(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の押圧部材に設けられた前記複数の突出部のうちの、前記欠落部の隣に位置する突出部の頂部は、当該複数の突出部に含まれる他の突出部の頂部よりも前記基部側に位置する請求項2記載の綴じ処理装置。
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、当該画像形成手段により画像が形成された複数の記録媒体に対して綴じ処理を行う綴じ処理装置とを備え、当該綴じ処理装置が請求項1乃至6のいずれか記載の綴じ処理装置により構成された画像形成システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成システム500の構成を示した図である。
図1に示す画像形成システム500は、記録媒体の一例としての用紙Pにカラー画像を形成するプリンタや複写機等の画像形成装置1と、画像形成装置1により画像形成が行われた用紙Pに対して綴じ等の後処理を行う後処理装置2とを備える。
【0009】
画像形成手段の一例としての画像形成装置1には、各色画像データに基づいて画像形成を行う4つの画像形成ユニット100Y、100M、100C、100K(「画像形成ユニット100」とも総称する)が設けられている。
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100に設けられた感光体ドラム107を露光するレーザ露光装置101が設けられている。さらに、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト102が設けられている。
【0010】
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト102に順次転写(一次転写)する一次転写ロール103、中間転写ベルト102上に転写された各色トナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール104、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着する定着装置105が設けられている。また、画像形成装置1には、プログラム制御されたCPUにより構成され、画像形成装置1の動作を制御する本体制御部106が設けられている。
【0011】
画像形成装置1の各画像形成ユニット100では、感光体ドラム107への帯電工程、レーザ露光装置101からの走査露光による感光体ドラム107での静電潜像形成工程、形成された静電潜像への各色トナーの現像工程等を経て、各色のトナー像が形成される。
各画像形成ユニット100に形成された各色トナー像は、一次転写ロール103により中間転写ベルト102上に順次静電転写(一次転写)される。そして、各色トナー像は、中間転写ベルト102の移動に伴って二次転写ロール104の設置位置へ搬送される。
【0012】
一方、画像形成装置1には、異なるサイズや異なる紙種の複数の用紙Pが、それぞれ用紙収容部110A〜110Dに収容されている。
そして、用紙Pへの画像形成時には、例えば、ピックアップロール111により用紙収容部110Aから用紙Pが取り出され、搬送ロール112によって1枚ずつレジストロール113の位置まで搬送される。
【0013】
そして、中間転写ベルト102上の各色トナー像が、二次転写ロール104の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、レジストロール113から用紙Pが供給される。
これにより、各色トナー像は、二次転写ロール104により形成された転写電界の作用によって用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。
【0014】
その後、各色トナー像が二次転写された用紙Pは、中間転写ベルト102から剥離されて定着装置105に搬送される。定着装置105では、熱および圧力による定着処理により各色トナー像が用紙P上に定着され、画像が形成される。
