特許第6891752号(P6891752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6891752虚像表示装置、虚像表示方法および虚像表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891752
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】虚像表示装置、虚像表示方法および虚像表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20210607BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20210607BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20210607BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20210607BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20210607BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   G02B27/01
   G09G5/00 510A
   G09G5/00 510H
   G09G5/00 530H
   G09G5/00 530T
   G09G5/36 520E
   G09G5/00 550D
   G09B29/10 A
   B60R11/02 C
   B60K35/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-185947(P2017-185947)
(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公開番号】特開2019-61087(P2019-61087A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 康之
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0061573(KR,A)
【文献】 特開2009−210432(JP,A)
【文献】 特開平6−115381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/00
B60R 11/02
G09B 29/10
G09G 5/00
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
虚像の表示位置を第1虚像位置、または前記第1虚像位置とは異なる第2虚像位置のいずれかに選択する虚像位置選択部と、
前記虚像位置選択部により選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する視力測定部と、
表示する情報を取得する表示情報取得部と、
前記表示情報取得部により取得した情報に対応する画像を、前記視力測定部により取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する表示画像生成部と、
前記表示画像生成部により生成した表示画像を前記虚像位置選択部により選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う投射処理部と、
を備えることを特徴とする虚像表示装置。
【請求項2】
前記第1虚像位置および前記第2虚像位置に表示される視力測定用画像の大きさは、ユーザの視点位置からの距離に応じて異なる寸法としてあることを特徴とする請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項3】
前記視力測定用画像は、ユーザの視点位置からの距離が遠くなるほど、寸法が大きくなることを特徴とする請求項1または2に記載の虚像表示装置。
【請求項4】
前記虚像位置選択部は、前記第1虚像位置または前記第2虚像位置のいずれか一方の表示位置において測定されたユーザの視力が所定の閾値以下の場合に、他方の表示位置を選択し、
前記視力測定部は、他方の表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【請求項5】
前記表示画像生成部は、前記視力測定部により測定した視力に応じて、表示画像に含まれる情報量を変更することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の虚像表示装置。
【請求項6】
前記表示情報取得部により取得される情報の優先順位を設定する優先順位設定部を備え、
前記表示画像生成部は、設定された優先順位に基づいて、表示画像に含まれる情報量を変更することを特徴とする請求項5に記載の虚像表示装置。
【請求項7】
虚像の表示位置を第1虚像位置、または前記第1虚像位置とは異なる第2虚像位置のいずれかに選択する虚像位置選択ステップと、
前記虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する視力測定ステップと、
表示する情報を取得する表示情報取得ステップと、
前記表示情報取得ステップにより取得した情報に対応する画像を、前記視力測定ステップにより取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する表示画像生成ステップと、
前記表示画像生成ステップにより生成した表示画像を前記虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う投射処理ステップと、
