(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定補助装置は、前記V溝ブロックに対向した位置に配置され、前記測定用ダミーファイバを保持して前記V溝ブロックの幅方向および高さ方向に移動可能な可動ヘッドと、前記可動ヘッドを移動させる移動機構とをさらに備える、請求項1に記載の光ファイバ測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
測定用ダミーファイバが1心の場合、同一ファイバを2回測定したことや、1回も測定しなかったことを検知することは、例えばダミーファイバと被測定ファイバとの接続ロスや被測定ファイバのロスを解析することにより可能である。しかしながら、光ファイバケーブルの多心化が進み、それに伴いテープ心線も多心化しており、短時間で測定するために、測定用ダミーファイバを複数本にして測定する場合がある。そのようなケースでは、測定用ダミーファイバのダミーファイバ心線が所定のV溝とは異なる位置のV溝に挿入されても、ダミーファイバ心線が被測定用光ファイバとは別の光ファイバ心線と接続されるため、軸ズレが発生したことに気付かない場合がある。
【0009】
この従来技術の光ファイバ測定装置における問題を
図8に示す。ここでは、例として、被測定用光ファイバOFが12本の光ファイバ心線OF1〜OF12を含む12心のテープ心線であり、測定用ダミーファイバDFが4本のダミーファイバ心線DF1〜DF4を含む4心のテープ心線であると仮定している。各ダミーファイバ心線の一端は、OTDR測定器(図示せず)に接続されている。
被測定用光ファイバOFの12本の光ファイバ心線OF1〜OF12は、V溝ブロック14に形成された12本のV溝V1〜V12にそれぞれ挿入される。V溝V1〜V12は、V溝ブロック14の上面に並べて形成されている。これらのV溝に挿入された光ファイバ心線OF1〜OF12に対して、4本のダミーファイバ心線DF1〜DF4を、4心分ずつ移動させることによって、V溝ブロック上で順次突き合わせて接続し、OTDR測定器により伝送損失の測定を行う。
【0010】
図8は、測定用ダミーファイバDFの4本のダミーファイバ心線DF1〜DF4が、被測定用光ファイバOFの12本の光ファイバ心線OF1〜OF12のうち、図面左上から1〜4番目の光ファイバ心線OF1〜OF4の測定を終えた後、次に測定する光ファイバ心線に接続された状態を示している。このとき、本来であれば、ダミーファイバ心線DF1〜DF4は、5〜8番目の光ファイバ心線OF5〜OF8に接続されているべきである。しかしながら、測定用ダミーファイバDFの移動制御のミス等により、
図8に示すように、ダミーファイバ心線DF1〜DF4が目的のV溝とは異なるV溝に挿入される(軸ズレ)ことがあり得る。この図では、ダミーファイバ心線DF1〜DF4は、5番目の光ファイバ心線OF5が挿入されたV溝V5を飛ばして(破線で図示)、6〜9番目の光ファイバ心線OF6〜9が挿入されたV溝V6〜V9に誤って挿入されている。よって、光ファイバ心線OF5は測定されないことになるが、測定用ダミーファイバDFの各ダミーファイバ心線は被測定用光ファイバOFの光ファイバ心線のいずれかに接続されるため、測定自体は正常に行われる。そのため、軸ズレが検知されず、最悪の場合、測定されない光ファイバ心線OF5に断線等の異常があっても、その異常が検知されないまま製品として流通する恐れがある。
【0011】
そこで、軸ズレの発生を確実かつ容易に検知することができる光ファイバ測定装置及、測定補助装置、および光ファイバ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る光ファイバ測定装置は、複数本の光ファイバ心線を並列に並べて一体化したテープ心線である被測定用光ファイバの伝送特性を測定する測定器と、複数本のダミーファイバ心線からなる測定用ダミーファイバと、前記被測定用光ファイバと前記測定用ダミーファイバとを1心毎に突き合わせる複数のV溝
であって、前記被測定用光ファイバと同数のV溝が形成されたV溝ブロックを具備する測定補助装置と、前記測定器の測定結果を取得するとともに前記測定器および前記測定補助装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記V溝ブロックの前記V溝がそれぞれ前記測定用ダミーファイバの心線数と同じ数の前記V溝を含む複数のV溝グループから構成され、各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接する前記V溝グループの前記V溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されており、各前記V溝グループに対向する位置に前記測定用ダミーファイバを移動させ、前記光ファイバ心線の伝送特性を測定する、光ファイバ測定装置である。
