(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2溶剤は、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン及び1,3−ジオキソランのうち少なくとも1種を含む、請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
前記正孔輸送剤は、前記化学式(10−HT2)、(11−HT5)及び(12−HT9)で表される化合物のうち少なくとも一方を含む、請求項13に記載の電子写真感光体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。また、本明細書において、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰り返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
【0029】
以下、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン及びハロゲン原子は、各々、次の意味である。
【0030】
炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基及び炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基及び炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下の基又は炭素原子数が1以上4以下の基が挙げられる。
【0031】
炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、及び炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、例えば、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下の基、及び炭素原子数が1以上4以下の基が挙げられる。
【0032】
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基、及び炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基が挙げられる。より具体的な炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基が挙げられる。
【0033】
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとしては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタンが挙げられる。
【0034】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0035】
また、以下において「炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されていてもよい」とは、官能基の水素原子の一部又は全部が炭素原子数1以上4以下のアルキル基で置換されていてもよいことを意味する。
【0036】
<第1実施形態:電子写真感光体の製造方法>
本発明の第1実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある。)の製造方法は、導電性基体と感光層とを備える感光体の製造方法であって、溶剤と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有する感光層用塗布液を、導電性基体上に直接又は間接的に塗布し、溶剤の一部を除去して感光層を形成する工程を含む。溶剤は、後述する第1溶剤及び第2溶剤を含む。バインダー樹脂は、後述するポリアリレート樹脂を含む。以下、感光体の製造方法について、導電性基体と感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層とを備える感光体(以下、積層型感光体と記載することがある。)の製造方法、並びに導電性基体と単層の感光層とを備える感光体(以下、単層型感光体と記載することがある。)の製造方法の順に説明する。
【0037】
[積層型感光体の製造方法]
まず、積層型感光体の製造方法により得られる積層型感光体を説明する。
図1(a)〜
図1(c)は、それぞれ、積層型感光体である場合の感光体1の一例を示す部分断面図である。
【0038】
図1(a)に示すように、積層型感光体である場合の感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを含む。つまり、積層型感光体である場合の感光体1は、感光層3として、電荷発生層3a及び電荷輸送層3bを備える。
【0039】
積層型感光体である場合の感光体1の耐摩耗性をより向上させるためには、
図1(a)に示すように、導電性基体2上に電荷発生層3aが設けられ、電荷発生層3a上に電荷輸送層3bが設けられることが好ましい。しかし、
図1(b)に示すように、積層型感光体である場合の感光体1では、導電性基体2上に電荷輸送層3bが設けられ、電荷輸送層3b上に電荷発生層3aが設けられてもよい。
【0040】
図1(c)に示すように、積層型感光体である場合の感光体1は、導電性基体2と感光層3と中間層4(下引き層)とを備えていてもよい。中間層4は、導電性基体2と感光層3との間に備えられる。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、
図1(c)に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して備えられてもよい。
図1(a)〜(c)では、感光層3上には、保護層が設けられておらず、感光体1の最表面層が感光層3であるが、感光層3上には保護層が設けられていてもよい。
【0041】
電荷発生層3aの厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、特に限定されないが、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。以上、
図1(a)〜
図1(c)を参照して、積層型感光体である場合の感光体1の概要について説明した。以下、積層型感光体の各要素(導電性基体、感光層、及び中間層)を詳細に説明する。
【0042】
(導電性基体)
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で構成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。
【0043】
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状及びドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
【0044】
(感光層)
感光層は、電荷輸送層及び電荷発生層を含む。電荷輸送層は、炭素原子数1以上3以下のアルコール(以下、アルコールと記載することがある)と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。電荷輸送層は、添加剤を更に含有してもよい。電荷発生層は、電荷発生剤を含有し、バインダー樹脂又は添加剤を更に含有してもよい。感光層の各成分の詳細については、後述する。
【0045】
(中間層)
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
【0046】
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子及び非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
中間層に用いる中間層用樹脂及び添加剤としては、例えば、後述する感光層に用いるバインダー樹脂として例示するものと同様のものを挙げることができる。但し、中間層及び感光層を良好に形成するためには、中間層用樹脂は、感光層に含有されるバインダー樹脂と異なることが好ましい。
【0048】
(感光層形成工程)
以下、積層型感光体の製造方法の各工程を説明する。積層型感光体の製造方法は、電荷輸送層形成工程と電荷発生層形成工程とを有する感光層形成工程を備える。
【0049】
電荷輸送層形成工程では、溶剤と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有する感光層用塗布液(以下、電荷輸送層用塗布液と記載することがある。)を、導電性基体上に直接又は間接的に塗布し、溶剤の一部を除去して電荷輸送層を形成する。
【0050】
電荷発生層形成工程では、溶剤と電荷発生剤とを含有する感光層用塗布液(以下、電荷発生層用塗布液と記載することがある。)を、導電性基体上に直接又は間接的に塗布し、溶剤の少なくとも一部を除去して電荷発生層を形成する。なお、積層型感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程を更に有してもよい。中間層を形成する工程は、公知の方法を適宜選択することができる。
【0051】
