(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の組電池のように、複数の蓄電素子を備える蓄電装置には、蓄電素子間を接続する複数のバスバーの他、複数のバスバーと各蓄電素子とを絶縁する絶縁部材、及び、監視ユニットなどの電気機器と各蓄電素子とを接続する電線等の、各種の部材が組み込まれる。さらに、例えばエネルギー密度の向上の観点から、隣り合う蓄電素子の間の距離は短い方が好ましく、そのため、これら蓄電素子間を絶縁する機能を有するスペーサが、隣り合う蓄電素子の間に配置されることが一般的である。
【0006】
このように、蓄電装置は、数多くの部材によって構成されており、このことに起因して組み立ての困難性が生じる。また、バスバー及び電線等の導電部材を配置する場合に、作業ミスにより蓄電素子に短絡を生じさせる可能性もある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、効率よく製造することができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、第一方向に並んで配置された複数の蓄電素子であって、それぞれが、第一方向と交差する第二方向に配置された電極端子を有する複数の蓄電素子と、複数のスペーサであって、それぞれが、前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う2つの蓄電素子の間に配置された複数のスペーサと、前記複数の蓄電素子の前記第二方向の側に配置され、かつ、前記複数のスペーサそれぞれの前記第二方向の端部と一体化された基体とを備える。
【0009】
この構成によれば、複数のスペーサは、基体によって連結された状態である。そのため、例えば、複数の蓄電素子に対して基体を配置することで、複数のスペーサの、複数の蓄電素子に対する一括配置が可能である。また、電極端子側に基体が配置されるため、例えば、基体の位置決めに電極端子を利用することも可能である。従って、本態様の蓄電装置は、効率よく製造することができる蓄電装置である。
【0010】
また、各スペーサは基体に固定されているため、例えば、蓄電装置における基体の位置が固定されることで、複数の蓄電素子のそれぞれは、基体によって第二方向への移動が規制され、かつ、各スペーサによって第一方向に平行な方向の移動が規制される。このことは、例えば、蓄電装置の耐振動または耐衝撃性の向上に有利である。
【0011】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記複数のスペーサのそれぞれは、前記基体から、前記複数の蓄電素子の、前記第二方向における中央部まで延設されている、としてもよい。
【0012】
例えば、各蓄電素子が内圧の上昇に伴って膨らんだ場合、各蓄電素子では、中央部が外方にせり出す。そのため、中央部まで各スペーサが延設されていることで、隣り合う蓄電素子が直接的に接触する可能性が低減される。すなわち、効率よく製造できる蓄電装置において安全性がさらに向上される。
【0013】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記複数のスペーサのそれぞれは、前記基体から、前記複数の蓄電素子の、前記第二方向における中央を越える位置まで延設されている、としてもよい。
【0014】
この構成によれば、各スペーサの下端(基体とは反対側の端部)が、当該スペーサに隣接する蓄電素子の第二方向における中央を越える位置に配置される。そのため、当該蓄電素子が膨らんだ場合に、当該蓄電素子と、当該スペーサを挟んで隣り合う他の蓄電素子との接触がより確実に抑制される。
【0015】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置はさらに、前記複数の蓄電素子のうちの少なくとも1つの蓄電素子に電気的に接続された導電部材を備え、前記導電部材は、前記基体に固定されている、としてもよい。
【0016】
この構成によれば、例えば、導電部材であるバスバーが基体に固定されている場合、複数の蓄電素子に対して基体を配置することで、複数のスペーサの配置と、バスバーの配置とを一括して行うことができる。また、バスバーと電極端子とが超音波溶接等の溶接によって接合される場合、接合作業時におけるバスバーの位置決めが容易化される。また、例えば、導電部材が可撓性の高い電線である場合に、電線は、基体に固定された状態で蓄電装置に組み込まれるため、例えば、蓄電装置の製造時における、部材間への電線の挟み込み、または、配線ミス等の不具合が生じ難い。
【0017】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記複数のスペーサのそれぞれの、前記基体とは反対側の端部は、先端に近づくほど幅が狭くなるように形成されている、としてもよい。
【0018】
このように、スペーサの先端部が先細り形状であることで、各々のスペーサの、蓄電素子間への挿入が容易となる。つまり、複数のスペーサの、複数の蓄電素子に対する一括配置がさらに容易化される。
【0019】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置はさらに、前記複数の蓄電素子を収容する外装体を備え、前記外装体の内面には、複数のリブが設けられており、前記複数のリブのそれぞれは、前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う2つの蓄電素子の間に挿入される位置に配置されている、としてもよい。
【0020】
この構成によれば、各蓄電素子の外装体の内部における第一方向の位置を、複数のリブによって正規の位置に位置決めすることができる。これにより、外装体に収容された複数の蓄電素子に対して基体を配置する際に、各スペーサの蓄電素子間への挿入を容易に行うことができる。つまり、蓄電装置の製造をより効率よく行うことができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記複数のリブのそれぞれは、前記複数のスペーサのうちの、当該リブに対向する位置に配置されたスペーサと嵌合する嵌合部を有する、としてもよい。
