NFATプロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【
図3】例示的なPD−1/PD−L1遮断アッセイの特異性を表示するグラフを示す。
【
図4】例示的なPD−1/PD−L1遮断アッセイにおける抗PD−L1抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図5】例示的なPD−1/PD−L1遮断アッセイにおける抗PD−1抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図6】
図2に示されているものに類似するが、APCがTCR活性化因子を発現しないシステムの概略を示す。
【
図7】aAPCが改変膜結合抗CD3を欠失している、PD−1/PD−L1遮断アッセイにおける抗PD−L1抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図8】抗CD3/PD−L1−FcビーズによるT細胞活性化のPD−1/PD−L1依存性阻害の非存在を表示するグラフを示す。
【
図9A】ビーズへのPD−L1の付着を確認するフローサイトメトリー結果を示す。
【
図9B】ビーズへのPD−L1の付着を確認するフローサイトメトリー結果を示す。
【
図10】抗CD3:PD−L1ビーズ(1:9の比)がT細胞活性化の阻害を誘発せず、そのため抗PD−1/PD−L1抗体がT細胞活性化を誘発しないことを実証しているグラフを示す。
【
図11】抗CD3:PD−L1ビーズに対して延長された長さの抗PD−L1−FcがT細胞活性化の阻害を誘発せず、そのため抗PD−1/PD−L1抗体がT細胞活性化を誘発しないことを実証しているグラフを示す。
【
図12】抗CD3:PD−L1ビーズが例示的な遮断アッセイにおいて抗CD3:PD−L1aAPCのように挙動しないことに関しての予期される機構的説明を示す。
【
図13】免疫チェックポイントレセプターPD−1及びそのリガンド、PD−L2の阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。
【
図14A】例示的なPD−1/PD−L2遮断アッセイにおける抗PD−L2抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図14B】例示的なPD−1/PD−L2遮断アッセイにおける抗PD−1抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図15】免疫チェックポイントレセプターCTLA−4及びそのリガンド、CD80/CD86の阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。
【
図16】例示的なCTLA−4遮断アッセイにおける抗CTLA−4抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図17】免疫チェックポイントレセプターTIGIT及びそのリガンド、CD155の阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。
【
図18】Jurkat−T細胞におけるTIGITエフェクター細胞を使用した例示的なTIGIT/CD155遮断アッセイにおける抗TIGIT抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図19】免疫チェックポイントレセプターTIGIT及びそのリガンド、CD155の阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。
【
図20】CEM T細胞におけるTIGITエフェクター細胞を使用した例示的なTIGIT/CD155遮断アッセイにおける抗TIGIT抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図21】免疫チェックポイントレセプターPD−1及びそのリガンドPD−L1の阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。
【
図22】例示的なPD−1/PD−L1遮断アッセイにおける抗PD−1抗体による濃度依存性IL−2産生を表示するグラフを示す。
【
図23】免疫チェックポイントレセプターLAG−3及びそのリガンド、MHCIIの阻害因子を評価するための例示的なシステムの概略を示す。
【
図24】例示的なLAG−3遮断アッセイにおける抗LAG−3抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図25】免疫チェックポイントレセプターTIGIT及びPD−1ならびにそれらのリガンド、CD155及びPD−L1の阻害因子をそれぞれ評価するための例示的なシステムの概略を示す。細胞膜においてPD−L1、CD155及び抗CD3抗体Fabドメインを提示するaAPCは、PD−1、共刺激レセプターCD226、TIGIT、TCR複合体を提示し、IL2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD155は、CD226を共刺激する。これらが、IL−2プロモーター駆動ルシフェラーゼ発現の活性化をもたらす;しかし、PD−1とPD−L1との相互作用は、低減されたTCR経路活性化及び低減されたIL−2プロモーター依存性レポーター発現をもたらす。また、CD155は、CD226よりも高い、TIGITとの結合親和性を有する。そのため、TIGITは、CD155とCD226との相互作用を阻害し、低減されたレポーター発現をもたらす。PD−1/PD−L1及び/またはTIGIT/CD155相互作用の阻害因子の存在下で、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現が向上され、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【
図26a】Jurkat−T細胞及びPD−L1/CD155aAPC/CHO−K1細胞におけるPD−1/TIGITエフェクター細胞を使用した例示的なPD−1/TIGIT遮断アッセイにおける抗PD−1抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図26b】Jurkat−T細胞及びPD−L1/CD155aAPC/CHO−K1細胞におけるPD−1/TIGITエフェクター細胞を使用する例示的なPD−1/TIGIT遮断アッセイにおける抗TIGIT抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
【
図26c】いずれかの抗体のみと比較した抗PD−1及び抗TIGIT抗体の組み合わせの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
定義
本明細書において使用されているとき、用語「免疫チェックポイントレセプター」(「ICR」)は、リガンドに結合しているときに細胞の免疫活性を調節する免疫細胞(例えば、T細胞、Jurkat細胞など)における表面レセプタータンパク質を称する。本明細書において特に興味深いのは、リガンドがレセプターに結合する際に細胞免疫活性を阻害する「阻害免疫チェックポイントレセプター」である。「阻害免疫チェックポイントレセプター」の例として、限定されないが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、CD160、TIGIT、IL−10レセプター、及びBTLAが挙げられる。
【0045】
本明細書において使用されているとき、用語「免疫チェックポイントリガンド」(「ICL」)は、免疫チェックポイントレセプターのリガンドを称する。「免疫チェックポイントリガンド」は、一般的に、抗原提示細胞(APC)における表面提示タンパク質である。免疫細胞提示免疫チェックポイントレセプターとの相互作用を通して、「免疫チェックポイントリガンド」は、抗原提示細胞に対する免疫細胞(例えば、T細胞)の免疫応答を調節する。阻害免疫チェックポイントレセプターに結合する「免疫チェックポイントリガンド」の例として、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどが挙げられる。
【0046】
本明細書において使用されているとき、用語「免疫チェックポイント」「チェックポイント経路」及び「免疫チェックポイント経路」は、免疫チェックポイントレセプターへの免疫チェックポイントリガンドの結合が免疫細胞(例えば、T細胞、Jurkat細胞、HuT−78、CEM、Molt−4など)の活性化の振幅及び質を調節する経路を称する。
【0047】
本明細書において使用されているとき、用語「免疫チェックポイント遮断」は、「遮断因子」の投与または発現による免疫チェックポイント経路の阻害を称する。典型的には、「遮断因子」は、免疫チェックポイントレセプター及びリガンドの相互作用を防止し、これにより、チェックポイント経路を阻害する。遮断因子は、免疫チェックポイントリガンドまたは免疫チェックポイントレセプターに結合してICR/ICL複合体の形成を阻害する小分子、ペプチド、抗体またはそのフラグメントなどであってよい。遮断因子はまた、ICR/ICL複合体によるシグナリングを防止することによって機能してもよい。
【0048】
本明細書において使用されているとき、「人工抗原提示細胞」または「人工エフェクター細胞」におけるような用語「人工」は、自然に生じない実体(例えば、細胞、構築物など)を称する。例えば、親(例えば、非改変細胞)に内在性でない外因性遺伝子(例えば、レポーター構築物)を表現するように改変された細胞は、「人工」である。
【0049】
本明細書において使用されているとき、用語「抗体」は、免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによって実質的にコードされた1以上のポリペプチドを有するタンパク質を称する。認識されている免疫グロブリン遺伝子として、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、これにより、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEをそれぞれ定義している。基本の免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、各対が1つの「軽」(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する、2つの同一のポリペプチド鎖対から構成される。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を定義する。用語「可変軽鎖(V
L)」及び「可変重鎖(V
H)」は、これらの軽及び重鎖をそれぞれ称する。
【0050】
用語「抗体」は、本明細書において広義で使用され、具体的には、ヒト、非ヒト(例えば、マウス)、ならびにヒト化モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、単鎖抗体、及び抗体フラグメントを、これらが所望の生物活性を示す限りカバーする。抗体は、無傷免疫グロブリンとして、または、例えば、FabFc
2、Fab、Fv、Fd、(FabN)
2、軽及び重鎖可変領域のみを含有するFvフラグメント、可変領域と定常領域の部分とを含有するFabもしくは(Fab)N
2フラグメント、単鎖抗体、例えば、scFv、CDRグラフト化抗体などを含めた種々の形態の修飾体として存在していてよい。Fvの重及び軽鎖は、同じ抗体から誘導されても、異なる抗体から誘導されることによりキメラFv領域を生成してもよい。抗体は、動物(特にマウスもしくはラット)またはヒト起源のものであってよく、またはキメラであってもヒト化されていてもよい。本明細書において使用されているとき、用語「抗体」は、これらの種々の形態を含む。
【0051】