電荷発生層用塗布液は、バインダー樹脂を更に含有してもよい。また、電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液は、形成される感光体に所望の特性を付与するため、添加剤を更に含有してもよい。更に、電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液は、各成分の分散性又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
【0052】
感光層用塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散器を用いることができる。
【0053】
感光層用塗布液を塗布する方法としては、均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
【0054】
感光層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。以下、感光層用塗布液の各成分について説明する。
【0055】
〔溶剤〕
電荷輸送層用塗布液が含有する溶剤は、炭素原子数1以上3以下のアルコール(以下、低級アルコールと記載することがある。)である第1溶剤と、第1溶剤以外の溶剤である第2溶剤とを含む。
【0056】
低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノールが挙げられる。感光体の帯電特性をより向上させる観点から、低級アルコールとしては、メタノール又は2−プロパノールが好ましく、メタノールがより好ましい。
【0057】
電荷輸送層用塗布液の溶剤における第1溶剤の含有割合(100×第1溶剤の質量/第1溶剤及び第2溶剤の合計質量)としては、0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。上述の第1溶剤の質量の比率が0.5質量%以上であることで、形成される感光体の帯電特性をより向上することができる。上述の第1溶剤の質量の比率が5.0質量%以下であることで、電荷輸送層用塗布液にバインダー樹脂を溶解させ易くなるため、感光層を容易に形成することができる。
【0058】
第2溶剤としては、バインダー樹脂及び正孔輸送剤を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。第2溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、塩化メチレン(ジクロロメタン)、クロロホルム(トリクロロメタン)、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、1,3−ジオキソラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上(例えば、2種)を組み合わせて用いてもよい。第2溶剤としては、ハロゲン化炭化水素又はエーテルが好ましく、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン又は1,3−ジオキソランがより好ましい。また、第2溶剤としては、トルエンと、ハロゲン化炭化水素又はエーテルとの混合溶剤も好ましい。
【0059】
電荷発生層用塗布液が含有する溶剤としては、電荷輸送層用塗布液が含有する溶剤として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、電荷輸送層用塗布液が含有する溶剤は、電荷発生層用塗布液が含有する溶剤と異なることが好ましい。電荷発生層上に電荷輸送層用塗布液を塗布する場合に、電荷発生層が電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましいからである。
【0060】
〔バインダー樹脂〕
電荷輸送層用塗布液が含有するバインダー樹脂は、下記一般式(1)で表される第1単量体(以下、単量体(1)と記載することがある。)と、下記一般式(2)で表される第2単量体(以下、単量体(2)と記載することがある。)とを含む単量体の重合物であるポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PA1)と記載することがある。)を含む。つまり、ポリアリレート樹脂(PA1)は、単量体(1)に由来する繰り返し単位と、単量体(2)に由来する繰り返し単位とを有する。
【0062】
一般式(1)中、R
11及びR
12は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R
13及びR
14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表すか、或いはR
13及びR
14は互いに結合して下記一般式(Y)で表される2価の基を表す。一般式(2)中、Xは、下記化学式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)又は(X6)で表される2価の基を表す。
【0064】
一般式(Y)中、R
20は、1価の置換基を表す。pは、1以上6以下の整数を表す。qは、0以上5以下の整数を表す。
【0066】
本発明の第1実施形態に係る感光体の製造方法は、低級アルコールを含む溶剤と、ポリアリレート樹脂(PA1)を含むバインダー樹脂とを含有する感光層用塗布液(積層型感光体の製造方法において電荷輸送層用塗布液)により感光層(積層型感光体の製造方法において電荷輸送層)を形成することで、形成される感光体の帯電特性及び耐摩耗性を向上できる。ここで、ポリアリレート樹脂(PA1)は、感光層のバインダー樹脂として用いた場合に、感光体の耐摩耗性を向上させることができるが、帯電特性を低下させる傾向にある。この理由としては、以下のように推測される。ポリアリレート樹脂(PA1)には、原料として用いた芳香族ジカルボン酸ジクロライド(単量体(2))が未反応の状態で残留している。そのため、ポリアリレート樹脂(PA1)を含有する感光層には、芳香族ジカルボン酸ジクロライドが不可避的に含まれる。そして、芳香族ジカルボン酸ジクロライドは、電気陰性度の大きい塩素原子を含むため、感光体の帯電特性を低下させると考えられる。これに対し、本発明の第1実施形態に係る感光体の製造方法では、感光層用塗布液が低級アルコールを含有する。この低級アルコールは、感光層用塗布液を調製してから塗布するまでの間に芳香族ジカルボン酸ジクロライドと反応する。また、低級アルコールは、形成された感光層に残留することによっても芳香族ジカルボン酸ジクロライドと反応する。芳香族ジカルボン酸ジクロライド及び低級アルコールの反応では、塩化水素及びジカルボン酸ジエステルが生成し、生成した塩化水素は感光層外に揮発する。その結果、感光層に含まれる芳香族ジカルボン酸ジクロライドが減少し、感光体の帯電特性が向上すると考えられる。なお、低級アルコールは、ポリアリレート樹脂(PA1)に代表されるバインダー樹脂を溶解し難いため、通常は感光層の形成には使用されない溶剤である。
【0067】
感光層における芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量をより低減させるためには、感光層用塗布液を調製してから塗布するまで一定時間静置する静置処理を行うことが好ましい。このように、感光層用塗布液に静置処理を行うことで、低級アルコール及び芳香族ジカルボン酸ジクロライドを十分に反応させることができる。具体的な静置処理時間としては、10時間以上が好ましく、20時間以上がより好ましく、40時間以上が更に好ましく、60時間以上が特に好ましく、80時間以上が最も好ましい。
【0068】
一般式(1)中、R
11及びR
12が表す炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R
11及びR
12は、両方が水素原子であるか、或いは両方がメチル基であることが好ましい。
【0069】
一般式(1)中、R
13及びR
14が表す炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。R
13及びR
14は、一方がメチル基であり、かつ他方がエチル基を表すか、或いは互いに結合して一般式(Y)で表される2価の基を表すことが好ましい。
【0070】
一般式(Y)中、R
20で表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。
【0071】
一般式(Y)中、pは、1以上3以下の整数を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。qは、0を表すことが好ましい。
【0072】
化学式(X4)で表される2価の基としては、1,4−ナフチレン基又は2,6−ナフチレン基が好ましい。
【0073】
単量体(1)は、下記一般式(1−1)又は化学式(1−2)で表される化合物(以下、それぞれ単量体(1−1)及び(1−2)と記載することがある。)を含むことが好ましい。
【0075】
一般式(1−1)中、R
11及びR
12は、一般式(1)と同義である。
【0076】
単量体(2)は、下記化学式(2−1)で表される化合物(以下、単量体(2−1)と記載することがある。)を含むことが好ましい。
【0078】
単量体(2−1)は、下記化学式(2−1−1)又は(2−1−2)で表される化合物(以下、単量体(2−1−1)及び(2−1−2)と記載することがある。)を含むことが好ましい。
【0080】