を備えることを特徴とする虚像表示方法。
【請求項8】
虚像の表示位置を第1虚像位置、または前記第1虚像位置とは異なる第2虚像位置のいずれかに選択する虚像位置選択ステップと、
前記虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する視力測定ステップと、
表示する情報を取得する表示情報取得ステップと、
前記表示情報取得ステップにより取得した情報に対応する画像を、前記視力測定ステップにより取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する表示画像生成ステップと、
前記表示画像生成ステップにより生成した表示画像を前記虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う投射処理ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする虚像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像表示装置、虚像表示方法および虚像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるヘッドアップディスプレイ等の虚像表示装置は、車外から入る光を透過すると共に、車内に配置された光学ユニットから投射された表示画像を車両のフロントガラスなどに反射させることにより、車外の風景に重畳する虚像を表示する。虚像表示装置は、車外の景色を視認しているユーザが視線や焦点をほとんど変化させることなく光学ユニットから投射された画像の情報を認識することができる。
【0003】
虚像表示装置が表示する表示画像の情報量が多くなると、表示画像に含まれる個々の画像が細かくなり、ユーザの視力によっては視認性が低下する。特許文献1には、車両に乗車しながら運転者の視覚状態を判断することができる表示制御装置が開示されている。この表示制御装置は、視力測定に用いるランドルド環を表示する表示装置からユーザのアイポイントまでの距離に応じて、運転操作に必要な法定視力に相当するランドルド環の大きさを演算し、該ランドルド環を表示する。ユーザは、表示されたランドルド環の切欠き方向が認識できれば、法定視力を有していることを把握できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−096645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の表示制御装置では、ユーザの視力が法定視力を有していることを把握できるが、車両の内外に表示される画像に対して、遠視または近視によって視認性に差異が生じる場合への対処にはならない。
【0006】
とくに虚像表示装置は、車外を視認しているユーザが視線や焦点をほとんど変化させることなく虚像を認識することができるため、表示画像により多くの情報を含ませる傾向にあり、虚像の表示位置によっては遠視または近視のために視認性が低下してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、虚像の表示位置の遠近を選択し、視認性を高めることができる虚像表示装置、虚像表示方法および虚像表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様の虚像表示装置は、虚像の表示位置を第1虚像位置、または前記第1虚像位置とは異なる第2虚像位置のいずれかに選択する虚像位置選択部と、前記虚像位置選択部により選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する視力測定部と、表示する情報を取得する表示情報取得部と、前記表示情報取得部により取得した情報に対応する画像を、前記視力測定部により取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する表示画像生成部と、前記表示画像生成部により生成した表示画像を前記虚像位置選択部により選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う投射処理部と、を備える。
【0009】
また本発明の別の態様は虚像表示方法である。この虚像表示方法は、虚像の表示位置を第1虚像位置、または前記第1虚像位置とは異なる第2虚像位置のいずれかに選択する虚像位置選択ステップと、前記虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する視力測定ステップと、表示する情報を取得する表示情報取得ステップと、前記表示情報取得ステップにより取得した情報に対応する画像を、前記視力測定ステップにより取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する表示画像生成ステップと、前記表示画像生成ステップにより生成した表示画像を前記虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う投射処理ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、虚像の表示位置の遠近を選択し、視認性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る虚像表示装置の構成を模式的に示す側面図である。
図2】虚像表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】視力測定用画像の大きさを説明するための模式図である。
