【実施例】
【0114】
実施例1.原核生物からPPO遺伝子の分離
サーモシネココッカスエロンガータスBP−1(Thermosynechococcus elongatus BP−1)およびシネココッカス属(Synechococcus sp.)JA−3−3AbのGenBankデータベースを用いてPPO遺伝子情報を獲得した。BT3 E.coliでより効率的な除草剤抵抗性スクリーニングのために各PPO遺伝子をコドン最適化(codon optimization)して合成した(GenScript)。これを、pACBBベクターにクローニングするために表1のプライマーを用いて、下記の条件でPPO遺伝子を増幅した。
【0115】
PCR反応液は、鋳型(Template)(各遺伝子の合成DNA)1μl、10Xバッファー(10X buffer)5μl、dNTP混合物(dNTP mixture)(各10mM)1μl、フォワードプライマー(forward primer)(表1参照;10μM)1μl、リバースプライマー(reverse primer)(表1参照;10μM)1μl、DDW40μl、およびPfu−X(Solgent、2.5unit/μl)1μlを含む反応液50μlから構成し、94℃で4分間反応した後、25サイクル(94℃で30秒、56℃で30秒、および72℃で1.5分)繰り返し、72℃で5分反応して増幅した。
【0116】
サーモシネココッカスエロンガータスBP−1から分離したPPOをCyPPO10と、シネココッカス属JA−3−3Ab菌株から分離したPPOをCyPPO13とそれぞれ命名した。
【0117】
【表1】
【0118】
実施例2.CyPPO10およびCyPPO13の除草剤抵抗性確認
前記準備されたCyPPO10およびCyPPO13の除草剤耐性をPPO遺伝子が欠乏した大腸菌を用いて試験した。
【0119】
前記PPO遺伝子をPPOが欠乏したBT3大腸菌(ΔPPO)に形質転換した後、PPO阻害除草剤が含まれている培地で培養して、形質転換大腸菌の生長阻害の有無を確認した。BT3(ΔPPO)菌株は北海道大学(Hokkaido University、日本)から提供を受け、hemGタイプPPOが欠如した大腸菌であり、カナマイシン(kanamycin)に対して耐性を有する菌株である(“Watanabe et al.,Dual targeting of spinach protoporphyrinogen oxidase II to mitochondria and chloroplasts by alternative use of two in−frame inhibition codons,JBC 2001 276(23):20474−20481;Che et al.,Molecular Characterization and Subcellular Localization of Protoporphyrinogen Oxidase in Spinach Chloroplasts、Plant Physiol.2000 Sep;124(1):59−70”).参照)。
【0120】
具体的な試験過程は、以下の通りである:
前記準備されたCyPPO10およびCyPPO13遺伝子をpACBBベクター(Plasmid#32551;Addgene;
図1参照)にクローニングした。
【0121】
具体的に、前記実施例1で増幅したPCR産物(PCR product)をBamHI、XhoI制限酵素で処理して、同一制限酵素で処理したpACBB−eGFPベクターとライゲーション(ligation)した。
【0122】
前記制限酵素処理は下記の条件下で行った:
PCR産物30μl(microliter)、BamHIおよびXhoI(New England Biolabs)各0.5μl、10Xバッファー4μl、水(water)5.5μl;制限酵素反応(Restriction enzyme reaction)37℃、1時間
ライゲーション反応(Ligation reaction)は下記の条件下で行った:
T4 DNA ligase(RBC)0.5μl、Aバッファー1μl、Bバッファー1μl、前記の制限酵素で処理したPCR産物とベクター、総(total)10μl;22℃、30分
前記クローニングしたプラスミドをそれぞれBT3コンピテントセル(BT3 competent cell)に熱衝撃方法で形質転換した。各変異遺伝子種類別にクロラムフェニコール(Duchefa)が含まれているLB(Luria−Bertani)寒天培地で培養した。
【0123】
各遺伝子で形質転換された大腸菌の種培養のために、各単一コロニー(single colony)をクロラムフェニコールを含む3mlのLBブロス(LB broth)で12時間以上培養(220rpm、37℃)した後、50〜100μlを新たな3mlのLBブロス(LB broth)に継代して4〜5時間培養した後、吸光度(OD
600)が0.5〜1になるまで培養し、吸光度(OD
600)を0.5に合わせるためにLBブロス(LB broth)で希釈した。この稀釈液をLBブロス(LB broth)で10倍ずつ5回希釈した。その次に、チアフェナシル(tiafenacil)が濃度別(0、100μM、400μM)に混合されたLB寒天培地(ペトリ皿)に前記準備した形質転換大腸菌培養稀釈液を10μlずつ落とした。LB寒天培地を37℃、光(light)条件で培養し、16〜20時間後に生長阻害程度を確認した。
【0124】
比較のために、pACBB−eGFPベクター(Plasmid #32551;Addgene;
図1参照)で形質転換されたBT3大腸菌形質転換体(V;PPO欠乏大腸菌);前記原核細胞由来のPPO遺伝子の代わりにシロイヌナズナ由来の野生型PPO遺伝子(Wild type AtPPO1;PPO感受性)(配列番号6)が導入されたBT3大腸菌形質転換体(WT);および野生型(Wild type)AtPPO1のアミノ酸配列(配列番号5)でY426M(426番目アミノ酸であるチロシンがメチオニンで置換)およびS305L(305番目アミノ酸であるセリンがロイシンで置換)のアミノ酸置換が発生した変異(mutant)(アミノ酸配列:配列番号7)(Li et al.Development of protoporphyrinogen oxidase as an efficient selection marker for agrobacterium tumefaciens−mediated transformation of maize.Plant physiol.2003 133:736−747)を暗号化する遺伝子が導入されたBT3大腸菌形質転換体(AtPPO1 SLYM)を使用して同一な試験を行った。
【0125】
前記得られた結果を
図2に示した。
図2に示されているように、除草剤を含んでいない培地(チアフェナシル0μM)で、PPO遺伝子が挿入されていないpACBB−eGFPで形質転換されたBT3形質転換体(V)は正常生長を回復しなく、シロイヌナズナPPO野生型遺伝子(AtPPO1 WT)、シロイヌナズナPPO変異遺伝子(AtPPO1 SLYM)、CyPPO10遺伝子(Cy10 WT)、またはCyPPO13遺伝子(Cy13 WT)がそれぞれ挿入されたBT3形質転換体は、各挿入遺伝子がBT3内PPO機能を回復させることによって正常生長を示した。このような結果は、前記CyPPO10およびCyPPO13が両方とも正常機能を発揮することを意味する。
【0126】
一方、チアフェナシル感受性であるシロイヌナズナPPO1野生型(wild type)が挿入されたBT3形質転換体(AtPPO1 WT)は除草剤が含まれていない培地(0μM)では正常に育つが、100μMチアフェナシルが含まれている培地では育たなく、チアフェナシル抵抗性であるシロイヌナズナPPO1変異型(mutant type)が挿入されたBT3形質転換体(AtPPO1 SLYM)はチアフェナシル処理濃度が100μMから生長阻害が発生し、400μMまで育つことが観察された。CyPPO10またはCyPPO13遺伝子が挿入されたBT3形質転換体は100μMチアフェナシルが含まれている培地でチアフェナシルが含まれていない培地と同等水準の生長を示し、400μMチアフェナシルが含まれている培地でも優れた生長が観察された。このような結果からCyPPO10およびCyPPO13遺伝子がチアフェナシル感受性であるシロイヌナズナPPO1野生型(wild type)に比べて顕著に高いチアフェナシル耐性を有し、チアフェナシル耐性を有するシロイヌナズナPPO1変異型(mutant type)と比較して類似または高い水準のチアフェナシル抵抗性を有しているのを確認することができる。
