(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トレッドパターンは、前記周方向主溝のうち第1周方向主溝と前記周方向浅溝とを連通するようにタイヤ幅方向に延びる、タイヤ周方向に間隔をあけて設けられた複数のラグ溝、を備える、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
前記溝底サイプの位置は、前記周方向主溝のうち前記第1周方向主溝と異なる第2周方向主溝の側の前記屈曲溝部の溝壁面の側にオフセットしている、請求項3に記載の空気入りタイヤ。
前記傾斜溝部の一方の端と前記屈曲溝部の一方の端の接続は、前記ラグ溝と前記周方向浅溝のタイヤ周方向の接続位置で行われる、請求項3または4に記載の空気入りタイヤ。
前記溝底サイプは、前記溝底サイプの側壁面が前記屈曲溝部の溝壁面から溝深さ方向に沿って延長するように設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記溝底サイプの一部は、前記傾斜溝部と前記屈曲溝部の接続部において、前記傾斜溝部の溝を横切るように、前記傾斜溝部の溝幅方向に延びている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記両側周方向主溝それぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の領域に、タイヤ幅方向に延びる複数本のショルダーラグ溝がタイヤ周方向に間隔をあけて設けられ、
前記ショルダーラグ溝は、タイヤ接地端よりもタイヤ幅方向内側であって前記両側周方向主溝それぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で前記両側周方向主溝に対して連通せずに終端する、請求項11に記載の空気入りタイヤ。
前記両側周方向主溝それぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の領域に、タイヤ幅方向に延びる第2ショルダーサイプが、前記ショルダーラグ溝のうちタイヤ周方向に互いに隣り合うショルダーラグ溝の間の領域それぞれに設けられ、
前記第2ショルダーサイプは、前記タイヤ接地端よりもタイヤ幅方向内側であって前記両側周方向主溝それぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で前記両側周方向主溝に対して連通せずに終端する、請求項12または13に記載の空気入りタイヤ。
タイヤ径方向に沿ったタイヤプロファイル断面において、前記センター陸部の踏面と前記両側周方向主溝の溝壁面により形成される2つのエッジ点を通り、中心がタイヤ幅方向においてタイヤ赤道線上にあるセンター基準円弧からなるセンタープロファイルラインに対して前記センター陸部は膨出し、
前記両側周方向主溝それぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の踏面と前記両側周方向主溝の溝壁面により形成される2つのエッジ点を通り、前記センター基準円弧と接するショルダー基準円弧からなるショルダープロファイルラインに対して前記ショルダー陸部は膨出し、
前記屈曲溝部は、前記センタープロファイルラインに対する前記センター陸部の最大膨出高さの60%以上の膨出高さの領域に設けられている、請求項11〜14のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
前記傾斜溝部の溝底には、前記屈曲溝部の溝底に設けられた前記溝底サイプと離間するように、前記傾斜溝部の延在方向に沿って延びる別の溝底サイプ群が設けられている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、耐偏摩耗性能と制駆動性能を含むウェット性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の一態様は、トレッド部にトレッドパターンが設けられた空気入りタイヤである。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に延びる少なくとも2つの周方向主溝と、
前記周方向主溝に挟まれた陸部の領域にジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に延びるように設けられ、前記周方向主溝の溝深さに比べて溝深さの浅い周方向浅溝と、を備え、
前記周方向浅溝は、タイヤ周方向の
第1の側から該第1の側の反対の第2の側に進むに従ってタイヤ幅方向の
第1の側から該第1の側の反対の第2の側に進むように傾斜して延びる、タイヤ周方向に間隔をあけて設けられた複数の傾斜溝部と、前記
複数の傾斜溝部のうちタイヤ周方向に隣り合う傾斜溝部の
タイヤ幅方向において相互に反対側にある端同士を接続
し、且つ、タイヤ周方向の
前記第2の側から前記第1の側に進むに従ってタイヤ幅方向の
前記第2の側から第1の側に進むように傾斜して前記傾斜溝部に対して屈曲して延びる複数の屈曲溝部と、を備え、
前記屈曲溝部の延在長さは、前記傾斜溝部の延在長さに比べて短く、
