特許第6891782号(P6891782)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6891782キッチンペーパー束の作製方法およびキッチンペーパー束の作製装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891782
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】キッチンペーパー束の作製方法およびキッチンペーパー束の作製装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/24 20060101AFI20210607BHJP
   B65H 45/16 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   B65H45/24
   B65H45/16
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-231902(P2017-231902)
(22)【出願日】2017年12月1日
(65)【公開番号】特開2019-99331(P2019-99331A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 遥絵
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−135225(JP,A)
【文献】 特開2000−351526(JP,A)
【文献】 特開2016−189942(JP,A)
【文献】 特開2013−095600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/00
B65H 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送されつつ先に2つ折りにされるキッチンペーパーの間に、次に2つ折りにされる前記キッチンペーパーの移送方向の先行側半面を挟み込むことによって交互になるように畳んで複数枚を積み重ねてキッチンペーパー束を作製する装置であって、
前記キッチンペーパーは、一面側に浮き出る突起形状が形成されており、
回転軸を平行にされて近接回転する外周面のそれぞれに、2系統のそれぞれから送られてくる前記キッチンペーパーを面接触支持させつつ移送する一対の第1移送ロールおよび第2移送ロールを備え、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、それぞれの外周面に前記キッチンペーパーの移送方向の半分の長さに一致する間隔で互いに噛み合う凸面と凹面とが交互に形成されて、前記外周面が近接対面しつつ回転する際に、前記凸面および前記凹面の噛み合い向きが入れ替わる構造を備えており、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールのそれぞれの外周面の前記凸面が前記キッチンペーパーの前記突起形状の形成面に押し付けられて前記凹面内に入り込むことによって、交互に谷折りになる折り目を付けて前記キッチンペーパーを2つ折りにして、前記突起形状の形成面の裏面同士が対面するように2つ折りにして交互に半面を挟み込むように積み重ねてキッチンペーパー束を作製する機構を備えることを特徴とするキッチンペーパー束の作製装置。
【請求項2】
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、2系統の前記キッチンペーパーをそれぞれ吸引して外周面に吸着させる機構を備え、前記キッチンペーパーの前記突起形状の形成面側を吸引することにより吸着して面接触支持しつつ移送するとともに、それぞれの外周面の前記凸面が前記キッチンペーパーの前記突起形状の形成面に押し付けられて前記凹面内に入り込むことによって、交互に谷折りになる折り目を付けて前記キッチンペーパーを2つ折りにすることを特徴とする請求項1に記載のキッチンペーパー束の作製装置。
【請求項3】
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールの移送する前記キッチンペーパーのそれぞれを重ねる前に、前記凸面の先端位置で前記キッチンペーパーを切断する装置を備えることを特徴とする請求項2に記載のキッチンペーパー束の作製装置。
【請求項4】
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、前記キッチンペーパーのそれぞれを移送方向に半分の長さ分だけずらした状態で前記突起形状の形成面側を吸引することにより吸着して面接触支持しつつ移送し、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールの吸引機構は、前記凸面の先行側および後続側の両斜面で前記キッチンペーパーを吸引し、前記凹面の後続側の一斜面で前記キッチンペーパーを吸引することを特徴とする請求項3に記載のキッチンペーパー束の作製装置。
【請求項5】
