(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による燃料電池システムの一実施形態について説明する。燃料電池システム1は、
図1に示すように、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。
【0011】
発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、電力変換装置13、水タンク14、制御装置15を備えている。燃料電池モジュール11は、後述するように燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。
【0012】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する熱交換器である。熱交換器12は、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続(貫設)されている。熱交換器12は、水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。
【0013】
貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22上には、下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配置されている。
【0014】
熱交換器12において、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入され、貯湯水との間で熱交換が行われて冷却されるとともに、燃焼排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮される。冷却後の燃焼排ガスは排気管11dを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化し、改質水として貯留する。
【0015】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0016】
さらに、電力変換装置13は、燃料電池34から出力される直流電圧を入力し所定の交流電圧に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。
【0017】
また、電力変換装置13は、系統電源16aからの交流電圧を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電圧に変換して、後述する第一ポンプ42等の補機(各ポンプ42,51、ブロワ61など)や制御装置15に出力する。
【0018】
制御装置15は、少なくとも燃料電池34を制御するものである。制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システム1の運転を制御する。制御装置15は、燃料電池システム1の発電運転中において、燃料電池34の発電電力を外部電力負荷16cの消費電力となるように制御する(負荷追従運転)。
【0019】
燃料電池モジュール11(30)は、固体酸化物形の燃料電池モジュールである。燃料電池モジュール30は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
【0020】
蒸発部32は、改質水から水蒸気を生成し、水蒸気と改質用原料とを混合し、水蒸気および改質用原料を改質部33に供給するものである。蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、改質水を蒸発させて水蒸気(改質用水蒸気)を生成する。また、蒸発部32は、改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、凝縮水を蒸発させて生成された水蒸気(改質用水蒸気)と予熱された改質用原料を混合して改質部33へ導出する。
【0021】
改質用原料としては天然ガス(メタンガス)、都市ガス、LPG(液化石油ガス)などの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料がある。蒸発部32には、第一流通管40を介して改質用原料が供給される。
【0022】
第一流通管40は、第一端40aが供給源Gsに接続され、かつ、第二端40bが蒸発部32に接続されるとともに、供給源Gsから蒸発部32に改質用原料が流れる管である。供給源Gsは、例えば都市ガスの配管である。第一流通管40には、上流から順番に、遮断弁41および第一ポンプ42が配置されている。
【0023】
