特許第6891390号(P6891390)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891390
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20210607BHJP
   B65D 33/36 20060101ALI20210607BHJP
   B65D 75/60 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   B65D33/00 C
   B65D33/36
   B65D75/60
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-160373(P2015-160373)
(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公開番号】特開2017-39495(P2017-39495A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桃川 公一
【審査官】 内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−041058(JP,A)
【文献】 特開2001−335065(JP,A)
【文献】 特開2001−301763(JP,A)
【文献】 米国特許第04826011(US,A)
【文献】 実開平06−085273(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第02284081(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 33/36
B65D 75/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面フィルムと後面フィルムを有し、対向する該前面フィルムと該後面フィルムの上下端を横シールした包装袋であって、
該前面フィルムの側端は、前面折り部を設けて内方に折り込まれることにより前面折り込み部を形成していて、
前記前面フィルムと前記後面フィルムを縦方向にシールする縦シール部を有し、
該縦シール部では、前記前面フィルムと前記後面フィルムとが剥離可能にシールされており、
該前面折り部を、該包装袋の一方の袋側端部より内側にずらすことにより、ずらし部を形成し、
該縦シール部が該前面折り部まで達しておらず、外側端未シール部が形成されている部分からなる指挿入部を備えると共に、その縦シール部の一部が前記前面折り部まで達しており、
前記縦シール部が前記前面折り込み部に位置しており、
該ずらし部より該包装袋の内方に指を挿入し、該指挿入部より該縦シール部を剥離しながら開封すると同時に該包装袋の内容物を取り出すことができることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記後面フィルムの側端は、後面折り部を設けて内方に折り込まれることにより後面折り込み部を形成していることを特徴とする包装袋。
【請求項3】
請求項2に記載の包装袋であって、
前記後面折り込み部に、対向する前記後面フィルムの内面同士がシールされた内面シール部が設けられ、
前記内面シール部の少なくとも一部は、前記後面フィルムの側端まで達していることを特徴とする包装袋。
【請求項4】
請求項1に記載の包装袋であって、
前記前面フィルム及び前記後面フィルムは、内層及び外層を含む少なくとも2層の積層フィルムからなり、
該外層には、該外層と該内層とを剥離可能にシールすることが可能な延伸基材を使用することを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。特には、使用者が片手で容易に開封することができ、携帯性に優れた易開封の包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品や菓子の包装に用いられる包装袋は、内容物の品質劣化を防止するため、遮光性や、外部からの水蒸気や酸素を遮断するガスバリア性が求められると同時に、内容物を取り出す際に容易に開封できる易開封性も求められている。
【0003】
ガスバリア性と易開封性の両方を兼ね備えた包装袋として、袋の壁面に、積層体の基材層のみを貫通する切目線を形成し、切目線を覆う粘着テープが袋外面に貼着されていて、粘着テープを剥離することにより、切目線の端縁で破断して開封することができる包装袋の技術が開示されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1の包装袋では、積層体に切目線を形成するが、当該切目線は基材層のみに形成されていて、その内層のアルミニウム箔層と熱接着性樹脂層には切目線が形成されていないことにより、ガスバリア性の低下を防止することが可能である、とされている。