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、前記キッチンペーパーの先行側半面の吸着支持を一方の前記外周面から他方の前記外周面に切り換えることにより、前記キッチンペーパーの前記先行側半面を一方の前記外周面から引き離して先に移送されている前記キッチンペーパーの後続側半面に重ねつつ2つ折りの間に挟み込むように畳んで積み重ねることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のキッチンペーパー束の作製装置。
【請求項6】
移送されつつ2つ折りされる前記キッチンペーパーの半面を前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールの外周面から交互に機械的に引き離す方向に案内することにより、前記キッチンペーパーを2つ折りの間に挟み込むように畳んで積み重ねる装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のキッチンペーパー束の作製装置。
【請求項7】
移送されつつ先に2つ折りにされるキッチンペーパーの間に、次に2つ折りにされる前記キッチンペーパーの移送方向の先行側半面を挟み込むことによって交互になるように畳んで複数枚を積み重ねてキッチンペーパー束を作製する方法であって、
前記キッチンペーパーは、一面側に浮き出る突起形状が形成されており、
回転軸を平行にされて近接回転する外周面のそれぞれに、2系統のそれぞれから送られてくる前記キッチンペーパーを面接触支持させつつ移送する一対の第1移送ロールおよび第2移送ロールを備える装置を用い、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、それぞれの外周面に前記キッチンペーパーの移送方向の半分の長さに一致する間隔で互いに噛み合う凸面と凹面とが交互に形成されて、前記外周面が近接対面しつつ回転する際に、前記凸面および前記凹面の噛み合い向きが入れ替わる構造を備えており、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールのそれぞれの外周面の前記凸面が前記キッチンペーパーの前記突起形状の形成面に押し付けられて前記凹面内に入り込むことによって、交互に谷折りになる折り目を付けて前記キッチンペーパーを2つ折りにして、前記突起形状の形成面の裏面同士が対面するように2つ折りにして交互に半面を挟み込むように積み重ねてキッチンペーパー束を作製することを特徴とするキッチンペーパー束の作製方法。
【請求項8】
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、2系統の前記キッチンペーパーをそれぞれ吸引して外周面に吸着させる機構を備え、
前記キッチンペーパーの前記突起形状の形成面側を吸引することにより吸着して面接触支持しつつ移送するとともに、それぞれの外周面の前記凸面が前記キッチンペーパーの前記突起形状の形成面に押し付けられて前記凹面内に入り込むことによって、交互に谷折りになる折り目を付けて前記キッチンペーパーを2つ折りにすることを特徴とする請求項7に記載のキッチンペーパー束の作製方法。
【請求項9】
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールの移送する前記キッチンペーパーのそれぞれを重ねる前に、前記凸面の先端位置で前記キッチンペーパーを切断する装置を備え、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールは、前記キッチンペーパーのそれぞれを移送方向に半分の長さ分だけずらした状態で前記突起形状の形成面側を吸引することにより吸着して面接触支持しつつ移送し、
前記第1移送ロールおよび前記第2移送ロールの吸引機構は、前記凸面の先行側および後続側の両斜面で前記キッチンペーパーの切断されていない中間部を吸引し、前記凹面の後続側の一斜面で前記キッチンペーパーの切断された先端部を吸引することを特徴とする請求項8に記載のキッチンペーパー束の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボス加工などによる突起形状が一面側に形成されているキッチンペーパーの束の作製方法および作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ティッシュペーパーやキッチンペーパーなどの薄葉紙は、2つ折りに畳まれて積み重ねられた束にされた後に、1枚ずつ引き出し可能なスリット状の取出口を備える収納箱内に収納されてパッケージ化されることにより、清潔な状態を保つようになっている。
【0003】
このような薄葉紙では、2つ折りして1枚ずつ引き出せるように折り畳んで積み重ねた束の作製を、例えば、特許文献1に記載の折り畳み作製装置などを利用して自動化することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−132439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近時のキッチンペーパーにあっては、エンボス加工による突起形状が一面側に形成されて浮き出ている形態が多用されており、このエンボス加工により形状維持等の好適な作用効果を得て、使い勝手が向上されている。
【0006】
