(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図9(a)に表したように、浴室に設置して使用される浴室ユニット100において、洗い場床120との間に隙間ができるよう浴槽110の側面を洗い場床120側に出っ張らせることが知られている(例えば、特許文献1)。このように、浴槽110の側面を出っ張らせることで、例えば、浴槽110が浮いているような印象を使用者に与え、意匠性を向上させることができる。
【0003】
洗い場床120は、排水口が底面に設けられた凹部122を有する。凹部122には、カバー130が嵌め込まれる。カバー130は、排水口などを覆い、排水口などが使用者に視認されてしまうことを抑制しつつ、洗い場床120に流れた水を凹部122内の排水口に排水可能とする。
【0004】
凹部122は、浴槽110側に寄せて配置される。このため、凹部122の一部及びカバー130の一部は、浴槽110の側面の下方に配置される。これにより、凹部122やカバー130を使用者に視認し辛くし、洗い場床120の美観を向上させることができる。
【0005】
また、
図9(a)に表したように、このような浴室ユニット100において、矩形状のカバー130の1つのコーナー部に切り欠き部130aを設け、切り欠き部130aが洗い場床120側を向くようにカバー130を凹部122に取り付けることにより、カバー130を着脱し易くすることも提案されている。
【0006】
しかしながら、上記のように切り欠き部130aを設けた場合、切り欠き部130aを浴槽110側に向けて反対向きにカバー130を凹部122に取り付けてしまう可能性がある。カバー130を反対向きに取り付けてしまうと、使用者がカバー130を取り外す際に、
図9(b)に表したように、浴槽110の側面の下端と洗い場床120との間の狭い隙間に手を入れてカバー130を取り外さなければならず、カバー130を非常に取り外し辛くなってしまう。また、カバー130を持ち上げようとした際に、
図9(b)に表したように、カバー130と浴槽110との間に手を挟んでしまう可能性も生じる。
【0007】
このため、浴室ユニットでは、浴槽の側面を洗い場床側に出っ張らせた場合にも、洗い場床の排水口を覆うカバーを容易に着脱できるようにすることが望まれる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室ユニットを表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る浴室ユニットを表す断面図である。
図1及び
図2に表したように、浴室ユニット10は、浴槽12と、洗い場床14と、凹部16と、カバー18と、を備える。洗い場床14は、浴槽12に隣接して設けられる。浴室ユニット10は、例えば、浴槽12、洗い場床14、及び周囲の壁面パネルなどをユニット化した、いわゆるユニットバスやシステムバスである。
【0017】
以下、本願明細書では、上下方向をZ軸方向、浴槽12と洗い場床14とが並ぶ方向をX軸方向(第1方向)、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向(第2方向)と、それぞれ呼ぶ場合がある。Y軸方向は、換言すれば、洗い場床14の床面14aと平行でX軸方向と直交する方向である。
【0018】
凹部16は、浴槽12側に寄せて洗い場床14に設けられる。凹部16は、洗い場床14の床面14aよりも下方に凹む。凹部16は、底面16aを有する。また、凹部16は、底面16aに設けられた排水口16bを有する。
【0019】
排水口16bは、例えば、排水トラップなどを介して建築の排水管などに接続され、洗い場床14側から流入した水を外部の排水管などに排水する。また、凹部16は、例えば、浴槽12内の水が排水された際に、浴槽12から排水された水が洗い場床14側に溢れ出てしまうことを抑制する。
【0020】
排水口16bには、例えば、ヘアキャッチャー20が設けられる。ヘアキャッチャー20は、排水口16bに着脱可能に取り付けられる。ヘアキャッチャー20は、複数の開口を有する格子状又は網状に形成され、毛髪やゴミなどが排水管に流れてしまうことを抑制する。ヘアキャッチャー20は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0021】