ポリアリレート樹脂(PA1)の重合に用いる単量体は、単量体(1)が単量体(1−2)を含み、かつ単量体(2)が単量体(2−1−1)及び(2−1−2)を含むことが好ましい。
【0081】
ポリアリレート樹脂(PA1)において、全繰り返し単位の物質量に対する、単量体(1)及び(2)に由来する繰り返し単位の物質量の比率(単量体(1)及び(2)に由来する繰り返し単位の物質量/全繰り返し単位の物質量)としては、0.70以上が好ましく、0.90以上がより好ましく、1.00が更に好ましい。また、ポリアリレート樹脂(PA1)において、単量体(1)及び単量体(2)に由来する繰り返し単位の物質量に対する単量体(1)に由来する繰り返し単位の物質量の比率(単量体(1)に由来する繰り返し単位の物質量/単量体(1)及び単量体(2)に由来する繰り返し単位の物質量)としては、0.45以上0.55以下が好ましい。
【0082】
ここで、ポリアリレート樹脂(PA1)が有する繰り返し単位の数とは、1本の分子鎖から得られる値ではなく、感光層に含有されるポリアリレート樹脂(PA1)の全体(複数の分子鎖)から得られる値の平均値である。また、各繰り返し単位の数は、プロトン核磁気共鳴分光計を用いてポリアリレート樹脂(PA1)の
1H−NMRスペクトルを測定し、得られた
1H−NMRスペクトルから算出することができる。
【0083】
ポリアリレート樹脂(PA1)は、繰り返し単位として、下記式(R−1)〜(R−10)で表される繰り返し単位(以下、それぞれ繰り返し単位(R−1)〜(R−10)と記載することがある。)のうち少なくとも1種を有することが好ましい。また、ポリアリレート樹脂(PA1)は、繰り返し単位として、繰り返し単位(R−1)〜(R−10)のうち1種のみを有するか、或いは2種のみを有することがより好ましい。
【0085】
ポリアリレート樹脂(PA1)は、繰り返し単位として、
繰り返し単位(R−1)と、繰り返し単位(R−2)とを有するか、
繰り返し単位(R−3)と、繰り返し単位(R−4)とを有するか、
繰り返し単位(R−5)と、繰り返し単位(R−6)とを有するか、
繰り返し単位(R−1)を有するか、
繰り返し単位(R−7)と、繰り返し単位(R−6)とを有するか、
繰り返し単位(R−1)と、繰り返し単位(R−8)とを有するか、
繰り返し単位(R−1)と、繰り返し単位(R−9)とを有するか、又は
繰り返し単位(R−1)と、繰り返し単位(R−10)とを有することが好ましい。
【0086】
ポリアリレート樹脂(PA1)としては、下記化学式(Resin−1)〜(Resin−8)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)と記載することがある。)が好ましい。なお、下記化学式(Resin−1)〜(Resin−8)中、繰り返し単位の右下に付した数字は、ポリアリレート樹脂(PA1)が有する全繰り返し単位の数に対する、数字が付された繰り返し単位の数の百分率を示す。ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、周期的共重合体及び交互共重合体の何れでもよい。
【0088】
ポリアリレート樹脂(PA1)の粘度平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、20,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが更に好ましく、40,000以上であることが特に好ましい。ポリアリレート樹脂(PA1)の粘度平均分子量が10,000以上であると、感光体の耐摩耗性がより向上する。一方、ポリアリレート樹脂(PA1)の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、70,000以下であることがより好ましい。ポリアリレート樹脂(PA1)の粘度平均分子量が80,000以下であると、ポリアリレート樹脂(PA1)が感光層用塗布液の溶剤に溶解し易くなり、感光層の形成が容易になる。
【0089】
ポリアリレート樹脂(PA1)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、単量体(1)及び単量体(2)を縮重合させる方法が挙げられる。縮重合させる方法は、公知の合成方法(より具体的には、例えば、溶液重合、溶融重合及び界面重合)を採用することができる。ポリアリレート樹脂(PA1)は、単量体(1)に加え、他の芳香族ジオール又は芳香族ジアセテートを用いてもよい。また、ポリアリレート樹脂(PA1)は、単量体(2)に加え、他の芳香族ジカルボン酸ジクロライド、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸ジメチルエステル、芳香族ジカルボン酸ジエチルエステル及び芳香族ジカルボン酸無水物を用いてもよい。
【0090】
単量体(1)及び単量体(2)の縮重合において、塩基及び触媒の一方又は両方を添加してもよい。塩基及び触媒は、公知の塩基及び触媒から適宜選択することができる。塩基の例としては、水酸化ナトリウムが挙げられる。触媒の例としては、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、4級アンモニウム塩、トリエチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。
【0091】
電荷輸送層用塗布液は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂(PA1)のみを含むことが好ましいが、ポリアリレート樹脂(PA1)以外の他のバインダー樹脂を更に含んでいてもよい。ポリアリレート樹脂(PA1)の含有率は、バインダー樹脂の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
【0092】
電荷輸送層用塗布液が含有してもよい他のバインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂(PA1)以外のポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0093】
電荷発生層用塗布液が含有してもよいバインダー樹脂としては、電荷輸送層用塗布液が含有するバインダー樹脂として例示したものと同様のものが挙げられる。但し、電荷発生層及び電荷輸送層を良好に形成するためには、電荷発生層が含有するバインダー樹脂は、電荷輸送層が含有するバインダー樹脂と異なることが好ましい。電荷発生層が含有するバインダー樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
【0094】
〔正孔輸送剤〕
電荷輸送層用塗布液が含有する正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物及びトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0095】
感光体の感度及び耐摩耗性を向上させる観点から、正孔輸送剤としては、一般式(10)、(11)、(12)又は(13)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(10)、(11)、(12)及び(13)と記載することがある。)が好ましい。
【0096】
化合物(10)は、下記一般式(10)で表される。
【0098】
一般式(10)中、R
101、R
103、R
104、R
105、R
106、R
107及びR
108は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107のうちの隣接する2つが結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表してもよい。R
102及びR
109は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。b
1及びb
2は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
【0099】
b
1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
102は互いに同一でも異なっていてもよい。b
2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
109は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0100】
一般式(10)中、R
101〜R
109が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が更に好ましい。
【0101】
一般式(10)中、R
101〜R
109が表わすフェニル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されていてもよい。フェニル基が有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0102】
一般式(10)中、R
101〜R
109が表わす炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がより好ましい。
【0103】
一般式(10)中、R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107のうちの隣接する2つ(例えば、R