遮断弁41は、第一流通管40を開路または閉路にすることにより改質用原料を流通または遮断するものである。遮断弁41は、例えば二連弁である。
【0024】
第一ポンプ42は、第一流通管40に配置され、改質用原料を送出するものである。第一ポンプ42は、制御装置15からの制御指令にしたがって、改質用原料の流量(単位時間あたりの流量)を調整可能に設けられている。
【0025】
また、蒸発部32には、第二流通管50を介して改質水が供給される。
第二流通管50は、第一端50aが水タンク14に接続され、かつ、第二端50bが第一流通管40における第一ポンプ42と蒸発部32との間に接続されるとともに、水タンク14から蒸発部32に向けて改質水が流れるものである。
【0026】
第二流通管50には、第二ポンプ51が配置されている。第二ポンプ51は、第二流通管50に配置され、改質水を送出するものである。第二ポンプ51は、改質水の流量(単位時間あたりの流量)を調整可能に設けられている。第二ポンプ51は、制御装置15からの制御指令にしたがって、改質水の流量(単位時間あたりの流量)を調整可能に設けられている。
【0027】
第二流通管50の第二端50bは、
図2に示すように、第一流通管40の混合部40cに接続されている。混合部40cは、第二流通管50の第二端50bが接続され、第二流通管50の第二端50bから改質水が導入され、かつ、改質水と改質用原料とが混合される部位である。混合部40cによって混合された改質水および改質用原料は、第一流通管40を通って蒸発部32に供給される。
【0028】
混合部40cにおいては、第一流通管40の径方向中心部に向けて、第二流通管50の第二端50bが開口する。第二流通管50の第二端50bの開口部は、具体的には、第一流通管40の改質用原料が流れる方向に対して垂直方向に向けて開口する。
【0029】
混合部40cは、第二ポンプ51の駆動によって第二流通管50の第二端50bから改質水が導入される。また、混合部40cは、第一ポンプ42の駆動によって生じる改質用原料の流れにより生じる負圧(以下、負圧ともいう。)によって、第二流通管50の第二端50bから改質水が導入される。第一ポンプ42の駆動量が増加して、改質用原料の流速が増加するにしたがって、負圧の大きさが大きくなるため、第二流通管50の第二端50bから混合部40cに導入される改質水の流量が増加する。
【0030】
また、第一流通管40は、規制部40dをさらに備えている。
規制部40dは、混合部40cから第一ポンプ42への改質水の流れを規制するものである。規制部40dは、第一流通管40における第一ポンプ42と混合部40cとの間の部位に設けられている。規制部40dは、第一流通管40が傾斜するように設けられた部位である。規制部40dは、具体的には、第一流通管40が第一ポンプ42から混合部40cに向かうにしたがって、上方から下方に向けて傾斜している。これにより、改質水が混合部40cから第一ポンプ42へ流れることが規制される。
【0031】
図1に戻って説明を続ける。
改質部33は、水蒸気および改質用原料から燃料を生成し、燃料を燃料電池34に供給するものである。燃料は、改質用原料が改質された改質ガスである。改質部33は、具体的には、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出する。
【0032】
改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだ改質ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0033】
燃料電池34は、燃料(改質ガス)と酸化剤ガスにより発電するものである。燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池34は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。
【0034】
燃料電池34の燃料極には、燃料として改質ガス(水素、一酸化炭素、メタンガスなど)が供給される。セル34aの燃料極側には、燃料(改質ガス)が流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。燃料電池34は、比較的高温の動作温度(およそ700℃)にて発電が行われる。
【0035】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口(図示なし)に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0036】