【0005】
しかし、特許文献1の包装袋では、粘着テープという別部材が必要になり、製袋工程で別部材を配する特別な工程が必要となり、コストアップの原因となってしまう。
また、開封後には粘着テープがゴミとなってしまうため、戸外で使用する際には、ゴミの処分に困るという問題があった。
【0006】
さらに、特許文献1の包装袋は、開封する際、包装袋の壁面が粘着テープに引っ張られることにより、切目線が形成されていないアルミニウム箔層と熱接着性樹脂層とを破断して開封するため、片手で容易に開封することはできず、片手で包装袋を押さえてもう一方の手で粘着テープを剥がす必要があった。
【0007】
易開封用の別部材を使用しない例として、袋を構成する積層体の基材層を貫通するように傷痕群を形成した包装袋も知られている(特許文献2)。
【0008】
特許文献2の包装袋では、傷痕群から容易に開封できると共に、傷痕群を形成する面積が狭く且つ積層フィルムの基材層を貫通し熱接着性樹脂層を貫通しない傷痕群であるため、包装袋のガスバリア性の低下を小さくできる、とされている。
【0009】
しかし、特許文献2の包装袋は、開封する際、傷痕群の上と下とを持ってそれぞれを前後別々の方向に動かすことにより引き裂いて開封するため、片手で開封することはできず、両手で傷痕群の上下それぞれを持つ必要があった。
【0010】
さらに、特許文献2の包装袋においても、開封後は、傷痕群に近い端縁熱接着部が切り離されて開封片となるため、開封片がゴミとなってしまい、戸外での使用には適さないという問題があった。
【0011】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−137445号公報
【特許文献2】特開2002−179091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、開封時にゴミとなる開封片を生じさせず、片手でも容易に開封できる易開封の包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、本発明の包装袋は、前面フィルムと後面フィルムを有し、対向する該前面フィルムと該後面フィルムの上下端を横シールした包装袋であって、
該前面フィルムの側端は、前面折り部を設けて内方に折り込まれることにより前面折り込み部を形成していて、
前記前面フィルムと前記後面フィルムを縦方向にシールする縦シール部を有し、
該縦シール部では、前記前面フィルムと前記後面フィルムとが剥離可能にシールされており、
該前面折り部を、該包装袋の一方の袋側端部より内側にずらすことにより、ずらし部を形成し、
該縦シール部が該前面折り部まで達しておらず、外側端未シール部が形成されている部分からなる指挿入部を備えると共に、その縦シール部の一部が前記前面折り部まで達しており、
前記縦シール部が前記前面折り込み部に位置しており、
該ずらし部より該包装袋の内方に指を挿入し、該指挿入部より該縦シール部を剥離しながら開封すると同時に該包装袋の内容物を取り出すことができることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の包装袋は、対向する前記前面フィルムと前記後面フィルムの上下端の横シール部は、該包装袋の内方に指を挿入し、該指挿入部より該縦シール部を剥離しながら開封する際には剥離しなくても良い。また、前記前面折り部と前記縦シール部との間に、外側端未シール部を有していても良い。
【0016】
また、本発明の包装袋は、前記前面フィルムの側端と前記縦シール部との間に内側端未シール部を有していても良い。
【0017】
また、本発明の包装袋は、前記後面フィルムの側端は、後面折り部を設けて内方に折り込まれることにより後面折り込み部を形成していても良く、このとき、前記後面折り込み部に、対向する前記後面フィルムの内面同士がシールされた内面シール部が設けられ、前記内面シール部の少なくとも一部は、前記後面フィルムの側端まで達していても良い。
【0018】
また、本発明の包装袋は、前記前面フィルムと前記後面フィルムを縦方向にシールする縦シール部を有し、前記縦シール部の一部は、前記前面折り部まで達していても良い。
【0019】
