特許第6891230号(P6891230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000002
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000003
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000004
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000005
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000006
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000007
  • 特許6891230-エレベータ制御装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891230
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   B66B1/14 L
   B66B1/14 K
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-136993(P2019-136993)
(22)【出願日】2019年7月25日
(65)【公開番号】特開2021-20754(P2021-20754A)
(43)【公開日】2021年2月18日
【審査請求日】2019年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 圭一
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/105124(WO,A1)
【文献】 特開2017−001794(JP,A)
【文献】 特開2014−234275(JP,A)
【文献】 特開2006−016124(JP,A)
【文献】 特開2013−220885(JP,A)
【文献】 特開2017−001812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の行先階を登録するために乗りかご外に設置されている行先階登録装置と接続されるエレベータ制御装置において、
前記行先階登録装置において登録された行先階を示す呼び情報を受信する受信手段と、
前記呼び情報が受信された場合に、予め定められている乗場に前記乗りかごを着床させる制御手段と
を具備し、
前記制御手段は、前記乗場に着床した乗りかご内に設けられている操作盤に対して予め定められている操作が行われた場合に、前記受信された呼び情報によって示される行先階に基づいて前記乗りかごの昇降動作を制御し、
前記操作盤は、前記行先階登録装置において登録可能な複数の行先階の各々に対応する複数の行先階ボタンを含み、
前記予め定められている操作は、前記受信された呼び情報によって示される行先階に対応する行先階ボタンに対する操作を含む
エレベータ制御装置。
【請求項2】
記乗りかごが前記乗場に着床した際に、前記操作盤に含まれる複数の行先階ボタンのうち前記受信された呼び情報によって示される行先階に対応する行先階ボタンを点滅させる通知手段を更に具備し
前記予め定められている操作は、前記点滅させている行先階ボタンを押下する操作を含む
請求項1記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記操作盤に対して前記予め定められている操作が行われない場合、前記受信された呼び情報をキャンセルする請求項1記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記乗りかごが前記乗場に着床した後、予め定められた期間が経過した場合に、前記受信された呼び情報をキャンセルする請求項記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記乗りかご内の積載量を受信し、
前記制御手段は、前記受信された積載量に基づいて、前記乗りかごに前記利用者が乗車していないと判定された場合、前記受信された呼び情報をキャンセルする
請求項記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記受信手段は、前記乗りかご内を撮像するカメラによって撮像された画像を受信し、
前記制御手段は、前記受信された画像に基づいて、前記乗りかごに前記利用者が乗車していないと判定された場合、前記受信された呼び情報をキャンセルする
請求項記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記受信手段は、前記乗りかご内の人物を検知するセンサによる検知結果を受信し、
前記制御手段は、前記受信された検知結果に基づいて、前記乗りかごに前記利用者が乗車していないと判定された場合、前記受信された呼び情報をキャンセルする