図4】虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。
図5】優先順位テーブルの一例を示す図表である。
図6】虚像位置の選択処理の手順を示すフローチャートである。
図7】視力測定時に虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。
図8】虚像表示処理の手順を示すフローチャートである。
図9】視力に応じて虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。
図10】視力に応じて虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。
図11】変形例における視力測定時の表示画像の一例を示す模式図である。
図12】変形例に係る虚像表示装置の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図12を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る虚像表示装置100の構成を模式的に示す側面図である。虚像表示装置100は、例えば車両のフロントガラス90の下方におけるダッシュボード内またはダッシュボード上に配置され、フロントガラス90またはコンバイナの前方に第1虚像位置P1または第2虚像位置P2に虚像60を表示する。第2虚像位置P2は、第1虚像位置P1とは異なる位置にあり、第1虚像位置P1よりも遠方にある。虚像表示装置100は、制御部20から出力される表示画像に基づいて投射部30が画像表示光を出射し、投射鏡40で反射してフロントガラス90またはコンバイナに投射する。虚像表示装置100は、投射した画像表示光がフロントガラス90またはコンバイナによって反射され、車外の風景に重畳される虚像60をフロントガラスの前方に映し、ユーザに提供する。
【0014】
虚像表示装置100は、例えば車両の走行速度、エンジンの温度および燃料の残量等の車両情報、外気温などの外部環境情報、および最高速度等の道路標識に関する情報、等に対応する画像を含む表示画像を生成する。また虚像表示装置100は、車両に搭載されたナビゲーション装置等の地図表示装置から取得した現在位置情報およびルート案内情報に対応する画像を含む表示画像を生成する。
【0015】
虚像表示装置100は、測定したユーザの視力に応じて、表示画像に含まれる情報量を増減し、各情報に対応する画像の大きさを変更して表示画像を生成し、虚像として表示する。以下に説明する実施形態に係る虚像表示装置100は、車載用のものに限られず、航空機やゲーム機、娯楽施設等においても利用することができるとともに、小型化されてウェアラブルな装置として利用することもできる。
【0016】
図2は、虚像表示装置100の構成を示すブロック図である。虚像表示装置100は、入力部10、記憶部11、制御部20、投射部30および投射鏡40を備える。入力部10は、操作キー、十字キー、タッチパネル等のスイッチから構成されており、ユーザによる操作入力を受け付ける。入力部10は、例えば、ディスプレイ装置に組み込まれたタッチパネルであってもよい。また、入力部10は、操作入力の他、音声入力やジェスチャ入力等の別手段による入力にも対応していてもよい。記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、後述する優先順位テーブル11aを記憶する。
【0017】
制御部20は、虚像位置選択部21、視力測定部22、表示情報取得部23、表示画像生成部24、優先順位設定部25および投射処理部26を有する。制御部20は、例えばCPUなどによって構成され、不揮発性メモリ(図示略)に格納されたコンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムに用いる各種情報に従って、上述の各部による処理を実行する。
【0018】
制御部20において、虚像位置選択部21は、虚像の表示位置を第1虚像位置P1、または第1虚像位置P1とは異なる位置にあり、第1虚像位置P1よりも遠い第2虚像位置P2のいずれかに選択している(図1参照)。虚像位置選択部21によって選択される虚像の表示位置は、2以上の複数位置であってもよく、また例えばP1からP2までの連続的に変化させることができる任意の位置であってもよい。虚像の表示位置は、例えば第1虚像位置P1をユーザの視点位置からの距離が3mの位置に、第2虚像位置P2を5mの位置に設定するが、これに限られるものではない。
【0019】
視力測定部22は、虚像位置選択部21によって選択されている虚像の表示位置におけるユーザの視力を測定する。表示画像生成部24によって生成される視力測定用画像(例えばランドルド環など)が、順次、虚像としてフロントガラス90前方の虚像の表示位置(第1虚像位置P1または第2虚像位置P2)に表示される。視力測定部22は、各視力測定用画像に対するユーザの回答を入力部10から取得することによって、ユーザの視力を測定する。
【0020】
視力測定用画像は、例えば外形寸法が小さいものから大きいものまで複数個が用意されており、視力の高低に対応する。制御部20は、例えば視力0.3〜1.5までの視力に対応する視力測定用画像を順次虚像としてフロントガラス90の前方に表示し、各視力測定用画像に対するユーザの回答を入力部10から取得する。例えば視力測定用画像としてランドルド環を虚像として表示する場合、各ランドルド環における切欠きのある側が上下左右のいずれであるかの回答をユーザが入力部10により入力し、視力測定部22で各回答を取得する。視力測定部22は、各視力測定用画像に対するユーザの回答の正誤を判定し、正答が得られた最大の視力をユーザの視力として取得する。視力測定は、数回の測定を試行するなど種々のアルゴリズムによって更に測定精度を高めることができる。
