(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。印刷装置1は、USB(登録商標)ケーブルを介して外部端末(図示略)に接続可能である。印刷装置1は、外部端末から受信した印刷データに基づいて、印刷媒体に文字、図形等のキャラクタを印刷できる。印刷媒体は感熱ラベルである。外部端末は汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。印刷装置1は、電池駆動が可能である。印刷装置1は、例えばベルトクリップ(図示略)を介して腰ベルトに装着されることによって、作業中の使用者に携帯されて使用される。
図1の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、及び下側を、それぞれ、印刷装置1の右側、左側、後側、前側、上側、及び下側と定義する。
【0018】
<本体部2、カバー3>
図1に示すように、印刷装置1は、本体部2及びカバー3を備える。本体部2は、略直方体の箱状である。
図2に示すように、本体部2の内部のうち後側略半分の部分に、収容部24が設けられる。収容部24は、本体部2の前後方向略中央を仕切る非図示の仕切り板、本体部2の左右両端部、後端部、及び、下端部によって区画される。収容部24の上側は、本体部2に形成された開口部20によって開口する。収容部24には、ロールMが収容される。ロールMは、感熱ラベルが貼付された台紙(以下、「テープ」という。)が筒状の芯に巻回されて構成される。
【0019】
図3に示すように、本体部2のうち開口部20の前端部に、切断刃26Aが設けられる。切断刃26Aは、テープのうち印刷された部分を切り離すことができる。切断刃26Aの下側に、サーマルヘッド26Bが設けられる。サーマルヘッド26Bは、加熱により感熱ラベルにキャラクタを印刷する。切断刃26A及びサーマルヘッド26Bは、それぞれ左右方向に延びる。本体部2のうち開口部20の左右両端部に係止部25が設けられる。各係止部25は、それぞれの下端が揺動可能に支持される。本体部2の右側面に設けられたレバー23(
図1参照)が使用者によって押し下げられた場合、各係止部25の上端部は後方に揺動する。
【0020】
図1、
図2に示すように、カバー3は、本体部2の後端部に回転可能に支持される。カバー3は、後端部を中心に、閉塞状態(
図1参照)と開放状態(
図2参照)との間を揺動可能である。
図1に示すように、カバー3は、閉塞状態の場合に開口部20の下側の収容部24を上側から覆う。カバー3は、開放状態の場合に開口部20の下側の収容部24を開放する。カバー3は、付勢部材30(
図3示略)によって、閉塞状態から開放状態に揺動する向きに付勢される。以下では、閉塞状態のカバー3(
図1参照)を基準とし、印刷装置1の各方向をカバー3に適用する。
【0021】
図2に示すように、カバー3の前端部にプラテンホルダ33が設けられる。プラテンホルダ33は、プラテンローラ31を回転可能に支持する。プラテンローラ31の回転軸は左右方向に延びる。プラテンローラ31の回転軸の左右両端部から左右外側に向けて、円筒状の軸受32がそれぞれ延びる。各係止部25は、カバー3を閉塞状態とした場合、対応する軸受32を係止する。この場合、カバー3は閉塞状態で維持される(
図1参照)。カバー3が閉塞状態のときにレバー23(
図1参照)が押し下げられた場合、各係止部25は、対応する軸受32から外れる。カバー3は、付勢部材30の付勢力によって閉塞状態から開放状態(
図2参照)まで揺動する。
【0022】
図1に示すように、カバー3が閉塞状態のとき、サーマルヘッド26B(
図2参照)とプラテンローラ31(
図2参照)とは互いに近接する。プラテンローラ31は、サーマルヘッド26Bとの間にテープが配置された場合、サーマルヘッド26B(
図3参照)に向けてテープを押し付ける。プラテンローラ31は、非図示のモータの駆動により回転することで、サーマルヘッド26Bにテープを押し付けながら搬送する。カバー3が閉塞状態のとき、切断刃26Aとプラテンローラ31との間には、排出口26Cが形成される。排出口26Cは、印刷装置1の内部で印刷されたテープを外部に排出する。
【0023】
<ホルダ10>
図3に示すように、収容部24にホルダ10が固定される。ホルダ10は、ロールMの幅方向が左右方向を向いた状態で、ロールMを回転可能に保持する。ホルダ10は、固定部10A、10B、支持部41、46(「一対の支持部4」という。)、ロック部材5、6、回転板43(
図2参照)、48、及び、調節機構7(