【0127】
実施例3.PPO−除草剤複合体構造分析を通じた除草剤と相互作用するPPOのアミノ酸情報獲得
PPO蛋白質と除草剤の結合構造情報の確認のために、PPO蛋白質の代表例としてCyPPO10を、PPO阻害除草剤の代表例としてチアフェナシル、サフルフェナシル、フルミオキサジン、スルフェントラゾンを使用して試験した。CyPPO10の蛋白質を暗号化する遺伝子をpET29bベクター(Catalog Number:69872−3;EMD Biosciences;
図30参照)にクローニングし、大腸菌システムを使用してCyPPO10蛋白質を発現させた。発現されたCyPPO10蛋白質をニッケル親和クロマトグラフィーを通じて純粋分離し、精製されたCyPPO10蛋白質に各1mM濃度のチアフェナシル、サフルフェナシル、フルミオキサジン、またはスルフェントラゾンを添加してCyPPO10とチアフェナシル、サフルフェナシル、フルミオキサジン、またはスルフェントラゾンが結合した結晶を獲得した。その後、放射光加速器を用いて2.4Å解像度のCyPPO10とチアフェナシル、サフルフェナシル、フルミオキサジン、スルフェントラゾン結合体のX−線回折データを確保し、分子水準の3次元構造を糾明した。このような過程を通じて除草剤抵抗性を付与するCyPPO10蛋白質内アミノ酸変異位置に関する情報を収集した。
【0128】
CyPPO10とチアフェナシル複合体構造分析結果、CyPPO10蛋白質(配列番号2)のN59、S60、R89、F161、V165、A167、Q184、P303、V305、F324、L327、I340、F360、およびI408位置のアミノ酸がチアフェナシルと相互作用しているのを確認した。
【0129】
このようにCyPPO10−チアフェナシル複合体構造から導出された結合アミノ酸情報を用いて、CyPPO10(配列番号2)と、CyPPO13のアミノ酸間の配列ホモロジー(homology)分析(NCBI BLAST、http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi?PROGRAM=blastp&PAGE_TYPE=BlastSearch&LINK_LOC=blasthome)を通じてCyPPO13(配列番号4)蛋白質でチアフェナシルと相互作用するアミノ酸残基を導出した。
【0130】
その結果、CyPPO13蛋白質(配列番号4)のR101、F171、V175、A177、G194、P316、V318、F337、L340、I353、およびF373位置のアミノ酸がチアフェナシルと相互作用すると判断した。
【0131】
実施例4.PPO変異体の製造
CyPPO10およびCyPPO13のPPO阻害除草剤耐性をより高めるためにそれぞれPPOアミノ酸配列中の前記実施例3で得られた除草剤と相互作用する位置のアミノ酸に変異を誘発してCyPPO10およびCyPPO13の変異遺伝子を製作した。
【0132】
具体的な試験過程は以下の通りである:
表3のプライマーを用いて、以下の条件下でPCRを行ってPPO遺伝子を分離および増幅させた:
PCR反応液条件
鋳型(CyPPO10またはCyPPO13の合成DNA) 1μl
10Xバッファー 5μl
dNTP混合物(各10mM) 1μl
フォワードプライマー(10μM) 1μl
リバースプライマー(10μM) 1μl
DDW 40μl
Pfu−X(Solgent、2.5unit/μl) 1μl
総(Total) 50μl
【表2】
【表3】
前記増幅した遺伝子産物(products)とpET303−CT Hisベクター(VT0163;Novagen;
図3参照)をXbaI、XhoIで切断した後、T4 DNA ligase(RBC、3unit/μl)を用いてpET303−CyPPO10とpET303−CyPPO13プラスミドをそれぞれ製作した。
【0133】
前記pET303−CT HisベクターにクローニングしたCyPPO10とCyPPO13を鋳型にして、下記表5および表6のプライマーを使用して以下の条件下でPCRを行ってCyPPO10とCyPPO13の変異遺伝子を製作した。
【0134】
PCR反応液条件
鋳型 1μ
10Xバッファー 5μl
dNTP混合物(各10mM) 1μl
フォワードプライマー(10μM) 1μl
リバースプライマー(10μM) 1μl
DDW 40μl
Pfu−X(Solgent、2.5unit/μl) 1μl
総(Total) 50μl
【表4】
【表5】
【表6】
【0135】
実施例5.PPOおよびその変異体のPPO阻害除草剤耐性検証(大腸菌で試験)
CyPPO10およびCyPPO13のPPO阻害除草剤耐性をより高めるためにそれぞれPPOアミノ酸配列中の前記実施例3で得られた除草剤と相互作用する位置のアミノ酸に変異を誘発した。このような変異を誘発させることができるPPO遺伝子を設計してPPOが欠乏したBT3大腸菌(BT3(ΔPPO))に形質転換した後、PPO阻害除草剤を処理した環境で培養して、形質転換大腸菌の生長阻害の有無を確認した。
【0136】
具体的な試験過程は以下の通りである:
前記実施例4で製作したpET303−CyPPO10とpET303−CyPPO13プラスミドとそれぞれの変異遺伝子が含まれているプラスミド(plasmid)をBT3コンピテントセル(BT3 competent cell)に熱衝撃方法で形質転換してアンピシリンが含まれているLB寒天培地で培養した。
【0137】
各遺伝子が挿入されたBT3形質転換体の種培養のために、アンピシリンが含まれているLBブロス(LB broth、LPSS、3ml)に単一コロニーを接種して12時間以上培養し、この培養液50〜100μlを新たなLBブロス(LB broth)に継代して吸光度(OD
600)が0.5〜1になるまで培養し、この培養液をLBブロス(LB broth)で希釈して吸光度を0.5に一定に合わせた後、LBブロス(LB broth)で10倍ずつ5回希釈して形質転換大腸菌培養稀釈液を準備した。
【0138】
LB25g/L、Bacto agar 12g/L、アンピシリン(100μg/ml)、および多様な除草剤ストックを濃度別(0〜200μM)に混合して除草剤を含む培地を準備した。前記除草剤ストックは全てDMSOを用いて除草剤を溶解したものである。
【0139】
前記準備された形質転換大腸菌培養稀釈液を除草剤培地に10μlずつ落とし、37℃および光条件下で16〜20時間培養し、各遺伝子を含む形質転換大腸菌の生長程度を肉眼で確認して、形質転換大腸菌のPPO阻害除草剤耐性を試験した。
【0140】
試験に使用された除草剤を下記の表7に整理した:
【表7】
前記得られた除草剤耐性をCyPPO野生型と比較した相対的水準で評価して下記の表8〜表11および
図11〜
図29に示した:
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
上記表8〜11で、野生型の除草剤耐性水準を「−」で表示し、これと同等水準の耐性を「−」で、高いほど「+」を付加して最大「+++++」まで等級を定めて評価した。
【0141】
図11〜
図19(CyPPO10の野生型または変異型)および
図20〜
図29(CyPPO13の野生型または変異型)はCyPPO遺伝子(野生型または変異型)が形質導入された大腸菌の培養結果を示す写真であって、上端に記載された濃度は除草剤処理濃度であり、各濃度別6個のカラムは大腸菌培養液を10倍ずつ希釈した結果を示すものであって、最も左側のカラムがOD
600=0.5の大腸菌培養液の実験結果であり、右側に行くほど10倍ずつ希釈された培養液の実験結果である。
【0142】
前記表8〜11および
図11〜
図29で示されるように、CyPPO10およびCyPPO13の変異遺伝子が導入された形質転換体は全て多様な種類の除草剤に対して野生型遺伝子が導入された形質転換体と同等水準または上昇した水準の除草剤耐性を示すのを確認することができる。
【0143】
実施例6:PPOの酵素活性および除草剤別IC50値測定
PPO蛋白質および特定位置のアミノ酸を変異させたPPO蛋白質変異体の酵素活性を測定しPPO阻害除草剤による阻害試験(inhibition assay)を行った。PPO蛋白質は水溶性が低いが、MBP(maltose binding protein)と共に融合タンパク質(fusion protein)(MBP−PPO)で発現させる場合、安定的に水溶性蛋白質が発現されることを確認し、下記の野生型および変異型蛋白質をMBPとの融合蛋白質形態に発現させて本試験に使用した(