そして、画像が形成された用紙Pは、搬送ロール114によって画像形成装置1の用紙排出部Tから排出され後処理装置2へ供給される。
綴じ処理装置の一例としての後処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Tの下流側に配置され、画像が形成された用紙Pに対して穴あけや綴じ等の後処理を行う。
【0015】
図2は、後処理装置2の構成を示した図である。
後処理装置2には、画像形成装置1の用紙排出部Tに接続されたトランスポートユニット21、トランスポートユニット21により搬送されてきた用紙Pに対して予め定められた処理を施すフィニッシャユニット22が設けられている。
また、後処理装置2には、プログラム制御されたCPUにより構成され、後処理装置2の各機構部を制御する用紙処理制御部23が設けられている。用紙処理制御部23は、不図示の信号ラインで本体制御部106(
図1参照)と接続され、相互に制御信号等の送受信を行う。
【0016】
後処理装置2のトランスポートユニット21には、2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施すパンチ機能部30、画像形成装置1にて画像形成された後の用紙Pをフィニッシャユニット22に向けて搬送する複数の搬送ロール211が設けられている。
一方、フィニッシャユニット22には、フィニッシャユニット本体221、用紙Pを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成する用紙集積部60、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対して綴じ(端綴じ)を実行する綴じユニット51が設けられている。
【0017】
また、フィニッシャユニット22には、回転可能に設けられ用紙集積部60にて生成された用紙束の搬送に用いられる搬送ロール61が設けられている。さらに、回転軸62aを移動中心として揺動可能に設けられ、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に圧接する位置へ移動可能な可動ロール62が設けられている。
また、搬送ロール61および可動ロール62により搬送されてきた用紙束が積載されるスタッカー80が設けられている。スタッカー80は、保持する用紙束の量に応じて上下移動する。
【0018】
後処理装置2による処理が行われる際には、まず、後処理装置2のトランスポートユニット21に、画像形成装置1から用紙Pが搬入される。
トランスポートユニット21では、パンチ機能部30による穴あけが行われた後、搬送ロール211によって用紙Pがフィニッシャユニット22に送られる。
なお、穴あけの指示が無い場合には、用紙Pは、パンチ機能部30による穴あけ処理は行われずに、そのままの状態でフィニッシャユニット22に送られる。
【0019】
フィニッシャユニット22に送られた用紙Pは、用紙集積部60まで搬送される。詳細には、用紙Pは、用紙集積部60の上方まで搬送された後に用紙集積部60に落下する。そして、この用紙Pは、用紙集積部60に設けられた支持板67によって下方から支持される。さらに、この用紙Pは、支持板67に付与された傾斜および回転するパドル69によって、支持板67の上をスライド移動する。
【0020】
その後、この用紙Pは、支持板67の端部に取り付けられたエンドガイド64に突き当たる。これにより、本実施形態では、用紙Pの移動が停止される。
以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこの動作が行われ、用紙集積部60上には、用紙Pの後端部が揃えられた状態の用紙束(記録媒体束)が生成される。
【0021】
また、本実施形態では、用紙束の幅方向に移動可能に設けられ(
図2の紙面と直交する方向に移動可能に設けられ)、用紙束の幅方向における位置を揃える揃え部材65が設けられている。
揃え部材65は、2つ設けられ、一方の揃え部材65は、用紙束の幅方向における一方側に配置され、他方の揃え部材65は、用紙束の幅方向における他方側に配置されている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが供給される度に、用紙Pの幅方向における端部(側部)が揃え部材65により押圧され、用紙P(用紙束)の幅方向における位置が揃えられる。