用語「レポーター」は、分子実体を記載するのに本明細書において広義で使用され、該実体の特徴及び/または特性(例えば、濃度、量、発現、活性、局在、相互作用(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用)など)は、レポーターを含有するシステム(例えば、細胞、細胞溶解物、インビトロシステム、生物、インビボシステムなど)の特徴及び/または特性と共に検出され相関され得る。「レポーター」は、1以上の検出可能かつ相関可能な特性を示す、システムの内在性(例えば、内因性)要素であっても、システムにおいて改変されまたはこれに導入され、プロセス(例えば、遺伝子発現)またはシステム内の構成要素に関連する検出可能な特徴を示す人工(例えば、外因性)要素であってもよい。好適なレポーターとして、限定されないが、内在性遺伝子またはタンパク質(例えば、その発現、濃度、活性、もしくはタンパク質−タンパク質相互作用が、システム(例えば、細胞プロセス)と相関されていてよい)、外因性遺伝子またはタンパク質(例えば、その発現、濃度、活性、もしくはタンパク質−タンパク質相互作用、システム(例えば、細胞プロセス)と相関されていてよい)、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質などが挙げられる。
【0052】
詳細な説明
免疫チェックポイントの調節因子を評価するための組成物、システム、及び方法を本明細書において提供する。特に、試験因子(例えば、抗体)の効能を評価して免疫チェックポイントを阻害する人工抗原提示細胞(aAPC)及び免疫エフェクター細胞を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態において、(1)TCR活性化因子及び(2)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を含む(例えば、表面において提示する)人工抗原提示細胞(aAPC)を含む組成物を本明細書において提供する。
【0054】
抗原提示細胞(APC)、または補助細胞は、抗原提示として知られているプロセスにおいて、表面において主要組織適合複合体(MHC)と複合体化される外来抗原を処理及び提示する細胞である。T細胞は、T細胞レセプター(TCR)及び/またはT細胞レセプター複合体を使用してこれらの複合体を認識し得る。人工抗原提示細胞(aAPC)は、(例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルス導入を使用して)改変されて免疫シナプス形成に必要とされる共刺激及び接着特性を付与する分子を導入する初代または形質転換ヒトまたは異種細胞から典型的には誘導される。このストラテジーは、aAPCとの相互作用の際のT細胞への多くの正及び負シグナルの送達の厳しい制御を可能にする(例えば、免疫療法におけるaAPCのレビューに関するTurtle et al.(Cancer J.2010年7〜8月;16(4):374−81)を参照されたい;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0055】
いくつかの実施形態において、表面においてTCRの活性化因子を表現及び/または提示するaAPCを提供する。いくつかの実施形態において、TCR活性化因子とTCRとの相互作用は、TCR依存性経路の活性化と、TCRの下流のプロモーターからの向上した遺伝子発現(例えば、NFAT依存性発現)とを結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、抗CD3抗体(例えば、全抗体、Fabドメインなど)を発現するaAPCを提供する。いくつかの実施形態において、表面において抗CD3抗体(例えば、全抗体、Fabドメインなど)を提示するaAPCを提供する。静止T−リンパ球は、抗CD3抗体によって活性化されることが実証されている(Tsoukas et al,J Immunol.1985年9月;135(3):1719−23.;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、抗CD3発現aAPCは、T細胞(例えば、Jurkat細胞)のTCR複合体内で表面提示CD3への抗CD3の結合を通してT細胞(例えば、Jurkat細胞)を活性化する。いくつかの実施形態において、TCR複合体に結合している抗CD3は、関連する酵素、コレセプター、特異的なアダプター分子、及び活性化または放出された転写因子によって媒介される一連の下流の生化学的事象を結果として生じさせる。例えば、TCRに結合している抗CD3は、NFATタンパク質(例えば、NFATc1、NFATc2、NFATc3、NFATc4、NFAT5)の活性化と、NFATプロモーター(例えば、NFATに結合して向上した転写を結果として生じさせるプロモーター)からの増加した遺伝子発現とを結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、NFAT−プロモーター連結レポーター(例えば、ルシフェラーゼ)の発現は、T細胞活性化及び免疫チェックポイント遮断の定量的尺度を付与する。いくつかの実施形態において、TCRへの抗CD3の結合によってトリガーされる他の下流の事象は、T細胞活性化の好適なマーカーを付与する(または同等のマーカーを付与するように操作され得る)。T細胞活性化因子(例えば、TCR活性化因子)の他の例として、超抗原、抗TCR抗体、抗CD2抗体、抗CD4抗体、PHA、MHC及び同種ペプチド、ならびにConAが挙げられ、これらはいずれも、aAPCにおいて発現され及び/または表面提示されてエフェクター細胞を活性化し得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、(例えば、ICRを提示するエフェクター細胞を含むシステムにおける使用のための)ICLを発現するaAPCを提供する。いくつかの実施形態において、限定されないが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、HVEMなどを含む、表面においてICLを提示するaAPCを提供する。いくつかの実施形態において、aAPCは、ICLの全体または一部と少なくとも50%の配列同一性(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)でペプチド/ポリペプチドを発現及び/または提示し、ICRに関するICLの親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を保持する。いくつかの実施形態において、ICRに関するICLの親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を有するペプチド/ポリペプチドを提示または発現するaAPCを提供する。
【0057】
いくつかの実施形態において、(例えば、PD−1を提示するエフェクター細胞を含むシステムにおける使用のための)PD−L1を発現するaAPCを提供する。いくつかの実施形態において、表面においてPD−L1を提示するaAPCを提供する。いくつかの実施形態において、aAPCは、ICLの全体または一部と少なくとも50%の配列同一性(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)でペプチド/ポリペプチドを発現及び/または提示し、PD−L1の親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を保持する。いくつかの実施形態において、PD−1に関するPD−L1の親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を有するペプチド/ポリペプチドを提示または発現するaAPCを提供する。
【0058】
いくつかの実施形態において、(a)(i)T細胞レセプター(TCR)活性化因子及び(ii)免疫チェックポイントリガンド(ICL)(例えば、上記aAPCのいずれか)を含む(例えば、表面において提示する)人工抗原提示細胞と、(b)免疫チェックポイントレセプター(ICR)(例えば、表面において提示する)を含み、(i)TCR複合体及び(ii)レポーター(例えば(A)ICR/ICL複合体形成、(B)TCR活性化、及び/または(C)TCRシグナリング経路TCR活性化経路依存性レポーターのうち1以上のレポーター)を含む人工エフェクター細胞とを含むシステムを本明細書において提供する。
【0059】
ある特定の実施形態において、aAPC(例えば、上記セクションIまたは本明細書におけるいずれかの箇所に記載されている)と、エフェクター細胞(例えば、人工エフェクター細胞)とを含むシステムを提供する。エフェクター細胞は、免疫応答をマウントすることが可能である形態に分化するように誘発されたリンパ球(例えば、T細胞、Jurkat細胞など)である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている遮断アッセイに有用な表面タンパク質及び/または表面タンパク質の複合体(例えば、抗原応答要素(例えば、TCR)、ICR(例えば、PD−1)など)を発現及び/または提示するエフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている実施形態において有用なエフェクター細胞は、エフェクター細胞活性化のレポーターを発現するように改変されている。いくつかの実施形態において、T細胞の活性化に関与する1以上の経路は、レポーター及び/またはレポーターの発現を活性化することにより、免疫チェックポイントの遮断及びT細胞活性化を検出可能にシグナリングする。
【0060】
いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、T細胞(例えば、ヒトT細胞、Jurkat細胞など)を示す多数のマーカーを提示する。例えば、エフェクター細胞は、T細胞レセプター複合体及び/またはその構成要素(例えば、CD3、TCRα、TCRβ、TCRγ、TCRδなど)、CD4、CD8、CD28、CTLA−4、CD40L、CD2、LFA−1などのうち1以上を提示し得る。
【0061】
T細胞の活性化は、抗原提示細胞(APC)における主要組織適合複合体(MHCII)ペプチド及び共刺激分子によるT細胞でのT細胞レセプター及び共刺激分子の同時係合を通して生じる。一旦、APCによって適切に係合されたら、下流のシグナリング経路が開始されてT細胞を活性化する。例えば、共刺激分子は、ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)経路に係合し、細胞膜でホスファチジルイノシトール(3,4,5)−トリスリン酸(PIP3)を生じさせ、PKCθの活性化、及び最終的なIL−2産生に必須であるPHドメイン含有シグナリング分子(例えば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼリポアミドキナーゼアイソザイム1(PDK1))を補充する。非限定的な、一連の、活性化の下流の効果として:CD28、LAT及びSLP−76のリン酸化であって、これらのタンパク質の周囲でのシグナリング複合体の凝集を可能にする上記リン酸化;膜へのSLP−76の補充であって、次いでPLC−γ、VAV1、Itk及び潜在的なPI3Kをもたらし得る上記補充;転写因子、例えばNF−κB及びAP−1の活性化;小胞体(ER)におけるカルシウムレセプターの活性化;ER膜においてSTIM1のクラスター化を引き起こして、さらなるカルシウムが細胞外空間から細胞質ゾルに流入することを可能にする細胞膜CRACチャネルの活性化をもたらす細胞質ゾル内へのERからのカルシウムの放出;次いでカルシニューリンを活性化する、凝集した細胞質カルシウムによるカルモジュリンの結合;活性化T細胞(NFAT)の核因子のカルシニューリン活性化、核へのNFATの転座;多様な一連の遺伝子、中でも、IL−2、インターフェロン、腫瘍壊死因子、IL−17、IL−10、IL−4、IL−13、IL−23、IL−1、形質転換成長因子ベータ、IL−8及び他のケモカインの転写のNFAT活性化、ならびに多数の他の経路;が挙げられる。いくつかの実施形態において、これらの下流の効果のいずれが、(例えば、検出可能レポーターに対する下流の効果に合うことによる)免疫チェックポイントの遮断のマーカーとしての用途を見出してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)抗原応答要素(例えば、T細胞レセプター(TCR)複合体)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)を表面(例えば、PD−1)において提示し、レポーターを含む人工エフェクター細胞(例えば、T細胞(例えば、Jurkat細胞など)など)と、(2)表面においてエフェクター細胞の抗原応答要素の活性化因子(例えば、抗CD3抗体またはそのフラグメント)、及びエフェクター細胞のICRに対応する免疫チェックポイントリガンド(ICL)(例えば、PD−L1)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、ICLまたはICRに対する抗体)とを含む。いくつかの実施形態において、遮断因子の非存在下で(または試験遮断因子が有効でない事象において)、ICR及びICLは相互作用して、レポーター構築物からのシグナルを調節(例えば、阻害または向上)する。しかし、強力な遮断因子の存在下では、ICR及びICLの相互作用が阻害され、ICR/ICLによるレポーターシグナルの調節が阻害される。