図4参照)等を有する。
【0024】
固定部10A、10Bは、それぞれ、略板状である。固定部10Aは、収容部24の前側の壁部に対応する仕切り板(非図示)に固定される。固定部10Aは、仕切り板に沿って延びる。固定部10Aの延びる方向は、水平方向に対して傾斜する。固定部10Aは、前端部から後端部に向けて、斜め下側に延びる。固定部10Aは、左右方向に延びる溝101、102(
図6参照)を有する。溝101、102は左右方向に一直線状に並ぶ。溝102は、溝101の右側に配置される。溝101、102は、左右方向に離隔する。
【0025】
固定部10Bは、固定部10Aの後端部に接続する。固定部10Bは、本体部2の下端部に沿って水平に延びる。固定部10Bは、係合部53、54を有する。係合部53、54は、それぞれ、左右方向に配列され且つそれぞれが前後方向に延びる複数の歯を有する。係合部53、54は左右方向に一直線状に並ぶ。係合部53、54は、左右方向に離隔する。係合部54は、係合部53に対して右側に配置される。
【0026】
<一対の支持部4>
図3に示すように、一対の支持部4は、固定部10Aの後側に配置される。一対の支持部4は左右方向に対向する。
図2、
図3に示すように、一対の支持部4は、ロールMの左右方向の両側を支持する。支持部41は、ロールMの左側を支持する。支持部46は、ロールMの右側を支持する。支持部46は、支持部41に対して右側に配置される。
図4に示すように、支持部41、支持部46は、互いに左右対称である。以下では、支持部41について詳細に説明し、支持部46の説明は簡略化する。
【0027】
図5に示すように、支持部41は、基部41A、延伸部41B、及び、突出部41Cを有する。基部41Aは、左右方向と直交する略板状の部位を有する。延伸部41Bは、基部41Aの前端部のうち上下方向略中央よりも下側の部分から、前斜め下側に向けて延びる。延伸部41Bは、後述するロック部材5の一部(第1ロック部材51の突出部57A、及び、第2ロック部材52の基部58)が挿通する孔411、412を有する。孔411の開口部は、延伸部41Bの下端部に形成される。孔411は、延伸部41Bの下端部から前斜め上側に延びる。孔412の開口部は、延伸部41Bの右端部に形成される。孔412は、延伸部41Bの右端部から左側に延びる。孔412は、延伸部41Bの内部で孔411に接続する。
【0028】
突出部41Cは、延伸部41Bの前斜め下側の端部から、前斜め下側に向けて突出する。突出部41Cは、固定部10A(
図6参照)に設けられた溝101(
図6参照)に後側から挿通し、固定部10Aよりも前側に突出する。
【0029】
図4に示すように、支持部46は、基部46A、延伸部46B、及び、突出部46Cを有する。基部46A、延伸部46B、及び、突出部46Cは、それぞれ、支持部41の基部41A、延伸部41B、及び、突出部41Cに対応する。突出部46Cは、固定部10A(
図6参照)に設けられた溝102(
図6参照)に後側から挿通し、固定部10Aよりも前側に突出する。
【0030】
<調節機構7>
調節機構7は、一対の支持部4を連動して左右方向に移動させる。
図6に示すように、調節機構7は、固定部10A(
図3参照)の前側に配置される。
図4に示すように、調節機構7は、ラックギア71、72、ピニオンギア73、支持板74(
図6参照)、引張ばね75(
図6参照)を有する。
【0031】
ラックギア71、72は、上下方向に対向する。ラックギア72は、ラックギア71の上側に配置される。ラックギア71、72は、それぞれ左右方向に延びる。ラックギア71の上端部及びラックギア72の下端部に、歯が形成される。ラックギア71の左端部は、支持部41の突出部41Cに接続する。ラックギア72の右端部は、支持部46の突出部46Cに接続する。
図6に示すように、ラックギア72の上端部に、上側に突出する保持部721が設けられる。
【0032】
図4に示すように、ラックギア71、72の間にピニオンギア73が設けられる。ピニオンギア73は、固定部10A(
図6参照)の前側のうち溝101、102の間の部分に、回転可能に支持される。ピニオンギア73の歯は、ラックギア71、72の歯に噛合する。ラックギア71、72は、それぞれ、ピニオンギア73の回転に伴って左右方向に移動する。これに伴い、支持部41、46は、溝101、102(