前記傾斜溝部と前記屈曲溝部との間の成す角は鋭角であり、
前記屈曲溝部の溝底には、前記屈曲溝部の延在方向に沿って延びる溝底サイプが設けられている。
【0008】
前記溝底サイプの位置は、前記屈曲溝部の溝幅方向において、前記屈曲溝部の溝底の溝幅方向中心に対してオフセットしている、ことが好ましい。
【0009】
前記トレッドパターンは、前記周方向主溝のうち第1周方向主溝と前記周方向浅溝とを連通するようにタイヤ幅方向に延びる、タイヤ周方向に間隔をあけて設けられた複数のラグ溝、を備える、ことが好ましい。
【0010】
前記溝底サイプの位置は、前記周方向主溝のうち前記第1周方向主溝と異なる第2周方向主溝の側の前記屈曲溝部の溝壁面の側にオフセットしている、ことが好ましい。
【0011】
前記傾斜溝部の一方の端と前記屈曲溝部の一方の端の接続は、前記ラグ溝と前記周方向浅溝のタイヤ周方向の接続位置で行われる、ことが好ましい。
【0012】
前記屈曲溝部の延在方向は、前記ラグ溝の延在方向に一致する、ことが好ましい。
【0013】
前記ラグ溝は、前記
第1周方向主溝から前記周方向浅溝に進むに連れて溝深さが徐々に浅くなる、ことが好ましい。
【0014】
前記溝底サイプは、前記溝底サイプの側壁面が前記屈曲溝部の溝壁面から溝深さ方向に沿って延長するように設けられている、ことが好ましい。
【0015】
前記溝底サイプの一部は、前記傾斜溝部と前記屈曲溝部の接続部において、前記傾斜溝部の溝を横切るように、前記傾斜溝部の溝幅方向に延びている、ことが好ましい。
【0016】
前記傾斜溝部と前記屈曲溝部との間の前記鋭角を成す前記陸部の角には、面取りが設けられている、ことが好ましい。
【0017】
本発明の他の一態様も、トレッド部にトレッドパターンが設けられた空気入りタイヤである。
前記トレッドパターンは、
タイヤ周方向に延びる溝であって、タイヤ赤道線を境にしたタイヤ幅方向の両側の半トレッド部のそれぞれに設けられた両側周方向主溝と前記両側周方向主溝に挟まれたタイヤ幅方向の位置に設けられたセンター周方向主溝とを含む周方向主溝と、
前記両側周方向主溝と前記センター周方向主溝に挟まれた2つのセンター陸部の領域のそれぞれにジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向に延びるように設けられ、前記周方向主溝の溝深さに比べて溝深さの浅い周方向浅溝と、を備える。
前記周方向浅溝は、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向の一方の側に傾斜して延びる、タイヤ周方向に間隔をあけて設けられた複数の傾斜溝部と、前記傾斜溝部のうちタイヤ周方向に隣り合う傾斜溝部の端同士を接続するように、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向の他方の側に傾斜して前記傾斜溝部に対して屈曲して延びる複数の屈曲溝部と、を備える。
前記屈曲溝部の延在長さは、前記傾斜溝部の延在長さに比べて短く、
前記傾斜溝部と前記屈曲溝部との間の成す角は鋭角であり、
前記屈曲溝部の溝底には、前記屈曲溝部の延在方向に沿って延びる溝底サイプが設けられている。
【0018】
前記両側周方向主溝それぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の領域に、タイヤ幅方向に延びる複数本のショルダーラグ溝がタイヤ周方向に間隔をあけて設けられ、
前記ショルダーラグ溝は、タイヤ接地端よりもタイヤ幅方向内側であって前記両側周方向主溝それぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で前記両側周方向主溝に対して連通せずに終端する、ことが好ましい。
【0019】
前記ショルダー陸部の領域に、前記ショルダーラグ溝それぞれのタイヤ幅方向内側の端から、タイヤ幅方向内側に向かって延びる第1ショルダーサイプが設けられ、
前記第1ショルダーサイプは、前記タイヤ接地端よりもタイヤ幅方向内側であって前記両側周方向主溝それぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で前記両側周方向主溝に対して連通せずに終端する、ことが好ましい。
【0020】
前記両側周方向主溝それぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の領域に、タイヤ幅方向に延びる第2ショルダーサイプが、前記ショルダーラグ溝のうちタイヤ周方向に互いに隣り合うショルダーラグ溝の間の領域それぞれに設けられ、
前記第2ショルダーサイプは、前記タイヤ接地端よりもタイヤ幅方向内側であって前記両側周方向主溝それぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で前記両側周方向主溝に対して連通せずに終端する、ことが好ましい。
【0021】
タイヤ径方向に沿ったタイヤプロファイル断面において、前記センター陸部の踏面と前記両側周方向主溝の溝壁面により形成される2つのエッジ点を通り、中心がタイヤ幅方向においてタイヤ赤道線上にあるセンター基準円弧からなるセンタープロファイルラインに対して前記センター陸部は膨出し、
前記両側周方向主溝それぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の踏面と前記両側周方向主溝の溝壁面により形成される2つのエッジ点を通り、前記センター基準円弧と接するショルダー基準円弧からなるショルダープロファイルラインに対して前記ショルダー陸部は膨出し、
前記屈曲溝部は、前記センタープロファイルラインに対する前記センター陸部の最大膨出高さの60%以上の膨出高さの領域に設けられている、ことが好ましい。
【0022】
前記傾斜溝部の溝底には、前記屈曲溝部の溝底に設けられた前記溝底サイプと離間するように、前記傾斜溝部の延在方向に沿って延びる別の溝底サイプ群が設けられている、ことが好ましい。
【0023】
前記傾斜溝部のそれぞれの溝底に、前記溝底サイプ群として、2つの溝底サイプがタイヤ周方向に離間するように設けられている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
上述の空気入りタイヤによれば、溝底サイプを用いることにより、耐偏摩耗性能と制駆動性能を含むウェット性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の空気入りタイヤについて図面を参照しながら詳細に説明する。以降で説明するタイヤ周方向Cとは、タイヤ回転軸Axis(
図2参照)を中心にタイヤ1を回転させたとき、トレッド面の回転する方向(両回転方向)をいい、タイヤ径方向Rとは、タイヤ回転軸Axisに対して直交して延びる放射方向をいう。タイヤ幅方向Wとは、タイヤ回転軸Axisに平行な方向をいう。タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸Axisから離れる側をいう。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ1のタイヤ赤道線CL(
図2参照)から離れる両側をいい、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ1のタイヤ赤道線CLに近づく側をいう。
【0027】
(トレッドパターンの要部)
図1(a),(b)は、本実施形態の空気入りタイヤのトレッドパターンの要部の一例を説明する図である。
図1(a)は、トレッドパターンの要部を、踏面から見た図であり、
図1(b)は、
図1(a)中のX−X’線に沿った断面図である。
トレッドパターン10は、2つの周方向主溝12と、周方向浅溝14と、を含む。
2つの周方向主溝12は、タイヤ周方向Cに延びている。
周方向浅溝14は、2つの周方向主溝12に挟まれた陸部30の領域にジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向Cに延びるように設けられている。周方向浅溝14の溝深さは、周方向主溝12の溝深さに比べて浅い。
【0028】
より具体的には、周方向浅溝14は、複数の傾斜溝部15aと複数の屈曲溝部15bを備える。傾斜溝部15aは、タイヤ周方向に対してタイヤ幅方向Wの一方の側(
図1(a)に示す例では図中上側に進むとき右側)に傾斜して延び、タイヤ周方向Cに間隔をあけて設けられている。屈曲溝部15bは、傾斜溝部15aのうちタイヤ周方向Cに隣り合う傾斜溝部15aの端同士を接続するように、タイヤ周方向Cに対してタイヤ幅方向Wの他方の側(
図1(a)に示す例では左側)に傾斜して傾斜溝部15aに対して屈曲して延びる。
屈曲溝部15bの延在長さは、傾斜溝部15aの延在長さに比べて短く、傾斜溝部15aと屈曲溝部15bとの間の成す角は鋭角である。このようなトレッドパターンの形態において、屈曲溝部15bの溝底には、屈曲溝部15bの延在方向に沿って延びる溝底サイプ15eが設けられている。
【0029】
本実施形態では、屈曲溝部15bの溝底に溝底サイプ15eが設けられているので、屈曲溝部15bと傾斜溝部15aとで挟まれた鋭角的な陸部の領域は、空気入りタイヤが制駆動の状態にあるとき、路面からの力に追従して変形し易くなり路面に対して滑りにくくなる。その結果、屈曲溝部15bと陸部とによって形成されるエッジの水掃き性能及び耐偏摩耗性能は向上する。このため、制駆動性能を含むウェット性能は向上する。
【0030】
(空気入りタイヤの構成)
図2は、本実施形態の空気入りタイヤ(以降、単にタイヤという)1の断面の一例を示す図である。タイヤ1は、骨格材として、カーカスプライ層2と、ベルト層3と、ビードコア4とを有する。タイヤ1は、これらの骨格材の周りに、トレッドゴム5と、サイドゴム6、ビードフィラーゴム7と、リムクッションゴム8と、インナーライナゴム9と、を主に有する。
【0031】
カーカスプライ層2は、一対の円環状のビードコア4の間を巻きまわしてトロイダル形状を成した、有機繊維をゴムで被覆したカーカスプライ材を含む。
