特許第6891293号(P6891293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6891293振動性ダイヤフラムに組み込まれた圧電セラミック変換素子を有する音響変換器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891293
(24)【登録日】2021年5月28日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】振動性ダイヤフラムに組み込まれた圧電セラミック変換素子を有する音響変換器
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20210607BHJP
   H04R 31/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   H04R17/00 330G
   H04R31/00 330
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-552621(P2019-552621)
(86)(22)【出願日】2018年3月23日
(65)【公表番号】特表2020-511906(P2020-511906A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(86)【国際出願番号】EP2018057486
(87)【国際公開番号】WO2018177945
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年9月23日
(31)【優先権主張番号】102017205375.5
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヘンネベルク,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ゲアラッハ,アンドレ
【審査官】 西村 純
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102015106044(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102007010500(DE,A1)
【文献】 特開2000−121739(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0148633(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0124564(US,A1)
【文献】 特開2016−214177(JP,A)
【文献】 特開2006−203563(JP,A)
【文献】 特開2003−143685(JP,A)
【文献】 特開2003−284190(JP,A)
【文献】 特表2009−540706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能群(2)を備え、該機能群(2)がダイヤフラムポット(6)と少なくとも1つの電気音響変換素子(3)とを有し、さらにハウジング(5)を備え、前記ダイヤフラムポット(6)が振動性ダイヤフラム(8)と壁(7)とを有し、前記変換素子(3)が、前記ダイヤフラム(8)を励起して振動させるように、および/または前記ダイヤフラム(8)の振動を電気信号に変換するように形成されており、少なくとも前記ダイヤフラムポット(6)がプラスチック材料から形成されている、音響変換器(1)において、
前記少なくとも1つの変換素子(3)が、前記振動性ダイヤフラム(8)に組み込まれており、前記プラスチック材料が前記変換素子(3)を部分的に包囲するように、前記振動性ダイヤフラム(8)と結合され、前記変換素子(3)が、圧電セラミック素子として形成され
前記少なくとも1つの変換素子(3)が、実質的にディスク状に形成されており、かつ第1表面(15)と該第1表面(15)の向かい側に位置する第2表面(13)とを有し、前記少なくとも1つの変換素子(3)が、前記第1表面(15)が前記ダイヤフラムポット(6)の放射方向(17)に露出するように、前記ダイヤフラム(8)に組み込まれていることを特徴とする、音響変換器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの変換素子(3)が、付加的接着層なしに前記振動性ダイヤフラム(8)に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の音響変換器。
