特許第6891851号(P6891851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6891851
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/13 20060101AFI20210607BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20210607BHJP
   A01D 34/04 20060101ALI20210607BHJP
   A01D 34/24 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   A01D34/13 A
   A01D67/00 E
   A01D34/04
   A01D34/24 103
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-84156(P2018-84156)
(22)【出願日】2018年4月25日
(65)【公開番号】特開2019-187313(P2019-187313A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】喜安 一春
(72)【発明者】
【氏名】中井 正司
(72)【発明者】
【氏名】今田 慧
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−200188(JP,A)
【文献】 特開2006−109806(JP,A)
【文献】 特開平7−184445(JP,A)
【文献】 特開2001−299041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/13
A01D 34/04
A01D 34/30
A01D 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上側に備える機体フレーム(1)上に脱穀装置(3)を設け、該脱穀装置(3)の前方に搬送エレベーター(17)を介して刈取装置(4)を設け、該刈取装置(4)を、左右の側板(10)と底板(12)と後板(13)により構成したオーガーフレーム(14)に、リール(15)と第一刈刃(16)とオーガ(11)とを設けた構成とし、前記後板(13)の後方には第二刈刃(20)を設け、該第二刈刃(20)はオーガーフレーム(14)に取付けた平行リンク機構により構成する第二刈刃支持機構(25)の下部に取付け、第二刈刃支持機構(25)における第二刈刃(20)の刈幅方向の内側に第二刈刃(20)に駆動回転を伝達する第二刈刃駆動部(29)を設け、第二刈刃支持機構(25)における第二刈刃(20)の刈幅方向の外側に第二刈刃(20)の刈高さ位置を検出する第二刈刃刈高さ検出部(40)を設けたコンバイン。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、前記第二刈刃(20)を支持する機体左側の第二刈刃支持機構(25)は、オーガーフレーム(14)の側板(10)に回動自在に取付けた上下一対のアーム(50)と、アーム(50)に対して内側に突出して設けた左右方向の横杆(54)とを有して構成したコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の発明において、前記搬送エレベーター(17)の左側面と第二刈刃(20)の左端とを、左右方向で略同じ位置に配置し、搬送エレベーター(17)の右側の支持アーム(57)と第二刈刃取付フレーム(21)とを連結する連結フレーム(58)を設け、前記刈取装置(4)のオーガーフレーム(14)は左右幅の広い幅広オーガーフレーム(14)と左右幅の狭い幅狭オーガーフレーム(14)とを用意し、幅広オーガーフレーム(14)と幅狭オーガーフレーム(14)との選択使用可能に構成し、連結フレーム(58)は左右幅の相違するものを用意し、刈取装置(4)のオーガーフレーム(14)の左右幅によって連結フレーム(58)を選択使用する構成としたコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載の発明において、第二刈刃支持機構(25)の上下のアーム(50)の回動支点となる取付軸(51)の位置よりも収納時の第二刈刃(20)の高さ位置が上方となるように構成としたコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体フレームの下方に走行装置を設け、機体フレームの上側に脱穀装置を設け、脱穀装置に操縦部の側方に位置する搬送エレベーターを介して刈取装置を設け、該刈取装置を、オーガーフレームに、リールと第一刈刃とオーガとを設けた構成とし、オーガーフレームの後方に第二刈刃を設けた構成は、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−42062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例では、第二刈刃を支持する第二刈刃支持機構および第二刈刃駆動部をオーガーフレームの外側に配置していたので、畦際の刈取作業中に第二刈刃支持機構および第二刈刃駆動部が畦畔に接触するおそれがあり、畦際に接近して行う刈取作業の操作性を難しくして、操作性が低下するという課題があった。
本願は、第二刈刃の支持構成を工夫し、畦畔との接触の防止を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、走行装置2の上側に備える機体フレーム1上に脱穀装置3を設け、該脱穀装置3の前方に搬送エレベーター17を介して刈取装置4を設け、該刈取装置4を、左右の側板10と底板12と後板13により構成したオーガーフレーム14に、リール15と第一刈刃16とオーガ11とを設けた構成とし、前記後板13の後方には第二刈刃20を設け、該第二刈刃20はオーガーフレーム14に取付けた平行リンク機構により構成する第二刈刃支持機構25の下部に取付け、第二刈刃支持機構25における第二刈刃20の刈幅方向の内側に第二刈刃20に駆動回転を伝達する第二刈刃駆動部29を設け、第二刈刃支持機構25における第二刈刃20の刈幅方向の外側に第二刈刃20の刈高さ位置を検出する第二刈刃刈高さ検出部40を設けたコンバインとしたものである。
請求項2記載の発明は、前記第二刈刃20を支持する機体左側の第二刈刃支持機構25は、オーガーフレーム14の側板10に回動自在に取付けた上下一対のアーム50と、アーム50に対して内側に突出して設けた左右方向の横杆54とを有して構成したコンバインとしたものである。
請求項3記載の発明は、前記搬送エレベーター17の左側面と第二刈刃20の左端とを、左右方向で略同じ位置に配置し、搬送エレベーター17の右側の支持アーム57と第二刈刃取付フレーム21とを連結する連結フレーム58を設け、前記刈取装置4のオーガーフレーム14は左右幅の広い幅広オーガーフレーム14と左右幅の狭い幅狭オーガーフレーム14とを用意し、幅広オーガーフレーム14と幅狭オーガーフレーム14との選択使用可能に構成し、連結フレーム58は左右幅の相違するものを用意し、刈取装置4のオーガーフレーム14の左右幅によって連結フレーム58を選択使用する構成としたコンバインとしたものである。
請求項4記載の発明は、第二刈刃支持機構25の上下のアーム50の回動支点となる取付軸51の位置よりも収納時の第二刈刃20の高さ位置が上方となるように構成としたコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、第二刈刃20を支持する第二刈刃支持機構25の内側に第二刈刃20に駆動回転を伝達する第二刈刃駆動部29を設け、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の外側に第二刈刃20の刈高さ位置を検出する第二刈刃刈高さ検出部40を設けているので、第二刈刃20の第二刈刃駆動部29はオーガーフレーム14の後方に位置して走行中に畦畔に接触するのを防止して破損を防止でき、また、第二刈刃刈高さ検出部40は第二刈刃20により刈り取った切断穀稈屑との接触を防止して検出精度に悪影響を与えない。
請求項2記載の発明では、第二刈刃20を支持する第二刈刃支持機構25は、オーガーフレーム14の側板10に回動自在に取付けた上下一対のアーム50と、アーム50を取付けた支持部材52と、支持部材52に取付けた横杆54とを有して構成しているので、第二刈刃20は横杆54の長さ分アーム50よりも内側に位置し、第二刈刃取付フレーム21による泥押しを防止でき、藁抜けが良好となる。