図6参照)に沿って左右方向に移動する。例えば、支持部41が左側に所定量移動すると、ラックギア71、ピニオンギア73、及び、ラックギア72を介して、支持部41の移動に連動して支持部46が右側に所定量移動する。つまり、ラックギア71、72、及び、ピニオンギア73は、一対の支持部4を、互いに離隔する方向(左右方向外側)に移動させる。一方、支持部41が右側に所定量移動すると、ラックギア71、ピニオンギア73、及び、ラックギア72を介して、支持部41の移動に連動して支持部46が左側に所定量移動する。つまり、ラックギア71、72、及び、ピニオンギア73は、一対の支持部4を、互いに接近する方向(左右方向内側)に移動させる。
【0033】
図6に示すように、ピニオンギア73の前側に支持板74が固定される。支持板74には、左側に向けて延びる延伸部740が設けられる。延伸部740の左端部に、上側に突出する保持部741が設けられる。支持板74の保持部741と、ラックギア72の保持部721との間に、引張ばね75が引っ掛けられる。引張ばね75は、支持部41、46に対し、それぞれが互いに近接する向きの付勢力を付与する。
【0034】
<ロック部材5、6>
図4に示すように、ロック部材5は支持部41に設けられ、ロック部材6は支持部46に設けられる。ロック部材5、6は、互いに左右対称である。以下では、ロック部材5について詳細に説明し、ロック部材6の説明は簡略化する。
【0035】
図5に示すように、ロック部材5は、第1ロック部材51及び第2ロック部材52を有する。
図7に示すように、第1ロック部材51は板状である。第1ロック部材51は、基部55、当接部56、及び、連結部57を有する。基部55は略円形である。基部55の中心に孔55Aが形成される。孔55Aには螺子44(
図5参照)が挿通される。
図5に示すように、孔55Aに挿通された状態の螺子44の軸部の中心に対応する支軸44Cに沿って延びる仮想線を、「第1仮想線V1」という。この場合、
図7に示すように、第1仮想線V1は、基部55の中心を通過する。
【0036】
当接部56は、基部55の前端部の近傍のうち上下方向略中央よりも上側の部分から、上側に向けて延びる。当接部56は、延伸部561、562、及び、突出部563を有する。延伸部561は、基部55との接続部分から上側に向けて延びる。延伸部562は、延伸部561の上端部から、前側に向けて延びる。突出部563は、延伸部562の前端部から、上側に向けて突出する。延伸部561、562、及び、突出部563を、「当接片56A」という。突出部563に対して上側から力が作用すると、延伸部561、562が弾性変形して、突出部563は下方に僅かに移動する。突出部563に力が作用しなくなると、延伸部561、562の弾性変形は元に戻り、突出部563も元の位置に戻る。第1仮想線V1に沿った方向(左右方向)から第1ロック部材51を見た場合における、突出部563の先端と第1仮想線V1との間の距離、言い換えれば、突出部563の先端と第1仮想線V1との最短距離を、「第1距離L1」という。
【0037】
連結部57は、基部55の上下方向略中央よりも下側の部分から、斜め下側に向けて延びる。
図5に示すように、連結部57は、左側に向けて突出する突出部57Aを先端部に有する。突出部57Aの形状は、略円柱状である。
図7に示すように、突出部57Aの中心を通る仮想線と連結部57との交点を、「交点Pv」という。第1仮想線V1に沿った方向(左右方向)から第1ロック部材51を見た場合における、交点Pvと第1仮想線V1との間の距離、言い換えれば、交点Pvと第1仮想線V1との間の最短距離を、「第2距離L2」という。第2距離L2は、第1距離L1よりも短い(L1>L2)。
【0038】
図5に示すように、第2ロック部材52は、基部58及び被係合部59を有する。基部58は略棒状である。基部58は、上端部から下端部に向かうに従って後側に傾斜する向きに延びる。基部58は、上端部近傍に孔58Aを有する。孔58Aは、基部58を左右方向に貫通する。被係合部59は、基部58の下端部に設けられる。被係合部59は、下端部に歯59Aを有する。
【0039】
図4に示すように、ロック部材6は、第1ロック部材61及び第2ロック部材62を有する。第1ロック部材61及び第2ロック部材62は、ロック部材5の第1ロック部材51及び第2ロック部材52に対応する。第1ロック部材61の基部65、当接部66、及び、連結部67(
図3参照)は、第1ロック部材51の基部55、当接部56、及び、連結部57に対応する。第2ロック部材62の基部68(
図3参照)及び被係合部69は、第1ロック部材51の基部58及び被係合部59に対応する。
【0040】
<回転板43、48>