【0022】
この構成によれば、複数のスペーサのそれぞれが、外装体に設けられたリブと嵌合するため、例えば、蓄電装置全体としての剛性が向上する。また、複数のスペーサのそれぞれの変形(歪みまたは撓み等)が抑制されるため、複数のスペーサそれぞれによる、各蓄電素子の膨らみの抑制効果が向上する。
【0023】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記複数のスペーサのそれぞれは、前記複数の蓄電素子のうちの、当該スペーサに隣接する蓄電素子の側面の全域を覆うように配置されている、としてもよい。
【0024】
この構成によれば、例えば、各スペーサにより、隣り合う2つの蓄電素子の容器間における電気的な絶縁をより確実化することができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記複数の蓄電素子は、並列接続された2つの蓄電素子、及び、直列接続された2つの蓄電素子を含み、(i)前記複数のスペーサのうちの、前記並列接続された2つの蓄電素子の間に配置されるスペーサの、前記第二方向の長さは、(ii)前記複数のスペーサのうちの、前記直列接続された2つの蓄電素子の間に配置されるスペーサの、前記第二方向の長さよりも短い、としてもよい。
【0026】
この構成によれば、例えば、直列接続された2つの蓄電素子の容器間の電気的な絶縁をより確実化することでき、その結果、蓄電装置の安全性が向上する。また、複数のスペーサの中に、比較的に短いスペーサが含まれるため、複数のスペーサの製造に要する材料の量を削減することができる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置は、外装体と、前記外装体の底面に沿って並んで配置された複数の蓄電素子と、複数のスペーサであって、それぞれが、前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う2つの蓄電素子の間に配置された複数のスペーサと、前記複数の蓄電素子を挟んで、前記底面と反対側に配置され、かつ、前記複数のスペーサそれぞれと一体化された基体とを備える。
【0028】
この構成によれば、例えば、外装体に収容された複数の蓄電素子に対して基体を配置することで、複数のスペーサの一括した配置が可能である。また、基体は、底面と反対側に配置されるため、例えば、複数の蓄電素子の外装体の内部への収容を可能とする、外装体の開口から基体を配置することができる。つまり、外装体が有する比較的に大きな開口を介して基体を配置することができるため、基体の配置が容易である。従って、本態様の蓄電装置は、効率よく製造することができる蓄電装置である。
【0029】
また、各スペーサは基体に固定されているため、例えば、基体が外装体に固定されることで、複数の蓄電素子のそれぞれは、基体及び外装体によって上下方向(底面と直交する方向)への移動が規制され、かつ、各スペーサによって複数の蓄電素子の並び方向の移動が規制される。このことは、例えば耐振動または耐衝撃性の向上に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明する。なお、以下の実施の形態及び変形例は、それぞれ、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0032】
また、以下の説明及び図面中において、複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体本体と蓋体との並び方向、蓄電素子の容器本体と容器蓋部との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0033】
(実施の形態)
まず、
図1及び
図2を用いて、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。
図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0034】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0035】
図1及び
図2に示すように、蓄電装置10は、外装体11と、外装体11内方に収容される複数の蓄電素子300及び複数のバスバー400とを備えている。外装体11は、蓋体100及び外装体本体200を有する。本実施の形態では、複数のバスバー400は、複数の蓄電素子300の電極端子側(Z軸方向プラス側)に配置される基体510に固定されている。
【0036】
外装体11は、複数の蓄電素子300等を収容する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体11は、複数の蓄電素子300及びバスバー400等の外方に配置され、これら蓄電素子300等を所定の位置に配置し、衝撃などから保護する。また、外装体11は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。外装体11は、これにより、蓄電素子300等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0037】
蓋体100は、外装体本体200の開口201を閉塞する扁平な矩形状の部材である。蓋体100には正極外部端子110と負極外部端子120とが設けられている。蓄電装置10は、この正極外部端子110と負極外部端子120とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。また、外装体本体200は、開口201が形成された有底矩形筒状のハウジングである。