しかしながら、このようなキッチンペーパーを折り畳む特許文献1に記載のような作製装置にあっては、2つ折りして交互に半面を挟み込んで積み重ねる手順になることから、一対の並置されている機構にキッチンペーパーを供給して折り畳むことになる。このため、一対の機構に供給するキッチンペーパーの突起形状の形成面が統一されていないと、その折り畳む向きと突起形状の形成位置との相互関係がバラバラになってしまい、使用する度に、突起形状の位置が異なって使い勝手が悪くなってしまうという不都合が発生する。
【0007】
また、その折り畳む作製装置に対するキッチンペーパーの突起形状の形成面の位置関係が一定していないと、キッチンペーパー束の作製工程などにおいて不都合が生じる場合もある。
【0008】
そこで、本発明は、一面側に突起形状の形成されているキッチンペーパーを高品質に折り畳んで積み重ねた束を作製することのできる作製方法や作製装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するキッチンペーパー束の作製方法の発明の一態様は、複数枚のキッチンペーパーを2つ折りにして交互に半面を挟み込むように畳んで積み重ねるキッチンペーパー束の作製方法であって、前記キッチンペーパーは、一面側に浮き出る突起形状が形成されており、前記キッチンペーパーを一方向に移送するとともに、前記突起形状の形成面の裏面同士が対面するように2つ折りしつつ、先に2つ折りにされる当該キッチンペーパーの間に、次に2つ折りにされる前記キッチンペーパーの移送方向の先行側半面を挟み込むことによって積み重ねてキッチンペーパー束を作製することを特徴としている。
【0010】
上記課題を解決するキッチンペーパー束の作製装置の発明の一態様は、複数枚のキッチンペーパーを2つ折りにして交互に半面を挟み込むように畳んで積み重ねるキッチンペーパー束の作製装置であって、前記キッチンペーパーは、一面側に浮き出る突起形状が形成されており、当該キッチンペーパーを、前記突起形状の形成面の裏面同士が対面するように2つ折りにして交互に半面を挟み込むように積み重ねてキッチンペーパー束を作製する機構を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明の一態様によれば、キッチンペーパーの一面側に浮き出る突起形状の形成面の裏面同士を対面させるように2つ折りにするので、キッチンペーパーの突起形状の形成面の位置関係を均一にして折り畳んで積み重ねることができる。このため、キッチンペーパーの折り畳み時に不都合が生じることがなく、また、使用時に突起形状の位置が安定している状態で使用することのできる、使い勝手のよい高品質なキッチンペーパー束を作製することができる。
【0012】
また、突起形状の存在により過度の密着を回避しつつ、その突起形状の形成面側を吸引して面接触支持することができ、その吸着状態を容易に解消して次の工程に移行することができる。このため、突起形状の形成面の裏面同士を対面させる方向に折り畳む作業をスムーズに行うことができ、効率よくキッチンペーパーの束を作製することができる。
【0013】
したがって、一面側に突起形状が形成されているキッチンペーパーを高品質に折り畳んで積み重ねた束を作製することを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る作製方法および作製装置により作製して収納箱に収納するキッチンペーパー束を示す斜視図である。
図2図2は、キッチンペーパーの折り畳み積み重ね状況を説明する側方からの概念図である。
図3図3は、その作製方法によりキッチンペーパー束を作製する作製装置を示す正面図である。
図4図4は、そのキッチンペーパー束の作製装置の要部の構成を示す一部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図4は本発明の一実施形態に係るキッチンペーパー束の作製方法および作製装置を説明する図である。
【0016】
(作製対象のキッチンペーパー束のパッケージの説明)
図1および図2において、キッチンペーパーPは、汎用の紙質で作製されて、通常のエンボス加工による突起形状Emが形成されている。キッチンペーパーPは、図3に示すロータリー式のインターフォルダ装置(作製装置)100によって、2つ折りに畳まれて交互に半面Phが間に挟み込まれるようにして積み重ねられることにより束10Bにされている。このキッチンペーパー束10Bは、収納箱10内に収納されることによって、キッチンペーパーパッケージ10Pに作製されている。なお、キッチンペーパーPは、2つ折りの間に、後続の半面Phを挟み込んで積み重ねた束10Bにすることで、最上位Ptから摘まれて後述の長穴15から引き出される際に、その2つ折りの間に挟み込まれている後続のキッチンペーパーPが摩擦力で引き摺られて露出させることによって、連続使用することのできるパッケージ10Pに作製されている。
【0017】
ここで、キッチンペーパーPは、キッチンで使用するものであり、調理途中の食材から水分や油分等を効果的に取り去ることができるように、吸水性や吸油性などに優れるようにティッシュペーパーなどよりも厚めの薄葉紙に作製され、また、食材をトレーなどから離隔させて載せることができるように、形状維持するための突起形状Emを一面(表面)側に浮き出させるエンボス加工が多用されている。なお、キッチンペーパーPは、1枚(所謂、1プライ)で利用する形態でも、また、2枚(所謂、2プライ)または3枚(所謂、3プライ)以上の一組を1枚と同様に利用する形態のいずれでもよく、本実施形態では2プライの形態を1枚として利用する場合を一例にして説明する。