図4参照)。
【0144】
CyPP010およびCyPPO13の野生型遺伝子および変異遺伝子(実施例1および実施例4参照)を発現させるために、前記遺伝子をそれぞれpMAL−c2Xベクター(
図5参照)に挿入した後、BL21(DE3)大腸菌(CodonPlus)に形質転換した。
【0145】
前記得られた形質転換大腸菌を以下の条件で培養して挿入されたPPO遺伝子を発現させた:
誘導(Induction):OD
600=0.2、最終濃度0.3mM IPTG添加;
発現温度:23℃、200rpmの振盪培養;
発現時間:16hrs
培養規模:200ml/1,000mlフラスコ(flask)。
【0146】
前記培養された形質転換大腸菌に対して以下の過程で細胞破砕および蛋白質抽出を行った:
抽出バッファー:カラムバッファー(Column buffer)(50mM Tris−Cl、pH8.0、200mM NaCl)5ml buffer/g cell;
超音波処理(Sonication):SONICS&MATERIALS社 VCX130(130watts);
15 sec ON、10 sec OFF for 5 min on ice;
4℃および20分条件下で遠心分離(20,000xg);および
前記遠心分離で得られた上澄み液をカラムバッファー(column buffer)を使用して1:6比率で希釈した。
【0147】
前記得られた蛋白質抽出物に対して以下の過程を4℃低温室で行ってPPO蛋白質の精製を行った。1.5×15cmカラム(column)(Bio−Rad Econo Columns 1.5×10cm、glass chromatography column、max.vol)にアミロースレジン(amylose resin)(New England Biolabs)を注いでカラムをパッキング(packing)し、前記得られた蛋白質抽出物をカラムに0.2ml/minの速度でローディングした。前記カラムをカラム体積基準に3体積倍のカラムバッファー(column buffer)で洗浄(washing)後、洗浄液内の蛋白質量を確認してそれ以上蛋白質が検出されなければ洗浄を終了した。前記カラム体積基準に約2体積倍の20mMマルトース(maltose)を含むカラムバッファー(column buffer)でMBP−PPO蛋白質を溶出(elution)(1.5mlのE−tubeに各フラクション(fraction)を分取)しながら各溶出液(eluent)の蛋白質濃度を確認した。それ以上蛋白質が検出されなければ溶出(elution)を終了させた。各フラクション(fraction)を10μlの量で取って蛋白質定量後、蛋白質が検出されたフラクション(fraction)をSDS−PAGEで分析し、純度が高いフラクション(fraction)を取って酵素活性分析試験に使用した。
【0148】
前記精製されたCyPPO10およびCyPPO13の野生型蛋白質および変異型蛋白質の酵素活性を下記の過程で測定した。
【0149】
まず、PPO蛋白質の基質であるプロトポルフィリノーゲンIX(Protoporphyrinogen IX)を合成した。この過程は窒素気体がストリーミング(streaming)される空間で行われた。プロトポルフィリンIX(protoporphyrin IX)6mgを20%(v/v)EtOH20mlに溶解させ、暗条件(dark condition)で30分間攪拌した。前記得られたプロトポルフィリンIX溶液を15mlのスクリューチューブ(screw tube)に800μlの量で入れ、5分間窒素気体をフラッシング(flushing)した。ここにアマルガムナトリウム(sodium amalgam)1gを入れ、2分間激しく振盪(vigorous shaking)した。チューブの中の水素気体を排出するために蓋を開けておいた。その後、蓋を閉じて3分間インキュベーションした後、シリンジ(Syringe)とセルロースメンブレンフィルター(cellulose membrane filter)を用いてプロトポルフィリノーゲンIX溶液をろ過(filtering)した。前記得られたプロトポルフィリノーゲンIX溶液600μlに2M MOPS[3−(N−morpholino)propanesulfonic acid]を約300μlの量で添加してpHを8.0に調節した。PPO蛋白質の酵素活性を測定するために次の組成で反応混合物(Reaction mixture)を準備した(10ml基準):50mM Tris−Cl(pH8.0);50mM NaCl;0.04%(v/v)Tween 20;40mM glucose(0.072g);5 units glucose oxidase(16.6mg);および10 units catalase(1μl)。
【0150】
前記反応混合物(Reaction mixture)180μlを96ウェルプレート(well plates)に入れ、先に精製されたPPO蛋白質(前記MBP−融合タンパク質を精製した産物)20μlを添加し、約50μlのミネラルオイル(mineral oil)で表面をカバーした。基質であるプロトポルフィリノーゲンIX溶液を最終濃度50μMになるように添加して室温で30分間反応させた。Microplate reader(Hidex社sense)を用いてプロトポルフィリンIX(Protoporphyrin IX)の蛍光を測定した(excitation:405nm;emission:633nm)。PPO酵素活性値を計算するために、前記プロトポルフィリノーゲンIX溶液が入っているチューブを空気中に開放して溶液を12時間以上酸化させた。ここに2.7N HClを添加して408nmでの吸光度(absorbance)を測定した。標準(Standard)プロトポルフィリンIXを用いて標準曲線(standard curve)を作成し、これを用いてプロトポルフィリノーゲンIXの濃度を検定(calibration)してPPO活性を測定した。
【0151】
前記得られたPPO野生型および変異体の酵素活性を下記の表12に示した。
【0152】
一方、PPO蛋白質(CyPPO10およびCyPPO13)の酵素活性能力を評価するために各酵素の最大反応速度(Vmax、The maximal velocity)値を求めた。初期反応速度は基質濃度を異にして濃度によって反応速度が比例する区間を選定し、常温で20分間経時変化(time course)として酵素反応産物であるプロトポルフィリンIXの生成量を測定した。Vmax値はミカエリス−メンテン式によって酵素反応速度(enzyme kinetics)分析プログラムで計算し、対照群として植物PPOを使用した。前記得られた結果を下記の表12に示した:
【表12】
前記結果から、CyPPO10とCyPPO13はシロイヌナズナPPO1(AtPPO1)、アマランサスPPO1よりVmax値が最少2.5倍から最大16倍以上高いのを確認することができた。結論的に、CyPPO10とCyPPO13のPPO蛋白質が植物由来のシロイヌナズナPPO01またはアマランサスPPO1よりPPO酵素としての能力がさらに優れるのを示す。
【0153】
また、PPO酵素活性を50%阻害する濃度(IC
50)を各除草剤別に測定した。この時、各除草剤の最終濃度は下記のとおりであった:
−チアフェナシル、サフルフェナシル、ホメサフェン、ブタフェナシル、フルミオキサジン、およびスルフェントラゾン各除草剤の最終濃度:0、10、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000nM
IC
50値は、前記酵素活性測定過程に除草剤を前記濃度で添加してPPO酵素活性を除草剤添加前の50%に阻害する除草剤の濃度として求めた。
【0154】
このように得られた除草剤別IC
50を下記の表13に示した。
【0155】
【表13】
上記表13から確認されるように、CyPPO蛋白質変異体の場合、野生型と比較して各除草剤のIC
50値が顕著に上昇するのを確認することができる。このような結果は、PPO蛋白質の特定位置のアミノ酸変異によって除草剤に対する耐性が増加するのを立証するものである。本試験結果でCyPPO蛋白質変異体が大体的に野生型に比べて減少した酵素活性を有することが確認され、これは組換え蛋白質と植物で精製された蛋白質間の蛋白質折りたたみまたは疎水性が異なることに起因することと思われる。植物に存在するPPO蛋白質は植物体の葉緑体膜に存在し、疎水性であるが、大腸菌が生産する組換えPPO蛋白質はMBP蛋白質との融合蛋白質であって、親水性である。したがって、変異PPO蛋白質が植物の葉緑体で正常的な条件で発現されれば、変異蛋白質と野生型蛋白質間の酵素活性の差が大きくないことと思われる。
