特許第6891387号(P6891387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6891387経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891387
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20210607BHJP
【FI】
   A61M1/00 160
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-556983(P2019-556983)
(86)(22)【出願日】2018年5月23日
(65)【公表番号】特表2020-517351(P2020-517351A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】KR2018005823
(87)【国際公開番号】WO2018217000
(87)【国際公開日】20181129
【審査請求日】2019年10月18日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0064098
(32)【優先日】2017年5月24日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0056442
(32)【優先日】2018年5月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ホン シク
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジェ ミン
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−099519(JP,A)
【文献】 特開平11−114070(JP,A)
【文献】 特開2003−159256(JP,A)
【文献】 米国特許第05492538(US,A)
【文献】 特表平06−502354(JP,A)
【文献】 特表2004−504865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経鼻胆管排液管の位置を口から鼻に移動させるために、鼻腔を通じて挿入された鼻腔挿入管を口から引き出し可能にする環状モジュールにおいて、
前記環状モジュールは、
口腔を通じて咽頭に挿入されるフック部と、
前記フック部の端部が連結されたフック取っ手と、
前記フック部の端部が連結された状態で前記フック取っ手に摺動可能に備えられて、摺動によって前記フック取っ手の端部から突出する前記フック部のサイズを調節する調節部と、
を含み、
前記フック取っ手上には、口腔及び咽頭に挿入配置される前記フック部の挿入深さを調節するために複数個の参照線の形態で第1印が設けられ、
前記調節部が摺動する前記フック取っ手上には、前記フック部のサイズを調節するために複数個の参照線の形態で第2印が設けられ、
前記第1印を用いて前記フック取っ手の口腔挿入深さを調節し、前記第2印を用いて前記フック部のサイズを調節することにより、患者の口腔及び咽頭に前記フック部が安定して挿設されるようにし、
前記フック部が咽頭に位置した状態で、鼻腔を通じて咽頭に挿入された前記鼻腔挿入管の端部が、前記フック部を通過する場合、前記フック取っ手を引っ張って、前記鼻腔挿入管を口外に引き出す構造である環状モジュール。
【請求項2】
経鼻胆管排液管の位置を口腔から鼻腔に移動させるために、口腔に挿入される環状モジュールと、
鼻腔を通じて咽頭に挿入された状態で前記環状モジュールによって口外に引き出されて、前記経鼻胆管排液管と連結される鼻腔挿入管と、を含み、
前記環状モジュールは、口腔を通じて咽頭に挿入されるわな形状のフック部と、前記フック部の端部に連結されるフック取っ手と、前記フック部の端部が連結された状態で前記フック取っ手に摺動可能に備えられて、摺動によって前記フック取っ手の端部から突出する前記フック部のサイズを調節する調節部と、を含み、
前記フック取っ手上には、口腔及び咽頭に挿入配置される前記フック部の挿入深さを調節するために複数個の参照線の形態で第1印が設けられ、
前記調節部が摺動する前記フック取っ手上には、前記フック部のサイズを調節するために複数個の参照線の形態で第2印が設けられ、
前記第1印を用いて前記フック取っ手の口腔挿入深さを調節し、前記第2印を用いて前記フック部のサイズを調節することにより、患者の口腔及び咽頭に前記フック部が安定して挿設されるようにすることを特徴とする経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置。
【請求項3】