図2に示すタイヤ1では、カーカスプライ層2は、1つのカーカスプライ材で構成されているが、2つ以上のカーカスプライ材で構成されてもよい。カーカスプライ層2のタイヤ径方向外側に2枚のベルト材で構成されるベルト層3が設けられている。ベルト層3は、タイヤ周方向に対して、所定の角度、例えば20〜30度傾斜して配されたスチールコードにゴムを被覆した部材であり、下層のベルト材のタイヤ幅方向の幅が上層のベルト材のタイヤ幅方向の幅に比べて広い。2層のベルト材のスチールコードの傾斜方向はタイヤ周方向Cからタイヤ幅方向Wに向かって互いに異なる方向に傾いている。このため、2つのベルト材は、交錯層となっており、充填された空気圧によるカーカスプライ層2の膨張を抑制する。
【0032】
ベルト層3のタイヤ径方向外側には、トレッドゴム5が設けられ、トレッドゴム5の両端部には、サイドゴム6が接続されてサイドウォール部を形成している。トレッドゴム5は2層のゴムで構成されてもよく、タイヤ径方向外側に設けられる上層トレッドゴムとタイヤ径方向内側に設けられる下層トレッドゴムとを有してもよい。サイドゴム6のタイヤ径方向内側の端には、リムクッションゴム8が設けられ、タイヤ1を装着するリムと接触する。ビードコア4のタイヤ径方向外側には、ビードコア4の周りに巻きまわす前のカーカスプライ層2の部分と、ビードコア4の周りに巻きまわした後のカーカスプライ層2の部分との間に挟まれるようにビードフィラーゴム7が設けられている。タイヤ1とリムとで囲まれる空気を充填するタイヤ空洞領域に面するタイヤ1の内表面には、インナーライナゴム9が設けられている。
この他に、タイヤ1は、ベルト層3のタイヤ径方向外側からベルト層3を覆う、有機繊維をゴムで被覆したベルトカバー層3aを備える。
【0033】
タイヤ1は、このようなタイヤ構造を有するが、本実施形態のタイヤ構造は、
図1に示すタイヤ構造に限定されない。
【0034】
(トレッドパターン)
図3は、タイヤ1に設けられる本実施形態のトレッドパターン10の展開図である。トレッドパターン10は、周方向主溝12a,12b,12cと、周方向浅溝14a,14bと、ラグ溝16a,16bと、ショルダーラグ溝18a,18bと、ショルダーサイプ20a,20b,22a,22bと、を主に備える。
【0035】
周方向主溝12a,12bは、タイヤ周方向Cに延びる溝であって、タイヤ赤道線CLを境にしたタイヤ幅方向Wの両側の半トレッド部のそれぞれに設けられている両側周方向主溝である。周方向主溝12a,12bは、タイヤ周方向Cに沿って直線状に延びてタイヤを一周する。周方向主溝12a,12bのタイヤ幅方向外側のショルダー陸部24a,24bが周方向主溝12a,12bと接する側面には、複数の窪み部26a,26bがタイヤ周方向Cに間隔をおいて設けられている。さらに、ショルダー陸部24a,24bが周方向主溝12a,12bと接する側面には、複数のサイプが設けられ、これらのサイプはショルダー陸部24a,24bの領域で閉塞している。このサイプ及び窪み部26a,26bは、必要に応じて設けられればよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0036】
周方向主溝12cは、周方向主溝(両側周方向主溝)12a,12bに挟まれたタイヤ幅方向の位置に設けられたセンター周方向主溝である。タイヤ赤道線CLは、周方向主溝12cを通る。周方向主溝12cには、タイヤ幅方向Wの両側に延びて陸部の領域内で閉塞する幅方向溝28a,28bが設けられている。周方向主溝12cは、タイヤ幅方向Wに波形状に蛇行する形状であるが、この蛇行の程度は、タイヤ赤道線CLが周方向主溝12c内に常に位置する程度であることが好ましい。また、周方向主溝12cは、タイヤ幅方向Wに蛇行せずタイヤ周方向Cに直線状に延びてもよい。幅方向溝28a,28bは、必要に応じて設けられればよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0037】
周方向浅溝14a,14bは、周方向主溝12a,12bと周方向主溝12cに挟まれた2つのセンター陸部の領域のそれぞれにジグザグ状に屈曲しながらタイヤ周方向Cに延びるように設けられている。周方向浅溝14a,14bの溝深さは、周方向主溝12a,12b,12cの溝深さに比べて浅い。
周方向主溝12a,12b,12cの溝幅は例えば2〜12mmであり、溝深さは例えば5〜12mmである。周方向浅溝14a,14bの溝幅は例えば2〜12mmであり、溝深さは周方向主溝12a,12b,12cの溝深さに比べて浅く、例えば1〜6mmである。
周方向主溝12a,12bと周方向主溝12cに挟まれた2つのセンター陸部の領域のそれぞれには、周方向主溝12a,12bからタイヤ幅方向内側に向かって延びてセンター陸部の領域で閉塞するサイプが設けられている。このサイプは、必要に応じて設けられればよく、場合によっては設けられなくてもよい。
【0038】
周方向浅溝14a,14bは、複数の傾斜溝部15a,15cと、複数の屈曲溝部15b,15dと、を含む。複数の傾斜溝部15a,15cは、タイヤ周方向Cに対してタイヤ幅方向Wの一方の側(
図3中上側に進むとき右側)に傾斜して延び、タイヤ周方向Cに間隔をあけて設けられている。複数の屈曲溝部15b,15dは、傾斜溝部15a,15cのうちタイヤ周方向Cに隣り合う傾斜溝部の端同士を接続するように、タイヤ周方向Cに対してタイヤ幅方向Wの他方の側(