106及びR
107)が結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表してもよい。R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107のうちの隣接した2つが結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成する場合、この炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンはR
103、R
104、R
105、R
106及びR
107が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基を形成する。なお、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとフェニル基との縮合部位は、二重結合を含んでもよい。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとしては、シクロヘキサンが好ましい。
【0104】
感光体の感度及び耐摩耗性を更に向上させる観点から、R
101及びR
108は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基で置換されたフェニル基又は水素原子を表すことが好ましい。R
102及びR
109は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましい。R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表すことが好ましい。或いは、R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107のうち隣接した二つが互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成することが好ましい。b
1及びb
2は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。
【0105】
化合物(10)の好適な例としては、下記化学式(10−HT1)、(10−HT2)、(10−HT3)及び(10−HT4)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(10−HT1)、(10−HT2)、(10−HT3)及び(10−HT4)と記載することがある。)が挙げられる。化学式(10−HT1)及び(10−HT4)中、n−Bu及びMeは、各々、n−ブチル基及びメチル基を表す。
【0107】
化合物(11)は、下記一般式(11)で表される。
【0109】
一般式(11)中、R
111及びR
112は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又はフェニル基を表す。R
113、R
114、R
115、R
116、R
117及びR
118は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又はフェニル基を表す。d
1及びd
2は、各々独立に、0又は1を表す。d
3、d
4、d
5及びd
6は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。d
7及びd
8は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
【0110】
一般式(11)中、d
3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
113は互いに同一でも異なっていてもよい。d
4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
114は互いに同一でも異なっていてもよい。d
5が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
115は互いに同一でも異なっていてもよい。d
6が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
116は互いに同一でも異なっていてもよい。d
7が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR
117は互いに同一でも異なっていてもよい。d
8が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR
118は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0111】
一般式(11)中、R
111〜R
118が表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
【0112】
感光体の感度及び耐摩耗性をより向上させる観点から、一般式(11)中、R
111及びR
112は、各々、水素原子、又はフェニル基を表すことが好ましい。R
113、R
114、R
115、R
116、R
117及びR
118は、各々独立に、メチル基又はエチル基を表すことが好ましい。d
1及びd
2は、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。d
3、d
4、d
5及びd
6は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。d
7及びd
8は、各々、0を表すことが好ましい。
【0113】
化合物(11)の好適な例としては、下記化学式(11−HT5)、(11−HT6)及び(11−HT7)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(11−HT5)、(11−HT6)及び(11−HT7)と記載することがある。)が挙げられる。
【0115】
化合物(12)は、下記一般式(12)で表される。
【0117】
一般式(12)中、R
121、R
122、R
123、R
124、R
125及びR
126は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。e
1、e
2、e
4及びe
5は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。e
3及びe
6は、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
【0118】
一般式(12)中、e
1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
121は互いに同一でも異なっていてもよい。e
2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
122は互いに同一でも異なっていてもよい。e
3が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR
123は互いに同一でも異なっていてもよい。e
4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
124は互いに同一でも異なっていてもよい。e
5が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR
125は互いに同一でも異なっていてもよい。e
6が2以上4以下の整数を表す場合、複数のR
126は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0119】
一般式(12)中、R
121〜R
126が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
【0120】
一般式(12)中、e
1、e
2、e
4及びe
5は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。e
1、e
2、e
4及びe
5は、e
1及びe
2の一方が0を表し他方が2を表し、かつe
4及びe
5の一方が0を表し他方が2を表すか、又はe
1、e
2、e
4及びe
5が各々1を表すことがより好ましい。e
3及びe
6は、各々、0を表すことが好ましい。
【0121】
感光体の感度及び耐摩耗性をより向上させる観点から、一般式(12)中、R
121、R
122、R
123、R
124、R
125及びR
126は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましい。e
1、e
2、e
4及びe
5は、各々独立に、0以上2以下の整数を表すことが好ましい。e
3及びe
6は、各々、0を表すことが好ましい。
【0122】
化合物(12)の好適な例としては、下記化学式(12−HT8)及び(12−HT9)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(12−HT8)及び(12−HT9)と記載することがある。)が挙げられる。
【0124】
化合物(13)は、下記一般式(13)で表される。
【0126】
一般式(13)中、R
131、R
132、R
133、R
134、R
135、R
136、R
137、R
138、R