図5に示すように、回転板43は円形板状である。回転板43の平面は、左右方向と直交する。回転板43は、第1ロック部材51の基部55に対して右側に配置される。回転板43は、支持部41の基部41Aとの間に第1ロック部材51の基部55を挟む。回転板43の中心に孔43Aが形成される。孔43Aには螺子44が挿通される。
図2に示すように、回転板43はロールMの左端部に当接し、ロールMを回転可能に保持する。
図5に示すように、回転板43の直径は、第1ロック部材51の基部55の直径と略同一である。
【0041】
図3に示すように、回転板48は円形板状である。回転板48の平面は、左右方向と直交する。
図4に示すように、回転板48は、第1ロック部材61の基部65に対して左側に配置される。回転板48は、支持部46の基部46Aとの間に第1ロック部材61の基部65を挟む。回転板48の中心に孔が形成される。
図3に示すように、該孔には螺子49が挿通される。回転板48は、ロールMの右端部に当接し、ロールMを回転可能に保持する。回転板48の直径は、第1ロック部材61の基部65の直径と略同一である。
【0042】
<組み付け方法>
支持部41、ロック部材5(第1ロック部材51及び第2ロック部材52)、及び、回転板43の組み付け方法について説明する。なお、支持部46、ロック部材6(第1ロック部材61及び第2ロック部材62)、及び、回転板48の組み付け方法は、支持部41、ロック部材5、及び、回転板43の組み付け方法と同一である為、説明を省略する。
【0043】
図8に示すように、はじめに、支持部41の延伸部41Bに設けられた孔411に対して、第2ロック部材52の基部58が下側から挿入される。孔411の延びる方向と、第2ロック部材52の基部58の延びる方向とは一致する。第2ロック部材52は、支持部41に対して、孔411に沿った方向に移動可能に支持される。次に、支持部41の基部41Aの右側面に、第1ロック部材51の基部55が近接して配置される(
図5参照)。このとき、支持部41の基部41Aと第1ロック部材51の基部55との間に、付勢部材45(
図4参照)が挟まれる。付勢部材45は、圧縮コイルばねである。
【0044】
支持部41の延伸部41Bに設けられた孔412に対して、第1ロック部材51の連結部57の突出部57Aが右側から挿入される。同時に、連結部57の突出部57Aは、支持部41の延伸部41Bの内部で、第2ロック部材52の基部58の孔58A(
図5参照)に右側から挿入される。これによって、第1ロック部材51の連結部57は第2ロック部材52に連結される。
【0045】
次に、第1ロック部材51の基部55の右側面に、回転板43が近接して配置される(
図5参照)。第1ロック部材51の基部55は、支持部41の基部41Aと回転板43とによって、左右両側から挟まれる。
【0046】
次に、回転板43の中心の孔43A(
図5参照)に、螺子44が右側から挿通される。螺子44は、第1ロック部材51の基部55の孔55A(
図5参照)を通過し、支持部41の基部41Aに螺合される。第1ロック部材51及び回転板43は、螺子44の軸部の中心に対応する支軸44Cを中心として、支持部41の右側面に揺動又は回転可能に支持される。即ち、第1ロック部材51と回転板43は、夫々が独立して揺動又は回転可能に支持部41に支持される。付勢部材45は、第1ロック部材51を、右側から見た状態(
図8の状態)で時計回り方向に揺動する向きに付勢する。以下、特段限定のない限り、回転方向(時計回り方向、又は、反時計回り方向)は、右側から見た状態の方向を示す。
【0047】
第1ロック部材51の揺動に応じて、連結部57も揺動する。この場合、連結部57を介して連結した状態の第2ロック部材52は、第1ロック部材51の揺動に連動して移動する。第2ロック部材52の移動方向に沿った仮想線を、「移動仮想線Vm」という。移動仮想線Vmは、固定部10Aと平行に延びる。又、移動仮想線Vmは、支持部41の延伸部41Bの孔411の延びる方向、及び、第2ロック部材52の基部58の延びる方向と一致する。支軸44C(
図5参照)に沿って延びる第1仮想線V1と直交する仮想線であって、突出部57Aの中心を通る仮想線と連結部57との交点Pvを通る仮想線を、「第2仮想線V2」という。この場合、移動仮想線Vmと第2仮想線V2とは略直交する。つまり、第2ロック部材52は、第1ロック部材51の揺動に応じ、第2仮想線V2と略直交する方向に移動する。
【0048】
<カバーの開閉動作>
図9(A)は、カバー3を開放状態とした場合のロック部材5の状態を示す。なお、
図9において、回転板43の図示は省略する。この場合、第1ロック部材51の当接部56にカバー3は当接しない。第1ロック部材51は、付勢部材45(
