(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転仕切体の回転軸の中心を、当該回転仕切体の厚み方向の中心よりも庫外側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。以下、本実施形態として、6ドアタイプの冷蔵庫100を例に挙げて説明するが、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であれば、ドアの数は限定されない。また、以下では、
図1に示す方向を基準として説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫を示す外観斜視図である。
図1に示すように、冷蔵庫100は、冷蔵庫本体1に設けられる観音開き式の扉2,3と、扉2,3の開時と閉時とで姿勢を切り替える回転仕切体20と、回転仕切体20を案内するガイド部材50(
図2参照)と、を備えて構成されている。
【0011】
冷蔵庫本体1は、外箱10と内箱9(
図2参照)とを組み合わせたものであり、その間に発泡液を充填することで形成された発泡断熱材(発泡ウレタン)を設けて、断熱箱体を構成している。外箱10は、薄い鋼板を門型に折り曲げて形成された天板1aおよび左右側板1b,1cと、別部材で構成された背板(不図示)と、別部材で構成された底板(不図示)と、によって四角箱型に構成されている。
【0012】
扉2,3は、冷蔵庫本体1の正面の最上段に設けられている。また、扉2,3の下方に、製氷室の扉4と冷凍室上段の扉5とが左右に並んで設けられている。また、扉4,5の下方に冷凍室下段の扉6が設けられている。また、扉6の下方に野菜室の扉7が設けられている。
【0013】
扉2は、断熱扉である。扉2は、例えば、表面に設けられた外板2pと、外板2pの周縁に設けられた扉枠2qと、扉枠2qの裏面(背面)に設けられた内板2r(
図12参照)と、を備えて構成されている。また、扉2は、外板2pと扉枠2qと内板とで形成された空間に発泡液を充填することで形成された発泡断熱材(不図示)を備えている。なお、他の扉3〜7も扉2と同様にして構成される。
【0014】
扉2,3と冷蔵庫本体1とにより形成される空間に、冷蔵室2aが形成されている。扉4〜7は前後方向に引き出し可能に構成されている。そして、これら扉4〜7と冷蔵庫本体1とにより形成される空間に、それぞれ、製氷室、上段冷凍室、下段冷凍室および野菜室(いずれも図示しない)が形成されている。
【0015】
発泡断熱材は、硬質ウレタンフォームで形成されている。この硬質ウレタンフォームは、各扉2〜7の内側の空間、外箱10と内箱9(
図2参照)との間の空間内に注入したウレタンフォーム原液(発泡断熱材の原料液)を発泡させた後、硬化させて形成されたものである。ちなみに、ウレタンフォーム原液としては、例えば、ポリエーテルポリオールに、シクロペンタン、水などの発泡剤、さらには触媒、整泡剤などの助剤をプレミックスした液と、イソシアネート液とを混合した液体が挙げられる。
【0016】
図2は、本実施形態に係る冷蔵庫の右側冷蔵室扉を外した状態を示す斜視図である。
図2に示すように、扉3(
図1参照)の上部には上ヒンジ11が設けられ、扉3の下部には金属製の下ヒンジ12が設けられている。この下ヒンジ12は、冷蔵庫本体1に固定されるブラケット12aと、このブラケット12aから上方に向けて突出するヒンジ軸12bと、ブラケット12aに突出して形成されるカム部12cと、を有している。
【0017】
また、扉2の上部にも、同様に上ヒンジ(不図示)が設けられ、下部には金属製の下ヒンジ13(
図9参照)が設けられている。この下ヒンジ13は、前記した下ヒンジ12と左右対称形状であり、冷蔵庫本体1に固定されるブラケット13a(
図9参照)を有している。また、下ヒンジ13は、ブラケット13aから上方に向けて突出するヒンジ軸(不図示、
図2のヒンジ軸12bに相当するもの)と、ブラケット13aに突出して形成されるカム部13c(
図9参照)と、を有している。
【0018】
冷蔵庫本体1は、冷蔵室2aと製氷室および上段冷凍室とを断熱的に仕切る断熱仕切り15を備えている。この断熱仕切体15の前面に下ヒンジ12,13が固定されている。
【0019】
冷蔵室2a内は、冷蔵温度帯に設定され、冷蔵庫100の外部空間は外気温の状態にあり、回転仕切体の内部側が冷蔵温度であり、外側が外気温度となる。そのため、夏等の外部空間が高温の場合には、庫内と庫外との温度差が大きく、回転仕切体が断熱構造または外気温に近い温度でない場合、回転仕切体の露出部周りに露付きが発生する。
【0020】
扉2は、上ヒンジおよび下ヒンジ13(
図9参照)により、冷蔵庫本体1の左端を支点として紙面手前方向に回転可能になっている。さらに、扉3は、上ヒンジ11および下ヒンジ12により、冷蔵庫本体1の右端を支点として紙面手前方向に回転可能になっている。
【0021】
また、扉2の裏側(庫内側)には、食品を収納する複数のドアポケット2b,2c,2dが設けられている。このドアポケット2b,2c,2dは、合成樹脂で形成され、扉2の裏面から後方(庫内側)に突出して保持されている。
【0022】
また、冷蔵庫100は、扉2と扉3との間に形成される隙間を断熱する回転仕切体20と、この回転仕切体20を案内するガイド部材50と、を備えている。
【0023】
図3(a)は左扉の斜視図、(b)は回転仕切体を示す斜視図である。なお、
図3(a)は、冷蔵庫本体1(
図1参照)から扉2を外した状態である。また、
図3(a)は、回転仕切体20が起立した状態(起立姿勢)を示している。
図3(a)に示すように、回転仕切体20は、扉2の側面に回動自在に連結され、扉2とともに動作する。また、回転仕切体20は、扉2を閉じたときに扉2に対して起立し(突出し)、扉2と扉3(
図1参照)との間に形成される隙間を断熱する。また、扉2を開く際には、回転仕切体20が扉2側に倒れて収納され(