【0021】
視力測定部22は、第1虚像位置P1または第2虚像位置P2のいずれか一方の表示位置で測定されたユーザの視力が低く、所定の閾値以下である場合に、他方の表示位置を選択することを示す信号を虚像位置選択部21に出力する。視力測定部22は、他方の表示位置でユーザの視力を測定し、所定の閾値より高い場合には、虚像位置選択部21により他方の表示位置が選択された状態のままとする。視力測定部22は、他方の表示位置で測定されたユーザの視力が所定の閾値以下である場合には、第1虚像位置P1または第2虚像位置P2のうち、視力が良い方の表示位置を選択することを示す信号を虚像位置選択部21に出力する。尚、視力測定部22は、虚像位置選択部21に第1虚像位置P1および第2虚像位置P2を順次選択させて、両方の表示位置での視力を測定し、視力が良い方の表示位置を選択することを示す信号を虚像位置選択部21に出力するようにしてもよい。
【0022】
図3は、視力測定用画像の大きさを説明するための模式図である。表示画像生成部24は、同じ視力に対して第1虚像位置P1および第2虚像位置P2に表示する視力測定用画像の大きさを、ユーザの視点位置からの距離に応じて異なる寸法で表示する画像を生成する。視力測定用画像の大きさは、ユーザの視点位置からの距離が遠くなるほど、寸法が大きくなる。ユーザの視点位置は、個人差があるものの、ある程度の誤差を許容して典型的な位置を規定するとよい。また、ユーザの視点位置からの距離をユーザ毎に調整できるようにしてもよい。
【0023】
第2虚像位置P2に表示する視力測定用画像の外形寸法は、視点位置から第1虚像位置P1までの距離L1に対する第2虚像位置P2までの距離L2の割合(L2/L1)を、第1虚像位置P1に表示する視力測定用画像の外形寸法に乗じた値とする。これにより、第1虚像位置P1および第2虚像位置P2で同じ視力を測定するための視力測定用画像を生成することができる。例えば、視点位置から第1虚像位置P1までの距離を2m、第2虚像位置P2までの距離を4mとすれば、第2虚像位置P2に表示する視力測定用画像の外形寸法は、第1虚像位置P1に表示する視力測定用画像の外形寸法の2倍とすればよい。
【0024】
表示情報取得部23は、虚像60として表示する情報を外部装置80から取得する。表示する情報は、例えば車両の走行速度、エンジン温度および燃費等の車両に関する情報、外気温などの外部環境に関する情報、最高速度等の道路交通規制に関する情報、並びに現在位置情報およびルート案内情報等である。外部装置80は、車両に搭載された電子制御装置、カーナビゲーション装置等の地図表示装置、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)からの道路交通情報を受信するVICS受信装置、およびドライブレコーダ等の車外撮像装置などである。
【0025】
表示情報取得部23は、車両に関する情報および外部環境に関する情報を車両に搭載された電子制御装置から取得する。また表示情報取得部23は、道路交通規制に関する情報、現在位置情報およびルート案内情報を主として地図表示装置から取得するが、VICS受信装置および車外撮像装置が車両に搭載されている場合には、これらの装置から各情報を取得するようにしてもよい。
【0026】
表示画像生成部24は、表示情報取得部23から入力された各情報に対応する画像を含む表示画像を生成し、投射部30へ出力する。図4は虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図であり、図5は優先順位テーブル11aの一例を示す図表である。図4に示す表示画像Aは、幅および高さ方向を所定のピクセル寸法とする長方形状の領域を有する画像であり、この領域内に各種情報に対応する画像データが配置されている。
【0027】
表示画像Aには、車両の走行速度を示す走行速度画像50、エンジン温度等を示すエンジン情報画像51、自動走行制御の維持速度を示す維持速度画像52、および前方車両への衝突を警告する衝突警告画像53が含まれている。走行速度、エンジン情報、維持速度および衝突警告等の車両情報は、車両に搭載された電子制御装置から取得される。各情報は、速度メーター系、エンジン制御系、自動走行制御系、および衝突防止制御系等の電子制御装置において、モニターまたは制御されている。また、外気温画像54aは、電子制御装置が外部環境をモニターするために備える外気温センサによって計測された外気温情報に基づいて生成される。
【0028】
また表示画像Aには、車内情報として受信放送局画像54bが含まれている。受信放送局の情報は、オーディオ装置から取得される。受信放送局画像54bは、AM放送、FM放送およびテレビ放送などの周波数、チャンネル番号および放送局名などを表示する。
【0029】
また表示画像Aには、道路交通規制に関する情報を表示する画像が含まれている。例えば、表示画像Aは、最高速度画像55aおよび駐車禁止画像55bなどの規制標識画像55、道路が工事中であることや滑り易いことを示す警戒標識画像56、国道番号、市町村、並びに方面および距離などを示す案内標識画像57等を表示する。表示画像Aに含まれる規制標識、警戒標識および案内標識等の道路標識の情報は、車両の現在位置に対応して地図表示装置が抽出したものを表示情報取得部23において取得する。また道路標識の情報として、車両に備えた車外撮像装置によって撮像された画像から画像解析によって抽出される道路標識の情報を用いるようにしてもよい。
【0030】