凹部16を上方から見た形状は、矩形状である。換言すれば、凹部16の開口形状は、矩形状である。凹部16は、例えば、略直方体状に凹んだ凹所である。凹部16の一つの辺は、X軸方向に延びる。凹部16の別の一つの辺は、Y軸方向に延びる。底面16aを上方から見た形状は、必ずしも矩形状でなくてもよい。凹部16は、少なくとも開口部の形状が矩形状であればよい。凹部16の開口部の各辺は、僅かに湾曲していてもよい。
【0022】
カバー18は、着脱可能に凹部16に取り付けられる。カバー18を上方から見た形状は、矩形状である。カバー18の外形形状は、凹部16の開口形状に対応して形成されている。カバー18は、凹部16に取り付けられた状態において、凹部16内に嵌って排水口16bの上方を覆いつつ、洗い場床14から排水口16bへの排水を可能にする。
【0023】
このように、カバー18は、排水を可能にしつつ、排水口16bやヘアキャッチャー20などを覆い隠す。これにより、浴室ユニット10の美観を向上させることができる。また、カバー18の上面18aは、
図2に表したように凹部16に正しい向き(後述する第1向き)で取り付けられた状態において、洗い場床14の床面14aと略面一になる。略面一とは、例えば、一方の面と他方の面との位置の差が2mm以下の状態である。これにより、例えば、使用者などが凹部16に足を引っ掛けてしまうことなどを抑制することができる。
【0024】
浴槽12は、洗い場床14との間に隙間を生じるように洗い場床14側に突出した第1側面部31(側面部)を有する。第1側面部31は、洗い場床14側を向く。第1側面部31は、換言すれば、浴槽12の外側面である。第1側面部31の下端31aの一部は、例えば、凹部16に取り付けられたカバー18の上方に位置する。第1側面部31の下端31aは、必ずしも凹部16に取り付けられたカバー18の上方に位置していなくてもよい。
【0025】
浴槽12は、例えば、第2側面部32と、下面部33と、をさらに有する。第2側面部32は、洗い場床14側を向き、第1側面部31よりも浴槽12側に設けられている。下面部33は、X軸方向に延び、第1側面部31の下端31aと、第2側面部32の上端と、を接続する。下面部33は、換言すれば、第1側面部31の下端31aから浴槽12側に向かって延びる。下面部33は、下方を向く面である。
【0026】
第2側面部32は、例えば、洗い場床14の床面14aの浴槽12側の端部から上方に向かって延びる。凹部16は、例えば、第2側面部32に近接して配置される。凹部16の浴槽12側の内側面は、例えば、第2側面部32と略面一に形成される。第1側面部31は、第2側面部32よりも洗い場床14側に突出する。第1側面部31の突出量は、凹部16のX軸方向の長さ未満である。これにより、第1側面部31の下端31aの一部が、凹部16に取り付けられたカバー18の上方に位置する。
【0027】
第1側面部31、第2側面部32、及び下面部33は、例えば、浴槽12の浴槽本体に着脱可能に取り付けられる浴槽エプロン(側面パネル)によって形成される。第1側面部31、第2側面部32、及び下面部33は、例えば、浴槽12の内側面と連続的に形成してもよい。すなわち、第1側面部31、第2側面部32、及び下面部33は、浴槽12の浴槽本体の外側面でもよい。
【0028】
例えば、第2側面部32は、洗い場床14に一体に設けてもよい。第2側面部32は、例えば、洗い場床14の床面14aの端部から上方に立ち上がる立ち上がり部(土手部)でもよい。このように、第1側面部31は、浴槽12に設け、第2側面部32は、洗い場床14に設けてもよい。浴槽12は、少なくとも第1側面部31を有していればよい。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す斜視図である。
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係るカバーを表す斜視図である。
図3(a)は、凹部16にカバー18を取り付けた状態を表す。
図3(b)は、凹部16からカバー18を取り外した状態を表す。
図4(a)は、カバー18を上方(表側)から見た状態を表す斜視図である。
図4(b)は、カバー18を下方(裏側)から見た状態を表す斜視図である。
【0030】