図1および
図2参照)、回転仕切体20が扉3と接触しないようになっている。
【0024】
また、回転仕切体20は、扉2の高さ方向の長さよりも短く形成されている。また、回転仕切体20の上端20aは、扉2の上端2sよりも低い位置に設定されている。また、回転仕切体20の下端20bは、扉2の下端2tよりも高い位置に設定されている。
【0025】
また、扉2の裏面には、外周に沿ってパッキン8が設けられている。このパッキン8は、回転仕切体20が起立姿勢となったときに回転仕切体20と吸着するようになっている。
【0026】
図3(b)に示すように、回転仕切体20は、鉛直方向(上下方向)に沿って長尺状に形成された扁平な板形状である。また、回転仕切体20の上端面には、回転仕切体20を回動させる際の案内となる案内溝21が形成されている。この案内溝21は、湾曲した形状を呈し、上面と一側面が開放した形状を有している。また、案内溝21の一側面側(入口側)の開口が広く形成され、奥側が入口側よりも狭く形成されている。
【0027】
図4は、回転仕切体を回動させるガイド部材およびその周辺を示す斜視図である。
図4に示すように、冷蔵室2a内(庫内)には、回転仕切体20を回動させるガイド部材50が設けられている。このガイド部材50は、案内溝21の湾曲した形状に沿った湾曲した形状を有し、案内溝21内に進退自在に構成されている。このガイド部材50が外側から案内溝21内に入り込むことで、扉2の閉動作とともに回動し、回転仕切体20が扉2から起立した状態(起立姿勢)となる。また、ガイド部材50が案内溝21から抜け出ることで、扉2の開動作とともに回動し、回転仕切体20が扉2側に倒れた状態(倒れ姿勢)となる。
【0028】
図5は、回転仕切体の分解斜視図である。なお、
図5では、扉2が閉じて回転仕切体20が起立したときの向きを基準として説明する。
図5に示すように、回転仕切体20は、ケース22,23と、マグネット24と、ヒータ25と、断熱材26、補強部材27と、樹脂シート28と、姿勢切替保持部材31と、ヒンジ部材32と、を有して構成されている。
【0029】
ケース22,23は、ポリプロピレンなどの合成樹脂で形成され、互いに組み合わせて、中空板形状を構成している。ケース22は、前側(庫外側)に位置し、ケース23は後側(庫内側)に位置している。
【0030】
ケース22は、扉2に沿って鉛直方向(上下方向)に延びる正面部22aと、この正面部22aの幅方向の両端において直交する方向(後方)に延びる側面部22b,22cと、を有して、略コ字状に形成されている。
【0031】
正面部22aは、平坦な形状が長手方向の一端から他端にかけて形成される平面部22a1と、この平面部22a1と隣り合って前方に膨らみを有して形成される湾曲面部22a2と、を有している。
【0032】
ケース23は、扉2に沿って鉛直方向(上下方向)に延びる背面部23aと、この背面部23aの幅方向の両端において直交する方向(前方)に延びる側面部23b,23cと、を有して、略コ字状に形成されている。また、ケース23は、長手方向の下端部の底面に底面部23dが形成されている。
【0033】
背面部23aは、平坦な形状が長手方向の一端から他端にかけて形成される平面23a1を有している。
【0034】
ケース23の下部には、後記する姿勢切替保持部材31が支持される台座部23eが形成されている。この台座部23eの上面には、円形の突起部23e1が形成されている。また、ケース23には、台座部23eの高さ位置に切欠部23e2が形成されている。
【0035】
また、ケース23の上部には、ヒンジ部材32を収容する収容部23fが形成されている。また、ケース23の内壁には、複数の爪部23gが長手方向に間隔を空けて形成されている。また、ケース23の下部には、ねじ29aが挿通されるねじ挿通孔23hが形成されている。また、ケース23の上部には、ねじ29bが挿通されるねじ挿通孔23iが形成されている。また、ケース23の上端には、案内溝21が形成された部材を固定する固定部材23jが形成されている。この固定部材23jには、ねじ29cが挿通されるねじ挿通孔23j1が形成されている。
【0036】
マグネット24は、扉2に設けられたパッキン8(
図3(a)参照)を着磁させる着磁部24aと、扉3に設けられたパッキン8(
図3(a)参照)を着磁させる着磁部24bと、を有して構成されている。着磁部24aは、長手方向に3分割して形成されている。着磁部24a,24bは、例えば、いずれも、パッキン8(
図3(a)参照)が設けられる側がN極に設定され、裏側がS極に設定されている。
【0037】
ヒータ25は、結露防止用ヒータ(線状の加温部材)で形成され、ケース22の内面に粘着テープ等で取着されている。ヒータ25は、ケース22の長手方向のほぼ全面に配置されている。また、ヒータ25の表面はアルミ箔25aによって覆われている。アルミ箔25aは、ヒータ25の熱を拡散してケース22に伝熱する機能を有する。なお、ヒータ25は、リード線25bを介して回転仕切体20の外部に引き出され、冷蔵庫本体1(
図1参照)の天板1a(
図1参照)に設けられた制御基板(不図示)と接続されている。
【0038】
断熱材26は、ポリスチレンフォーム(いわゆる発泡スチロール)などで形成され、ポリスチレンを主原料に発泡成形したものを略板状にカットしたものである。また、断熱材26には、後記する姿勢切替保持部材31およびヒンジ部材32が配置される部分に切欠部26a,26bが形成されている。また、断熱材26には、ねじ29a,29bが挿通される貫通孔26c,26dが形成されている。
【0039】
なお、断熱材26としては、ポリスチレンフォームなどの発泡プラスチックに限定されるものではなく、真空断熱材を配置してもよい。真空断熱材は、例えば、グラスウールなどの芯材をガスバリア性のアルミニウムフィルムからなる外被材で覆って内部を減圧封止することで得られる。