図5参照)の付勢力によって時計回り方向に揺動する。この揺動に応じ、第1ロック部材51の連結部57は前斜め上側に移動する。連結部57に連結する第2ロック部材52も、第1ロック部材51の揺動に連動して前斜め上側に移動する。第2ロック部材52の被係合部59は、固定部10Bの係合部53に対して上側に離間する。被係合部59の歯59A(
図5参照)は、係合部53の歯(
図3参照)に係合しない。このため、支持部41の左右方向の移動は規制されず、左右方向に自由に移動可能な状態となる。以下、カバー3を開放状態とした場合におけるロック部材5の回転位置を、「アンロック位置」という。なお、説明は省略するが、ロック部材6についても同様である。
【0049】
例えば使用者は、カバー3を開放状態にすると、支持部41のロック部材5及び支持部46のロック部材6はアンロック位置に配置される。この状態で、使用者は、支持部41、46を操作し、互いに離隔する方向(左右方向外側)に移動させ、支持部41、46の間にロールM(
図3参照)を配置させる。使用者が支持部41、46に対する操作を解除すると、支持部41、46は、調節機構7の引張ばね75の付勢力によって、回転板43、48の間の距離がロールMの幅と同じ長さとなるように、互いに接近する方向(左右内側方向)に移動する。その後、使用者はカバー3を閉塞させる。
【0050】
カバー3が開放状態から閉塞状態(
図9(B)参照、後述)に変化する過程で、第1ロック部材51の当接部56の当接片56Aは、カバー3のうちプラテンホルダ33(
図2参照)の近傍に当接する。第1ロック部材51は、付勢部材45(
図4参照)の付勢力に抗して反時計回り方向に揺動する。
【0051】
図9(B)は、カバー3を閉塞状態とした場合のロック部材5の状態を示す。この場合、第1ロック部材51が反時計回り方向に揺動したことに応じ、第1ロック部材51の連結部57は後斜め下側に移動する。この揺動に応じ、連結部57に連結する第2ロック部材52も、第1ロック部材51の揺動に連動して後斜め下側に移動する。第2ロック部材52の被係合部59の歯59A(
図5参照)は、係合部53の歯(
図3参照)に係合する。このため、支持部41の左右方向の移動は、ロック部材5によって規制される。以下、カバー3を閉塞状態とした場合におけるロック部材5の回転位置を、「ロック位置」という。つまり、ロック部材5は、カバー3が開放状態(
図9(A)参照)から閉塞状態(
図9(B)参照)に変化する過程で、アンロック位置(
図9(A)参照)からロック位置(
図9(B)参照)に切り替わる。なお、説明は省略するが、支持部46及びロック部材6についても同様である。
【0052】
支持部41、46の左右方向の移動が規制された場合、ロールMの左右両端部に回転板43、48が接触した状態は維持される。ロールMは、左右両側から回転可能に支持され、ロールMに巻回された感熱ラベルに対する印刷が可能な状態になる。
【0053】
<第1実施形態の主たる作用、効果>
印刷装置1は、収容部24に収容されるロールMを左右方向の両側から支持する一対の支持部4(支持部41、46)を備える。支持部41、46は、調節機構7により互いに連動して、左右方向に移動可能である。このため、印刷装置1は、ロールMの幅に合わせて支持部41、46を左右方向に移動させることによって、幅の異なるロールMを収容部24に安定的に収容できる。このため、印刷時においてロールMからテープが繰り出されるときに、左右方向と直交する方向に対して傾斜した方向にテープが搬送されることを抑制できる。
【0054】
ロック部材5、6は、カバー3の開閉に応じて、支持部41、46の移動を規制しないアンロック位置(
図9(A)参照)と、支持部41、46の移動を規制したロック位置(
図9(B)参照)とに切り替わる。又、ロック部材5、6は、カバー3が開放状態のときにアンロック位置に配置されるので、使用者は、ロールMの着脱時において、ロールMの幅に合わせて一対の支持部4を容易に移動させることができる。一方、ロック部材5,6は、カバー3が開放状態から閉塞する過程で、アンロック位置からロック位置に切り替わる。そして、ロック部材5、6は、カバー3が閉塞状態のとき、アンロック位置に維持される。このため、使用者は、カバー3を閉じる操作を行うだけで、一対の支持部4の移動を規制できる。このように、印刷装置1は、一対の支持部4の移動が規制されない状態と規制された状態とを、特別な操作を行うことなく簡単に実行できる。又、カバー3が閉塞されることによってロック部材5,6はアンロック位置からロック位置に自動的に切り替わるので、ロック部材5,6がアンロック位置に配置されたままで印刷が開始されることを抑制できる。