【請求項3】
前記音響変換器(1)が電気導体(18)を有し、前記変換素子(3)が、前記電気導体(18)によって接触させられる電極(23、25)を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか1項に記載の音響変換器。
【請求項4】
第1電極(25)が、前記変換素子(3)の第1表面(15)に形成されており、第2電極(23)が、前記変換素子(3)の前記第1表面(15)の向かい側に位置する第2表面(13)に形成されていることを特徴とする、請求項に記載の音響変換器。
【請求項5】
前記変換素子が周囲接触部(25’)を有し、該周囲接触部(25’)によって、前記第1電極(25)が、前記変換素子(3)の縁(14)を介して前記第2表面(13)へ案内され、前記第1電極はそこで接触面(25’’)を形成することを特徴とする、請求項に記載の音響変換器。
【請求項6】
前記ハウジング(5)と前記機能群(2)とがワンピースに形成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の音響変換器。
【請求項7】
前記振動性ダイヤフラム(8)が、低減された厚さを有する領域(4)および/または増加した厚さを有する領域(4’)を備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の音響変換器。
【請求項8】
超音波センサであって、請求項1〜のいずれか1項に記載の音響変換器(1)を有する、超音波センサ。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか1項に記載の音響変換器(1)の機能群(2)を製造する方法であって、
a)圧電セラミック素子として形成された少なくとも1つの変換素子(3)がプラスチック加工具のキャビティに入れられ、
b)前記キャビティにプラスチック材料が注入され、前記変換素子(3)が、前記プラスチック材料によって部分的に包囲され、それによって振動性ダイヤフラム(8)と壁(7)とを有するダイヤフラムポット(6)が形成され、前記少なくとも1つの変換素子(3)が前記振動性ダイヤフラム(8)に組み込まれ
前記少なくとも1つの変換素子(3)が、実質的にディスク状に形成されており、かつ第1表面(15)と該第1表面(15)の向かい側に位置する第2表面(13)とを有し、前記少なくとも1つの変換素子(3)が、前記第1表面(15)が前記ダイヤフラムポット(6)の放射方向(17)に露出するように、前記ダイヤフラム(8)に組み込まれている、方法。
【請求項10】
前記プラスチック加工具のキャビティが、ステップ(b)において前記機能群(2)が前記音響変換器(1)のハウジング(5)とワンピースに形成されるように形成されていることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤフラムポットと変換素子とハウジングとを備えており、ダイヤフラムポットがダイヤフラムと壁とを有する、音響変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、とりわけ自動車および工業用途において周辺を検出するために用いられる。超音波センサによって超音波信号が送信され、物体に反射した超音波エコーが再び受信されることにより周辺にある物体を認識することができる。超音波信号の送信と超音波エコーの受信との間の伝搬時間と既知の音速とから物体との距離を算出することができる。
【0003】
超音波センサは、典型的には、ダイヤフラムと変換素子とハウジングとを有する音響変換器を備えている。変換素子は、例えば電圧を印加してダイヤフラムを振動させるか、もしくは超音波エコーを受信するために、ダイヤフラムの前の音圧によって励起されたダイヤフラムの振動を電気信号に変換する圧電セラミック素子である。このような音響変換器は従来技術から知られており、これについては例えば特許文献1を参照されたい。
【0004】
圧電セラミック素子とダイヤフラムの底部との接続は、通常、接着プロセスによって行われる。接着プロセスは、製造プロセスにおいてのみならず作動中にも故障を起こしやすい。超音波センサの機能群とハウジングとは別々の部品として製造され、続いて接合される。
【0005】