【0013】
また、本発明の一態様に係る測定補助装置は、被測定用光ファイバの光ファイバ心線に測定用ダミーファイバのダミーファイバ心線を1心毎に突き合わせて接続するための、
前記被測定用光ファイバと同数の複数のV溝が形成されたV溝ブロックを備える、光ファイバ測定装置用の測定補助装置であって、前記V溝ブロックの前記V溝がそれぞれ前記測定用ダミーファイバの心線数と同じ数の前記V溝を含む複数のV溝グループから構成され、各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接する前記V溝グループの前記V溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されており、各前記V溝グループに対向する位置に前記測定用ダミーファイバが移動され、前記光ファイバ心線の伝送特性が測定される、測定補助装置である。
【0014】
さらに、本発明の一態様に係る光ファイバ測定方法は、測定器に接続された複数本のダミーファイバ心線からなる測定用ダミーファイバを、被測定用光ファイバが挿入され
前記被測定用光ファイバと同数の複数のV溝が形成され
たV溝ブロックであって、前記V溝が複数のV溝グループから構成され、各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接する前記V溝グループの前記V溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されている
前記V溝ブロックの、最初のV溝グループに対向する位置に移動する第1のステップと、前記測定用ダミーファイバの各ダミーファイバ心線を対応するV溝に挿入し、該V溝に挿入されている前記被測定用光ファイバの光ファイバ心線に突き合わせて接続する第2のステップと、前記測定器により、前記光ファイバ心線の伝送特性を測定する第3のステップと、前記測定器で測定エラーが発生した場合に、軸ズレが発生したと判断し、再測定要と判定する第4のステップとを含み、次のV溝グループが存在する場合に、前記測定用ダミーファイバを次のV溝グループに対向する位置に移動させ、前記第2〜第4のステップを繰り返して、各前記V溝グループの前記V溝に挿入されている前記光ファイバ心線の伝送特性を測定する、光ファイバ測定方法である。
【発明の効果】
【0015】
上記によれば、軸ズレの発生を確実かつ容易に検知することができる光ファイバ測定装置、補助測定装置、および光ファイバ測定方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態を列挙して説明する。
本発明の一態様に係る光ファイバ測定装置は、(1)複数本の光ファイバ心線を並列に並べて一体化したテープ心線である被測定用光ファイバの伝送特性を測定する測定器と、複数本のダミーファイバ心線からなる測定用ダミーファイバと、前記被測定用光ファイバと前記測定用ダミーファイバとを1心毎に突き合わせる複数のV溝
であって、前記被測定用光ファイバと同数のV溝が形成されたV溝ブロックを具備する測定補助装置と、前記測定器の測定結果を取得するとともに前記測定器および前記測定補助装置の動作を制御する制御装置と、を備え、前記V溝ブロックの前記V溝がそれぞれ前記測定用ダミーファイバの心線数と同じ数の前記V溝を含む複数のV溝グループから構成され、各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接する前記V溝グループの前記V溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されており、各前記V溝グループに対向する位置に前記測定用ダミーファイバを移動させ、前記光ファイバ心線の伝送特性を測定する、光ファイバ測定装置である。各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接するV溝グループのV溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されていることで、軸ズレが発生した場合には測定用ダミーファイバの少なくとも1本のダミーファイバ心線がV溝に挿入されなくなるため、被測定用光ファイバの光ファイバ心線と物理的に接続されないという作用を生じ、よって軸ズレの発生を確実かつ簡単に検知することが可能となる。