【0055】
更に、カバー3が閉塞状態の場合、ロック部材5,6がロック位置からアンロック位置に移動することが抑制される。このため、例えば印刷装置1の落下時の衝撃がロールMに作用した場合でも、ロック部材5、6によって一対の支持部4の移動が抑制されるので、収容部24内でロールMが移動することを防止できる。
【0056】
ロック部材5は、付勢部材45を備える。付勢部材45は、ロック部材5を、ロック位置からアンロック位置に向けて付勢する。この場合、付勢部材45は、カバー3が閉塞状態から開放する過程で、ロック部材5をロック位置からアンロック位置に自動的に切り替えることができる。なお、ロック部材5がアンロック位置に配置された状態で、係合部53の被係合部59は係合部53から離間する。ロック部材6についても同様である。このため使用者は、カバー3を開放する操作を行うだけで、一対の支持部4の移動が規制された状態を確実に解除し、ロールMの交換が可能な状態にできる。
【0057】
ロック部材5は、第1ロック部材51及び第2ロック部材52を備える。第1ロック部材51は、カバー3に当接可能な当接部56を有する。第2ロック部材52は、係合部53に係合可能な被係合部59を有する。この場合、印刷装置1は、カバー3が閉塞する過程で、第1ロック部材51の当接部56をカバー3に当接させることができる。又、印刷装置1は、カバー3に当接部56が当接したことに応じて第1ロック部材51が揺動した場合、この揺動に応じて第2ロック部材52を移動させ、被係合部59を係合部53に係合させることができる。ロック部材6についても同様である。このように、印刷装置1は、カバー3の閉塞に応じてアンロック位置からロック位置に切り替えられる機構を、第1ロック部材51と第2ロック部材52によって容易に実現できる。
【0058】
更に、第1ロック部材51、61の当接部56、66は、それぞれ、カバー3のうちプラテンホルダ33に近接する部分に当接する。カバー3のプラテンホルダ33に近接する部分は、他の部分よりも強度が強い。つまり、印刷装置1は、第1ロック部材51、61の当接部56、66を、カバー3のうち強度が相対的に強い部分に当接させることによって、ロック部材5、6がロック位置に配置された状態を安定的に維持できる。
【0059】
第1ロック部材51の当接部56と第1仮想線V1との最短距離である第1距離L1は、第1ロック部材51の連結部57と第1仮想線V1との最短距離である第2距離L2よりも長い。この場合、第1ロック部材51が揺動することに応じて当接部56が回転する場合の回転半径(第1長さL1)は、連結部57が回転する場合の回転半径(第2長さL2)よりも大きくなる。この場合、第1ロック部材51は、カバー3が当接部56に当接したときにカバー3から受ける力よりも大きな力で、連結部57を介して第2ロック部材52を移動させることができる。この場合、第2ロック部材52の被係合部59は、より大きな力で係合部53と係合することになるので、被係合部59は係合部53から外れ難くなる。第1ロック部材61及び第2ロック部材62についても同様である。従って、例えば印刷装置1の落下時の衝撃でロールMに大きな力が作用した場合でも、印刷装置1は、一対の支持部4の移動をロック部材5,6によって確実に規制できる。
【0060】
第1ロック部材51の揺動に応じて移動する第2ロック部材52の移動方向に沿った移動仮想線Vmと、第1仮想線V1と直交する仮想線であって連結部57を通る第2仮想線V2とは略直交する。この場合、当接部56に対するカバー3の当接に応じて第1ロック部材51が揺動した場合の連結部57の移動量は、第2ロック部材52の移動方向において最も大きくなる。このため、印刷装置1は、カバー3が閉塞することに応じた第1ロック部材51の揺動量が僅かである場合でも、第2ロック部材52を適切に移動させて被係合部59を係合部53に係合させることができる。第1ロック部材61及び第2ロック部材62についても同様である。
【0061】
第1ロック部材51の基部55は、支持部41の基部41Aと回転板43とによって、左右両側から挟まれ、螺子44によって揺動可能に支持される。この場合、支持部41に対して揺動可能な第1ロック部材51を、支持部41に容易に組み付けることができる。又、支持部41と回転板43との間の隙間に第1ロック部材51を配置させることができるので、ロールMを支持する為の機構(支持部41、第1ロック部材51)を省スペース化できる。第1ロック部材61、支持部46、及び、回転板48についても同様である。更に、一対の支持部4、ロック部材5、6、及び、回転板43、48からなる構成に要する部品点数を削減できる。