【0022】
そして、予め定められた枚数の用紙Pが支持板67上に積載され、支持板67上に用紙束が生成されると、綴じユニット51によって、用紙束の端部に対する綴じ処理が実行される。
【0023】
なお、この綴じユニット51には、用紙束を押圧する押圧部材対(後述)が設けられている。この押圧部材対には、上側押圧部材および下側押圧部材が設けられている(後述)。さらに、本実施形態では、上側押圧部材および下側押圧部材の一方を他方に対して進退させる進退機構51Aが設けられている。
本実施形態では、用紙束の両側から用紙束に対して上側押圧部材、下側押圧部材を押し当てて、用紙束を構成する用紙同士を圧着し、用紙束の綴じ処理を行う。言い換えると、本実施形態では、ステープル針などの針を用いずに、用紙束に対する綴じ処理を行う。
【0024】
なお、本実施形態では、用紙束に対する綴じ処理が終了すると、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62および搬送ロール61により用紙束が挟まれる。その後、搬送ロール61、可動ロール62が回転駆動を行い、綴じ処理が施された用紙束がスタッカー80へ搬送される。
【0025】
図3は、
図2の矢印III方向から綴じユニット51等を眺めた場合の図である。
本実施形態では、
図3に示すように、用紙束の搬送方向に対して、綴じユニット51が傾斜した状態で配置されている。本実施形態では、綴じユニット51は、用紙束の角部に対して綴じ処理を行う。
また、本実施形態の綴じユニット51には、押圧部材対81が設けられている。
【0026】
図4は、
図3の矢印IV方向から押圧部材対81を眺めた場合の図である。
図4に示すように、押圧部材対81には、上側押圧部材83A、下側押圧部材83Bが設けられている。
【0027】
図4に示すように、上側押圧部材83A、下側押圧部材83Bの各々には、左側突出部群91L、右側突出部群91Rが設けられている。上側押圧部材83Aの左側突出部群91Lは、下側押圧部材83Bの左側突出部群91Lの対向位置に設けられている。同様に、上側押圧部材83Aの右側突出部群91Rは、下側押圧部材83Bの右側突出部群91Rの対向位置に設けられている。
【0028】
上側押圧部材83A、下側押圧部材83Bの各々において、左側突出部群91L、右側突出部群91Rの各々には、複数の突出部91が並んで設けられている。具体的には、上側押圧部材83A、下側押圧部材83Bの各々において、左側突出部群91L、右側突出部群91Rの各々には、いずれも、4つの突出部91が並んで設けられている。
複数の突出部91の各々は、一方向に沿って延びるように形成されている(図中、紙面と直交する方向に沿って延びるように形成されている)。さらに、複数の突出部91の各々は、断面形状が三角形となるように形成されている。
【0029】
さらに、複数の突出部91の各々は、一方向(図中、紙面と直交する方向)に沿って延びるように形成されるとともに、複数の突出部91は、この一方向と直交する方向(図中、左右方向)に並べられている。
また、本実施形態では、上側押圧部材83A、下側押圧部材83Bの各々には、直方体状の基部93が設けられ、複数の突出部91の各々は、この基部93の表面から突出している。また、複数の突出部91の各々は、突出方向(図中、上下方向)の先端に頂部91Aを有する。
【0030】
また、本実施形態では、上側押圧部材83A、下側押圧部材83Bの各々には、突出部91が欠落している欠落部92が設けられている。付言すると、この欠落部92が設けられている領域には、突出部91が設けられていない。
抑制手段の一例としての欠落部92(上側押圧部材83Aの欠落部92および下側押圧部材83Bの欠落部92)は、いずれも、左側突出部群91Lと右側突出部群91Rとの間に設けられている。また、本実施形態では、上側押圧部材83Aの欠落部92と下側押圧部材83Bの欠落部92とが互いに対向する対向関係で配置されている。
【0031】
