(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における血液浄化システム100を示す模式図である。血液浄化システム100は、オンラインHDFを実施することが可能なシステムである。血液浄化システム100は、ダイアライザ200と、動脈側血液ラインL3と、静脈側血液ラインL4と、血液浄化装置10と、を備える。
【0014】
ダイアライザ200は、血液と透析液との間で透析を行うことで血液を浄化する。
動脈側血液ラインL3は、患者Hから採取した血液が流通する。動脈側血液ラインL3は、上流側が患者Hの動脈に接続され下流側がダイアライザ200に接続される。動脈側血液ラインL3を流通した血液は、ダイアライザ200に供給される。動脈側血液ラインL3には、動脈側エアトラップチャンバ301が配置される。
【0015】
静脈側血液ラインL4は、上流側がダイアライザ200に接続され下流側が患者Hの静脈に接続される。ダイアライザ200から排出された血液は、患者Hに戻される。静脈側血液ラインL4には、静脈側エアトラップチャンバ401が配置される。
【0016】
また、
図1に示すように、血液浄化装置10は、透析液容器110と、透析液供給ラインL1と、医療用ポートとしてのポート1と、透析液回収ラインL2と、透析液回収容器120と、を備える。
【0017】
透析液容器110は、透析液を収容する。
透析液供給ラインL1は、上流側が透析液容器110に接続され、下流側がダイアライザ200に接続される。透析液供給ラインL1には、ダイアライザ200に供給される透析液が流通する。透析液供給ラインL1は、第1透析液供給ラインL11と、第2透析液供給ラインL12と、を有する。第1透析液供給ラインL11は、上流側が透析液容器110に接続され、下流側がダイアライザ200に接続される。第2透析液供給ラインL12は、上流側が透析液容器110に接続され、下流側が第1透析液供給ラインL11に合流する。
【0018】
ポート1は、透析液供給ラインL1(第2透析液供給ラインL12)に配置される。ポート1は、ポート1に接続される分岐ラインL5を通じて、動脈側エアトラップチャンバ301等、又は静脈側エアトラップチャンバ401等に透析液を供給する。ポート1については、後段で詳述する。
【0019】
透析液回収ラインL2は、上流側がダイアライザ200に接続され、ダイアライザ200から排出される透析液が流通する。
透析液回収容器120は、透析液回収ラインL2の下流側に接続され、透析液回収ラインL2を流通して回収された透析液を貯留する。
血液浄化システム100に含まれる各ラインには、必要に応じてポンプ、バルブ等が配置される。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係るポート1の斜視図である。
図3は、本実施形態に係るポートの平面図である。
図4は、本実施形態に係るポート1の断面図であり、
図3のA−A線断面図である。
図5は、本実施形態に係るポート1の断面図であり、
図3のB−B線断面図である。
図6は、本実施形態に係るポート1の開口61を開放した状態を示す断面図である。
【0021】
図2〜
図5に示すように、ポート1は、内筒部3と、本体部4と、傾斜筒部5と、蓋部材7と、軸部材としてのシャフト8と、付勢部材としてのバネ9と、を備える。
【0022】
本体部4は、
図2に示すように、直方体の下方の一の角部が上方側に窪んだ形状に形成される。本体部4の上部には、本体上面部材4aが貼り付けられている。本体上面部材4aは、本体部4の上面を構成し、平面視で、矩形状に形成される。本体上面部材4aは、防滴パッキンとして機能する。この本体部4には、
図4及び
図5に示すように、内筒部3が配置される内筒収容部41、傾斜筒部5が収容される傾斜筒収容部43、及び外周壁部6が形成される。内筒収容部41は、本体上面部材4aと直交する方向に延びる貫通穴として形成される。傾斜筒収容部43は、一端側が内筒収容部41に連通し、本体上面部材4aと直交する方向に対して傾斜した方向に延びる穴として形成される。
【0023】
内筒部3は、円筒状に形成される。内筒部3は、
図4及び
図5に示すように、内筒収容部41に収容される。内筒部3は、本体上面部材4aの裏面側において、本体上面部材4aと直交する方向に延びる。内筒部3の外周と内筒収容部41の内壁との間には、内筒部3の一端側(
図4及び