筐体10a内の空気が、酸化剤ガス(カソードエア)として、カソードエア供給管60を介してカソードエアブロワ61によって送出されることにより、燃料電池モジュール30内に供給される。この酸化剤ガスが空気流路34cの下端から導入され上端から導出される。
【0037】
また、燃料電池34と蒸発部32および改質部33との間には、燃焼部36が設けられている。燃焼部36は、燃料電池34からのアノードオフガス(燃料オフガス)と燃料電池34からのカソードオフガス(酸化剤オフガス)とが燃焼されて燃焼ガス(火炎37)が発生している。その燃焼ガスが蒸発部32および改質部33を加熱する。
【0038】
燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて、比較的高温の燃焼排ガスが発生している。比較的高温の燃焼排ガスは、熱交換器12に導出される。また、燃焼部36は、燃料電池モジュール30内の温度を燃料電池34の動作温度にする。
【0039】
また、燃料電池システム1は、電流検出装置70、温度センサ80および計測装置90をさらに備えている。
【0040】
電流検出装置70は、燃料電池34から出力された電力の電流値を検出するものである。電流検出装置70は、電力変換装置13に配置されている。電流検出装置70によって検出された電流値である検出電流値は、制御装置15に出力される。
【0041】
温度センサ80は、第二ポンプ51の温度を検出するものである。温度センサ80は、第二ポンプ51の外郭の所定位置に配置されている。温度センサ80は、所定位置の温度を検出する。温度センサ80によって検出された温度である検出温度は、制御装置15に出力される。
【0042】
計測装置90は、第二ポンプ51の駆動時間を計測するものである。計測装置90は、電力変換装置13から第二ポンプ51を駆動する電力が第二ポンプ51に供給された時間を、第二ポンプ51の駆動時間として計測する。第二ポンプ51の駆動時間は、燃料電池システム1が設置された時点をゼロとして計測される。計測装置90は、電力変換装置13に配置されている。計測装置90によって計測された駆動時間である計測駆動時間は、制御装置15に出力される。
【0043】
また、制御装置15は、
図3に示すように、目標流量設定部15a、第一導出部15b、第二導出部15c、第一補正部15d、第二補正部15e、記憶部15fおよび出力部15gを備えている。
【0044】
目標流量設定部15aは、改質用原料の目標とする流量である第一目標流量、および、改質水の目標とする流量である第二目標流量を設定するものである。目標流量設定部15aは、燃料電池34が発電を行う燃料電池システム1の発電運転中において、燃料電池34の発電量に応じて第一目標流量を設定する。
【0045】
目標流量設定部15aは、具体的には、第一マップ(図示なし)を使用して、電流検出装置70によって検出された検出電流値に対応した第一目標流量を設定する。第一マップは、検出電流値が増加するにしたがって改質用原料の目標流量が増加する相関関係を示したものである。
【0046】
また、目標流量設定部15aは、燃料電池システム1の発電運転中において、燃料電池34の発電量に応じて第二目標流量を設定する。目標流量設定部15aは、具体的には、第二マップ(図示なし)を使用して、電流検出装置70によって検出された検出電流値に対応した第二目標流量を設定する。第二マップは、検出電流値が増加するにしたがって改質水の目標流量が増加する相関関係を示したものである。
【0047】
第一導出部15bは、燃料電池34の発電量に応じて第一ポンプ42の第一駆動量を導出するものである。第一導出部15bは、具体的には、第三マップ(図示なし)を使用して、目標流量設定部15aによって設定された第一目標流量に対応した第一駆動量を導出する。第三マップは、第一目標流量が増加するにしたがって第一駆動量が増加する相関関係を示したものである。
【0048】
第二導出部15cは、燃料電池34の発電量に応じて第二ポンプ51の第二駆動量を導出するものである。第二導出部15cは、具体的には、第四マップ(図示なし)を使用して、目標流量設定部15aによって設定された第二目標流量に対応した第二駆動量を導出する。第四マップは、第二目標流量が増加するにしたがって第二駆動量が増加する相関関係を示したものである。
【0049】
第一補正部15dは、第一導出部15bによって導出された第一駆動量が増加するにしたがって、第二導出部15cによって導出された第二駆動量を減少させるように補正するものである。第一補正部15dは、具体的には、第二導出部15cによって導出された第二駆動量に、第一補正係数C1を乗じることにより補正する。
【0050】
第一補正部15dは、第五マップM5(
