特許第6891134号(P6891134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891134
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】ボルト及びナットのカバー体
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/14 20060101AFI20210607BHJP
   E02D 27/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   F16B37/14 C
   E02D27/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-7065(P2018-7065)
(22)【出願日】2018年1月19日
(65)【公開番号】特開2019-124331(P2019-124331A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2020年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】久保 秀高
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健太郎
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−293537(JP,A)
【文献】 特開平08−027742(JP,A)
【文献】 実開昭48−016282(JP,U)
【文献】 実開昭58−181744(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3116364(JP,U)
【文献】 特開平10−333575(JP,A)
【文献】 特開2011−062052(JP,A)
【文献】 特開2003−090752(JP,A)
【文献】 特開2017−031729(JP,A)
【文献】 特開2014−202332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 37/14
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒軸方向の一端面が閉塞された筒状を成し、ナットが螺着されたボルトの突出端部を当該ナットと共に覆うボルト及びナットのカバー体であって、
当該カバー体の側部には、少なくとも前記ボルトの突出端部を当該側部から内部に収容可能な開口と、当該開口を閉塞する開口閉塞部とが形成され、
前記ナットと前記ボルトの突出端部を内部に収容可能であると共に、当該収容状態において、前記開口は、前記開口閉塞部により閉塞可能であることを特徴とするボルト及びナットのカバー体。
【請求項2】
前記ボルトは、基準面から突出していて、当該ボルトの突出端部にはナットが、当該基準面に当接した状態で螺着され、前記開口は、前記カバー体の筒軸方向の他端面である開口端面を当該基準面に当接させた状態で、前記ボルトの突出端部及び前記ナットの全体を受入れ可能な大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボルト及びナットのカバー体。
【請求項3】
筒状の周壁部と、当該周壁部の筒軸方向の一端面を閉塞する天壁部とを有し、
前記周壁部には、筒軸方向に切り割られた切割り開口が形成されていると共に、前記天壁部には、当該切割り開口と連続して当該天壁を分離させる天壁分離部が形成され、
前記切割り開口及び天壁分離部の各対向端縁が近接離間可能に、前記周壁部の一部がヒンジ連結されており、
前記各対向端縁を離間させることで、基準面から突出するボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを前記切割り開口を通して内部に収容可能であると共に、各対向端縁を近接又は当接させて前記切割り開口を閉じることで、前記基準面から突出したボルトの前記突出端部及び前記ナットの全体を覆い隠すことが可能であることを特徴とするボルト及びナットのカバー体。
【請求項4】
前記切割り開口及び前記天壁分離部の各対向端縁には、閉じた状態で互いに重合する重合壁部を有することを特徴とする請求項3に記載のボルト及びナットのカバー体。
【請求項5】
基準面から突出するボルト及び当該ボルトの突出端部に螺着されたナットを覆うボルト及びナットのカバー体であって、
前記カバー体は、互いに組み付けられて、内部に前記ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを収容する収容空間を形成すると共に、当該収容空間を外部に臨ませる開口を形成する一対の分割体から成り、
各分割体を分離させて、前記開口の下端縁が前記基準面に当接した状態から、前記ボルトの突出端部及び前記ナットを内部に収容した状態に組付け可能であることを特徴とするボルト及びナットのカバー体。
【請求項6】
前記カバー体の内部には、前記ボルトの突出端部に螺着可能な螺着部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のボルト及びナットのカバー体。
【請求項7】
前記螺着部は、前記カバー体の内部に組付け可能な別体の螺着部材から成ることを特徴とする請求項6に記載のボルト及びナットのカバー体。
【請求項8】
前記螺着部材は、前記ボルトの軸方向に沿って切り割られた複数の分割体から成り、各分割体の対面方向及び/又は前記軸方向に沿った配置位置を変更して組み付けることで、外径及び突出長の異なるボルトに対して螺着可能であることを特徴とする請求項7に記載のボルト及びナットのカバー体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナットが螺着されたボルトの突出端部を当該ナットと共に覆うボルト及びナットのカバー体に関するものである。
なお、明細書及び図面の「ボルト」の「符号表示」に関して、外径及び螺着のピッチを特定せずに、一般的に使用する場合には、「B」の符号を用い、外径及び螺着のピッチが定められた特定のボルトを示す場合には、「B1 〜B6 」のように、符号「B」に添字を付す。