139及びR
140は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。
【0127】
一般式(13)中、R
131、R
132、R
133、R
134、R
135、R
136、R
137、R
138、R
139及びR
140は、各々、水素原子を表すことが好ましい。
【0128】
化合物(13)の好適な例としては、下記化学式(13−HT10)で表される化合物(以下、化合物(13−HT10)と記載することがある)が挙げられる。
【0130】
感光体の耐摩耗性を更に向上させる観点から、正孔輸送剤としては、化合物(10−HT2)、(11−HT5)及び(12−HT9)が更に好ましい。
【0131】
電荷輸送層は、正孔輸送剤として、化合物(10)、(11)、(12)又は(13)のみを含有してもよく、他の正孔輸送剤を更に含有してもよい。正孔輸送剤における化合物(10)、(11)、(12)又は(13)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが更に好ましい。
【0132】
電荷輸送層における正孔輸送剤の含有量は、電荷輸送層が含有するバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
【0133】
〔添加剤〕
電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液が含有してもよい添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター(例えば、電子アクセプター)、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤及びレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びこれらの誘導体が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、有機硫黄化合物及び有機燐化合物も挙げられる。レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。増感剤としては、例えば、メタターフェニルが挙げられる。添加剤としては、劣化防止剤が好ましく、酸化防止剤がより好ましく、ヒンダードフェノールの誘導体が更に好ましい。
【0134】
電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液が添加剤を含有する場合、その含有量は、電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液が含有するバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、1質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
【0135】
〔電荷発生剤〕
電荷発生層が含有する電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0136】
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン及び金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン及びクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、化学式(CGM−1)で表される。チタニルフタロシアニンは、化学式(CGM−2)で表される。
【0139】
フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型及びY型結晶(以下、それぞれをα型、β型及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
【0140】
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0141】
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
【0142】
電荷発生剤の含有量としては、電荷発生層用塗布液が含有するバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下が好ましく、0.5質量部以上30質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下が更に好ましい。
【0143】
〔組み合わせ〕
電荷輸送層用塗布液が含有する正孔輸送剤及びバインダー樹脂の組み合わせとしては、下記表1に示す組み合わせ(k−1)〜(k−17)が好ましい。また、電荷輸送層用塗布液が含有する正孔輸送剤、バインダー樹脂及び溶剤の組み合わせとしては、下記表2に示す組み合わせ(j−1)〜(j−22)が好ましい。
【0146】
[単層型電子写真感光体の製造方法]
以下、単層型感光体の製造方法について説明する。なお、積層型感光体の製造方法との重複説明については、適宜省略する。まず、この製造方法により得られる単層型感光体を説明する。
図2(a)〜
図2(c)は、それぞれ、単層型感光体である場合の感光体1の一例を示す部分断面図である。
【0147】
図2(a)に示すように、単層型感光体である場合の感光体1は、例えば、導電性基体2と感光層3とを備える。単層型感光体である場合の感光体1は、単層の感光層3(以下、単層型感光層3cと記載することがある)を備える。
【0148】
図2(b)に示すように、単層型感光体である場合の感光体1は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層4(下引き層)とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。
図2(a)に示すように、感光層3は導電性基体2上に直接備えられてもよい。或いは、
図2(b)に示すように、感光層3は導電性基体2上に中間層4を介して備えられてもよい。
【0149】
図2(c)に示すように、単層型感光体である場合の感光体1は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、保護層5とを備えてもよい。保護層5は、単層型感光層3c上に設けられる。
【0150】
単層型感光層3cの厚さは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0151】
感光層3としての単層型感光層3cは、電荷発生剤とバインダー樹脂と正孔輸送剤とを含有する。単層型感光層3cは、電子輸送剤を更に含有してもよい。単層型感光層3cは、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。単層型感光体である場合の感光体1の備える導電性基体2及び中間層4は、上述の積層型である場合の感光体1の備える導電性基体2及び中間層4と同様とすることができる。以上、
図2(a)〜
図2(c)を参照して、単層型感光体である場合の感光体1の概要について説明した。
【0152】
(単層型感光層形成工程)
以下、単層型感光体の製造方法の各工程を説明する。単層型感光体の製造方法は、溶剤と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有する感光層用塗布液(以下、単層型感光層用塗布液と記載することがある。)を、導電性基体上に直接又は間接的に塗布し、溶剤の一部を除去して単層型感光層を形成する工程(以下、単層型感光層形成工程と記載することがある。)を含む。
【0153】
なお、単層型感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程を更に有してもよい。中間層を形成する方法は、公知の方法を適宜選択することができる。
【0154】
単層型感光層用塗布液は、電子輸送剤を更に含有してもよい。また、単層型感光層用塗布液は、形成される感光体に所望の特性を付与するため、添加剤を更に含有してもよい。
【0155】
単層型感光層用塗布液が含有する溶剤、バインダー樹脂、正孔輸送剤、電荷発生剤及び添加剤については、電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液において例示した各成分と同様とすることができる。また、単層型感光層用塗布液を調製する方法、塗布する方法、及び溶剤の一部を除去する方法は、電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液において説明した方法と同様とすることができる。
【0156】
<第2実施形態:感光層用塗布液>
第2実施形態に係る感光層用塗布液は、電子写真感光体の感光層を形成するために用いる感光層用塗布液であって、溶剤と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有する。溶剤は、炭素原子数1以上3以下のアルコールである第1溶剤と、第1溶剤以外の溶剤である第2溶剤とを含む。バインダー樹脂は、下記一般式(20)で表される第1繰り返し単位と、下記一般式(21)で表される第2繰り返し単位とを有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PA2)と記載することがある。)を含む。