【0156】
実施例7.CyPPOおよびその変異体を用いたシロイヌナズナ形質転換体製作およびPPO阻害除草剤耐性試験
7−1.シロイヌナズナ形質転換ベクター製作およびシロイヌナズナ形質転換体製作
シロイヌナズナ形質転換は選別マーカであるbar遺伝子(グルホシネート耐性遺伝子)のORFとそれぞれのCyPPO10またはCyPPO13のアミノ酸変異体の暗号化遺伝子のORFを有するバイナリーベクター(binary vector)を製作して行った。PPO阻害除草剤と作用機序が異なる除草剤を交差使用する場合、その効果を確認するためにbar遺伝子を使用し、前記遺伝子は後代遺伝が安定的に行われているかどうかを検証することにも使用した。Bar遺伝子の発現のためにNOSプロモーターと転写終結のためのE9ターミネーターを使用した。
【0157】
CyPPO10、CyPPO10変異体、CyPPO13、およびCyPPO13変異体それぞれを植物体で発現させるためにCaMV35SプロモーターとNOSターミネーターを使用した。CyPPO10、CyPPO10変異体、CyPPO13、およびCyPPO13変異体の暗号化遺伝子はXhoI、BamHI制限酵素を用いて挿入した。また、発現された蛋白質の確認のためにヘマグルチニン(hemagglutinin、HA)タグをBamHI、SacI制限酵素を用いてPPO遺伝子の3’末端部位に挿入した。HAタグの後にNOSターミネーター(NOS terminator)が挿入されてPPO遺伝子の転写終結を誘導した。また、葉緑体への蛋白質の移動と発現を誘導するためにAtPPO1遺伝子(配列番号6)の輸送ペプチド(transit peptide、TP)をXbaI、XhoI制限酵素を用いてPPO遺伝子の5’前に挿入した。ベクター内挿入された輸送ペプチド(transit peptide)部位を配列番号27と、挿入されたHAタグ配列を配列番号28と示した。本実施例に用いた植物形質転換バイナリーベクターの構造模式図を
図6に例示的に示した。
【0158】
前記で製作したそれぞれのベクターをアグロバクテリウムツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV3101コンピテントセル(competent cell)に凍結−融解(freeze−thaw)方法で導入して形質転換させた。GV3101コンピテントセル(GV3101 competent cell)を製造するために、GV3101菌株を5mlのLB培地(LB media)に30℃および200rpm条件で12時間培養した。この培養液を200mlのLB培地(LB media)に接種して、30℃および200rpm条件で3〜4時間培養し、3000xg、4℃で20分間遠心分離した。滅菌蒸留水でペレット(pellet)を洗浄した後、20mlのLB培地(LB media)で再懸濁(resuspension)した。200μlずつ等分(aliquot)して液体窒素に瞬間凍結(snap freezing)した後、超低温冷凍庫に保管した。
【0159】
それぞれの形質転換アグロバクテリウム(Agrobacterium)を抗生剤培地(スペクチノマイシン(spectinomycin)を含むLB寒天(LB agar))で培養および選別した。前記選別されたコロニーをLBブロス(LB broth)で液体培養した。この培養液からアグロバクテリウムセル(Agrobacterium cell)を収穫(harvest)した後、5%(w/v)スクロース(sucrose)溶液に吸光度(OD
600)0.8の濃度で懸濁した後、0.05%(v/v)シルウェット(Silwet)L−77(Momentive performance materials company)を添加した。フロラルディップ(Floral dipping)方法でCol−0生態型(ecotype)シロイヌナズナ野生型に形質転換して形質転換シロイヌナズナを製作し、1〜2ヵ月後に種子(T
1)を収穫した。
【0160】
ベクター製作時に形質転換固体選抜のために挿入されたbar遺伝子を用いて形質転換個体を選抜した。前記得られたT
1種子を25μMグルホシネートが添加された1/2MS培地(2.25g/L MS塩(MS salt)、10g/Lスクロース(sucrose)、7g/L寒天(Agar))に播種し、播種7日後に生存した個体を選抜して土に移植し成長させてT
1植物体を収得した。
【0161】
移植したT
1植物体のPPO阻害除草剤耐性を判断するために、3〜4週育てた後、抽苔前にチアフェナシルを処理した。40×60cm面積(0.24m
2)にチアフェナシル溶液100ml(1μMチアフェナシル+0.05%(v/v)シルウェット(Silwet)L−77)を満遍なく噴射した。野生型シロイヌナズナ(Col−0 ecotype)の場合、前記と同一な濃度および量でチアフェナシルを処理する場合に死滅する。前記のようなチアフェナシル処理後4〜7日経過後、各形質転換体のPPO阻害除草剤耐性の有無を判別した。
【0162】
耐性を示して生残る植物体は持続的に育てて種子を収穫し(T
2種子)、前記T
2種子を25μMグルホシネートを添加した1/2MS培地(2.25g/L MS塩(MS salt)、10g/Lスクロース(sucrose)、7g/L寒天(Agar))に播種して6〜7日間育てた後、生存個体を選抜した。
【0163】
Bar遺伝子挿入によるグルホシネート(glufosinate)抵抗性と感受性個体の分離比(segregation ratio)を各挿入遺伝子別およびライン別に判断した。グルホシネート(Glufosinate)耐性個体:感受性個体の比が約3:1を示せば、メンデルの法則によって挿入遺伝子が単一コピーで挿入され、世代が進展するにつれて分離されよく発現することと判断した。
【0164】
1/2MS培地で生存した個体を土に移植して3〜4週間育ててT
1と同一な条件で40×60cm面積(0.24m
2)にチアフェナシル溶液100ml(1μM、5μM、10μMまたは25μMチアフェナシル+0.05%シルウェットL−77)を満遍なく処理して形質転換体のチアフェナシル耐性を判断した。T
3種子はチアフェナシル抵抗性T
2植物体を持続的に育てて確保した。
【0165】
T
1およびT
2種子選別と同一に、25μMグルホシネートを含む1/2MS培地でT
3種子を選別し、グルホシネート抵抗性個体が100%であるラインをホモライン(homoline)と判断した。
【0166】
7−2.種子発芽
前記製作されたCyPPO10およびCyPPO13の野生型および変異遺伝子が挿入された形質転換シロイヌナズナの除草剤抵抗性を確認した。
【0167】
各形質転換シロイヌナズナのT
3世代種子を25個ずつ除草剤が含まれている1/2MS培地に播種した。対照群としてCol−0 ecotype(野生型)種子を使用した。使用された除草剤種類および使用濃度は以下の通りである:
図31a:25μMグルホシネート(PPT)、70nMチアフェナシル、100nMサフルフェナシル、25μMグルホシネート+70nMチアフェナシル、または25μMグルホシネート+30nMチアフェナシル+40nMサフルフェナシル;
図31bおよび31c:0.1μMまたは1μMチアフェナシル、0.3μMまたは3μMサフルフェナシル、0.1μMまたは1μMフルミオキサジン、0.5μMまたは5μMピラクロニル、または1μMまたは10μMスルフェントラゾン。
【0168】
前記得られた播種7日後種子発芽結果を
図31a〜31cに示した。
図31a〜31cでCol−Oは対照群、10−3はCyPPO10野生型、10FM−4−7はCyPPO10 F360M変異遺伝子挿入個体、10FL−1−9はCyPPO10 F360L変異遺伝子挿入個体、10FC−3−5はCyPPO10 F360C変異遺伝子挿入個体、10AC−5−4はCyPPO10 A167C変異遺伝子挿入個体、13−1はCyPPO13野生型、13FM−3−1はCyPPO13 F373M変異遺伝子挿入個体、13FC−1−1はCyPPO13 F373C変異遺伝子挿入個体、13FI−2−1はCyPPO13 F373I変異遺伝子挿入個体、13AC−1−3はCyPPO13 A177C変異遺伝子挿入個体、CyPPO13_ALFLはCyPPO13 A177L+F373L変異遺伝子挿入個体、およびCyPPO13_ALFIはCyPPO13 A177L+F373I変異遺伝子挿入個体をそれぞれ意味する。