特許文献2は、少なくとも1つの圧電素子を有する共振器を備えた音響変換器を記載する。共振器は、同じ材料からなるダイヤフラムおよび取り囲む外周面とを有する、ダイヤフラムポットとしてワンピースに形成されている。ダイヤフラムポットは、例えばポリビニリデンフルオライド(PVDF)などのポリマー材料または圧電セラミック材料から製造されている。ダイヤフラムの1つまたは複数の領域が分極化され、それにより圧電的にアクティブな領域が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012201884号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102013222076号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のことを出発点として、本発明の課題は、製造方法を簡略化した、かつ構造を簡略化した音響変換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、特に超音波センサのための音響変換器が提案される。
【0009】
音響変換器は機能群を備え、該機能群がダイヤフラムポットと少なくとも1つの電気音響変換素子とを有する。さらに、音響変換器はハウジング(5)を備えている。ダイヤフラムポットは、振動性ダイヤフラム、および取り囲む壁、ならびに少なくとも1つの電気音響変換素子を備え、変換素子は、ダイヤフラムを励起して振動させるように、および/またはダイヤフラムの振動を電気信号に変換するように形成されている。ダイヤフラムポットはプラスチック材料から形成されており、本発明によると、少なくとも1つの変換素子が、特に付加的な接着層なしに振動性ダイヤフラムに組み込まれており、変換素子は、圧電セラミック素子として形成されている。
【0010】
変換素子は、接触および制御すべき電極を1つまたは複数の表面に有している。これらの電極は導電層として形成されていてもよい。
【0011】
その場合、振動性ダイヤフラムに組み込まれる変換素子とは、変換素子がまず単独の部品として存在し、振動性ダイヤフラムを形成するときに、例えば射出成形法またはレジントランスファモールディング成形法によって、ダイヤフラムのプラスチック材料が変換素子を少なくとも部分的に包囲するように、振動性ダイヤフラムと結合されることと解されるべきである。
【0012】
振動性ダイヤフラムを含めたダイヤフラムポットのプラスチック材料として、例えば熱硬化性樹脂、またはこれに代えて熱可塑性樹脂を使用することができる。プラスチック材料として特に適しているのはエポキシ樹脂である。
【0013】
圧電セラミック素子として形成された変換素子を音響変換器の振動性ダイヤフラムに組み込むことによって電気機械的変換が可能になる。そのように形成されたセンサを音響、特に超音波の受信と送信とに用いることができる。ダイヤフラムの幾何形状によって、特定の所望の振動形および振動周波数を作ることができる。このために、例えば異なった厚さもしくは材料厚さを有するダイヤフラムの領域を形成することができる。通常の動作周波数は20〜250kHzの範囲であり、30〜80kHzの範囲の周波数が特によく適している。特に、振動性ダイヤフラムは、低減された厚さを有する領域および/または増加した厚さを有する領域を有していてもよい。この場合、ダイヤフラムは、好ましくは0.15mm〜5mmの範囲の、特に好ましくは0.2〜1mmの範囲の厚さもしくは材料厚さを有する。
【0014】
ダイヤフラムポットの機械的に中立の軸に対する(すなわち、曲げ荷重の場合に引張応力、圧縮応力、またはせん断応力を示さない「ゼロ線(Nulllinie)」とも呼ばれる部品の領域に対する)圧電セラミック素子の距離によって、圧電セラミックの高い機械的変形が生じ、それにより可能な限り大きい電気機械的変換効果を得ることができる。
【0015】
本発明により形成された音響変換器は、特に、部品点数を減らすことによって、従来技術と比べて製造コストが著しく低下するという利点を有する。さらに、製造において、別々の電気音響的変換素子もしくは電気機械的変換素子を振動性ダイヤフラムに結合するための誤りがちな接着結合を省略することができる。それによって組立プロセスがさらに簡略化される。従来技術から知られるような、変換素子を形成するために振動性ダイヤフラムのただ1つの特定の領域を後から分極化することも同様に回避される。
【0016】
本発明により形成された音響変換器は、例えば空気超音波によって距離を決定するセンサにおいて有利に使用することができる。液中で距離を決定するために使用することも同様に考えられる。ワンピースに形成することによって、およびその結果としての環境の影響に対するロバスト性によって、本発明により形成された音響変換器は、特に自動車における使用に適している。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態において、音響変換器のハウジングと機能群とはワンピースに、もしくは単一部品として形成されている。