【背景技術】
【0002】
例えば、キュービクルは、工場で製作された金属製の扉付きボックスを地上面、地下室等に据え付けて、内部に受電機器が収容される高圧受電設備であって、大量に電力を消費する工場等で使用される。このキュービクル94を地上面、地下室等に据え付けるには、コンクリート基礎93に金属製のボックス95を設置して行っている。即ち、図16に示されるように、ボックスの外周縁形状に対応してコンクリート基礎93に多数本のアンカーボルト(以下、単に「ボルト」という)Bを埋設しておき、多数本のボルトBの各突出端部Baを、前記ボックス95の基板91に挿通して、当該各ボルトBの突出端部BaにナットNを螺着することで、コンクリート基礎93にボックス95を固定して据え付けている。
【0003】
キュービクル94を構成するボックス95を上記のようにして地上面等に据え付ける構造において、多数本のボルトBが当該ボックス95の外周縁の外側に配置されるのを防止するために、当該ボックス95の下端部である基板91の外周部には、アンダーカット状空間96が形成されていて、当該空間96に各ボルトBの突出端部Baが露出しない構造になっている。
【0004】
一方、ナットNが螺着された各ボルトBの突出端部Baは、腐食防止のために、その全体をカバー体で覆っている。このカバー体の一つとして、特許文献1に開示のものが知られているが、当該カバー体の全体形状は、上端面が閉塞された一体筒状であって、ボルトBの突出端部Baの直上から、当該ボルトBの軸方向にカバー体を移動させて、当該ボルトBの突出端部Ba及びナットNを覆う構成であるため、上記したアンダーカット状空間96に配置されたボルトBの突出端部Baを直上から覆うことは、できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−202332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アンダーカット状の空間部にボルトの突出端部が突出している場合でも、当該ボルト及び当該ボルトに螺着されたナットを覆うことが可能なカバー体の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、筒軸方向の一端面が閉塞された筒状を成し、ナットが螺着されたボルトの突出端部を当該ナットと共に覆うボルト及びナットのカバー体であって、
当該カバー体の側部には、少なくとも前記ボルトの突出端部を当該側部から内部に収容可能な開口と、当該開口を閉塞する開口閉塞部とが形成され、
前記ナットと前記ボルトの突出端部を内部に収容可能であると共に、当該収容状態において、前記開口は、前記開口閉塞部により閉塞可能であることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、筒軸方向の一端面が閉塞された筒状のカバー体の側部には、少なくとも前記ボルトの突出端部を当該側部から内部に収容可能な開口と、当該開口を閉塞する開口閉塞部とが形成されている。このため、当該カバー体の一部をボルトの軸方向に対して直交する方向に移動させるか、又は当該ボルトの軸方向に対して直交する面内で回動させて、前記開口から、前記ボルトの突出端部及び当該ボルトに螺着されたナットを内部に収容した状態で、当該開口を開口閉塞部で閉塞することで、当該ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットは、カバー体で覆われる。このため、従来構造のカバー体のように、ボルトの突出端部の直上に配置された当該カバー体の全体を当該ボルトの軸方向に移動させることなく、当該カバー体の一部をボルトの軸方向に対して直交する方向に移動させるか、或いは当該ボルトの軸方向に対して直交する面内で回動させることで、当該ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットをカバー体で覆うことができるので、アンダーカット状の空間部に、当該ボルトの突出端部が突出されていても、当該ボルトの突出端部及び当該ボルトに螺着されたナットをカバー体で覆うことが可能となる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ボルトは、基準面から突出していて、当該ボルトの突出端部にはナットが、当該基準面に当接した状態で螺着され、前記開口は、前記カバー体の筒軸方向の他端面である開口端面を当該基準面に当接させた状態で、前記ボルトの突出端部及び前記ナットの全体を受入れ可能な大きさに形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、カバー体の側部に形成された開口は、前記カバー体の筒軸方向の他端面である開口端面を前記基準面に当接させた状態で、前記ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着された前記ナットの全体を受入れ可能な大きさに形成されているため、前記基準面に対してカバー体の一部を移動させたり、又は回動させることで、前記ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットをカバー体の内部に収容できる。よって、アンダーカット状の空間部に突出したボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットをカバー体で覆う作業が容易となる。
【0011】
請求項3の発明は、筒状の周壁部と、当該周壁部の筒軸方向の一端面を閉塞する天壁部とを有し、
前記周壁部には、筒軸方向に切り割られた切割り開口が形成されていると共に、前記天壁部には、当該切割り開口と連続して当該天壁を分離させる天壁分離部が形成され、
前記切割り開口及び天壁分離部の各対向端縁が近接離間可能に、前記周壁部の一部がヒンジ連結されており、