【0169】
図31a〜31cに示されているように、野生型シロイヌナズナ(Col−0 ecotype)は除草剤を含まない1/2MS培地では正常に発芽する反面、前記のような除草剤を含む1/2MS培地で正常発芽せずに死滅することが確認された。したがって、各除草剤が含まれている培地で形質転換シロイヌナズナが正常発芽すれば、CyPPO野生型または変異体の形質導入によって各除草剤に対する抵抗性が付与されるか増進されたと判断することができる。
【0170】
また、CyPPO10野生型またはCyPPO10の変異遺伝子(F360M、F360I、F360L、F360C、A167C)、CyPPO13野生型またはCyPPO13の変異遺伝子(F373M、F373C、F373I、A177C、A177L+F373L、A177L+F373I)がそれぞれ挿入された形質転換シロイヌナズナT
3ライン種子を対象にして実験した結果、除草剤が含まれている培地(25μMグルホシネート、25μMグルホシネート+70nMチアフェナシル、または25μMグルホシネート+30nMチアフェナシル+40nMサフルフェナシル含む)で全ての形質転換シロイヌナズナが正常発芽および生存するか、対照群より優れた発芽率および生存比率を示すことが確認された。選抜用として挿入したbar遺伝子の発現でグルホシネート抵抗性が付与されるので、前記結果はPPO阻害除草剤抵抗性因子と他の除草剤抵抗性因子(例えば、グルホシネート抵抗性、bar遺伝子)が同時に植物体に挿入されて独立的に抵抗性を示すことができるのを示すものであると言える。
【0171】
図31a乃至31cに示されているように、多様な種類および濃度のPPO阻害除草剤が含まれている培地で、対照群は正常発芽しない反面、形質転換シロイヌナズナは正常発芽して生存することを確認した。このような結果は、形質転換体の挿入された遺伝子によって形質転換シロイヌナズナが多様なPPO阻害除草剤に対して抵抗性の付与を受けるか増進した抵抗性を保有するようになるのを示すもののである。
【0172】
7−3.CyPPO遺伝子が導入されたシロイヌナズナ(T2)でのCyPPO蛋白質発現調査
CyPPO10、CyPPO10変異体(F360I変異体またはF360M変異体)、CyPPO13、またはCyPPO13変異体(F373M変異体)を暗号化する遺伝子がそれぞれ挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
2)で各蛋白質が発現されるか調査した。
【0173】
各形質転換体のT
2世代ライン別に播種4週後シロイヌナズナ形質転換体葉を液体窒素と共に摩砕した後、蛋白質抽出バッファー(0.05M Tris−Cl pH7.5、0.1M NaCl、0.01M EDTA、1% Triton X−100、1mM DTT)を添加して蛋白質を抽出した。抽出した蛋白質を用いてウェスタンブロットを行った。シロイヌナズナ形質転換ベクターに含まれているHAタグを用いてPPO蛋白質を検出した。RuBisCO大サブユニット(loading control、実験蛋白質量比較)をクマシーブルーステイニング(Coomassie blue staining)で確認した。各変異体別に2つのラインを試験し、野生型シロイヌナズナ(Col−0 ecotype)を対照群として使用した。
【0174】
前記得られた結果を
図7に示した。
図7に示したように、CyPPO10変異体(F360I変異体またはF360M変異体)またはCyPPO13変異体(F373M変異体)遺伝子が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体は全てPPO蛋白質を発現するのを確認することができる。
【0175】
7−4.形質転換シロイヌナズナ(T2またはT3)の除草剤抵抗性検証
CyPPO10、CyPPO10変異体(F360C、F360I、F360L、F360M、F360V、F360T、A167C、A167L、A167L+F360M、A167C+F360M、A167C+F360I、またはV305M+F360M)、CyPPO13、またはCyPPO13変異体(A177C、F373C、F373I、F373M、A177L+F373I、またはA177L+F373L)を暗号化する遺伝子がそれぞれ挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
2またはT
3)に対して除草剤抵抗性をテストした。
【0176】
CyPPO10野生型遺伝子またはCyPPO13野生型遺伝子が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
3)に40×60cm面積(0.24m
2)当り、チアフェナシル溶液100ml(1μMチアフェナシル+0.05%(v/v)シルウェットL−77)を処理し、7日後に、植物の薬害程度を判断した。野生型シロイヌナズナ(Col−0 ecotype)を対照群として使用した。
【0177】
前記得られた結果を
図8に示した。
【0178】
また、CyPPO10変異体(F360C、F360I、F360L、F360M、F360V、F360T、A167C、A167L、A167L+F360M、またはA167C+F360I)またはCyPPO13変異体(A177C、F373C、F373I、F373M、A177L+F373I、またはA177L+F373L)を暗号化する遺伝子がそれぞれ挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
2)に40×60cm面積(0.24m
2)当り、チアフェナシル溶液100ml(1μM、5μM、10μM、または25μMチアフェナシル+0.05%(v/v)シルウェットL−77)を処理し、7日後に、植物の薬害程度を判断した。
【0179】
前記得られた結果を
図9(CyPPO10変異体暗号化遺伝子挿入形質転換体T
2個体)および
図10(CyPPO13変異体暗号化遺伝子挿入形質転換体T
2個体)に示した。
【0180】
また、前記
図8〜10に示されたCyPPO遺伝子またはCyPPO変異遺伝子が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体のチアフェナシル(1μM、5μM、10μMおよび25μM)による薬害水準(Injury index)を数値化して下記の表14に示した。
【0181】
【表14】
CyPPO10変異体(F360I、F360L、F360M、A167C+F360I、A167C+F360M、またはV305M+F360M)を暗号化する遺伝子がそれぞれ挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
3)にチアフェナシル溶液(25μMチアフェナシル+0.05%(v/v)シルウェットL−77)およびサフルフェナシル(100μMサフルフェナシル+0.05%(v/v)シルウェットL−77)を40×60cm面積(0.24m
2)に各100mlずつ処理し、7日後に、植物の薬害程度を判断した。
【0182】
前記得られたCyPPO10変異体暗号化遺伝子挿入形質転換体T
3個体での結果を
図32に示した。
【0183】
また、
図32のCyPPO10変異遺伝子が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体のチアフェナシルまたはサフルフェナシルによる薬害水準(Injury index)を数値化して下記の表15に示した。
【0184】
【表15】
上記表14および表15のAverage injury indexは、各ライン別試験個体(10〜20個)の薬害水準を下記の表16の基準で評価した点数の平均を示す。
【0185】
前記Injury indexの評価基準を下記の表16に整理した:
【表16】
チアフェナシル、サフルフェナシル、フルミオキサジン、スルフェントラゾン、オキシフルオルフェンまたはピラクロニル(各50μM)処理後7日目にCyPPO10変異遺伝子(F360I、またはA167L+F360M)またはCyPPO13変異遺伝子(A177L+F373L、またはA177L+F373I)が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
3)の抵抗性水準を確認した。除草剤抵抗性と知られたシロイヌナズナPPO1の変異体(AtPPO1 SLYM、S305L+Y426M)が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体(T