図5に示す上端側)から中央部に亘って、透析液が流通可能な空間が形成される。つまり、内筒収容部41は、一端側から中央部に亘って、その内径が内筒部3の外径よりも大きく形成される。内筒部3の中央部から他端側の部分においては、内筒部3の外径と内筒収容部41の内径は略同一に形成される。これにより、中央部から他端側の部分においては、内筒収容部41は密閉されている。
【0024】
図4及び
図5に示すように、内筒部3には、上記の透析液供給ラインL1(第2透析液供給ラインL12)を流通する透析液が導入される導入口31及び透析液が導出される導出口32が形成される。内筒部3は、導入口31と導出口32との間に形成される導入路33を備える。内筒部3の導出口32側の外周には、ネジ山36が設けられる。内筒部3は、板状の押さえ部材35を介して、締結部材34によって本体部4に固定される。
【0025】
傾斜筒部5は、円筒状に形成される。傾斜筒部5は、
図4及び
図5に示すように、一端側が傾斜筒収容部43に収容される。傾斜筒部5は、本体上面部材4aの裏面側において、本体上面部材4aと直交する方向に対して傾斜して配置される。傾斜筒部5は、一端側が内筒収容部41における内筒部3の外周と内筒収容部41の内壁との間に空間が形成される部分に連通し、他端側が透析液供給ラインに連結される導出路51を形成する。傾斜筒部5は、内筒収容部41を流通する透析液を透析液供給ラインL1に導出する。傾斜筒部5は、板状の押さえ部材53を介して、締結部材52によって本体部4に固定される。
【0026】
外周壁部6は、本体部4における導出口32が位置する側に配置される。外周壁部6は、内筒収容部41の周囲から内筒部3の延びる方向に突出し、本体上面部材4aに形成された孔21を貫通する。外周壁部6の先端側には、チューブの接続口である開口61が形成される。外周壁部6の内周面は、開口61側に向かって開口61の径が大きくなるように傾斜したテーパ面62を含む。
【0027】
蓋部材7は、
図3に示すように、平面視において所定方向に延びて形成される。蓋部材7は、
図2及び
図3に示すように、本体上面部材4aの他方の面(表面)側に配置される。蓋部材7は、外周壁部6に着脱可能に取り付けられる。蓋部材7は、
図5に示すように、基端側が上下方向に延びるシャフト8の上端に取り付けられ、先端側が水平方向に突出して形成される。蓋部材7は、開口61よりも大径の蓋本体71と、蓋本体71に着脱可能に取り付けられるスライド部材72と、を備える。
【0028】
スライド部材72は、保持部分73と、保持部分73に着脱可能に保持される密閉用部分76と、を有する。蓋部材7にスライド部材72が着脱可能に取り付けられる構成については後述する。
【0029】
密閉用部分76は、樹脂又はゴムからなる弾性部材によって構成され、突出方向側の周縁がテーパ面62に当接して開口61を密閉する。つまり、密閉用部分76は、その外径が、外周壁部6の内径よりも大きく、かつ、外周壁部6の外径よりも小さくなるように構成される。密閉用部分76は、保持部分73に保持されて支持される。密閉用部分76がテーパ面62に当接した状態において、密閉用部分76と内筒部3の端部との間には、透析液が通過するための隙間が形成される。保持部分73については後述する。
【0030】
シャフト8は、
図5に示すように、本体上面部材4aと直交する方向に延びる。シャフト8は、本体部4に形成された孔42に挿通され、本体上面部材4aに形成された孔22を貫通する。シャフト8は、本体上面部材4aの表面側において蓋本体71に接続される。シャフト8は、本体部4に対して軸方向に摺動可能である。シャフト8は、蓋部材7と本体部4との間の距離を変更可能、かつ、蓋部材7を本体部4に対して回転可能に蓋本体71と本体部4とを連結する。また、シャフト8は、本体上面部材4aの裏面側の端部において外周方向に延出したバネ受け81を有する。
【0031】
バネ9は、
図2に示すように、シャフト8の、本体部4とバネ受け81との間に巻回される。バネ9は、圧縮された状態で、本体部4とバネ受け81との間に配置され、蓋部材7を本体部4側に付勢する。バネ9は、
図5に示すように、蓋部材7を本体部4側に付勢することで、密閉用部分76をテーパ面62に密着させる。チューブの接続口である開口61を開放する際には、
図6に示すように、バネ9による付勢力に抗して蓋本体71をシャフト8の軸方向に移動させることで、蓋部材7と本体部4との間の距離を広げる。
【0032】
蓋部材7にスライド部材72が着脱可能に取り付けられる構成について説明する。
図7は、蓋部材7からスライド部材72を取り外した状態を示す断面図である。