【0018】
本発明により形成された音響変換器は、電気的接触のために、特に1つまたは複数の電気導体を有していてもよく、1つの変換素子または複数の変換素子は、1つのまたは複数の電気導体によって接触させられる。これらの導体に電気信号を印加することによって、知られているように変換素子の振動が励起され、この振動がダイヤフラムに伝達され、音響変換器によって音響信号、特に超音波信号の放射をもたらす(音響変換器の送信動作)。さらに、入射する音波がダイヤフラムを励起して振動させ、それによって変換素子において電圧信号が生成され、この電圧信号が導体によって取り出される(音響変換器の受信動作)。送信動作においてダイヤフラムを励起するべく電気信号を生成するため、および/または受信動作において変換素子に入射する音波によって生成された電圧信号を評価するために、導体は、信号を生成および/または評価するために形成された制御装置と、例えばプラグ接続により電気的に接続されていてもよい。
【0019】
本発明の好ましい一実施形態において、少なくとも1つの変換素子は、ディスク状に形成されており、かつ第1表面と、該第1表面の向かい側に位置する第2表面とを有している。変換素子は、第2表面がダイヤフラムポットの内部の方向に露出するように、ダイヤフラムに組み込まれている。この実施形態は、変換素子の第2表面が内部に向かって露出することにより、変換素子を簡単に電気的に接触させることができるという利点を提供する。この実施形態において、少なくとも1つの電気導体を、露出する第2表面上で直接接触させることができる。
【0020】
この実施形態において、圧電セラミック素子が、同一側の、すなわち同一表面の2つの電極を電気的に接触させることができるように形成されていることが好ましい。このために、圧電セラミック素子は、特に周囲接触部(Umkontaktierung)を有する。その場合、電極は、ダイヤフラムと接続された第1表面上で面全体に形成され、圧電セラミック素子の縁を介して第2表面へ案内され、電極はそこで接触面を形成する。
【0021】
これに代わる本発明の好ましい一実施形態において、少なくとも1つの変換素子がディスク状に形成されており、かつ第1表面と、該第1表面の向かい側に位置する第2表面とを有している。この場合、変換素子は、第1表面がダイヤフラムポットの放射方向に露出するように、ダイヤフラムに組み込まれていることが好ましい。その場合、ダイヤフラムの延在に対して垂直の方向であり、ダイヤフラムが励起され機械的に振動したときに音響信号が好ましくは放射される方向が放射方向と解される。変換素子のこの配置は、圧電素子が周囲の流体に直接結合するという利点を有する。このことは、特に高密度の流体の場合に有利である。この実施形態において、接触は、向かい側に位置する第2表面における周囲接触部によって行うことができる。
【0022】
本発明の第2の態様によると、射出成形またはレジントランスファモールディング成形を用いた本発明により形成された音響変換器の可能な製造方法が記載される。方法は、特に、
a)圧電セラミック素子として形成された少なくとも1つの変換素子がプラスチック加工具のキャビティに入れられ、
b)キャビティにプラスチック材料が注入され、変換素子がプラスチック材料によって少なくとも部分的に包囲され、それによって振動性ダイヤフラムと壁とを有するダイヤフラムポットが形成され、少なくとも1つの変換素子が振動性ダイヤフラムに組み込まれている、ステップを包含する。
【0023】
その場合、本発明による方法ステップa)およびb)は、必ずしもこの順序で行われなくてもよい。したがって、本発明の範囲内で、まずプラスチック材料がキャビティに注入され、時間的にこれに続いて少なくとも1つの、圧電セラミック素子として形成された変換素子をプラスチック加工具のキャビティに入れられることも可能である。しかし、まず圧電セラミック素子がキャビティに入れられ、続いてプラスチック材料が注入されることが好ましい。
【0024】
圧電セラミック素子の電気的接触は、特に、プラスチック加工具のキャビティに入れる前に、例えばピン、ワイヤ、または他の電気導体をはんだ付け、接合、または熱圧着によって行うことができる。その場合、後続の電気的接続を可能にするために、電気接点がプラスチックで濡れる前に適当な密封措置によって保護される。
【0025】
