(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された有人無人兼用フォークリフトでは、無人運転中の一時的な停車状態であるのか、有人運転のためのオペレータの搭乗が可能な停止状態であるのかを確認することが困難であるという問題がある。特に、フォークリフトの場合では、有人運転のときにオペレータがフォークリフトから離席することが多く、フォークリフトの状態を確認する必要性は高い。因みに、搭乗を意図するオペレータが車体に設けた有人無人切換スイッチの状態を確認することで、有人無人兼用フォークリフトがどのような状態であるかを確認できる。しかし、有人無人切換スイッチの状態を確認する場合でも、オペレータは有人無人切換スイッチが確認できる特定の方向から車体に接近した場合にのみ確認でき、特定の方向以外の方向については有人無人兼用フォークリフトの状態を確認することはできない。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、無人運転モード時の一時的な停車状態か、有人運転モード時のオペレータの搭乗が可能な停止状態かを車体の周囲から直感的に確認できる有人運転無人運転兼用型の産業車両の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、運転席を備えた車体と、前記車体に設けられ、搭乗オペレータによる有人運転モードと搭乗オペレータの非搭乗の無人運転モードとを切り換え可能な運転モード切換スイッチと、前記車体に搭載され、前記運転モード切換スイッチの切り換えにより選択された運転モードに基づいて制御する制御装置と、を備えた有人運転無人運転兼用型の産業車両において、前記車体に設けられ、前記車体の周囲へ向けて発光可能な有人運転モード表示灯を有し、
前記車体に接近する対象を検知する検知センサを備え、前記制御装置は、有人運転モードを検知し
、かつ、停車中に前記検知センサが前記車体に接近する対象を検知したときに前記有人運転モード表示灯を点灯し、無人運転モードを検知したときに前記有人運転モード表示灯を消灯することを特徴とする。
【0007】
本発明では、運転席に搭乗オペレータが不在であっても有人運転モードでは、有人運転モード表示灯が点灯され、搭乗オペレータが非搭乗である無人運転モードでは有人運転モード表示灯は常に消灯されている。また、車体に設けられた有人運転モード表示灯の発光は、車体の周囲から認識可能である。このため、産業車両が搭乗可能な状態(有人運転モードであって搭乗者が運転席に不在の状態)か、搭乗不可能な状態(無人運転モードであって停車している状態)か、を車体のほぼ全周囲から直感的に確認することができる。
また、検知センサは車体に接近する対象を検知したとき、有人運転モード表示灯が点灯される。このため、例えば、車体に接近する人は、産業車両が搭乗可能な状態か、搭乗不可能な状態か、を直感的に確認することができる。
【0008】
また、上記の有人運転無人運転兼用型の産業車両において、有人運転無人運転兼用型の産業車両フォークリフトであり、前記有人運転モード表示灯は、前記運転席の上方に設けたヘッドガードに設けられている構成としてもよい。
この場合、有人運転モード表示灯は、運転席の上方のヘッドガードに設けられることから、有人運転モード表示灯の発光を車体のほぼ全周囲から確実に認識することができる。
【0009】
また、上記の有人運転無人運転兼用型の産業車両において、前記有人運転モード表示灯は、前記運転席の近傍に設けられる構成としてもよい。
この場合、有人運転モード表示灯が運転席の近傍に設けられるので、搭乗オペレータの搭乗・非搭乗および有人運転モード表示灯の点灯・消灯の確認がし易くなる。
【0011】
また、上記の有人運転無人運転兼用型の産業車両において、前記運転席における搭乗オペレータの有無を検知する搭乗オペレータ検知手段を備え、前記制御装置は、前記搭乗オペレータ検知手段により搭乗オペレータの存在を検知したとき、前記有人運転モード表示灯を消灯する構成としてもよい。