前記フック取っ手は、平たいバー状に備えられることを特徴とする請求項2に記載の経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置。
【請求項4】
前記フック部は、前記フック取っ手の端部から下方に曲がった構造であることを特徴とする請求項2に記載の経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置。
【請求項5】
前記鼻腔挿入管は、中空の細長いフレキシブルチューブで製作され、一地点に多段の第3印が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経鼻的胆汁排液施術補助機器に係り、さらに詳細には、内視鏡を利用した胆管排液術の施術で、経鼻胆管排液管の位置を口から鼻に安全しながらも、容易かつ迅速に移動させるように施術することができる経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡的逆行性胆膵管造影術時には、施術者が鉗子あるいは指などを用いて胆汁排液管を口から鼻に位置させるように施術を施行した。
【0003】
内視鏡的経鼻胆管(endoscopic nasobiliary drainage;ENBD)排液術は、胆管結石、胆管腫瘍、胆管炎、乳頭部あるいは胆管閉鎖などの多様な疾患で広く用いられる施術であり、施術で排液管を口腔から鼻腔に移動させる術技は、必須的な過程である。内視鏡施術直後には、排液管が口を通じて出るが、それを鼻腔に移動させることは必須的であるが、煩わしい過程であるが、従来には鼻腔を通じてプラスチックチューブを口腔に取り出して排液管を連結して、再び鼻腔に通過させて移動させる方法を利用した。
【0004】
すなわち、一般的に胆汁排液管の位置を変更する場合、まず、柔らかい鼻腔挿入管を鼻に入れて、口腔内に位置した挿入管端を指で取るか、または鉗子で取った後に、鼻腔挿入管を口に取り出して胆汁排液管を連結させた後、再び鼻側に引っ張って、鼻腔内に胆汁排液管を取り出す過程を経なければならない。
【0005】
具体的に、図5を参照して、従来の胆汁排液管の位置を変更する施術過程について説明する。
【0006】
図5の1)番の図において、ENBDチューブは、初めに口を通じて出るが、図5の2)番の図において、補助用プラスチックチューブ(short plastic tube)を鼻に入れて、端を口蓋垂後に位置させ、図5の3)番の図では、口を開けた状態で開口器を除去し、プラスチックチューブ端を指または鉗子などを用いて口に取り出した状態で、図5の4)番の図でのように、補助用プラスチックチューブにENBDチューブを挿入する。以後、図5の5)番の図でのように、プラスチックチューブを鼻側方向に引っ張り、図5の6)番の図でのように、鼻にENBDチューブが移動すれば、ぴんと張って引っ張った後、補助用プラスチックチューブを除去する過程を経る。
【0007】
前記で補助用プラスチックチューブを口蓋垂後に位置させ、プラスチックチューブ端を指などを用いて取り出す段階は、施術補助器具が現在まで特にないために、指を口中に深く入れて、指先の感覚に依存してプラスチックチューブを取るか、または鉗子と医療用ペンライトとを用いて無理やりに口を開けた後、プラスチックチューブを取って取り出す方法を利用する。
【0008】
このような場合に、鼻腔挿入管端部の位置をいちいち目で確認するか、指先で触らなければならない煩わしさがあったという点、開口器(マウスピース)を抜かして施術しなければならなかったために、施術者が患者歯牙などに損傷を被らせることができるという点、施術中に無意識で患者の歯牙によって施術者の手に傷害を加えることができるという点及び鉗子に患者の口腔と歯牙とが損傷される場合が発生するという点などの問題点が発生した。
【0009】
また、患者が口を開けて初めて施術が可能なので、内視鏡のために口に飽きた開口器を抜かし、睡眠が覚めるまで待たなければならない短所が大きいので、開口器がある状態では、施術が不可能であるという問題点がある。
【0010】
前記のように、施術中に患者の歯牙、口腔粘膜損傷、施術時間遅延、施術失敗、胆管排液管離脱及び施術者の指負傷などが頻繁であるが、解決可能な代案は、現在までない状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】KR10−0610953B
【特許文献2】特開2013−099519
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記問題点を解消するために案出されたものであって、本発明の目的は、内視鏡を利用した胆管排液術の施術で、経鼻胆管排液管の位置を口から鼻に安全しながらも、容易かつ迅速に移動させるように施術することができる経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置を提供することである。