【0063】
いくつかの実施形態において、阻害免疫チェックポイント経路を遮断するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)抗原応答要素(例えば、T細胞レセプター(TCR)複合体)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)を表面において提示し、発現が抗原応答要素の活性化に依存するレポーター構築物を含む人工エフェクター細胞(例えば、改変T細胞(例えば、Jurkat細胞など)など)と、(2)表面においてエフェクター細胞の抗原応答要素の活性化因子、及びエフェクター細胞のICRに相当する免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、ICLまたはICRに対する抗体)とを含む。いくつかの実施形態において、抗原応答要素の活性化因子との相互作用による抗原応答要素の活性化は、レポーターからのシグナル(またはシグナルの非存在)を結果として生じさせる。いくつかの実施形態において、遮断因子の非存在下で(または試験遮断因子が有効でない事象において)、ICR及びICLは、相互作用して、レポーターからのシグナルを調節する。強力な遮断因子の存在下では、ICR及びICLの相互作用が阻害され、ICR/ICLによるレポーターシグナルの調節が遮断され、レポーターシグナルが、ICR/ICLの非存在下でのシグナルとなる傾向がある。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞及びaAPCが共培養されるとき、第1シグナルレベルがレポーターから生成される(例えば、ICR/ICL複合体がレポーターシグナルを調節するからである);しかし、強力な遮断因子の添加は、レポーターから第2シグナルレベルを結果として生じさせる(例えば、ICR/ICLの形成が阻害され、これにより、ICR/ICL複合体によるレポーターシグナルの調節が低減されるからである)。
【0064】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)T細胞レセプター(TCR)複合体及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)を表面において提示し、NFAT−プロモーター依存性レポーター(例えば、ルシフェラーゼ)を発現するエフェクター細胞(例えば、T細胞(例えば、Jurkat細胞など)など)と、(2)抗CD3抗体(またはそのフラグメント)、及びエフェクター細胞のICRに相当する免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、ICLまたはICRに対する抗体)とを含む。いくつかの実施形態において、遮断因子の非存在下で(または試験遮断因子が有効でない事象において)、ICR及びICLは、相互作用して、CD3−抗体−結合TCR複合体によるNFATプロモーターの活性化を阻害することにより、レポーターの発現を阻害する。しかし、強力な遮断因子の存在下では、ICR及びICLの相互作用が阻害され、NFATプロモーターが活性化され、レポーターが発現される。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞及びaAPCが共培養されるとき、シグナルが殆どまたは全く発生されない(例えば、ICR/ICL複合体がレポーター発現を阻害するからである);しかし、強力な遮断因子の添加は、NFATプロモーターからの増加された発現及びレポーターからのシグナルのゲインを結果として生じさせる。
【0065】
いくつかの実施形態において、PD−1/PD−L1免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)T細胞レセプター(TCR)複合体及びPD−1を表面において提示し、NFAT−プロモーター誘発ルシフェラーゼレポーター(例えば、luc2)を発現するJurkat細胞と、(2)抗CD3抗体及びPD−L1を表面において提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、PD−1またはPD−L1に対する抗体)とを含む。いくつかの実施形態において、遮断因子の非存在下で(または試験遮断因子が有効でない事象において)、PD−1及びPD−L1は、相互作用して、抗CD3−抗体−結合TCR複合体によるNFATプロモーターの活性化を阻害する;そのため、ルシフェラーゼ発現が阻害され、レポーターシグナルが減少する。強力な遮断因子の存在下では、PD−1及びPD−L1の相互作用が阻害され、NFATプロモーターが活性化され、ルシフェラーゼ発現が向上され、レポーターシグナルが増加する。いくつかの実施形態において、Jurkatエフェクター細胞及びaAPCが共培養されるとき、ルシフェラーゼが殆どまたは全く発現されず、シグナルが殆どまたは全く発生されない(例えば、PD−1/PD−L1複合体がレポーター発現を阻害するからである);しかし、強力な遮断因子の添加は、ルシフェラーゼの増加された発現及びシステムからのシグナルのゲインを結果として生じさせる。
【0066】
いくつかの実施形態において、PD−1/PD−L2免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)T細胞レセプター(TCR)複合体及びPD−1を表面において提示し、NFAT−プロモーター誘発ルシフェラーゼレポーター(例えば、luc2)を発現するJurkat細胞と、(2)抗CD3抗体及びPD−L2を表面において提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、PD−1またはPD−L2に対する抗体)とを含む。いくつかの実施形態において、遮断因子の非存在下で(または試験遮断因子が有効でない事象において)、PD−1及びPD−L2は、相互作用して、抗CD3−抗体−結合TCR複合体によるNFATプロモーターの活性化を阻害する;そのため、ルシフェラーゼ発現が阻害され、レポーターシグナルが減少する。強力な遮断因子の存在下では、PD−1及びPD−L2の相互作用が阻害され、NFATプロモーターが活性化され、ルシフェラーゼ発現が向上され、レポーターシグナルが増加する。いくつかの実施形態において、Jurkatエフェクター細胞及びaAPCが共培養されるとき、ルシフェラーゼが殆どまたは全く発現されず、シグナルが殆どまたは全く発生されない(例えば、PD−1/PD−L2複合体がレポーター発現を阻害するからである);しかし、強力な遮断因子の添加は、ルシフェラーゼの増加された発現及びシステムからのシグナルのゲインを結果として生じさせる。
【0067】
いくつかの実施形態において、CD80/CD86及びCTLA−4の相互作用に依存する免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)共刺激レセプターCD28、CTLA−4、TCR複合体を提示し、IL−2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkat細胞と、(2)CD80/CD86及び抗CD3抗体Fabドメインを細胞膜において提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、CTLA−4またはCD80/CD86に対する抗体)とを含む。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD80/CD86はCD28を共刺激する。これにより、IL−2プロモーターの活性化をもたらし、ルシフェラーゼ発現を駆動する;しかし、CTLA−4は、CD28との結合親和性よりも高い、CD80/CD86との結合親和性を有する。これは、CD80/CD86とCD28との相互作用、及びIL−2プロモーターからのルシフェラーゼ発現を阻害する。CD80/CD86相互作用によるCTLA−4の阻害因子の存在下では、活性化されたCD28が、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0068】
いくつかの実施形態において、TIGIT/CD155免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)共刺激レセプターCD226、TIGIT、TCR複合体を提示し、IL−2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞と、(2)CD155及び抗CD3抗体Fabドメインを細胞膜において提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、TIGITまたはCD155に対する抗体)とを含む。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD155は、CD226を共刺激する。これにより、IL−2プロモーター駆動ルシフェラーゼ発現の活性化がもたらされる;しかし、CD155は、CD226よりも高い、TIGITとの結合親和性を有する。そのため、TIGITは、CD155とCD226との相互作用、及びIL−2プロモーターからのルシフェラーゼ発現の活性化を阻害する。TIGIT/CD155相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたCD226が、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0069】
いくつかの実施形態において、TIGIT/CD155免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)共刺激レセプターCD226、TIGIT、TCR複合体を提示し、IL−2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物(例えば、人工CEMエフェクター細胞)を含むCEM T細胞と、(2)CD155及び抗CD3抗体Fabドメインを細胞膜において提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、TIGITまたはCD155に対する抗体)とを含む。aAPC及びCEMエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD155は、CD226を共刺激する。両者は、IL−2プロモーター駆動ルシフェラーゼ発現の活性化をもたらす;しかし、CD155は、CD226よりも高い、TIGITとの結合親和性を有する。そのため、TIGITは、CD155とCD226との相互作用、及びIL−2プロモーターからのルシフェラーゼ発現の活性化を阻害する。TIGIT/CD155相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたCD226が、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0070】
いくつかの実施形態において、PD−1/PD−L1免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)PD−1、TCR複合体、及びネイティブIL−2プロモーターによって駆動される内因性IL−2遺伝子を提示するJurkatT細胞と、(2)PD−L1及び抗CD3抗体Fabドメインを細胞膜において提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、PD−1またはPD−L1に対する抗体)とを含む。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、IL−2プロモーターを活性化し、IL−2産生を増加させる;しかし、PD−1及びPD−L1の相互作用は、IL−2プロモーターからのIL−2発現の活性化を阻害し、IL−2タンパク質の産生が殆ど生じない。PD−1/PD−L1相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたTCR複合体が、IL−2プロモーターからのIL−2発現を活性化し、媒体におけるIL−2産生が上昇する。