ここで、用紙束に対して綴じ処理を行うにあたり、用紙束の厚さに対して好ましい突出部91の大きさがある。
本実施形態では、押圧部材対81に設けられた複数の突出部91の各々が大型に構成されており、この複数の突出部91を用紙束に押し当てたときの用紙束の変形量が大きくなる。
そのため、本実施形態では、この押圧部材対81を用いて多枚数の用紙束の綴じ処理を行える。具体的には、本実施形態では、押圧部材対81を用いて、例えば、10枚を最大枚数とする用紙束の綴じ処理を行える。また、本実施形態では、複数の突出部91の各々の大きさを、10枚の用紙束を綴じるのに適した大きさとしている。
【0032】
なお、最大枚数とは、製品カタログ等に記載される仕様において、綴じ処理を行える用紙束の最大枚数として記載されている値である。言い換えると、最大枚数とは、例えば、押圧部材対81を用いて綴じ処理を良好に行える用紙束の枚数の上限値である。
【0033】
図5(a)、(b)は、
図3の矢印V方向から進退機構51Aを眺めた場合の図である。
図5(a)に示すように、本実施形態の進退機構51Aには、回転ギア511が設けられている。さらに、回転ギア511を回転させるギア用モータGM、ギア用モータGMからの回転駆動力を回転ギア511に伝達する伝達ギア512が設けられている。回転ギア511の側面には、突出部511Aが設けられている。
【0034】
さらに、進退機構51Aには、揺動運動を行うクランク部材513が設けられている。クランク部材513には、長穴513Aが形成され、この長穴513A内に、回転ギア511の突出部511Aが位置する。
さらに、クランク部材513を下方に付勢するスプリング514が設けられている。また、クランク部材513の図中左端部に取り付けられ、上下方向に進退する進退部材515が設けられている。本実施形態では、この進退部材515の下端部に、上側押圧部材83Aが取り付けられている。
【0035】
なお、
図5(a)は、進退部材515が上方へ移動しており、上側押圧部材83Aが、下側押圧部材83Bから退避した状態を示している。
綴じ処理が行われる際には、ギア用モータGMが駆動され、
図5(a)の矢印5Aで示す方向へ回転ギア511が回転し、回転ギア511等は、
図5(b)に示す状態となる。
図5(b)に示す状態では、回転ギア511の突出部511Aが上方に位置し、クランク部材513の図中右端部側が上方へ持ち上げられている。
【0036】
さらに、スプリング514によって、クランク部材513が下方に引っ張られ、下方に向かって進退部材515が移動している。これにより、上側押圧部材83Aが用紙束(
図5では不図示)に対して押し当てられる。そして、この場合、上側押圧部材83Aと下側押圧部材83Bとにより用紙束が挟まれ、用紙束を構成する用紙同士が圧着する。
【0037】
図6(a)、(b)は、綴じ処理時における押圧部材対81の動作を示した図である。
本実施形態では、まず、支持板67(
図2参照)上に用紙束が生成されるが、用紙束の生成が完了すると、用紙束が、上側押圧部材83A(
図4参照)と下側押圧部材83Bとの間に位置するようになる。
【0038】
綴じ処理時には、この
図4に示した状態から(
図4では、用紙束は不図示)、進退機構51A(
図5参照)によって、上側押圧部材83Aが、下側押圧部材83Bに向かって下方へ移動する。上側押圧部材83Aが下方へ移動すると、
図6(a)に示すように、用紙束Bに、上側押圧部材83Aの突出部91の頂部91A(各突出部91の頂部91A)と、下側押圧部材83Bの突出部91の頂部91Aとが押し当てられる。
その一方で、用紙束Bのうちの、上側押圧部材83Aの欠落部92および下側押圧部材83Bの欠落部92の対向箇所B1では、用紙束Bに突出部91は接触していない。
【0039】
その後、
図6(b)に示すように、上側押圧部材83Aは、さらに下方へ移動する。上側押圧部材83Aが下方へ移動すると、上側押圧部材83Aの突出部91は、用紙束Bを押圧しながら、下側押圧部材83Bのうちの隣り合う2つの突出部91の間に入り込む。また、下側押圧部材83Bの突出部91は、用紙束Bを押圧しながら、上側押圧部材83Aのうちの隣り合う2つの突出部91の間に入り込む。