また表示画像Aには、地図表示装置が提供するルート案内に関するルート案内画像58が含まれている。地図表示装置は、ユーザが入力した目的地、経路設定条件等を含む経路設定情報に基づいて、現在位置と目的地を結び、経路設定条件に当てはまるルートの候補を地図データに基づいて作成する。経路設定条件は、例えば移動時間が短い、距離が短い等の条件である。地図表示装置は、作成したルート候補の中からユーザが選択した設定ルートに従って車両が走行するように、リアルタイムでルート案内を行う。表示画像生成部24は、表示情報取得部23により地図表示装置から取得したルート案内情報に基づいてルート案内画像58を表示画像Aに含ませる。尚、図3に示すルート案内画像58は、200m先で右折することを案内している。
【0031】
また、図4に示す表示画像Aには含まれていないが、VICSが提供する道路交通情報をVICS受信装置から取得し、渋滞情報画像、および道路工事等による通行規制画像などを表示してもよい。
【0032】
表示画像生成部24は、視力測定部22で測定されたユーザの視力に応じて、上述の各画像の表示画像の領域内における配置を変更するとともに、大きさを変更する。表示画像生成部24は、ユーザの視力が低い場合には各画像を大きくし、高い場合には小さくする。表示画像生成部24は、各画像を大きくした場合に表示画像全体が大きくなることを抑制するため、記憶部11に記憶した優先順位テーブル11aに基づいて表示画像に含ませる画像を選択し、情報量を変更して表示画像を生成する。表示画像生成部24は、視力が高い場合には情報量を多くし、視力が低い場合には優先順位の低い情報を除いて情報量を少なくして表示画像を生成する。表示画像生成部24は、視力が低い場合には、優先順位の低い情報に対応する画像を除くことで生じるスペースを含む表示画像の領域内において、優先順位の高い情報に対応する各画像の相互の位置関係を調整して配置変更し、各画像の外形寸法を大きくする。
【0033】
優先順位は、図5に示す優先順位テーブル11aのように、各情報に対して、例えば「低い」、「中位」および「高い」等の段階で設定する。表示画像生成部24は、視力測定部22により測定したユーザの視力が高い場合(例えば、視力1.2以上である場合)、図5に示す優先順位が低いもの、中位のもの、および高いもの全てを含む表示画像を生成する。また表示画像生成部24は、視力測定部22により測定したユーザの視力が中位である場合(例えば、視力0.8以上、1.2未満である場合)、優先順位が低いものを除き、中位のもの、および高いものを含む表示画像を生成する。また表示画像生成部24は、視力測定部22により取得したユーザの視力が低い場合(例えば、視力0.8未満である場合)、優先順位が低いものおよび中位のものを除き、高いものを含む表示画像を生成する。
【0034】
優先順位設定部25は、ユーザが入力部10に入力する優先順位を取得し、優先順位テーブル11aを初期設定、および随時変更する。尚、優先順位テーブル11aに格納されている優先順位は、デフォルトで設定されていても良い。また、ユーザが入力部10によって優先順位を入力する場合、制御部20は、表示画像生成部24によって情報名称やカテゴリ、選択する優先順位を表示する表示画像を生成して虚像60を映し、優先順位を選択できるようにすると良い。
【0035】
投射処理部26は、虚像位置選択部21により選択されている表示位置に、表示画像生成部24により生成した表示画像を虚像として投射する投射処理を行う。投射処理部26は、後述する投射画像表示部31が表示する画像(中間結像画像)の位置を投射鏡40に接近または離間させることによって、若しくは中間結像画像と投射鏡40との間に設置したレンズの位置を接近または離間させることによって、虚像の表示位置を第1虚像位置P1または第2虚像位置P2に変更する。虚像の表示位置を第1虚像位置P1または第2虚像位置P2、更にはこれらの間の位置に変更する方法については、既知の方法を用いることができるので、記載の簡潔化のため説明を省略する。
【0036】
投射処理部26は、投射処理において、投射画像表示部31が表示する画像の輝度や表示タイミング、光源32の輝度や動作タイミング等を制御する。投射処理部26は、表示画像生成部24に対して、生成した表示画像を投射画像表示部31に出力するよう指令し、投射画像表示部31に対して、入力された表示画像を表示するよう指令する。また投射処理部26は、照度センサ(図示略)などの情報に基づいて、投射画像表示部31の表示画像輝度、および光源32の輝度を制御する。
【0037】
投射部30は、投射画像表示部31、光源32、各種光学レンズおよび鏡などからなる光学系(図示略)が収納される。投射部30は、表示画像をもとに画像表示光を生成して投射する。投射画像表示部31には、例えば、反射型液晶表示パネルであるLCOS(Liquid Crystal On Silicon)、若しくは透過型液晶パネルであるLCD(Liquid Crystal Display)、デジタルミラーデバイスを用いたDLP(Digital Light Processing)が使用される。投射画像表示部31は、表示画像生成部24から入力される表示画像を表示し、光源32からの光が照射され、その反射または透過によって生成される画像表示光が光学系を通して投射鏡40に投射される。なお、投射画像表示部31が表示する画像の輝度や表示タイミング、光源32の輝度や動作タイミング等は、上述のように投射処理部26によって制御される。また、投射画像表示部31は、中間結像画像の位置、若しくは中間結像画像と投射鏡40との間に設置したレンズの位置を投射鏡40に接近または離間させるための駆動系を有し、投射処理部26によって制御される。
【0038】