請求項記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記受信された呼び情報がキャンセルされる前に、当該呼び情報のキャンセルに関する通知を出力する通知手段を更に具備する請求項のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記行先階登録装置は、当該行先階登録装置において登録可能な複数の行先階の各々に対応する行先階ボタンを含み、当該複数の行先階ボタンのうち前記利用者によって押下された行先階ボタンに対応する行先階を登録する請求項1〜のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【請求項10】
前記行先階登録装置は、前記利用者が通過するセキュリティゲート装置によって読み取られた当該利用者に割り当てられたコードに応じた行先階を登録する請求項1〜のいずれか一項に記載のエレベータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータが設置されている建物の各階の乗場には、乗場呼びボタンが設置されている。利用者によってこの乗場呼びボタンが押下されると、当該乗場呼びボタンに対応する出発階(利用者が乗りかごに乗車する乗場)が登録され、乗りかごが当該出発階に移動する。これにより、利用者は、出発階において乗りかごに乗車することができる。
【0003】
また、乗りかごには操作盤が設置されており、当該操作盤にはかご呼びボタンが設けられている。乗りかごに乗車した利用者によってこのかご呼びボタンが押下されると、当該かご呼びボタンに対応する行先階(利用者が乗りかごから降車する乗場)が登録され、乗りかごが当該行先階に移動する。これにより、利用者は、行先階において乗りかごから降車することができる。
【0004】
ところで、近年、乗りかご外(例えば、乗場)において行先階を登録可能な行先階登録装置を備えたエレベータシステムが実用化されている。
【0005】
このようなエレベータシステムは、例えば複数の乗りかごを備えており、行先階登録装置を操作することによって登録された行先階に基づいて当該複数の乗りかごの中から最適な乗りかごを割り当てることができる。これによれば、利用者は、乗りかご内で行先階を登録する必要はなく、割り当てられた乗りかごに乗車して行先階に移動することができる。
【0006】
しかしながら、上記したエレベータシステムにおいては、例えば行先階登録装置の設置位置から利用者が乗車すべき乗りかごの乗場まで距離がある場合があり、利用者が当該乗りかごに乗ることができない(乗り遅れる)場合がある。この場合、利用者が乗車していないにもかかわらず乗りかごが行先階に移動することになり、効率的なエレベータシステムの運行が阻害される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5856977号公報
【特許文献2】特許第6301513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、エレベータシステムの効率的な運行を実現することが可能なエレベータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、利用者の行先階を登録するために乗りかご外に設置されている行先階登録装置と接続されるエレベータ制御装置が提供される。前記エレベータ制御装置は、前記行先階登録装置において登録された行先階を示す呼び情報を受信する受信手段と、前記呼び情報が受信された場合に、予め定められている乗場に前記乗りかごを着床させる制御手段とを具備する。前記制御手段は、前記乗場に着床した乗りかご内に設けられている操作盤に対して予め定められている操作が行われた場合に、前記受信された呼び情報によって示される行先階に基づいて前記乗りかごの昇降動作を制御する。前記操作盤は、前記行先階登録装置において登録可能な複数の行先階の各々に対応する複数の行先階ボタンを含む。前記予め定められている操作は、前記受信された呼び情報によって示される行先階に対応する行先階ボタンに対する操作を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態におけるエレベータシステムの概要について説明するための図。
図2】行先階登録装置の一例を示す図。
図3】エレベータシステムの構成の一例を示す図。
図4】エレベータ制御装置の機能構成の一例を示す図。
図5】エレベータシステムの処理手順の一例を示すシーケンスチャート。
図6】エレベータ制御処理の処理手順の一例を示すフローチャート。
図7】乗場に着床した乗りかご内に設置されている操作盤の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態におけるエレベータシステムの概要について説明する。
【0012】