【0038】
蓄電素子300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子300は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子300がX軸方向に配列されている。なお、蓄電素子300の形状や、配列される蓄電素子300の個数は限定されない。また、蓄電素子300は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。蓄電素子300の構成の詳細な説明については、
図3を用いて後述する。
【0039】
バスバー400は、複数の蓄電素子300上に配置され、複数の蓄電素子300の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の導電部材である。本実施の形態では、バスバー400は、例えばアルミニウム合金により形成されている。正極リード板420及び負極リード板430も、例えばアルミニウム合金により形成されている。
【0040】
また、本実施の形態では、複数のバスバー400のそれぞれは、隣り合う2つの蓄電素子300の異極同士を接続するよう配置されており、これにより、8個の蓄電素子300が直列に接続されている。
【0041】
このように接続された複数の蓄電素子300を1つの蓄電素子ユニット380とした場合、蓄電素子ユニット380の正極(X軸方向プラス側に配置された蓄電素子300の正極端子(後述の正極端子320))は、正極リード板420を介して正極外部端子110と電気的に接続されている。また、蓄電素子ユニット380の負極(X軸方向マイナス側に配置された蓄電素子300の負極端子(後述の負極端子330))は、負極リード板430を介して負極外部端子120と電気的に接続されている。なお、本実施の形態において、正極リード板420を及び負極リード板430は、バスバー400と同じく基体510に固定されている。
【0042】
ここで、本実施の形態において、X軸プラス向き(またはX軸マイナス向き)の方向は第一方向の一例であり、Z軸プラス向きの方向は、第二方向の一例である。つまり、本実施の形態では、複数の蓄電素子300は、第一方向に並んで配置されており、各蓄電素子300において電極端子は第二方向に配置されている。
【0043】
基体510は、例えば外装体11と同じくPCまたはPP等の絶縁材料により構成された、全体として平板状の部材である。基体510には、上述のように、複数のバスバー400、正極リード板420、及び負極リード板430が固定されている。本実施の形態では、基体510にはさらに、CMU(Cell Monitoring Unit)800、及び、CMU800と複数のバスバー400のそれぞれとを電気的に接続する電線700が固定されている。なお、バスバー400、正極リード板420、負極リード板430、及び電線700のそれぞれは、導電部材の一例である。CMU800は、導電部材と電気的に接続される電気機器の一例である。
【0044】
複数のバスバー400のそれぞれは、基体510の裏面側(Z軸方向マイナス側)にも露出する状態で基体510に固定されており、
図2において直下に位置する2つの蓄電素子300と電気的及び機械的に接続される。また、正極リード板420及び負極リード板430のそれぞれも、基体510の裏面側にも露出する状態で基体510に固定されており、
図2において直下に位置する1つの蓄電素子300と電気的及び機械的に接続される。
【0045】
なお、複数のバスバー400、正極リード板420、及び負極リード板430の、基体510への固定の手法に特に限定はない。例えば、基体510に設けられた貫通孔にバスバー400を嵌め込むことでバスバー400が基体510に固定されてもよい。また、例えば、インサート成形によって、金属製のバスバー400等が備えられた基体510が作製されてもよい。
【0046】
CMU800は、各蓄電素子300の電圧等を計測する計測装置であり、例えば、複数のネジ(図示せず)によって基体510の上面(Z軸方向プラス側の面)に固定されている。
【0047】
電線700は、CMU800と複数のバスバー400のそれぞれとを電気的に接続する導電部材であり、例えば、基体510の上面に設けられた複数の爪(図示せず)に引っ掛けられることで基体510に固定されている。複数の電線700のそれぞれの一端はバスバー400に接続され、他端はCMU800に接続されている。
【0048】
なお、電線700の一端には、例えば図示しない端子が設けられており、バスバー400と蓄電素子300の電極端子とがナットによって締結される際に、バスバー400とともにナットと電極端子との間に当該端子が挟み込まれて固定される。また、電線700の他端にはコネクタが設けられており、CMU800が有するコネクタと嵌め合わされることで電線700は機械的及び電気的にCMU800に接続される。このような構成により、CMU800は、各蓄電素子300の電圧を計測することができる。
【0049】
基体510の裏面側には複数のスペーサ600が設けられている。複数のスペーサ600のそれぞれは複数の蓄電素子300のうちの隣り合う2つの蓄電素子300の間に配置される。本実施の形態では、複数のスペーサ600は、基体510と一体化されている。具体的には、基体510と複数のスペーサ600とは一体成形によって作製されている。
【0050】
このように、本実施の形態では、基体510、並びに、基体510に固定された導電部材(バスバー400等)、電気機器(CMU800)、及び、複数のスペーサ600は、蓄電装置10の組み立て時において1つの部材として扱える中蓋ユニット500を構成している。中蓋ユニット500の効果等については、
図4〜
図8を用いて後述する。
【0051】
次に、蓄電素子300の構成について、詳細に説明する。
図3は、実施の形態に係る蓄電素子300の斜視図である。なお、
図3では、蓄電素子300の容器310を透視して、蓄電素子300の内部が図示されている。