図3(b)に表したように、凹部16は、第1隆起部61と、第2隆起部62と、を有する。第1隆起部61は、凹部16の左右方向(Y軸方向)における両端部のそれぞれに設けられる。換言すれば、第1隆起部61は、凹部16のうち、浴槽12と洗い場床14とが並ぶ方向に対して垂直な方向における両端部に設けられる。第1隆起部61は、凹部16の底面16aから上方へ隆起した部分である。2つの第1隆起部61が排水口16bを挟んでY軸方向の両側に配置されている。この例において、第1隆起部61は、矩形状の凹部16の各短辺に沿って設けられている。
【0031】
第2隆起部62は、凹部16の左右方向における各両端側において、洗い場床14側の端部に設けられる。第2隆起部62は、凹部16の底面16aから上方へ隆起した部分である。第2隆起部62は、第1隆起部61と連続して設けられている。2つの第2隆起部62が排水口16bを挟んでY軸方向の両側に配置されている。この例において、第2隆起部62は、矩形状の凹部16の洗い場床14側の長辺に沿って設けられている。
【0032】
第1隆起部61は、上面61a、61bを有する。上面61a、61bは、例えば、カバー18を載置するための載置面である。上面61a、61bは、略水平面状である。略水平面とは、例えば、面内の最も高い位置と最も低い位置との差が2mm以下の平面である。また、上面61bは、上面61aと略面一である。
【0033】
第2隆起部62は、上面62a、62bを有する。上面62a、62bは、略水平面状である。第2隆起部62の上面62aは、例えば第1隆起部61の上面61aと連続しており、上面61aと略面一である。第2隆起部62の上面62bは、例えば第1隆起部61の上面61bと連続しており、上面61bと略面一である。
【0034】
第1隆起部61及び第2隆起部62は、凹部16のうち深さが浅くなった部分である。換言すれば、Z軸方向における位置に関して、上面61a、61b、62a、62bのそれぞれは、凹部16の底面16aと、洗い場床14の床面14aと、の間である。
【0035】
凹部16は、例えば、端面16e、16fを有する。端面16eは、上面61aの浴槽12側の一端と連続して設けられ、洗い場床14側を向く。端面16fは、上面61bの浴槽12側の一端と連続して設けられ、洗い場床14側を向く。
【0036】
カバー18は、第1辺41と、第2辺42と、を有する。第2辺42は、第1辺41と反対側の辺である。より詳しくは、カバー18の矩形状の上面18aは、第1辺41と、第1辺41と反対側の第2辺42と、を有する。カバー18の上面18aは、例えば、第1辺41の一端側から第2辺42の一端側に向かって延びる第3辺43と、第1辺41の他端側から第2辺42の他端側に向かって延びる第4辺44と、をさらに有する。
【0037】
第2辺42は、第1辺41と略平行である。第4辺44は、第3辺43と略平行である。また、第3辺43及び第4辺44は、第1辺41及び第2辺42と略直交する。略平行とは、例えば、2つの辺の成す角度が、2°以下の状態である。略直交とは、例えば、2つの辺の成す角度が、89°以上91°以下の状態である。カバー18の外形形状は、例えば、矩形の平板状(直方体状)である。
【0038】
第1辺41及び第2辺42の長さは、例えば、凹部16のY軸方向の長さよりも僅かに短い程度(例えば1mm〜4mm程度)に設定される。第3辺43及び第4辺44の長さは、例えば、凹部16のX軸方向の長さよりも僅かに短い程度に設定される。これにより、カバー18を凹部16内に嵌め易くすることができるとともに、凹部16の内側面とカバー18の外側面との間に空く隙間から洗い場床14に流れた水を排水口16bに排水することができる。
【0039】
カバー18の裏面側には、四隅のそれぞれに配置された4つの脚部18bが設けられている。各脚部18bのそれぞれにおいて、脚部18bの下端から上面18aまでの長さ(高さ)は、寸法誤差の範囲内(例えば±0.5mm)において実質的に一定である。各脚部18bは、水平面上に載置された状態において、上面18aを実質的に水平にする。
【0040】
また、カバー18の裏面側には、第1辺41側に設けられた突部18eが設けられている。この例において、カバー18のうち第1辺41側の端部に、2つの突部18eがY軸方向に並べて設けられている。突部18eの下端から上面18aまでの長さは、寸法誤差の範囲内において実質的に一定である。
【0041】
突部18eは、第1辺41側に設けられた脚部18bよりも下方へ突出している。すなわち、突部18eの下端から上面18aまでの長さ(高さ)は、脚部18bの下端から上面18aまでの長さよりも長い。