この場合、運転席に搭乗オペレータの存在が搭乗オペレータ検知手段により検知されると、点灯中の有人運転モード表示灯は制御装置により消灯される。このため、有人運転モード表示灯の発光が、運転席における搭乗オペレータの運転を妨げることはない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無人運転モード時の一時的な停車状態か、有人運転モード時のオペレータの搭乗が可能な停止状態か、を車体の周囲から直感的に確認できる有人運転無人運転兼用型の産業車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る有人運転無人運転兼用型の産業車両としてのフォークリフトについて図面を参照して説明する。本実施形態のフォークリフトは、有人運転モードと無人運転モードとを切り換え可能な有人運転無人運転兼用型のリーチ式フォークリフト(以下、単に「フォークリフト」と表記する)である。なお、方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」については、フォークリフトのオペレータが立席運転席に搭乗して、フォークリフトの前進側を向いた状態を基準として示す。
【0015】
図1に示すように、フォークリフトは車体10および荷役装置14を備えている。車体10は、車体本体11を備えており、
図1、
図2に示すように、フォークリフトの車体本体11の前部には、左右一対のリーチレグ12が設けられている。各リーチレグ12の先端部には、前輪13L、13Rがそれぞれ支持されている。
図1では左のリーチレグ12と左の前輪13Lのみが示される。両リーチレグ12の間には、荷役装置14が備えられており、荷役装置14は前後方向へのリーチ動作を行えるように支持されている。荷役装置14のリーチ動作は、車体本体11の後部に設けられたリーチシリンダ(図示せず)の作動により行われる。
【0016】
荷役装置14は、左右のリーチレグ12に支持されたアウタマスト15と、アウタマスト15に昇降可能に支持されたインナマスト16とを備えている。インナマスト16には、リフトサポート17が昇降可能に支持されている。リフトサポート17の前面には、左右一対のフォーク18が支持されている。フォーク18の上端は、フォーク18のティルト動作を可能とするようにリフトサポート17に軸支されている。従って、フォーク18は前後に傾動可能である。フォーク18の上方には、リフトブラケット19が備えられている。アウタマスト15の後方にはインナマスト16を昇降させるリフトシリンダ20が固定されている。
【0017】
車体本体11の後部の左側には、ドライブユニット22が設けられている。ドライブユニット22は走行用モータ23と、走行用モータ23の下部に支持された駆動輪24を備えている。走行用モータ23は駆動輪24を駆動し、フォークリフトは駆動輪24の駆動により路面Fを走行する。また、ドライブユニット22には駆動輪24を操舵するための操舵用モータ(図示せず)が備えられている。車体本体11の後部右側には運転席としての立席運転席25が設けられている。車体本体11における立席運転席25の下方には、キャスタ輪26が支持されている。
【0018】
立席運転席25の床面には、搭乗オペレータ検知手段としてのフロアスイッチ27が備えられている。フロアスイッチ27は、搭乗オペレータの有無を検知するスイッチであり、搭乗オペレータが立席運転席25に搭乗すると搭乗オペレータの自重によりオンとなる。立席運転席25の床面には、ブレーキペダル28が備えられている。ブレーキペダル28は踏み込まれることにより制動を解除するブレーキペダルである。立席運転席25の前部には右から順番にアクセルレバー29、リフトレバー30、リーチレバー31、ティルトレバー32が備えられている。立席運転席25の左側には操舵用のノブ付のステアリングホイール33が備えられている。なお、
図2に示すように、アクセルレバー29、リフトレバー30、リーチレバー31、ティルトレバー32およびステアリングホイール33は、車体本体11に備えられたインストルメントパネル21上に設けられている。
【0019】
車体10は、車体本体11のほかピラー34およびヘッドガード35を備えている。車体本体11の前部には、左右一対のピラー34が備えられており、左右一対のピラー34はヘッドガード35を支持している。ヘッドガード35は、立席運転席25の上方に設けられており、立席運転席25に搭乗した搭乗オペレータを保護する機能を備えている。
図1、
図3に示すように、ヘッドガード35の上部には、有人運転モード表示灯36が備えられている。有人運転モード表示灯36は黄色光を発光するランプであり、基本的に、フォークリフトが有人運転モードの状態のとき点灯され、無人運転モードのときに常に消灯される。ヘッドガード35の上部は、運転席近傍であって、フォークリフトの全周囲から有人運転モード表示灯36の発光が見える位置である。なお、本実施形態では、有人運転モード表示灯36をヘッドガード35の上部に設けたが、ヘッドガード35の下部に有人運転モード表示灯36を設けてもよい。ヘッドガード35の下部に有人運転モード表示灯36を設けても、有人運転モード表示灯36の発光は、僅かにピラー34等により遮られる方向もあるが、フォークリフトのほぼ全周囲から見える。このように、有人運転モード表示灯36は、特定の方向からではなくフォークリフトの全周囲であって、しかもフォークリフトから接近しなくてもある程度離れた位置からも視認可能となっている。