【0018】
(2)前記光ファイバ測定装置は、前記測定補助装置が、前記V溝ブロックに対向した位置に配置され、前記測定用ダミーファイバを保持して前記V溝ブロックの幅方向および高さ方向に移動可能な可動ヘッドと、前記可動ヘッドを移動させる移動機構とをさらに備えることが好ましい。これにより、測定用ダミーファイバを保持する可動ヘッドがV溝ブロックの幅方向および高さ方向の両方で移動可能になるという作用を生じ、V溝グループのV溝がV溝ブロックの高さ方向でそれぞれ異なる高さの直線に沿って配置されている場合でも、ダミーファイバ心線を挿入することできる。
【0019】
(3)前記測定補助装置は、前記可動ヘッドを前記V溝の並ぶ方向に直交する軸を中心にして回転させる回転機構をさらに備えることが好ましい。これにより、各V溝グループのV溝の並ぶ方向が傾斜している場合に、その傾斜に合わせて測定用ダミーファイバを回転して傾斜させ、各V溝グループのV溝にダミーファイバ心線を確実に挿入することが可能となる。
【0020】
また本発明の一態様に係る測定補助装置は、(4)被測定用光ファイバの光ファイバ心線に測定用ダミーファイバのダミーファイバ心線を1心毎に突き合わせて接続するための、
前記被測定用光ファイバと同数の複数のV溝が形成されたV溝ブロックを備える、光ファイバ測定装置用の測定補助装置であって、前記V溝ブロックの前記V溝がそれぞれ前記測定用ダミーファイバの心線数と同じ数の前記V溝を含む複数のV溝グループから構成され、各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接する前記V溝グループの前記V溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されており、各前記V溝グループに対向する位置に前記測定用ダミーファイバが移動され、前記光ファイバ心線の伝送特性が測定される、測定補助装置である。隣接するV溝グループのV溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されていることで、軸ズレが発生した場合に測定用ダミーファイバの少なくとも1本のダミーファイバ心線がV溝に挿入されなくなるため、被測定用光ファイバの光ファイバ心線と物理的に接続されないという作用を生じ、よって光ファイバ測定装置で軸ズレの発生を確実かつ簡単に検知することが可能となる。
【0021】
さらに本発明の一態様に係る光ファイバ測定方法は、(5)測定器に接続された複数本のダミーファイバ心線からなる測定用ダミーファイバを、被測定用光ファイバが挿入され
前記被測定用光ファイバと同数の複数のV溝が形成され
たV溝ブロックであって、前記V溝が複数のV溝グループから構成され、各前記V溝グループが前記V溝ブロックの幅方向にずれているとともに、隣接する前記V溝グループの前記V溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されている
前記V溝ブロックの、最初のV溝グループに対向する位置に移動する第1のステップと、前記測定用ダミーファイバの各ダミーファイバ心線を対応するV溝に挿入し、該V溝に挿入されている前記被測定用光ファイバの光ファイバ心線に突き合わせて接続する第2のステップと、前記測定器により、前記光ファイバ心線の伝送特性を測定する第3のステップと、前記測定器で測定エラーが発生した場合に、軸ズレが発生したと判断し、再測定要と判定する第4のステップとを含み、次のV溝グループが存在する場合に、前記測定用ダミーファイバを次のV溝グループに対向する位置に移動させ、前記第2〜第4のステップを繰り返して、各前記V溝グループの前記V溝に挿入されている前記光ファイバ心線の伝送特性を測定する、光ファイバ測定方法である。隣接するV溝グループのV溝がそれぞれ異なる直線に沿って配置されていることで、軸ズレが発生した場合には測定用ダミーファイバの少なくとも1本のダミーファイバ心線がV溝に挿入されなくなるため、被測定用光ファイバの光ファイバ心線と物理的に接続されないという作用を生じ、よって軸ズレの発生を確実かつ簡単に検知することが可能となる。
【0022】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の一実施形態に係る光ファイバ測定装置、測定補助装置、および光ファイバ測定方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