【0052】
図3に示すように、蓄電素子300は、容器310と、正極端子320と、負極端子330とを備えている。また、容器310の内方には、電極体340、正極集電体350及び負極集電体360が配置されている。なお、容器310の内方には、電解液(非水電解質)も封入されているが、図示は省略する。また、上記の構成要素の他、正極端子320、負極端子330、正極集電体350及び負極集電体360と容器310との間にガスケットが配置されていてもよいし、電極体340と容器310との間にスペーサが配置されていてもよい。
【0053】
容器310は、容器本体311と容器蓋部312とを有する。具体的には、容器310は、
図3におけるZ軸方向マイナス側に底面部315、X軸方向両側の側面に長側面部314、Y軸方向両側の側面に短側面部313、及び、Z軸方向プラス側に容器蓋部312を有する直方体形状(角型)の容器である。つまり、容器310は、底面部315と2つの長側面部314と2つの短側面部313とで、矩形筒状で底を備える容器本体311を構成し、容器本体311の開口を容器蓋部312が閉塞する構成となっている。
【0054】
具体的には、容器310は、電極体340等を容器本体311の内方に収容後、容器本体311と容器蓋部312とが溶接等によって接合されることで、内部を密封することができる構造を有している。なお、容器310(容器本体311及び容器蓋部312)の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能(接合可能)な金属であるのが好ましい。
【0055】
電極体340は、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)であり、正極板と負極板とセパレータとを備え、当該正極板、負極板及びセパレータがX軸方向に積層されて形成されている。具体的には、電極体340は、正極板、負極板及びセパレータが巻回軸(電極体340の中心を貫くY軸方向の仮想軸)まわりに巻回されて形成された巻回型の電極体であり、正極集電体350及び負極集電体360と電気的に接続される。
【0056】
正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極合材層が形成された電極板である。負極板は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極合材層が形成された電極板である。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、正極合材層及び負極合材層に用いられる正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータについても、蓄電素子300の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0057】
より詳細には、電極体340は、正極板と負極板とが、セパレータを介して、巻回軸の方向(Y軸方向)に互いにずらして巻回されている。そして、正極板及び負極板は、それぞれのずらされた方向の端部に、合材層が形成されず基材層が露出した部分である合材層非形成部を有している。具体的には、電極体340は、巻回軸方向の一端(Y軸方向プラス側の端部)に、正極板の合材層非形成部が積層された正極側端部341を有している。また、同様に、電極体340は、巻回軸方向の他端(Y軸方向マイナス側の端部)に、負極板の合材層非形成部が積層された負極側端部342を有している。
【0058】
正極集電体350は、電極体340の正極板と容器310の側壁との間に配置され、正極端子320と電極体340の正極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。また、負極集電体360は、電極体340の負極板と容器310の側壁との間に配置され、負極端子330と電極体340の負極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。具体的には、正極集電体350は、電極体340の正極側端部341に溶接などによって接合され、負極集電体360は、電極体340の負極側端部342に溶接などによって接合されている。なお、正極集電体350は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体360は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0059】
正極端子320は、正極集電体350を介して、電極体340の正極板に電気的に接続された電極端子であり、負極端子330は、負極集電体360を介して、電極体340の負極板に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子320及び負極端子330は、電極体340に蓄えられている電気を蓄電素子300の外部空間に導出し、また、電極体340に電気を蓄えるために蓄電素子300の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。
【0060】
具体的には、正極端子320及び負極端子330のそれぞれは、外周にネジ山が形成された軸部を有する。つまり、正極端子320及び負極端子330は、例えばボルト端子と呼ばれる部材である。正極端子320及び負極端子330のそれぞれは、例えばバスバー400に設けられた貫通孔401(
図2参照)に挿入された軸部がナットと螺合することで、バスバー400と機械的及び電気的に接続される。また、正極端子320は、正極リード板420に対しても同様に機械的及び電気的に接続可能であり、負極端子330は、負極リード板430に対しても同様に機械的及び電気的に接続可能である。
【0061】
なお、正極端子320及び負極端子330の材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金などが採用される。