3)またはシロイヌナズナ野生型(Col−0)を対照群として使用した。
【0186】
除草剤種類別耐性実験は各除草剤50μM濃度を40×60cm面積(0.24m
2)に100mlずつ満遍なく撒布した。チアフェナシルの分子量(MW)は511.87、サフルフェナシルの分子量は500.85、フルミオキサジンの分子量は354.34、スルフェントラゾンの分子量は387.18である。換算された除草剤処理薬量は、チアフェナシルは106.7g ai/ha、サフルフェナシルは104.4g ai/ha、フルミオキサジンは73.8g ai/ha、スルフェントラゾンは80.7g ai/haに該当する。
【0187】
前記得られた結果を
図33aおよび33bに示した。
【0188】
また、
図33aに示された形質転換体の除草剤による薬害水準(Injury index)を数値化して下記の表17に示した。
【0189】
【表17】
図33aおよび表17で、「Cy10_FI」はCyPPO10 F360I変異遺伝子挿入個体、「AtPPO1_SLYM」はAtPPO1のS305L+Y426M変異遺伝子挿入個体(対照群)、「Cy10_ALFM」はCyPPO10 A167L+F360M変異遺伝子挿入個体での結果をそれぞれ示す。
【0190】
図33bで、「Col−0」は野生型シロイヌナズナ(negative control)、「ALFL」はCyPPO13 A177L+F373L挿入個体、および「ALFI」はCyPPO13 A177L+F373I挿入個体での結果をそれぞれ示す。
【0191】
図33aに示されているように、変異遺伝子形質転換体の抵抗性が対照群(AtPPO1_SLYM)と比較して同等以上であるのを確認することができる。CyPPO10_FIおよびCyPPO10_ALFMは全て対照群(AtPPO1_SLYM)に比べて多様な除草剤に対する高い水準の抵抗性を付与することを確認した。
【0192】
前記表14および
図8に示されているように、1μMチアフェナシル処理時、野生型シロイヌナズナ(Col−0)は全ての個体が死滅した反面、CyPPO10野生型または変異型遺伝子またはCyPPO13野生型または変異型遺伝子が挿入されたシロイヌナズナ形質転換体はほとんど薬害無く正常に生長するのを確認することができる。
【0193】
また、前記表15、表17、
図9、
図10、
図32、および
図33aおよび33bに示されているように、変異型遺伝子挿入シロイヌナズナ形質転換体はチアフェナシル5μM以上処理時にも試験されたほとんど全ての形質転換個体で薬害が示されないか弱い水準に示されるのを確認することができる。前記結果は、CyPPO10、CyPPO13、またはこれら変異遺伝子の導入によってシロイヌナズナに除草剤抵抗性が付与および/または増進されるのを示す。
【0194】
T
2で抵抗性を示した変異体がT
3で抵抗性が維持されるのを確認することができる。これによって世代が進展しても変異体による除草剤抵抗性が安定的に伝達されるのを確認することができる。
【0195】
また、チアフェナシルを含む他のPPO阻害除草剤に対してCyPPOの変異遺伝子が導入された形質転換シロイヌナズナがCol−0に比べて高い抵抗性を示すので、該当変異遺伝子を用いて多様なPPO阻害除草剤に対する抵抗性を保有した植物を開発するのに活用できる。
【0196】
7−5.形質転換シロイヌナズナでの挿入遺伝子の後代(T4またはT5)安定性確認
本実施例では、シロイヌナズナ内挿入した遺伝子が世代を進展しても安定的に遺伝して発現されるか確認した。
【0197】
CyPPO10のF360I挿入形質転換体のT
3ライン7−2、10−2、10−5をT
4、T
5世代に展開させて、各ラインの後代世代(T
4、T
5世代)でのチアフェナシルまたはサフルフェナシル抵抗性および挿入された遺伝子の発現による蛋白質を以下の方法で確認した。
【0198】
蛋白質抽出
形質転換体の世代別、ライン別に蛋白質を抽出した。具体的に、芽生え(Seedling)状態の植物体を液体窒素を用いて摩砕した後、蛋白質抽出バッファー(0.05M Tris−Cl pH7.5、0.1M NaCl、0.01M EDTA、1%トリトン(Triton)X−100、1mM DTT)を添加して総タンパク(total protein)を抽出し、これを用いてウエスタンブロットを行った。
【0199】
抽出した蛋白質を電気泳動してPVDF膜(PVDF membrane)に転移した後、抗−HA抗体(Sant a cruz)を用いて挿入したPPO蛋白質を検出した。
【0200】
除草剤抵抗性確認
約4週育った抽苔前シロイヌナズナ(T
4およびT
5CyPPO10 F360I形質転換体)を対象にして15μMチアフェナシルまたは150μMサフルフェナシルを40×60cm面積(0.24m
2)に100mlずつ満遍なく撒布した。除草剤処理後7日目に除草剤薬害程度を観察した。
【0201】
前記除草剤抵抗性は
図34(T
4)および
図35(T
5)で確認し、その薬害水準(Injury index)を表18に数値化して示した。
【0202】
【表18】
図34、
図35、および表18に示されているように、対照群(Col−0;シロイヌナズナ野生型)は前記除草剤処理によって死滅する反面、T
3で除草剤抵抗性を示した変異体(CyPPO10 F360I)のT
4およびT
5世代で除草剤抵抗性が維持されるのを確認することができる。これによって世代が進展しても変異体による除草剤抵抗性が安定的に伝達されるのを確認することができる。
【0203】
また、前記各ラインの芽生え(Seedling)状態の植物体を用いて挿入遺伝子の発現をウェスタンブロットで確認した(
図36)。対照群(Col−0;シロイヌナズナ野生型)を除いたCyPPO10 F360I変異遺伝子が挿入された形質転換体のT
4およびT
5世代で全てCyPPO10 F360I変異蛋白質が発現されるのを確認することができる。これは、世代が進展しても導入された変異遺伝子による変異蛋白質が安定的に発現し、前記実施例7−5で確認されたT
4およびT
5での抵抗性維持が前記変異遺伝子の発現によるものであるのを示す。
【0204】
実施例8.CyPPOおよびその変異体を用いた大豆形質転換体製作およびPPO阻害除草剤耐性試験
8−1.大豆形質転換用組換えベクターおよびこれを用いた大豆形質転換体の製作
CyPPO10 A167L+F360M遺伝子を大豆植物体に発現させてチアフェナシル抵抗性を付与するために形質転換用ベクターを製作した。
【0205】
具体的に、シロイヌナズナ形質転換時用いたベクター(
図6)を鋳型(template)にしてシロイヌナズナPPO1遺伝子の輪送ペプチド(transit peptide)が結合されたCyPPO10 A167L+F360M遺伝子をPCRで増幅した。pENTR Directional TOPO cloning kits(Invitrogen)を用いてPCR産物(PCR product)をクローニングし、DH5αコンピテントセル(DH5 alpha competent cell、Invitrogen)に形質転換した。前記製作されたエントリーベクター(Entry vector)を用いて大豆形質転換用ベクターであるpB2GW7.0バイナリーベクター(
図37)にクローニングした。前記クローニングは、GatewayLRクロナーゼII酵素ミックスキット(Gateway LR Clonase II Enzyme Mix kit、Invitrogen)を用いて行った。前記CyPPO10 A167L+F360M遺伝子が挿入されたpENTR/D−TOPOベクターとpB2GW7.0プラスミド、TEバッファー、およびLRクロナーゼII酵素ミックス(LR Clonase II enzyme mix)を混合した後、25℃で1時間反応させた。前記得られた反応物にプロテイナーゼK溶液(Proteinase K solution、Invitrogen)を添加した後、37℃で10分間反応させDH5αコンピテントセルに形質転換した。
【0206】
前記製作したベクターを電気穿孔法でアグロバクテリウムツメファシエンスEHA105(Hood et al.,New Agrobacterium helper plasmids for gene transfer to plants(EHA105).Trans Res.1993 2:208−218)に形質転換した。
【0207】