【0158】
一般式(20)中、R
11及びR
12は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R
13及びR
14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表すか、或いはR
13及びR
14は互いに結合して下記一般式(Y)で表される2価の基を表す。一般式(21)中、Xは、下記化学式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)又は(X6)で表される2価の基を表す。
【0160】
一般式(Y)中、R
20は、置換基を表す。pは、1以上6以下の整数を表す。qは、0以上5以下の整数を表す。
【0162】
第2実施形態に係る感光層用塗布液は、例えば、感光層として電荷輸送層及び電荷発生層を備える積層型感光体の製造、又は単層型感光層を備える単層型感光体の製造に用いることができる。積層型感光体の製造に用いる感光層用塗布液の詳細は、第1実施形態に係る感光体の製造方法で説明した電荷輸送層用塗布液と同様とすることができる。また、単層型感光体の製造に用いる感光層用塗布液の詳細は、第1実施形態に係る感光体の製造方法に用いる単層型感光層用塗布液と同様である。また、ポリアリレート樹脂(PA2)は、第1実施形態において説明したポリアリレート樹脂(PA1)と同様である。そのため、第2実施形態における一般式(20)、(21)及び(Y)のR
11〜R
14、X、R
20、p及びqの説明は、第1実施形態における一般式(1)、(2)及び(Y)のR
11〜R
14、X、R
20、p及びqと同様である。
【0163】
<第3実施形態:電子写真感光体>
本発明の第3実施形態に係る感光体は、導電性基体と感光層とを備える。感光層は、炭素原子数1以上3以下のアルコール(低級アルコール)と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有する。バインダー樹脂は、下記一般式(20)で表される第1繰り返し単位と、下記一般式(21)で表される第2繰り返し単位とを有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PA2)と記載することがある)を含む。
【0165】
一般式(20)中、R
11及びR
12は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。R
13及びR
14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表すか、或いはR
13及びR
14は互いに結合して下記一般式(Y)で表される2価の基を表す。一般式(21)中、Xは、下記化学式(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)又は(X6)で表される2価の基を表す。
【0167】
一般式(Y)中、R
20は、置換基を表す。pは、1以上6以下の整数を表す。qは、0以上5以下の整数を表す。
【0169】
第3実施形態に係る感光体としては、感光層として電荷輸送層及び電荷発生層を備える積層型感光体と、単層型感光層を備える単層型感光体とが挙げられる。積層型感光体及び単層型感光体は、第1実施形態において感光体の製造方法により製造される感光体として説明した積層型感光体及び単層型感光体とそれぞれ同様である。
【0170】
積層型感光体の備える電荷輸送層は、低級アルコールと、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有し、添加剤を更に含有してもよい。積層型感光体の備える電荷発生層は、電荷発生剤を含有し、バインダー樹脂及び添加剤を更に含有してもよい。単層型感光体の備える単層型感光層は、低級アルコールと、バインダー樹脂と、正孔輸送剤とを含有し、電子輸送剤及び添加剤を更に含有してもよい。電荷輸送層、電荷発生層及び単層型感光層に含有される各成分の種類は、第1実施形態において説明した電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液の各成分の種類と同様とすることができる。また、電荷輸送層及び電荷発生層における正孔輸送剤、添加剤及び電荷発生剤の含有量は、各々、第1実施形態において説明した電荷輸送層用塗布液及び電荷発生層用塗布液における各成分の含有量と同様とすることができる。
【0171】
感光層に含有される低級アルコールは、感光層用塗布液(積層型感光体の製造における電荷輸送層用塗布液、及び単層型感光体の製造における単層型感光層用塗布液)の第1溶剤が残留したものである。
【0172】
ポリアリレート樹脂(PA2)は、第1実施形態において説明したポリアリレート樹脂(PA1)と同様である。そのため、第3実施形態における一般式(20)、(21)及び(Y)のR
11〜R
14、X、R
20、p及びqの説明は、第1実施形態における一般式(1)、(2)及び(Y)のR
11〜R
14、X、R
20、p及びqと同様である。
【0173】
感光体の帯電特性をより向上させる観点から、感光層における低級アルコールの含有割合としては、1ppm以上50,000ppm以下が好ましく、100ppm以上10,000ppm以下がより好ましい。
【0174】
ここで、感光層が複数層を含み、そのうち少なくとも1層が低級アルコールを含有する場合、感光層における低級アルコールの含有量とは、低級アルコールを含有する層における含有量を意味する。例えば、感光体が積層型感光体であり、感光層の電荷輸送層に低級アルコールが含有される場合、感光層における低級アルコールの含有量とは、電荷輸送層における低級アルコールの含有量を意味する。
【0175】
以上説明した本発明の第1実施形態に係る感光体の製造方法と第2実施形態に係る感光層用塗布液は、帯電特性及び耐摩耗性に優れる感光体を得ることができる。また、第3実施形態に係る感光体は、帯電特性及び耐摩耗性に優れる。
【実施例】
【0176】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
【0177】
積層型感光体の電荷輸送層を形成するための材料として、以下の正孔輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
【0178】
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、第1実施形態で述べた化合物(10−HT1)〜(13−HT10)を準備した。
【0179】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、第1実施形態で述べたポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)を合成した。合成方法を以下に示す。
【0180】
<ポリアリレート樹脂の合成>
[ポリアリレート樹脂(Resin−5)の合成]
三口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器は、温度計、三方コック及び滴下ロート200mLを備えた容量1Lの三口フラスコである。反応容器に1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン12.24g(41.28ミリモル)と、t−ブチルフェノール0.062g(0.413ミリモル)と、水酸化ナトリウム3.92g(98ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.120g(0.384ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内をアルゴン置換した。その後、水300mLを更に反応容器に投入した。反応容器の内温を50℃に昇温させた。反応容器の内温50℃を保持して反応容器内の内容物を1時間攪拌した。その後、反応容器の内温を10℃に冷却した。その結果、アルカリ性水溶液を得た。
【0181】
一方、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド4.10g(16.2ミリモル)と、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド4.10g(16.2ミリモル)とをクロロホルム(アミレン(登録商標)添加品)150mLに溶解させた。その結果、クロロホルム溶液を得た。
【0182】
次いで、上記クロロホルム溶液を滴下ロートから上記アルカリ性水溶液に110分間かけてゆっくりと滴下して、重合反応を開始させた。反応容器内の内温を15±5℃に調節して、反応容器の内容物を4時間攪拌して重合反応を進行させた。
【0183】
その後、デカントを用いて反応容器の内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、容量1Lの三口フラスコにイオン交換水400mLを投入した後に、得られた有機層を投入した。更にクロロホルム400mLと、酢酸2mLとを投入した。三口フラスコの内容物を室温(25℃)で30分攪拌した。その後、デカントを用いて三口フラスコの内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。水1Lを用いて得られた有機層を分液ロートにて5回洗浄した。その結果、水洗した有機層を得た。
【0184】