図4参照)を使用して第一導出部15bによって導出された第一駆動量に対応する第一補正係数C1を導出する。第五マップM5は、第一駆動量が増加するにしたがって第一補正係数C1が減少する相関関係を示すものである。第一補正係数C1は、第一駆動量が基準駆動量D0(本実施形態においてはゼロ)である場合に「1」となるように設定されている。
【0051】
上述したように、第一駆動量ひいては改質用原料の流量が増加するにしたがって、改質用原料の流れによって生じる負圧が大きくなるため、混合部40cに導入される改質水の流量が増加する。これに対して、第二導出部15cによって導出された第二駆動量を、負圧によって混合部40cに導入される改質水の流量に相当する分だけ減少させるように、第一補正係数C1が設定されている。
【0052】
第二補正部15eは、温度センサ80によって検出された温度(検出温度)および計測装置90によって計測された駆動時間(計測駆動時間)を使用して、第一補正部15dによって補正された第二駆動量を補正するものである。第二補正部15eは、具体的には、第一補正部15dによって補正された第二駆動量に、第二補正係数C2および第三補正係数C3を乗じることにより補正する。
【0053】
第二補正部15eは、第六マップM6(
図5参照)を使用して検出温度に対応する第二補正係数C2を導出する。第六マップM6は、検出温度が高くなるにしたがって第二補正係数C2が小さくなる相関関係を示すものである。第二補正係数C2は、検出温度が基準温度Th0である場合に「1」となるように設定されている。
【0054】
第二ポンプ51の温度が高くなるにしたがって、第二ポンプ51の潤滑剤(例えばグリス)によって生じる第二ポンプ51の駆動に対する抵抗が低下するため、第一補正部15dによって補正された第二駆動量に相当する第二ポンプ51の実際の駆動量が増加する。
【0055】
これに対して、第一補正部15dによって補正された第二駆動量を、基準温度Th0からの温度変化による第二ポンプ51の実際の駆動量の変動に相当する分だけ増加または減少させるように、第二補正係数C2が設定されている。換言すれば、第二ポンプ51の実際の駆動量が、検出温度が基準温度Th0である場合に相当する駆動量となるように、第二駆動量が第二補正係数C2によって補正される。
【0056】
第二補正部15eは、第七マップM7(
図6参照)を使用して計測駆動時間に対応する第三補正係数C3を導出する。第七マップM7は、計測駆動時間が長くなるにしたがって第三補正係数C3が大きくなる相関関係を示すものである。第三補正係数C3は、計測駆動時間が基準計測駆動時間Tm0(本実施形態においてはゼロ時間)である場合に「1」となるように設定されている。
【0057】
第二ポンプ51の駆動時間が長くなるにしたがって、第二ポンプ51の経年変化が進行するため、第一補正部15dによって補正された第二駆動量に相当する第二ポンプ51の実際の駆動量が減少する。これに対して、第一補正部15dによって補正された第二駆動量を、第二ポンプ51の経年変化による第二ポンプ51の実際の駆動量の減少に相当する分だけ増加させるように、第三補正係数C3が設定されている。換言すれば、第二ポンプ51の実際の駆動量が、第二ポンプ51の駆動時間がゼロ時間である場合に相当する駆動量となるように、第二駆動量が第三補正係数C3によって補正される。
【0058】
記憶部15fは、プログラムを実行する際に用いられるデータ等を記憶するものである。記憶部15fは、第一マップ〜第七マップM7を記憶する。第一マップ〜第七マップM7は、予め実験によって実測されて導出されている。なお、この実験が行われる場合の環境温度は、基準温度Th0である。
【0059】
出力部15gは、第一導出部15bによって導出された第一駆動量を制御指令値として第一ポンプ42に出力するものである。また、出力部15gは、第二補正部15eによって補正された第二駆動量を制御指令値として第二ポンプ51に出力するものである。
【0060】
次に、上述した燃料電池システム1において、制御装置15が燃料電池システム1の発電中における第一ポンプ42および第二ポンプ51の制御について説明する。
【0061】
制御装置15は、ステップS102にて、燃料電池34の発電量に応じて第一目標流量および第二目標流量を設定する(目標流量設定部15a)。続けて、制御装置15は、ステップS104にて第一目標流量に相当する第一駆動量を導出する(第一導出部15b)。さらに、制御装置15は、ステップS106にて第二目標流量に相当する第二駆動量を導出する(第二導出部15c)。
【0062】
そして、制御装置15は、ステップS108にて、第一駆動量を使用して第二駆動量を補正する(第一補正部15d)。これにより、第二駆動量は、改質用原料の流れによって生じる負圧によって混合部40cに導入される改質水の流量に相当する分だけ減少するように補正される。