【0013】
一方、本発明に明示されていないさらに他の目的は、後述する詳細な説明及びその効果から容易に推論することができる範囲内で追加的に考慮される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を果たすための本発明による環状モジュールは、口腔を通じて咽頭に挿入されるフック部;及び前記フック部の端部が連結されたフック取っ手;を含み、前記フック部が咽頭に位置した状態で、鼻腔を通じて咽頭に挿入された前記鼻腔挿入管の端部が、前記フック部を通過した場合、前記フック取っ手を引っ張って、前記鼻腔挿入管を口外に引き出す構造である。
【0015】
前記目的を果たすための本発明による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置は、経鼻胆管排液管の位置を口腔から鼻腔に移動させるために、口腔に挿入される環状モジュール;及び鼻腔を通じて咽頭に挿入された状態で前記環状モジュールによって口外に引き出されて、前記経鼻胆と排液管と連結される鼻腔挿入管;を含み、前記環状モジュールは、口腔を通じて咽頭に挿入されるわな形状のフック部及び前記フック部の端部に連結されるフック取っ手を含む。
【0016】
前記フック取っ手は、平たいバー状に備えられ、前記フック部は、前記フック取っ手の端部から下方に曲がって備えられる。
【0017】
前記フック部の端部が連結された状態で前記フック取っ手に摺動可能に備えられて、摺動によって前記フック取っ手の端部から突出する前記フック部のサイズを調節する調節部をさらに含む。
【0018】
前記鼻腔挿入管は、中空の細長いフレキシブルチューブで製作され、一地点に多段の第3印が形成される。
【0019】
前記目的を果たすための本発明による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置の利用方法は、ユーザの口に締結された開口器の孔を通じて環状モジュールのフック部を口腔に押し込んで挿入する段階;鼻腔挿入管を鼻を通じて押し込んで、前記フック部の内側にフレキシブルチューブを通過させる段階;前記環状モジュールを口腔外に引っ張って、前記鼻腔挿入管が前記環状モジュールのフック部に引っ掛って出るようにする段階;及び前記フック部に引っ掛って出た鼻腔挿入管に経鼻排液管を連結した後、鼻に挿入された鼻腔挿入管を引っ張る段階;を含み、前記フック部を口腔に挿入する段階で、前記フック取っ手に備えられた長さ調節部を用いて、前記フック部のサイズを調節する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置は、経鼻胆管排液管の位置を口から鼻に移動させるために口腔に挿入されて、端部が咽頭(pharymx)に配される環状モジュール及び鼻孔を通じて鼻腔に挿入された状態で環状モジュールによって口外に排出されて、経鼻胆管排液管と連結される鼻腔挿入管を用いて、経鼻胆管排液管を鼻腔に移動させる過程を安定していながらも、単純化させて効率的に施行することができる。
【0021】
本発明は、フック取っ手に設けられた調節部を通じてフック部のサイズを調節することにより、患者の性別や体形、背のような身体的特性に合わせて使用することができるという長所がある。
【0022】
本発明は、フック部の口腔及び咽頭挿入時に、平たいバー状のフック取っ手が舌を押しながら口腔に挿入されることにより、口腔の空間が十分に確保されて、フック部の口腔及び咽頭挿入が円滑になされる。
【0023】
本発明は、弾性を有するフック部が下方に向けて柔らかいカーブを形成するように曲がって備えられることによって、フック部が口腔から咽頭に柔らかに移るので、フック部を咽頭に安定して挿入及び配置させるという長所がある。
【0024】
本発明は、施術時間を短縮し、歯牙/口腔粘膜損傷の危険を最小化し、施術者の負傷を予防することができる。
【0025】
本発明は、指などを利用した手技施術及び鉗子などの使用による感染の危険が予防される。
【0026】
本発明は、開口器が口腔に設けられている状態のままの睡眠中施術が可能な長所がある。
【0027】
本発明は、消毒及び再使用が可能であって、経済的かつ効率的な施術が可能な長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置を構成する環状モジュールの斜視図である。
図2図1の環状モジュールの作用によるフック部のサイズ調節形状を概略的に示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置を構成する鼻腔挿入管の斜視図である。