また、これらの具体例は、被測定用光ファイバが12心のテープ心線であり、測定用ダミーファイバが4心のテープ心線である場合を一例として示している。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る光ファイバ測定装置1の構成を示すブロック図である。光ファイバ測定装置1は、被測定用光ファイバOFの伝送特性を測定する複数のOTDR測定器11と、複数のOTDR測定器11に一端側が1心毎に接続されたテープ心線である測定用ダミーファイバDFと、被測定用光ファイバOFの光ファイバ心線と測定用ダミーファイバDFの他端側とを1心毎に突き合わせるV溝ブロック14を備える測定補助装置(MAS)12と、OTDR測定器11の測定結果を取得するとともにOTDR測定器11およびMAS12を動作制御する制御装置13とを備える。
【0024】
測定用ダミーファイバDFは、後述する4本のダミーファイバ心線DF1〜DF4が一平面上に隣接して接触した状態で並列状に配置されており、その外周がテープ心線樹脂によって一体に被覆されている。各ダミーファイバ心線は、中心にコアとクラッドから成るガラスファイバが配置され、その外周が着色層を含む樹脂で被覆されている。
【0025】
被測定用光ファイバOFは、後述する12本の光ファイバ心線OF1〜OF12が一平面上に隣接して接触した状態で並列状に配置されており、その外周がテープ心線樹脂によって一体的に被覆されている。各光ファイバ心線は、中心にコアとクラッドから成るガラスファイバが配置され、その外周が着色層を含む樹脂で被覆されている。
【0026】
OTDR測定器11は、被測定用光ファイバOFに光パルスを入射し、各部位からの後方散乱光の戻り時間と光量を測定することで、被測定用光ファイバOF上の損失分布や損失値(ロス値)、欠陥位置等を算出する。被測定用光ファイバOF自体に局所的にロスが高い箇所があると、OTDR波形上では傾きの変化(段差量、区間ロス値)として現れ、このような傾きの変化を段差異常や区間ロス異常として認識する。
また、OTDR測定器は、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線DF1〜DF4が所定のV溝とは異なるV溝に挿入されたと認められる場合に再測定要と判断する機能を有する再測定要否判断部18を備えていてもよい。
【0027】
制御装置13には、伝送特性検査用の検査ソフトがインストールされている。制御装置13は、OTDR測定器11へ制御信号15を発信して測定器自体の動作制御を行うとともに、OTDR測定器11から測定データ16を受信し、その測定データ16を解析して良否判定を行う。また制御装置13は、MAS12へ制御信号17を発信して、
図2で後述する可動ヘッド20の動作制御を行う動作制御部19を備えている。この動作制御部19の制御により、V溝ブロック14上の接続部Pに位置決めされている被測定用光ファイバOFの各光ファイバ心線に、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線を突き合わせる。
【0028】
図2は、
図1のMAS12の要部を示す拡大図である。
図2に示すように、MAS12は、V溝ブロック14の幅方向に設けられたガイドレール22に沿って移動可能な台座部25と、台座部25の上に設けられた可動ヘッド20と、光ファイバ心線OF1〜OF12を含む12心の被測定用光ファイバOFを保持する被測定テープホルダ23と、被測定テープホルダ23毎に被測定用光ファイバOFを配置する複数列のステージ24とを備えている。ステージ24の前方には、12本のV溝V1〜V12を有するV溝ブロック14が設けられている。
【0029】
可動ヘッド20上には、測定用ダミーファイバDFを保持するダミーホルダ21が設けられている。このダミーホルダ21は、長手方向に所定距離だけ移動可能なように設定されている。ダミーホルダ21は、ダミーファイバ心線DF1〜DF4を含む4心の測定用ダミーファイバDFを保持する。さらに、MAS12は、台座部25に設けられ、たとえば可動ヘッド20をV溝ブロック14の幅方向および長手方向の両方に直交する高さ方向に移動させる高さ方向移動機構26を備えている。高さ方向移動機構26は、たとえば、ボールねじと駆動用モータとにより可動ヘッド20を高さ方向で自在に移動させる機構であり得るが、これに限定されない。ガイドレール22、台座部25、および高さ方向移動機構26は、本実施形態における移動機構を構成する。なお、可動ヘッド20の幅方向の移動と高さ方向移動機構26による高さ方向の移動、およびダミーホルダ21の長手方向の移動は、制御装置13の動作制御部19により制御される。