ここでは、例えばオフィスビルまたはマンションビルのような建物1において、当該建物1の予め定められた階(以下、基準階と表記)の入口等にセキュリティゲート装置10が設置されている場合を想定する。なお、図1に示す例では、1つのセキュリティゲート装置10のみが示されているが、セキュリティゲート装置10は複数設置されていてもよい。
【0013】
セキュリティゲート装置10は、例えばオートロック式のゲート(ドア)11と、利用者の行先階を登録するための行先階登録装置12とを備えている。
【0014】
また、建物1内には、複数台(図1に示す例では、3台)のエレベータ(以下、乗りかごと表記)20が設置されている。なお、図1に示すように乗りかご20が3台設置されている場合、当該乗りかご20の各々は、例えば「A号機」、「B号機」及び「C号機」等と称される。
【0015】
上記したようなエレベータシステムによれば、利用者は、セキュリティゲート装置10を通過することによって、乗りかご20に乗車し、当該利用者の所望の階(行先階登録装置12において登録された行先階)に移動することが可能となる。
【0016】
なお、セキュリティゲート装置10にはゲート操作装置(図示せず)が設けられており、利用者は、当該ゲート操作装置を操作することによってゲート11を開放(解錠)することができるものとする。
【0017】
図2は、行先階登録装置12の一例を示す。行先階登録装置12は、複数の行先階ボタン(数字キー)12aを含む。この複数の行先階ボタン12aは、それぞれ行先階登録装置12において登録可能な複数の行先階(つまり、利用者が乗りかご20から降車可能な乗場)の各々に対応している。
【0018】
これによれば、例えば行先階登録装置12に含まれる複数の行先階ボタン12aのうちの「9」が付された行先階ボタン12aが利用者によって押下(指定)された場合には、当該利用者の行先階として「9階」を登録することができる。他の行先階ボタン12aが押下された場合には同様に当該行先階ボタン12aに対応する行先階を登録することができる。
【0019】
また、行先階登録装置12は、ディスプレイ12bを更に含む。このディスプレイ12bには、後述するように行先階を登録した利用者が乗車すべき乗りかご20(A号機、B号機またはC号機)が表示される。
【0020】
なお、図2に示す行先階登録装置12は、上記したゲート操作装置として利用されてもよい。この場合には、例えば行先階登録装置12に含まれる複数の行先階ボタン(数字キー)12aを順次押下することによって、例えば利用者に割り当てられているコード(以下、利用者コードと表記)に相当する数字の組み合わせが当該行先階登録装置12に入力された場合に、ゲート11が開放される構成とすることができる。
【0021】
また、ゲート操作装置は、行先階登録装置12とは別個の装置であって、例えば利用者が所持するセキュリティカードから利用者コードを読み取ることが可能な装置であってもよい。この場合には、ゲート操作装置によってセキュリティカードから利用者コードが読み取られた際にゲート11を開放する構成とすることができる。ゲート操作装置は、セキュリティカードが挿入されることによって利用者コードを読み取るように構成されていてもよいし、非接触で当該セキュリティカードから利用者コードを読み取るように構成されていてもよい。
【0022】
ここで、本実施形態におけるエレベータシステムは、例えば行先階制御システム(DCS:Destination Control System)と称され、複数の乗りかご20(つまり、各号機)の運転を群管理制御する機能を有するものとする。このようなエレベータシステムによれば、上記した行先階登録装置12において登録された行先階に基づいて複数の乗りかご20の中から最適な乗りかご20(号機)を選択し、当該乗りかご20の昇降動作を制御することによって、エレベータシステムの効率的な運行を実現することができる。
【0023】
ところで、上記した図1に示す例の場合、セキュリティゲート装置10(行先階登録装置12)の設置場所から乗りかご20(乗場2)までの間には一定の距離がある(つまり、離れている)。このような場合には、行先階登録装置12において登録された行先階に基づいて選択された乗りかご20が当該乗場2に着床した時点で、利用者が乗場2に到着しておらず、当該利用者が乗車する前に乗りかご20が移動(昇降動作)を開始する可能性がある。
【0024】
このような場合には、利用者が乗車していない乗りかご20が当該利用者の行先階に移動することになり、エレベータシステムの効率的な運行を阻害する。
【0025】
また、上記したように行先階登録装置12において登録された行先階に基づいて選択された乗りかご20(A号機、B号機またはC号機)は、行先階登録装置12のディスプレイ12aに表示されることによって当該行先階を登録した利用者に提示される。しかしながら、他の乗りかご20の運転状況によっては、利用者は、提示された乗りかご20(つまり、利用者が乗車すべき乗りかご20)以外の乗りかご20に乗車してしまう場合がある。このような場合においても、利用者が乗車すべきであった乗りかご20は当該利用者が乗車していないにもかかわらず移動することになり、エレベータシステムの効率的な運行を阻害する。