【0062】
本実施の形態では、それぞれが上記構成を有する8個の蓄電素子300を1列に並べ、その上から基体510を含む中蓋ユニット500を配置することで、これら蓄電素子300に対するバスバー400等の配置作業を一括して行うことができる。以下、基体510及びその周辺の構造等について、
図4〜
図8を用いて詳細に説明する。
【0063】
図4は、実施の形態に係る、複数の蓄電素子300と中蓋ユニット500との構造上の関係を示す側面図である。
図5は、複数の蓄電素子300に対して中蓋ユニット500を配置した状態を示す側面図である。なお、
図4及び
図5において、外装体本体200は、内部の複数の蓄電素子300が見えるように、断面図で表されており、かつ、蓋体100の図示は省略されている。このことは後述する
図9、
図10、及び
図11についても適用される。
【0064】
本実施の形態に係る蓄電装置10を組み立てる場合、例えば
図4に示すように、外装体11の外装体本体200の底面210に複数の蓄電素子300が並べられ、これら複数の蓄電素子300の上方から基体510が配置される。なお、複数の蓄電素子300及び基体510は、外装体本体200において底面210と対向する位置にある開口201から、外装体本体200の内部に収容される。
【0065】
このとき、基体510に固定された複数のバスバー400それぞれの2つ貫通孔401に、当該バスバー400の直下の正極端子320及び負極端子330の軸部が挿入される。これにより、複数の蓄電素子300に対する基体510及び複数のバスバー400の配置(位置決め)が完了する。さらに、各貫通孔401から突出した軸部にナット480が取り付けられて締め付けられる。これにより、複数の蓄電素子300に対する複数のバスバー400の取り付けが完了し、複数の蓄電素子300及び中蓋ユニット500は、
図5に示す状態となる。この状態において、基体510には、既に、CMU800及び各バスバー400とCMU800とを電気的に接続する電線700が固定されているため、CMU800と各蓄電素子300との電気的な接続も完了している。
【0066】
また、例えば、基体510の周縁部と外装体本体200の内面とが溶着されることで、基体510は外装体本体200に固定される。この状態において基体510は、複数の蓄電素子300のそれぞれと当接している。これにより、複数の蓄電素子300の上方(開口201に向かう方向)への移動が規制される。従って、底面210上に並べられた複数の蓄電素子300は、底面210及び開口201の並び方向(
図5における上下方向)への移動が、外装体11及び基体510によって規制される。
【0067】
このように、蓄電装置10において、基体510は、複数のスペーサ600及びバスバー400等を固定する部材としてだけでなく、複数の蓄電素子300の、外装体本体200の開口201に向かう方向の移動を規制する部材としても機能する。
【0068】
また、
図5及び
図6に示すように基体510を複数の蓄電素子300に対して配置した場合、基体510と一体化された複数のスペーサ600のそれぞれは、隣り合う2つの蓄電素子300の間に挿入される。これにより、スペーサ600を挟んで隣り合う2つの蓄電素子300の容器310同士が接触する可能性が低減される。つまり、当該2つの蓄電素子300の容器310間における電気的な絶縁が確実化される。
【0069】
なお、複数の蓄電素子300が、外装体本体200に収容される前に、複数の蓄電素子300に対して基体510が配置されてもよい。例えば、作業台等の所定の平面上に、所定の間隔をあけて並べられた複数の蓄電素子300の上方から基体510を配置する。これにより、複数のスペーサ600のそれぞれは、隣り合う2つの蓄電素子300の間に配置される。その状態で、複数の蓄電素子300の並び方向の両側にエンドプレートを配置し、2つのエンドプレートを連結部材で連結することで複数の蓄電素子300を固定する。その後、2つのエンドプレートに挟みこまれ、かつ、基体510(中蓋ユニット500)と組み合わされた状態の複数の蓄電素子300を、外装体本体200に収容する。このような工程によって蓄電装置10を製造することも可能である。
【0070】
以上、説明したように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、第一方向に並んで配置された複数の蓄電素子300であって、それぞれが、第一方向と交差する第二方向に配置された電極端子(正極端子320及び負極端子330)を有する複数の蓄電素子300を備える。蓄電装置10はさらに、複数のスペーサ600であって、それぞれが、複数の蓄電素子300のうちの隣り合う2つの蓄電素子300の間に配置された複数のスペーサ600と、複数の蓄電素子300の第二方向の側に配置され、かつ、複数のスペーサ600それぞれと一体化された基体510とを備える。なお、本実施の形態において、第一方向はX軸プラス向き(またはX軸マイナス向き)であり、第二方向はZ軸プラス向きの方向である。
【0071】
このように、本実施の形態では、複数のスペーサ600は、基体510によって連結されている。そのため、例えば、複数の蓄電素子300に対して基体510を配置することで、複数の蓄電素子300に対する、複数のスペーサ600の一括した配置が可能である。また、複数の蓄電素子300に対して、正極端子320及び負極端子330が設けられた側に基体510が配置されるため、例えば、基体510の位置決めに正極端子320または負極端子330を利用することも可能である。従って、本実施の形態に係る蓄電装置10は、効率よく製造することができる蓄電装置10である。
【0072】
また、各スペーサ600は基体510に固定されている。そのため、蓄電装置10における基体510の位置が固定されることで、複数の蓄電素子300のそれぞれは、基体510によって第二方向への移動が規制され、かつ、各スペーサ600によって第一方向に平行な方向の移動が規制される。このことは、例えば、蓄電装置10の耐振動または耐衝撃性の向上に有利である。