【0040】
補強部材27は、鉄板をL字状(断面視略L字状)に折り曲げて形成したものであり、ケース22,23を補強して、剛性を高めるものである。また、補強部材27は、ケース22内において上端から下端まで延びて形成されている。また、補強部材27は、ケース23内に収まるように小さく形成されている。すなわち、補強部材27は、平面部23a1の内面に接する平面部27aと、側面部23bの内面に接する平面部27bと、を有している。
【0041】
樹脂シート28は、ポリエチレンフォームによって上下方向に細長く板状に形成され、ケース23の樹脂よりも熱を伝えにくいもので構成されている。また、樹脂シート28をケース23の表面に貼り付けることで、ケース23に形成された孔などを覆い隠すことができる。
【0042】
姿勢切替保持部材31は、回転仕切体20を、扉2(
図3(a)参照)の閉時に起立させる姿勢(起立姿勢)と、扉2の開時に倒れる姿勢(倒れ姿勢)との間で各姿勢を保持する力を発生させる機構を有している。なお、起立させる姿勢(起立姿勢)とは、回転仕切体20の先端を扉2の側面に対して直交する方向(扉3側の方向)に向ける姿勢である。倒れる姿勢(倒れ姿勢)とは、回転仕切体20の先端を扉2の側面と平行な方向である庫内側に向ける姿勢である。
【0043】
ヒンジ部材32は、回転仕切体20を扉2に回動自在に支持するものであり、回転仕切体20の上部に設けられている。また、ヒンジ部材32は、軸部32aと、ケース22に固定される軸受部32bと、軸部32aを扉2に固定する固定板32cと、を有している。
【0044】
図6は、姿勢切替保持部材の分解斜視図である。
図6に示すように、姿勢切替保持部材31は、圧縮ばね33と、圧縮ばね33を支持するばね支持部34と、ばね支持部34と噛み合う軸部材35と、を有して構成されている。
【0045】
圧縮ばね33は、鉛直方向(上下方向)に巻回されたコイルばねによって、鉛直方向に伸縮するように構成されている。よって、圧縮ばね33は、いわゆるねじりばねとは異なるものである。
【0046】
ばね支持部34は、圧縮ばね33の下端を支持する環状の支持面34aと、支持面34aの径方向内側から圧縮ばね33内に突出する円柱状の突出部34bと、を有している。突出部34bの上面には、鉛直方向(上下方向)に貫通する、十字形状の貫通孔34cが形成されている。
【0047】
また、ばね支持部34は、支持面34aと反対側の下面に、軸部材35と噛み合う歯部34dが形成されている。この歯部34dは、円周方向に沿って4つの山型の歯34d1が連続して形成されている。この歯34d1は、いずれも同じ形状である。この歯34d1は、頂点34d2から周方向の一方に延びる斜面34d3と、他方に延びる斜面34d4と、が形成されている。斜面34d3は、斜面34d4よりも周方向に長く形成されている。また、ばね支持部34は、径方向外側に突出するストッパ34eが形成されている。
【0048】
軸部材35は、圧縮ばね33の伸縮動作によって回転仕切体20を回動させるものである。また、軸部材35は、円筒部35aと、この円筒部35aの上端面に形成される歯部35bと、円筒部35aを扉2(
図3(a)参照)に固定する固定部35cと、を有して構成されている。
【0049】
円筒部35aは、ばね支持部34と同じ外径を有している。また、円筒部35aは、ばね支持部34と同じ内径を有し、ばね支持部34の歯部34dと同じ壁厚(径方向の厚み)で構成されている。
【0050】
歯部35bは、円周方向に沿って4つの山型の歯35b1が連続して形成されている。この歯35b1は、いずれも同じ形状であり、頂点35b2から周方向の一方に延びる斜面35b3と、他方に延びる斜面35b4と、が形成されている。斜面35b3は、斜面35b4よりも周方向に長く形成されている。
【0051】
固定部35cは、四角板状の固定板35c1と、この固定板35c1と円筒部35aとを接合する接合部35c2と、を有している。固定板35c1には、軸部材35を扉2(
図3参照)にねじ固定するためのねじ挿通孔35c3が形成されている。また、固定板35c1に直交する平面視において、ねじ挿通孔35c3と軸部材35とが重ならないように配置されている。また、接合部35c2は、固定板35c1の下端かつねじ挿通孔35c3とは反対側の角部に位置している。
【0052】
図7は、回転仕切体の組立後の状態を示す一部切欠斜視図である。なお、
図7は、圧縮ばね33などの内部構造を視認できるように一部を切り欠いて図示している。
図7に示すように、円筒部35aが、ケース23に形成された台座部23e(
図5参照)に支持されている。また、台座部23eの上面に形成された突起部23e1(
図5参照)は、円筒部35aの下端と嵌合して回転自在に支持されている。
【0053】
また、軸部材35の歯部35bは、ばね支持部34の歯部34dと噛み合うように構成されている。また、圧縮ばね33は、ばね支持部34を鉛直方向下方に常時付勢している。
【0054】
また、圧縮ばね33の上方から、十字形状の貫通孔34cに向けてキャップ部36が取り付けられている。このキャップ部36は、圧縮ばね33の上方に位置する略円形の天板36aと、この天板36aの外周縁部から下方に向けて圧縮ばね33、ばね支持部34および軸部材35を囲むように延びる囲み部(スカート部)36bと、を有している。また、キャップ部36は、天板36aの下面から圧縮ばね33の内側を通って、十字形状の貫通孔34cに挿入される支持部36cを有している。
【0055】
囲み部36bは、ストッパ34eが突出する切欠き36dが形成されている。キャップ部36はケース23の内部に固定されている。よって、圧縮ばね33およびばね支持部34は、キャップ部36内で上下方向にのみ動作するように構成されている。すなわち、
図7に示す状態から、軸部材35が回転することで、圧縮ばね33がばね支持部34とともに上方に移動し、軸部材35がさらに回転することで、圧縮ばね33がばね支持部34とともに下方に移動する。