図3中左側)に傾斜して傾斜溝部15a,15cに対して屈曲して延びている。周方向浅溝14a,14bを
図3中下側から上側に向かって進む方向に見たとき、傾斜溝部15a,15cが
図3中下側から上側に進む方向に対して、屈曲溝部15b,15dは上側から下側に向かって後戻りするように、鋭角的に屈曲するが、屈曲溝部15b,15dは、傾斜溝部15a,15cが
図3中下側から上側に進む方向と同様に下側から上側に向かって鋭角的に屈曲してもよい。
屈曲溝部15b,15dの延在長さは、傾斜溝部15a,15cの延在長さに比べて短く、傾斜溝部15a,15cと屈曲溝部15b,15dとの間の成す角(傾斜角度θ)は鋭角である。すなわち、傾斜角度θは0度超90度未満である。
屈曲溝部15b,15dの溝底には、屈曲溝部15b,15dの延在方向に沿って延びる溝底サイプ15e(
図1,
図4(a)参照)が設けられている。溝底サイプ15eの深さは例えば2〜10mmであり、溝底サイプ15eの幅は、例えば0.5〜2mmである。
【0039】
本実施形態では、周方向浅溝14aと周方向浅溝14bのタイヤ周方向Cの同じ位置に設けられる傾斜溝部15a,15cは、タイヤ周方向Cに対してタイヤ幅方向Wの同じ側に傾斜しているが、互いに異なる側に傾斜してもよい。
ラグ溝16a,16bは、周方向浅溝14a,14bと周方向主溝12a,12bとを連通するようにタイヤ幅方向に延びている。ラグ溝16a,16bはタイヤ周方向に間隔をあけて設けられている。
【0040】
周方向主溝12a〜12cのうち、周方向主溝12aと周方向主溝12cに挟まれた陸部の領域及び周方向主溝12bと周方向主溝12cに挟まれた陸部の領域のそれぞれには、周方向浅溝14a,14bと周方向主溝12a,12bとを連通するようにタイヤ幅方向Wに延びるラグ溝16a,16bがタイヤ周方向Cに間隔をあけて設けられている。ラグ溝16a,16bの溝深さは、周方向浅溝14a,14bに比べて深く、例えば2〜10mmであり、溝幅は、例えば1〜6mmである。
【0041】
ショルダーラグ溝18a,18bは、周方向主溝12a,12bそれぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部24a,24bの領域に、タイヤ周方向Cに間隔をおいて設けられ、タイヤ幅方向Wに延びている。ショルダーラグ溝18a,18bは、タイヤ接地端E(
図2参照)よりもタイヤ幅方向内側であって周方向主溝12a,12bそれぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で周方向主溝12a,12bに対して連通せずに終端している。タイヤ接地端Eは、下記方法で定めることができる。
すなわち、タイヤ接地端Eは、タイヤ1を規定リムに装着して、規定内圧、例えば200kPaの内圧条件および規定荷重の88%の条件で平板上に垂直方向に負荷させたときの平板上に形成される接地面におけるタイヤ幅方向Wの接地端間の最長直線距離をいう。ここで、規定リムとは、ETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。あるいは、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、をいうこともできる。また、規定内圧とは、ETRTOで規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。規定内圧とは、あるいは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値をいうこともできる。また、規定荷重とは、ETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。あるいは、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値をいうこともできる。
【0042】
また、ショルダー陸部24a,24bの領域に、ショルダーラグ溝18a,18bそれぞれのタイヤ幅方向内側の端から、タイヤ幅方向内側に向かって延びる第1ショルダーサイプ22a,22bが設けられている。第1ショルダーサイプ22a,22bは、タイヤ接地端Eよりもタイヤ幅方向内側であって周方向主溝12a,12bそれぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で周方向主溝12a,12bに対して連通せずに終端している。
さらに、ショルダー陸部24a,24bの領域には、タイヤ幅方向Wに延びる第2ショルダーサイプ20a,20bが、ショルダーラグ溝18a,18bのうちタイヤ周方向Cに互いに隣り合うショルダーラグ溝18a,18bの間の領域それぞれに設けられている。第2ショルダーサイプ20a,20bは、タイヤ接地端Eよりもタイヤ幅方向内側であって周方向主溝12a,12bそれぞれよりもタイヤ幅方向外側の位置で周方向主溝12a,12bに対して連通せずに終端している。なお、第2ショルダーサイプ20a,20bは、ショルダー陸部の領域に複数の穴21a,21bがタイヤ周方向Cに間隔をおいて設けられている。第2ショルダーサイプ20a,20bは、この穴21a,21bに接続して終端している。