【0020】
立席運転席25の左側となる車体本体11の後部には、運転モードを切り換えるための操作ユニット37が備えられている。操作ユニット37は、運転モード切換用の運転モード切換スイッチ38と、運転モードを表示する表示部としてのモニタ39を有する。例えば、搭乗オペレータが運転モード切換スイッチ38を有人運転モードに切り換えるように操作すると、フォークリフトは有人運転が可能な状態となる。また、運転モード切換スイッチ38を無人運転モードに切り換えるように操作すると、フォークリフトは自動運転又は遠隔操作による運転といった無人運転が可能な状態となる。モニタ39は運転モード切換スイッチ38によって選択された運転モードを表示する。
【0021】
本実施形態のフォークリフトは、搭乗オペレータがフォークリフトに搭乗せずに運転される無人運転モードによる無人運転が可能である。無人運転を可能とするため、左右のリーチレグ12の前端部には前部障害物センサ40がそれぞれ備えられている。前部障害物センサ40はレーザーセンサであり、運転中にリーチレグ12の前方および側方の広角度の範囲(半径数メートル以内)における障害物の有無を検知する。車体本体11の後部には後部障害物センサ41が備えられている。後部障害物センサ41は、前部障害物センサ40と同じレーザーセンサであり、車体本体11の後方の広角度の範囲(半径数メートル以内)における障害物の有無を検知する。前部障害物センサ40および後部障害物センサ41は、車体本体11に接近する対象を検知する検知センサに相当する。また、
図1に示すように、車体本体11には、磁気センサ42が備えられている。磁気センサ42は、自動運転において路面Fの走行経路に設けられた磁気テープ(図示せず)を検知するためのセンサである。磁気センサ42は、自動運転のための走行経路を検知する走行経路検知センサに相当する。
【0022】
本実施形態のフォークリフトは、フォークリフトの各部を制御する制御装置43を備えている。
図4に示すように、制御装置43は、有人運転モード制御部44と、無人運転モード制御部45を備えている。有人運転モード制御部44は、有人運転モードによる運転のためにフォークリフトの各部の制御を行い、無人運転モード制御部45は、無人運転モードによる運転のためにフォークリフトの各部の制御を行う。制御装置43は、操作ユニット37の運転モード切換スイッチ38と接続されており、運転モード切換スイッチ38の切り換えにより、運転モードを選択する。有人運転モード制御部44および無人運転モード制御部45は物理的に互いに離れた位置に設けられてもよい。
【0023】
有人運転モード制御部44および無人運転モード制御部45は、演算処理部(図示せず)および記憶部(図示せず)をそれぞれ備える。有人運転モード制御部44が備える記憶部には有人運転のために必要なプログラムが格納されている。無人運転モード制御部45が備える記憶部には無人運転のために必要なプログラムが格納されている。無人運転モード制御部45は、車体本体11に搭載された通信装置(図示せず)と接続されている。通信装置は、上位システム(図示せず)からの無人運転のための指令を無線通信により受けるために備えられている。
【0024】
制御装置43は、前部障害物センサ40、後部障害物センサ41、磁気センサ42と接続されている。前部障害物センサ40、後部障害物センサ41、磁気センサ42は、無人運転モードだけでなく有人運転モードにおいても機能する。制御装置43は、ドライブユニット22を制御して走行用モータ23の駆動および駆動輪24の操舵を制御するほか、荷役のための荷役ポンプ(図示せず)を制御する。ドライブユニット22、荷役ポンプは、有人運転モードおよび無人運転モードにて制御装置43により制御される。
【0025】
制御装置43はフロアスイッチ27と接続されている。制御装置43は、フロアスイッチ27がオンとなると、立席運転席25に搭乗オペレータが搭乗していることを検知する。フロアスイッチ27がオンの状態では、フォークリフトは制動解除されており、走行可能な状態となる。
【0026】