図4】本発明による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置を利用した施術過程を概略的に示す図面である。
図5】従来の胆汁排液管の位置を変更する施術過程を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され、単に本実施形態は、本発明の開示を完全にし、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図面上で同じ符号は、同じ要素を称する。
【0030】
各図面の構成要素に参照符号を付け加えるに当って、同じ構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されているとしも、可能な限り同じ符号を付しているという点に留意しなければならない。また、本発明を説明するに当って、関連した公知構成または機能についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0031】
また、本発明の構成要素を説明するに当たって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されるものではない。ある構成要素が、他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接に連結または接続されうるが、各構成要素の間に他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されうると理解しなければならない。
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置の構成及び作用を詳しく説明する。
【0033】
図1ないし図4を参照すれば、本発明の一実施形態による経鼻胆管排液管口腔−鼻腔位置変更装置は、経鼻胆管排液管10の位置を口から鼻に移動させるために口腔に挿入されて、端部が咽頭に配される環状モジュール100及び鼻孔を通じて鼻腔に挿入された状態で環状モジュール100によって口外に排出されて、経鼻胆管排液管10と連結される鼻腔挿入管200を含む。
【0034】
図1図2及び図4を参照すれば、環状モジュール100は、経鼻胆管排液管10を口腔から鼻腔に移動させるために、経鼻胆管排液管10に連結される鼻腔挿入管200を鼻腔から口外に引き出すのに使われる。環状モジュール100は、口腔を通じて端部が咽頭に挿入されるフック部110、フック部110の後端部が連結されるフック取っ手120及びフック取っ手120に備えられて、フック部110のサイズを調節する調節部130を含む。
【0035】
フック部110は、弾性を有するワイヤ材質で製作される。フック部110は、リングタイプで内部に貫通空間を有するわな形状に製作される。フック部110は、所定の直径を有するように製作され、ほぼ8〜12cmの直径を有するように形成されることが最も望ましい。フック部110は、口腔に挿入されて咽頭に一部または全体が位置する。フック部110は、フック取っ手120の先端部からほぼ15〜30°の角度で下方に曲がった状態で連結される。下方に曲がっているフック部110は、湾曲して曲がっている患者の口腔及び咽頭により安定して挿入・配置される長所がある。一方、性別や体形、背のような身体的特性によって患者ごとに口腔及び咽頭のサイズ及び深さが異なって形成される。これにより、本発明の一実施形態によるフック部110は、フック取っ手120の先端部からそのサイズを調節するように備えられる。
【0036】
フック部110のサイズは、フック取っ手120に備えられた調節部130によってなされうる。フック部110は、調節部130によってフック取っ手120の先端部から露出される領域が調節されることにより、サイズが調節される。例えば、フック取っ手120の先端部からフック部110が多く引き出されれば、フック部110のサイズが増加し、フック取っ手120の先端部からフック部110が少なく引き出されれば、フック部110のサイズが減少する。
【0037】
フック取っ手120は、平たいバー(bar)状に製作される。フック取っ手120は、所定の長さに備えられ、15cmの長さに製作されることが望ましい。フック取っ手120の先端部には、わな形状のフック部110が連結される。フック部110は、フック取っ手120に後端部が連結された状態で、フック取っ手120の内部に後端部が前後方向に移動することによって、フック取っ手120から露出される領域のサイズが調節される。フック部110が連結されたフック取っ手120は、フック部110と共に口腔に挿入される。口腔に挿入されるフック取っ手120は、前記のように、平たいバー状に備えられることによって、舌を安定して押しながら口腔に挿入される。このように、フック部110の口腔挿入時に、フック取っ手120を用いて舌を押すことにより、口腔の空間をさらに確保させうるので、フック部110の安定した口腔及び咽頭挿入がなされるという長所がある。