前記各対向端縁を離間させることで、基準面から突出するボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを前記切割り開口を通して内部に収容可能であると共に、各対向端縁を近接又は当接させて前記切割り開口を閉じることで、前記基準面から突出したボルトの前記突出端部及び前記ナットの全体を覆い隠すことが可能であることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、カバー体の周壁部に形成された切割り開口及び天壁部に形成された天壁分離部の各対向端縁を離間させることで、基準面から突出するボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを、前記切割り開口を通して内部に収容し、この状態で、一部がヒンジ連結された周壁部の特定部を、前記ボルトの軸方向に対して直交する面内で回動させて、前記各対向端縁を近接又は当接させて前記切割り開口を閉じることで、前記基準面から突出したボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットの全体は、カバー体で覆い隠される。よって、ボルトの突出端部がアンダーカット状の空間部に突出していて、、当該ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットをカバー体で覆い隠すことができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記切割り開口及び前記天壁分離部の各対向端縁には、閉じた状態で互いに重合する重合壁部を有することを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明によれば、前記切割り開口及び前記天壁分離部の各対向端縁には、閉じた状態で互いに重合する重合壁部を有することで、周壁部の切割り開口及び天壁部の天壁分離部が閉じられた状態で、切割り開口及び天壁分離部の密封性、即ち、水密性及び気密性が高められる。よって、カバー体で覆われたボルトの突出端部、及び当該突出端部に螺着されたナットの腐食を一層確実に防止できる。
【0015】
請求項5の発明は、基準面から突出するボルト及び当該ボルトの突出端部に螺着されたナットを覆うボルト及びナットのカバー体であって、
前記カバー体は、互いに組み付けられて、内部に前記ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを収容する収容空間を形成すると共に、当該収容空間を外部に臨ませる開口を形成する一対の分割体から成り、
各分割体を分離させて、前記開口の下端縁が前記基準面に当接した状態から、前記ボルトの突出端部及び前記ナットを内部に収容した状態に組付け可能であることを特徴としている。
【0016】
請求項3の発明は、周壁部の一部がヒンジ連結されて、非分割構造のカバー体であるのに対して、請求項5の発明は、一対の分割体で構成されている点が基本的に異なり、更に、請求項5の発明は、各分割体を分離させて、前記開口の下端縁が前記基準面に当接した状態から、前記ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを内部に収容した状態に組付け可能であるために、カバー体により、アンダーカット状の空間部に突出したボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットを覆い隠す作業を容易に行える。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記カバー体の内部には、前記ボルトの突出端部に螺着可能な螺着部を有することを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明によれば、ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットがカバー体で覆われた状態で、当該カバー体の内部の螺着部が当該ボルトの突出端部に螺着するため、ボルトの突出端部を覆っているカバー体が、当該ボルトの突出端部から外れるのを防止できる。よって、請求項6の発明は、アンダーカット状の空間部ではなくて、全周囲が開放されている部分に突出しているボルトの突出端部をカバー体で覆う場合に特有の効果が奏される。
【0019】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記螺着部は、前記カバー体の内部に組付け可能な別体の螺着部材から成ることを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明によれば、カバー体の内部に設けられる螺着部が別体の螺着部材で構成されるため、ボルトの外径(大きさ)に対応した螺着部材の使用により、外径の異なるボルトに対応可能となる。
【0021】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記螺着部材は、前記ボルトの軸方向に沿って切り割られた複数の分割体から成り、各分割体の対面方向及び/又は前記軸方向に沿った配置位置を変更して組み付けることで、外径及び突出長の異なるボルトに対して螺着可能であることを特徴としている。
【0022】
請求項8の発明によれば、前記螺着部材を軸方向に沿って切り割られた複数の分割体で構成して、各分割体の対向面に、外径(大きさ)の異なる雌ねじを形成して、各分割体の対向面を反転させて配置したり、或いは、カバー体に対する各分割体のボルトの軸方向に沿った配置位置を変更して配置することで、カバー体の内部に配置された複数の分割体から成る螺着部材を、外径及び突出長の異なる複数のボルトに対して螺着可能となる。この結果、分割構造の螺着部材を外径及び/又は突出長の異なるボルトに対して共用可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、筒軸方向の一端面が閉塞された筒状のカバー体の側部には、少なくともボルトの突出端部を当該側部から内部に収容可能な開口と、当該開口を閉塞する開口閉塞部とが形成され、ナットが螺着されたボルトの突出端部を内部に収容可能であると共に、当該収容状態において、前記開口は、前記開口閉塞部により閉塞可能であるので、従来構造のカバー体のように、ボルトの突出端部の直上に配置された当該カバー体の全体を当該ボルトの軸方向に移動させることなく、当該カバー体の一部をボルトの軸方向に対して直交する方向に移動させるか、或いは当該ボルトの軸方向に対して直交する面内で回動させることで、当該ボルトの突出端部及び当該突出端部に螺着されたナットをカバー体で覆うことができるので、アンダーカット状の空間部に、当該ボルトの突出端部が突出されていても、当該ボルトの突出端部及び当該ボルトに螺着されたナットをカバー体で覆うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a),(b)は、それぞれカバー体C1 を二分割した各分割カバー体C11,C12を異なる方向から見た斜視図である。