請求項3記載の発明では、機体側の支持アーム57と第二刈刃取付フレーム21とを連結する連結フレーム58を設け、連結フレーム58は左右幅の相違するものを用意し、刈取装置4の左右幅によって選択使用する構成としているので、左右幅の相違する支持アーム57の左右位置を、長さの相違する連結フレーム58を選択使用することにより吸収し、左右幅の相違するオーガーフレーム14の取付を可能にして、部品を共用化でき、コストダウンを図れる。
請求項4記載の発明では、第二刈刃支持機構25の上下のアーム50の回動支点となる取付軸51の位置よりも収納時の第二刈刃20の高さ位置が上方となるように構成しているので、旋回時の第二刈刃20と圃場との接触を回避でき、破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コンバインの側面図。
図2】第二刈刃付近の一部背面図。
図3】同右側面図。
図4】第二刈刃付近の左側面図。
図5】同一部背面図。
図6】刈取装置および第二刈刃の概略平面図。
図7】第二刈刃付近の側面図。
図8】コンバインの平面図。
図9】刈取装置の側面図。
図10】同一部平面図。
図11】走行方向制御センサの他の実施形態の平面図。
図12】排塵ファン付近の側面図。
図13】同平面図。
図14】同他の実施形態の側面図。
図15】同他の実施形態の平面図。
図16】同他の実施形態の概略正面図。
図17】同他の実施形態の概略平面図。
図18】搬送エレベータ付近の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は刈り取った圃場の穀稈を投入して脱穀する所謂汎用コンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は刈取装置、5はグレンタンク、6は操縦部である。
刈取装置4は、左右側板10と、後述するオーガー11の下方に位置する底板12と、左右の側板10と底板12とを連結するように設けた後板13により構成したオーガーフレーム14に、リール15と、第一刈刃16と前記オーガー11を設けて構成する。オーガーフレーム14には搬送エレベーター17の先端を取付け、搬送エレベーター17の基部は脱穀装置3の脱穀室に接続する。前記オーガーフレーム14は前記操縦部6のすぐ前方に位置させ、前記搬送エレベーター17は前記操縦部6の側部に位置させる。
また、刈取装置4は、搬送エレベーター17と共に、刈取上下シリンダにより搬送エレベーター17の基部側を回動中心にして上下するように構成している。
【0009】
前記オーガーフレーム14の後板13の後方には第二刈刃20を設ける。第二刈刃20は、第一刈刃16により高刈りを行った際に、圃場に残存している残存穀稈を株元から切断するものである。
第二刈刃20は第二刈刃取付フレーム21に取付け、第二刈刃取付フレーム21は左右の第二刈刃支持機構(リンク機構)25によりオーガーフレーム14に対して上下動自在に取付ける。
第二刈刃支持機構25の構成は任意であるが、一例を示すと、図2、3の実施形態では、上側アーム22の基部を固定部に回動自在に取付け、上側アーム22の先端に下側アーム23の基部を回動自在に取付け、下側アーム23の先端に第二刈刃20の第二刈刃取付フレーム21を取付けている。図2は、第二刈刃取付フレーム21を背面から見ており、図2、3の第二刈刃支持機構25は第二刈刃20の右側を支持する。
【0010】
第二刈刃支持機構25の上側アーム22の先端と下側アーム23の基部との取付部分のボス部27には横軸28を軸装し、該横軸28の一端(内端)側には前記搬送エレベーター17からの駆動回転を伝達する第二刈刃駆動部29を設ける。30は搬送エレベーター17の駆動軸、31は駆動軸30の歯車32と横軸28の歯車33の間に掛け回したチェンである。
前記横軸28の他端(外端)には、回転運動を往復正逆回転運動に変換する運動変換機構部34を設ける。横軸28は運動変換機構部34へ駆動回転を入力する入力軸として作用する。35は運動変換機構部34により回転出力される回転を伝達する伝動軸、36はアーム、37はロッド、38は第二刈刃20側に取付けた移動体である。
【0011】