【0073】
また、本実施の形態において、複数のスペーサ600のそれぞれは、基体510から、複数の蓄電素子300の、第二方向における中央部まで延設されている。具体的には、本実施の形態に係るスペーサ600の第二方向の長さは、
図6に示すように説明される。
【0074】
図6は、実施の形態に係るスペーサ600の第二方向の長さを説明するための図である。
図6に示すように、蓄電素子300の容器310の第二方向(Z軸プラス向きの方向)における中央(一点鎖線Pの位置)を含む所定の範囲を中央部370と規定した場合、スペーサ600は、基体510から中央部370まで延設されている。なお、中央部370の第二方向の長さMは、例えば、容器310の第二方向の長さLの半分以下である。
【0075】
ここで、例えば、各蓄電素子300が内圧の上昇に伴って膨らんだ場合、各蓄電素子300では、中央部370が外方にせり出す。そのため、中央部370まで各スペーサ600が延設されていることで、隣り合う蓄電素子300が直接的に接触する可能性が低減される。すなわち、効率よく製造できる蓄電装置10において安全性がさらに向上される。
【0076】
より詳細には、本実施の形態において、複数のスペーサ600のそれぞれは、基体510から、複数の蓄電素子300の、第二方向における中央を越える位置まで延設されている。
【0077】
つまり、各スペーサ600の下端(基体510とは反対側の端部)が、当該スペーサ600に隣接する蓄電素子300の第二方向における中央を越える位置に配置される。そのため、蓄電素子300が膨らんだ場合に、その蓄電素子300と、スペーサ600を挟んで隣り合う他の蓄電素子300との直接的な接触がより確実に抑制される。
【0078】
なお、スペーサ600のサイズ及び形状は、特定のサイズ及び形状には限定されない。例えば、複数のスペーサ600のそれぞれは、
図7に示す大きさに形成されていてもよい。つまり、複数のスペーサ600のそれぞれは、複数の蓄電素子300のうちの、当該スペーサ600に隣接する蓄電素子300の側面の全域を覆うように配置されてもよい。具体的には、本実施の形態では、蓄電素子300の長側面部314(
図3参照)に沿ってスペーサ600が配置されており、スペーサ600は、長側面部314の全域を覆う大きさ及び形状に形成されていてもよい。
【0079】
この場合、例えば、各スペーサ600により、隣り合う2つの蓄電素子300の容器310間における電気的な絶縁をより確実化することができる。
【0080】
また、本実施の形態に係る蓄電装置10は、複数の蓄電素子300のうちの少なくとも1つの蓄電素子300に電気的に接続された導電部材を備え、導電部材は、基体510に固定されている。具体的には、複数のバスバー400、正極リード板420、負極リード板430、及び電線700のそれぞれが、導電部材として基体510に固定されている。
【0081】
この構成によれば、例えば、第一方向に並べられた複数の蓄電素子300に対して基体510を配置することで、複数のスペーサ600の配置と、少なくとも1つ(本実施の形態では7個)のバスバー400の配置とを一括して行うことができる。また、仮に、蓄電素子300の電極端子がボルト端子ではなく、バスバー400とレーザ溶接等によって接合される平坦な電極端子である場合に、接合作業時におけるバスバー400の位置決めが容易化される。また、例えば、可撓性の高い電線700が基体510に固定された状態で蓄電装置10に組み込まれるため、蓄電装置10の製造時における、部材間(例えば、基体510と外装体本体200との間)への電線700の挟み込み、または、配線ミス等の不具合が生じ難い。
【0082】
また、本実施の形態において、複数のスペーサ600のそれぞれの、基体510とは反対側の端部は、先端に近づくほど幅が狭くなるように形成されている。具体的には、例えば
図4に示すように、スペーサ600の端部(スペーサ端部610)は、先細り形状である。そのため、各々のスペーサ600の、蓄電素子300間への挿入が容易となる。つまり、複数のスペーサ600の、複数の蓄電素子300に対する一括配置がさらに容易化される。
【0083】
なお、スペーサ600を、スペーサ600の厚み方向(X軸方向)から見た場合に、スペーサ600の端部が先端に近づくほど幅が狭くなるように形成されていてもよい。例えば
図8に示すように、各々のスペーサ600が、先端に近づくほど幅が狭くなるように形成されたスペーサ端部611を有することでも、各々のスペーサ600の、蓄電素子300間への挿入が容易となる。つまり、例えば隣り合う2つの蓄電素子300の隙間にスペーサ600の先端を挿入する場合、当該隙間の長手方向(Y軸方向)におけるスペーサ600の先端幅が比較的に短いため、当該先端と2つの蓄電素子300とが干渉する可能性が低減される。従って、各スペーサ600が、
図8に示す形状に形成されている場合であっても、複数のスペーサ600の、複数の蓄電素子300に対する一括配置がさらに容易化される。
【0084】
以上、実施の形態に係る蓄電装置10及びその補足について説明したが、蓄電装置10が備えるスペーサ600等は、上記説明とは異なる構成を有していてもよい。そこで、以下に、蓄電装置10が備えるスペーサ600等についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0085】
(変形例1)
図9は、実施の形態の変形例1に係る蓄電装置10aの構成概要を示す側面図である。
図9に示す蓄電装置10aは、複数の蓄電素子300を収容する外装体11aを備える。外装体11aの内面には、複数のリブ250が設けられており、複数のリブ250のそれぞれは、複数の蓄電素子300のうちの隣り合う2つの蓄電素子300の間に挿入される位置に配置されている。本変形例では、外装体11aが有する外装体本体200の底面210に複数のリブ250が設けられている。