【0062】
ロック部材5の当接片56Aは、突出部563に対して上側から力が作用すると、延伸部561、562が弾性変形して、突出部563は下方に僅かに移動する。ロック部材6の当接片についても同様である。この場合、カバー3の組み付け誤差等によってカバー3が突出部563を押し下げる位置がばらつくことがあっても、当接片56Aが弾性変形することで吸収できる。又、閉塞状態のカバー3に衝撃が加わった場合でも、この衝撃が当接部56を介してロック部材5に伝わることを、当接片56Aが弾性変形することによって抑制できる。このため、ロック部材5の破損を防止できる。
【0063】
係合部53、54は、それぞれが前後方向に延びる複数の歯を有する。複数の歯のそれぞれの延びる方向は、ロールMからテープが繰り出される方向と一致する。このため、印刷装置1は、ロールMから繰り出されるテープが、係合部53、54の複数の歯に引っ掛かることを防止できる。従って、印刷装置1は、ロールMから繰り出されるテープの搬送が、係合部53、54によって妨げられることを抑制できる。
【0064】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る印刷装置1について説明する。第1実施形態と異なる主な点は、ロック部材5(第1ロック部材51及び第2ロック部材52)の代わりに第3ロック部材8が用いられる点である。以下、
図10、
図11を参照して説明する。
図10において、回転板43(
図11参照)の図示は省略する。
図11において、カバー3の図示は省略する。なお、ロック部材6に対応する非図示の第3ロック部材は、第3ロック部材8と左右対称であるので、説明を省略する。
【0065】
図10に示すように、第3ロック部材8は、支持部41の右側面に設けられる。第3ロック部材8は、屈曲した細長い板状である。第3ロック部材8と直交する方向は、左右方向を向く。第3ロック部材8は、延伸部81A、81B、及び、孔810を有する。孔810には、螺子44(
図11(A)参照)が挿通する。延伸部81Aは、孔810の近傍から前斜め上側に向けて延びる。延伸部81Aの先端に当接部82が設けられる。延伸部81Bは、孔810の近傍から前斜め下側に向けて延びる。延伸部81Bの先端に被係合部83が設けられる。なお、第2実施形態において、支持部41の延伸部41Bに孔411、412(
図5参照)は設けられない。
【0066】
支持部41、第3ロック部材8、及び、回転板43の組み付け方法について説明する。はじめに、支持部41の基部41Aの右側面に、第3ロック部材8が近接して配置される。基部41Aと第3ロック部材8との間に、付勢部材45(
図5参照)が挟まれる。次に、
図11に示すように、第3ロック部材8の右側面に、回転板43が近接して配置される。第3ロック部材8は、支持部41の基部41Aと回転板43とによって、左右両側から挟まれる。次に、回転板43の中心の孔に、螺子44が右側から挿通される。螺子44は、第3ロック部材8の孔810を通過し、支持部41の基部41Aに螺合される。第3ロック部材8及び回転板43は、螺子44の軸部の中心に対応する支軸44Cを中心として、支持部41の右側面に揺動又は回転可能に支持される。即ち、第3ロック部材8と回転板43は、夫々が独立して揺動又は回転可能に支持部41に支持される。付勢部材45(
図5参照)は、第3ロック部材8を時計回り方向に揺動する向きに付勢する。第3ロック部材8の揺動に応じて、当接部82及び被係合部83も揺動する。
【0067】
図11(A)は、カバー3が開放した状態の第3ロック部材8の状態を示す。この場合、第3ロック部材8の当接部82はカバー3に当接しない。このため、第3ロック部材8は、付勢部材45の付勢力によって時計回り方向に揺動する。被係合部83は、固定部10Bの係合部53に対して上側に離間し、係合部53の歯に係合しない。このため、支持部41の左右方向の移動は規制されず、左右方向に自由に移動可能な状態となる。つまり、カバー3が開放状態の場合における第3ロック部材8の回転位置は、「アンロック位置」に対応する。
【0068】
カバー3が開放状態から閉塞状態(
図11(B)参照)に変化する過程で、第3ロック部材8の当接部82にカバー3が当接する。第3ロック部材8は、付勢部材45の付勢力に抗して反時計回り方向に揺動する。