第二刈刃20の第二刈刃支持機構25は、オーガーフレーム14の側板10の略真後ろに位置させ、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の内側に前記第二刈刃駆動部29を設け、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の外側に第二刈刃20の刈高さ位置を検出する第二刈刃刈高さ検出部40を設ける(図2)。
そのため、第二刈刃20の第二刈刃駆動部29はオーガーフレーム14の後方に位置して走行中に畦畔に接触するのを防止して破損を防止でき、また、第二刈刃刈高さ検出部40は第二刈刃20により刈り取った切断穀稈屑との接触を防止して検出精度に悪影響を与えない。
【0012】
41は第二刈刃刈高さ検出部40の検知体、42は検知体41の位置を検出するポテンショメータ等の検出具、43は第二刈刃上下シリンダであり、例えば、第二刈刃刈高さ検出部40の検知体41が圃場に接触して検出具42が所定値になると、第二刈刃上下シリンダ43を自動的に縮小させて第二刈刃支持機構25を介して所定高さ位置まで第二刈刃20を上昇させ、第二刈刃刈高さ検出部40の検知体41が圃場上面から離れ、検出具42が所定値以上の第二刈刃20の上昇を検知すると、第二刈刃上下シリンダ43を自動的に伸長させて第二刈刃支持機構25を介して所定高さ位置まで第二刈刃20を下降させ、これを反復して第二刈刃20の刈高さ自動制御を行う。
なお、第二刈刃上下シリンダ43はオーガーフレーム14に対して第二刈刃20を上下動させて第二刈刃20の刈高さを自動制御するが、第二刈刃20の刈高さ自動制御とは無関係に刈取装置4の刈高さ自動制御は別途行われるが、刈取装置4の刈高さ自動制御は本願の要件でないので詳細は省略する。
【0013】
第二刈刃支持機構25の機体走行方向の外側に前記第二刈刃駆動部29を設け、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の内側に第二刈刃20の刈高さ位置を検出する第二刈刃刈高さ検出部40を設ける。
そのため、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の外側に第二刈刃駆動部29を設けているので、第二刈刃20の刈幅を広くすることができ、また、第二刈刃駆動部29は第二刈刃20の後方に位置しないので、切断穀稈屑との接触を防止して作動を安定させられる。
刈取装置4の機体左側の第二刈刃支持機構25は、上下一対のアーム50の基部を取付軸51によりオーガーフレーム14の側板10に回動自在に取付け、アーム50の先端は支持部材52に取付軸53により回動自在に取付け、支持部材52には左右方向で内側に突出する横杆54の一端を固定状態に取付け、横杆54の他端に縦杆55の上部を固定し、縦杆55の下部に第二刈刃取付フレーム21を固定状態に取付けている(図4)。
【0014】
そのため、第二刈刃20はアーム50(第二刈刃支持機構25)よりも内側に位置し、第二刈刃取付フレーム21による泥押しを防止でき、穀稈抜けが良好となる。
図6は第二刈刃20の他の実施形態を示し、搬送エレベーター17の左側面と第二刈刃20の左端とを、左右方向で同じ位置に配置し、機体の左側の支持アーム57と第二刈刃取付フレーム21とを連結する連結フレーム58を設け、連結フレーム58は左右幅の相違するものを用意し、刈取装置4の左右幅によって選択使用する。
すなわち、刈取装置4は左右幅の広い幅広オーガーフレーム14と左右幅の狭い幅狭オーガーフレーム14とを用意し、幅広オーガーフレーム14と幅狭オーガーフレーム14とによって相違する支持アーム57の左右位置を長さの相違する連結フレーム58を選択使用することにより吸収して兼用して取付可能とする。
そのため、部品を共用化でき、コストダウンを図れる。
【0015】
第二刈刃支持機構25の上下のアーム50の回動支点となる取付軸51の高さ位置に対して、収納時の第二刈刃20の高さ位置が同じか上方となるように構成する(図4、7)。
そのため、旋回時の第二刈刃20の圃場との接触を回避でき、破損を防止できる。
刈取装置4のオーガーフレーム14の左右側板10のそれぞれの前側には分草体61を設け、左右の分草体61の何れか一方または両方には走行方向制御センサ(ACDセンサ・穀稈感知センサ)62を夫々設ける(図8)。