【0018】
ここで、キッチンペーパーPは、坪量15〜25g/m2(測定方法:JIS P 8124[1998])のクレープ紙により構成するのが好適であり、より好ましくは19〜23g/m2の坪量にするのがよい。このクレープ紙は、繊維材料として、キッチンペーパーに適した既知の組成のパルプ繊維が採用されて作製されており、バージンパルプを90〜100質量%含むのが適している。本件発明の特有の効果が顕著になるパルプ組成としては、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプと、を適宜の比率で配合するものがよく、特に、針葉樹パルプ:広葉樹パルプの比が1(25%):3(75%)〜1(50%):1(50%)にするのが最適である。また、このキッチンペーパーPの紙厚は、170〜270μm(測定方法:JIS P 8118)とするのが好ましい。これにより、キッチンペーパーPは、吸水性や吸油性などに優れていて、キッチンでの使用に適している。
【0019】
また、キッチンペーパーPは、50〜90μmの高さの突起形状Emがエンボス加工により形成されており、その突起形状Emの凹部の空間のキッチンペーパーPの平面方向における開口部分の最大断面積は1.4〜4.2mm2に、好ましくは2.8〜3.5mm2になるように作製されている。このキッチンペーパーPは、離隔間隔が2〜5mm程度のパターンで突起形状Emがエンボス加工により形成されている。これにより、キッチンペーパーPは、拭き取り時などに必要な強度を得ることができ、キッチンでの使用に適している。
【0020】
収納箱10は、上面11がキッチンペーパーPを2つ折りした長方形に相似する形状に形成されて、その短尺な側面12および長尺な側面13がキッチンペーパーPの束10Bの厚さ程度に形成されている直方体のボックス形状に作製されている。この収納箱10は、突起形状Emの浮き出る形成面を表面Sfとして、その裏面Sbが対面するように2つ折りにして半面Phを交互に挟み込む束10Bの状態のキッチンペーパーPを、開放状態の短尺側の側面12から差し込んだ後に、その上片12aおよび下片12bを長尺側の側面13の延長片13a、13bに接着することで閉止するようになっている。なお、収納箱10は、上面11、側面12、13および底面(不図示)が厚紙で作製されて、そのうちの一面である上面11の中央付近に、最上面のキッチンペーパーPを摘むことができるように、指先を差し込み可能な程度の面積で開口する長穴15が形成されている。
【0021】
具体的に、キッチンペーパーPは、2つ折りの内面(表面Sf)の裏面Sbの両側に突起形状Emが浮き出ていることから、その束10Bの最上面および最下面に、突起形状Emが位置している。
【0022】
このため、キッチンペーパーPの束10Bは、突起形状Emが外側に露出しており、収納箱10の長穴15から指先を差し込んで最上位のキッチンペーパーPを引き出する際に、その突起形状Emで滑りを抑制しつつ摘むことを実現し、快適に使用を開始することができる。また、その長穴15から露出するキッチンペーパーPでも、同様に、その突起形状Emによる滑りの抑制を利用して摘むことが可能であり、次のキッチンペーパーPを間の摩擦力に負けることなく、引き摺るようにして引き出して露出させることができる。
【0023】
この束10BのキッチンペーパーPは、2つ折りされた半面Phの天井面側および床面側の外面に突起形状Emの形成表面Sfが位置して、その内面の裏面Sbが別個2枚の2つ折りされた半面Phの裏面Sbをそれぞれ対面させるように交互に挟み込まれて積み重ねられている。これらのキッチンペーパーPの天井面側および床面側の内面では、それぞれの突起形状Emの形成表面Sfの裏面Sbの平面形状Pnが対面接触されるとともに、その挟み込まれた別個2枚の半面Phの外面では、その互いの突起形状Emを対面接触させている。なお、この束10BのキッチンペーパーPの最上位Ptおよび不図示の最下位では、別個1枚の半面Phを挟み込むだけであることから、2つ折りされた天井面側および床面側の半面Phの内面(裏面Sb)の平面形状Pnは、その別個1枚の半面Phの形成表面Sfの突起形状Emに対面接触されている。
【0024】
(キッチンペーパー束の作製装置および作製方法の説明)
ロータリー式のインターフォルダ装置100は、図3に示すように、A系統とB系統の2系統からキッチンペーパー原紙(所謂、原反)Prの供給を受けて、2つ折りに畳むキッチンペーパーPを積み重ねたキッチンペーパー束10Bを作製する折り畳み機構110を備えている。インターフォルダ装置100は、それぞれ一対の、第1および第2の切断装置102A、102B、第1および第2の移送ロール111A、111B、および、第1および第2の剥離装置114A、114Bを備えて構築されており、これら移送ロール111A、111Bおよび剥離装置114A、114Bにより折り畳み機構(キッチンペーパー束10Bの作製装置)110が構成されている。
【0025】