【0030】
図3Aおよび
図3Bは、本発明の一実施形態に係る光ファイバ測定装置1のMAS12のV溝ブロック14を概略的に示している。V溝ブロック14の上面には、12本のV溝V1〜V12が形成されている。これらのV溝V1〜V12に、被測定用光ファイバOFの光ファイバ心線OF1〜OF12がそれぞれ挿入される。
【0031】
V溝V1〜V12は、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線の数(4本)に合わせて、V溝V1〜V4で構成される第1のV溝グループVG1、V溝V5〜V8で構成される第2のV溝グループVG2、およびV溝V9〜V12で構成される第3のV溝グループVG3に分かれて形成されている。各V溝グループは、V溝ブロック14のV溝
が、それぞれ異なる直線に沿って配置されている。すなわち、第1のV溝グループVG1を構成するV溝V1〜V4は、破線で示された直線L1に沿って配置され、第2のV溝グループVG2を構成するV溝V5〜V8は、一点鎖線で示された直線L2に沿って配置され、第3のV溝グループVG3を構成するV溝V9〜V12は、二点鎖線で示された直線L3に沿って配置されている。図示されているように、本実施形態における直線L1、L2、L3は、相互に平行な直線であり、直線L2が直線L1よりも低く、直線L3が直線L2よりも低い。すなわち、隣接するV溝グループVG1およびVG2のV溝
がそれぞれ異なる直線に沿って配置され、隣接するV溝グループVG2およびVG3も同様に異なる直線に沿って配置されており、この場合、12本のV溝V1〜V12は、V溝ブロック14の高さが3段階のレベルで形成されている。
【0032】
次に、本実施形態の光ファイバ測定装置1における光ファイバの測定と、軸ズレの検出について説明する。光ファイバの測定時に、MAS12の可動ヘッド20は、ガイドレール22に沿った幅方向の移動および高さ方向移動機構26による高さ方向の移動を通じて、まず第1のV溝グループVG1に対向する位置に移動する。そしてダミーホルダ21による長手方向の移動を通じて、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線DF1〜DF4を第1のV溝グループVG1のV溝V1〜V4にそれぞれ挿入し、V溝V1〜V4に挿入されている被測定用光ファイバOFの光ファイバ心線OF1〜OF4に突き合わせて接続する(
図3A)。この状態で、DF1〜DF4に接続されたOTDR測定器11により、OF1〜OF4の測定を行う。
【0033】
光ファイバ心線OF1〜OF4の測定が終了すると、MAS12の可動ヘッド20は、ダミーホルダ21による長手方向の移動を通じて、ダミーファイバ心線DF1〜DF4を第1のV溝グループVG1のV溝V1〜V4から抜き出す。次に、可動ヘッド20は、幅方向の移動および高さ方向の移動を通じて、第2のV溝グループVG2に対向する位置に移動する。そしてOF1〜OF4を測定した場合と同様に、DF1〜DF4を第2のV溝グループVG2のV溝V5〜V8にそれぞれ挿入し、光ファイバ心線OF5〜OF8に突き合わせて接続して、OTDR測定器11による測定を行う。
【0034】
さらに、光ファイバ心線OF5〜OF8の測定が終了すると、可動ヘッド20は、同様の方法でダミーファイバ心線DF1〜DF4を第2のV溝グループVG2のV溝V5〜V8から抜き出し、第3のV溝グループVG3に対向する位置に移動し、DF1〜DF4を第3のV溝グループVG3のV溝V9〜V12にそれぞれ挿入し、光ファイバ心線OF9〜OF12に突き合わせて接続して、OTDR測定器11による測定を行う。
【0035】
以上の一連の光ファイバ測定で、軸ズレが発生した場合を考える。たとえば、
図3Bに示すように、第1のV溝グループVG1に対向する位置から第2のV溝グループVG2に対向する位置に移動してダミーファイバ心線DF1〜DF4をV溝V5〜V8に挿入する際に、可動ヘッド20の位置制御のミス等により、ダミーファイバ心線DF1がV溝V5ではなくV溝V6に挿入されるかたちで、ダミーファイバ心線がV溝に1つずつズレて挿入されたと仮定する。この場合、ダミーファイバ心線DF4はV溝に挿入されず、被測定用光ファイバOFのいかなる光ファイバ心線にも接続されない。よってダミーファイバ心線DF4に接続されたOTDR測定器11は測定を行うことができず、測定エラーが発生する。この測定エラーが発生したことをもって、再測定要否判断部18は、軸ズレが発生したことを検知し、再測定要と判断する。