次に、水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。容量1Lの三角フラスコにメタノール1Lを投入した。得られたろ液を三角フラスコにゆっくり滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過によりろ別した。得られた沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥した。その結果、ポリアリレート樹脂(Resin−5)を得た。ポリアリレート樹脂(Resin−5)の収量は12.9gであり、収率は83.5モル%であった。
【0185】
[ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−4)及び(Resin−6)〜(Resin−8)の合成]
ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−4)及び(Resin−6)〜(Resin−8)の合成においては、単量体として、各繰り返し単位を導入でき、かつ一般式(1)又は(2)で表される単量体を適宜用いた。それ以外は、ポリアリレート樹脂(Resin−5)の合成と同様の方法により、ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−4)及び(Resin−6)〜(Resin−8)を合成した。
【0186】
なお、各ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は、以下の通りであった。
ポリアリレート樹脂(Resin−1):49,300
ポリアリレート樹脂(Resin−2):54,400
ポリアリレート樹脂(Resin−3):54,000
ポリアリレート樹脂(Resin−4):54,200
ポリアリレート樹脂(Resin−5):50,500
ポリアリレート樹脂(Resin−6):55,100
ポリアリレート樹脂(Resin−7):52,300
ポリアリレート樹脂(Resin−8):51,900
【0187】
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、作製したポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)の
1H−NMRスペクトルを測定した。溶剤としてCDCl
3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
1H−NMRスペクトルにより、ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)が得られていることを確認した。
【0188】
また、下記化学式(Resin−A)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−A)も用意した。ポリカーボネート樹脂(Resin−A)の粘度平均分子量は、53,000であった。
【0189】
【化35】
【0190】
[感光体(A−1)の製造]
以下、実施例1に係る感光体(A−1)の製造方法について説明する。
【0191】
(中間層の形成)
まず、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、平均一次粒径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、更に、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2質量部)と、ポリアミド樹脂(東レ株式会社製「アミラン(登録商標)CM8000」)(1質量部)とを、混合溶剤に対して添加した。混合溶剤は、メタノール(10質量部)と、ブタノール(1質量部)と、トルエン(1質量部)とを含んでいた。ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂であった。ビーズミルを用いて、これらを5時間混合し、混合溶剤中に材料(表面処理された酸化チタン及びポリアミド樹脂)を分散させた。これにより、中間層用塗布液を調製した。
【0192】
得られた中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、ディップコート法を用いて、導電性基体の表面に中間層用塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。導電性基体は、アルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm及び全長246mm)であった。続いて、塗布膜を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体上に中間層(膜厚2μm)を形成した。
【0193】
(電荷発生層の形成)
Y型チタニルフタロシアニン(1.5質量部)と、バインダー樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックKX−5」)(1質量部)とを、混合溶剤に対して添加した。混合溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)と、テトラヒドロフラン(40質量部)とを含んでいた。ビーズミルを用いて、これらを2時間混合し、混合溶剤中に材料(Y型チタニルフタロシアニン及びポリビニルアセタール樹脂)を分散させた。これにより、電荷発生層用塗布液を調整した。
【0194】
得られた電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、上述のようにして形成された中間層上にディップコート法を用いて塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を50℃で5分間乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
【0195】
(電荷輸送層の形成)
正孔輸送剤としての化合物(10−HT1)50質量部と、添加剤としての酸化防止剤(BASF社製の「IRGANOX(登録商標)1010」)2質量部と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−1)(粘度平均分子量50,500)100質量部とを、混合溶剤に対して添加した。混合溶剤は、第2溶剤であるテトラヒドロフラン(THF)650質量部及びトルエン50質量部と、第1溶剤であるメタノール(MeOH)14質量部とを含んでいた。混合溶剤における第1溶剤の含有割合は、2.0質量%であった。これらを混合し、混合溶剤中に材料(正孔輸送剤(10−HT1)、酸化防止剤、ポリアリレート樹脂(Resin−1))を分散させて、電荷輸送層用塗布液を調製した。調製後、電荷輸送層用塗布液を48時間静置した。
【0196】
電荷発生層用塗布液と同様の操作により、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、塗布膜を形成した。次いで、塗布膜を120℃にて40分間乾燥させて、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚20μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。感光体(A−1)は、導電性基体上に、中間層、電荷発生層及び電荷輸送層が、この順で積層された構成を有していた。
【0197】
[感光体(A−2)〜(A−25)及び(B−1)〜(B−4)]
正孔輸送剤、バインダー樹脂及び溶剤を表3に示す通りに変更した以外は感光体(A−1)の製造と同様の方法により、感光体(A−2)〜(A−25)及び(B−1)〜(B−4)を製造した。
【0198】
表3中、欄「HTM」の10−HT1〜13−HTM10は、それぞれ化合物(10−HT1)〜(13−HT10)を表す。欄「バインダー樹脂」のResin−1〜Resin−8及びResin−Aは、それぞれポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)及びポリカーボネート樹脂(Resin−A)を表す。第1溶剤の欄「含有割合」は、第1溶剤及び第2溶剤の合計質量に対する第1溶剤の質量の比率(質量%)を意味する。欄「部」は、バインダー樹脂100質量部に対する質量部を意味する。第1溶剤における種類、部及び含有割合の「−」は、該当する成分を含有していないことを示す。第2溶剤における種類「THF/トルエン」及び部「650/50」は、テトラヒドロフラン650質量部及びトルエン50質量部を含むことを意味する。他の第2溶剤についても同様である。
【0199】
【表3】
【0200】
[感光体の性能評価]
(電気的特性評価)
(帯電電位V
0の測定)
感光体(A−1)〜(A−25)及び感光体(B−1)〜(B−4)の何れかを、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の回転数31rpmとし、感光体への流れ込み電流が−10μAの条件での表面電位を測定した。測定した表面電位を帯電電位(V
0)とした(単位:−V)。測定環境は、温度35℃及び相対湿度85%RHであった。表4に帯電電位(V
0)を示す。帯電電位(V