【0042】
カバー18の上面18aの形状は、凹部16の形状に対応する矩形状である。従って、カバー18は、第1辺41を浴槽12側に向けた第1向きで凹部16内に嵌め込むことができる。
【0043】
カバー18は、第1辺41に沿う側面18cと、第2辺42に沿う側面18dと、を有する。カバー18は、第1向きで凹部16に取り付けられた場合、側面18cの両端部S1、S2を凹部16の端面16e、16fと対向させる。
【0044】
カバー18が第1向きで凹部16内に嵌った状態において、脚部18bのそれぞれは、第1隆起部61(上面61a又は61b)の上に載置される。これにより、凹部16に第1向きでカバー18を取り付けた状態において、カバー18の上面18aが、略水平になる。また、脚部18bの下端から上面18aまでの長さは、第1隆起部61の上面61a、61bから床面14aまでのZ軸方向の長さと実質的に同じである。従って、凹部16に第1向きでカバー18を取り付けた状態において、カバー18の上面18aが、洗い場床14の床面14aと略面一になる(
図5(a)参照)。
【0045】
なお、カバー18が第1向きで凹部16に取り付けられた状態においては、突部18eは、第1隆起部61及び第2隆起部62の上に載置されていない。突部18eの下端から上面18aまでの長さは、底面16aから床面14aまでのZ軸方向の長さ以下である。この状態において、突部18eは、凹部16内の浴槽12側の空間に収まっている。
【0046】
例えば、使用者が、第1向きとは逆向きの第2向きでカバー18を取り付けようとする場合もある。すなわち、カバー18は、第2辺42を浴槽12側に向けた第2向きで凹部16に取り付けられる場合がある。カバー18は、第2向きで凹部16に取り付けられた場合、側面18dの両端部S3、S4を凹部16の端面16e、16fと対向させる。
【0047】
カバー18が第2向きで凹部16に取り付けられた状態において、各突部18eは、第2隆起部62(上面62a又は62b)の上に載置される。このとき、例えば、4つの脚部18bのうち、第1辺41側に設けられた2つの脚部18bは、第1隆起部61から離間し、第2辺42側に設けられた2つの脚部18bは、第1隆起部61の上に載置される。これにより、カバー18が凹部16に第2向きで取り付けられた状態において、カバー18の上面18aが水平面から傾く(
図6(a)参照)。突部18eの下端から上面18aまでの長さは、第2隆起部62の上面62a、62bから床面14aまでのZ軸方向の長さよりも長い。従って、凹部16に第2向きでカバー18を取り付けた状態において、カバー18の第1辺41側の上端の位置は、カバー18の第2辺42側の上端の位置よりも高く、床面14aの位置よりも高い。
【0048】
なお、隆起部(第1隆起部61、第2隆起部62のそれぞれ)の数は、2つに限ることなく任意の数でよい。第1隆起部61及び第2隆起部62は、互いに連続して設けられたものだけでなく、互いに分離して設けられてもよい。脚部18bの数は、4つに限ることなく、第1向きにおいて第1隆起部61の上に載置可能な任意の数でよい。この例においては、4つの脚部18bが互いに分離して設けられているが、脚部18bの数や形状はこれに限らず、脚部18bは、カバー18の少なくとも四隅近傍に設けられていればよい。例えば、四隅近傍に設けられた脚部18bは、互いに分離しているものだけでなく、互いに連なって設けられたものであってもよい。突部18eの数は、2つに限ることなく、第2向きにおいて第2隆起部62の上に載置可能な任意の数でよい。突部18eは、必ずしも第1辺41上でなくてもよく、第1辺41側に寄せて設けられればよい。凹部16及びカバー18の形状は、上記に限ることなく、カバー18を凹部16に取り付け可能な任意の形状でよい。
【0049】
凹部16及びカバー18は、例えば、第1辺41及び第2辺42と平行な方向の長さが、第1辺41及び第2辺42と直交する方向の長さよりも長い横長矩形状である。換言すれば、凹部16及びカバー18のY軸方向の長さは、凹部16及びカバー18のX軸方向の長さよりも長い。
【0050】
凹部16及びカバー18のY軸方向の長さは、例えば、凹部16及びカバー18のX軸方向の長さと実質的に同じでもよい。すなわち、凹部16及びカバー18を上方から見た形状は、正方形状でもよい。あるいは、上記とは反対に、凹部16及びカバー18のY軸方向の長さを、凹部16及びカバー18のX軸方向の長さより短くしてもよい。