図8は、蓋部材7からスライド部材72を取り外した状態を斜め下方側から見た斜視図である。
図9は、蓋部材7からスライド部材72を取り外した状態を斜め上方側から見た斜視図である。
【0033】
図7〜
図9に示すように、蓋本体71は、長手方向に延びて形成される。蓋部材7はシャフト8(
図6参照)を引き上げた状態で水平方向に沿って回動可能に構成され、蓋本体71は、蓋部材7が操作される際に、使用者により把持される。スライド部材72が蓋本体71の長手方向にスライド移動可能に構成されることで、蓋本体71には、スライド部材72が、蓋本体71に対して、着脱可能に取り付けられる。本実施形態においては、スライド部材72をスライドさせて蓋本体71に対して着脱可能にスライドさせるスライド方向は、水平方向であって、蓋本体71の長手方向と一致する。また、スライド部材72のスライド方向は、内筒部3(
図5参照)が延びる方向に直交(交差)する方向でもある。
【0034】
図7〜
図9に示すように、蓋本体71は、取付凹部711と、一対の蓋部材側ガイド部712,712と、蓋本体側係合部713と、を有する。
【0035】
取付凹部711は、蓋本体71における長手方向の一端部(先端部)において、蓋本体71の下方から上方に窪むと共に、蓋本体71の先端部から後方に窪んで形成される。取付凹部711には、スライド部材72が配置される。
【0036】
一対の蓋部材側ガイド部712,712は、蓋本体71における取付凹部711が設けられる部分の上方の下部において、蓋本体71の長手方向に直交する方向の両端部に、蓋本体71の長手方向に沿って延びて形成される。一対の蓋部材側ガイド部712,712は、互いが平行に配置される。一対の蓋部材側ガイド部712,712には、スライド部材72の一対のスライド部材側ガイド部746,746(後述)が、スライド方向に移動可能に取り付けられる。
【0037】
一対の蓋部材側ガイド部712,712は、蓋本体71の長手方向に直交する方向の両端部において、それぞれ、蓋本体71の長手方向に延びる蓋側溝712aと、蓋側溝712aの下方に蓋側溝712aに沿って形成される蓋側凸部712bと、を有する。蓋側溝712aは、蓋本体71における長手方向に直交する方向の外側に向けて開放する溝状に形成される。蓋側凸部712bは、蓋側溝712aの下方において、蓋本体71における長手方向に直交する方向の外側に向けて突出する。
【0038】
蓋本体側係合部713は、取付凹部711の後方側の側部において、蓋本体71の長手方向に直交する方向に延びる溝状に形成される。蓋本体側係合部713には、スライド部材72が蓋本体71に取り付けられた場合に、スライド部材72の一対のスライド側係合爪部745,745が係合される。蓋本体側係合部713は、蓋本体71の長手方向に直交する方向に延びる延在溝713aと、延在溝713aの先端側に延在溝713aに沿って配置される下方延出壁部713bと、を有する。
【0039】
スライド部材72は、蓋本体71に対してスライド方向(水平方向、内筒部3(
図5参照)が延びる方向に直交(交差)する方向)にスライドすることで、蓋本体71に着脱可能に取り付けられる。スライド部材72は、保持部分73と、密閉用部分76と、を有する。
【0040】
保持部分73は、密閉用部分76を保持して支持する。保持部分73は、
図7に示すように、スライド筐体74と、連結部材75と、を有する。
【0041】
スライド筐体74は、
図7〜
図9に示すように、上部に上面板741を有し下方が開放したカップ形状に形成され、先端部が円弧状であって、後部が平面状に形成される。
【0042】
スライド筐体74は、先端が円弧状に形成され上下方向に貫通する開口741aを有する上面板741と、上面板741の先端側の周縁から下方に延びる先端円弧面板742と、先端円弧面板742の後端部から後方に延びる一対の側面板743,743と、一対の側面板743,743の後端部同士をつなぐ後面板744と、後面板744の下端部におけるスライド部材72のスライド方向に直交する方向の両端部に形成される一対のスライド側係合爪部745,745と、スライド部材72のスライド方向に直交する方向の両端部において上面板741の上部から上方側に突出すると共にスライド部材72のスライド方向に延びる一対のスライド部材側ガイド部746,746と、を有する。
【0043】
また、スライド筐体74は、筒状内壁部747を有する。筒状内壁部747は、
図7及び