走行方向制御センサ62は、分草体61の左右両側に側方に突出するように内側検出体63と外側検出体64とをそれぞれ設けて構成する。内側検出体63と外側検出体64は前側の基部の部分を分草体61にそれぞれ回動自在であって、常時外側に回動するように付勢して設け、圃場の穀稈が内側検出体63と外側検出体64に接触すると内側検出体63と外側検出体64の後端側が縦軸回動して穀稈を感知する構成である。
【0016】
この場合、内側検出体63と外側検出体64は、平面視において、後方に至るに従い分草体61から離れるように略同じ傾斜角度となるように設けるが、内側検出体63の後端よりも外側検出体64の後端の出代を大きく形成する。
そのため、畦際刈のとき、走行方向制御センサ62(分草体61)は畦と穀稈との間を通過し、外側検出体64が畦を感知すると(図10)、圃場内側へ走行方向を誘導し、内側検出体63が穀稈感知すると、畦側へ走行方向を誘導するが、外側検出体64の方が出代が大きいので、畦より穀稈側に寄って機体が走行するように誘導でき、畦への突っ込みを防止する。
また、走行方向制御センサ62による自動制御は、内側検出体63が感知すると外側に方向制御し、一定時間内側検出体63が感知しなければ内側に方向制御し、さらに、一定時間内側検出体63が感知しなければ再度内側に方向制御する。
【0017】
そのため、右分草体61が常に右側の穀稈に近づいた位置を保持することができ、畦際等で雑草による外側検出体64の誤感知を予防できる。
また、走行方向制御センサ62の内側検出体63と外側検出体64の制御を選択可能な切替スイッチ65を設ける。
そのため、雑草等で外側検出体64が誤感知しやすい圃場と、誤感知の少ない圃場とで、制御の切替を可能にして、作業性を向上させられる。
図11は走行方向制御センサ62の他の実施形態を示し、左右の分草体61にそれぞれ内側検出体63を設け、左右の内側検出体63の一方が穀稈を感知すると、感知した方向と反対方向に方向制御し、左右の内側検出体63が穀稈を感知すると、警報を発し、作業者に条外れの危険性を通知する。
【0018】
そのため、左右の内側検出体63により刈幅全域の穀稈列からはみ出さないように方向制御すると共に、左右の内側検出体63が穀稈を感知すると、条外れと判定し、警報を発すると共に、作業者に条外れの危険性を通知するので、迅速な対応が可能となる。
搬送エレベーター17のエレベータケース70の上面には、開口部(排塵口)71を設け、開口部71の上方に排塵ファン72を設け、排塵ファン72の周囲には排塵ファンケース73を設ける(図12)。排塵ファンケース73の前面74は、搬送エレベーター17のエレベータドラム75の中心より前方に位置させる。
そのため、排塵ファン72を刈取装置4のオーガーフレーム14の後板13に接近させることが可能になって、搬送エレベーター17内のみならず、オーガーフレーム14内の塵埃の排出も可能となる。
側面視において、開口部71に対して、排塵ファン72を後傾姿勢に配置する(図12)。
【0019】
そのため、オーガーフレーム14から搬送エレベーター17に向かうように、排塵ファン72は搬送エレベーター17のエレベータケース70内を吸引し、搬送エレベーター17内のみならず、オーガーフレーム14内の塵埃の排出も可能となる。
前記開口部71は、平面視において矩形形状に形成する(図15)。
そのため、円形の排塵ファン72の先端移動軌跡よりも開口部71の開口面積の方が大きくなり、エレベータケース70内の吸引効率を向上させられる。
前記エレベータケース70の開口部71上には網体76を設け、網体76と排塵ファン72の下面との間に所定の隙間77を設ける(図14)。
そのため、網体76に仮に穀稈屑等の異物が付着しても、隙間77により排塵ファン72と異物の接触を防止し、排塵ファン72の破損・故障を防止する。
【0020】
排塵ファンケース73の上部には蓋部材78をノブボルト等の取付具79により着脱自在に取付ける(図16)。
そのため、蓋部材78を外すと、排塵ファンケース73をエレベータケース70から外すことなく、排塵ファンケース73内のメンテナンスをすることができる。
この蓋部材78には、取っ手80を設ける。
そのため、蓋部材78の着脱を容易にする。