【0071】
いくつかの実施形態において、LAG−3/MHCII免疫チェックポイント経路を阻害するときの遮断因子(例えば、抗体)の効能を評価するためのシステム及び方法を提供する。例示的なシステムは、(1)LAG−3、TCR複合体を提示し、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞と、(2)MHCIIを細胞膜において提示するRajiB細胞における人工抗原提示細胞(aAPC)と、(3)試験遮断因子(例えば、LAG−3またはMHCIIに対する抗体)とを含む。APC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、MHCIIによって提示される超抗原は、TCR複合体を活性化し、NFATプロモーター駆動ルシフェラーゼ発現を活性化する;しかし、MHCIIと結合するLAG−3はTCR活性化を阻害する。これにより、NFATプロモーターからのルシフェラーゼ発現の不活化がもたらされる。LAG−3/MHCII相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたTCRが、NFATプロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0072】
いくつかの実施形態において、システムは、本明細書に記載されているaAPC、エフェクター細胞、ICL、ICR、プロモーター、レポーター、細胞型などのいずれの好適な組み合わせも含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているシステム及び方法は、APC(例えば、TCR複合体に結合する抗CD3抗体)によるTCRの適切な係合から下流のTCR活性化経路からの転写の活性化を利用する。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、細胞の活性化をシグナリングするレポーター構築物によって付与される(例えば改変される)。いくつかの実施形態において、構築物は、TCR活性化経路の制御下でレポーター(例えば、ルシフェラーゼ)遺伝子によって付与される。T細胞活性化経路の活性化の際、レポーター(例えば、ルシフェラーゼ)の増加された発現が生じ、細胞活性化は、レポーターからのシグナルに基づいて検出及び/または定量化され得る。上記のように、静止T−リンパ球が抗CD3抗体によって活性化され得ることが実験的に実証されている(Tsoukas et al,J Immunol.1985年9月;135(3):1719−23.;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載されている実施形態は、抗CD3による活性化に限定されない。いくつかの実施形態において、他のT細胞刺激シグナル(例えば、aAPCにおいて提示される)は、T細胞を活性化するのに使用され、TCR活性化経路依存性レポーターによって検出される。TCR活性化経路依存性レポーターを含むエフェクター細胞が、抗CD3抗体(またはそのフラグメント)を提示するaAPCによって接触されるとき、T細胞活性化経路が活性化されて、レポーターシグナルが増加する。しかし、(例えば、エフェクター細胞におけるICRとaAPCにおけるICLとの間での)阻害ICR/ICL複合体の形成の際、適切に係合されたTCRによるT細胞活性化が阻害され、TCR活性化経路からのレポーターの転写が低減される。遮断因子によるICR/ICL複合体の遮断が、T細胞のTCR活性化を回復させ、TCR活性化経路からのレポーターの転写が増加される。
【0074】
いくつかの実施形態において、TCR活性化経路依存性レポーター構築物は、(1)TCR活性化経路応答要素またはプロモーターと、(2)検出可能なレポーターペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸とを含む。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞(例えば、Jurkat細胞)は、TCR活性化経路依存性レポーター構築物によって安定にトランスフェクトされる。トランスフェクションは、当該分野においてよく理解されている方法によって実施され;好適な方法として、化学ベースのトランスフェクション、非化学トランスフェクション、粒子ベースのトランスフェクション、ウイルスベースのトランスフェクション、エレクトロポレーション、及び内因性プロモーター活性をモニタリングする遺伝子編集技術、または他の公知のトランスフェクション方法が挙げられる。
【0075】
NFATプロモーターは、1以上のNFAT応答要素を含有する核酸配列である。NFAT転写因子(例えば、NFATc1、NFATc2、NFATc3、NFATc4、またはNFAT5)によって結合されるとき、関連する核酸配列(例えば、下流の遺伝子)の転写が向上される。1つの好適なNFAT応答要素は:
GGAGGAAAAACTGTTTCATACAGAAGGCGT(配列番号1)
である。
【0076】
いくつかの実施形態において、NFATプロモーターは、配列番号1の繰り返しを含む。いくつかの実施形態において、NFATプロモーターは、配列番号1に対して少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%及びこれらの中の範囲)の配列同一性を有する1以上のNFAT応答要素を含み、ここで、NFAT応答要素は、NFATファミリー転写因子に結合して、関連(例えば、下流の)遺伝子の転写を向上させる。
【0077】
いくつかの実施形態において、TCR活性化経路応答要素またはプロモーターは、IL−2プロモーター配列、NFカッパBファミリー転写因子に結合して関連(例えば、下流の)遺伝子の転写を向上させるNFカッパB応答要素、AP1ファミリー転写因子に結合して関連(例えば、下流の)遺伝子の転写を向上させるAP1応答要素、または上記応答要素のいずれかの組み合わせである。
【0078】
いくつかの実施形態において、TCR活性化経路依存性レポーター構築物のレポーターは、限定されないが、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質などを含めた検出可能シグナルを生成するいずれかのペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質である。いくつかの実施形態において、レポーターは、蛍光または生物発光レポーターである。ある特定の実施形態において、生物発光レポーターは、ルシフェラーゼである。いくつかの実施形態において、ルシフェラーゼは、Omphalotus olearius、ホタル(例えば、Photinini)、Renilla reniformis、その変異体、その部分、その変形体、ならびに本明細書に記載されているシステム及び方法に好適ないずれか他のルシフェラーゼ酵素において見出されるものから選択される。本明細書に記載されている実施形態は、レポーターの起こり得る同一性によって限定されない。
【0079】
いくつかの実施形態において、(例えば、PD−L1を提示するaAPCを含むシステムにおける使用のための)PD−1を発現するエフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態において、表面においてPD−1を提示するエフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、PD−1の全体または一部と少なくとも50%の配列同一性(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)でペプチド/ポリペプチドを発現及び/または提示し、PD−L1に関するPD−1の親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を保持する。いくつかの実施形態において、PD−L1に関するPD−1の親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を有し、少なくとも50%、例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)の、PD−1がPD−L1への結合の際にT細胞の活性化を阻害する可能性を有するペプチド/ポリペプチドを提示または発現するエフェクター細胞を提供する。
【0080】
いくつかの実施形態において、CD28、CTLA−4、CD226、TIGITなどを発現するエフェクター細胞を提供する。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、CD28、CTLA−4、CD226、TIGITなどの全体または一部と少なくとも50%の配列同一性(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)でペプチド/ポリペプチドを発現及び/または提示し、CD28、CTLA−4、CD226、TIGITなどのそれらのリガンド(例えば、CD80/CD86、CD155など)に対する親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を保持する。いくつかの実施形態において、レセプター(例えば、CD28、CTLA−4、CD226、TIGITなど)の、それらのリガンド(例えば、CD80/CD86、CD155など)に対する親和性の少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)を有し、少なくとも50%(例えば、>50%、>60%、>70%、>80%、>90%、>95%、またはそれを超える)の、レセプターが適切なリガンドに結合する際のT細胞の活性化に影響する可能性を有するペプチド/ポリペプチドを提示または発現するエフェクター細胞を提供する。
【0081】
いくつかの実施形態において、(例えば、PD−L1以外のICLを提示するaAPCを含むシステムにおける使用のための)PD−1以外の1以上のICRを発現及び/または提示するエフェクター細胞を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、CTLA−4、BTLAなどのうち1以上を発現及び/または提示するエフェクター細胞を提供する。本明細書に記載されている実施形態は、列挙されているICRに限定されない。ICLと相互作用してエフェクター細胞(例えば、T細胞)の活性を阻害することが可能であるいずれのICRも、本明細書に記載されている実施形態における用途を見出し得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、aAPC及びエフェクター細胞を含むシステムであって、aAPCがエフェクター細胞を(例えば、エフェクター細胞のTCR複合体に結合するaAPCの抗CD3を介して)活性化する可能性を有することにより、検出可能レポーター(例えば、NFAT−プロモーター依存性レポーター)の発現を誘発する、上記システムを本明細書において提供する;しかし、aAPCに対するICL(PD−L1)の、及びエフェクター細胞に対するICR(PD−1)の相互作用は、エフェクター細胞活性化及びレポーター発現を阻害する。いくつかの実施形態において、システムを遮断因子に曝すことで、ICR/ICL相互作用を阻害し、エフェクター細胞活性化を向上させ、レポーター発現を増加させる。いくつかの実施形態において、遮断因子の効能は、レポーター発現に正比例する。
【0083】