【0036】
本実施形態の光ファイバ測定装置1では、被測定用光ファイバOFの12本の光ファイバ心線OF1〜OF12が、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線DF1〜DF4と同じ本数(4本)の光ファイバ心線ごとにグループ分けされ、それぞれのグループのV溝が相互に平行な3本の直線に沿って配置されているため、光ファイバ測定過程のいずれかの時点で軸ズレが発生した場合、少なくとも1本のダミーファイバ心線が被測定用光ファイバの光ファイバ心線と接続されないこととなる。よって軸ズレが発生したにも関わらず全てのダミーファイバ心線が被測定用光ファイバの光ファイバ心線に接続されるという状況を回避し、軸ズレの発生を確実かつ簡単に検知することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る光ファイバ測定装置1について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、第2の実施形態に係る光ファイバ測定装置1のMAS12のV溝ブロック14を概略的に示す。第2の実施形態に係る光ファイバ測定装置1は、第1の実施形態に係る光ファイバ測定装置1の構成等を一部変更したものであり、多くの部分が第1の実施形態と共通する。よって共通する部分の説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
本実施形態のV溝ブロック14に形成される12本のV溝V1〜V12もまた、3つのV溝グループVG1〜VG3に分けて形成されている。ここで、第1のV溝グループVG1を構成するV溝V1〜V4が並ぶ方向を示す直線L1は、隣接する第2のV溝グループVG2を構成するV溝V5〜V8が並ぶ方向を示す直線L2とは高さが異なるが、第3のV溝グループVG3を構成するV溝V9〜V12が並ぶ方向を示す直線L3とは高さが同じである。すなわち、隣接するV溝グループVG1およびVG2のV溝
がそれぞれ異なる直線に沿って配置され、隣接するV溝グループVG2およびVG3のV溝
がそれぞれ異なる直線に沿って配置されており、V溝V1〜V12は、VG2に属するV溝V5〜V8が他のV溝よりも高い位置となるように形成されている。
【0039】
本実施形態の場合も、被測定用光ファイバOFの測定を行う過程で軸ズレが発生した場合、少なくとも1本のダミーファイバ心線がV溝に挿入されず、被測定用光ファイバOFのいずれの光ファイバ心線とも接続されないこととなる。よって軸ズレが発生しているにも関わらず全てのダミーファイバ心線が被測定用の光ファイバ心線に接続されているという状況を回避し、軸ズレの発生を確実かつ容易に検知することができる。
【0040】
さらに、12本のV溝V1〜V12が、第2のV溝グループVG2に属するV溝V5〜V8のみが高くなるように2段階のレベルで形成されているため、可動ヘッド20の高さ方向の制御が2段階で済み、第1の実施形態に比べ、V溝ブロック14の高さ方向の寸法も抑えられるという効果が得られる。
【0041】
なお、本実施形態では、V溝ブロック14の12本のV溝V1〜V12は、第2のV溝グループVG2に属するV溝V5〜V8が他のV溝よりも高い位置となるように、すなわち、V溝ブロック14を正面から見た時に凸状となるように形成されているが、第2のV溝グループVG2に属するV溝V5〜V8が他のV溝よりも低い位置となるように、すなわち凹状となるように形成してもよい。
【0042】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る光ファイバ測定装置1について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、第3の実施形態に係る光ファイバ測定装置1のMAS12のV溝ブロック14を概略的に示す。第3の実施形態に係る光ファイバ測定装置1は、第1の実施形態に係る光ファイバ測定装置1の構成等を一部変更したものであり、多くの部分が第1および第2の実施形態と共通する。よって共通する部分の説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0043】