図11(B)は、カバー3が閉塞状態となった場合の第3ロック部材8の状態を示す。この場合、第3ロック部材8が反時計回り方向に揺動したことに応じ、被係合部83は後斜め下側に移動する。被係合部83は、固定部10Bの係合部53の歯に係合する。このため、支持部41の左右方向の移動は、第3ロック部材8によって規制される。つまり、カバー3が閉塞状態の場合における第3ロック部材8の回転位置は、「ロック位置」に対応する。第3ロック部材8は、カバー3が開放状態(
図11(A)参照)から閉塞状態(
図11(B)参照)に変化する過程で、アンロック位置(
図11(A)参照)からロック位置(
図11(B)参照)に切り替われる。なお、ロック部材6に対応する第3ロック部材についても同様である。
【0069】
<第2実施形態の主たる作用、効果>
第2実施形態において、印刷装置1は、カバー3が閉塞する過程で、第3ロック部材8の当接部82をカバー3に当接させることができる。又、印刷装置1は、当接部82にカバー3が当接したことに応じて、被係合部83を係合部53に係合させることができる。この場合、第1実施形態と比べて、カバー3の閉塞に応じてアンロック位置からロック位置に切り替えられる第3ロック部材8を更に容易に実現できる。
【0070】
第3ロック部材8は、支持部41の基部41Aと回転板43とによって、左右両側から挟まれ、螺子44によって揺動可能に支持される。この場合、支持部41に対して揺動可能な第3ロック部材8を、支持部41に容易に組み付けることができる。又、支持部41と回転板43との間の隙間に第3ロック部材8を配置させることができるので、ロールMを支持する為の機構(支持部41、第3ロック部材8)を省スペース化できる。
【0071】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。一対の支持部4は、何れか一方が左右方向に移動可能であってもよい。例えば、支持部41のみ左右方向に移動可能とし、支持部46は収容部24に固定されていてもよい。この場合、一対の支持部4のうち移動可能な支持部41にのみロック部材5が設けられ、支持部46にロック部材6は設けられていなくてもよい。係合部53、54は、本体部2の内壁に設けられていてもよい。
【0072】
第1ロック部材51は、付勢部材45によって付勢されなくてもよい。例えば第1ロック部材51は、カバー3が閉塞した状態から開放した状態に変化する過程で、自重によって、ロック位置からアンロック位置まで時計回り方向に揺動してもよい。この場合、付勢部材45は設けられなくてもよい。
【0073】
第1ロック部材51、61は、例えばリンク機構を介してカバー3に連結されていてもよい。リンク機構は、開放した状態から閉塞した状態までカバー3が移動することに応じ、第1ロック部材51、61を揺動させてもよい。この場合、第1ロック部材51、61に当接部56、66は設けられていなくてもよい。又、第3ロック部材8は、上下方向に移動可能に設けられていてもよい。第3ロック部材8は、リンク機構を介してカバー3に連結されていてもよい。第3ロック部材8は、開放状態と閉塞状態との間でカバー3が移動することに応じ、上下方向に移動してもよい。第3ロック部材8の被係合部83は、カバー3が開放することに応じて第3ロック部材8が上側に移動した場合、係合部53から上側に離間してもよい。一方、第3ロック部材8の被係合部83は、カバー3が閉塞することに応じて第3ロック部材8が下側に移動した場合、係合部53に近接して係合してもよい。この場合、第3ロック部材8に当接部82は設けられていなくてもよい。
【0074】
第1ロック部材51の当接部56と第1仮想線V1との最短距離である第1距離L1と、第1ロック部材51の連結部57と第1仮想線V1との最短距離である第2距離L2とは、略同一長さであってもよいし、第1距離L1の方が第2距離L2より短くてもよい。第1ロック部材51の揺動に応じて移動する第2ロック部材52の移動方向に沿った移動仮想線Vmと、第1仮想線V1と直交する仮想線であって連結部57を通る第2仮想線V2とは略直交していなくてもよい。第1ロック部材51及び第3ロック部材8は、支持部41の左側面に設けられていてもよい。この場合、第1ロック部材51及び第3ロック部材8は、支持部41と回転板43との間に挟まれていなくてもよい。当接部56の当接片56Aの形状は、上記実施形態に限定されない。当接片56Aは、弾性変形可能な材料(ゴム等)によって形成されていてもよい。
【0075】
<その他>
支持部41、46は、本発明の「移動支持部」の一例である。左右方向は、本発明の「第1方向」の一例である。上下方向は、本発明の「第2方向」の一例である。上側は、本発明の「第2方向の一方側」の一例である。