投射画像表示部31は、有機EL(Electro Luminescence)、蛍光表示管(Vacuum Fluoresent Display)、発光ダイオード(LED)等の自発光する素子からなる画像表示デバイスであってもよい。また、投射部30は、透過型液晶、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによるレーザ光走査であってもよい。
【0039】
投射鏡40は、例えば、凹面鏡によって構成される。投射鏡40は、投射部30から投射された画像表示光を反射することによって、画像表示光の方向をフロントガラス90またはコンバイナの方向に変える。
【0040】
次に実施形態に係る虚像表示装置100の動作について、虚像位置の選択処理、および虚像表示処理に基づいて説明する。図6は虚像位置の選択処理の手順を示すフローチャートである。制御部20の虚像位置選択部21は、虚像位置の選択処理の開始時点で、第1虚像位置P1を選択しているものとする。視力測定部22は、フロントガラス90の前方の第1虚像位置P1に虚像60として表示される視力測定用画像(例えばランドルド環など)に基づいてユーザの視力を測定する(S1)。図7は、視力測定時に虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。図7に示す表示画像には、視力測定用画像としてのランドルド環、視力測定中であること、およびユーザの回答を促す旨等の表示が含まれている。
【0041】
ユーザは、ランドルド環の切欠きの方向を入力部10により入力する。視力測定部22は、ユーザの回答を入力部10から取得したことを示す信号を表示画像生成部24および投射処理部26に出力する。表示画像生成部24および投射処理部26は、順次、視力測定用画像を虚像として表示していく。視力測定部22は、各視力測定用画像に対するユーザの回答の正誤を判定し、正答が得られた最大の視力をユーザの視力とする。尚、視力測定部22は、入力部10によりユーザが入力した視力を取得するようにしてもよい。
【0042】
視力測定部22は、測定した視力が所定の閾値(例えば1.0)より高いか否かを判定し(S2)、所定の閾値より高い場合(S2:YES)、第1虚像位置P1を表示位置として選択し(S3)、処理を終了する。ステップS2において、測定した視力が所定の閾値以下であった場合(S2:NO)、視力測定部22は、虚像位置選択部21に第2虚像位置P2を選択させ、ユーザの視力を測定する(S4)。
【0043】
視力測定部22は、測定した視力が所定の閾値(例えば1.0)より高いか否かを判定し(S5)、所定の閾値より高い場合(S5:YES)、第2虚像位置P2を表示位置として選択し(S6)、処理を終了する。ステップS5において、測定した視力が所定の閾値以下であった場合(S5:NO)、視力測定部22は、第1虚像位置P1での視力が第2虚像位置P2での視力以上であるか否かを判定する(S7)。視力測定部22は、第1虚像位置P1での視力が第2虚像位置P2での視力以上である場合(S7:YES)、ステップS3に移行して第1虚像位置P1を表示位置として選択し、処理を終了する。また視力測定部22は、第1虚像位置P1での視力が第2虚像位置P2での視力未満である場合(S7:NO)、ステップS6に移行して第2虚像位置P2を表示位置として選択し、処理を終了する。
【0044】
この虚像位置の選択処理によって、虚像位置選択部21は、第1虚像位置P1または第2虚像位置P2のいずれか視力が良くなる方の表示位置を選択することができる。また視力測定部22は、虚像位置選択部21によって選択されている虚像の表示位置における視力を測定により取得することができる。また、表示画像生成部24は、同じ視力に対して第1虚像位置P1および第2虚像位置P2に表示する視力測定用画像の大きさを、ユーザの視点位置からの距離に応じて異なる寸法で表示する画像を生成する。これにより、第1虚像位置P1および第2虚像位置P2での、ユーザの視力の比較が可能となる。
【0045】
図8は、虚像表示処理の手順を示すフローチャートである。虚像表示処理の開始時に、制御部20における虚像位置選択部21は、上述の虚像位置の選択処理によって第1虚像位置P1または第2虚像位置P2を選択しているものとする。表示情報取得部23は、虚像60として表示する情報を外部装置80から取得する(S11)。表示情報取得部23が取得する情報は、上述のように車両に関する情報、外部環境に関する情報、道路交通規制に関する情報、並びに現在位置情報およびルート案内情報等である。
【0046】
表示画像生成部24は、視力測定部22により測定した視力が高いか否かを判定し(S12)、高いと判定した場合(S12:YES)、表示情報取得部23により取得した全ての情報に対応する画像を含む表示画像を生成する(S13)。例えば、表示画像生成部24は、視力測定部22により取得したユーザの視力が1.2以上である場合に、視力が高いと判定する。表示画像生成部24が生成する表示画像は、例えば図4に示す表示画像Aであり、図5に示す優先順位テーブル11aにおける優先順位が「低い」、「中位」および「高い」に設定された情報に対応する各画像を含んでいる。
【0047】
ステップS12において、視力が高くなく「否」と判定した場合(S12:NO)、表示画像生成部24は、視力測定部22により測定した視力が中位であるか否かを判定する(S14)。表示画像生成部24は、ステップS14において、視力が中位であると判定した場合(S14:YES)、表示情報取得部23により取得した情報のうち、優先順位テーブル11aにおける優先順位が「低い」ものを除く、「中位」および「高い」に設定された情報に対応する画像を含む表示画像を生成する(S15)。
【0048】