図2】(a),(b)は、それぞれ二分割された各分割カバー体C11,C12がヒンジ連結された状態を異なる方向から見た斜視図である。
図3】(a)は、ヒンジ連結された各分割カバー体C11,C12の各開口面が同一面に配置されるように開いた状態の内部を見た正面図であり、(b)は、(a)のJ矢視図である。
図4】(a)は、各分割カバー体C11,C12を閉じたカバー体C1 の正面図であり、(b),(c)は、それぞれ(a)のU1 −U1 線及びU2 −U2 線の各断面図である。
図5】(a),(b)は、それぞれ雌ねじ駒体Eを異なる方向から見た斜視図である。
図6】(a)は、雌ねじ駒体Eの正面図であり、(b)は、(a)のV−V線断面図であり、(c),(d)は、それぞれ雌ねじ駒体Eの右側面図及び左側面図である。
図7】内部に雌ねじ駒体Eが配置された分割カバー体C11,C12がヒンジ連結され、しかも開口面が同一平面上に配置されたカバー体C1 の斜視図である。
図8】(a)は、図7の同様の状態のカバー体C1 の正面図であり、(b),(c)は、(a)のJ’矢視図及びX−X線断面図である。
図9】内部に雌ねじ駒体Eを組付け収容した一対の分割カバー体C11,C12が組み付けられた状態の底面図である。
図10】(a)〜(c)は、一対の分割カバー体C11,C12の内部に組付け収容される一対の雌ねじ駒体Eの保持姿勢を示すカバー体C1 の模式的底面図である。
図11】(a)〜(d)は、ボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNがカバー体C1 により覆われる順序を示す斜視図である。
図12】カバー体C1 によりボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNが覆われた状態の縦断面図(図9のY−Y線断面図)である。
図13】(a),(b)は、それぞれカバー体C2 を構成する一対の分割カバー体C21,C22を異なる方向から見た斜視図である。
図14】(a)は、カバー体C2 を構成する分割カバー体C21の正面図、(b)は、各分割カバー体C21,C22が一体化された状態の(a)のZ−Z線断面図である。
図15】(a),(b)は、それぞれカバー体C2 によりボルトBの突出端部Ba及びナットNを覆う前後の斜視図である。
図16】キュービクル94を構成する金属製ボックス95をコンクリート基礎93に固定するボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNが、本発明に係るカバー体C1 で覆われた状態の全体斜視図である。
図17】(a),(b)は、キュービクル94の金属製ボックス95の下端部に形成されたアンダーカット状空間96に配置されたボルトBの突出端部Ba及びナットNがカバー体C1 で覆われる前後の正面図である。
図18】カバー体C3 の斜視図である。
図19】(a),(b)は、カバー体C3 によりボルトBの突出端部Ba及びナットNが覆われる順序を説明する正面図及び側面図の組合せ図である。
図20】(a)は、カバー体C4 の斜視図であり、(b)は、当該カバー体C4 によりボルトB2 の突出端部B2a及びナットNが覆われた状態の一部を破断した正面図である。
図21】複数のメートルねじ及びウイットねじのピッチ、外径、有効径及び谷径を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、複数の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
最初に、図1図6を参照して、本発明の実施例1のカバー体C1 について説明する。カバー体C1 は、ボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNとの双方を覆う天壁部を有する筒状の部材であって、円筒状の周壁部1の筒軸方向Qに沿った一方の開口が天壁部2で閉塞された形状である。カバー体C1 は、筒軸方向Qに沿って半割りされた一対の分割カバー体C11,C12がヒンジ連結された構成である。分割カバー体C11,C12は、互いに密着する一方の各第1開口端面3,4の部分には、互いにヒンジ連結される一対のヒンジピン5及び一対のピン嵌合溝6がそれぞれ形成されていると共に、他方の各第2開口端面7,8の部分には、それぞれ方形平板状をした一対の被係止片9及び一対の係止突起11が形成されている。一対の被係止片9は、分割カバー体C11の第2開口端面7から、円筒状の周壁部1の接線方向に突出する形態で形成されていると共に、一対の係止突起11は、分割カバー体C12の第2開口端面8に臨む形態で形成されている。分割カバー体C11の第1開口端面3の外側には、筒軸方向Qに沿って所定間隔をおいて短円柱状のピン形成体部12が筒軸方向Qに沿って対向して形成され、各ピン形成体部12の内側の対向面に、それぞれ前記ヒンジピン5が対向して筒軸方向Qに沿って形成されている。なお、筒軸方向Qとは、正確には筒軸心方向を意味する。
【0027】
分割カバー体C12の第1開口端面4の外側には、所定間隔をおいて配置された前記一対のピン形成体部12の内側に隙間のない状態で配置される同じく短円柱状の一対のピン嵌合溝形成体部13が所定間隔をおいて筒軸方向Qに沿って対向して形成され、各ピン嵌合溝形成体部13には、当該分割カバー体C12の第1開口端面4の部分の接線方向に沿い、しかも当該分割カバー体C12におけるボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNを収容する収容開口10の側が閉塞されて、反対の側が開口されたピン嵌合溝6〔図1(b)参照〕が形成されている。このため、図1(a)に示されるように、一対の分割カバー体C11,C12の各開口面が同一平面上に配置されるように配置した状態において、一方の分割カバー体C11の各ヒンジピン5を、他方の分割カバー体C12のピン嵌合溝6の前記接線方向に沿った開口から内部に挿入・嵌合させた後に〔この状態が、図2(a)に示されている〕、前記一対のヒンジピン5を中心にして、各収容開口10が互いに近接する方向に、各分割カバー体C11,C12を相対的に回動させると、各分割カバー体C11,C12の第1開口端面3,4どうしが、組付け途中では互いに近接すると共に、組付状態では互いに当接することで、図2(b)に示されるように、各ピン嵌合溝6からヒンジピン5は、抜け出なくなって、各分割カバー体C11,C12は、ヒンジ連結状態を維持して互いに回動可能に連結される。