【0026】
そこで、本実施形態におけるエレベータシステムは、上記したエレベータシステムの効率的な運行を実現するための構成を有する。以下、本実施形態におけるエレベータシステムについて詳細に説明する。
【0027】
まず、図3は、本実施形態におけるエレベータシステムの構成の一例を示す。図3に示すように、エレベータシステムは、上記した行先階登録装置12及び複数の乗りかご20に加えて、群管理制御装置30及び複数のエレベータ制御装置40を備える。
【0028】
群管理制御装置30は、行先階登録装置12と通信可能に接続されており、行先階登録装置12において登録された行先階に基づいて、複数の乗りかご20の中から利用者を当該行先階に移動させるための最適な乗りかご20(号機)を選択する。
【0029】
複数のエレベータ制御装置40の各々は、群管理制御装置30と例えば通信可能に接続されており、複数の乗りかご20(A号機、B号機及びC号機)の各々に対応している。複数のエレベータ制御装置40の各々は、当該エレベータ制御装置40に対応する乗りかご20の昇降動作を制御する機能を有する。
【0030】
次に、図4は、図3に示すエレベータ制御装置40の機能構成の一例を示す。なお、図4においては、図3に示す複数のエレベータ制御装置40のうちの1つのエレベータ制御装置40の機能構成について示されているが、当該複数のエレベータ制御装置40はそれぞれ同一の機能構成を有する。
【0031】
図4に示すように、エレベータ制御装置40は、受信部41、制御部42及び通知部43を含む。
【0032】
なお、本実施形態において、各部41〜43は、例えばエレベータ制御装置40のコンピュータに所定のプログラムを実行させること(すなわち、ソフトウェア)によって実現されてもよいし、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成によって実現されてもよい。
【0033】
ここで、行先階登録装置12において利用者の行先階が登録された場合、上記した基準階(乗場2)及び当該行先階を示す情報(以下、呼び情報と表記)が行先階登録装置12から群管理制御装置30に送信される。群管理制御装置30は、この呼び情報に基づいて最適な乗りかご20を選択する。このように群管理制御装置30において最適な乗りかご20が選択された場合、当該群管理制御装置30は、呼び情報を当該乗りかご20に対応するエレベータ制御装置40に送信する。
【0034】
この場合、受信部41は、群管理制御装置30によって送信された呼び情報を受信する。受信部41によって受信された呼び情報は制御部42に渡される。
【0035】
制御部42は、受信部41から渡された呼び情報に基づいて、エレベータ制御装置40に対応する乗りかご20(つまり、群管理制御装置30によって選択された乗りかご20)の昇降動作を制御する。
【0036】
通知部43は、上記した呼び情報に基づいて各種通知を行う機能を有する。なお、通知部43による通知の内容については後述する。
【0037】
次に、図5のシーケンスチャートを参照して、本実施形態におけるエレベータシステムの処理手順の一例について説明する。
【0038】
まず、エレベータシステムを利用する利用者は、セキュリティゲート装置10に含まれるゲート操作装置を操作することによってゲート11を開放して乗場2に向かう際に、当該セキュリティゲート装置10に含まれる行先階登録装置12を操作する(つまり、行先階ボタン12aを押下する操作を行う)ことによって行先階を登録することができる。
【0039】
このため、行先階登録装置12においては、利用者によって行先階ボタン12aを押下する操作が行われたか否かが判定される(ステップS1)。
【0040】
行先階ボタン12aを押下する操作が行われていないと判定された場合(ステップS1のNO)、ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0041】
一方、行先階ボタン12aを押下する操作が行われたと判定された場合(ステップS1のYES)、行先階登録装置12は、呼び情報を取得する(ステップS2)。
【0042】
なお、呼び情報は、上記したように利用者が乗りかご20に乗車する基準階(乗場2)及び利用者が乗りかご20から降車する行先階(当該利用者によって押下された行先階ボタン12aに対応する行先階)を示す情報である。
【0043】
ステップS2の処理が実行されると、行先階登録装置12は、当該ステップS2において取得された呼び情報を群管理制御装置30に送信する(ステップS3)。
【0044】
群管理制御装置30は、ステップS3において行先階登録装置12から送信された呼び情報を受信する。群管理制御装置30は、受信された呼び情報に対して、複数の乗りかご20(A号機、B号機、C号機)のうちの1つの乗りかご20(つまり、最適な号機)を割り当てる(ステップS4)。
【0045】