例えば、表示画像生成部24は、視力測定部22により測定したユーザの視力が視力0.8以上、1.2未満である場合に、視力が中位であると判定する。図9は、視力に応じて虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。表示画像生成部24は、ユーザの視力が中位である場合に、例えば図9に示す表示画像Bを生成する。表示画像Bには、車両情報として走行速度画像50、エンジン情報画像51、維持速度画像52および衝突警告画像53が、規制情報として最高速度画像55aおよび警戒標識画像56が、ルート案内情報としてルート案内画像58が含まれている。
【0049】
ステップS14において、視力が中位でなく「否」と判定した場合(S14:NO)、表示画像生成部24は、視力測定部22により測定した視力が低いとし、表示情報取得部23により取得した情報のうち、優先順位テーブル11aにおける優先順位が「低い」および「中位」のものを除く、「高い」に設定された情報に対応する画像を含む表示画像を生成する(S16)。この場合、表示画像生成部24は、例えばユーザの視力が0.8未満であると判定していることとなる。図10は、視力に応じて虚像として表示される表示画像の一例を示す模式図である。表示画像生成部24は、ユーザの視力が低い場合に、例えば図10に示す表示画像Cを生成する。表示画像Cには、車両情報として走行速度画像50が、規制情報として最高速度画像55aおよび警戒標識画像56が、ルート案内情報としてルート案内画像58が含まれている。
【0050】
表示画像生成部24は、車両に関する情報、外部環境に関する情報、道路交通規制に関する情報、並びに現在位置情報およびルート案内情報等に対応する各画像の大きさをユーザの視力に応じて変更することによって、表示画像の視認性を高めることができる。表示画像生成部24は、優先順位テーブル11aに基づいて情報量を変更して表示画像を生成している。表示画像生成部24は、視力が高い場合には情報量を多くし、視力が低い場合には優先順位の低い情報を除いて表示画像を生成することで、表示画像の視認性を高めることができる。
【0051】
優先順位テーブル11aにおける各情報の優先順位は、ユーザが入力部10に入力する優先順位を優先順位設定部25により取得して変更することができるので、ユーザが必要とする情報を優先的に虚像60として表示させることができる。
【0052】
視力測定部22は、虚像60としてフロントガラス90の前方へ投射された視力測定用画像に対するユーザの回答を取得し、ユーザの回答の正誤を判定することによって、正答が得られた最大の視力をユーザの視力として取得する。虚像表示装置100は、ユーザが車両に搭乗した状態で運転操作を開始する前に視力測定を行うことにより、運転開始時における視力を取得することができ、昼夜の違いや目の疲労感等によって変化する視力に応じて、表示画像の視認性を高めることができる。
【0053】
(変形例)
表示画像生成部24は、ユーザによって入力される色の色相、明度および彩度に基づいて、表示画像に含まれる各情報に対応する画像の色を設定するようにしてもよい。虚像表示装置100は、色相、明度および彩度の色見本を表示した色設定画面を虚像として表示し、ユーザが入力した色設定情報に基づいて、表示画像に表示する各画像の色を変更する。
【0054】
色見本は、色相、明度および彩度を連続的または間欠的に変化させて表示するものとし、ユーザが選択することができるものとする。また、色見本は、特定色(例えば青色)から他の特定色(例えば赤色)まで変化させて表示するものとし、ユーザが選択することができるものとする。表示画像生成部24は、各情報に対応する画像を選択した色によって補正するようにして変更する。
【0055】
ユーザは、色の嗜好に応じて、例えば、日中における表示画像を青色が強くなるように設定し、夜間における表示画像を赤色が強くなるように設定することができる。虚像表示装置100は、表示画像に表示する画像の色を変更して表示画像を生成することによって、視認性を更に高めることができる。また、ユーザの色設定情報を記憶部11に1または複数種類、記憶させておき、ユーザが色設定情報を呼び出して利用できるようにしてもよい。この場合、複数のユーザが、それぞれ自己にとって画像の視認性の高い色設定情報を、記憶部11に記憶させて利用することができる。
【0056】
また実施形態においては、ユーザの視力測定時に視力測定用画像を1つずつ虚像として表示したが、複数の視力測定用画像を表示するようにしてもよい。図11は、変形例における視力測定時の表示画像の一例を示す模式図である。図11に示す表示画像には、視力測定用画像としての複数のランドルド環、視力測定中であること、およびユーザの回答を促す旨等の表示が含まれている。
【0057】
ユーザは、複数のランドルド環のうち、1つを選択して切欠きの方向を入力部10により入力する。ユーザが順次ランドルド環を選択して全ての回答が完了すると、視力測定部22は、各視力測定用画像に対するユーザの回答の正誤を判定し、正答が得られた最大の視力をユーザの視力として測定する。
【0058】
また実施形態において、虚像表示装置100は、フロントガラス90に表示画像を投射したが、コンバイナに投射するようにしてもよい。図12は、変形例に係る虚像表示装置100の構成を模式的に示す側面図である。虚像表示装置100は、例えば車両のフロントガラス90の下方におけるダッシュボード内またはダッシュボード上に配置され、コンバイナ41の前方に虚像60を表示する。虚像表示装置100は、制御部20から出力される表示画像に基づいて投射部30が画像表示光を出射し、投射鏡40で反射してコンバイナ41に投射する。
【0059】
コンバイナ41は、ハーフミラーであり、フロントガラス90の車内側に配置される。ユーザは、フロントガラス90越しに望む車外の風景に、虚像60が重畳された映像を認識することになる。これにより、ユーザは、フロントガラス90越しに虚像60を観察できるので、運転操作中に視線をほとんど動かすことなく情報を得ることができる。