ある特定の実施形態において、エフェクター細胞の活性及びレポーター発現を制限するのはPD−1及びPD−L1の相互作用である。そのため、PD−1/PD−L1相互作用の遮断が、エフェクター細胞を活性化し、レポーター発現及びレポーターシグナルを増加させる。PD−1/PD−L1遮断は、PD−1またはPD−L1に結合する抗体を含めた種々の機構によって達成され得る。PD−1及びPD−L1遮断体の例は、米国特許第7,488,802号;同第7,943,743号;同第8,008,449号;同第8,168,757号;同第8,217,149号、ならびにPCT公開特許出願第WO03042402号、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、及び同第WO2011161699号に記載されており;それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態において、遮断因子は、抗PD−L1抗体及び/または類似の結合タンパク質、例えば、NIVOLUMAB(MDX1106、BMS936558、ONO4538)、PD−1に結合してPD−1の活性化をそのリガンドPD−L1及びPD−L2によって遮断する完全ヒト型IgG4抗体;LAMBROLIZUMAB(MK−3475またはSCH900475)、PD−1に対するヒト化モノクローナルIgG4抗体;PD−1に結合するヒト化抗体CT−011;抗体Fc部分によるPD−L2の融合タンパク質であるAMP−224;PD−L1(B7−H1)遮断のためのBMS−936559(MDX−1105−01)から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態において、試験遮断因子(例えば、PD−1/PD−L1複合体形成を阻害するまたはPD−1/PD−L1複合体形成に対して知られていない効果を及ぼすとされている因子(例えば、抗体))は、本明細書に記載されているシステムに投与されて、PD−1/PD−L1相互作用を中断することに対する試験因子の効能について試験する。より一般には、本明細書における実施形態は、ICR/ICL相互作用を中断することに対する試験因子の効能について試験するのに本明細書に記載されているシステムに投与される試験遮断因子(例えば、ICR/ICL複合体形成を阻害するまたはICR/ICL複合体形成に対して知られていない効果を及ぼすとされている因子(例えば、抗体))を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、試験遮断因子が(1)ICR/ICL相互作用を阻害し、(2)エフェクター細胞を活性化し、及び/または(3)NFATプロモーターからの転写を促進する能力についてスクリーニングするためのシステム及び方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、試験遮断因子は、特定のICR/ICL相互作用(例えば、PD−1とPD−L1との、PD−1とPD−L2との、CTLA−4とCD80/CD86との、TIGITとCD155との相互作用など)を阻害するとされていて、別のアッセイにおいてかかる阻害を実証している化合物、ペプチド、タンパク質、抗体などである。他の実施形態において、試験遮断因子は、ICR/ICL相互作用(例えば、PD−1とPD−L1との、PD−1とPD−L2との、CTLA−4とCD80/CD86との、TIGITとCD155との相互作用など)に対して知られていない効果を及ぼす。ICR/ICL相互作用に対する効果及び/またはエフェクター細胞活性化を誘発する能力について特徴付けされていない試験遮断因子は、本明細書に記載されているシステム及び方法を使用して、単独で、または複数の試験遮断因子のスクリーニング(例えば、高スループットスクリーニング)において試験され得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、ICR/ICL相互作用(例えば、PD−1とPD−L1との、PD−1とPD−L2との、CTLA−4とCD80/CD86との、TIGITとCD155との相互作用など)に対する知られていないまたは未確認の効果の複数の試験遮断因子をスクリーニングするためのシステム及び方法を提供する。いくつかの実施形態において、複数の試験遮断因子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、もしくはそれを超える、またはこれらの中の範囲)は、本明細書に記載されている単一の遮断アッセイシステムに導入される。かかる実施形態において、ICR/ICL相互作用(例えば、PD−1とPD−L1との、PD−1とPD−L2との、CTLA−4とCD80/CD86との、TIGITとCD155との相互作用など)に対する阻害効果の検出の際に、レポーターシグナルの増加によって示されるように、個々の試験遮断因子または該因子のより小さい群が、別個の遮断アッセイシステムにおいて(例えば、別個の反応容器において)後に試験される。他の実施形態において、複数の試験遮断因子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、100、200、500、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000、100,000、もしくはそれを超える、またはこれらの中の範囲)は、本明細書に記載されている平行遮断アッセイシステムに導入される。かかる平行アッセイは、大規模及び/または高スループットのスクリーニングを容易にするシステム、方法、デバイス、ロボット、及び当該分野において公知の他の機器を使用して実行されてよい。例えば、aAPC及びエフェクター細胞は、96−または384−ウエルプレートにおいて共培養され、ロボットは、試験遮断因子のライブラリーを効率的に導入してレポーターシグナルを検出するのに使用される。
【0087】
いくつかの実施形態において、遮断アッセイを実施するための(例えば、本明細書に記載されているアッセイ構成要素(例えば、エフェクター細胞及びaAPC)と併せての試薬、組成物、デバイス、機器などを提供する。いくつかの実施形態において、試薬は、培地、血清、栄養素補給剤(例えば、aAPC及びエフェクター細胞の共培養に十分な)、緩衝剤、レポーター基材(例えば、ルシフェリン、セレンテラジン(またはその誘導体)など)、対照遮断因子(例えば、ICR/ICL相互作用(例えば、PD−1とPD−L1との、PD−1とPD−L2との、CTLA−4とCD80/CD86との、TIGITとCD155との相互作用など)を阻害することが知られているポジティブ対照)などを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、培養フラスコ及びビヒクル、微小遠心管、96−及び384−ウエルプレートを含むマイクロプレート、リーダー、ウォーターバス、CO
2インキュベーター、単一チャネル及び複数チャネルピペットなどが提供される。いくつかの実施形態において、(例えば、試薬分注、サンプルの組織化、レポーター検出などの)高スループットアッセイ用ロボット、レポーター検出用機器(例えば、蛍光光度計、照度計、分光計、Taqman、ELISAプレートなど)などが提供される。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている遮断アッセイを実施するための構成要素の全部または一部をキットとして提供する。構成要素は、便宜上または他の考えで一緒にまたは別個でパッケージングされている別個の容器にあってよい。いくつかの実施形態において、試薬(例えば、APC、エフェクター細胞など)は、ユーザーが実施する予定である遮断アッセイのサイズ及び/または数に従って所定の量で提供される。いくつかの実施形態において、付属品(例えば、容器、プレートなど)、説明書、他の試薬(例えば、緩衝剤、対照、媒体、レポーター基材など)なども提供する。いくつかの実施形態において、ユーザーは、本明細書に記載されている遮断アッセイを実施するキットの構成要素(例えば、媒体、遮断因子(複数可)、レポーター基材など)を使用するのに必要な1以上の構成要素を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている組成物及びシステムを利用する方法を提供する。人工抗原提示細胞(aAPC)を利用して、例えば、遮断因子をスクリーニングし、遮断因子を開発してさらに修飾及び最適化し、遮断因子の効能を試験し、エフェクター細胞の免疫を調節し、ICR及びICLを同定し、インビトロまたはインビボで免疫機能を試験するなどの方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、aAPCを、人工エフェクター細胞(例えば、改変レセプターを含み、改変抗原応答要素を含み、改変レポーター構築物を含む、など)または天然のエフェクター細胞(例えば、内在性構成要素のみを含むヒトもしくは動物源由来のエフェクター細胞)と組み合わせて利用する。いくつかの実施形態において、方法を、インビトロにおいて、インビボにおいて、インサイチュにおいて、全生物(例えば、ヒトまたは動物モデル)において、細胞培養においてなどで実施する。いくつかの実施形態において、aAPC、エフェクター細胞、遮断因子、または本明細書における組成物及びシステムと併せて記載されている他の構成要素のいずれかを利用する方法を本明細書において提供する。
【0090】
いくつかの実施形態において、方法は、(a)ICRを含むエフェクター細胞(例えば、天然または改変)、抗原応答要素(例えば、TCR複合体)、及びレポーター(例えば、外因性または内在性)を、(b)本明細書に記載されているaAPC(例えば、ICL、及び抗原応答要素の活性化因子(例えば、TCR活性化因子)を提示する)と接触させる(例えば共培養する)ことを含む。いくつかの実施形態において、方法は、上記レポーターからのシグナルを検出して、aAPCによるエフェクター細胞免疫の活性化、ICR/ICL複合体の形成によるエフェクター細胞活性化の調節などを定量化することをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、aAPC及び/またはエフェクター細胞を遮断因子または試験遮断因子と接触させることと、上記レポーターからのシグナルを検出して、エフェクター細胞免疫の活性化、ICR/ICL複合体の形成、ICR/ICL複合体によるエフェクター細胞活性化の調節、抗原応答要素依存性経路、ICR/ICL依存性経路などのうちの1以上に対する遮断因子の効果を定量化することとをさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態において、(a)(i)表面において(A)T細胞レセプター(TCR)活性化因子及び(B)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、(ii)TCR複合体を含み、表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示するエフェクター細胞と接触させることにおいて、TCR活性化因子とTCR複合体との相互作用が、TCRシグナリング経路を活性化し、上記ICR及び上記ICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成し、ICR/ICL複合体の形成が、TCR活性化及び/またはTCRシグナリング経路を向上または阻害することと、(b)上記エフェクター細胞におけるTCR活性化の存在、非存在及び/またはレベルを検出することとを含む方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(c)上記エフェクター細胞及び/または上記aAPCを遮断因子または試験遮断因子と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、(d)上記遮断因子または試験遮断因子の、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路に対する効果を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態において、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路の1以上が、上記遮断因子または試験遮断因子の存在及び非存在下で検出されて、効果を決定する。
【0092】