制御装置43は、有人運転モード表示灯36と接続されており、有人運転モード表示灯36の点灯および消灯を制御する。制御装置43は、運転モード切換スイッチ38が有人運転モードに入っている状態では、基本的に有人運転モード表示灯36を点灯させるが、有人運転モードにおいて立席運転席25に搭乗オペレータが搭乗した状態では、有人運転モード表示灯36を消灯させる。つまり、制御装置43は、有人運転モードを検知したときに有人運転モード表示灯36を点灯し、無人運転モードを検知したときに有人運転モード表示灯36を消灯する。
【0027】
次に、本実施形態のフォークリフトの使用方法について説明する。搭乗オペレータの操作による有人運転を行う場合、搭乗オペレータは、運転モード切換スイッチ38を有人運転モードとなるように入れて立席運転席25に搭乗する。搭乗オペレータの搭乗後、運転モード切換スイッチ38が有人運転モードに入っていることにより、フォークリフトは有人運転モードであり、制御装置43の有人運転モード制御部44は、搭乗オペレータの運転操作に応じてフォークリフトの各部を制御する。具体的には、立席運転席25の搭乗オペレータは、アクセルレバー29、リフトレバー30、リーチレバー31、ティルトレバー32、ステアリングホイール33を操作して荷役作業を行う。搭乗オペレータが搭乗している状態では、フロアスイッチ27がオンの状態であるため、有人運転モード表示灯36は消灯されている。
【0028】
ところで、本実施形態のフォークリフトでは、有人運転モードにおいてフォークリフトを停車して搭乗オペレータが立席運転席25から離席することがあり得る。搭乗オペレータが立席運転席25から離席した場合、フォークリフトが有人運転モードにおける一時停車の状態か、無人運転モードにおける一時停車の状態か、を確認する必要がある。因みに、無人運転モードにおける一時停車の場合は、フォークリフトが動き出す可能性があるため、フォークリフトに近づかないことが望ましい。本実施形態では、有人運転モード表示灯36が全方向に向けて発光可能となっている。このため、フォークリフトの周囲にいる人は、特定の方向からしか有人運転モード表示灯36を確認できないことはなく、また、フォークリフトに接近することなくある程度はなれた位置からでも有人運転モード表示灯36を確認できる。
【0029】
本実施形態では、搭乗オペレータが立席運転席25から離席した場合、フロアスイッチ27がオフになるため、制御装置43は、有人運転モード表示灯36を点灯する。このため、フォークリフトの周囲から有人運転モード表示灯36の点灯を確認することにより、フォークリフトが有人運転モードにおける一時停車の状態であることが直感的に確認できる。言い換えれば、フォークリフトの周囲にいる人は、有人運転モードであるかがフォークリフトを一目見ただけで理解できる。フォークリフトが有人運転モードにおける一時停車の状態であれば、フォークリフトは操作されないかぎり作動することはないので、フォークリフトに近づくことができる。
【0030】
一方、フォークリフトを無人運転モードにより運転させる場合には、オペレータはキーオンの状態で運転モード切換スイッチ38を無人運転モードとなるように入れる。オペレータは運転モード切換スイッチ38を無人運転モードに入れた後、フォークリフトから離れ、自動運転のために上位システムからの自動運転の指令をフォークリフトへ伝達するように、上位システムを操作する。フォークリフトは、上位システムからの自動運転の指令を受けて無人運転モードとなり、制御装置43の無人運転モード制御部45がフォークリフトの各部を制御することにより、自動走行を開始する。本実施形態では、フォークリフトは、磁気センサ42により路面Fに設けた磁気テープを検知しながら自動運転を行う。フォークリフトは無人運転モードによる自動運転であるため、制御装置43は有人運転モード表示灯36を点灯しない。従って、フォークリフトの無人運転モードによる自動運転中では、フォークリフトが一時的に停車しても有人運転モード表示灯36は点灯されない。
【0031】
本実施形態のフォークリフトは以下の作用効果を奏する。
(1)立席運転席25に搭乗オペレータが不在であっても有人運転モードでは、有人運転モード表示灯36が点灯され、搭乗オペレータの非搭乗の無人運転モードでは有人運転モード表示灯36は常に消灯されている。また、車体10に設けられた有人運転モード表示灯36の発光は、車体本体11の全周囲から認識可能である。このため、フォークリフトが搭乗可能な状態(有人運転モードであって搭乗オペレータが立席運転席25に不在の状態)か、搭乗不可能な状態(無人運転モードであって停車している状態)か、を車体本体11の全周囲から直感的に確認することができる。
【0032】