図3に示す例では、ショルダーラグ溝18a,18b、第1ショルダーサイプ22a,22b、及び第2ショルダーサイプ20a,20bがタイヤ幅方向Wに平行に設けられているが、タイヤ幅方向Wに対して傾斜して設けられてもよい。
【0043】
このようなトレッドパターン10には、半トレッド領域のそれぞれに、周方向主溝12aと周方向主溝12cの間、及び周方向主溝12bと周方向主溝12cとの間の陸部の領域に、溝底サイプ15eを溝底に設けた屈曲溝部15b,15dを有する周方向浅溝14a,14bが設けられているので、上述したように、屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cとで挟まれた鋭角的な陸部の領域は、空気入りタイヤが制駆動の状態で、路面からの力に対応して追従して変形し易く、路面に対して滑りにくくなり、その結果、屈曲溝部14bと陸部とによって形成されるエッジの水掃き性能及び耐偏摩耗性能は向上する。このため、制駆動性能を含むウェット性能は向上する。
【0044】
このようなトレッドパターン10において、屈曲溝部15b,15dの溝底に設けられる溝底サイプ15eの位置は、屈曲溝部15b,15dの溝底の溝幅方向中心にあってもよいが、屈曲溝部15b,15dの溝幅方向において、屈曲溝部15b,15dの溝底の溝幅方向中心に対してオフセットしている(
図4(a)参照)ことが好ましい。これにより、屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cとで挟まれた鋭角的な陸部の領域の変形のし易さを向上させることができる。
図4(a)は、本実施形態の
図3に示すトレッドパターン10の、右側の半トレッド領域にある屈曲溝部15bを中心として拡大した図である。
その際、溝底サイプ15eの位置は、
図4(a)に示すように、ラグ溝16a(16b)と連通する周方向主溝(第1周方向主溝)12a(12b)と異なる周方向主溝(第2周方向主溝)12cの側の陸部の領域に接する屈曲溝部15b(15d)の溝壁面の側にオフセットしていることが好ましい。
【0045】
周方向浅溝14a,14bの傾斜溝部15a,15cの一方の端と屈曲溝部15b,15dの一方の端の接続は、
図3及び
図4(a)に示すように、ラグ溝16a,16bと周方向浅溝14a,14bのタイヤ周方向Cの接続位置で行われることが、タイヤ1がウェット路面を走行する時、屈曲溝部15b,15d内に入る水をラグ溝16a,16bを介して周方向主溝12a,12bに排水させることができる点から、好ましい。
【0046】
屈曲溝部15b,15dの延在方向は、
図3及び
図4(a)に示すように、ラグ溝16a,16bの延在方向に一致することが、タイヤ1がウエット路面を走行する時、屈曲溝部15b,15d内の水をラグ溝16a,16bに効率よく排水することができる点から、好ましい。
【0047】
また、ラグ溝16a(16b)は、
図4(b)に示すように、周方向主溝12a(12b)から周方向浅溝14a(14b)に進むに連れて溝深さが徐々に浅くなることが好ましい。これにより、周方向浅溝14a(14b)、ラグ溝16a(16b)、周方向主溝12a(12b)で囲まれるブロック剛性の低下を抑制することができ、耐偏摩耗性能を向上させることができる。
図4(b)は、
図4(a)に示すY−Y’線に沿った断面図である。
【0048】
また、溝底サイプ15eは、
図1(b)に示すように、溝底サイプ15eの側壁面が屈曲溝部15bの溝壁面から溝深さ方向に沿って延長するように設けられていることが好ましい。これにより、屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cとで挟まれた鋭角的な陸部の領域は、路面から受ける制駆動力によりいっそう追従して変形し易くなり路面に対して滑りにくくなり、その結果、屈曲溝部15bと陸部とによって形成されるエッジの水掃き性能及び耐偏摩耗性能はより一層向上する。
【0049】
さらに、溝底サイプ15eの一部は、傾斜溝部15aと屈曲溝部15bの接続部において、
図4(a)に示すように、傾斜溝部15aの溝を横切るように、傾斜溝部15aの溝幅方向に延びていることが好ましい。これにより、屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cとで挟まれた鋭角的な陸部の領域は、路面から受ける制駆動力によりいっそう追従して変形し易くなり路面に対して滑りくくなり、その結果、屈曲溝部15bと陸部とによって形成されるエッジの水掃き性能及び耐偏摩擦性能はより一層向上する。
【0050】
さらに、屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cとで挟まれた鋭角的な陸部の角には、
図4(a)に示すように、面取り16cが設けられていることが好ましい。屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cとで挟まれた鋭角的な陸部の領域のブロック剛性が局部的に弱く、路面から受ける制駆動力による変形が他の部分に比べて大きくなっても、面取り16cを設けるので、耐偏摩耗性能の低下を抑制し向上させることができる。面取り16cの深さは、例えば1〜4mmであり、面取り16cの最大長さは、例えば0.5〜4mmである。