【0028】
分割カバー体C12の一対の係止突起11が形成されている部分は、別の分割カバー体C11の方形平板状の一対の被係止片9が密着状態で配置可能とするために、平面状の密着平面14となっている。分割カバー体C11に設けられた方形平板状の一対の被係止片9の中央部には、別の分割カバー体C12に設けられた一対の係止突起11と係止される方形状の被係止孔15が形成されている。
【0029】
上記のように、一対の分割カバー体C11,C12は、一対のヒンジピン5を中心にしてヒンジ連結され、この状態で、一対の分割カバー体C11,C12を相対的に回動させて、各分割周壁部1a,1bの第1開口端面3,4どうし及び第2開口端面7,8どうしを当接させると、分割カバー体C11の一対の被係止片9は、別の分割カバー体C12の各密着平面14の外側に配置されて、当該密着平面14に密着され、この状態で、当該各被係止片9が外側に僅かに弾性変形された後に原形状に復元して、当該各被係止片9に形成された各被係止孔15と、分割カバー体C12に形成された各係止突起11とが係止されることで、一対の分割カバー体C11,C12は、一体に組み付けられる。また、一対の分割カバー体C11,C12の組付け状態では、当然に、各分割天壁部2a,2bの各第3開口端面16,17も互いに当接する。なお、図4及び図10に示されるように、上記した第1、第2及び第3の各開口端面3,4,7,8,16,17は、密封性、即ち、気密性及び水密性の双方を高めるために、段差部を有する二重壁構造になっている。
【0030】
また、カバー体C1 は、ボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNを覆うのみならず、覆った状態で、当該カバー体C1 の内部の一部を、前記ボルトBの突出端部Baのねじ山に係止させることで、ボルトBの突出端部Baを覆っているカバー体C1 の配置位置を保持すると共に、極端な場合には、当該突出端部Baに対してカバー体C1 が抜けない構造にしてある。このことを実現するために、ボルトBの突出端部Baのねじ山の間に部分的に挿入される第1及び第2の各部分雌ねじ部F1 ,F2 を有する後述のブロック状の一対の雌ねじ駒体Eを使用しており、各分割カバー体C11,C12の内周面には、前記雌ねじ駒体Eを組付け可能とする嵌入組付け溝23a,23bが対向してそれぞれ形成されている。また、一対の分割カバー体C11,C12を円筒状に組み付けた状態では、天壁部2と対向する部分に下端開口18〔図3(b)及び図10参照〕が形成され、図4(b)において、21,22は、カバー体C1 の使用時において、ボルトBが突出する基板面91aに当接する各分割カバー体C11,C12の各下端面を示す。
【0031】
上記した雌ねじ駒体Eは、ヒンジ連結された各分割カバー体C11,C12の内側に対向状態で組み付けられて使用される。即ち、雌ねじ駒体Eは、図5及び図6に示されるように、直方体ブロック状の駒体本体31の互いに背中合わせとなる各平面32,33a(33b)には、外径の異なる複数種類のボルトBに対応して、大きさの異なる断面半円状の各凹部34,35が、分割カバー体C11,C12に組込んだ状態で、筒軸方向Qに沿うように形成され、各凹部34,35の内周面に、外径の異なる複数種類のボルトBに対応する中心角がほぼ180°の第1及び第2の各部分雌ねじ部F1 ,F2 が、それぞれ形成されている。雌ねじ駒体Eは、ボルトBの突出端部Baに部分的に螺着されて、当該突出端部Baをカバー体C1 で覆っている状態で、当該カバー体C1 が当該突出端部Baから抜けるのを防止できれば十分であるため、駒体本体31の各凹部34,35に形成される各部分雌ねじ部F1 ,F2 は、ボルトBの突出端部Baの全てのねじ山に螺着される必要はないので、部分雌ねじとしてある。また、後述のように、雌ねじ駒体Eは、上下反転させて使用することがあるため、前記各凹部34,35における筒軸方向Qに沿った両端部に、それぞれ第1及び第2の各部分雌ねじ部F1 ,F2 が形成されて、いずれか一方がボルトBの突出端部Baに部分係止状態で螺着される。なお、図6(b)において、F1a, F2aは、それぞれ第1及び第2の各部分雌ねじ部F1 ,F2 のねじ山部を示す。
【0032】
駒体本体31の前記各凹部34,35が形成された平面32,33a(33b)に対して直交して背中合わせとなる各平面36,37には、前記各分割カバー体C11,C12の内面に対向して形成された各嵌入組付け溝23a,23bに嵌入されて、当該駒体本体31を前記各分割カバー体C11,C12の内部に一体に組み付けるための複数の嵌入突部38が、当該各分割カバー体C11,C12に対する駒体本体31の嵌入方向Rと直交する方向に沿って一定ピッチSeをおいて当該嵌入方向Rに沿って形成されている。各嵌入突部38の嵌入方向Rに沿った上下面は、当該嵌入方向Rに沿った両端から中央に向けて僅かに漸次厚肉となるように形成されることで、分割カバー体C11,C12に対して圧入状態で嵌入され、背中合わせとなった各平面36,37にそれぞれ形成されている複数(実施例では3個)の嵌入突部38の前記筒軸方向Qに沿った配置位置は、同一である。なお、前記嵌入突部38の嵌入方向Rに沿って両端の肉厚Teは、相上下する嵌入突部38の間に形成される嵌入溝39の嵌入方向に沿った基端の内幅Weに等しく、各嵌入溝39のピッチ(間隔)は、嵌入突部38及び嵌入溝39のピッチSeの半分と同一である。この結果、(Te=We=Se/2)の関係が成立する。なお、駒体本体31の残りの背中合わせに対向する2面は、一対の雌ねじ駒体Eの対面保持姿勢の変更に、いずれか一方が上面となって、他方が下面となるので、2面を上下面41と総称する。