図8に示すように、スライド筐体74を下方側から見た場合に、スライド筐体74の内壁を構成する。筒状内壁部747は、一部が先端円弧面板742により構成され、円筒状に形成される。筒状内壁部747は、
図4及び
図5に示すように、開口61が閉鎖されている状態において、密閉用部分76及び外周壁部6の外周を囲うように配置される。
【0044】
一対のスライド部材側ガイド部746,746は、
図7〜
図9に示すように、スライド部材72のスライド方向に直交する方向の両端部において、スライド筐体74の上面板741から上方に突出して形成される。一対のスライド部材側ガイド部746,746は、スライド筐体74の上面板741のスライド部材72のスライド方向の両端部において、それぞれ、スライド部材72のスライド方向に延びるスライド部材側溝746aと、スライド部材側溝746aの上方にスライド部材側溝746aに沿って形成されるスライド部材側凸部746bと、を有する。スライド部材側溝746aは、スライド部材72におけるスライド方向に直交する方向の内側に開放する溝状に形成される。スライド部材側凸部746bは、スライド部材側溝746aの上方において、スライド部材72におけるスライド方向に直交する方向の内側に突出して形成される。
【0045】
一対のスライド側係合爪部745,745は、スライド部材72のスライド方向に直交する方向の両端部において、後面板744の下端部から後方に突出するように形成される。一対のスライド側係合爪部745,745は、スライド部材72のスライド方向に直交する方向の両端部において、後面板744の下端部から後方側に延出する延出部745aと、延出部の後端部から上方に突出する引っ掛け片745bと、を有する。
【0046】
連結部材75は、
図7に示すように、スライド筐体74の内部に配置される。連結部材75は、上端部が、スライド筐体74の上面板741の開口741aにおいて、スライド筐体74に接続される。連結部材75の下端部には、密閉用部分76が接続される。連結部材75は、段差円柱状に形成され、取付円柱部751と、取付円柱部751の下部に接続され段差状に形成される段差円柱部752と、を有する。
【0047】
取付円柱部751は、スライド筐体74の上面板741の開口741aにおいて、スライド筐体74に接続される。
段差円柱部752には、密閉用部分76が接続される。段差円柱部752は、取付円柱部751の下部に接続される第1大径部753と、第1大径部753の下部に接続され第1大径部753よりも径が大きい第2大径部754と、を有する。
【0048】
密閉用部分76は、スライド筐体74の内部において、連結部材75を介して、スライド筐体74の上面板741に連結される。密閉用部分76は、スライド筐体74の上面板741から下方に突出する円筒状に形成され、円形且つ平面状の下面を有する。密閉用部分76は、上面において下方に窪む取付段差凹部761を有する。取付段差凹部761には、連結部材75の段差円柱部752が接続される。密閉用部分76は、弾性部材により構成されるため、弾性変形させることで、連結部材75の段差円柱部752に対して、密閉用部分76の取付段差凹部761を容易に着脱可能である。
【0049】
以上のように構成されるスライド部材72を蓋本体71に取り付ける場合には、スライド部材72のスライド筐体74の一対のスライド部材側ガイド部746,746を、蓋本体71の一対の蓋部材側ガイド部712,712に挿入して、スライド方向に移動させて、スライド部材72を蓋本体71に取り付ける。具体的には、スライド部材72の一対のスライド部材側ガイド部746,746の後端部を、蓋本体71の一対の蓋部材側ガイド部712,712の先端から一対の蓋部材側ガイド部712,712に挿入することで、スライド部材側ガイド部746のスライド部材側凸部746bを、蓋部材側ガイド部712の蓋側溝712aに配置すると共に、蓋部材側ガイド部712の蓋側凸部712bを、スライド部材側ガイド部746のスライド部材側溝746aに配置した状態で、蓋本体71に対して、スライド部材72をスライド方向における取り付け方向に移動させて、スライド部材72を蓋本体71に取り付ける。
【0050】
更に、スライド部材72を、スライド方向における取り付け方向に移動させることで、スライド部材72の一対のスライド側係合爪部745,745は、スライド側係合爪部745の引っ掛け片745bが、弾性変形して、蓋本体側係合部713の下方延出壁部713bを乗り越えて、蓋本体側係合部713の延在溝713aに配置される。これにより、スライド側係合爪部745の引っ掛け片745bが、蓋本体側係合部713の下方延出壁部713bに引っ掛かることにより、スライド方向における取り外し方向へのスライド部材72の移動が規制された状態で、スライド部材72の一対のスライド側係合爪部745,745を、蓋本体71の蓋本体側係合部713に係合させる。