なお、呼び情報に対して1つの乗りかご20を割り当てる手法としては、一般的に知られている手法を用いることができる。具体的には、例えば1つの乗りかご20の現在の位置及び運転状況(運転方向等)に基づいて、行先階登録装置12から受信された呼び情報に対して当該乗りかご20を割り当てた(つまり、基準階及び行先階に基づいて当該乗りかご20の昇降運転を制御した)場合に当該乗りかご20が利用者を行先階に輸送するために必要な時間等を評価値として算出する。ステップS4においては、このような評価値を乗りかご20毎に算出することによって、当該評価値に基づいて最適な乗りかご20を決定(選択)し、当該乗りかご20を呼び情報に対して割り当てることができる。なお、ここでは呼び情報に対して1つの乗りかご20を割り当てる手法の一例について説明したが、ステップS4においては他の手法が用いられても構わない。
【0046】
以下の説明においては、ステップS4において呼び情報に割り当てられた乗りかご20を対象乗りかご20、当該対象乗りかご20に対応するエレベータ制御装置(つまり、対象乗りかご20の昇降動作を制御するエレベータ制御装置)40を対象エレベータ制御装置40と称する。
【0047】
ステップS4の処理が実行されると、群管理制御装置30は、呼び情報を対象エレベータ制御装置40に送信する(ステップS5)。
【0048】
対象エレベータ制御装置40(に含まれる受信部41)は、ステップS5において群管理制御装置30から送信された呼び情報を受信する。対象エレベータ制御装置40は、受信された呼び情報によって示される基準階及び行先階に基づいて対象乗りかご20の昇降動作を制御する処理(以下、エレベータ制御処理と表記)を実行する(ステップS6)。
【0049】
次に、図6のフローチャートを参照して、上記したエレベータ制御処理(図5に示すステップS6の処理)の処理手順の一例について説明する。エレベータ制御処理は、上記したように呼び情報を受信した対象エレベータ制御装置40によって実行される。
【0050】
まず、対象エレベータ制御装置40に含まれる制御部42は、上記したように受信部41によって受信された呼び情報(によって示される行先階)を仮登録する(ステップS11)。
【0051】
ステップS11の処理が実行されると、制御部42は、受信部41によって受信された呼び情報によって示される基準階に基づいて対象乗りかご20の昇降動作を制御する(ステップS12)。ステップS12の処理が実行された場合、制御部42は、基準階(乗場2)に対象乗りかご20を着床させる。
【0052】
ここで、本実施形態においてセキュリティゲート装置10(行先階登録装置12)は予め定められた乗場2(基準階)から乗りかご20に乗車する(エレベータを利用する)ために操作されるものであって、他の乗場から乗りかご20に乗車する際には、利用者は乗りかご20内に設置されている操作盤を操作して行先階を登録するものとする。なお、この操作盤には、利用者が乗りかご20から降車可能な複数の行先階に対応する複数の行先階ボタンが含まれている。
【0053】
上記したように対象乗りかご20が乗場2に着床した場合、通知部43は、上記したように対象乗りかご20内に設置されている操作盤に含まれる複数の行先階ボタンのうち、呼び情報によって示される行先階に対応する行先階ボタンを点滅させる(ステップS13)。これにより、通知部43は、対象乗りかご20に乗車した利用者に対して、当該利用者が登録した行先階を通知する。
【0054】
図7は、上記したように乗場2に着床した対象乗りかご20内に設置されている操作盤の一例を示す。図7に示すように、対象乗りかご20内に設置されている操作盤100には、複数の行先階ボタン101が含まれている。この複数の行先階ボタン101の各々は、利用者が乗りかご20から降車することが可能な行先階の各々に対応している。なお、複数の行先階ボタン101の各々は、行先階登録装置12に含まれる複数の行先階ボタン12aの各々と対応している。
【0055】
また、対象乗りかご20には当該対象乗りかご20に乗車するまたは当該対象乗りかご20から降車するためのドア(以下、かごドアと表記)が設置されているが、操作盤100には、当該かごドアの開閉を指示するための「開」ボタン102及び「閉」ボタン103が更に含まれる。
【0056】
ここで、上記した図6に示すステップS13に示す処理が実行された場合には、図7に示すように、複数の行先階ボタン101のうちの利用者の行先階(行先階登録装置12において登録された行先階)に対応する行先階ボタン101が点滅する。
【0057】
この場合、呼び情報によって示される基準階(乗場2)において対象乗りかご20に乗車した利用者は、点滅している行先階ボタン101に基づいて当該利用者の行先階を確認し、当該行先階ボタン101を押下する操作を行うことができる。
【0058】
なお、操作盤100はエレベータ制御装置40と接続されており、当該操作盤100に対する操作(つまり、利用者によって押下された行先階ボタン101の情報等)は、エレベータ制御装置40(制御部42)において検知することができる。
【0059】