そして、本実施形態では、上側押圧部材83Aが退避することで、用紙束Bの綴じ処理が終了する。
【0040】
本実施形態では、綴じ処理の過程で、用紙束Bの一部が符号6Aで示す方向(用紙束Bの厚み方向と直交する方向)に伸ばされる。これにより、用紙束Bを構成する各用紙では、用紙を構成する繊維が伸ばされ、繊維間の隙間が拡がるようになる。さらに、綴じ処理時には、符号6Bで示す方向(用紙束Bの厚み方向)の圧力が用紙束Bに作用する。これにより、用紙束Bに含まれる一の用紙を構成する繊維間に(隙間が拡がった状態の繊維間に)、この一の用紙の隣に位置する他の用紙の繊維が入り込む。
その後、本実施形態では、用紙束Bに対する圧力が解かれる。これにより、一の用紙を構成する繊維と他の用紙を構成する繊維が絡まり、用紙束Bを構成する各用紙が互いに結着する。
【0041】
図7は、比較例における押圧部材対81を用いた用紙束の綴じ処理を説明する図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
図7に示す構成では、上下の押圧部材(上側押圧部材83Aおよび下側押圧部材83B)のいずれにも欠落部92が設けられていない。具体的には、上側押圧部材83Aおよび下側押圧部材83Bの各々には、押圧部材対81の図中左右方向における一端部から他端部にわたって、複数の突出部91が連続して並べられている。
【0042】
図7に示す比較例によると、上下の押圧部材の各々に設けられた複数の突出部91が用紙束Bに押し当たると、符号7Aで示すように、用紙束Bが、押圧部材対81の長手方向(図中左右方向)における中央部に向かって引き込まれるようになる。
【0043】
また、この比較例では、押圧部材対81の長手方向における全域で、突出部91が用紙束Bに押し当たる。この場合、用紙束Bが伸びやすくなる(用紙束Bの伸び量が大きくなる)。
特に、この比較例では、少枚数の用紙束Bに対して綴じ処理を行う場合に、用紙が伸びやすくなる。
【0044】
ここで、比較例では、例えば、押圧部材対81を用いて綴じ処理を行うことが可能な最大枚数(例えば10枚)の用紙束Bに対して綴じ処理を行う場合、用紙束Bが厚いために、用紙束Bの変形が抑えられ、用紙束Bの伸びは小さくなる。
その一方で、最大枚数よりも少ない枚数(例えば、
図7に示す4枚)の用紙束Bに対して綴じ処理を行う場合、用紙束Bが変形しやすく、隣り合う2つの突出部91の間に用紙束Bが深く入りやすくなる。この場合、用紙束Bの伸びが大きくなり、さらに、この用紙束Bに対して、突出部91の頂部91Aが突き当たるため、用紙束Bを構成する用紙が損傷しやすくなり、用紙の結着力が低減するおそれがある。
【0045】
これに対し、本実施形態のように、押圧部材対81に欠落部92(
図6(b)参照)が設けられている構成であると、用紙束Bのうちの欠落部92の対向箇所B1には突出部91が押し当たらず、この対向箇所B1では、突出部91が押し当たることに起因する用紙の伸びが抑えられる。
そして、この場合、対向箇所B1での用紙の伸びが抑えられる分だけ、用紙束Bの全体の伸びが緩和される。言い換えると、対向箇所B1での伸びが抑えられる分だけ、用紙束Bのうちの突出部91が押し当たる部分の張力(用紙束Bに対して、用紙束Bの厚み方向と直交する方向に作用する張力)が小さくなる。この結果、少枚数の用紙束Bに対して綴じ処理を行う場合であっても、用紙の損傷が起こりにくくなるとともに、用紙の結着力が低減しにくくなる。
【0046】
また、本実施形態では、上側押圧部材83Aおよび下側押圧部材83Bの各々において、欠落部92が、左側突出部群91Lと右側突出部群91Rとの間に設けられている。
この場合、より少ない数の欠落部92で、複数設けられた突出部群の各々に起因する用紙の損傷が抑えられるようになる。
【0047】
ここで、例えば、左右の突出部群(左側突出部群91Lおよび右側突出部群91R)(
図4参照)の各々に対応させて欠落部92を設けても、この左右の突出部群の各々に起因する用紙の損傷を抑えられる。具体的には、例えば、左右の突出部群の各々の図中左隣や右隣のそれぞれに欠落部92を設けても、この左右の突出部群の各々に起因する用紙の伸びを緩和させ、用紙の損傷を抑えられる。しかしながら、この場合、突出部群の数だけ欠落部92を設ける必要が生じ、押圧部材の大型化を招きやすくなる。