【0033】
また、図21の表に、複数のメートルねじ及びウイットねじのピッチ、外径、有効径及び谷径が示されている。第1部分雌ねじ部F1 は、M10(外径10mmメートルねじ)のボルトB1 と、M12(外径12mmメートルねじ)のボルトB2 と、W3/8 (1インチに16のねじ山を有するウイットねじ)のボルトB4 と、W1/2 (1インチに12のねじ山を有するウイットねじ)のボルトB5 とに適用され、第2部分雌ねじ部F2 は、M16(外径16mmメートルねじ)のボルトB3 と、W5/8 (1インチに11のねじ山を有するウイットねじ)のボルトB6 に適用される。なお、第1及び第2の各部分雌ねじ部F1 ,F2 の螺着の対象として、一般使用されるメートルねじのみならず、ウイットねじも含めたのは、ウイットねじは、JISのねじ規格では廃止されているが、特に建築業界で使用され続け、その建築物又は建造物が現在でも使用されている結果、ウイットねじが残存していることによる。
【0034】
このように、第1部分雌ねじ部F1 は、第2部分雌ねじ部F2 に比較して、部分螺着対象のボルトの外径差が大きい。換言すると、一種類の第1部分雌ねじ部F1 により、外径差の大きな複数種類のボルトに対して部分螺着させる必要がある。これを解決するために、第1部分雌ねじ部F1 が対向配置される一対の雌ねじ駒体Eの対向間隔を広くすることで、M12のボルトB2 とW1/2 のボルトB5 に部分螺着可能となり、その実現手段として、駒体本体31の上下面41を反転させた状態において、各駒体本体31の対向方向に沿って配置位置を変更可能な構成を採用した。具体的には、第2部分雌ねじ部F2 が形成されることで、その幅方向の両端部に残存する各平面33a,33bを、前記嵌入方向Rに沿って段差43を設けることで、当該嵌入方向Rに沿って突出した平面33bの部分に、前記各分割カバー体C11,C12にぞれぞれ形成された嵌合溝24a,24bに嵌合される嵌合突部44を設けることで、一対の雌ねじ駒体Eの対向方向に沿った間隔を広くできるようにしてある。
【0035】
カバー体C1 を構成する各分割カバー体C11,C12に、上記した一対の雌ねじ駒体Eを、第1及び第2の各部分雌ねじ部F1 ,F2 のいずれか一方を対向状態で組付け可能とするために、各分割カバー体C11,C12の内周面には、筒軸方向Qに沿って前記駒体本体31の背中合わせの各平面36,37にそれぞれ形成された各嵌入突部38を嵌入するための複数の嵌入組付け溝23a,23bが、当該嵌入突部38の形成ピッチSeと同一のピッチScをおいて、分割カバー体C11,C12の直径方向に対向してそれぞれ形成されている。即ち、図1図3、特に、図3に詳細に図示されているように、複数の嵌入組付け溝23a,23bを形成するために、複数の側板体25a,25bが前記ピッチScでもって、各分割カバー体C11,C12の内周面に対向して配置され、相上下する各側板体25a,25bの間に前記嵌入組付け溝23a,23bが形成される。各分割カバー体C11,C12に形成される各嵌入組付け溝23a,23bの内幅Wcは、各側板体25a,25bの肉厚(板厚)Tcと同一であって、前記ピッチScの半分である。よって、(Tc=Wc=Sc/2)の関係が成立し、雌ねじ駒体Eとの関係では、(Tc=Te,Wc=We,Sc=Se)となる。
【0036】
また、筒軸方向Qに沿って同一位置に、当該筒軸方向Qと直交する方向に沿って対向配置された前記側板体25a,25bと同一高さ位置に、前記駒体本体31における第2部分雌ねじ部F2 が形成された側の二つの平面33a,33bのいずれか一方を前端面26a1,26b1に当接させる奥板体26a,26bが配置され、当該各奥板体26a,26bにおける前記各側板体25a,25bの対向方向に沿った一端部には、駒体本体31の平面33bの部分に形成された嵌合突部44を部分嵌合させる嵌合溝24a,24bがそれぞれ形成されている。
【0037】
また、各分割カバー体C11,C12の直径方向から、当該各分割カバー体C11,C12の嵌入組付け溝23a,23bに、雌ねじ駒体Eの嵌入突部38を嵌入することで、相対的に、雌ねじ駒体Eの嵌入溝39に、各分割カバー体C11,C12の側板体25a,25bが嵌入されて、駒体本体31の背中合わせに対向している計3面の各平面32,33a,33bのいずれか一つの面が、各分割カバー体C11,C12の奥板体26a,26bの前端面26a1, 26b1に当接することで、各分割カバー体C11,C12の内部に、それぞれ同一形状の雌ねじ駒体Eが、筒軸方向Qに沿ってほぼ同一位置に配置された後に、各分割カバー体C11,C12を閉じると、上面が天壁部2で閉塞された筒状のカバー体C1 となる。これにより、一対の雌ねじ駒体Eが対向配置されて、内周面に部分雌ねじ部F1 (F2 )が形成された状態において、各雌ねじ駒体Eに形成されている部分雌ねじ部F1 (F2 )は、筒軸方向Qに沿ってボルトBのねじ山のピッチPの半分(P/2)だけずらす必要がある。ここで、「ボルトBのねじ山のピッチP」とは、当該部分雌ねじ部F1 (F2 )が螺着の対象としている複数種類のボルトBのピッチの「平均ピッチ」を指す。
【0038】
また、図1図2及び図4において、一方の分割カバー体C12の分割周壁部1bの下端の側板体25bと下端開口18との中間部に充填開口27が形成されており、当該充填開口27は、ビスの頭部の外観を有する閉塞板部28で閉塞されている。そして、ボルトBの突出端部Ba及びナットNと、これらを覆うカバー体C1 との間に形成される空間部のうち当該ナットNが配置されている内部空間29に充填材92を充填して、前記ボルトBの突出端部Ba及びナットNの腐食を確実に防止する場合には、前記閉塞板部28を取り外して形成された充填開口27から前記内部空間29に充填材92を充填すればよく、充填の必要がない場合は、充填開口27は,閉塞板部28で閉塞されたまま使用すればよい。
【0039】