再び図6に戻ると、制御部42は、対象乗りかご20内に設置されている操作盤100に含まれる複数の行先階ボタン101のうちの点滅している行先階ボタン(以下、対象行先階ボタンと表記)101を押下する操作が行われたか否かを判定する(ステップS14)。
【0060】
対象行先階ボタン101を押下する操作が行われたと判定された場合(ステップS14のYES)、制御部42は、上記したステップS11において仮登録された呼び情報を本登録する(ステップS15)。
【0061】
ステップS15の処理が実行された場合、制御部42は、本登録された呼び情報によって示される行先階に基づいて対象乗りかご20の昇降動作を制御する(ステップS16)。ステップS15の処理が実行された場合、制御部42は、呼び情報によって示される行先階(の乗場)に対象乗りかご20を着床させる。これにより、利用者は、行先階において対象乗りかご20から降車することができる。
【0062】
一方、対象行先階ボタン101を押下する操作が行われていないと判定された場合(ステップS14のNO)、制御部42は、上記したステップS12の処理が実行されることによって乗場2に対象乗りかご20が着床した後、所定期間(予め定められた期間)が経過したか否かを判定する(ステップS17)。
【0063】
所定期間が経過していないと判定された場合(ステップS17のNO)、ステップS14に戻って処理が繰り返される。
【0064】
一方、所定期間が経過したと判定された場合(ステップS17のYES)、通知部43は、呼び情報(によって示される行先階)のキャンセルに関する通知を出力する(ステップS18)。
【0065】
具体的には、対象乗りかご20内にスピーカーが設置されている場合、呼び情報のキャンセルに関する通知(音声)は当該スピーカーに出力される。また、対象乗りかご20内にディスプレイ(表示装置)が設置されている場合、呼び情報のキャンセルに関する通知(テキスト)は当該ディスプレイに出力(表示)される。
【0066】
なお、上記したように呼び情報を本登録する(つまり、当該呼び情報によって示される行先階に基づいて対象乗りかご20の昇降動作を制御する)ためには、対象乗りかご20内において利用者は対象行先階ボタン101を押下する操作を行う必要があるが、当該操作をしなければならないことを利用者が把握していない場合がある。このため、ステップS18においては、対象行先階ボタン101を押下する必要があること及び当該対象行先階ボタン101を押下する操作が行われない場合には呼び情報がキャンセルされること等が利用者に対して通知される。
【0067】
ステップS18の処理が実行されると、制御部42は、仮登録された呼び情報をキャンセルする(ステップS19)。本実施形態において、「呼び情報をキャンセルする」とは、呼び情報を破棄し、当該呼び情報によって示される行先階に対象乗りかご20を移動させる制御(つまり、当該行先階に基づく対象乗りかご20の昇降動作の制御)を行わないことをいう。
【0068】
なお、図6においては示されていないが、ステップS18の処理が実行された後、ステップS19の処理が実行されるまでの間には一定の期間が設定されており、上記した通知に基づいて当該期間中に利用者によって対象行先階ボタン101を押下する操作が行われた場合には、ステップS15以降の処理が実行されればよい。
【0069】
上記したように本実施形態においては、乗りかご20外に設置されている行先階登録装置12において登録された行先階を示す呼び情報が受信された場合に、予め定められている乗場2(基準階)に乗りかご20を着床させ、当該乗場2に着床した乗りかご20内に設けられている操作盤100に対して予め定められている操作が行われた場合に、当該呼び情報よって示される行先階に基づいて乗りかご20の昇降動作を制御する。なお、予め定められている操作とは、仮登録されている呼び情報を本登録するための操作(以下、本登録操作と表記)に相当する。
【0070】
ここで、上記した図1に示すように行先階登録装置12(セキュリティゲート装置10)と乗りかご20(乗場2)とが離れているような場合において、当該乗場2に利用者が到着していないにもかかわらず、当該乗りかご20を呼び情報によって示される行先階に移動させた場合には、当該呼び情報は無駄呼びとなる。また、利用者によって登録された行先階を示す呼び情報に対して割り当てられた乗りかご20以外の乗りかご20に当該利用者が乗車してしまうような場合についても同様に、当該呼び情報は無駄呼びとなる。このような無駄呼びの発生は、エレベータシステムにおける効率的な運行を妨げる要因となる。
【0071】
これに対して、本実施形態においては、上記したように行先階登録装置12において行先階が登録された場合であっても、乗りかご20内に設けられている操作盤100に対して本登録操作が行われない限り、当該乗りかご20の昇降動作の制御は行われない。すなわち、本実施形態においては、乗りかご20に利用者が乗車したことを確認した後に乗りかご20の昇降動作を制御することによって上記した無駄呼びの発生を回避し、エレベータシステムの効率的な運行を実現することができる。
【0072】