【0048】
これに対し、本実施形態のように、欠落部92が左右の突出部群の間に設けられていると、1つの欠落部92により、左右の突出部群の各々に起因する用紙の伸びを緩和させられる。この場合、押圧部材が大型化することを抑えつつ、左右の突出部群の各々に起因する用紙の損傷を抑えられる。
【0049】
<第2の実施形態>
図8(a)は、第2の実施形態における押圧部材対81を説明する図である。また、
図8(b)は、綴じ処理時における押圧部材対81の動作を示した図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
【0050】
図8(a)に示すように、また上記の通り、押圧部材対81は、上側押圧部材83Aと、下側押圧部材83Bとにより構成される。
上側押圧部材83Aおよび下側押圧部材83Bの各々には、左側突出部群91L、右側突出部群91R、基部93、および欠落部92が設けられている。
【0051】
また、本実施形態では、上下の押圧部材の各々において、左右の突出部群の各々では、突出部群の一部が、台形突出部95により構成されている。具体的には、各突出部群は、複数の突出部91と、1つの台形突出部95とにより構成されている。
【0052】
台形突出部95は、断面形状が台形となるように形成されている。また、台形突出部95は、基部93の表面から突出している。また、台形突出部95は、突出方向(図中、上下方向)の先端に頂部95Aを有する。
また、台形突出部95は、突出部91よりも短く構成されている。具体的には、台形突出部95の頂部95Aから基部93の表面までの距離(図中、上下方向における距離)が、突出部91の頂部91Aから基部93の表面までの距離よりも短くなっている。
【0053】
また、本実施形態では、台形突出部95が有する一方の側面95Bと他方の側面95Cとがなす角度θ1と、突出部群に含まれる他の突出部(突出部91)が有する一方の側面と他方の側面とがなす角度θ2とが等しくなっている。
また、台形突出部95は、突出部群の長手方向における端部に設けられている。言い換えると、台形突出部95は、欠落部92の隣に位置する。具体的には、左側突出部群91Lに設けられた台形突出部95は、押圧部材対81の長手方向において、欠落部92の左隣に位置する。また、右側突出部群91Rに設けられた台形突出部95は、押圧部材対81の長手方向において、欠落部92の右隣に位置する。
【0054】
図8(b)に示すように、本実施形態では、綴じ処理時に、各突出部群に設けられた台形突出部95が用紙束Bに押し当たる。このとき、符号8Aで示すように、用紙束Bは、上側押圧部材83Aの台形突出部95の一方の側面95Bと、下側押圧部材83Bの台形突出部95の一方の側面95Bとに挟まれる。
【0055】
本実施形態のように、突出部群の一部が台形突出部95により構成されていると、用紙束Bにしわが生じにくくなる。
ここで、例えば、
図6(b)に示した構成のように、突出部群に設けられた複数の突出部が全て突出部91により構成されている場合(突出部群に台形突出部95が含まれていない場合)、突出部群の長手方向における全域で、突出部91が、対向する押圧部材に深く入り込むようになる。
この場合、用紙束Bのうちの突出部群が押し当たる被押圧部の変形量が大きくなり、この被押圧部の周辺にしわが生じやすくなる。
【0056】
これに対し、
図8(b)にて示した構成のように、突出部群に設けられた複数の突出部の一部が台形突出部95により構成されていると、この台形突出部95は、突出部91よりも短い分だけ、対向する押圧部材に深く入らない。
この場合、用紙束Bのうちの台形突出部95が押し当たる部分の変形量が小さくなり、この部分の周辺では、用紙束Bのしわが生じにくくなる。
【0057】
ここで、用紙束Bのうち、突出部群の端部が押し当たる部分の周辺にはしわが生じやすい。本実施形態では、突出部群の長手方向における端部に台形突出部95を設けることで、用紙束Bに生じうるしわを低減している。
【0058】