いくつかの実施形態において、(a)(i)表面において(A)T細胞レセプター(TCR)活性化因子及び(B)免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、(ii)表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示し、TCR複合体及びレポーター(例えば、内在性または外因性)を含むエフェクター細胞と接触させることにおいて、TCR活性化因子とTCR複合体との相互作用が、TCRシグナリング経路を活性化し、上記ICR及び上記ICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成し、ICR/ICL複合体の形成が、TCR活性化及び/またはTCRシグナリング経路を向上または阻害し、上記レポーターからの検出可能なシグナル(例えば、活性、発光、蛍光、発現レベル、濃度、局在、タンパク質−タンパク質相互作用など)が、TCR活性化のレベルと相関することと、(b)上記エフェクター細胞におけるTCR活性化の存在、非存在及び/またはレベルを検出することとを含む方法を本明細書において提供する。いくつかの実施形態において、方法は、(c)上記エフェクター細胞及び/または上記aAPCを遮断因子または試験遮断因子と接触させることをさらに含む。いくつかの実施形態において、方法は、(d)上記遮断因子または試験遮断因子の、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路に対する効果を検出することをさらに含む。いくつかの実施形態において、(i)ICR/ICL複合体形成、(ii)TCR活性化、及び/または(iii)TCRシグナリング経路の1以上が、上記遮断因子または試験遮断因子の存在及び非存在下で検出されて、効果を決定する。
【0093】
いくつかの実施形態において、aAPCが、システム(例えば、細胞培養システム、全生物、組織サンプル、血液サンプルなど)に導入され、システム(もしくは下流の経路)内でのaAPC及び/または遮断因子とエフェクター細胞との相互作用がアッセイされる(例えば、TCR/TCR−活性化因子相互作用、ICL/ICR相互作用、遮断因子によるICR/ICL相互作用の崩壊など)。いくつかの実施形態において、エフェクター細胞は、一次細胞((例えば、生物または細胞培養系から単離されたまたは誘導された)例えば、内在性構成要素のみを有するヒトまたは動物細胞)であり、相互作用は、例えば、エフェクター細胞内での内在性レポーターの特徴(例えば、TCR経路依存性プロモーターからの発現、TCR経路タンパク質の活性、TCR活性化依存性細胞変化、TCR依存性タンパク質−タンパク質相互作用及びタンパク質移動、または一時的もしくは安定な一体化におけるいずれかの遺伝子送達方法によるレポーター遺伝子制御の検出など)に基づいてアッセイされる。他の実施形態において、エフェクター細胞は、人工エフェクター細胞であり、aAPCの効果/効果の相互作用を検出するためのレポーター構築物を含む。
【0094】
ある特定の実施形態において、遮断因子(または試験遮断因子)の効能をアッセイして、ICR及びICLの相互作用またはICR/ICL複合体からのシグナリングを阻害する方法を本明細書において提供する。かかる実施形態において、レポーター、またはエフェクター細胞内のレポーター(例えば、天然もしくは改変)からのシグナルが、(例えば、遮断因子の存在下、非存在下、及び/または変動濃度で)モニタリングされて、遮断因子の効能を決定及び/または定量化する。
【0095】
いくつかの実施形態において、試験遮断因子をスクリーニングする(例えば、化合物、ペプチド、抗体などのライブラリー)方法を提供する。かかる実施形態において、本明細書に記載されている多くの実質的に同一なシステムは、多数の試験遮断因子に対するシステムの応答を同定するのと平行にアッセイされる。かかるアッセイは、低または高スループット形式で実施されてよく、手動で実施されても自動化されていてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているaAPCが生物システム(例えば、生物サンプル(例えば、組織サンプル、血液サンプルなど)、全生物、細胞培養システムなど)内に導入される方法を提供する。いくつかの実施形態において、生物システムは、本明細書に記載されている実施形態に従って改変されている天然のエフェクター細胞及び/またはエフェクター細胞を含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、アッセイは、サービスとして実施される。かかる実施形態において、ユーザーは、試験される1以上の試験遮断因子を提出する。1以上の遮断アッセイが、本明細書に記載されている実施形態に従って実施されて、結果(例えば、試験遮断因子の阻害効能)がユーザーに報告される。試験結果は、いずれの好適な形式で報告されてもよく、ユーザーに容易に解釈できる結果を付与するように分析された形態で原データ(例えば、遮断因子濃度の関数としてレポーターシグナル)を含んでいてよい。
【0098】
aAPCを含むまたは利用する組成物、システム、及び方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、かかる組成物、システム、及び方法は、aAPCの代わりに、リン脂質液滴を代わりに含んでいてよい。かかるリン脂質液滴は本明細書に記載されているaAPC(例えば、TCR活性化因子、免疫チェックポイントリガンドなど)と同じ要素を提示して含み、同じ方法(例えば、エフェクター細胞との相互作用)での用途を見出す。
【実施例】
【0099】
実験
実施例1
PD−1/PD−L1遮断アッセイの特異性
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、種々の条件に対する
図1に示されている遮断アッセイの検出可能な応答を試験した。PD−1及びNFAT−RE−ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、いずれも抗CD3抗体(
図2及び
図3)を提示するPD−L1
-またはPD−L1
+aAPCと共培養した。ルシフェラーゼ活性は、Jurkatエフェクター細胞及びPD−L1
-aAPCを含む共培養システムと比較して、Jurkatエフェクター細胞及びPD−L1
+aAPCを含む共培養システムにおいて有意に減少した。異なる遮断因子をインキュベートし、Jurkatエフェクター細胞及びPD−L1
+aAPCを含むシステムと比較した(
図3)。PD−1/PD−L1相互作用、抗PD−L1抗体または抗PD−1抗体を特異的に遮断することが知られている特異的な遮断因子の存在下のみで、しかし、抗CTLA−4抗体の非存在下で、抗CD3抗体は、TCR複合体を活性化し、NFAT応答要素によって駆動されるルシフェラーゼレポーターの発現を増加させた。実験は、試験された種々の条件に対するシステムの特異性を実証した。
【0100】
実験によって、抗PD−L1抗体(
図4)及び抗PD−1抗体(
図5)活性がレポーターシステムによって測定され得ることを実証した。PD−1及びNFAT−RE−ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、連続希釈の抗PD−L1抗体(
図4)または抗PD−1抗体(
図5)の存在下で抗CD3/PD−L1
+aAPCと共培養した。いずれの遮断因子もPD−1/PD−L1複合体形成の濃度依存性阻害を付与し、発光シグナルの濃度依存性増加、及びレポーターシステムから4〜6倍増加されたルシフェラーゼ活性を結果として生じさせた。
【0101】
実施例2
抗CD3を発現しないaAPCを使用したPD−1/PD−L1遮断アッセイ
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に行った実験は、可溶性抗CD3抗体の存在下でPD−L1を発現するが抗CD3を発現しないaAPCを使用した遮断アッセイシステムを実証した(
図6)。PD−1及びNFAT−RE−ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、可溶性抗CD3抗体と、連続希釈の遮断因子、抗PD−L1抗体との存在下で、抗CD3
-/PD−L1
+aAPCと共培養した(
図6)。遮断因子は、
図4における同じ遮断因子からのルシフェラーゼ発現の6倍の増加と比較して、ルシフェラーゼ(
図7)のNFAT−RE依存性発現の有意に低減された誘発(<1.3倍)を付与した。
【0102】
実施例3
遮断アッセイにおける抗CD3/PD−L1aAPCの代わりの抗CD3/PD−L1ビーズ
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に行った実験は、抗CD3/PD−L1aAPCビーズが、Jurkatエフェクター細胞によるルシフェラーゼのNFAT−プロモーター依存性発現の活性化を阻害しないことを実証している(
図8)。ビーズを定量の抗CD3(10%のタンパク質)でコーティングした。PD−L1−Fcキメラを1:0(PD−L1なし)、1:3、及び1:9の抗CD3:PD−L1−Fcモル比で同時にコーティングした。無関係のIgGを使用してモル比のバランスを取った。PD−1及びNFAT−RE−ルシフェラーゼを発現するJurkatエフェクター細胞を連続ビーズ希釈でインキュベートした。NFAT−RE依存性ルシフェラーゼ発現は、1:0、1:3、または1:9のいずれの抗CD3:PD−L1−Fcビーズを使用していても同様であった。FACS分析は、ビーズにおけるPD−L1の存在を確認する(
図9)。
図8に記載のビーズを抗PD−L1−FITCで標識化し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0103】
抗CD3/PD−L1ビーズ(1:9のモル比)は、T細胞活性化のPD−1/PD−L1係合誘発阻害を示さず、抗PD−L1抗体は、T細胞活性化を誘発しなかった(
図10)。PD−1及びNFAT−RE−ルシフェラーゼを発現するJurkatエフェクター細胞を、PD−L1遮断抗体の存在または非存在下で抗CD3:PD−L1−Fcビーズによって処理した。NFAT−RE依存性ルシフェラーゼ発現はPD−L1遮断抗体の存在下で変化しなかった。ビーズにおけるPD−L1の延長された長さは、ビーズによる活性化の欠失を是正しなかった(
図11)。PD−L1をビーズから離れて延長するストラテジーの説明を示す。ビーズを、抗CD3:抗ヒトIgGによって1:9のモル比でコーティングした。次いでビーズをPD−L1−Fcキメラ(PD−L1に融合されたヒトIgG1Fc領域を含有する)によってインキュベートし、PD−L1をビーズに充填した。PD−1及びNFAT−RE依存性ルシフェラーゼを発現するJurkatエフェクター細胞を、PD−L1遮断抗体の存在または非存在下でこれらのビーズによって処理した。NFAT−RE依存性ルシフェラーゼ発現は、PD−L1遮断抗体の存在によって影響されなかった。
【0104】
ビーズにおける抗CD3及びPD−L1の配置の固定は、有効なT細胞阻害を防ぐ場合があることが予期されている(
図12)。具体的には、T細胞及びaAPC間の免疫シナプスの形成は、膜結合レセプター及びリガンドの動的な横方向の局在を必要とする。PD−L1を結合する際、PD−1は、免疫シナプスにおいてTCRと共局在されることが知られており、ここで、PD−1は、TCR複合体シグナリングを直接阻害することができる。PD−L1がaAPCの細胞膜に局在するとき、PD−1/PD−L1のかかる横方向の局在が達成され得る(左側に図示)。PD−L1がビーズ表面において結合しているとき、PD−L1の位置は静止し、横方向の動きは制限される(右側に図示))。このように、PD−1/PD−L1は、TCRと共局在されず、PD−1は、TCR複合体シグナリングを阻害することができない。このことは、PD−1が、近位のTCRシグナリングを阻害する必要がない、TCR複合体とのネガティブ共刺激マイクロクラスターを形成することを示す公開された研究と一致している(Yokosuka et al.J Exp Med.2012年6月4日;209(6):1201−17.;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載されている実施形態は、いずれの特定の作用機構にも限定されず、該作用機構の理解は、かかる実施形態を実践するのに必要でない。
【0105】
実施例4
PD−1/PD−L2遮断アッセイの特異性
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、種々の条件に対する