移送ロール111A、111Bは、平行に設置されている回転軸111rA、111rBを中心にして円筒形状の外周面111sA、111sBの接線方向が図中下方の同一方向に向かうように正逆方向にそれぞれ回転する。移送ロール111A、111Bは、不図示の左右一対の原紙ロールから引き出されて中継ローラ101A、101Bを介して弛まないように送られて来るキッチンペーパー原紙Pr−A、Pr−Bを、突起形状Emの形成表面Sfが内側(その裏面Sbの平面形状Pnが外側)になるように外周面111sA、111sBのそれぞれに巻き付けられる。移送ロール111A、111Bは、回転することにより、後述の切断装置102A、102Bにより切断されて切り分けられたキッチンペーパーPを折り畳み位置に向かうように移送する。
【0026】
切断装置102A、102Bは、移送ロール111A、111Bの外周外側の所定位置に配置されて、その外周面111sA、111sBに面接触支持されて移送されるキッチンペーパー原紙Pr−A、Pr−Bを、後述する突起111pA、111pBの形成位置でカッタ103A、103Bによってそれぞれ切断してキッチンペーパーPに切り分ける。この切断装置102A、102Bのカッタ103A、103Bは、キッチンペーパー原紙Pr−A、Pr−Bの幅よりも広めに移送ロール111A、111Bの軸方向に延長された刃渡りに形成されており、突起111pA、111pBの先端に位置するキッチンペーパー原紙Pr−A、Pr−Bに接触して切断するようになっている。
【0027】
剥離装置114A、114Bは、移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBに面接触支持されている切断後のキッチンペーパーPをそれぞれ引き剥がすように、支点114fA、114fBを中心にその外周面111sA、111sBの内側から外側に向かうように剥離レバー114eA、114eBが回転する。
【0028】
また、移送ロール111A、111Bは、外周面111sA、111sBに、軸方向に延長されている折曲突起(凸面)111pA、111pBと折曲溝(凹面)111dA、111dBが形成されている。この折曲突起111pA、111pBと折曲溝111dA、111dBは、移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBの周方向(移送方向)で、キッチンペーパーPの半分の長さに一致する間隔の(半分の長さ分だけずれた)位置で互いに噛み合うように交互に形成されている。要するに、移送ロール111A、111Bは、回転するのに連れて、近接対面する外周面111sA、111sBの折曲突起111pA、111pBと折曲溝111dA、111dBがそれぞれ噛み合い向きを入れ替えつつ、その外周面111sA、111sBで面接触支持する切断後のキッチンペーパーPを間に挟み込みつつ移送する。
【0029】
このとき、移送ロール111A、111Bで移送されるキッチンペーパー原紙Pr−A、Pr−Bは、切断装置102A、102Bに対面する位置でカッタ103A、103Bによって折曲突起111pA、111pBの先端位置を切断されることにより、それぞれ1枚のキッチンペーパーPに切り分けられて外周面111sA、111sBに面接触支持されつつ、さらに下流側へと移送される。
【0030】
この切断後のキッチンペーパーPは、移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBの折曲突起111pA、111pBと折曲溝111dA、111dBとに挟み込まれて移送される際、切断された端辺Peが別のキッチンペーパーPの移送方向中央Pc付近に位置する。このため、キッチンペーパーPは、その移送方向中央Pcが谷折りにされて2つ折りにされつつ、切り分けられた2枚の端辺Pe毎の半面Phがその間に挟み込まれる。
【0031】
詳細には、移送ロール111A、111Bの折曲突起111pA、111pBの一方の両側斜面にキッチンペーパーP毎の切断された端辺Peがそれぞれ位置するとともに、他方の対面側に位置するキッチンペーパーPの移送方向中央Pcが折曲溝111dA、111dBを覆うように位置する。そして、折曲突起111pA、111pBが折曲溝111dA、111dB内に入り込むように押し付けられると、キッチンペーパーPは、その端辺Peと共に移送方向中央Pcがその間に挟み込まれて谷折りの折り目が付けられて2つ折りされる。
【0032】
これにより、キッチンペーパーPの2つ折りされた半面Phの間に、切り分けた2枚のキッチンペーパーPの半面Phがそれぞれ挟み込まれる。このとき、キッチンペーパーPは、突起形状Emの形成表面Sfが移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBに接する内側になっていることから、その裏面Sbの平面形状Pnが内面側で対面するように2つ折りされて、その形成表面Sfの突起形状Emが外面側となるように畳まれる。
【0033】
さらに、移送ロール111A、111Bは、外周面111sA、111sBに連通する吸引流路115A、115Bが内部に形成されており、不図示の吸引ポンプを接続して吸引流路115A、115B内の空気を吸引可能な機構を備えている。なお、吸引流路115A、115Bは、折曲突起111pA、111pBの両側斜面のそれぞれで開口して吸引可能にされているとともに、折曲溝111dA、111dBには1箇所で吸引可能に開口されている。