0)は、その絶対値が小さいほど帯電特性に優れることを示し、その絶対値が650V以上である場合を帯電特性が良好であると判断し、その絶対値が650V未満である場合を帯電特性が良好でないと判断した。
【0201】
(露光後電位V
Lの測定)
感光体(A−1)〜(A−25)及び感光体(B−1)〜(B−4)の何れかを、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の回転数を31rpmとし、−600Vになるように帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.8μJ/cm
2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、感光体の表面に照射した。単色光の照射終了後、80ミリ秒が経過した後の表面電位を測定した。測定した表面電位を露光後電位(V
L)とした(単位:−V)。測定環境は、温度35℃及び相対湿度85%RHであった。表4に露光後電位(V
L)を示す。露光後電位(V
L)は、その絶対値が小さいほど感度に優れることを示し、その絶対値が100V以下である場合を実用上十分な感度と判断し、その絶対値が100V超である場合を実用上十分な感度でないと判断した。
【0202】
(感光体の耐摩耗性評価)
電荷輸送層用塗布液を準備した。電荷輸送層用塗布液は、感光体(A−1)〜(A−25)及び感光体(B−1)〜(B−4)の何れかの製造において用いた電荷輸送層塗布液と同様の条件で調製したものであった。なお、この電荷輸送層用塗布液は、48時間の静置処理も施したものであった。電荷輸送層用塗布液をポリプロピレンシート(厚さ0.3mm)に塗布し、塗布膜を形成した。ポリプロピレンシートは、アルミパイプ(直径:78mm)に巻きつけたものであった。塗布膜を120℃にて40分乾燥させた。その結果、シートが得られた。このシートには電荷輸送層(膜厚30μm)が形成されていた。ポリプロピレンシートから電荷輸送層を剥離し、ウィールS−36(テーバー社製)に貼り付けた。その結果、摩耗試験用サンプルが得られた。
【0203】
摩耗試験用サンプルをロータリーアブレージョンテスター(株式会社東洋精機製作所製)にセットし、摩耗輪CS−10(テーバー社製)を用い、荷重500gfかつ回転数60rpmの条件で1,000回転させ、摩耗評価試験を実施した。摩耗評価試験前後のサンプルの質量変化である摩耗減量(mg/1000回転)を測定した。得られた摩耗減量に基づいて、感光体の耐摩耗性を評価した。表4に摩耗減量を示す。
【0204】
【表4】
【0205】
表3に示すように、感光体(A−1)〜(A−25)の製造に用いた感光層用塗布液である電荷輸送層用塗布液は、バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)の何れか1種を含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−8)は、一般式(1)で表される単量体(1)と、一般式(2)で表される単量体(2)とを含む単量体の重合物であった。
【0206】
表3に示すように、感光体(B−3)の製造に用いた感光層用塗布液である電荷輸送層用塗布液は、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂ではなく、ポリカーボネート樹脂(Resin−A)を含有していた。
【0207】
表4から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−25)は、感光体(B−3)に比べ、耐摩耗性に優れていた。
【0208】
表3に示すように、感光体(A−1)〜(A−25)の製造に用いた感光層用塗布液である電荷輸送層用塗布液の溶剤は、炭素原子数1以上3以下のアルコールである第1溶剤と、第1溶剤以外の溶剤である第2溶剤とを含んでいた。
【0209】
表3に示すように、感光体(B−1)、(B−2)及び(B−4)の製造に用いた感光層用塗布液である電荷輸送層用塗布液の溶剤は、第2溶剤のみを含み、第1溶剤を含んでいなかった。具体的には、電荷輸送層用塗布液の溶剤として、感光体(B−1)及び(B−4)の製造ではTHF及びトルエンの混合溶剤を用い、感光体(B−2)の製造ではTHFと、トルエンと、炭素原子数が4のアルコールであるブタノールとの混合溶剤を用いた。
【0210】
表4から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−25)は、帯電特性が良好であり、かつ実用上十分な感度を示した。一方、感光体(B−1)及び(B−4)は、帯電特性が良好でなかった。また、感光体(B−2)は、帯電特性は良好であったが、実用上十分な感度を示さなかった。このことから、感光層用塗布液である電荷輸送層用塗布液に、炭素原子数が3以下のアルコールを含有させることで、実用上十分な感度を有しつつ帯電特性に優れる感光体を形成できると判断される。
【0211】
このような感光体の帯電特性の向上は、第1実施形態において説明したように、感光層における芳香族ジカルボン酸ジクロライド(単量体(2))の残留量が第1溶剤との反応によって減少するためであると考えられる。このことを確かめるため、以下の試験を行った。
【0212】
(芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量測定)
実施例10の感光体(A−10)の製造に用いた電荷輸送層用塗布液(静置処理時間:48時間)を、直径242mm、長さ600mmの切削素管に塗布し、得られた塗膜を乾燥させることで電荷輸送層を形成した。この電荷輸送層を脱膜し、クロロホルムに溶解させた後にヘキサンで再沈させた。この溶解及び再沈を合計5回繰り返すことで、電荷輸送層のバインダー樹脂を抽出した。抽出したバインダー樹脂0.50gにクロロホルム14.7gを加えて溶解させた。得られた樹脂溶液に4−(4−ニトロベンジル)ピリジンのクロロホルム溶液(濃度:1.0質量%)1.47gを加えた。得られた混合溶液について、1時間のロールミリングによって発色させた後、分光光度計(株式会社日立製作所製の「U−3000」)で450nmの波長での吸光度を測定した。この吸光度は、その値が大きいほど電荷輸送層における芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量が多いことを示す。
【0213】
比較例4の感光体(B−4)の製造に用いた電荷輸送層用塗布液(静置処理時間:48時間)についても、感光体(A−10)の測定と同様の方法で電荷輸送層における芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量を測定した。
【0214】
上述の実施例10の感光体(A−10)の製造に用いた電荷輸送層用塗布液について、静置処理時間を72時間、96時間、21時間又は12時間に変更した以外は感光体(A−10)の測定と同様の方法で、芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量を測定した(実施例26〜29)。
【0215】
更に、電荷輸送層用塗布液が含有する正孔輸送剤及び添加剤が450nmの波長での吸光度にほとんど影響しないことを確認するため、正孔輸送剤及び添加剤を含有しない塗布液を用いて芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量を測定した。即ち、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−1)(粘度平均分子量50,500)100質量部を、混合溶剤に対して添加した。混合溶剤は、第2溶剤であるテトラヒドロフラン(THF)650質量部及びトルエン50質量部と、第1溶剤であるメタノール(MeOH)14質量部とを含んでいた。これらを混合し、混合溶剤中にポリアリレート樹脂(Resin−1)を分散させることで塗布液を調製した。調製後、塗布液を12時間、24時間、48時間、72時間又は96時間静置した。これらの塗布液を用いた以外は、実施例10及び26〜29、並びに比較例4と同様の方法により、芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量を測定した(参考例1〜5)。実施例10及び26〜29、比較例4並びに参考例1〜5の測定結果を下記表5に示す。
【0216】
【表5】
【0217】
表5から明らかなように、実施例10の感光体の製造に用いた電荷輸送層用塗布液は、比較例4の感光体の製造に用いた電荷輸送層用塗布液よりも、芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量が少ない電荷輸送層を形成できた。
【0218】
また、実施例10及び26〜29の比較から明らかなように、電荷輸送層における芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量は、電荷輸送層用塗布液の静置処理時間を長くするほど減少した。これは、電荷輸送層用塗布液を調製してから塗布するまでの間に低級アルコール及び芳香族ジカルボン酸ジクロライドが反応しているためであると考えられる。
【0219】
更に、実施例10及び26〜29と、参考例1〜5との比較から明らかなように、正孔輸送剤及び添加剤の有無は、450nmの波長での吸光度にほとんど影響を与えなかった。このことから、450nmの波長での吸光度は、芳香族ジカルボン酸ジクロライドの残留量を正確に反映していたと判断される。