クァンアン豆を用いて大豆形質転換体の製作を行った。滅菌した3次水に浸漬しておいた種子の両子葉の間に外科用メス(Scapel)を入れて下胚軸まで垂直に切断して種皮を除去した。胚軸を子葉の下部約1cmになる所で切断した後、胚軸(embryonic axis)がついている一方を外科用メス(#11ブレード(blade))で7〜8回程度切り付けた。大略50個程度の切片体を形質転換されたアグロバクテリウムツメファシエンスEHA105と混合後、超音波処理(sonication)を20秒間行った後、30分間接種させた。それぞれの切片体を滅菌したろ過紙の上に置いて水気を除去した後、固体CCM(共培養培地(Co−cultivation medium);0.32g/Lガムボルグ(Gamborg)B5、4.26g/L MES、30g/Lスクロース(Sucrose)、0.7%寒天(Agar))にもろ過紙を一枚敷いて10個体を載せておいた。この時、切片体の向軸(adaxial)部分が下へ向かうように置いた。マイクロポアサージカルテープ(Micropore surgical tape)で封じた後、25℃、18時間光周期で5日間共培養した。
【0208】
5日間共培養した後、除菌のために液体1/2SIM培地(シュート誘導培地(shoot induction medium);3.2g/Lガムボルグ(Gamborg)B5、1.67mg/L BA、3mM MES、0.8%(w/v)寒天(agar)、3%(w/v)スクロース(Sucrose)、250mg/Lセフォタキシム(cefotaxime)、50mg/Lバンコマイシン(vancomycin)、100mg/Lチカルシリン(ticarcillin)、pH5.6)に10分間洗浄した。それぞれの切片体をろ過紙の上に置いて水気を除去した後、選抜抗生剤がないSIMにプレート(plate)当り6個体ずつ胚軸部分が培地に固着され再分化される部分が30度程度の角度で上へ向かうように置床した。それぞれのプレートをマイクロポアサージカルテープ(Micropore surgical tape)で封じた後、25℃、18時間光周期で培養した。
【0209】
2週後、新芽が出た切片体を選抜抗生剤PPT10mg/Lが入っているSIM−1(SIMにDL−ホスフィノトリシン(DL−phosphinothricin)10mg/L添加、pH5.6)に、新芽を除いた残りの部分は切り捨て、向軸(adaxial)部分が下へ向かうように置床した。
【0210】
2週後、褐変した新芽/新芽パッド(pad)は外科用メス(#15ブレード(blade))で削って選抜抗生剤PPT5mg/Lが入っているSEM(shoot elongation medium、新芽伸張培地;MS塩(MS salt)4.4g/L、MES 3mM、GA3 0.5mg/L、アスパラギン(asparagine)50mg/L、ピログルタミン酸(pyroglutamic acid)100mg/L、IAA 0.1mg/L、ゼアチン(zeatin)1mg/L、スクロース(sucrose)3%、寒天(agar)0.8%、セフォタキシム(cefotaxime)250mg/L、バンコマイシン(vancomycin)50mg/L、チカルシリン(ticarcillin)100mg/L、DL−ホスフィノトリシン(DL−phosphinothricin)5mg/L、pH5.6)に置床した。2週ごとに新たなSEMに移しながら、新芽の褐変部位は外科用メス(#15ブレード(blade))で除去し、新芽パッドは少しずつ継続して削って培地がよく吸収されるようにした。
【0211】
SEMで選抜を経て伸張した新芽が4cm以上である時、外科用メス(#11ブレード(blade))で切断してRIM(rooting induction medium、根誘導培地;MS塩(MS salt)4.4g/L、MES 3mM、スクロース(sucrose)3%、寒天(agar)0.8%、セフォタキシム(cefotaxime)50mg/L、バンコマイシン(vancomycin)50mg/L、チカルシリン(ticarcillin)50mg/L、アスパラギン(asparagine)25mg/L、ピログルタミン酸(pyroglutamic acid)25mg/L、pH5.6)に移した。この時、分離した伸張した新芽の下部分を1mg/mL濃度のIBA(Indole−3−butyric acid)に3分間浸漬した後に取り出してRIMが入っているテストチューブに入れた。
【0212】
根が十分に育つようになると、3次蒸留水でRMを洗浄し、床土(バイオプラグ2号、ファームハンノン)とバーミキュライトを2:1体積比で混合して入れた小さいポット(6cm×6cm×5.6cm)に植えた。10日程度経過後、葉の表面に100mg/LのDL−ホスフィノトリシン(DL−phosphinothricin)でリーフペインティング(leaf painting)して抵抗性個体を1次選抜した。
【0213】
植物体が十分に育った後、さらに大きなポット(pot)に移植し、透明なプラスチック蓋に10個程度の孔を作って被せた。10日後、植物体にBasta(BAYER、53mg/L)を処理して抵抗性個体を2次選抜した。
【0214】
8−2.形質転換大豆の除草剤抵抗性確認
CyPPO10 A167L+F360M形質転換大豆T
0世代2番ラインおよび形質転換されていない大豆(クァンアン;野生型(wild type))の葉に5μMまたは15μMチアフェナシル溶液を筆を用いて2〜3回塗布した。チアフェナシル溶液は展着剤としてシルウェットL−77を0.05%(v/v)の濃度で含む。
【0215】
前記除草剤処理7日後の形質転換大豆の様子を
図38に示した。
図38に示されているように、クァンアン(形質転換していない大豆)では5μMチアフェナシル処理時激しい薬害が示される反面、CyPPO10 A167L+F360M形質転換大豆は15μMの高濃度処理時にも薬害が示されないのを確認することができる。
【0216】
一方、CyPPO10 A167L+F360M形質転換体大豆2番ラインを展開して得られたT
1世代(播種後、4週程度育ったV2〜3Stageの植物体)に除草剤(チアフェナシルまたはサフルフェナシル)をスプレー処理した。40×60cm面積に25μMチアフェナシルまたは150μMサフルフェナシルが含まれている溶液100mlを満遍なくスプレーして処理した後、5日後の植物体の状態を評価した。
【0217】
前記得られた結果を
図40に示した。
図40で、「対照群」は野生型クァンアン豆を意味し、「10ALFM」はCyPPO10 A167L+F360M形質転換体大豆を意味する。
図40に示されているように、対照群と比較して、CyPPO10変異遺伝子形質転換大豆は比較的に高濃度の除草剤処理時にも薬害がほとんど示されないのが分かる。
【0218】
8−3.形質転換大豆内挿入遺伝子数確認
CyPPO10A 167L+F360M形質転換大豆2、23番ラインの葉250mgでゲノムDNA(genomic DNA)抽出して形質転換大豆内の挿入遺伝子数を確認した。
【0219】
前記ゲノムDNA(genomic DNA)抽出は、CTABバッファー方法を用いて行った。具体的に、液体窒素で凍らせた状態で乳棒と乳鉢を用いて前記形質転換大豆の葉組織を微細に擦った後、組織1g当り5mlのDNA isolation buffer(2%(w/v)CTAB、1.5M NaCl、25mM EDTA、0.2%(v/v)beta−mercaptoethanol、100mM Tris−Cl(pH8.0)を入れてボルテックス(vortexing)した。60℃で1時間以上加熱した後、クロロホルム(chloroform):イソアミルアルコール(isoamyl alcohol)(24:1)を1volume添加しインバーティング(inverting)して混合した。7000xgおよび4℃条件で10分間遠心分離(centrifuge)した後、上澄み液を新しいチューブに移して2.5volumeエタノールを混合した。5000xgおよび4℃条件で5分間遠心分離(centrifuge)した後、上澄み液を捨て、ペレットをTEバッファー(TE buffer)(LPSS)で溶かした。RNase A(Bioneer)を最終濃度20μg/mlで添加した後、37℃で30分間培養(incubation)した。1volumeのフェノール:クロロホルム(1:1)を入れて混合した後、10000xgおよび4℃条件で10分間遠心分離(centrifuge)し、上澄み液を新しいチューブに移した後、1volumeのクロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)を入れて混合した。10000xgおよび4℃条件で10分間遠心分離(centrifuge)し、上澄み液を新しいチューブに移した後、0.1volume NaOAc(pH5.2)と2volumeエタノールを添加して混合した。5000xgおよび4℃条件で5分間遠心分離(centrifuge)し、得られたDNAペレットを70%エタノールで洗浄した。空気乾燥(Air dry)した後、適正量のTEバッファー(TE buffer)でゲノムDNA(genomic DNA)を溶かした。