【0034】
これにより、移送ロール111A、111Bは、吸引流路115A、115B内が吸引されることにより外周面111sA、111sBに面接触するキッチンペーパーP(両端辺Peと移送方向中央Pc)を吸引して吸着支持することができる。このとき、移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBに面接触支持されているキッチンペーパーPは、空気を表裏に流通可能な繊維質の紙質であることから、吸引流路115A、115Bの一方の吸引が停止されると、その停止側が他方の表面側に吸引されて吸着支持されることになって重ねられる。また、キッチンペーパーPは、突起形状Emの形成表面Sfが移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sB側に位置するので、突起形状Emにより隙間が形成されて、全面が密着されてしまうことなく、吸引されて吸着支持される。
【0035】
このため、移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBに面接触支持されて移送されるA系統またはB系統のキッチンペーパーPは、それぞれ交互に移送方向中央Pcに谷折りの折り目が付けられて2つ折りにされた両半面Phの間に、前後の半面Phが挟み込まれた状態にスムーズに重ねられて畳まれる。
【0036】
具体的には、図4に示すように、移送前後のキッチンペーパーPは、吸引による吸着支持が停止された次の先行側半面Phが、対面側の先の後続側半面Phの内面に重ねられるように吸引されて一緒に吸着支持される。
【0037】
このとき、A系統またはB系統のキッチンペーパーPは、その移送方向中央Pc側に2枚の端辺Peが位置するように先の後続側半面Phと次の先行側半面Phとが差し込まれて挟まれた状態に畳まれる際に、その次の先行側半面Phが外周面111sA、111sBに密着する状態を解消できずに張り付いてしまうことなく、容易に剥離されて(離隔されて)重ねられる。
【0038】
この後に、重ねられたキッチンペーパーPは、移送ロール111A、111Bの更なる回転と共に吸引も停止されることにより、その回転に伴って下方に積まれている束10Bに引き摺られるように外周面111sA、111sBから離隔されて積み重ねられる。
【0039】
このとき、このようにして重ねられるキッチンペーパーPは、移送方向中央Pcに位置する谷折り外面の折辺Pfに、移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBの内側から外側に移動するように回転する剥離装置114A、114Bの剥離レバー114eA、114eBが突き当たる。このため、キッチンペーパーPは、この剥離装置114A、114Bの剥離レバー114eA、114eBによって、その移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sBから機械的に引き離されるように案内されることによって、スムーズに、下方の束10B上に重ねられるように案内されて積まれる。
【0040】
このように本実施形態のキッチンペーパー束10Bの作製方法を実行するインターフォルダ装置100(折り畳み機構110)においては、キッチンペーパーPの突起形状Emの形成表面Sfの裏面Sbが対面するように2つ折りするので、キッチンペーパーPの突起形状Emの形成表面Sfを外面側で均一に露出させつつ、不都合なく2つ折りして積み重ねることができる。このため、キッチンペーパーPは、突起形状Emの形成面が表裏バラバラで使い勝手が悪くなることなく、安定した品質のキッチンペーパー束10Bに作製して提供することができる。
【0041】
また、突起形状Emの形成表面Sf側を移送ロール111A、111Bの外周面111sA、111sB側に吸着して面接触支持しつつ2つ折りするので、安定して、かつ張り付くなどの吸着ミスなく(効率よく)高品質に2つ折りする作業をインターフォルダ装置100に行わせてキッチンペーパー束10Bを作製することができる。
【0042】
ここで、2つ折りされるキッチンペーパーPは、突起形状Emの形成表面Sfと、その裏面Sbとのいずれを対面させるように2つ折りするかで、その2つ折りに抗する剛性が異なることになる。このため、本実施形態のように、突起形状Emの形成表面Sfの裏面Sbを対面させる、言い換えると、突起形状Emを外面側にすることによって、インターフォルダ装置100によりスムーズに2つ折りすることができる。
【0043】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0044】
10 収納箱
10B キッチンペーパーの束
10P キッチンペーパーのパッケージ
100 インターフォルダ装置
102A、102B 切断装置
103A、103B カッタ
110 折り畳み機構
111A、111B 移送ロール
111dA、111dB 折曲溝
111pA、111pB 折曲突起
111sA、111sB 外周面
114A、114B 剥離装置
114eA、114eB 剥離レバー
115A、115B 吸引流路
Em 突起形状
P キッチンペーパー
Pc 移送方向中央
Pe 端辺
Pf 折辺
Ph 半面
Pn 平面形状
Sb 裏面
Sf 形成表面
図1
図2
図3
図4