【0060】
次に、実施形態および変形例に係る虚像表示装置100、虚像表示方法および虚像表示プログラムの特徴を説明する。
虚像表示装置100は、虚像位置選択部21、視力測定部22、表示情報取得部23、表示画像生成部24および投射処理部26を備える。虚像位置選択部21は、虚像の表示位置を第1虚像位置P1、または第1虚像位置P1とは異なる第2虚像位置P2のいずれかに選択する。視力測定部22は虚像位置選択部21により選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する。表示情報取得部23は表示する情報を取得する。表示画像生成部24は、表示情報取得部23により取得した情報に対応する画像を、視力測定部22により取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する。投射処理部26は、表示画像生成部24により生成した表示画像を虚像位置選択部21により選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う。これにより、虚像表示装置100は、虚像の表示位置の遠近を選択し、虚像に対するユーザの視認性を高めることができる。
【0061】
また、第1虚像位置P1および第2虚像位置P2に表示される視力測定用画像の大きさは、ユーザの視点位置からの距離に応じて異なる寸法としてあることにより、第1虚像位置P1および第2虚像位置P2におけるユーザの視力の比較が可能となる。
【0062】
また、視力測定用画像は、ユーザの視点位置からの距離が遠くなるほど、寸法が大きくなることにより、第1虚像位置P1および第2虚像位置P2におけるユーザの視力の比較が可能となる。
【0063】
また虚像位置選択部21は、第1虚像位置P1または第2虚像位置P2のいずれか一方の表示位置において測定されたユーザの視力が所定の閾値以下の場合に、他方の表示位置を選択する。視力測定部22は、他方の表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する。これにより、第1虚像位置P1での視力が所定の閾値以下の場合に、第2虚像位置P2におけるユーザの視力を測定して、第1虚像位置P1または第2虚像位置P2のいずれを虚像の表示位置とすべきかを比較判定することができる。
【0064】
また表示画像生成部24は、視力測定部22により取得した視力に応じて、表示画像に含まれる情報量を変更する。これにより、虚像表示装置100は、視力が高い場合には情報量を多くし、視力が低い場合には情報量を少なくして、表示画像の視認性を高めることができる。
【0065】
また優先順位設定部25は、表示情報取得部23により取得される情報の優先順位を設定する。表示画像生成部24は、設定された優先順位に基づいて、表示画像に含まれる情報量を変更する。これにより、虚像表示装置100は、視力が低い場合には優先順位の低い情報を除いて表示画像を生成することで、表示画像の視認性を高めることができる。
【0066】
また虚像表示方法は、虚像位置選択ステップ、視力測定ステップ、表示情報取得ステップ、表示画像生成ステップおよび投射処理ステップを備える。虚像位置選択ステップは、虚像の表示位置を第1虚像位置P1、または第1虚像位置P1とは異なる第2虚像位置P2のいずれかに選択する。視力測定ステップは虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する。表示情報取得ステップは表示する情報を取得する。表示画像生成ステップは、表示情報取得ステップにより取得した情報に対応する画像を、視力測定ステップにより取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する。投射処理ステップは、表示画像生成ステップにより生成した表示画像を虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う。この虚像表示方法によれば、虚像の表示位置の遠近を選択し、虚像に対するユーザの視認性を高めることができる。
【0067】
また虚像表示プログラムは、虚像位置選択ステップ、視力測定ステップ、表示情報取得ステップ、表示画像生成ステップおよび投射処理ステップをコンピュータに実行させる。虚像位置選択ステップは、虚像の表示位置を第1虚像位置P1、または第1虚像位置P1とは異なる第2虚像位置P2のいずれかに選択する。視力測定ステップは虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射される視力測定用画像に対するユーザの回答に基づいて、ユーザの視力を測定する。表示情報取得ステップは表示する情報を取得する。表示画像生成ステップは、表示情報取得ステップにより取得した情報に対応する画像を、視力測定ステップにより取得した視力に応じた大きさで表示する表示画像を生成する。投射処理ステップは、表示画像生成ステップにより生成した表示画像を虚像位置選択ステップにより選択された表示位置に虚像として投射する投射処理を行う。この虚像表示プログラムによれば、虚像の表示位置の遠近を選択し、虚像に対するユーザの視認性を高めることができる。
【0068】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0069】
21 虚像位置選択部、 22 視力測定部、 23 表示情報取得部、
24 表示画像生成部、 25 優先順位設定部、 26 投射処理部、
100 虚像表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12