【0051】
次に、スライド部材72に取り付けられる密閉用部分76を交換する手順について説明する。
まず、密閉用部分76を交換するメンテナンスを行う場合に、チューブの接続口である開口61の上方に、蓋部材7を位置させた状態で、開口61を開放する。具体的には、チューブの接続口である開口61を開放する際には、
図6に示すように、バネ9による付勢力に抗して蓋本体71をシャフト8の軸方向に移動させることで、蓋部材7と本体部4との間の距離を広げる。
【0052】
次に、蓋本体71に対して、スライド部材72をスライド方向における取り外し方向にスライド移動させることで、スライド部材72の一対のスライド側係合爪部745,745と蓋本体71の蓋本体側係合部713との係合を外して、
図7〜
図9に示すように、蓋部材7からスライド部材72を取り外す。
【0053】
続けて、スライド部材72から古い密閉用部分76を取り外して、スライド部材72に新しい密閉用部分76を取り付ける。
その後、新しい密閉用部分76が取り付けられたスライド部材72の一対のスライド部材側ガイド部746,746を、蓋本体71の一対の蓋部材側ガイド部712,712に挿入して、一対の蓋部材側ガイド部712,712に沿って、スライド部材72をスライド方向における取り付け方向にスライド移動させる。
【0054】
そして、スライド部材72を、スライド方向における取り付け方向に更に移動させて、蓋本体71側に押し込むことで、スライド部材72の一対のスライド側係合爪部745,745を、蓋本体71の蓋本体側係合部713に係合させる。これにより、一対のスライド側係合爪部745,745と蓋本体側係合部713とを係合させることで、スライド部材72を蓋本体71に取り付けることができる。
【0055】
このように、一対のスライド側係合爪部745,745と蓋本体側係合部713とを係脱させるだけで、スライド部材72と蓋本体71とを、簡単に着脱できる。そのため、スライド部材72に取り付けられた密閉用部分76を容易に交換することができる。
【0056】
ここで、蓋本体71をポート1の開口61の上方に配置した状態で、蓋部材7からスライド部材72をスライド方向にスライドして着脱できるため、開口61が汚染されることが抑制され、ポート1の開口61を清潔に保つことができる。
【0057】
また、スライド部材72の一対のスライド部材側ガイド部746,746を、蓋本体71の一対の蓋部材側ガイド部712,712に沿って移動できるため、スライド部材72を、スライド方向における取り出し方向及び取り付け方向に容易にスライド移動させて、蓋本体71から、スライド部材72を容易に着脱できる。
【0058】
また、一対のスライド側係合爪部745,745を、蓋本体側係合部713に係合させるだけで、スライド部材72を蓋本体71に容易に取り付けることができる。更に、一対のスライド側係合爪部745,745が、蓋本体側係合部713の下方延出壁部713bを乗り越えて、蓋本体側係合部713の延在溝713aに嵌って配置されるため、蓋本体側係合部713に係合する際の感覚を感じとることができ、スライド部材72の取り付けの完了を直感的に認識できる。
【0059】
続いて、ポート1の使用方法(動作)について説明する。
図10は、ポートの使用方法について説明するための断面図である。なお、
図10は、
図5の断面図に対応する図である。
まず、開口61が閉鎖されている状態においては、
図5に示すように、バネ9の復元力によって、蓋部材7が本体部4側に付勢される。蓋部材7が本体部4側に付勢されることで、密閉用部分76がテーパ面62に密着し、開口61が密閉される。この際に、透析液は、透析液供給ラインL1を流通した後、導入口31から(内筒収容部41に配置された)導入路33を流通する。その後、導出口32から導出された透析液は、密閉用部分76と内筒部3の端部との間の隙間、内筒部3の外周と内筒収容部41の内壁との間の空間を流通し導出路51を通じて再び透析液供給ラインL1に導出される(
図4参照)。
【0060】
開口61を開放する際には、
図6に示すように、血液浄化装置10の第2透析液供給ラインL12における透析液の流通を停止した後に、バネ9による付勢力に抗して蓋本体71をシャフト8の軸方向に移動させることで、蓋部材7と本体部4との間の距離を広げる。続いて、蓋本体71を、外周壁部6と筒状内壁部747とがシャフト8の軸方向において重複しない位置まで引いた状態で、