そして、上記したカバー体C1 と一対一組の雌ねじ駒体Eを使用して、ボルトBの突出端部Baを、当該突出端部Baに対してカバー体C1 が軸方向にずれない状態で覆うには、以下のようにして行う。なお、図10は、一対の雌ねじ駒体Eの保持姿勢を模式的に説明するための図であるため、各分割カバー体C11,C12の側板体25a,25b及び奥板体26a,26bは、簡略表示してある。一対一組の雌ねじ駒体Eは、配置により、ボルトBの大きさに応じた計3種類の対向保持姿勢を選択できる。即ち、図10(a)のように、各駒体本体31の第1部分雌ねじ部F1 を対向させ、しかも背面側の平面33bの部分に形成された嵌合突部44が、各分割カバー体C11,C12の嵌合溝24a,24bに嵌合されるように配置すると、外径12mmのメートルねじのボルトB2 (M12)及び1インチに12のねじ山を有するウイットねじのボルトB5 (W1/2 )の双方に対して部分螺着可能となる。また、上記した第1姿勢から、第1部分雌ねじ部F1 が対面した状態を維持して、各雌ねじ駒体Eの上下面41を反転させると、図10(b)に示されるように、駒体本体31の背面側の平面33bが、分割カバー体C11,C12の奥板体26a,26bの前端面26a1,26b1に当接して、前記第1姿勢に対して各駒体本体31が近接することで、外径10mmのメートルねじのボルトB1 (M10)及び1インチに16のねじ山を有するウイットねじのボルトB4 (W3/8 )の双方に対して部分螺着可能な第2姿勢となる。更に、第1及び第2の各姿勢から、各駒体本体31の対面を反転させると、図10(c)に示されるように、駒体本体31の平面32が、各分割カバー体C11,C12の奥板体26a,26bの前端面26a1,26b1に当接することで、各第2部分雌ねじ部F2 が対面して、外径16mmのメートルねじのボルトB3 (M16)及び1インチに11のねじ山を有するウイットねじのボルトB6 (W5/8 )の双方に対して部分螺着可能な第3姿勢となる。
【0040】
このため、カバー体C1 で覆う対象のボルトBの大きさ及び当該ボルトBの突出端部Baの突出長に対応して、上記した第1〜第3の保持姿勢のいずれかを選択して、一対一組の各雌ねじ駒体Eを各分割カバー体C11,C12の内部に組み付けて収容する。即ち、第1〜第3の保持姿勢からボルトBの突出端部Baに対応した保持姿勢を選択して、当該保持姿勢となるように、ヒンジ連結された各分割カバー体C11,C12の内部に一体に組み付ける。図7図12に示される例は、M12のメートルねじのボルトB2 (M12)であって、当該ボルトB2 の突出端部B2aにナットNが二重に螺着され、雌ねじ駒体Eの下端が上段のナットNに最も近接するような位置に、各分割カバー体C11,C12に対して各雌ねじ駒体Eが組み付けられる。このため、各雌ねじ駒体Eの駒体本体31の両側面の各平面36,37に設けられた計3段(3個)の嵌入突部38のうち、上段から起算して2個の嵌入突部38が、各分割カバー体C11,C12に設けられた嵌入組付け溝23a,23bに嵌入されることで、各分割カバー体C11,C12の内部に、それぞれ雌ねじ駒体Eが組み付けられている。
【0041】
そして、基板面91aから突出したボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNをカバー体C1 で覆うには、以下のようにして行う。即ち、図11(a)に示されるように、基板面91aの上面において、ヒンジ連結された各分割カバー体C11,C12を最大に開いておき、この状態で、ヒンジ連結された各分割カバー体C11,C12の下端面21,22を基板面91aの上面を摺動させて、図11(b)に示されるように、一方の分割カバー体C12の収容開口10から内部に、前記ボルトBの突出端部Baが雌ねじ駒体Eの第1部分雌ねじ部F1 が形成された凹部34に収容されるようにして、前記ボルトBの突出端部Ba及びナットNを、当該分割カバー体C11の内部に収容させる。この状態で、図11(c)に示されるように、ボルトBの突出端部Ba及びナットの軸方向に沿った半分を収容している一方の分割カバー体C12に対して他方の分割カバー体C11をヒンジ回動させると、分割カバー体C12の分割周壁部1bにおける収容開口10に臨んだ部分に形成された上下一対の各係止突起11と、他方の分割カバー体C11の各被係止孔15とが互いに係止されて、各分割カバー体C11,C12が一体に組み付けられる。この状態では、図11(d)及び図12に示されるように、各分割カバー体C11,C12の分割周壁部1a,1bの第1開口端面3,4どうし、第2開口端面7,8どうし、及び分割天壁部2a,2bの第3開口端面16,17どうしが、それぞれ互いに重合壁(二重壁)構造で密着することで、周壁部1及び天壁部2の各切割り開口状の部分がシール状態で密着される。なお、図11(d)において、45,46は、それぞれカバー体C1 の周壁部1及び天壁部2の切割り線を示す。なお、図12において、91は、コンクリート基礎93の上面に配置された基板を示す。
【0042】
また、各駒体本体31の凹部34に形成された上下の各部分雌ねじ部F1 のうち下方の部分雌ねじ部F1 が、ボルトBの突出端部Baの雄ねじ部に部分螺着されるため、当該ボルトBの突出端部Baに対してカバー体C1 が外れることはない。更に、分割カバー体C12の分割周壁部1bに形成された閉塞板部28を除去して形成される充填開口27から、カバー体C1 の下半部に形成される内部空間に充填材92を充填すると、ボルトBの突出端部Ba及び当該突出端部Baに螺着されたナットNの腐食を一層確実に防止できる。なお、充填材92の充填の必要がない場合には、充填開口27は,閉塞板部28で閉塞されたままにしておけばよい。
【0043】
このため、図16及び図17に示されるようなキュービクル94を構成する金属製ボックス95の下端部の周縁には、アンダーカット状空間96が形成され、コンクリート基礎93に埋設されたボルトBの上端部は、前記アンダーカット状空間96に突出するように施工される。しかし、本発明に係るカバー体C1 によれば、前記ボルトBの突出端部Baは、その側方から分割カバー体C11,C12の内部に収容できるため、ボルトBの突出端部Baの直上に近い部分に、アンダーカット状空間96の天面が存在していて、当該ボルトBの突出端部Baの直上からは、カバー体を覆い被せることが不能な場合でも、当該突出端部Baを覆うことができる。
【実施例2】
【0044】