(2)有人運転モード表示灯36は、立席運転席25の上方に設けたヘッドガード35に設けられていることから、有人運転モード表示灯36の発光を車体本体11の全周囲から確実に認識することができる。
【0033】
(3)フロアスイッチ27は、立席運転席25における搭乗オペレータの有無を検知するため、制御装置43は、フロアスイッチ27のオンにより搭乗オペレータが存在すると検知したとき、有人運転モード表示灯36を消灯する。立席運転席25に搭乗オペレータの存在が検知されることにより、点灯中の有人運転モード表示灯36は消灯される。このため、有人運転モード表示灯36の発光が、立席運転席25における搭乗オペレータの運転への煩わしさを生じさせることはない。また、搭乗オペレータの搭乗時における有人運転モード表示灯36の消灯は、電力消費を低減することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る有人運転無人運転兼用型の産業車両としての小型牽引車について図面を参照して説明する。本実施形態の小型牽引車は、有人運転モードと無人運転モードとを切り換え可能な有人運転無人運転兼用型の小型牽引車(以下、単に「牽引車」と表記する)である。なお、方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」については、牽引車のオペレータが立席運転席に搭乗して、牽引車の前進側を向いた状態を基準として示す。
【0035】
図5に示すように、牽引車50の車体51は操舵輪である前輪52と、駆動輪である左右一対の後輪53を備えている。車体51には運転席としての立席運転席55が備えられている。立席運転席55の前方には、インストルメントパネル54が備えられている。インストルメントパネル54には、ステアリングホイール56およびアクセルレバー57が備えられている。立席運転席55の床面に搭乗オペレータ検知手段としてのフロアスイッチ58が設けられている。フロアスイッチ58は、搭乗オペレータが立席運転席55に搭乗することによりオンとなるスイッチである。車体51の前部には各部を制御する制御装置59が内蔵されている。制御装置59はフロアスイッチ58と接続されている。制御装置59は、上位システム(図示せず)からの無人運転のための指令を無線通信により受けるために車体51に搭載された通信装置(図示せず)と接続されている。
【0036】
運転席近傍の車体51の後部には、有人運転モード表示灯60が設けられている。従って、有人運転モード表示灯60は車体51の全周囲から確認可能な位置に設けられている。有人運転モード表示灯60は制御装置59と接続されており、制御装置59により制御される。車体51の後部側面には運転モード切換スイッチ61が設けられている。因みに、有人運転モード表示灯60は、車体51の後部に代えて車体51の全周囲から確認可能となる車体51の前部や、ステアリングホイール56およびアクセルレバー57が備えられたインストルメントパネル54上に設けてもよい。
【0037】
本実施形態の牽引車50では、牽引車50の運転モードは、運転モード切換スイッチ61により有人運転モードおよび無人運転モードのいずれかに切り換えることにより、選択可能である。制御装置59は、有人運転モードでは、立席運転席55に搭乗オペレータが存在するときを除き、有人運転モード表示灯60を点灯する。立席運転席55に搭乗オペレータが存在するときフロアスイッチ58がオンとなることから、有人運転モードであっても有人運転モード表示灯60は制御装置59により消灯される。制御装置59は、無人運転モードでは有人運転モード表示灯60を常に消灯する。
【0038】
本実施形態によれば、立席運転席55に搭乗オペレータが不在であっても有人運転モードでは、有人運転モード表示灯60が点灯され、搭乗オペレータの非搭乗の無人運転モードでは有人運転モード表示灯60は消灯されている。また、立席運転席55の近傍に設けられた有人運転モード表示灯60の発光は、立席運転席55に搭乗オペレータが不在であると、車体51の全周囲から認識可能である。このため、牽引車50が搭乗可能な状態(有人運転モードであって搭乗オペレータが立席運転席55に不在の状態)であるか搭乗不可能な状態(無人運転モードであって停車している状態)であるかを車体51の全周囲から直感的に確認することができる。有人運転モード表示灯60が立席運転席55の近傍に設けられるので、搭乗オペレータの搭乗・非搭乗および有人運転モード表示灯60の点灯・消灯の確認がし易くなる。
【0039】