図10に示すように、蓋部材7が開口61を覆わない位置までシャフト8を中心に本体部4に対して回転させる。
【0061】
続いて、
図10に示すように、分岐ラインL5を内筒部3の導出口32側に接続する。分岐ラインL5の端部には、内側にネジ山36に対応する溝の形成された筒状の接続部材37が配置され、その接続部材37が内筒部3の導出口32側に螺合される。
【0062】
分岐ラインL5が内筒部3に接続された状態においては、透析液供給ラインL1から導入路33に導入された透析液は、導出口32から分岐ラインL5に導出される。
【0063】
上記実施形態に係るポート1によれば、以下の効果が奏される。
上記実施形態では、ポート1が、透析液供給ラインL1(第2透析液供給ラインL12)を流通する透析液が導入される導入口31及び透析液が導出される導出口32が形成された内筒部3と、内筒部3の外周との間に透析液が流通可能な空間が形成されるように内筒部3を収容する筒状の内筒収容部41が形成された本体部4と、本体部4における導出口32が位置する側に配置されて内筒収容部41の周囲から内筒部3の延びる方向に突出すると共に先端部に開口61が形成された外周壁部6と、外周壁部6に着脱可能に取り付けられ開口61を密閉する蓋部材7と、を備えるものとした。また、上記実施形態では、蓋部材7を、蓋本体71と、蓋本体71に対して内筒部3が延びる方向に交差する方向にスライドすることで蓋本体71に着脱可能に取り付けられるスライド部材72と、を含んで構成し、スライド部材72を、開口を密閉する密閉用部分と、密閉用部分を保持する保持部分と、を含んで構成した。
【0064】
これにより、スライド部材72を内筒部3が延びる方向に交差する方向にスライドすることで、蓋部材7からスライド部材72を着脱可能とした。従って、蓋本体71をポート1の開口61の上方に配置した状態で、蓋部材7からスライド部材72をスライド方向にスライドして着脱できるため、開口61が汚染されることが抑制され、ポート1の開口61を清潔に保つことができる。また、蓋部材7からスライド部材72をスライド方向にスライドして着脱できるため、スライド部材72に取り付けられた密閉用部分76を容易に交換することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、スライド部材72が、スライドするスライド方向に直交する方向の両端部に配置される一対のスライド側係合爪部745,745を有するように構成し、蓋本体71が、一対のスライド側係合爪部745,745に係合可能な蓋本体側係合部713を有するように構成した。これにより、一対のスライド側係合爪部745,745と蓋本体側係合部713とに係脱させるだけで、スライド部材72と蓋本体71とを、簡単に着脱できる。また、一対のスライド側係合爪部745,745がスライド部材72のスライド方向に直交する方向の両端部に設けられるため、スライド部材72を蓋部材7から取り外せない事態が生じた場合に、一対のスライド側係合爪部745,745を破壊することで、スライド部材72を蓋部材7から取り外すことができる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
上記実施形態においては、オンラインHDFを実施する血液浄化装置10にポート1を用いたが、本発明に係る医療用ポートの用途はこれに限定されない。また、本発明に係る医療用ポートは、透析液以外の液体が流通するラインに配置してもよい。
【0067】
また、上記実施形態においては、スライド部材72を、スライド筐体74、連結部材75及び密閉用部分76の3つの別々の部材で構成したが、これに限定されない。例えば、スライド部材を、密閉用部分76を一体化させた1つの部材で構成して、スライド部材ごと交換するように構成してもよい。また、スライド部材を、スライド筐体74及び連結部材75を一体化させた保持部材と、密閉用部分と、の2部材で構成してもよい。
【0068】
また、上記実施形態においては、スライド部材72から古い密閉用部分76を取り外して、スライド部材72に新しい密閉用部分76を取り付けることで、密閉用部分76を交換したが、これに限定されない。密閉用部分76をスライド部材72ごと交換してもよい。つまり、新しい密閉用部分76が取り付けられたスライド部材72を予め一体部品として準備しておき、密閉用部分76をスライド部材72ごと交換してもよい。