また、本発明の包装袋は、前記前面フィルム及び前記後面フィルムは、内層及び外層を含む少なくとも2層の積層フィルムからなり、該外層には、該外層と該内層とを剥離可能にシールすることが可能な延伸基材を使用しても良いし、該外層同士を剥離可能にシールすることが可能な延伸基材を使用しても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明の包装袋は、前面折り部を、前記包装袋の一方の袋側端部より内側にずらしていることにより、前記前面折り部と後面フィルムとの間に容易に指を挿入することができ、ずらし部より前記包装袋内方へ指を挿入することにより、前記前面折り部と前記後面フィルムとを前後方向に押し広げて前記包装袋を開封すると同時に、内容物に指が届いて、そのまま内容物を容易に取り出すことが可能となる。
また、前面フィルムの側端が内方に折り込まれて折り部が設けられていることにより、前記ずらし部より指を挿入する際に、指にフィルムの端部が引っ掛かることなく滑らかに挿入することが可能となる。
さらに、前記ずらし部より指を挿入してそのまま内容物を取り出すため、細かい開封片を生じることがなく、戸外での使用にも最適な包装袋とすることができる。
【0021】
また、前記縦シール部を、前記前面フィルムと前記後面フィルムとを剥離可能にシールして形成することにより、前記ずらし部より指を挿入するだけで、容易に剥離して内容物を取り出すことが可能となる。
【0022】
また、前記前面折り部と縦シール部との間に、外側端未シール部を有することにより、前記前面フィルムの前記前面折り部が、前記後面フィルムから少し浮いた状態となりやすいため、より指を挿入しやすくすることができる。
【0023】
また、前記前面フィルムの側端と前記縦シール部との間に内側端未シール部を有することにより、前記縦シール部をヒートシールして、前記前面折り込み部の内面同士が熱溶着された際、ヒートシールの熱が前記前面折り込み部からはみ出して伝わることがないので、前記包装袋内面が溶着することなく、指の挿入及び内容物の取り出しを滑らかに行うことが可能となる。
【0024】
また、前記後面フィルムの側端は、後面折り部を設けて内方に折り込まれることにより、前面、後面の両方のフィルムの側端が内方に折り込まれた状態になるため、前記ずらし部より指を挿入する際に、指にフィルムの端部が引っ掛かることなく、より滑らかに挿入することが可能となる。
【0025】
また、前記後面折り込み部に、対向する前記後面フィルムの内面同士がシールされた内面シール部が設けられ、前記内面シール部の少なくとも一部は、前記後面フィルムの側端まで達していることにより、顆粒や粉粒体の内容物を取り出す際にも、前記後面フィルム内面の隙間に内容物が入り込むことがなく、所望の量を取り出すことが可能となる。
【0026】
前記前面フィルムと前記後面フィルムを縦方向にシールする縦シール部を有し、前記縦シール部の一部は、前記前面折り部まで達していることにより、前記包装袋の開封及び内容物を取り出す位置を限定することが可能となる。すなわち、前記縦シール部が前記前面折り部まで達しておらず、前記外側端未シール部が形成されている部分から、前記包装袋の開封及び内容物の取り出しを行い、前記縦シール部が前記前面折り部まで達している部分は開封しないように設定することができる。これにより、小さな内容物、特に顆粒や粉粒体の内容物を取り出す際にも、所望の量以上の内容物が一度に飛び出すことがなく、任意の量を取り出すことが可能となる。
【0027】
また、前記前面フィルム及び前記後面フィルムは、内層及び外層を含む少なくとも2層の積層フィルムからなり、前記後面折り込み部を形成しない場合は、前記外層には、外層と内層とを剥離可能にシールすることが可能な延伸基材を使用することにより、物理強度が高く、前記前面折り込み部と前記後面フィルムを剥離可能にシールすることが可能となる。また、剥離可能にシールすることにより、前記ずらし部より指を挿入するだけで、容易に剥離して内容物を取り出すことが可能となる。
【0028】
一方、前記後面折り込み部を形成する場合は、該外層には、外層同士を剥離可能にシールすることが可能な延伸基材を使用することにより、物理強度が高く、前記前面折り込み部及び前記後面折り込み部を剥離可能にシールすることが可能となる。また、剥離可能にシールすることにより、前記ずらし部より指を挿入するだけで、容易に剥離して内容物を取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の包装袋の第1の実施形態を模式的に示した説明図である。
図2図1のA−A断面を模式的に示した断面説明図である。
図3】本発明の指挿入部を一部に限定した包装袋の第1の実施形態を模式的に示した説明図である。