【0063】
さらに、制御装置15は、ステップS110にて検出温度を使用して第二駆動量を補正する(第二補正部15e)。これにより、第二駆動量は、基準温度Th0からの温度変化による第二ポンプ51の実際の駆動量の変動に相当する分だけ増加または減少するように補正される。
【0064】
また、制御装置15は、ステップS112にて計測駆動時間を使用して第二駆動量を補正する(第二補正部15e)。これにより、第二駆動量は、第二ポンプ51の経年変化による第二ポンプ51の実際の駆動量の減少に相当する分だけ増加するように補正される。
【0065】
そして、制御装置15は、ステップS114にて、第一駆動量を第一ポンプ42に出力する(出力部15g)。これにより、第一ポンプ42が第一駆動量にて駆動され、改質用原料が、供給源Gsから第一流通管40を介して、第一目標流量にて蒸発部32に供給される。
【0066】
また、制御装置15は、ステップS114にて、第二駆動量を第二ポンプ51に出力する(出力部15g)。これにより、第二ポンプ51が補正された第二駆動量にて駆動され、改質水が、第二ポンプ51の駆動によって、水タンク14から第二流通管50を通って混合部40cから第一流通管40ひいては蒸発部32に供給される。また、このとき、改質水が、改質用原料の流れによって生じる負圧によって、水タンク14から第二流通管50を通って混合部40cに導入されて第一流通管40を通って蒸発部32に供給される。
【0067】
さらに、このとき、規制部40dが、改質水を混合部40cから第一ポンプ42に向けて流れることを規制する。よって、混合部40cに導入された改質水の全部は、蒸発部32に供給される。
【0068】
また、このとき、蒸発部32に供給される改質水の第一流量Q1は、補正された第二駆動量に相当する改質水の第二流量Q2と、負圧によって混合部40cに導入される改質水の第三流量Q3とを合わせた流量である(Q1=Q2+Q3)。
【0069】
ここで、補正された第二駆動量に相当する改質水の第二流量Q2は、補正される前の第二駆動量に相当する改質水の第二目標流量から、負圧によって混合部40cに導入される改質水の第三流量Q3だけ減少した流量である(Q2=第二目標流量−Q3)。よって、蒸発部32に供給される改質水の第一流量Q1は、第二目標流量に相当する(Q1=Q2+Q3=(第二目標流量−Q3)+Q3=第二目標流量)。
【0070】
本実施形態によれば、燃料電池システム1は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、水蒸気および改質用原料から燃料を生成し、燃料を燃料電池34に供給する改質部33と、改質水から水蒸気を生成し、水蒸気と改質用原料とを混合し、水蒸気および改質用原料を改質部33に供給する蒸発部32と、第一端40aが供給源Gsに接続され、かつ、第二端40bが蒸発部32に接続されるとともに、供給源Gsから蒸発部32に改質用原料が流れる第一流通管40と、第一流通管40に配置され、改質用原料を送出する第一ポンプ42と、改質水が貯留された水タンク14と、第一端50aが水タンク14に接続され、かつ、第二端50bが第一流通管40における第一ポンプ42と蒸発部32との間に接続されるとともに、水タンク14から蒸発部32に向けて改質水が流れる第二流通管50と、第二流通管50に配置され、改質水を送出する第二ポンプ51と、燃料電池34を少なくとも制御する制御装置15と、を備えている。第一流通管40は、第二流通管50の第二端50bが接続され、第一ポンプ42の駆動によって生じる改質用原料の流れにより生じる負圧、および第二ポンプ51の駆動によって改質水が導入され、かつ、改質水と改質用原料とが混合される混合部40cを備えている。制御装置15は、燃料電池34の発電量に応じて第一ポンプ42の第一駆動量を導出する第一導出部15bと、燃料電池34の発電量に応じて第二ポンプ51の第二駆動量を導出する第二導出部15cと、第一導出部15bによって導出された第一駆動量が増加するにしたがって、第二導出部15cによって導出された第二駆動量を減少させるように補正する第一補正部15dと、を備えている。
【0071】
これによれば、第一流通管40の混合部40cにおいては、第一ポンプ42の駆動によって生じる改質用原料の流れにより生じる負圧、および第二ポンプ51の駆動によって改質水が第二流通管50から導入される。この場合、第二ポンプ51の駆動のみによって改質水を蒸発部32に供給する場合に比べて、第二ポンプ51の駆動によって供給する改質水の流量を抑制することができるため、第二ポンプ51の駆動量を抑制することができる。
【0072】