なお、上記したように乗りかご20外に設置されている行先階登録装置12において行先階を登録した利用者のID等を乗りかご20内で認識する(読み取る)ことによって無駄呼びの発生を回避する構成(以下、比較例と表記)が考えられるが、このような比較例の場合には、乗りかご20内にIDを認識する仕組みを用意する必要があり、導入コストがかかる。これに対して、本実施形態においては、既存の操作盤100を操作させるのみでよいため、比較例と比べて導入コストを低減することができる点で利点がある。
【0073】
また、本実施形態において、操作盤100は行先階登録装置12において登録可能な複数の行先階の各々に対応する複数の行先階ボタン101を含み、乗場2に乗りかご20が着床した場合には、呼び情報によって示される行先階に対応する行先階ボタン101を点滅させる。この場合、上記した操作盤100に対する本登録操作には、点滅している行先階ボタン101を押下する操作が含まれる。
【0074】
このような構成によれば、利用者が登録した行先階を当該利用者に通知することができるとともに、利用者は、乗りかご20に乗車した際に行先階ボタン101の点滅を確認することによって、当該乗りかご20を行先階に移動させる(つまり、呼び情報を本登録する)ために必要な本登録操作を直感的に把握することができる。
【0075】
更に、本実施形態において、例えば行先階が異なる複数の呼び情報に対して1つの乗りかご20が割り当てられている場合には、当該異なる行先階の各々に対応する複数の行先階ボタン101を点滅させるものとする。この場合において、点滅している複数の行先階ボタン101のうちの一部の行先階ボタン101のみが利用者によって押下された場合には、当該利用者によって押下された一部の行先階ボタン101に対応する行先階にのみ乗りかご20を移動させる制御が実行されればよい。
【0076】
なお、上記した行先階ボタン101を押下する操作は本登録操作の一例であり、当該本登録操作は他の操作であってもよい。具体的には、本実施形態における操作盤100に対する本登録操作は、例えば操作盤100に含まれる「閉」ボタン103を押下する操作であってもよいし、上記した各種ボタン101〜103以外に設けられた本登録操作専用のボタンを押下する操作であってもよい。
【0077】
ここで、上記したように例えば行先階登録装置12において行先階を登録した利用者が当該行先階を示す呼び情報に対して割り当てられた乗りかご20以外の乗りかご20に乗車した場合、当該呼び情報に対して割り当てられた乗りかご20には利用者が乗車しないにもかかわらず、当該乗りかご20は本登録操作が行われるまで待機することになり、エレベータシステムの効率的な運行を阻害する。
【0078】
このため、本実施形態においては、操作盤100に対して本登録操作が行われない場合、仮登録されている呼び情報をキャンセルする。具体的には、呼び情報は、乗りかご20が乗場2に着床した後、予め定められた期間が経過した場合にキャンセルされる。このような構成によれば、上記したように本登録操作が行われるまで乗りかご20が長期間待機してしまうような事態を回避することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態においては、上記したように呼び情報がキャンセルされる前に、当該呼び情報のキャンセルに関する通知が出力される。このような構成によれば、例えば本登録操作が必要であることを把握していない利用者が乗りかご20に乗車したまま待機しているような状況において、当該利用者に対して本登録操作が必要であること及び当該本登録操作がされない場合には呼び情報がキャンセルされること等を通知し、当該本登録操作を当該利用者に対して促すことが可能となる。
【0080】
なお、本実施形態においては、図6に示すステップS17において所定期間が経過したと判定された場合にステップS18及びS19の処理が実行されるものとして説明したが、乗りかご20内に利用者がいる場合は上記したように本登録操作を行っていないだけであり、呼び情報をキャンセルすべきでない場合が多い。
【0081】
また、一般的にエレベータシステム(乗りかご20)には最大積載量が設定されていることから、各乗りかご20には当該乗りかご20内の積載量(乗りかご20に乗車している利用者等の重量)を計測する積載量検出器が設けられている。
【0082】
そこで、本実施形態においては、図6に示すステップS17において所定期間が経過したと判定され、かつ、乗りかご20に設けられている積載量検出器によって計測された当該乗りかご20内の積載量に基づいて当該乗りかご20に利用者が乗車していないと判定された場合に、ステップS18及びS19の処理が実行される(つまり、呼び情報がキャンセルされる)構成としてもよい。なお、積載量検出器によって計測された積載量は、積載量検出器から送信され、エレベータ制御装置40(に含まれる受信部41)によって受信されればよい。また、乗りかご20に利用者が乗車しているか否かの判定処理は、例えば乗りかご20内の積載量が閾値以上であるか否か等に基づいて実行されればよい。このような構成によれば、乗りかご20に利用者が乗車しているにもかかわらず呼び情報がキャンセルされることを回避することができる。