図4図3のB−B断面を模式的に示した断面説明図である。
図5】本発明の包装袋の第2の実施形態を模式的に示した説明図である。
図6図3のC−C断面を模式的に示した断面説明図である。
図7】本発明の指挿入部を一部に限定した包装袋の第2の実施形態を模式的に示した説明図である。
図8図5のD−D断面を模式的に示した断面説明図である。
図9図5のE−E断面を模式的に示した断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施形態>
以下、本発明を実施するための第1の実施形態につき図1図4を参照して説明する。
【0031】
第1の実施形態の包装袋1は、食品や菓子を包装する包装袋であり、内容物としては、例えば、飴、粒ガム等の固体状のものが挙げられる。
包装袋1は、片手で把持することができるようにするため、縦方向の長さは50mm以上120mm以下、横方向の幅は30mm以上35mm以下の大きさであることが好ましい。縦方向の長さが50mm未満だと小さすぎるため、片手で把持した状態で指(特に親指)を包装袋1に出し入れすることが難しく、120mmより長いと、袋が手からはみ出した部分が折れ曲がってしまい、内容物を取り出しにくくなってしまう可能性がある。また、横方向の幅が30mm未満だと細すぎるため、包装袋1に入れられる内容物が細長いものや小さな顆粒及び粉粒体のものなどに限られてしまう。一方、横方向の幅が35mmより大きいと、片手で把持した際に、人差し指から小指をしっかりと曲げて把持することが難しくなるため、安定して指(特に親指)を包装袋1に出し入れすることが出来なくなってしまう可能性がある。
【0032】
包装袋1は、前面フィルム2と後面フィルム3を有し、対向する前面フィルム2と後面フィルム3の上下端を横シールすることにより、袋の形状をなしている。
また、前面フィルム2の側端を、前面折り部201を設けて内方に折り込むことにより、前面折り込み部が形成されている。
【0033】
前面フィルム2と後面フィルム3とは、図1に示したように、1枚のフィルムを、折り部を設けて折りたたむことにより構成しても良いし、2枚別々のフィルムで構成しても良い。
また、前面折り込み部が形成されている側とは反対側の側面に、二つ折りされた側面テープが折り部を内方にして側端部分に差し込んでシールすることにより、片側ガゼット袋としても良い。
【0034】
表面フィルム2及び後面フィルム3には、外層21、31と内層22、32からなる積層体を用いることができる。
外層21、31としては、通常の軟包装袋で表面基材として用いられるもののうち、外層21、31同士を剥離可能にシールすることが可能な延伸基材を適用することができる。一例を挙げれば、PVDCがコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)と二軸延伸ポリプロピレン(OPP)の積層体、OPPと無延伸ポリプロピレン(CPP)多層の積層体、ヒートシールニスがコーティングされたPET、ヒートシールタイプのOPP等が使用される。なお、外層21、31には、必要に応じて印刷層や接着剤層が含まれる。
【0035】
内層22、32としては、通常の軟包装袋でシーラント層として用いられるものを適用することができる。ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリ
エチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂などが使用される。またこれらの樹脂を複合した多層フィルムが使用されることもある。
【0036】
また、外層21、31と内層22、32の間に、中間層としてガスバリア性能を有する層を追加しても良い。一例を挙げれば、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性PETフィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層、あるいはアルミニウム箔等の金属箔等が使用される。
なお、片側ガゼット袋とする場合の側面テープには、表面フィルム2及び後面フィルム3と同様の積層体が適用可能である。
【0037】
積層体の具体的な構成例としては、ヒートシールタイプOPP/印刷層/接着剤層/CPPなどが挙げられる。
【0038】
包装袋1は、図1、2に示すように、前面折り部201が、袋右側端部9よりも内側にずれた位置に設けられることにより、前面折り部201と袋右側端部9との間に、ずらし部4が形成される。
【0039】