【0086】
この構成によれば、各蓄電素子300の外装体11aの内部における第一方向の位置を、複数のリブ250によって正規の位置に位置決めすることができる。これにより、外装体11aに収容された複数の蓄電素子300に対して基体510を配置する際に、基体510に一体化された各スペーサ600の蓄電素子300間への挿入を容易に行うことができる。つまり、蓄電装置10aの製造をより効率よく行うことができる。
【0087】
なお、複数のリブ250の配置位置は、外装体本体200の底面210には限定されない。例えば、外装体本体200のY軸方向の内面に、複数のリブ250の全部または一部が配置されていてもよい。この場合であっても、複数のリブ250による各蓄電素子300に対する位置決め機能は発揮される。
【0088】
(変形例2)
図10は、実施の形態の変形例2に係る蓄電装置10bの構成概要を示す部分側面図である。
図10に示す蓄電装置10bは、上記変形例1に係る蓄電装置10aと同様に、外装体11bの内面に設けられた複数のリブ255を有している。本変形例では、複数のリブ255のそれぞれは、複数のスペーサ600のうちの、当該リブ255に対向する位置に配置されたスペーサ600と嵌合する嵌合部255aを有している。
【0089】
具体的には、本変形例に係るリブ255には、スペーサ端部610が挿入される凹部が形成されており、この凹部が嵌合部255aとして機能している。
【0090】
この構成によれば、複数のスペーサ600のそれぞれが、外装体11bに設けられたリブ255と嵌合するため、例えば、蓄電装置10b全体としての剛性が向上する。また、複数のスペーサ600のそれぞれの変形(歪みまたは撓み等)が抑制されるため、複数のスペーサ600それぞれによる、各蓄電素子300の膨らみの抑制効果が向上する。
【0091】
なお、嵌合部255aは、
図10とは異なる態様でスペーサ600と嵌合してもよい。例えば、リブ255の先端部分が、スペーサ600の端部に設けられた凹部に挿入されることで、リブ255がスペーサ600と嵌合してもよい。つまり、スペーサ600の凹部に挿入されるリブ255の先端部分が、嵌合部255aとして機能してもよい。
【0092】
また、例えば、リブ255が、外装体本体200のY軸方向の内面に配置された場合、嵌合部255aは、スペーサ600のY軸方向の端部であって、かつ、リブ255と対向する端部と嵌合してもよい。この場合であっても、蓄電装置10b全体としての剛性の向上、または、各蓄電素子300の膨らみの抑制効果の向上等が図られる。
【0093】
(変形例3)
図11は、実施の形態の変形例3に係る中蓋ユニット500aの構成概要を示す平面図である。
図12は、実施の形態の変形例3に係る蓄電装置10cの構成概要を示す部分側面図である。
【0094】
なお、
図11では、複数の蓄電素子300に対して配置された状態の中蓋ユニット500aが表されている。また、
図11では、スペーサ600の位置を明確に示すために、基体510は外形のみが点線で表されており、スペーサ600の配置領域は斜線を付して表されており、かつ、CMU800及び電線700の図示は省略されている。また、
図11及び
図12では、第二方向(Z軸プラス向きの方向)の長さが互いに異なる2つのスペーサ600を区別するために、これら2つのスペーサ600の一方に符号「600a」を付し、他方に「600b」を付している。さらに、正極端子320は模様のない円形で表わされており、負極端子330は、ドットを付した円形で表されている。
【0095】
本変形例に係る蓄電装置10cは、中蓋ユニット500aを備える。中蓋ユニット500aにおいて、複数のバスバー400は基体510に固定されており、この点については、上記実施の形態に係る中蓋ユニット500と共通する。しかし、本変形例では、複数のバスバー400による複数の蓄電素子300の電気的な接続態様が上記実施の形態とは異なる。
【0096】
具体的には、本変形例において、複数のバスバー400は、蓄電素子300を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続している。なお、このように接続された複数の蓄電素子300を1つの蓄電素子ユニット380aとした場合、蓄電素子ユニット380aの正極(X軸方向プラス側に配置された2個の蓄電素子300の正極端子320)は、図示しないバスバー等を介して正極外部端子110(
図2参照)と電気的に接続される。また、蓄電素子ユニット380aの負極(X軸方向マイナス側に配置された2個の蓄電素子300の負極端子330)は、図示しないバスバー等を介して負極外部端子120(
図2参照)と電気的に接続される。
【0097】
このように、本変形例では、複数の蓄電素子300は、並列接続された2つの蓄電素子300、及び、直列接続された2つの蓄電素子300を含む。さらに、本変形例では、(i)複数のスペーサ600のうちの、並列接続された2つの蓄電素子300の間に配置されるスペーサ600の、第二方向の長さは、(ii)複数のスペーサ600のうちの、直列接続された2つの蓄電素子300の間に配置されるスペーサ600の、第二方向の長さよりも短い。
【0098】
具体的には、例えば
図11及び
図12において「A」が付された蓄電素子300(以下、蓄電素子Aという。「B」及び「C」が付された蓄電素子300についても同じ)と、蓄電素子Bとは、並列に接続されている。また、蓄電素子Bと蓄電素子Cとは直列に接続されている。この構成において、蓄電素子A及び蓄電素子Bの間に配置されたスペーサ600aの第二方向の長さ(
図12における上下方向の長さ)は、蓄電素子B及び蓄電素子Cの間に配置されたスペーサ600bの第二方向の長さより短い。
【0099】
この構成によれば、例えば、比較的に長いスペーサ600bによって、直列接続された2つの蓄電素子300の容器310間の電気的な絶縁をより確実化することができる。これにより、蓄電装置10cの安全性の向上が図られる。また、複数のスペーサ600の中に、比較的に短いスペーサ600bが含まれることで、複数のスペーサ600の製造に要する材料の量を削減することができる。