また、本実施形態では、台形突出部95が有する一方の側面95Bと他方の側面95Cとがなす角度θ1は、突出部91が有する一方の側面と他方の側面とがなす角度θ2と等しく、さらに、台形突出部95の高さ寸法を突出部91の高さ寸法よりも低減している。
この場合、台形突出部95の部分でも、用紙束Bの綴じ処理を行えるようになり、用紙束Bに対する綴じ処理がより確実なものになる。
【0059】
ここで、例えば、
図8(b)に点線で示す突出部96のように、断面形状が三角形のまま突出部91を全体的に小さくして、突出部91の高さ寸法を低減し、用紙束Bに生じるしわを低減することも考えられる。
ところで、この場合、台形突出部95を設ける場合に比べ、上側押圧部材83Aの突出部96と下側押圧部材83Bの突出部96の間の隙間8Bが大きくなる。
かかる場合、用紙束Bに作用する圧力が低下し、用紙束Bを構成する用紙同士の圧着力が弱くなりやすい。
【0060】
これに対し、本実施形態の台形突出部95のように、突出部91の突出方向における先端を削るようにして突出部91よりも高さ寸法を低減する場合、上側押圧部材83Aの台形突出部95と下側押圧部材83Bの台形突出部95の間の間隙の拡がりが抑制される。
かかる場合、用紙束Bに作用する圧力が向上する。これにより、用紙束Bを構成する用紙同士の圧着力が向上し、用紙束Bに対する綴じ処理がより確実なものになる。
【0061】
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態における押圧部材対81を説明する図である。なお、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いる。
図9に示すように、また、上記の通り、押圧部材対81は、上側押圧部材83Aと、下側押圧部材83Bとにより構成される。
上側押圧部材83Aおよび下側押圧部材83Bの各々には、左側突出部群91L、右側突出部群91R、および基部93が設けられている。
【0062】
また、上側押圧部材83Aおよび下側押圧部材83Bの各々には、複数の低突出部94が並んで設けられている。この複数の低突出部94の各々は、基部93の表面から突出している。また、複数の低突出部94の各々は、突出方向(図中、上下方向)の先端に頂部94Aを有する。さらに、複数の低突出部94の各々は、断面形状が三角形となるように形成されている。また、低突出部94は、左側突出部群91Lと右側突出部群91Rとの間に設けられている。
【0063】
低突出部94は、突出部91よりも短く構成されている。具体的には、低突出部94の頂部94Aから基部93の表面までの距離(図中、上下方向における距離)は、突出部91の頂部91Aから基部93の表面までの距離よりも短い。言い換えると、低突出部94は、基部93からの突出量が突出部91よりも小さい。ここで、突出部91は、基部93からの突出量が低突出部94よりも大きい高突出部として捉えることができる。また、左右の突出部群の各々は、高突出部が並んだ高突出部群として捉えることができる。
【0064】
ここで、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、押圧部材を用紙束Bに押し当てたときの用紙束Bの全体の伸びが緩和され、用紙の損傷が起こりにくくなるとともに用紙の結着力が低減しにくくなる。
具体的には、低突出部94は、突出部91よりも短い分だけ、対向する押圧部材に深く入らず、用紙束Bのうちの低突出部94が押し当たる部分の伸びが小さくなることで、用紙束Bの全体の伸びが緩和され、用紙の損傷が起こりにくくなるとともに用紙の結着力が低減しにくくなる。ここで、低突出部94は、用紙の損傷を抑制する抑制手段として捉えることができる。
【0065】
なお、左側突出部群91Lと右側突出部群91Rとの間には、欠落部92および低突出部94の両方を設けてもよい。
この場合も、用紙束Bのうちの欠落部92、低突出部94に対向する対向箇所における用紙の伸びが小さくなり、用紙束Bの全体の伸びが緩和され、用紙の損傷が起こりにくくなるとともに用紙の結着力が低減しにくくなる。
また、低突出部94は、
図9に示したような断面形状が三角形のものに限られず、
図8に示した台形突出部95のような断面形状が台形の突出部としてもよい。