図13に示されている遮断アッセイの検出可能な応答を試験した。細胞膜においてPD−L2及び抗CD3抗体Fabドメインを提示するaAPCは、PD−1、TCR複合体を提示し、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物(Jurkatエフェクター細胞)を含むJurkatT細胞と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体、及びNFAT−プロモーターを活性化する;しかし、PD−1及びPD−L2の相互作用は、TCR活性化、及びNFATプロモーターからのルシフェラーゼ発現を阻害し、ルシフェラーゼの発現が殆ど生じない。PD−1/PD−L2相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたTCR複合体が、NFATプロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0106】
実験によって、抗PD−1抗体(
図14b)及び抗PD−L2抗体(
図14a)活性をレポーターシステムによって測定したことを実証した。PD−1及びNFAT−RE−ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、連続希釈の抗PD−L2抗体(
図14a)または抗PD−1抗体(
図14b)の存在下で抗CD3/PD−L2
+aAPCと共培養した。いずれの遮断因子もレポーター発現の濃度依存性活性化を付与し、発光シグナルの濃度依存性増加、及び増加したルシフェラーゼ活性を結果として生じさせた。
【0107】
実施例5
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、
図15に示されているように、免疫チェックポイントレセプターCTLA−4及びそのリガンド、CD80/CD86の阻害因子を評価した。CD80/CD86及び抗CD3抗体Fabドメインを細胞膜において提示するRajiB細胞におけるaAPCは、共刺激レセプターCD28、CTLA−4、TCR複合体を提示し、IL−2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞(Jurkatエフェクター細胞)と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD80/CD86はCD28を共刺激する。これにより、IL−2プロモーターの活性化をもたらし、ルシフェラーゼ発現を駆動する;しかし、CTLA−4は、CD28との結合親和性よりもCD80/CD86との結合親和性が高い。これは、CD80/CD86とCD28との相互作用、及びIL−2プロモーターからのルシフェラーゼ発現を阻害する。CTLA−4とCD80/CD86との相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたCD28が、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0108】
実験によって、レポーターシステムによる抗CTLA−4抗体、イピリムマブの活性を実証した(
図16)。CTLA−4及びIL−2−ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、連続希釈のイピリムマブの存在下で抗CD3/CD80/CD86
+aAPCと共培養した。遮断因子は、レポーター発現の濃度依存性活性化を付与し、発光シグナルの濃度依存性増加、及び増加したルシフェラーゼ活性を結果として生じさせた。
【0109】
実施例6
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、
図17に示されているように、免疫チェックポイントレセプターTIGIT及びそのリガンド、CD155の阻害因子を評価した。CD155及び抗CD3抗体Fabドメインを細胞膜において提示するaAPCは、共刺激レセプターCD226、TIGIT、TCR複合体を提示し、IL−2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD155は、CD226を共刺激する。これにより、IL−2プロモーター駆動ルシフェラーゼ発現の活性化がもたらされる;しかし、CD155は、CD226よりも高い、TIGITとの結合親和性を有する。そのため、TIGITは、CD155とCD226との相互作用、及びIL−2プロモーターからのルシフェラーゼ発現の活性化を阻害する。TIGIT/CD155相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたCD226が、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0110】
実験によって、抗TIGIT抗体(
図18)活性をレポーターシステムによって測定したことを実証した。TIGIT及びIL−2プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、連続希釈の抗TIGIT抗体の存在下で、抗CD3/CD155
+aAPCと共培養した。遮断因子は、抗TIGIT抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を付与し、発光シグナルの増加及び増加したルシフェラーゼ活性を結果として生じさせた。
【0111】
実施例7
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、
図19に示されているように、免疫チェックポイントレセプターTIGIT及びそのリガンド、CD155の阻害因子を評価した。細胞膜においてCD155及び抗CD3抗体Fabドメインを提示するaAPCは、共刺激レセプターCD226、TIGIT、TCR複合体を提示し、IL−2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むCEM T細胞(CEMエフェクター細胞)と相互作用すると示されている。aAPC及びCEMエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD155は、CD226を共刺激する。両者は、IL−2プロモーター駆動ルシフェラーゼ発現の活性化をもたらす;しかし、CD155は、CD226よりも高い、TIGITとの結合親和性を有する。そのため、TIGITは、CD155とCD226との相互作用、及びIL−2プロモーターからのルシフェラーゼ発現の活性化を阻害する。TIGIT/CD155相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたCD226が、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0112】
実験によって、抗TIGIT抗体(
図20)活性をレポーターシステムによって測定したことを実証した。TIGIT及びIL−2プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーターを発現するCEM Tエフェクター細胞を、連続希釈の抗TIGIT抗体の存在下で抗CD3/CD155
+aAPCと共培養した。遮断因子は、抗TIGIT抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を付与し、発光シグナルの増加及び増加したルシフェラーゼ活性を結果として生じさせた。
【0113】
実施例8
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、
図21に示されているように、免疫チェックポイントレセプターPD−1及びそのリガンドPD−L1の阻害因子を評価した。細胞膜においてPD−L1及び抗CD3抗体Fabドメインを提示するaAPCは、PD−1、TCR複合体、及びネイティブIL−2プロモーターによって駆動される内因性IL−2遺伝子を提示するJurkatT細胞と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、IL−2プロモーターを活性化し、IL−2産生を増加する;しかし、PD−1及びPD−L1の相互作用は、IL−2プロモーターからのIL−2発現の活性化を阻害し、IL−2タンパク質の産生が殆ど生じない。PD−1/PD−L1相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたTCR複合体が、IL−2プロモーターからのIL−2発現を活性化し、媒体におけるIL−2産生が上昇する。
【0114】
実験によって、抗PD−1抗体(
図22)活性をELISAによって測定したことを実証した。PD−1及びネイティブIL−2プロモーターによって駆動される内因性IL−2遺伝子を発現するJurkatTエフェクター細胞を、連続希釈の抗PD−1抗体の存在下で抗CD3/PD−L1
+aAPCと共培養した。遮断因子は、抗PD−1抗体による濃度依存性のIL−2産生を付与した。
【0115】
実施例9
本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、
図23に示されているように、免疫チェックポイントレセプターLAG−3及びそのリガンド、MHCIIの阻害因子を評価した。細胞膜においてMHCIIを提示するRajiB細胞におけるAPCは、LAG−3、TCR複合体を提示し、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞(Jurkatエフェクター細胞)と相互作用すると示されている。APC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、MHCIIによって提示される超抗原は、TCR複合体を活性化し、NFATプロモーター駆動ルシフェラーゼ発現を活性化する;しかし、MHCIIと結合しているLAG−3は、TCR活性化を阻害する。これにより、NFATプロモーターからのルシフェラーゼ発現の不活化がもたらされる。LAG−3/MHCII相互作用の阻害因子の存在下では、活性化されたTCRが、NFATプロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現を活性化し、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0116】
実験によって、抗LAG−3抗体(
図24)活性をレポーターシステムによって測定したことを実証した。LAG−3及びNFAT RE−ルシフェラーゼレポーターを発現するJurkatエフェクター細胞を、連続希釈の抗LAG−3抗体の存在下で抗MHCII
+aAPCと共培養した。遮断因子は、抗LAG−3抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を付与し、発光シグナルの増加及び増加したルシフェラーゼ活性を結果として生じさせた。
【0117】
実施例10
図25に示すように、本明細書に記載されている実施形態の開発の際に実験を行って、免疫チェックポイントレセプターTIGIT及びPD−1ならびにそれらのリガンド、CD155及びPD−L1の阻害因子をそれぞれ評価した。細胞膜においてPD−L1、CD155及び抗CD3抗体Fabドメインを提示するaAPCは、PD−1、共刺激レセプターCD226、TIGIT、TCR複合体を提示し、IL2−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーター構築物を含むJurkatT細胞と相互作用すると示されている。aAPC及びJurkatエフェクター細胞の相互作用の際、抗CD3Abは、TCR複合体を活性化し、CD155は、CD226を共刺激する。これにより、IL−2プロモーター駆動ルシフェラーゼ発現の活性化をもたらす;しかし、PD−1とPD−L1との相互作用は、低減されたTCR経路活性化及び低減されたIL−2プロモーター依存性レポーター発現をもたらす。また、CD155は、CD226よりも高い、TIGITとの結合親和性を有する。そのため、TIGITは、CD155とCD226との相互作用を阻害し、低減されたレポーター発現をもたらす。PD−1/PD−L1及び/またはTIGIT/CD155相互作用の阻害因子の存在下で、IL−2プロモーターからのルシフェラーゼレポーターの発現が向上され、ルシフェラーゼシグナルが上昇する。
【0118】
図26a〜bは、Jurkat−T細胞及びPD−L1/CD155aAPC/CHO−K1細胞におけるPD−1/TIGITエフェクター細胞を使用する例示的なPD−1/TIGIT遮断アッセイにおける(a)抗PD−1抗体及び(b)抗TIGIT抗体によるレポーター発現の濃度依存性活性化を表示するグラフを示す。