次に、図13図15を参照して、実施例2のカバー体C2 について説明する。実施例1のカバー体C1 は、一対の分割カバー体C11,C12がヒンジ連結された構成であるが、実施例2のカバー体C2 は、完全分離された一対の分割カバー体C21,C22が係止構造のみで一体化される構成である点が、カバー体C1 と異なるのみであるので、同等部には、カバー体C1 の説明で使用した符号に「’」を付して図示のみ行い、必要部分のみを説明する。
【0045】
カバー体C2 を構成する一対の分割カバー体C21,C22は、分割周壁部1a', 1b'の内周面に形成される側板体25a', 25b'及び当該各側板体25a', 25b'の間に形成される各嵌入組付け溝23a', 23b'の筒軸方向Qに沿った配置位置が、(P/ 2)の差を有して形成されている点を除いて、同一構造である。一対の分割カバー体C21,C22に一体に組み付けた場合に、切割り面の全周に亘って二重壁構造となるように、各分割カバー体C21,C22の端面の内側には、L字状の内壁部51と直線状の内壁部52とが形成され、当該内壁部51,52が形成されていない部分には、他方の分割カバー体C21(C22)の内壁部51,52が挿入配置可能なL字形及び直線状の凹部53,54が形成されている。
【0046】
また、分割周壁部1a', 1b'の端面には、一方の対角線方向に沿って被係止孔55が形成された被係止片56が突設されていると共に、当該端面の外側の平面状の部分には、他方の対角線方向に沿って係止突起57がそれぞれ形成されている。
【0047】
このため、図15に示されるように、一対の分割カバー体C21,C22の各嵌入組付け溝23a', 23b'を利用して、各分割カバー体C21,C22の内部に前記雌ねじ駒体Eを組み込んでおき、ボルトBの突出端部Ba及びナットNを軸方向に二分した一方を、一方の分割カバー体C21の内部に収容した状態で、当該分割カバー体C21に対して他方の分割カバー体C22を、基板面91aの上面を摺動させて、端面どうしを押圧すると、4つの各係止突起57と被係止孔55とを互いに係止させることで、一対の分割カバー体C21,C22は、内部にボルトBの突出端部Ba及びナットNが収容され、しかも前記突出端部Baの雄ねじ部の谷に、雌ねじ駒体Eに設けられた第1部分雌ねじ部F1 が部分螺着されることで、ボルトBの突出端部Baに対して筒軸方向Qに沿って配置位置がずれることなく、当該ボルトBの突出端部Ba及びナットNが覆われる。このため,上記したように、ボルトBの突出端部Baがアンダーカット状空間96に突出していても、完全二分割構造のカバー体C2 により前記突出端部Baを覆うことが可能となる。
【実施例3】
【0048】
図18及び図19には、本発明の実施例3のカバー体C3 が示されている。カバー体C3 は、ナットNを収容できる内径を有していて、上端が閉塞された円筒状のカバー体本体61に、ボルトB2 の外径よりも僅かに大きな幅を有するボルト挿入孔62が、下端開口に開放して当該カバー体本体61の軸心方向の全高に亘って形成された形状である。
【0049】
このため、図19(a)に示されるように、アンダーカット状空間96に突出しているボルトB2 の突出端部B2aの側方に配置されたカバー体C3 を水平方向に移動させて、そのボルト挿入孔62から内部にボルトB2 の突出端部B2aを挿入した後に、当該カバー体C3 を基板面91aまで下降させると、図19(b)に示されるように、ボルトB2 の突出端部B2a及びナットNの全体がカバー体C3 で覆われる。
【実施例4】
【0050】
図20(a)に示される実施例4のカバー体C4 は、ナットNを覆うリング体63と、ボルトB2 の突出端部B2aを覆うボルト部カバー体64とから成り、当該ボルト部カバー体64は、実施例3のカバー体C3 と同等の形状を有しており、前記リング体63とボルト部カバー体64とは、肉厚の段差構造により一体に嵌着される構造となっている。よって、ナットNの部分をリング体63で覆った後に、ボルトB2 の突出端部B2aの部分をボルト部カバー体64で覆って、当該ナットNとボルト部カバー体64とを嵌着により一体化させると、図20(b)に示されるように、カバー体C4 は、突出端部B2aの軸方向及び径方向の双方向に沿って外れることなく、当該突出端部B2aとナットNは、当該カバー体C4 により覆われる。なお、図中62’は、ボルト部カバー体64に設けられたボルト挿入孔を示す。
【0051】
また、特許請求の範囲の各請求項で使用されている用語との関係は、請求項1に使用の「開口」及び「開口閉塞部」は、実施例1においては、ヒンジ連結された一対の分割カバー体C11,C12の二分割された各分割周壁部1a,1bの開閉によりそれぞれ形成されるので、当該各分割周壁部1a,1bが対応する機能を果たしている。請求項3の「切割り開口」に関しても、ヒンジ連結構造になっている各分割周壁部1a,1bが開くことで収容開口10が形成されるので、当該収容開口10は、請求項3の「切割り開口」に相当する。
【0052】
また、上記した各カバー体C1 ,C2 は、アンダーカット状空間96に突出されたボルトBの突出端部Baのように、当該突出端部Baの直上からカバー体を覆い被せられない場合に、特に有効であるが、各カバー体C1 ,C2 は、当該突出端部Baが全方向に開放された空間部に突出しているような場面での使用も可能であり、各カバー体C1 ,C2 の内部に収容配置した雌ねじ駒体Eが当該突出端部Baに部分螺着されている場合には、ボルトBの突出端部Baに対して各カバー体C1 ,C2 が外れない利点もある。
【0053】
また、ボルトBの突出端部Baの突出長が短い場合には、雌ねじ駒体Eの最上段の嵌入突部38を、各分割カバー体C11,C12(C21,C22 )の下段の嵌入組付け溝23a,23bに嵌入させて、各分割カバー体C11,C12(C21,C22 )に対する雌ねじ駒体Eの配置位置を下げることで、対応できる。
【符号の説明】
【0054】
B:不特定のボルト
Ba :不特定のボルトの突出端部
1 〜B6 :特定のボルト
2a:特定のボルトの突出端部
1 〜C4 :カバー体
11,C12,C21,C22:分割カバー体
E:雌ねじ駒体(螺着部材)
1 :第1部分雌ねじ部
2 :第2部分雌ねじ部
P:複数のボルトの平均ピッチ
1:周壁部
1a,1b:分割周壁部(開口閉塞部)
5:ヒンジピン
10:収容開口(切割り開口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21