本発明による製造方法は、変換素子としての圧電セラミック素子をダイヤフラムに組み込むことにより、例えば超音波センサのための音響変換器の簡単かつ経済的な製造を可能にする。それによって、製造において電気音響的もしくは電気機械的変換素子を結合するための誤りがちな接着結合を省略することができ、それによって組立プロセスが簡略化される。液体状態のプラスチック材料は圧電セラミック素子を濡らし、続いて硬化するので、プラスチック材料と、そのようにして製造された音響変換器の変換素子である圧電セラミック素子との間に確実な付着が生じる。この確実な付着は、音響変換器の振動力学的(schwingungsmechanisch)特性の高い再現性をもたらす。さらに、接着相手の適用によって、例えば接着層厚さ、付着特性、または接着層の形状に公差を伴う接着層の必要がないので、音響変換器の振動力学的特性のロバスト性および再現性がさらに高まる。
【0026】
本発明の好ましい一実施形態において、プラスチック加工具のキャビティは、ステップb)において機能群が音響変換器のハウジングとワンピースに形成されるように形成されている。ワンピースであることによって、特に、完成した部品が、例えば湿気または汚れの侵入など、環境の影響に対して高められたロバスト性を有し、さらに、音響変換器の部品点数と、音響変換器を組み立てるために必要な作業工程の数が減るという利点が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】本発明の第1実施形態に係る音響変換器を模式的に示す図である。
図1b図1aによる音響変換器の機能群を拡大して示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る音響変換器の機能群を模式的に示す図である。
図3a】本発明の第3実施形態に係る音響変換器を模式的に示す図である。
図3b図3aによる音響変換器の機能群を拡大して示す図である。
図4】本発明の第4実施形態に係る音響変換器を模式的に示す図である。
図5a】本発明の図1図4に示された実施例の1つに係る音響変換器の変換素子の可能な実施形態を拡大した図である。
図5b】本発明の図1図4に示された実施例の1つに係る音響変換器の変換素子の可能な実施形態を拡大した図である。
図5c】本発明の図1図4に示された実施例の1つに係る音響変換器の変換素子の可能な実施形態を拡大した図である。
図6】本発明による方法の可能な一実施形態のフローチャートを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施例の以下の説明において同じ要素に同じ参照符号が付され、場合によってはこれらの要素についての説明の繰り返しが省略される。図は、本発明の主題を模式的に示すにすぎない。
【0029】
図1a)に、本発明の第1実施形態に係る音響変換器1の断面が模式的に示されている。音響変換器は、プラグハウジング11を有するハウジング5を備えている。音響変換器は、ハウジングとワンピースに形成されている機能群2を備えている。機能群は、振動性ダイヤフラム8と取り囲む壁7とを有するダイヤフラムポット6を備えている。ダイヤフラム8は、例えば円形または楕円形に成形されていてもよい。ダイヤフラムは、低減された壁厚を有する領域4を備えている。これらの領域の幾何形状によって音響変換器の振動挙動と共振周波数とが決まる。この例において、ダイヤフラムポット6はワンピースに形成されている。さらに、取り囲む壁7はハウジング5へ直接移行し、プラグハウジング11もハウジング5とワンピースに形成されている。さらに、音響変換器1は、本発明によると、圧電セラミック素子として形成されていて、振動性ダイヤフラム8に組み込まれている変換素子3を有している。
【0030】
図1b)に、第1実施例に係る音響変換器1の機能群2が拡大して示されている。この例において、変換素子3はディスクとして形成されており、第1表面15と、該第1表面の向かい側に位置する第2表面13と、取り囲む側面14とを有する。変換素子3は、第2表面13がダイヤフラムポット6の内部16の方向に露出するように、ダイヤフラムに組み込まれている。その際、変換素子は、変換素子3の第1表面15と側面14とがダイヤフラム8のプラスチック材料によって完全に包囲されて、第2表面13がダイヤフラムと面一に終端するように、ダイヤフラム8に組み込まれている。この実施形態において、圧電セラミック素子として形成された変換素子3は、同一側、すなわち同一表面の2つの電極を電気的に接触させることができるように形成されている。
【0031】
このことが図5に拡大して、および模式的にもう一度示されている。図5a)は、第1表面15を上から見た変換素子3を示す。図5b)は、変換素子3の断面を示す。図5c)は、第2表面13を上から見た、圧電セラミック素子として形成された変換素子3を示す。
【0032】