【0056】
図8は、姿勢切替保持部材の動作を示し、(a)は閉時、(b)は開閉切替時、(c)は開時である。なお、
図8(a)の閉時とは、扉2が閉じている状態を意味するのではなく、回転仕切体20の倒れ姿勢を意味している。また、
図8(c)の開時とは、扉2が開いている状態を意味するのではなく、回転仕切体20の起立姿勢を意味している。また、
図8(a),(b),(c)では、ばね支持部34および軸部材35の噛み合わせ部分を展開図で示している。
【0057】
図8(a)に示すように、圧縮ばね33(
図6参照)の付勢力(弾性復帰力)を受けながら、ばね支持部34と軸部材35とが噛み合っている。すなわち、ばね支持部34の歯34d1の斜面34d3と軸部材35の歯35b1の斜面35b3とが全面で接している。また、ばね支持部34の歯34d1の斜面34d4と軸部材35の歯35b1の斜面35b4とが全面で接している。
【0058】
また、歯34d1は、例えば、斜面34d3が角度αに設定され、斜面34d4が角度βに設定されている。角度αは、例えば、63°に設定される。角度βは、例えば、27°に設定される。なお、これらの角度は、一例であって本実施形態に限定されるものではない。
【0059】
扉2が閉じられる手前において、回転仕切体20の案内溝21(
図4参照)が冷蔵庫本体1の庫内天井に設けられたガイド部材50に挿入される。これにより、回転仕切体20が回転動作を開始する。このとき、
図8(a)に示すように、軸部材35がR1方向(図示左方向)に移動(回動)する。これにより、ばね支持部34は、軸部材35の動作によって、圧縮ばね33(
図7参照)の弾性力を受けながらR2方向(図示上方向)に持ち上げられる。また、歯部35bは、斜面35b3と、ばね支持部34の斜面34d3とが面接触かつ接触面積が減少しながら移動(回動)する。
【0060】
図8(b)に示すように、軸部材35が角度α回動すると、軸部材35の歯部35bの頂点35b2と、ばね支持部34の歯部34dの頂点34d2とが接する。この状態は、ばね支持部34が最も持ち上げられた状態であり、圧縮ばね33が最も縮んだ状態である。つまり、
図8(b)に示す状態が、圧縮ばね33の圧縮力が最大のときである。
【0061】
また、
図8(b)の状態において、軸部材35がさらにR3方向(図示左方向)に移動(回動)する。これにより、ばね支持部34の歯34d1の斜面34d4と、軸部材35の歯35b1の斜面35b3とが面接触かつ接触面積が拡大しながら移動(回動)する。この場合、軸部材35は、圧縮ばね33(
図7参照)の弾性力(弾性復帰力)を受けながら移動(回動)する。
【0062】
図8(c)に示すように、
図8(b)に示す状態から角度β回動すると、ばね支持部34と軸部材35とが全体で噛み合う。すなわち、ばね支持部34の歯34d1の斜面34d3と軸部材35の歯35b1の斜面35b3とが全面で接する。また、ばね支持部34の歯34d1の斜面34d4と軸部材35の歯35b1の斜面35b4とが全面で接する。また、この状態において、軸部材35は、圧縮ばね33によって付勢され、歯34d1と歯35b1との噛み合いが解除されることがない。つまり、回転仕切体20を扉2から起立した状態を保持でき、扉2が不用意に開くことがない。
【0063】
これにより、回転仕切体20が扉2に対して起立姿勢、換言すると、扉2の側面に対して直交する方向に起立する。また、
図8(c)に示す状態において、つまり、扉2を全閉状態から開く方向に動作させる場合には、軸部材35が
図8(c)の状態から図示右方向に移動(回動)する。そして、回転仕切体20が角度β回転すると、
図8(b)に示すように、頂点34d2と頂点35b2とが当接し、圧縮ばね33の圧縮力が最大となる。そして、回転仕切体20が
図8(b)の状態からさらに角度α回転すると、
図8(a)に示すように、圧縮ばね33の弾性力を受ける。この弾性力を受けながら、ばね支持部34の歯34d1の斜面34d3,34d4と軸部材35の歯35b1の斜面35b3,35b4とが全面で噛み合う。これにより、回転仕切体20が倒れて、扉2側に収納された(倒れた)状態となる。この状態において、軸部材35は、圧縮ばね33によって付勢されているので、歯34d1と歯35b1との噛み合いが解除されることがない。つまり、回転仕切体20を扉2側に倒れた状態で保持でき、扉2が開いた状態において、回転仕切体20が起き上がること(起立姿勢となること)がない。
【0064】
このように、ばね支持部34に対して、軸部材35が両方向に交互に回動することで、回転仕切体20を起立した状態(起立姿勢)と倒れた状態(倒れ姿勢)との間で交互に切り替えることができ、またそれぞれの姿勢を保持することができる。
【0065】
図9は、クローザの動作を示し、(a)は左側冷蔵室扉の閉開始点、(b)はクローザ最大変形時、(c)は圧縮ばねの最大圧縮力の作用時、(d)は左側冷蔵室扉の完全閉時である。
図9(a)に示すように、クローザ40は、合成樹脂製であり、下ヒンジ13に回転自在に支持されている。すなわち、クローザ40は、ヒンジ軸(不図示)を覆うように設けられたヒンジ軸受41によって下ヒンジ13に支持されている。また、クローザ40は、ねじ挿通孔42を有し、このねじ挿通孔42を介して扉2の下面にねじ固定されている。よって、クローザ40は、扉2と一体に動作するようになっている。
【0066】
また、クローザ40は、ねじ挿通孔42を挟んでヒンジ軸受41とは反対側に、フック部材43が形成されている。このフック部材43は、平面視において、鉤状(略U字状)に形成されている。換言すると、フック部材43は、カム部13cを巻き込む形状を有している。
【0067】