【0051】
カバー18は、第2辺42の一端側に設けられた切り欠き部52を有する。この例において、切り欠き部52は、第2辺42の一端に設けられる。換言すれば、切り欠き部52は、矩形状のカバー18の角部に設けられる。但し、切り欠き部52の位置は、必ずしも第2辺42の一端でなくてもよい。切り欠き部52は、必ずしも矩形状のカバー18の角部に設けられていなくてもよい。例えば、第2辺42上に切り欠き部52を設けてもよい。切り欠き部52は、第2辺42の一端側に寄せて設けられることが望ましい。
【0052】
図5(a)及び
図5(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図5(a)は、カバー18が凹部16に第1向きで取り付けられた状態を表す。このとき、切り欠き部52は、使用者が指を掛けることが可能な形状に形成されている。
切り欠き部52は、凹部16に第1向きで取り付けられた状態のカバー18に指を掛けられるようにするものである。例えば、指が掛からない程度の切り欠きは、切り欠き部52に含まれるものではない。
【0053】
これにより、カバー18は、第1辺41を浴槽12側に向けた第1向きで凹部16に取り付けた場合には、
図5(b)に表したように、洗い場床14側に配置される切り欠き部52に指を掛け、側面18cの両端部S1、S2を凹部16の端面16e、16fに当接させ、カバー18の浴槽12側の端部を軸に回転させることで、凹部16から取り外すことができる。切り欠き部52の形状は、カバー18が凹部16に取り付けられた状態において指を掛けることが可能な任意の形状でよい。
【0054】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図6(a)は、カバー18が凹部16に第2向きで取り付けられた状態を表す。このとき、カバー18の第1辺41側の上端の位置は、床面14aの位置よりも高い。これにより、側面18cの少なくとも一部は、床面14aよりも上方に位置し、使用者は側面18cに指を掛けることができる。突部18eは、第2隆起部42の上に載置されることで、カバー18の第1辺41側を指を掛けられる程度に持ち上げるものである。
【0055】
図6(b)に表したように、カバー18は、第1辺42を浴槽12側に向けた第2向きで凹部16に取り付けた場合には、洗い場床14側に配置される側面18cに指を掛け、側面18dの両端部S3、S4を凹部16の端面16e、16fに当接させ、カバー18の浴槽12側の端部を軸に回転させることで、凹部16から取り外すことができる。
【0056】
図7(a)及び
図7(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーを表す断面図である。
図7(a)及び
図7(b)に表したように、第1側面部31の下端31aは、第1向きで凹部16に取り付けられたカバー18の洗い場床14側の端部を軸に回転させて、カバー18を凹部16から取り外す際に、カバー18の浴槽12側の端部、又はカバー18を把持する手(指)と接触する位置に配置されている。
【0057】
このように、第1側面部31の下端31aは、凹部16に取り付けられたカバー18の上方において、カバー18の近傍に配置される。浴槽12の上端(リム面)は、洗い場床14の床面14aよりも上方に位置する。第1側面部31の下端31aは、例えば、浴槽12の上端と洗い場床14の床面14aとの高さ方向(Z軸方向)の中央よりも下方に配置される。第1側面部31の下端31aと洗い場床14の床面14aとの間の高さ方向の距離D1は、例えば、1cm以上10cm以下である。これにより、例えば、洗い場床14に立った使用者が斜め上方から浴槽12を見た際に、第2側面部32が第1側面部31によって覆い隠され、浴槽12が床面14aから浮いているような印象を強くすることができる。
【0058】
例えば、突部18eが設けられていないカバーにおいて、切り欠き部を浴槽12側に向けて凹部16に取り付けてしまった場合、使用者がカバーを取り外す際に、浴槽12の第1側面部31の下端31aと洗い場床14との間の狭い隙間に手を入れてカバーを取り外さなければならず、カバーを非常に取り外し辛くなってしまう。また、カバーを持ち上げようとした際に、