【0083】
また、本実施形態においては乗りかご20に利用者が乗車していないにもかかわらず当該乗りかご20の昇降動作が制御される(乗りかご20を移動させる)という無駄呼びの発生を回避する構成でであればよいため、例えば上記した乗りかご20内の積載量に基づいて乗りかご20に利用者が乗車していると判定された場合には、本登録操作が行われていない場合であってもステップS15及びS16の処理が実行されるようにしてもよい。
【0084】
ここでは乗りかご20内の積載量に基づいて当該乗りかご20に利用者が乗車しているか否かが判定されるものとして説明したが、例えば乗りかご20内を撮像するかご内防犯カメラまたは乗りかご20内の人物を検知する人感センサ等を用いて乗りかご20に利用者が乗車しているか否かを判定する構成としてもよい。この場合、かご内防犯カメラによって撮像された画像または人感センサによる検知結果により乗りかご20に利用者が乗車していないと判定された場合に、ステップS18及びS19の処理が実行されればよい。
【0085】
なお、本実施形態においては、行先階登録装置12に含まれる行先階ボタン12aを利用者が押下することによって行先階が登録されるものとして説明したが、当該行先階ボタン12aは、物理的に配置されたボタンであってもよいし、例えば利用者の指の位置等を検出可能なタッチスクリーンディスプレイに表示されたボタンであってもよい。乗りかご20内に設置されている操作盤100に含まれる行先階ボタン101についても同様である。すなわち、本実施形態における「ボタンを押下する操作」には、物理的に配置されたボタンを押下する操作だけではなく、タッチスクリーンディスプレイに表示されたボタンを指定する操作(タッチ操作)等も含まれるものとする。
【0086】
また、本実施形態においては行先階登録装置12がセキュリティゲート装置10に含まれる(つまり、セキュリティゲート装置10と一体化して構成されている)ものとして説明したが、行先階登録装置12は、セキュリティゲート装置10等とは独立した単体の装置として設置されていてもよい。
【0087】
更に、セキュリティゲート装置10(ゲート操作装置)が上記したように利用者コード(利用者に割り当てられたコード)を用いてゲート11を開放する構成である場合、行先階登録装置12は、当該利用者コードに対応づけて予め登録されている行先階を自動的に登録するように構成されていてもよい。
【0088】
また、行先階登録装置12は、乗りかご20外に設置されていればよく、例えば基準階(つまり、利用者が乗りかご20に乗車する階)以外に設置されていてもよい。更に、行先階登録装置12は、利用者の行先階を登録することができる装置であればよく、例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ及び専用端末等の携帯端末であってもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、図3に示すように、群管理制御装置30、複数の乗りかご20の各々に対応する複数のエレベータ制御装置40の各々がそれぞれ別個の装置であるものとして説明したが、例えば群管理制御装置30及び複数のエレベータ制御装置40は一体として構成されていてもよい。更に、複数のエレベータ制御装置40のみが一体として構成されていてもよい。
【0090】
また、本実施形態においては、予め定められた乗場2(基準階)から乗りかご20に乗車するために行先階登録装置12が設置されており、他の乗場から乗りかご20に乗車するための行先階登録装置12は設置されていない(つまり、基準階にのみ行先階登録装置12が設置されている)ものとして説明したが、本実施形態は、乗りかご20内に本登録操作を行うための操作盤(例えば、行先階ボタン101、「開」ボタンまたは本登録操作専用のボタン等)が設置されているのであれば、全ての乗場に行先階登録装置12が設置されているようなエレベータシステムに適用されても構わない。
【0091】
更に、本実施形態においては、エレベータシステムが複数の乗りかご20の運転を群管理制御する機能を有する行先階制御システム(DCS)であるものとして説明したが、乗りかご20外に設置されている行先階登録装置12において行先階を登録する構成であれば、本実施形態は1つの乗りかご20のみを備えるエレベータシステム(エレベータ制御装置)に適用されても構わない。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
1…建物、2…乗場、10…セキュリティゲート装置、11…ゲート、12…行先階登録装置、12a…行先階ボタン、20…乗りかご、30…群管理制御装置、40…エレベータ制御装置、41…受信部、42…制御部、43…通知部、100…操作盤、101…行先階ボタン、102…「開」ボタン、103…「閉」ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7