また、排塵ファン72は、蓋部材78側に取付け、蓋部材78と一緒に排塵ファンケース73に対して着脱自在に構成してもよい(図16)。
そのため、蓋部材78と一緒に排塵ファン72を外すと、排塵ファン72のメンテナンスに加えて、排塵ファンケース73内および網体76等のメンテナンスも容易に行える。
【0021】
この場合、蓋部材78と一緒に排塵ファン72を外すと、網体76に直接手が触れられるように構成すると、一層、メンテナンスを容易に行える。
また、図16のように、蓋部材78は排塵ファンケース73に対して軸81により回動自在に取付けて開閉可能に構成としてもよい。
そのため、蓋部材78を開閉させるだけで、排塵ファン72のメンテナンスに加えて、排塵ファンケース73内および網体76等のメンテナンスも容易にできる。
なお、図17は蓋部材78の他の実施形態を示し、取付具79を排塵ケース73の側面側に位置させている。
【0022】
搬送エレベーター17の操縦部6側のエレベータケース70の外側には、駆動チェン82を設け、駆動チェン82を包囲する包囲カバー83の上板部84はエレベータケース70の上面より側面視において低くなるように配置する(図18)。
そのため、エレベータケース70と包囲カバー83との間に段差を設けることができ、この段差を視覚により認識して、搬送エレベーター17のエレベータケース70の上に乗って行うメンテナンス作業中に誤って包囲カバー83上に乗ってしまうのを防止できる。
【0023】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、走行装置2により機体を走行させると、リール15が回転し、未刈稈を掻き込み、掻込んだ穀稈を第一刈刃16で刈取り、刈取った穀稈および穀粒を回転するオーガー11により集めて搬送エレベーター17内へ供給し、搬送エレベーター17により脱穀装置3へ供給して脱穀される。
刈取装置4のオーガーフレーム14の後方に第二刈刃20を設けているので、第一刈刃16が刈り残した圃場の残存穀稈を第二刈刃20が刈り取る。
すなわち、第一刈刃16により刈り取る穀稈長さが長いと、刈り取った穀稈を投入して脱穀する脱穀装置3の負荷を大きくするので、必要分第一刈刃16により刈り取って脱穀装置3へ供給し、刈残した圃場の残存穀稈を第二刈刃20が刈り取るのである。
【0024】
第二刈刃20を取付けた第二刈刃支持機構25のボス部27の横軸28には第二刈刃駆動部29の歯車33を設け、歯車33には搬送エレベーター17の駆動軸30の歯車32からチェン31により駆動回転が入力され、横軸28に入力された回転が第二刈刃駆動部29の運動変換機構部34により変換されて第二刈刃20に伝達されて第二刈刃20を左右方向に往復移動させて残存穀稈を切断する。
しかして、第二刈刃20の第二刈刃支持機構25は、オーガーフレーム14の側板10の略真後ろに位置させ、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の内側に前記第二刈刃駆動部29を設け、第二刈刃支持機構25の機体走行方向の外側に第二刈刃20の刈高さ位置を検出する第二刈刃刈高さ検出部40を設けているので、第二刈刃20の第二刈刃駆動部29はオーガーフレーム14の後方に位置して走行中に畦畔に接触するのを防止して破損を防止でき、また、第二刈刃刈高さ検出部40は第二刈刃20により刈り取った切断穀稈屑との接触を防止して検出精度に悪影響を与えない。
【0025】
機体左側の第二刈刃支持機構25は、上下一対のアーム50の基部を取付軸51によりオーガーフレーム14の側板10に回動自在に取付け、アーム50の先端は支持部材52に取付軸53により回動自在に取付け、支持部材52には左右方向の横杆54の一端を固定状態に取付け、横杆54の他端に縦杆55の上部を固定し、縦杆55の下部に第二刈刃取付フレーム21を固定状態に取付けているので、第二刈刃20はアーム50よりも内側に位置し、第二刈刃取付フレーム21による泥押しを防止でき、藁抜けが良好となる。
【0026】