第3の実施形態のV溝ブロック14に形成される12本のV溝V1〜V12もまた、3つのV溝グループVG1〜VG3に分けて形成されている。ここで、第1のV溝グループVG1を構成するV溝V1〜V4が並ぶ方向を示す直線L1は、隣接する第2のV溝グループVG2を構成するV溝V5〜V8が並ぶ方向を示す直線L2と交差し、また直線L2は、隣接する第3のV溝グループVG3を構成するV溝V9〜V12が並ぶ方向を示す直線L3と交差している。すなわち、隣接するV溝グループVG1およびVG2のV溝
がそれぞれ異なる直線に沿って配置され、隣接するV溝グループVG2およびVG3のV溝
がそれぞれ異なる直線に沿って配置されており、3つの直線L1〜L3は、それぞれが傾斜している。
【0044】
また、第3の実施形態のMAS12は、可動ヘッド20をV溝の並ぶ方向に直交する軸を中心にして回転させる回転機構(図示せず)を備えている。これにより、測定用ダミーファイバDFの並列に並べられたダミーファイバ心線DF1〜DF4を、直線L1〜L3の傾斜に合わせて傾斜させて、各V溝グループのV溝にダミーファイバ心線DF1〜DF4を確実に挿入することができる。回転機構は、たとえば、回転軸に沿ったシャフトと、このシャフトを歯車を介して回転させる駆動モータとにより、可動ヘッド20を自在に回転させる機構であり得るが、これに限定されない。なお、回転機構は、ガイドレール22、台座部25、および高さ方向移動機構26と共に本実施形態における移動機構を構成し、回転機構による可動ヘッド20の回転は、制御装置13の動作制御部19により制御される。
【0045】
本実施形態の場合も、被測定用光ファイバOFの測定を行う過程で軸ズレが発生した場合、少なくとも1本のダミーファイバ心線がV溝に挿入されず、被測定用光ファイバOFのいずれの光ファイバ心線とも接続されないこととなる。よって軸ズレが発生しているにも関わらず全てのダミーファイバ心線が被測定用の光ファイバ心線に接続されているという状況を回避し、軸ズレの発生を確実かつ容易に検知することができる。
【0046】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る光ファイバ測定装置1について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、第4の実施形態に係る光ファイバ測定装置1のMAS12のV溝ブロック14を概略的に示す。この光ファイバ測定装置1は、第1の実施形態に係る光ファイバ測定装置1の構成等を一部変更したものであり、多くの部分が第1、第2、および第3の実施形態と共通する。よって共通する部分の説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0047】
第4の実施形態のV溝ブロック14に形成される12本のV溝V1〜V12もまた、3つのV溝グループVG1〜VG3に分けて形成されている。ここで、第1のV溝グループVG1を構成するV溝V1〜V4が並ぶ方向を示す直線L1と、第2のV溝グループVG2を構成するV溝V5〜V8が並ぶ方向を示す直線L2と、第3のV溝グループVG3を構成するV溝V9〜V12が並ぶ方向を示す直線L3とは、相互に平行な状態で傾斜している。すなわち、隣接するV溝グループVG1およびVG2のV溝の並ぶ方向がそれぞれ異なる直線に沿って配置され、隣接するV溝グループVG2およびVG3のV溝の並ぶ方向がそれぞれ異なる直線に沿って配置されている。
【0048】
この実施形態では、光ファイバ測定装置1のMAS12は、可動ヘッド20を高さ方向に移動する高さ方向移動機構や、可動ヘッド20をV溝の並ぶ方向に直交する軸を中心に回転させる回転機構は無くてもよい。これは、可動ヘッド20をガイドレール22に沿ってV溝ブロック14の幅方向に移動するだけで、第1、第2、および第3のV溝グループVG1、VG2、VG3のV溝に、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線DF1〜DF4を挿入することができるからである。よって、本実施形態に係る光ファイバ測定装置1は、可動ヘッド20の移動制御が簡素化されるという効果を有する。
【0049】
次に、本発明の実施形態に係る光ファイバ測定方法について、
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
まず、測定用ダミーファイバDFを保持する可動ヘッド20を、V溝ブロック14の最初のV溝グループである第1のV溝グループVG1に対向する位置に移動する(ステップS1)。
【0051】
次に、測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線DF1〜DF4のそれぞれを、対応するV溝V1〜V4に挿入し、被測定用光ファイバOFの光ファイバ心線OF1〜OF4と突き合わせて接続する(ステップS2)。