図9(a)に示すように、クローザ40のフック部材43は、扉2が開いた状態から閉じる方向に操作され、扉2の開き角度がθ1のときに、カム部13cに接触するようになっている。なお、角度θ1は、左右方向に対して傾斜する角度であり、例えば、12.74°に設定される。そして、扉2が閉じる方向にさらに押されると、フック部材43の先端が弾性変形しながら、カム部13cの表面を摺動する。つまり、この状態では、扉2から手を離すことにより、フック部材43の弾性復帰力によって、扉2が開く方向に動作する。
【0068】
そして、
図9(b)に示すように、扉2の開き角度がθ2のときに、フック部材43(クローザ40)の変形が最大になる。なお、角度θ2は、例えば、5°に設定される。つまり、扉2を閉めるときには、
図9(b)に示す状態のときに扉2を閉じる動作が重くなる。また、
図9(b)に示す状態を境にして、扉2の開閉力が切り替わる。
【0069】
そして、
図9(c)に示すように、扉2の開き角度がθ3のときに、
図8(b)に示す状態となるように設定されている。なお、角度θ3は、θ2より小さく設定され、例えば、2°に設定される。この状態では、フック部材43が最大変形状態を越えているので、扉2から手を離すことにより、扉2が閉じる方向に動作し、
図9(d)に示す状態に至る。
【0070】
また、扉2を
図9(d)に示す全閉の状態から開く場合には、フック部材43とカム部13cとの関係が、
図9(c)、
図9(b)、
図9(a)の順に変化する。つまり、
図9(b)に示す状態(フック部材43が最大変形状態)を境にして、
図9(b)の手前側では、扉2が閉じる方向の力が発生し、
図9(b)を越えた側では、扉2が開く方向の力が発生する。
【0071】
ところで、前記した回転仕切体20では、
図8(b)で示す状態のときに、圧縮ばね33の圧縮力が最大になる。つまり、扉2を開閉する際に、回転仕切体20が
図8(b)に示す状態のときに、扉2の開閉動作が最も重くなる。そこで、本実施形態では、クローザ40の最大変形となる状態(
図9(b)の角度θ2)と、圧縮ばね33の圧縮力の最大値(
図8(b)参照)とが重ならないように構成したものである。
【0072】
また、本実施形態では、扉2を全閉状態(
図9(d)参照)から開ける場合において、クローザ40の最大変形となる状態(
図9(b)参照)の手前で、圧縮ばね33の圧縮力が最大値(
図8(b)参照)となるように構成したものである。
【0073】
これにより、扉2を全閉状態から開ける際、先に圧縮ばね33の圧縮力が最大値(
図8(b)参照)となり、この状態を越えることで、圧縮ばね33の弾性力(ばねが延びる力)を受けながら回転仕切体20が回動する。その後、クローザ40の最大変形状態(
図9(b)参照)となる。このように、圧縮ばね33の圧縮力の最大値とクローザ40の最大変形状態とが重ならず、かつ、扉2を開ける際にクローザ40が最大変形する手前で圧縮ばね33の圧縮力が最大値となる。このようにすることで、扉2を開ける動作を軽くできる。なお、扉2を閉じる場合には、動作が重くなる。しかし、扉2のドアポケット2b,2c,2dに食品等が多く収納されているときには、扉2を閉める際の食品が持っている力によって扉2が閉まる方向に動作するので、扉2が閉まり易くなる。
【0074】
なお、前記とは逆に、扉2を閉める際に、クローザ40が最大変形する手前で圧縮ばね33の圧縮力が最大となるようにしてもよい。これにより、扉2を閉める動作を軽くできる。
【0075】
図10は、クローザの位置と回転仕切体の角度との関係を示す図である。なお、
図10において、破線は、冷蔵庫本体1の前面と左側面を示している。また、二点鎖線L1とL2は互いに平行である。
図10に示すように、クローザ40と回転仕切体20の位置関係は、クローザ40の開き角度がθ3のときに、回転仕切体20の傾き角度がβ(
図8(b)の状態)となるように設定されている。この傾き角度は、二点鎖線L1と平行な二点鎖線L2と、回転仕切体20のケース22の平面部22a1とが成す角度である。
【0076】
このように、扉2を開く場合には、クローザ40が最大変形(開き角度θ2)する手前の開き角度θ3のときに、回転仕切体20の傾き角度がβとなる(圧縮ばね33の圧縮力が最大値となる)。
【0077】
図11(a)は本実施形態の回転仕切体の断面図、(b)は比較例の回転仕切体の断面図である。
ところで、
図11(b)の比較例に示すように、鉄板102にヒータ103を貼り付けた回転仕切体100では、鉄板は伝熱性が高いので、鉄板全体を温めてしまう。実際に冷やす必要がある部分は、扉2と扉3との間に形成される隙間である。庫内側の冷やされた空気と、庫外側の温かい空気とが交わる点が、一番結露する可能性があるので、その部分を結露させないために温める必要がある。そこで、扉2と扉3の間だけを温めればよいが、
図11(b)に示すように、鉄板102を設けた回転仕切体100の場合、鉄板102の全体を温めてしまうので、余分な電力が必要になる。また、回転仕切体100は、庫内側から冷やされると、冷たい熱が伝わるが、一方でヒータ103の熱で暖められ、冷やしているのか、温めているのかわからない領域が生じる。冷たい熱と温かい熱が互いに引っ張られ、ヒータ103に与える電力が増加する。
【0078】
そこで、本実施形態では、
図11(a)に示すように、回転仕切体20を、両方とも合成樹脂製のケース22,23によって構成したものである。このように、合成樹脂製のケース22,23にすることで、熱が回り込む距離が長くなるので、熱が伝わりにくくなり、ヒータ25の消費電力を抑えることができる。
【0079】
また、全体が樹脂製のケースで構成された回転仕切体では、鉛直方向に長く形成される形状であるため、庫内と庫外の温度差によって、樹脂が熱収縮で反り始めることが予想される。つまり、庫内側では冷たい空気によって樹脂が縮む方向に変形し、庫外側では、温かい空気によって樹脂が伸びる方向に変形する。例えば、庫外側の樹脂量が多いケースでは、ケースが外側に膨らむように反ることが予想され、これによってパッキンとの着磁が損なわれ易くなる。この場合、回転仕切体に鉄板を用いて強度を高めることで対応できるが、鉄板の厚みを増すと、鉄板のマス量が増えるので、ヒータの容量が増える。