図6の第二刈刃20の他の実施形態では、搬送エレベーター17の左側面と第二刈刃20の左端とを、左右方向で同じ位置に配置し、機体の左側の支持アーム57と第二刈刃取付フレーム21とを連結する連結フレーム58を設け、連結フレーム58は左右幅の相違するものを用意し、刈取装置4の左右幅によって選択使用し、例えば、刈取装置4は左右幅の広い幅広オーガーフレーム14と左右幅の狭い幅狭オーガーフレーム14とを用意し、幅広オーガーフレーム14と幅狭オーガーフレーム14とによって相違する支持アーム57の左右位置を長さの相違する連結フレーム58を選択使用することにより吸収して兼用して取付可能としているので、部品を共用化でき、コストダウンを図れる。
【0027】
第二刈刃支持機構25の上下のアーム50の回動支点となる取付軸51の位置よりも収納時の第二刈刃20の高さ位置が上方となるように構成しているので、旋回時の第二刈刃20の圃場との接触を回避でき、破損を防止できる。
刈取装置4のオーガーフレーム14の左右側板10のそれぞれの前側には、分草体61を設け、各分草体61には走行方向制御センサ62を夫々設け、走行方向制御センサ62は分草体61の左右両側に側方に突出するように内側検出体63と外側検出体64とをそれぞれ設けて構成し、内側検出体63と外側検出体64は前側の基部の部分を分草体61側にそれぞれ回動自在であって、常時外側に回動するように付勢して設け、圃場の穀稈が内側検出体63と外側検出体64に接触すると内側検出体63と外側検出体64の後端側が縦軸回動して穀稈を感知する構成であって、内側検出体63の後端よりも外側検出体64の後端の出代を大きく形成しているので、畦より穀稈側に寄って機体が走行するように誘導でき、畦への突っ込みを防止する。
【0028】
すなわち、外側検出体64が畦を感知すると、圃場内側へ走行方向を誘導し、内側検出体63が穀稈感知すると、畦側へ走行方向を誘導するが、外側検出体64の方が出代が大きいので、畦より穀稈側に寄って機体が走行するように誘導でき、畦への突っ込みを防止する。
また、走行方向制御センサ62による自動制御は、内側検出体63が感知すると外側に方向制御し、一定時間内側検出体63が感知しなければ内側に方向制御し、さらに、一定時間内側検出体63が感知しなければ再度内側に方向制御するので、右分草体61が常に右側の穀稈に近づいた位置を保持することができ、畦際等で雑草による外側検出体64の誤感知を予防できる。
【0029】
また、走行方向制御センサ62の内側検出体63と外側検出体64の制御を選択可能な切替スイッチ65を設けているので、雑草等で外側検出体64が誤感知しやすい圃場と、誤感知の少ない圃場とで、制御の切替を可能にして、作業性を向上させられる。
図11の走行方向制御センサ62の他の実施形態では、左右の分草体61にそれぞれ内側検出体63を設け、左右の内側検出体63の一方が穀稈を感知すると、感知した方向と反対方向に方向制御し、左右の内側検出体63が穀稈を感知すると、警報を発し、作業者に条外れの危険性を通知するので、左右の内側検出体63により刈幅全域の穀稈列からはみ出さないように方向制御すると共に、左右の内側検出体63が穀稈を感知すると、条外れと判定し、警報を発すると共に、作業者に条外れの危険性を通知するので、迅速な対応が可能となる。
【0030】
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0031】
1…フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…側板、11…オーガー、12…底板、13…後板、14…オーガーフレーム、15…リール、16…第一刈刃、17…搬送エレベーター、20…第二刈刃、21…第二刈刃取付フレーム、22…上側アーム、23…下側アーム、25…第二刈刃支持機構、27…ボス部、28…横軸、29…第二刈刃駆動部、30…駆動軸、31…チェン、32…歯車、33…歯車、34…運動変換機構部、40…第二刈刃刈高さ検出部、43…第二刈刃上下シリンダ、50…アーム、51…取付軸、52…支持部材、53…取付軸、54…横杆、55…縦杆、57…支持アーム、58…連結フレーム、61…分草体、62…走行方向制御センサ、63…内側検出体、64…外側検出体、65…切替スイッチ、70…エレベータケース、71…開口部、72…排塵ファン、73…排塵ファンケース、74…前面、75…エレベータドラム、76…網体、77…隙間、78…蓋部材、79…取付具、82…駆動チェン、83…包囲カバー、84…上板部。
図1
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