【0038】
一方、フック取っ手120上には、口腔及び咽頭に挿入・配置されるフック部110の挿入深さを調節するための多段の第1印140が設けられる。第1印140は、患者の性別や体形、背のような身体的特徴を考慮した複数個の参照線の形態で設けられる。施術者は、患者の性別や体形、背のような身体的特徴を把握した後、第1印140を用いてフック取っ手120の口腔挿入深さを調節することにより、患者の咽頭にフック部110が安定して配されるようにする。
【0039】
また、フック取っ手120の後端部には、スライド溝122が設けられ、スライド溝122には、調節部130が摺動可能に設けられる。
【0040】
調節部130は、フック取っ手120のスライド溝122に摺動可能に備えられて、フック取っ手120の先端部に突出したフック部110のサイズを調節するように作動する。具体的に、調節部130は、フック取っ手120に摺動可能に備えられた状態でフック部110の後端部が連結される。フック部110は、調節部130に後端部が連結された状態で調節部130の摺動によって一部がフック取っ手120の内部に引き込みまたは引き出されることにより、フック取っ手120の先端部に突出した部分のサイズが調節される。
【0041】
一方、調節部130が摺動するフック取っ手120上には、フック部110のサイズを調節するための多段の第2印150が設けられる。第2印150は、患者の性別や体形、背のような身体的特徴を考慮した複数個の参照線の形態で設けられる。施術者は、患者の性別や体形、背のような身体的特徴を把握した後、第2印150を用いてフック部110のサイズを調節することにより、患者の口腔及び咽頭にフック部110が安定して挿設されるようにする。調節部130は、別途の固定手段(図示せず)によってフック取っ手120のスライド溝122に固定及び解除が繰り返してなされるように設けられる。
【0042】
図3を参照すれば、鼻腔挿入管200は、中空の細長いフレキシブルチューブの形態で、柔らかいPVCまたはシリコンなどの材質からなる。鼻腔挿入管200の一地点には、多段で第3印210が形成される。第3印210は、患者の性別や体形、背のような身体的特性によって鼻腔挿入管200の挿入深さを測定するためのものであって、後端部から15cm、20cm及び25cmの単位の参照線の形態に設けられうる。
【0043】
一方、既存に排液管施術を行う場合には、別途の印のない挿入管をいちいち肉眼または手で確認して鉗子などを通じて取らなければならなかったが、一方、本発明による第3印210がある鼻腔挿入管200を利用すれば、施術時に目で見なくても、適切な深さで鼻腔挿入管200を患者の鼻腔に挿入して咽頭に位置させることができる。
【0044】
前記のような構造を有する本発明の一実施形態による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置の環状モジュール100は、患者の性別や体形、背のような身体的特徴によって第1印140及び第2印150を用いてフック取っ手120の口腔挿入程度及びフック部110のサイズを調節することにより、患者の口腔及び咽頭にフック部110が安定して挿入・配置されるように作用する。また、平たいバー状のフック取っ手120を通じて舌を押して口腔の空間をさらに確保することにより、フック部110の挿入がさらに容易になり、湾曲して形成された口腔の形状に合わせてフック部110が下方に曲がって備えられることにより、患者の口腔及び咽頭にフック部110がさらに安定して挿設されうるという長所がある。
【0045】
また、従来の施術時には、経鼻胆管排液管10を口腔から鼻腔に連結しようとする場合に、開口器を抜かし、患者の口を指で開けた後に鼻を通じて挿入された鼻腔チューブを鉗子や指を用いて口から引き出す睡眠施術で行ったので、施行が難しい点があり、非熟練者が施術しにくい短所があった。一方、本発明の一実施形態による装置を利用した経鼻胆管排液管施術は、開口器がある状態でも口腔への挿入が可能なので、睡眠状態に関係なく施術が可能であり、非熟練者も、正確で迅速に施術ができるという長所がある。
【0046】
また、従来の施術では、口腔で指または鉗子による損傷が頻繁であったが、本発明の一実施形態による環状モジュール110は、弾性があるワイヤからなるフック部110で構成されており、鋭い鉗子や指に比べて、口腔の粘膜が最小化される。
【0047】