【0052】
次に、ダミーファイバ心線DF1〜DF4に接続されている4台のOTDR測定器11により、接続先の光ファイバ心線OF1〜OF4の伝送特性を測定する(ステップS3)。
【0053】
ここで、ステップS2で測定用ダミーファイバDFのダミーファイバ心線DF1〜DF4が対応するV溝V1〜V4に正しく挿入されておらず、軸ズレが発生していれば、ダミーファイバ心線DF1〜DF4の少なくとも1本は被測定用の光ファイバ心線に接続されておらず、そのダミーファイバ心線に接続されたOTDR測定器11は測定を実行できない。よって、少なくとも1台のOTDR測定器で測定エラーが発生した場合に(ステップS4のYES)、軸ズレやOTDR異常等が発生したと判断し、再測定要と判定する(ステップS5)。
【0054】
いずれのOTDR測定器11でも測定エラーが発生しなかった場合(ステップS4のNO)、およびステップS5で再測定要と判定した後、次のV溝グループが存在するか判断する(ステップS6)。この例では、可動ヘッド20はまだ最初のV溝グループVG1に対向する位置にあるため(NO)、可動ヘッド20を次のV溝グループVG2に対向する位置に移動し(ステップS7)、ステップS2に戻る。
【0055】
すべてのV溝グループに対してステップS2〜S6を繰り返し、被測定用光ファイバOFのすべての光ファイバ心線OF1〜OF12を測定する。最後のV溝グループであるV溝グループVG3で測定が終了したら(ステップS6のYES)、処理を終了する。
【0056】
ステップS5で再測定要と判定した場合、再測定を行うことが必要となる。再測定処理は、すべてのV溝グループでの測定が終了した後(すなわち、ステップS6のNOの後)で行ってもよいし、各V溝グループでの測定が終了した後(すなわち、ステップS5の後)で行ってもよい。
【0057】
上述したように、本発明の実施形態に係る光ファイバ測定装置、測定補助装置、および光ファイバ測定方法によれば、測定用ダミーファイバのダミーファイバ心線がV溝ブロックの所定のV溝とは異なるV溝に挿入される軸ズレが発生した場合、少なくとも1本のダミーファイバ心線は被測定用の光ファイバ心線と物理的に接続されず、よって1台以上のOTDR測定器で測定エラーが発生する。これにより、軸ズレが発生したことを確実かつ容易に判断し、再測定要と判定することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、12心の被測定用光ファイバに対して4心の測定用ダミーファイバを用いたが、被測定用光ファイバの心数は12心に限定されず、測定用ダミーファイバの心数も4心に限定されない。たとえば、被測定用光ファイバが8心または16心である場合、V溝ブロックに4本×2組または4本×4組のV溝を形成し、4心の測定用ダミーファイバを用いて上記実施形態と同様に測定を行うことができる。また、たとえば被測定用光ファイバが16心であり、測定用ダミーファイバが8心であれば、V溝ブロックに8本×2組のV溝を形成して、上記実施形態と同様に測定を行うことができる。要するに、被測定用光ファイバの心数が測定用ダミーファイバの心数の整数倍であり、V溝ブロックのV溝を測定用ダミーファイバの心数と同じ本数のV溝で構成されるV溝グループに分けて形成すれば、上記実施形態と同様に測定を行うことが可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、4心の測定用ダミーファイバDFに対して、各心に一つずつのOTDR測定器11を設けた例で説明している。同じようにOTDR測定器11を接続するのであれば、8心の測定用ダミーファイバDFを使用する場合、OTDR測定器11は8台必要となる。
なお、OTDR測定器11として、たとえば、2つの入出力ポートを有するOTDR測定器を用いた場合は、8心の測定に必要となる台数は4台となり、また、4つの入出力ポートを有するOTDR測定器を用いた場合は、8心の測定に必要となる台数は2台となる。
【0060】
また、複数の入出力ポートを有するOTDR測定器を使用する代わりに、測定用ダミーファイバとOTDR測定器の間に光チャンネルセレクタ(切り替えチャンネル数:2×4や2×8)を導入することにより、2台のOTDR測定器のみで4心や8心の測定を行うことも可能である。
【0061】
なお、本発明の光ファイバ測定装置および光ファイバの測定方法は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。