【0051】
傾斜溝部15aの溝底には、
図4(a)に示すように、屈曲溝部15bの溝底に設けられた溝底サイプ15eと離間するように、傾斜溝部15a(15c)の延在方向に沿って延びる別の溝底サイプ15f,15gの群が設けられていることが好ましい。これにより、屈曲溝部15b(15d)と傾斜溝部15a(15c)とで挟まれた鋭角的な陸部の角周りの部分のブロック剛性も低下するので、屈曲溝部15b(15d)と傾斜溝部15a(15c)とで挟まれた鋭角的な陸部の角におけるブロック剛性の急激な低下を抑制し、耐偏摩耗性を向上させることができる。
【0052】
傾斜溝部15a(15c)のそれぞれの溝底に、溝底サイプ群として、複数の溝底サイプ、好適には2つの溝底サイプ15f,15gがタイヤ周方向に離間するように設けられていることが好ましい。この場合、溝底サイプ15f,15gは、傾斜溝部15a(15c)に沿って設けられることが好ましい。さらに、溝底サイプ15f,15gは、
図4(a)に示すように、周方向浅溝14a,14bの側壁面の互いに異なる側(タイヤ幅方向外側及び内側)にオフセットして設けられることが好ましい。
【0053】
周方向浅溝14a,14bの溝深さは、少なくとも摩耗率80%において、周方向浅溝14a,14bが残存するように設定されることがタイヤ外観を良好に維持する点から好ましい。摩耗率80%の状態とは、周方向主溝12a,12bに設けられるスリップサイン(例えば高さ1.7mm)が摩耗によってトレッド表面に現れるようにトレッド表面が摩耗したときの摩耗量(mm)を100%としたときの、80%の摩耗量の状態をいう。
また、第1ショルダーサイプ22a,22bの深さは、摩耗率100%において、残存するように設定されることが、摩耗末期においてショルダー部の接地形状を摩耗初期からく大きく変化させない点から、好ましい。
【0054】
図5は、本実施形態のタイヤ1のタイヤプロファイル断面の一例を示す図である。
図5では、タイヤプロファイル断面は強調して示されている。
図5に示すように、タイヤ径方向Rに沿ったタイヤプロファイル断面において、周方向主溝12aと周方向主溝12cとの間のセンター陸部30a、及び周方向主溝12bと周方向主溝12cとの間のセンター陸部30bの踏面と周方向主溝12a,12bの溝壁面により形成される2つのエッジ点A,Bを通り、中心C1がタイヤ幅方向Wにおいてタイヤ赤道線CL上にある、半径R1のセンター基準円弧からなるセンタープロファイルラインARC1に対してセンター陸部30a,30bの踏面は膨出している。さらに、周方向主溝12a,12bそれぞれに対してタイヤ幅方向外側のショルダー陸部32a,32bの踏面と周方向主溝12a,12bの溝壁面により形成される2つのエッジ点D,Eを通り、センター基準円弧と接する(例えば、センター基準円弧と、周方向主溝12a,12b上の位置で接する)、半径R2のショルダー基準円弧からなるショルダープロファイルラインARC2,ARC3に対してショルダー陸部32a,32bの踏面は膨出している。このとき、屈曲溝部15b,15dは、センタープロファイルラインARC1に対するセンター陸部30a,30bの踏面の最大膨出高さの60%以上の膨出高さの領域に設けられていることが好ましい。屈曲溝部15b,15dは、最大膨出高さの80%以上の膨出高さの領域に設けられていることがより好ましい。最大膨出高さは、センタープロファイルラインARC1の各位置から、センター陸部30a,30bの踏面プロファイルラインまでの、センタープロファイルラインARC1に対して直交する方向における最大距離をいう。センター陸部30a,30bの踏面プロファイルラインとは、センター陸部30a,30bの踏面の、
図5に示す輪郭線を、屈曲溝部15bの位置する領域を含めて滑らかな曲線で近似して仮想したときの仮想曲線ラインである。
屈曲溝部15bを、最大膨出高さの60%以上の膨出高さの領域に設けることにより、タイヤ1が制駆動の状態で、路面からの力に対応して追従して変形し易くなり路面に対して滑りにくくなり、その結果、屈曲溝部14bと陸部とによって形成されるエッジの水掃き性能を向上させることができる。
【0055】
(実施例、比較例)
本実施形態のトレッドパターン10の効果を確認するために、
図2に示す構成のタイヤ1を用いて、
図3に示すトレッドパターン10を基本パターンとして、この基本パターンから表1A〜Cに示すように種々変更したトレッドパターンを作製した。
作製したタイヤのサイズは195/65R15である。作製したタイヤを15×6.0Jのリムに装着して、空気を220kPa充填し、排気量2000ccの後輪駆動の乗用車(試験車)に装着し、耐偏摩耗性能及びウェット性能の評価を行った。
【0056】
耐偏摩耗性能については、試験車を舗装路上50000km走行させた後のセンター陸部30a,30b(