この例において、変換素子3の第1表面15は、面全体に形成された電極層25で覆われている。変換素子3は、側面14にわたって周囲接触部25’を有しており、この周囲接触部によって、第1電極25が圧電セラミック素子の縁を介して、第2表面13へ案内され、第1電極はそこで接触面25’’を形成する。第2表面13には、第2電極23が接触面25’’から電気的に切り離されて形成されている。接触面25’’および第2電極23上には、変換素子3を制御するための電気導体18が、例えばはんだ付けまたは接合によって接触させてある。
【0033】
図2において、本発明の第2実施例に係る音響変換器1の機能群2が拡大して示されている。この例において、変換素子3はディスクとして形成されており、第1表面15と、該第1表面の向かい側に位置する第2表面13とを有する。変換素子3は、第1表面15が音響変換器1の放射方向17に露出するように、ダイヤフラムに組み込まれている。この場合、変換素子の接触の電極は、図5と関連付けて説明されたものと同じか、または同等の仕方で形成されていてよい。そのために、例えばワイヤまたはピン(図示せず)などの電気導体が例えばダイヤフラム8のプラスチック材料に通されていてもよい。
【0034】
図3a)において、本発明の第3実施形態に係る音響変換器1の断面が模式的に示されている。音響変換器は、この場合もプラグハウジング11を有するハウジング5を備えている。音響変換器は、ハウジングとワンピースに形成されている機能群2を備えている。機能群は、振動性ダイヤフラム8と取り囲む壁7とを有するダイヤフラムポット6を備えている。音響変換器1は、さらに、本発明によると圧電セラミック素子として形成されていて振動性ダイヤフラム8に組み込まれている変換素子3を有する。
【0035】
図3b)において、第3実施例に係る音響変換器1の機能群2が拡大して示されている。この例でも、変換素子3はディスクとして形成されており、第1表面15と該第1表面の向かい側に位置する第2表面13と取り囲む側面14とを有する。変換素子3は、第2表面13がダイヤフラムポット6の内部16の方向に露出するように、ダイヤフラムに組み込まれている。その際、側面14は、ダイヤフラム8のプラスチック材料によって部分的にしか、または全く包囲されていない。その結果、製造プロセスにとって可能な利点が生じる。組み込まれるべき圧電セラミック素子をキャビティ内により簡単に配置、および固定することができる。さらに、この配置によって、中立軸(ゼロ線)に対する変換素子の距離がより大きくなる。
【0036】
図4において、本発明の例示的な第4実施形態に係る音響変換器1の断面が模式的に示されている。本発明の第4実施形態に係る音響変換器1の構造は、図3と関連付けて説明された本発明の第3実施形態に係る音響変換器の構造に実質的に相当する。唯一の違いは、本発明の第4実施形態では、ダイヤフラムの領域4’が増加した厚さ(材料蓄積部)を有することである。領域4’を形成することにより、音響変換器の共振周波数および音響変換器の指向特性(Richtcharakteristik)を適合させることができる。その際、領域4’は、均等(対称)に配置されていてもよいし、または不均等(非対称)に配置されていてもよい。
【0037】
図6は、本発明による音響変換器の機能群の本発明による製造方法のフローチャートを示す。
【0038】
ステップ100において、音響変換器の所望の形状に形状を適合させたキャビティを有するプラスチック加工具が提供される。
【0039】
ステップ200において、変換素子として予定されている圧電セラミック素子がキャビティに入れられる。オプションで、圧電セラミック素子の電極を接触させる電気導体がすでに設けられてもよい。
【0040】
ステップ300において、例えばエポキシ樹脂であるプラスチック材料がキャビティ内に注入され、それによって音響変換器の少なくとも機能群が形成され、それによって圧電セラミック素子がプラスチック材料によって少なくとも部分的に包囲される。キャビティが相応に形成されている場合、音響変換器の機能群だけでなくハウジングも1つの部品に形成することができる。
【0041】
ステップ400において、場合によっては凝固時間の後に、音響変換器の機能群、もしくは音響変換器の機能群とハウジングとを備える部品が取り出される。
【符号の説明】
【0042】
1 音響変換器
2 機能群
3 変換素子
4 低減された厚さの領域
4’ 増加した厚さの領域
5 ハウジング
6 ダイヤフラムポット
7 壁
8 ダイヤフラム
13 第2表面
15 第1表面
16 内部
17 放射方向
18 電気導体
23 第2電極
25 第1電極
25’ 周囲接触部
25’’ 接触面
図1a)】
図1b)】
図2
図3a)】
図3b)】
図4
図5a)】
図5b)】
図5c)】
図6