【0080】
そこで、本実施形態では、
図11(a)に示すように、回転仕切体20を、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のケース22,23によって外郭を構成している。また、回転仕切体20は、ケース22の断面積A1と、ケース23の断面積A2とが、ほぼ同じになるように構成されている。このように、厚み方向の中心で2つに分けたケース22,23にすることで、ケース22,23の断面積A1,A2をほぼ同じにできる。これにより、庫外側でのケース22の伸びと庫内側でのケース23の縮みが均等になり(互いに変形を相殺させる関係となり)、回転仕切体20の反りを抑制することができる。なお、ケース22,23を、異種素材ではなく、ポリプロピレンなどの同一素材にすることで、ケース22,23の伸び縮みのバランスが取り易くなる。
【0081】
また、
図11(a)に示すように、ケース22の幅方向の一端(図示左端)には、庫内側に向けて平面状の当接面22sが形成されている。また、ケース22の幅方向の他端(図示右端)には、庫内側に向けて平面状の当接面22tが形成されている。これら当接面22sと当接面22tは、同一平面状に形成されている。また、ケース22の幅方向の他端近傍には、当接面22tよりも庫内側に向けて突出する凸部22uが形成されている。
【0082】
また、ケース23の幅方向の一端(図示左端)には、庫外側に向けて平面状の当接面23sが形成されている。また、ケース23の幅方向の他端(図示見ん技端)には、庫外側に向けて平面状の当接面23tが形成されている。これら当接面23sと当接面23tは、同一平面状に形成されている。また、ケース23の他端近傍には、前記凸部22uが嵌合する凹部23uが形成されている。
【0083】
このように、ケース22とケース23は、当接面22s,22tと当接面23s,23tとが面同士で接して、組み付けられるように構成されている。換言すると、ケース22とケース23を組み合わせる際の接触部は、平面構造となっている。これにより、ケース22とケース23とを組み合わせたときに、冷気や外気により変形し始めたとしても、平面構造(当接面22s,22t,23s,23t)によって変形力を受け止めることができ、ケース22,23の反りを抑制することができる。
【0084】
また、
図11(a)に示すように、回転仕切体20は、ケース22の平面部22a1の裏面側に、着磁部24a,24bが互いに離間して配置されるように構成されている。この着磁部24aと着磁部24bとの間にヒータ25が位置している。着磁部24a,24bと対向する平面部22a1がパッキン8(
図4参照)が吸着する面となっている。
【0085】
断熱材26は、ケース22,23の内部の着磁部24a,24b、ヒータ25および後記する補強部材27を逃げるように、またケース22,23内の形状に沿うように切り欠かれて形成されている。また、断熱材26は、ケース22,23内において密に配置されている。
【0086】
補強部材27は、断面視L字状に形成された鉄製の部品(鉄板)であり、扉2を閉じたときの庫内側に位置するケース23の角部に配置されている。また、補強部材27は、背面部23aの幅よりも十分に短く形成され、側面部23bと対向して形成されている。また、補強部材27は、ケース23内に収まるように小さく形成されている。また、補強部材27は、ヒータ25から離れた位置に配置されている。
【0087】
ところで、鉄板は熱を伝え易い部品であるが、本実施形態では、補強部材27をヒータ25から離れた位置に配置したので、庫内側にヒータ25の熱が伝わりにくくなる。また、ケース22,23は、軸(回転中心O)を介して固定されるが、この軸側ではケース22,23は変形しにくい。本実施形態では、補強部材27を軸(回転中心O)から離れた位置(変形し易い側)に配置したので、その変形し易い領域を補強することができる。
【0088】
樹脂シート28は、ケース23の背面部23aに貼り付けられる。また、樹脂シート28は、ケース22,23の材質よりも熱を伝えにくいポリエチレン樹脂などで形成されている。また、樹脂シート28は、着磁部24a,24bと前後方向(庫内庫外方向)において重なるように側面部23b側に偏って配置されている。このような樹脂シート28を設けることにより、冷気が一番最初に当たる部分であるケース23に該冷気が当たりにくくなっている。
【0089】
図12は、左側冷蔵室扉の回転軌跡を示す断面図である。なお、二点鎖線は、ドアポケット2dの回転軌跡R10を示している(他のドアポケット2b,2cも同様の回転軌跡を有している)。
図12に示すように、回転仕切体20は、内板2rから庫内側に断面視角(つの)状に突出して形成された突条部2r1に固定板35c1を介して取り付けられている。また、回転仕切体20の回転中心Oは、回転仕切体20の厚みTの中心T0よりも前側に位置している。これにより、扉2の開時に、回転中心Oが飛び出た厚み分回転仕切体20が内側(突条部2r1側)に寄るので、回転仕切体20の回転軌跡を狭くできる。したがって、回転仕切体20を回転軌跡R10内に収めることができる。
【0090】
図13は、左側冷蔵室扉の内側におけるパッキンの動作説明図を示し、(a)はパッキンが吸い付く直前、(b)はパッキンが吸い付いた後である。なお、右側の扉3の構造は、左側の扉2の構造と同様であるので、扉3の説明については省略する。
図13(a)に示すように、パッキン8は、扉2の内板2rに形成された凹部2r3に嵌合して保持されている。また、パッキン8は、庫内側の先端に断面視において長方形状のマグネット8aが収納されている。なお、マグネット8aは、着磁部24aと吸着できるように極性が設定されている。
【0091】