【0100】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電装置について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態またはその変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0101】
例えば、各蓄電素子300の容器蓋部312にガス排出弁が備えられている場合、基体510に、ガスを貫通させる貫通孔が設けられてもよい。この場合、例えば、各蓄電素子300から排出されたガスを、外装体11の外部に放出するための流路が蓋体100に形成されていてもよい。これにより、例えば1以上の蓄電素子300のガス排出弁からガスが排出された場合において、そのガスを速やかに外装体11に逃がすことができ、その結果、外装体11の内圧の上昇が抑制される。
【0102】
また、例えば、複数の蓄電素子300に対して、基体510と、正極端子320及び負極端子330とは同じ側に配置されていなくてもよい。例えば、
図2において、各蓄電素子300の正極端子320及び負極端子330が、Y軸方向プラス側(またはマイナス側)に向く姿勢で、複数の蓄電素子300が外装体本体200に収容された場合を想定する。この場合、基体510は、複数の蓄電素子300の、Z軸方向プラス側に配置されてもよい。なお、この場合、基体510にはバスバー400は配置されない。しかし、基体510に、少なくとも、複数のスペーサ600が備えられていれば、各スペーサ600を、互いに隣り合う2つの蓄電素子300の間に一括して配置することができる。
【0103】
すなわち、複数の蓄電素子300に対する、基体510及び電極端子(正極端子320及び負極端子330)の配置位置が同一であるか否かに関わらず、例えば、上記実施の形態に係る蓄電装置10は、以下のように表現される。
【0104】
蓄電装置10は、外装体11と、外装体11の底面210に沿って並んで配置された複数の蓄電素子300と、複数のスペーサ600であって、それぞれが、複数の蓄電素子300のうちの隣り合う2つの蓄電素子300の間に配置された複数のスペーサ600と、複数の蓄電素子300を挟んで、底面210と反対側に配置され、かつ、複数のスペーサ600それぞれと一体化された基体510とを備える。
【0105】
この構成によれば、例えば、外装体11に収容された複数の蓄電素子300に対して基体510を配置することで、複数のスペーサ600の一括した配置が可能である。また、基体510は、底面210と反対側に配置されるため、例えば、複数の蓄電素子300の外装体11の内部への収容を可能とする、外装体11の開口201から基体510を配置することができる。つまり、外装体11が有する比較的に大きな開口201を介して基体510を配置することができるため、基体510の配置が容易である。従って、上記の蓄電装置10は、効率よく製造することができる蓄電装置10である。
【0106】
また、各スペーサ600は基体510に固定されている。そのため、例えば、基体510が外装体11に固定されることで、複数の蓄電素子300のそれぞれは、基体510及び外装体11によって上下方向(底面210と直交する方向)への移動が規制され、かつ、各スペーサ600によって複数の蓄電素子300の並び方向の移動が規制される。このことは、例えば、蓄電装置10の耐振動または耐衝撃性の向上に有利である。
【0107】
さらに、各蓄電素子300の容器蓋部312にガス排出弁が備えられている場合において、基体510は、各ガス排出弁とは対向しない位置にあるため、基体510を、ガスの流路を考慮せずに設計することができる。
【0108】
また、上記実施の形態では、基体510にはCMU800が固定されているが、基体510に、CMU800とは異なる種類の電気機器が固定されてもよい。例えば、BMU(Battery Management Unit)が、基体510に固定されてもよい。
【0109】
また、基体510に電気機器が固定されることは必須ではない。例えば、CMU800は、基体510とは異なる部材に固定された状態で、蓄電装置10に備えられてもよい。つまり、中蓋ユニット500は、少なくとも、基体510と、基体510に一体化された複数のスペーサ600とを備えればよく、バスバー400等の導電部材、及び、CMU800等の電気機器は備えなくてもよい。
【0110】
また、複数のスペーサ600を一体に備える基体510は、一体成形によって作製されなくてもよい。例えば、平板状の基体510に、複数のスペーサ600を、熱によって溶着すること、または、接着剤によって接着することによって、複数のスペーサ600それぞれと一体化された基体510を得ることも可能である。また、例えば、基体510に設けられた複数の溝のそれぞれに、スペーサ600の端部を圧入することでも、複数のスペーサ600それぞれと一体化された基体510を得ることが可能である。
【0111】
また、蓄電素子300が有する電極体340は、正極板と負極板とセパレータとが縦方向に巻回(
図3においてY軸方向に平行な巻回軸にて巻回)されて形成された縦巻きの巻回型形状であるとした。しかし、電極体340は、正極板と負極板とセパレータとが横方向に巻回(Z軸方向に平行な巻回軸にて巻回)されて形成された横巻きの巻回型形状であってもよいし、平板状極板を積層した積層型形状であってもよい。
【0112】
なお、上記の、蓄電装置10に関する各種の補足事項は、上記変形例1〜3に係る蓄電装置10a〜10cのそれぞれについても適用される。
【0113】
また、本発明は、このような蓄電装置10、10a〜10cのいずれかとして実現することができるだけでなく、蓄電装置10、10a〜10cのいずれかに備えられる中蓋ユニットとして実現することもできる。