本発明の一実施形態による口腔−鼻腔位置変更装置を用いて、2015年〜2016年の300件の臨床例で99.3%の成功率で経鼻胆管排液管を口から鼻に成功的に移動させ、位置を固定した。
【0048】
施術時間は、1分以内であって、従来の指を利用した方法と比較して、約4分の施術時間の短縮を示し、鉗子を利用した方法と比較して、約3分の施術時間の短縮を示す。
【0049】
以下、図4を参照して、本発明の一実施形態による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置を利用した施術過程を説明する。
【0050】
まず、図4の(a)を参照すれば、患者の開口を通じて経鼻胆管排液管10(ENBD排液管)の一側が露出された状態を保持し、排液管施術が要求される患者の開口に締結された開口器の孔を通じて環状モジュール100のフック部110を口腔に押し込んで挿入する。この際、口腔に挿入されるフック部110の深さは、患者の性別や体形、背のような身体的特性を考慮してフック取っ手120の第1印140を用いて調節する。
【0051】
すなわち、フック部110を口腔に挿入する段階では、フック取っ手120に設けられている第1印140を用いて患者の身体的特性に合わせてフック取っ手120の挿入深さを調節することにより、フック部110の挿入深さが適切に制御される。一方、フック部110の口腔挿入と共に、フック取っ手120に備えられた調節部130を用いてフック取っ手120の先端部から突出したフック部130のサイズを調節する。フック部110のサイズは、患者の性別や体形、背のような身体的特性によって第2印150を用いて調節される。前記のように、フック部110は、調節部130によるサイズ調節と、フック取っ手120による挿入深さ調節によって患者の口腔を経て咽頭に一部または全体が安定して配される。
【0052】
患者の咽頭に環状モジュール100のフック部110が安定して配された後、図4の(b)のように、鼻腔挿入管200を鼻孔を通じて鼻腔に押し込む。鼻腔挿入管200の挿入深さは、患者の性別や体形、背のような身体的特性を考慮して第3印210を用いて調節する。鼻腔に挿入された鼻腔挿入管200は、鼻腔を通って咽頭に移動して環状モジュール100のフック部110を通過する。
【0053】
図4の(c)を参照すれば、フック部110に鼻腔挿入管200が通過すれば、環状モジュール100を口腔外に引っ張って、鼻腔挿入管200が環状モジュール100のフック部110に引っ掛って出るようにする。この場合、鼻腔挿入管200のフレキシブルな性質によってフック部110に引っ掛かって鼻腔挿入管200の地点が確実に引っ掛かった状態を有する。
【0054】
図4の(d)を参照すれば、フック部110に引っ掛って出た鼻腔挿入管200に経鼻胆管排液管10を連結した後、鼻に挿入された鼻腔挿入管200を引っ張る。
【0055】
図4の(e)及び図4の(f)を参照すれば、鼻腔挿入管200を引っ張る過程を通じて鼻腔挿入管200に連結された経鼻胆管排液管10が鼻を通じて排出されれば、経鼻胆管排液管10に連結された鼻腔挿入管200を分離する。
【0056】
前述したように、本発明による経鼻胆管排液管の口腔−鼻腔位置変更装置は、内視鏡的経鼻胆管排液管施術時に排液管を鼻腔に移動させる過程が非常に単純になり、効率的に施行される。
【0057】
以上で記載された「含む」、「構成する」、または「有する」などの用語は、特に取り立てて言及しない限り、当該構成要素が内在されうるということを意味するものなので、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうるものと解釈されねばならない。技術的であるか、科学的な用語を含んだあらゆる用語は、特に定義しない限り、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。予め定義された用語のように、一般的に使われる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されねばならず、本発明で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解釈されない。
【0058】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、当業者ならば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって、本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈されねばならず、それと同等な範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されねばならない。
図1
図2
図3
図4
図5