また、パッキン8は、マグネット8aを収容する矩形状の収容部8cを有している。この収容部8cの回転仕切体20と対向する壁部8bは、マグネット8aと同様にして傾斜している。また、壁部8bは、扉3とは逆方向に該壁部8bと平行に延びるヒレ部8b1を有している。
【0092】
扉2が閉じられると、回転仕切体20が二点鎖線で示す状態から実線で示す状態に回動する(
図13(a)参照)。このとき、回転仕切体20が扉2と扉3との間の隙間Sを塞ぐように倒れた(起立した)直後は、マグネット8aと回転仕切体20との間に隙間S10が形成されている。また、回転仕切体20が実線のように倒れると、ケース22の平面部22a1によってヒレ部8b1が押される。それがきっかけとなって着磁部24aによってマグネット8aが吸い寄せられて、回転仕切体20とパッキン8とが吸着し、
図13(b)に示す状態に至る。
【0093】
これまでの冷蔵庫では、パッキンのマグネットを回転仕切体と平行か、あるいは回転仕切体側に持ち上げておくことが一般的であった。このため、扉2を閉じる際に、回転仕切体が隙間Sを塞ぐ方向に倒れる際、回転仕切体が完全に倒れる手前において、マグネットが回転仕切体に吸い寄せられ、回転仕切体とパッキンとが吸着していた。その場合、パッキンのマグネットと、回転仕切体内の着磁部とがずれて吸着したり、パッキンが伸びた状態で吸着して、パッキンに負荷がかかった状態で扉2が閉まるおそれがあった。本実施形態では、
図13(a),(b)に示すように、マグネット8aの位置をこれまでとは逆向き(回転仕切体20から離れる側に傾けて)に配置する。これにより、回転仕切体20が完全に倒れてからパッキン8のマグネット8aが回転仕切体20の着磁部24aと吸着する。よって、マグネット8aと着磁部24aとがずれて吸着したりすることがなく、またパッキン8に負荷がかかった状態で扉2が閉まることもないため、マグネット8aと回転仕切体20との間に隙間が生じることを抑制でき、冷蔵室2aからの冷気漏れを抑制することができる。
【0094】
図14は、左側冷蔵室扉の外側におけるパッキンの動作説明図である。
図14に示すように、扉2の外側に位置するパッキン8も、前記と同様に、内板2rに形成された凹部2r3に保持されている。また、扉2が閉じる直前において、パッキン8は、マグネット8aが側板1cの前面1d(平面部)に対して傾斜するように配置されている。また、パッキン8は、ヒレ部8b1を有している。扉2が閉じると、ヒレ部8b1が前面1dによって押圧されることで、マグネット8aが持ち上げられ、マグネット8aが前面1dの鉄板に吸着する。この場合も、
図13(a),(b)で説明した場合と同様に、パッキン8に負荷がかかった状態で扉2が閉まることがない。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫100は、冷蔵庫本体1に設けられる観音開き式の扉2,3と、扉2の閉時に起立する起立姿勢と扉2の開時に倒れる倒れ姿勢との間において回転動作する回転仕切体20と、冷蔵庫本体1に設けられ、回転仕切体20を起立姿勢と倒れ姿勢とに案内するガイド部材50と、を備える。この回転仕切体20は、鉛直方向に延在して配置されるケース22,23と、鉛直方向に伸縮する圧縮ばね33と、圧縮ばね33の伸縮動作によって、ケース22,23を起立姿勢と倒れ姿勢との間で切り替えて姿勢を保持する姿勢切替保持部材31と、を備える(
図5ないし
図7参照)。これによれば、圧縮ばね33を使用することで、ねじりばねのように回転仕切体20の断熱構造を削る必要がないので、回転仕切体20の断熱性を向上することができる。また、圧縮ばね33を含む姿勢切替保持部材31をケース22,23内に収納することができるので、外観(見た目)を損なうこともない。また、圧縮ばね33を使用することで、ねじりばねに比べて、繰り返し強度が強いので、長寿命な回転仕切体20を実現できる。
【0096】
また、本実施形態では、冷蔵庫本体1に設けられて扉2を開閉自在に支持する下ヒンジ13と、下ヒンジ13と扉2との間に設けられたクローザ40と、を備える。扉2の開時に、クローザ40が下ヒンジ13に対して最大変形する手前(
図9(c)参照)で圧縮ばねの圧縮力が最大となるように設定する(
図8(b)参照)。これによれば、扉2を開ける方向に操作する場合、扉2を開ける動作が軽くなり、扉2が開け易くなる。
【0097】
また、本実施形態では、扉2の閉時に、庫内側に位置する合成樹脂製のケース23(庫内側ケース部)と、庫外側に位置する合成樹脂製のケース22(庫外側ケース部)とが組み合わされてケース(筺体)が構成されている。ケース22,23を水平方向に切断したときの、ケース23の断面形状(断面積A2)とケース22の断面形状(断面積A1)とが、ほぼ同じ形状である(
図11(a)参照)。これによれば、庫外側でのケース22の伸びと庫内側でのケース23の縮みが均等になり、回転仕切体20の反りを抑制することができる。その結果、回転仕切体20とパッキン8との吸着が損なわれるのを抑制できる。
【0098】
また、本実施形態では、ケース23とケース22とが組み合わされたときの接触部は、平面構造である。これにより、ケース22の当接面22s,22tとケース23の当接面23s,23tとが対向して、平面で接することができるので、ケース22,23(回転仕切体20)の反りを抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態では、ケース23の内壁面には、断面視L字状の補強部材27(金属板)が設けられている。これによれば、回転仕切体20が回動する際にケース22,23を捩れ難くできる。
【0100】
また、本実施形態では、回転仕切体20の回転軸の中心Oを、当該回転仕切体20の厚みTの中心T0よりも庫外側に位置している(
図12参照)。これによれば、回転仕切体20を倒れ姿勢にしたときに、回転仕切体20を扉2の内側(突条部2r1)に位置させることができ、ドアポケット2dの回転軌跡R10内に回転仕切体20の回転軌跡を収めることができる(