【0220】
前記抽出されたDNA10〜40μgをEcoRI(Enzynomics)を用いて12時間以上温浸(digestion)した。
【0221】
その後、下記の条件でアガロースゲル(agarose gel)0.8%(w/v)電気泳動(50V)後、ゲル処理(gel treatment)を行った:
1)脱プリン反応(depurination):0.25N HCl、15分間振盪(shaking)
2)変性(denaturation):0.5M NaOH、1.5M NaCl、30分間振盪(shaking)
3)中和(neutralization):0.5M Tris−Cl(pH7.5)、1.5M NaCl、20分間振盪(shaking)
そ の後、キャピラリートランスファー(capillary transfer)方法を用いてゲル内のDNA片をニトロセルロース膜(nitrocellulose membrane)(Amersham)に移した後、UV crosslinker(UVC−508;ULTRA LUM Inc.)を用いて架橋結合(cross linking)を行った。
【0222】
下記の方法で混成化(hybridization)を行った:前記ニトロセルロース膜(nitrocellulose membrane)をDIG Easyハイブリダイゼーション溶液(DIG Easyhybridization solution、Roche、11603558001)で42℃で3時間培養(incubation)した。その後、新たなDIG Easyハイブリダイゼーション溶液で交替した後、プローブ(probe)を入れて、42℃で12時間以上反応させた。
【0223】
前記プローブ(probe)は下記の方法で合成した:
Probe PCR
DIG dUTP(Jena bioscience)を用いてdigが標識されたbar遺伝子を増幅させ、この時使用されたプライマーは以下の通りである:
Forward primer for bar probe:5’−TTC CGT ACC GAG CCG CAG GA−3’(配列番号124)
Reverse primer for bar probe:5’−CGT TGG GCA GCC CGA TGA CA−3’(配列番号125)
PCR:Solgent e−Taqkit使用
条件:95℃5分後、94℃30秒、60℃30秒、72℃30秒を35cycle反復、72℃2分
前記反応した膜(membrane)に対してlow stringency washing(2X SSC、0.1%SDS)とhigh stringency washing(0.5X SSC、0.1%SDS)を行った。下記の条件でDIG検出(DIG detection)を行ってバンドを確認した:
1)膜をブロッキングバッファー(blocking buffer、Roche、11585762001)に入れて30分間振盪(shaking)
2)DIG抗体(anti−digoxigenin−AP Fab fragments、Roche)を入れて30分間振盪(shaking)
3)洗浄バッファー(Roche)で15分間振盪(shaking)
4)検出バッファー(Roche)を入れて3分間振盪(shaking)
5)CDP−Star、ready−to−use(Roche)を膜(membrane)に塗布した後、X線フィルム(x−ray film)でバンド(band)を現像する。
【0224】
比較のために、形質転換していないクァンアン豆のゲノムDNA(genomic DNA)を用いて同一な試験を行った(陰性対照群(negative control);WT)。
【0225】
前記得られた結果を
図39に示した。
図39で、フィルム上に示されるバンドの数が挿入された遺伝子の数を意味する。
図39に示されているように、CyPPO10 A167L+F360M遺伝子の挿入個体である2、23番ラインそれぞれの形質転換体で一つのバンドが観察されたので、挿入遺伝子が単一コピー(single copy)で存在するのを確認することができる。
【0226】
実施例9:PPO変異体と配列相同性を有する蛋白質の活性試験
CyPPOプラスミド(pACBBベクター)を鋳型(template)にして以下の条件でエラープロンPCR(error−prone PCR)を行って、CyPPO内ランダム(random)突然変異を誘導した:
鋳型(Template) 0.5μl
10Xバッファー 5μl
10mM MnCl
2 1.5μl
dNTP 5μl
e−Taq(Solgent社) 1μl
フォワードプライマー(forward primer)(100μM) 0.5μl
リバースプライマー(reverse primer)(100μM) 0.5μl
DDW 36μl
総50μl
10Xバッファー:100mM Tris−Cl、pH8.3;500mM KCl、70mM MgCl
2、0.1%(w/v)ゼラチン(gelatin)
dNTP:10mM dATP、10mM dGTP、100mM dCTP、100mM dTTP
94℃ 3min;(94℃ 30sec、57℃ 30sec、72℃ 1.5min、72℃ 5min)35cycles
プライマー配列:
CyPPO10_BamHI F
ccccggatccATGATTGAAGTGGATGTGGCTA(配列番号126)
CyPPO10_XhoI R
ccccctcgagTGATTGTCCACCAGCGAGGTAAG(配列番号127)
CyPPO13_BamHI F
ccccggatccATGAACCCTGCTACCCCTGAAC(配列番号128)
CyPPO13_XhoI R
cccctcgagCACCTGTGATAACAACTGCTGAG(配列番号129)
前記得られたエラープロン(error−prone)PCR産物(PCR product)をアガロースゲル(agarose gel)に電気泳動した後、ゲル溶出(gel elution)し、pACBBベクターとPCR産物(PCR product)をBamHI、XhoI制限酵素で消化(digestion)した。制限酵素処理されたベクターとPCR産物(PCR product)をアガロースゲル(agarose gel)に電気泳動した後、ゲル溶出(gel elution)し、ライゲーション(ligation)した。ライゲーション産物(Ligation product)をBT3コンピテントセル(BT3 competent cell)に形質転換し、コロニーPCR(colony PCR)した後、突然変異CyPPOの配列(sequence)を確認した。突然変異が確認されたクローン(clone)をチアフェナシルまたはサフルフェナシルが濃度別(0、50、100、200μM)に含まれているLBプレート(LB plate)にスポッティング(spotting)して大腸菌の生長を調査した。突然変異クローンの中で、最終の下のクローンが除草剤抵抗性突然変異として選抜された:
CyPPO10m−6:9個アミノ酸変異(E225G、G258S、Q266L、T336I、V356F、F360M、A364D、R406G、W419R)含む;遺伝子配列−配列番号130、アミノ酸配列−配列番号131(野生型CyPPO10アミノ酸配列と98%配列相同性)
前記CyPPO10m−6の突然変異遺伝子を挿入したBT3形質転換体の除草剤抵抗性を確認して、その結果を
図41に示した。
図41で、「AtPPO1 WT」は野生型シロイヌナズナPPO1、「AtPPO1 SLYM」はY426MおよびS305L変異を含む変異型シロイヌナズナPPO1、「CyPPO10 WT」は野生型CyPPO10、「CyPPO10m−6」は前述のCyPPO10変異体をそれぞれ示す。
【0227】
図41のように、野生型CyPPO10アミノ酸配列基準98%以上の配列相同性を有する変異体は200μMの高濃度チアフェナシルまたはサフルフェナシルを含有する培地でも野生型と同等程度の生存を示すのを確認することができる。このような結果は、野生型と98%以上の配列相同性を有するCyPPO10変異体は野生型の除草剤抵抗性(除草剤含有培地での生存率)を維持しているのを示す。