図26cは、いずれかの抗体単独と比較した抗PD−1及び抗TIGIT抗体の組み合わせの効果を示す。
【0119】
本明細書において提供されている全ての公開公報及び特許は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明の記載されている組成物及び方法の種々の変更及び変形が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明を具体的な好ましい実施形態と併せて記載しているが、特許請求の範囲に記載されている本発明は、かかる具体的な実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際、当業者に明らかとなる、本発明を実施するための記載されている形態の種々の変更が、本発明の範囲内にあることが意図される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)またはリン脂質液滴を含む組成物。
〔2〕前記aAPCとTCR及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)を含むエフェクター細胞との相互作用の際、前記TCR活性化因子が、前記エフェクター細胞のTCRを活性化し、前記ICLが前記ICRと相互作用して、ICR/ICL複合体を形成する、前記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記ICR/ICL複合体の形成が、TCR活性化の下流の効果を調節する、前記〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記TCR活性化因子が、抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、または主要組織適合複合体(MHC)である、前記〔1〕に記載の組成物。
〔5〕前記ICLが、PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、及びHVEMからなる群から選択される、前記〔1〕に記載の組成物。
〔6〕前記aAPCが、リン脂質、TCR活性化因子、ICL、または免疫刺激レセプターリガンドをさらに含む、前記〔1〕に記載の組成物。
〔7〕(a)表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示し、T細胞レセプター(TCR)を含むエフェクター細胞と;
(b)表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)またはリン脂質液滴と;
を含むシステムであって、前記ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、前記システム。
〔8〕前記ICR/ICL複合体の形成が、前記TCR活性化因子によるTCR活性化の調節及び/または1以上のTCR依存性経路の調節を結果として生じさせる、前記〔7〕に記載のシステム。
〔9〕調節が:
(a)前記TCR活性化因子及び/もしくは1以上のTCR依存性経路によるTCR活性化の阻害;または
(b)前記TCR活性化因子及び/もしくは1以上のTCR依存性経路によるTCR活性化の向上
を含む、前記〔8〕に記載のシステム。
〔10〕前記TCR活性化因子が、抗分化抗原群列3(CD3)抗体、もしくはその抗体フラグメント、または主要組織適合複合体(MHC)である、前記〔7〕に記載のシステム。
〔11〕前記ICLが、CD80/86PD−L1、PD−L2、B7−H4、CD155、ガレクチン−9、及びHVEMからなる群から選択される、前記〔7〕に記載のシステム。
〔12〕前記ICRが、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、CD160、TIGIT、IL−10レセプター、及びBTLAからなる群から選択される、前記〔7〕に記載のシステム。
〔13〕前記エフェクター細胞が、Jurkat、HuT−78、CEM、Molt−4及び一次T細胞を含むT細胞から選択される、前記〔7〕に記載のシステム。
〔14〕前記エフェクター細胞が、TCR活性化、TCR経路活性化、及び/またはTCR活性化もしくはTCR経路活性化のICR/ICL複合体調節のレポーターをさらに含む、前記〔7〕に記載のシステム。
〔15〕前記レポーターの特徴が、細胞濃度、発現、活性、局在、タンパク質修飾、またはタンパク質−タンパク質相互作用を含む、前記〔14〕に記載のシステム。
〔16〕前記ICR/ICL複合体の形成が、前記特徴を調節する、前記〔15〕に記載のシステム。
〔17〕前記レポーターが、前記エフェクター細胞型に内在性であって、TCR活性化、TCR経路活性化、及び/またはTCR活性化もしくはTCR経路活性化のICR/ICL複合体調節を検出可能でありかつこれと相関する特徴を有する天然レポーターである、前記〔14〕に記載のシステム。
〔18〕前記レポーターが、前記エフェクター細胞型に外因性であって、TCR活性化、TCR経路活性化、及び/またはTCR活性化もしくはTCR経路活性化のICR/ICL複合体調節を検出可能でありかつこれと相関する特徴を有する人工レポーターである、前記〔14〕に記載のシステム。
〔19〕前記レポーターが遺伝子であり、その発現が、TCR経路依存性レポーターの制御下にある、前記〔18〕に記載のシステム。
〔20〕前記TCR経路依存性レポーターが、活性化T細胞(NFAT)プロモーターの核因子である、前記〔19〕に記載のシステム。
〔21〕前記レポーターが、ルシフェラーゼ、ベータラクタマーゼ、CAT、SEAP、蛍光タンパク質、及び定量化可能な遺伝子産物からなる群から選択されるタンパク質をコードする遺伝子を含む、前記〔18〕に記載のシステム。
〔22〕遮断因子または試験遮断因子をさらに含む、前記〔7〕に記載のシステム。
〔23〕前記遮断因子が、前記ICR/ICL複合体の形成を阻害して、TCR活性化またはTCR経路活性化の調節を結果として生じさせる、前記〔22〕に記載のシステム。
〔24〕前記遮断因子または試験遮断因子が、小分子、ペプチド、タンパク質、または抗体である、前記〔22〕に記載のシステム。
〔25〕(a)表面におけるTCR及びPD−1と、NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼをと含むエフェクター細胞と;
(b)表面において抗CD3抗体または抗体フラグメント及びPD−L1を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と
を含むシステム。
〔26〕PD−1/PD−L1複合体の形成が、前記NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼの抑制された発現を結果として生じさせる、前記〔25〕に記載のシステム。
〔27〕遮断因子または試験遮断因子をさらに含む、前記〔26〕に記載のシステム。
〔28〕前記遮断因子または試験遮断因子が、前記PD−1/PD−L1複合体の形成を阻害して、前記NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼの増加された発現を結果として生じさせる、前記〔27〕に記載のシステム。
〔29〕(a)
(i)表面において免疫チェックポイントレセプター(ICR)を提示し、T細胞レセプター(TCR)及びTCR経路依存性レポーターを含むエフェクター細胞と、
(ii)表面においてTCR活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と
を含むシステムを形成することにおいて、前記ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成し、前記ICR/ICL複合体の形成が、前記TCR活性化因子によるTCR活性化の調節及び/または1以上のTCR依存性経路の調節を結果として生じさせることと;
(b)前記TCR経路依存性レポーターまたは前記レポーターからのシグナルを検出することと
を含む方法。
〔30〕前記システムを遮断因子に添加することをさらに含み、前記遮断因子が、前記ICR/ICL複合体の形成を阻害し、または前記TCR活性化因子によるTCR活性化のICR/ICL依存性調節及び/もしくは1以上のTCR依存性経路の調節を阻害する、前記〔29〕に記載の方法。
〔31〕前記TCR経路依存性レポーターまたは前記レポーターからのシグナルが、前記遮断因子の添加の(1)前、(2)同時、及び/または(3)後に検出される、前記〔30〕に記載の方法。
〔32〕前記遮断因子の添加の(1)前、(2)同時、及び/または(3)後にシグナルを比較して、前記遮断因子の効果を決定するステップをさらに含む、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕(a)
(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR活性化経路依存性レポーターとを提示するエフェクター細胞と、 (ii)TCR活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、前記ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、前記人工抗原提示細胞(aAPC)と
を共培養することと;
(b)前記試験遮断因子を添加することと;
(c)前記レポーターからの前記シグナルを検出することと;
(d)前記レポーターからの前記シグナルを対照と比較することにおいて、前記対照についてのシグナルのゲインが、前記試験遮断因子による前記ICR/ICL複合体の阻害を示すことと
を含む前記方法。
〔34〕ICR/ICL遮断因子を同定する方法であって:
(a)
(i)表面においてT細胞レセプター(TCR)及び免疫チェックポイントレセプター(ICR)と、TCR経路依存性レポーターとを提示するエフェクター細胞と、
(ii)抗分化抗原群列3(CD3)抗体及び免疫チェックポイントリガンドを提示する人工抗原提示細胞(aAPC)において、前記ICR及びICLが、相互作用の際にICR/ICL複合体を形成する、前記人工抗原提示細胞(aAPC)と
を共培養することと;
(b)前記レポーターからのシグナルを検出することと;
(c)前記試験遮断因子を添加することと;
(d)前記レポーターからの前記シグナルの検出を繰り返すことと;
(e)ステップ(b)からの前記シグナルをステップ(d)からの前記シグナルと比較することにおいて、ステップ(b)からステップ(d)のシグナルのゲインが、前記試験遮断因子による前記ICR/ICL複合体の阻害を示すことと
を含む、前記方法。
〔35〕ICR/ICL遮断因子を同定する方法であって:
(a)
(i)表面においてPD−1を表示し、T細胞レセプター(TCR)及び活性化T細胞(NFAT)プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーターの核因子を含むエフェクター細胞を、
(ii)抗分化抗原群列3(CD3)抗体及びPD−L1を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)と
接触させることと;
(b)前記NFAT−プロモーター依存性ルシフェラーゼレポーターからのシグナルを検出することと
を含む、前記方法。
〔36〕(c)前記試験遮断因子を添加することと;
(d)前記レポーターからの前記シグナルの検出を繰り返すことと
をさらに含む、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕(e)ステップ(b)からの前記シグナルをステップ(d)からの前記シグナルと比較することをさらに含み、ステップ(b)からステップ(d)のシグナルのゲインが、前記試験遮断因子による前記ICR/ICL複合体の阻害を示している、前記〔36〕に記載の方法。
〔38〕表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、天然エフェクター細胞を含むシステムに投与することを含む方法。
〔39〕表面においてT細胞レセプター(TCR)活性化因子及び免疫チェックポイントリガンド(ICL)を提示する人工抗原提示細胞(aAPC)を、人工エフェクター細胞を含むシステムに投与することを含む方法。