ずらし部4は、包装袋1を開封して内容物を取り出す際に指を挿入しやすくする効果を得るために形成されるものであり、その幅は、1mm以上6mm以下であることが好ましく、1mm以上3mm以下であることがより好ましい。1mm未満だと、指を挿入しやすくする効果が得られず、6mmよりも広いと、輸送時に他の物体などがずらし部4に触れて引っ掛かってしまい、ずらし部4を前面折り部201から後ろの方向に押し広げる結果、包装袋1を誤って開封してしまう可能性がある。3mm以下であれば、そうした輸送時の誤開封の恐れをさらに低減することが可能となる。
【0040】
また、包装袋1は、ガスバリア性を保つためには、対向する前記前面折り込み部と後面フィルム3を剥離可能にシールしていることが好ましい。本実施形態では、縦シール部6で前記前面折り込み部と後面フィルム3をシールしている。
なお、縦シール部6の領域では、前記前面折り込み部と後面フィルム3だけでなく、対向する前面フィルム2の内層同士もシールされている。
【0041】
縦シール部6は、前記前面折り込み部と後面フィルム3が対向する領域全てに設けられるのではなく、図1、2に示すように、その一部分に設けられることが望ましい。
【0042】
本実施形態の包装袋1では、前面折り部201と縦シール部6の間には、外側端未シール部5が形成されている。外側端未シール部5を形成することにより、前面折り部201が、後面フィルム3から少し浮いた状態となりやすいため、包装袋1を開封して内容物を取り出す際に、より指を挿入しやすくすることができる。
また、外側端未シール部5の幅は、3mm以上6mm以下であることが好ましく、4mm以上6mm以下であることがより好ましい。3mm未満だと、指を挿入しやすくする効果があまり得られず、6mmよりも広いと、輸送時に他の物体などが前面折り部201と後面フィルム3の間に入り込みやすくなってしまい、前面折り部201と後面フィルム3を
前後方向に押し広げる結果、包装袋1を誤って開封してしまう可能性がある。なお、4mm以上であれば、指を挿入しやすくする効果がより高くなるので好ましい。
【0043】
本実施形態の包装袋1では、前面フィルム2の側端と縦シール部6との間に内側端未シール部7も形成されている。内側端未シール部7を形成することにより、縦シール部6をヒートシールして、前記前面折り込み部の内面同士が熱溶着された際、ヒートシールの熱が前記前面折り込み部からはみ出して伝わることがないので、包装袋1の内面が溶着することなく、指の挿入及び内容物の取り出しを滑らかに行うことが可能となる。
また、内側端未シール部7の幅は、1mm以上6mm以下であることが好ましく、1mm以上4mm以下であることがより好ましい。1mm未満だと、内面の溶着を防止する効果が得られず、指の挿入及び内容物の取り出しが困難となってしまう。6mmよりも広いと、内容物を取り出す際に、内容物が内側端未シール部7に引っ掛かってしまい、取り出しにくくなってしまう可能性がある。なお、4mm以下であれば、そうした取り出し時の引っ掛かりの恐れを少なくすることができるため、より好ましい。
【0044】
また、特に本実施形態の包装袋1の内容物が、顆粒や粉粒体等の場合に好ましい例として、図3、4に示すように、縦シール部6の一部を、前面折り部201まで達するように形成しても良い。
縦シール部6の一部が、前面折り部201まで達していることにより、包装袋1の開封及び内容物を取り出す位置を限定することが可能となる。すなわち、縦シール部6が前面折り部201まで達しておらず、外側端未シール部5が形成されている部分を指挿入部8として、包装袋1の開封及び内容物の取り出しを行い、縦シール部6が前面折り部201まで達している部分は開封しないように設定することができる。これにより、小さな内容物を取り出す際にも、所望の量以上の内容物が一度に飛び出すことがなく、任意の量を取り出すことが可能となる。
【0045】
なお、指挿入部8の長さは、大人の指一本分が挿入可能であれば良く、45mm以上であることが好ましい。また、特に内容物が顆粒や粉粒体等の場合には、指挿入部8の長さを55mm以下にすることが好ましい。指挿入部8をこの範囲の長さに設定することにより、指の挿入及び内容物の取り出しが容易で、かつ、小さな内容物の場合にも、所望の量以上の内容物が一度に飛び出すことがなく、任意の量を取り出すことが可能となる。
【0046】
包装袋1の使用者が内容物を取り出す際には、包装袋1を片手で持ち、前面折り部201と後面フィルム3の間若しくは指挿入部8より、縦シール部6を剥離しながら前面折り部201と後面フィルム3を前後方向に押し広げるようにして包装袋1を開封し、指を挿入することにより、内容物を取り出すことができる。