図12参照)。
【0101】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態の冷蔵庫の回転仕切体を示す分解斜視図、
図16は、
図15の回転仕切体の断面図である。第2実施形態における回転仕切体20Aは、第1実施形態における回転仕切体20のマグネット24に替えて、マグネット24Aとしたものである。その他の構成については、第1実施形態と同様であり、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0102】
図15に示すように、マグネット24Aは、着磁部24cと着磁部24dとが一体に形成されたものである。また、マグネット24Aは、例えば、着磁部24cがN極、着磁部24dがS極のように、並び方向に極性が設定されている。
【0103】
図16の断面図に示すように、着磁部24cと着磁部24dとの間には、凹み部24eが形成されている。この凹み部24eにヒータ25が配置されている。
【0104】
ところで、ケース22,23を樹脂にすると、パッキン8のマグネット8aが吸着する部品がなくなる。従来では、単純に、樹脂ケースの中に鉄板を入れて、樹脂を介して着磁させていたものが提案されていた。そのようにすると、鉄板の厚みを変えれば別だが、樹脂ケースの厚みによって、着磁する力が弱くなる。その対策として単純に鉄板を厚くしたり、マグネットの磁力を大きくすることが考えられるが、それをすると、扉の開閉動作が重たく感じてしまう。よって、安易に磁力を上げることができない。そこで、本実施形態では、鉄板ではなくて着磁させる相手をマグネット24Aに替えて、マグネット24Aおよび樹脂製のケース22を介して、パッキン8のマグネット8aと吸着するようにした。第1実施形態のマグネット24のように、着磁部24a,24bを分割して構成した場合、極性を間違えて組み立てると吸着しなくなり、組立に注意を要することになる。また、マグネットが複数本になるので、作業工程が増える。
【0105】
そこで、第2実施形態では、一体型のマグネット24Aを構成したものである。一体型の場合、マグネット24Aの天地を間違えないように、例えば溝の入れ方だけを工夫しておけば、マグネット24Aを正常な向きで取り付けることができる。また、扉2や回転仕切体20は、扉2の開閉操作やドアポケット2b,2c,2dに収納された食品の荷重によって、歪や変形を生じる場合がある。このとき、
図13に示すように、前後方向に向かい合う扉2側のマグネット8aと回転仕切体20側の着磁部24a、扉3側のマグネット(図示せず)と回転仕切体20側の着磁部24bとが、夫々左右方向に位置ずれした場合(例えば、着磁部24a,24bが左にずれた場合)、向かい合うマグネット同士の着磁面積は減少してしまい、冷気漏れの原因となる隙間が生じる虞がある。そこで、
図16に示すような一体型のマグネット24Aにすることで、向かい合うマグネット同士の位置が左右方向にずれた場合であっても、着磁面積を十分に確保することができ、冷蔵室2aからの冷気漏れを抑制することができる。
【0106】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態の冷蔵庫の回転仕切体を示す分解斜視図である。第3実施形態の冷蔵庫の回転仕切体20Bは、第1実施形態のヒンジ部材32に替えて、姿勢切替保持部材32Aとしたものである。
【0107】
姿勢切替保持部材32Aは、第1実施形態での姿勢切替保持部材31と同様の機構を有し、圧縮ばね33、ばね支持部34、軸部材35によって構成されている。圧縮ばね33はとばね支持部34は、回転仕切体20Bに保持され、軸部材35は、扉2に固定板35c1を介して取り付けられている。なお、クローザ40と回転仕切体20Bとの位置関係も第1実施形態と同様に設定されている。
【0108】
ところで、ねじりばねを備えた回転仕切体の場合、同様の機構を上側に設けると、下側と同様に断熱構造を削ることになる。冷気は上から下に流れるのが基本であるので、より冷たい空気が上部に当たることになる。このため、上側に前記した機構を設けると、断熱が薄い部分に冷気が当たるので好ましくない。そこで、本実施形態のような圧縮ばね33を備えた姿勢切替保持部材32Aを設けることで、断熱を削らなくてよくなるので、回転仕切体20Bの上側にも圧縮ばね33を備えた姿勢切替保持部材32Aを設けることが可能になる。
【0109】
また、冷蔵庫(製品)の上に回転仕切体20Bを回転させるためのガイド部材50(
図4参照)が設けられている。ガイド部材50に近い距離にばねを備えた機構を設ける方が、回転仕切体20Bが起立するときの反応が向上する。回転仕切体の上部から離れるにつれて、回転仕切体の剛性が必要になる。回転仕切体20Bが長ければ長いほどそのもの自体がねじられ易くなる。回転仕切体20Bが完全に開き切る(起立する)までには、回転仕切体20Bがどれだけ剛体であるかによって決まる。回転仕切体20Bがやわらかいと、ただねじれるだけで、いつまでたってもバネの力が伝わらなくなる。
【0110】
そこで、第3実施形態では、ガイド部材50が冷蔵庫本体1の天板1aに設けられ、姿勢切替保持部材32Aがケース22,23の鉛直方向の上部に設けられている。これにより、ガイド部材50と姿勢切替保持部材32Aとの距離を近づけることができるので、回転仕切体20Bに設ける補強部材27などの補強部材を削減することが可能になる。
【0111】
以上、本実施形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら限定されるものではない。例えば、第3実施形態では、姿勢切替保持部材31,32Aをケース22,23の下部と上部に配置した場合を例に挙げて説明したが、姿勢切替部材32Aをケース22,23の上部のみに配置したものでもよい。これにより、圧縮ばね33の圧縮力を上下に設ける場合の半分にできる。