フロアスイッチ58がオンとなって立席運転席55に搭乗オペレータの存在が検知されると、点灯中の有人運転モード表示灯60は制御装置59により消灯される。このため、有人運転モード表示灯60の発光が、立席運転席55における搭乗オペレータの運転を妨げることはない。
【0040】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0041】
○ 上記の実施形態では、産業車両としてリーチ式フォークリフト又は小型牽引車を例示したが、リーチ式フォークリフトや小型牽引車に限定されない。産業車両は、例えば、トーイングトラクターであってもよい。また、フォークリフトは、リーチ式フォークリフトに限らず、例えば、カウンタウエイトを備えるカウンタ型フォークリフトであってもよい。
○ 上記の実施形態では、有人運転モード表示灯として黄色発光するランプを用いたが、この限りではない。有人運転モード表示灯の発光色は特に制約はなく自由であり、また、複数色を発光することが可能なランプや複数色のランプを組み合わせて用いてもよい。例えば、黄色発光および赤色発光可能な複色ランプでは、黄色発光は有人運転モードであることを示し、赤色発光は産業車両の異常を示すようにしてもよい。有人運転モードを示す発光色については自由であり、産業車両の利用者等によって取り決めすればよい。また、有人運転モード表示灯は、連続点灯のランプの他、回転灯や点滅灯であってもよい。さらに言うと、複数の有人運転モード表示灯を設けることも妨げない。
○ 上記の実施形態では、有人運転モードを示すために有人運転モード表示灯のみを用いたが、この限りではない。例えば、有人運転モード表示灯の発光とともにブザー音や音声による報知を行ってもよい。この場合、産業車両の停止状態が、無人運転モード時の一時的な停車状態であるのか、有人運転モード時のオペレータの搭乗が可能な停止状態であるのかをより直感的に確認することができる。
○ 上記の実施形態では、搭乗オペレータの操作による有人運転モードと、路面のテープに沿って自動走行する無人運転モードの例について説明したが、無人運転モードは自動走行に限らない。無人運転モードは、自動走行のほかリモコン等によりオペレータが動作をさせる遠隔操作による無人走行を含む。この場合、フォークリフトは、自動走行および遠隔操作による無人走行が可能である。
○ 上記の実施形態では、有人運転モードでは搭乗オペレータが搭乗している場合を除き、有人運転モード表示灯が常に点灯するとしたが、この限りではない。例えば、産業車両の車体に接近する対象を検知する検知センサ(例えば、障害物センサ)が備えられる構成としてもよい。この場合、制御装置は、停車中に検知センサが車体に接近する対象(人や物)を検知したとき、有人運転モード表示灯を点灯するように構成としてもよい。この場合、有人運転モードであれば、検知センサが停車中の車体に接近する対象を検知すると、有人運転モード表示灯が点灯される。このため、例えば、停車中の産業車両に接近することにより、産業車両が搭乗可能な状態か搭乗不可能な状態かを直感的に確認することができる。有人運転モードにおいて特定の条件下においてのみ有人運転モード表示灯を点灯させることで、電力消費の低減が可能となる。なお、検知センサは数メートルの範囲を検知可能であればよい。
○ 上記の実施形態では、有人運転モードでは搭乗オペレータが搭乗しているには、有人運転モード表示灯が消灯されるとしたが、この限りではない。例えば、有人運転モードにおいて、搭乗オペレータが搭乗している場合であっても、有人運転モード表示灯を点灯させるようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、フロアスイッチを搭乗オペレータ検知手段としたが、この限りではない。立席運転席の産業車両では、フロアスイッチに代えてブレーキペダルやアクセルレバーを搭乗オペレータ検知手段としてもよい。また、運転シートを備える産業車両では運転シートへのオペレータの着座を検知するシートスイッチを搭乗オペレータ検知手段としてもよい。
○ 上記の実施形態では、制御装置は、有人運転モードによる運転のため制御を行う有人運転モード制御部と、無人運転モードによる運転のため制御を行う無人運転モード制御部を備えたが、この限りではない。単一の運転モード制御部を有する制御装置によって有人運転モードおよび無人運転モードによる運転のため制御を行うようにしてもよい。
○ 第1の実施形態では、ヘッドガードに有人運転モード表示灯が設けられたがこの限りではない。例えば、
図6に示す別例のように、運転席近傍の車体本体11のインストルメントパネル21に有人運転モード表示灯36を設けてもよい。