【0047】
<第2の実施形態>
以下、本発明を実施するための第2の実施形態につき図5図9を参照して説明する。
【0048】
第2の実施形態の包装袋11は、後面フィルム3の側端を、後面折り部301を設けて内方に折り込むことにより後面折り込み部を形成したこと以外は、第1の実施形態の包装袋1と同様である。
【0049】
本実施形態の包装袋11において、ずらし部4は、前面折り部201を後面折り部301よりも内側にずらすことにより形成される。また、包装袋11は、ガスバリア性を保つためには、対向する前記前面折り込み部と前記後面折り込み部を剥離可能にシールしていることが好ましい。本実施形態では、縦シール部6で前記前面折り込み部と前記後面折り込み部をシールしている。
【0050】
縦シール部6は、前記前面折り込み部と前記後面折り込み部が対向する領域全てに設けられるのではなく、図5、6に示すように、その一部分に設けられることが望ましい。このとき、外側端未シール部5、内側端未シール部7は、第1の実施形態の包装袋1と同様に設けられる。
【0051】
前記後面折り込み部には、対向する後面フィルム3の内面同士がシールされた内面シール部302が設けられるが、内面シール部302は、後面フィルム3の側端まで達しない位置に設けられることが好ましい。
内面シール部302を、後面フィルム3の側端まで達しない位置に設けることにより、内面シール部302をヒートシールして、前記後面折り込み部の内面同士が熱溶着された際、ヒートシールの熱が前記後面折り込み部からはみ出して伝わることがないので、包装袋11の内面が溶着することなく、指の挿入及び内容物の取り出しを滑らかに行うことが可能となる。
【0052】
また、特に本実施形態の包装袋11の内容物が、顆粒や粉粒体等の場合に好ましい例として、図7〜9に示すように、縦シール部6の一部を、前面折り部201まで達するように形成しても良い。
縦シール部6の一部が、前面折り部201まで達していることにより、包装袋1の開封及び内容物を取り出す位置を限定することが可能となる。すなわち、縦シール部6が前面折り部201まで達しておらず、外側端未シール部5が形成されている部分を指挿入部8として、包装袋1の開封及び内容物の取り出しを行い、縦シール部6が前面折り部201まで達している部分は開封しないように設定することができる。これにより、小さな内容物を取り出す際にも、所望の量以上の内容物が一度に飛び出すことがなく、任意の量を取り出すことが可能となる。
【0053】
なお、指挿入部8の長さは、大人の指一本分が挿入可能であれば良く、45mm以上であることが好ましい。また、特に内容物が顆粒や粉粒体等の場合には、指挿入部8の長さを55mm以下にすることが好ましい。指挿入部8をこの範囲の長さに設定することにより、指の挿入及び内容物の取り出しが容易で、かつ、小さな内容物の場合にも、所望の量以上の内容物が一度に飛び出すことがなく、任意の量を取り出すことが可能となる。
【0054】
また、内容物が顆粒や粉粒体等の場合には、図7、8に示すように、内面シール部302の少なくとも一部を、後面フィルム3の側端まで達するように形成しても良い。内面シール部302を、後面フィルム3の側端まで達するように形成することにより、顆粒や粉粒体の内容物を取り出す際にも、前記後面フィルム内面の隙間に内容物が入り込むことがなく、所望の量を取り出すことが可能となる。この効果を得るためには、内面シール部302のうち、少なくとも指挿入部8の範囲は、後面フィルム3の側端まで達するように形成することが好ましい。
【0055】
本実施形態の包装袋11においては、前面、後面の両方のフィルムの側端が内方に折り込まれた状態になるため、ずらし部4より指を挿入する際に、指にフィルムの端部が引っ掛かることなく、より滑らかに挿入することが可能となる。
包装袋11の使用者が内容物を取り出す際には、包装袋11を片手で持ち、前面折り部201と後面折り部301の間若しくは指挿入部8より、縦シール部6を剥離しながら前面折り部201と後面折り部301を前後方向に押し広げるようにして包装袋11を開封し、指を挿入することにより、内容物を取り出すことができる。
【符号の説明】
【0056】
1、11・・・包装袋
2・・・前面フィルム
3・・・後面フィルム
4・・・ずらし部
5・・・外側端未シール部
6・・・縦シール部
7・・・内側端未シール部
8・・・指挿入部
9・・・袋右側端部
21、31・・・外層
22、32・・・内層
201・・・前面折り部
301・・・後面折り部
302・・・内面シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9