図5参照)の周方向浅溝14a,14bのエッジに局部的に生じる偏摩耗量を計測した。具体的には、屈曲溝部15b(15d)と傾斜溝部15a(15c)とで挟まれた鋭角的な陸部の領域の中の屈曲溝部15b(15d)に沿ったエッジの屈曲溝部15b(15d)の溝底からの高さと、傾斜溝部15a(15c)のタイヤ周方向Cの中心位置のエッジの、傾斜溝部15a(15c)の溝底からの高さを計測し、計測した高さの差分を偏摩耗量とした。さらに、表1Aの比較例の偏摩耗量の逆数を指数100として各実施例の偏摩耗量の逆数を指数化することにより、各実施例の耐偏摩耗性能を評価した。
【0057】
ウェット性能については、水深1mmのウェット路面上で、試験車を速度100km/時から一定の力でブレーキペダルを踏むことによってウェット路面における制動距離を調べた。表1Aの比較例の制動距離の逆数を指数100として各実施例の制動距離の逆数を指数化することにより、各実施例のウェット性能を評価した。
【0058】
表1A〜C中の「溝底サイプ15eの位置のオフセットの有無」は、
図4(a)に示すように、溝底サイプ15eが、屈曲溝部15bの溝幅方向の中心から「タイヤ幅方向内側陸部の側にオフセット」(
図4(a)に示すように、左側の周方向主溝12と接する陸部の側にオフセット)しているか、「屈曲溝部15b,15dの溝幅方向の中心」に位置するか、「タイヤ幅方向外側陸部の側にオフセット」しているか、を表す。
表1A〜C中の「ラグ溝16a,16bと周方向浅溝14a,14bの接続位置」は、
図4(a)に示すように、「傾斜溝部15a,15cと屈曲溝部15b,15dとの接続位置」にあるか、「傾斜溝部15a,15cのタイヤ周方向の中心位置」にあるか、を表す。
表1A〜C中の「ラグ溝16a,16bの傾斜方向は屈曲溝部15b,15dの傾斜方向と同じか否か」に関して、「異なる」(実施例5)とは、傾斜方向が屈曲することを表す。実施例5では、ラグ溝16a,16bと屈曲溝部15b,15dとの間で傾斜方向が45度ずれている。
表1A〜C中の「溝底サイプ15eの長さ」に関する、「傾斜溝部15aを、溝幅方向に横切る長さ」は、
図4(a)に示すように、溝底サイプ15eが傾斜溝部15a,15cの溝幅を横切るように延びていることを表し、「傾斜溝部15a,15cを、溝幅方向に横切らない長さ」は、溝底サイプ15eが、屈曲溝部15b,15dと傾斜溝部15a,15cの接続位置まで到達せず終了していることを表す。
表1A〜C中の「溝底サイプ15f,15gの有無」に関する「無し」は、2つの溝底サイプ自体が設けられないことを意味し、「有り」は、
図4(a)に示すような配置で2つの溝底サイプ15f,15gが傾斜溝部15aの互いに異なる溝壁面側にオフセットして設けられていることを表す。
【0062】
表1Aの比較例と実施例1〜10の比較より、溝底サイプ15eを設けることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
表1Aの実施例1〜3の比較より、溝底サイプ15eは、オフセットすることが好ましく、特に、タイヤ幅方向内側陸部の側にオフセットすることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
表1Aの実施例1、4の比較より、傾斜溝部15a,15cの一方の端と屈曲溝部15b、15dの一方の端との接続は、ラグ溝16a,16bと周方向浅溝14a,14bのタイヤ周方向Cにおける接続位置で行われることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
表1Bの実施例5と、表1Aの実施例1の比較より、ラグ溝16a,16bの傾斜方向は屈曲溝部15b,15dの傾斜方向と同じ、すなわち、屈曲溝部15b,15dの延在方向は、ラグ溝16a,16bの延在方向に一致させることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
表1Bの実施例6と、表1Aの実施例1の比較より、ラグ溝の溝深さは徐々に浅くなることにより、耐偏摩耗性能が向上することがわかる。
表1Bの実施例7と、表1Aの実施例1の比較より、溝底サイプ15eの一部は、傾斜溝部15a、15cの溝を横切るように、傾斜溝部15a,15cの溝幅方向に延びるように設けることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
表1Cの実施例8と、表1Aの実施例1の比較より、面取り16cを設けることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能を向上させることがわかる。
表1Cの実施例9と、表1Aの実施例1の比較より、屈曲溝部15b,15dの位置は、陸部30a,30bのセンタープロファイルラインARC1に対する最大膨出高さの60%以上とすることにより耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
表1Cの実施例10と、表1Aの実施例1の比較より、溝底サイプ15f,15gを設けることにより、耐偏摩耗性能及びウェット性能が向上することがわかる。
【0063】
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。