図7(b)に表したように、カバーと第1側面部31の下端31aとの間、もしくはカバーと下面部33との間に手や指を挟んでしまう可能性も生じる。
【0059】
これに対して、本実施形態に係る浴室ユニット10では、カバー18が、突部18eと切り欠き部52とを有する。これにより、誤って第2向き(正しい向きとは逆向き)でカバー18を凹部16に取り付けた場合には、突部18eが第2隆起部62の上に載置されることにより、突部18eが設けられたカバー18の第1辺41側を洗い場床14の床面14aよりも高い位置とすることができる。これにより、使用者はカバー18の第1辺41側に指を掛けて洗い場床14側からカバー18を取り外すことができる。正しい向き(第1向き)でカバー18を凹部16に取り付けた場合には、四隅の脚部18bは第1隆起部61に載置され、突部18eは第2隆起部62に載置されず凹部16内の浴槽12側の空間に収まる。この場合、突部18eが設けられたカバー18の第1辺41側が第2辺42側よりも高くならず、洗い場床14の床面14aとカバー18の上面18aとを略面一とすることができる。このとき、使用者は、第2辺42側に設けられた切り欠き部52に指をかけて洗い場床14側からカバー18を取り外すことができる。従って、浴槽12の第1側面部31を洗い場床14側に出っ張らせた場合にも、洗い場床14の排水口16bを覆うカバー18を容易に着脱することができる。
また、第1向きでカバー18を凹部16に取り付けたときに脚部18bが第1隆起部61に載置されることにより、脚部18bの長さが短くて済む。これにより、より容易にカバー18を凹部16に着脱することができる。例えば、カバー18を凹部16から取り外す際に、使用者が凹部16からカバー18を持ち上げる距離を短くすることができる。 第1向き及び第2向きのいずれの向きでカバー18を凹部16に取り付けた場合でも、カバー18の洗い場床14側に配置された部分に指を掛けることができるため、浴槽12の第1側面部31の下端31aと洗い場床14との間の狭い隙間に手を入れる必要がなく、カバー18と浴槽12との間に手を挟んでしまうこともない。
【0060】
また、浴室ユニット10では、凹部16及びカバー18が、第1辺41及び第2辺42と平行な方向の長さが、第1辺41及び第2辺42と直交する方向の長さよりも長い横長矩形状である。これにより、カバー18の洗い場床14側への露出を抑えることができ、意匠性をより高めることができる。また、使用者などに利用される頻度の高い洗い場床14のX軸方向の中央付近に水が溜まることを抑制することができる。例えば、凹部16に集中するように洗い場床14の床面14aの排水勾配を形成する場合に、X軸方向に延びた縦長状の凹部及びカバーと比べて、床面14aに流れる水を、より浴槽12側に寄せることができる。従って、浴室ユニット10の快適性をより向上させることができる。
【0061】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る凹部及びカバーの変形例を表す断面図である。
図8(a)は、カバー18が凹部16に第2向きで取り付けられた状態を表す。突部18eが第2隆起部62の上に載置され、カバー18の第1辺41側の上端は、洗い場床14の床面14aよりも上方に位置する。第1辺41に沿う側面18cは、洗い場床14側を向く。
【0062】
突部18eが第2隆起部62に載置された状態において、側面18cの少なくとも一部の下端18gと、洗い場床14の床面14aと、の間に隙間G1が生じている。例えば、突部18eが第2隆起部62に載置された状態において、下端18gの位置は、床面14aの位置よりも高い。これにより、
図8(b)に表したように、使用者は、隙間G1に指を入れるようにして、側面18cの下端18gに指を掛けることができる。隙間G1によって使用者がより指をカバー18に掛けやすくなり、カバー18の取外しの作業性が向上する。
【0063】
隙間G1は、突部18eが第2隆起部62に載置された状態において、側面18cの下端の全体に亘って生じていなくてもよい。例えば、
図4(b)に表したように側面18cの高さ方向の幅が一定でない場合は、幅が狭い部分において、隙間G1が生じていればよい。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室ユニット10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。