また、第一ポンプ42の第一駆動量が増加して改質用原料の流量が増加するにしたがって、混合部40cにて生じる負圧の大きさが大きくなるため、この負圧によって第一流通管40に導入される改質水の流量が増加する。これに対して、第一補正部15dは、第一駆動量が増加するにしたがって第二駆動量を減少させるように補正するため、第二ポンプ51の駆動量を適切に抑制することができる。したがって、燃料電池システム1は、第二ポンプ51の寿命を適切に延長させることができる。
【0073】
また、燃料電池システム1は、第二ポンプ51の温度を検出する温度センサ80、および、前記第二ポンプ51の駆動時間を計測する計測装置90をさらに備えている。制御装置15は、温度センサ80によって検出された温度および計測装置90によって計測された駆動時間を使用して、第一補正部15dによって補正された第二駆動量を補正する第二補正部15eをさらに備えている。
【0074】
これによれば、第二駆動量が、上述したように第二ポンプ51の温度および第二ポンプ51の経年変化に応じて補正されているため、第二ポンプ51の駆動によって蒸発部32に供給される改質水の流量が精度よく補正される。よって、蒸発部32に供給される改質水の流量が、第二目標流量に精度よく補正される。したがって、燃料電池システム1は、第二ポンプ51の駆動量をより適切に抑制することができる。
【0075】
また、第一流通管40は、混合部40cから第一ポンプ42への改質水の流れを規制する規制部40dをさらに備えている。
これによれば、規制部40dによって混合部40cから第一ポンプ42への改質水の流れが規制されるため、改質水を蒸発部32に確実に供給することができる。よって、燃料電池システム1は、第二ポンプ51の駆動量をさらに適切に抑制することができる。
【0076】
なお、上述した実施形態において、燃料電池システムの一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、規制部40dは、第一流通管40を傾斜させて設けられているが、
図8に示す規制部140dように、第一流通管40をU字状に形成することにより設けるようにしても良い。さらにこの場合、規制部を、第一ポンプ42から混合部40cへの改質用原料の流れを許容し、逆方向の流れを規制する逆止弁にて設けるようにしても良い。
【0077】
また、上述した実施形態において、混合部40cは、第一流通管40の内径が一定となるように設けられているが、これに代えて、
図9に示す混合部240cように、第一流通管40の内径を小さくして流路断面積を絞る絞り部240c1を設けるようにしても良い。これにより、上述した実施形態と比べて、改質用原料の流速ひいては負圧の大きさを増加させることができるため、混合部240cに導入される改質水の流量を増加させることができる。よって、第二ポンプ51の駆動量をさらに抑制することができる。
【0078】
また、上述した実施形態において、第一補正部15dは、第一導出部15bによって導出された第一駆動量を使用して第二駆動量を補正しているが、これに代えて、改質用原料の実際の流量を使用して第二駆動量を補正するようにしても良い。この場合、改質用原料の流量を検出する流量センサ(図示なし)を第一流通管40に配置して、流量センサによって検出された流量を、第一補正部15dが取得するようにしても良い。
【0079】
さらにこの場合、第一ポンプ42の実際の駆動量を使用して第二駆動量を補正するようにしても良い。この場合、第一ポンプ42の回転数を検出する回転数センサ(図示なし)を第一ポンプ42に配置して、回転数センサによって検出された回転数を、第一補正部15dが取得するようにしても良い。
【0080】
また、上述した実施形態において、燃料電池システム1は、温度センサ80および計測装置90の両方を備えているが、これに代えて、温度センサ80および計測装置90の両方を備えないようにしても良い。この場合、制御装置15が第二補正部15eを備えず、第一補正部15dによって補正された第二駆動量が出力部15gによって第二ポンプ51に出力される。
【0081】
また、上述した実施形態において、燃料電池システム1は、温度センサ80および計測装置90の両方を備えているが、これに代えて、温度センサ80および計測装置90の一方を備えるようにしても良い。この場合、第二補正部15eは、検出温度および計測駆動時間の一方を使用して第二駆動量を補正する。
【0082】
また、上述した実施形態において、燃料電池34は、固体酸化物形燃料電池であるが、これに代えて、固体高分子形燃料電池とするようにしても良い。
【0083】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、第一流通管40、第二流通管50、規制部40dの形状や配置位置を変更しても良い。