特許第6892004号(P6892004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

特許6892004電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機
<>
  • 特許6892004-電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機 図000002
  • 特許6892004-電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機 図000003
  • 特許6892004-電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機 図000004
  • 特許6892004-電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機 図000005
  • 特許6892004-電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機 図000006
  • 特許6892004-電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6892004
(24)【登録日】2021年5月31日
(45)【発行日】2021年6月18日
(54)【発明の名称】電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/09 20060101AFI20210607BHJP
   F16C 39/06 20060101ALI20210607BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20210607BHJP
   F04D 29/058 20060101ALI20210607BHJP
【FI】
   H02K7/09
   F16C39/06 Z
   F16C32/04 A
   F04D29/058
【請求項の数】26
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-163742(P2020-163742)
(22)【出願日】2020年9月29日
【審査請求日】2021年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2020-60067(P2020-60067)
(32)【優先日】2020年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪脇 篤
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/064469(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/122719(WO,A1)
【文献】 特開2018−28295(JP,A)
【文献】 特開平9−72336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 32/04,39/06
H02K 7/09
F04D 17/10,29/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸(19)と、
互いに対向して前記駆動軸(19)を支持する第1磁気軸受部(40A,50A)及び第2磁気軸受部(40B,50B)と、
前記駆動軸(19)を回転させる電動機(20)と、
前記駆動軸(19)の位置を検知するギャップ検出部(70)と、を備え、
前記駆動軸(19)の回転時において、前記駆動軸(19)には、前記第2磁気軸受部(40B,50B)側から前記第1磁気軸受部(40A,50A)側へ向かう第1方向(X1)に前記第1磁気軸受部(40A,50A)側から前記第2磁気軸受部(40B,50B)側へ向かう第2方向(X2)よりも平均的に大きな外力(F0)が作用しており、
前記第1磁気軸受部(40A,50A)は、前記駆動軸(19)に対して、前記第1方向(X1)に磁力(F1)を作用させており、
前記第2磁気軸受部(40B,50B)は、前記駆動軸(19)に対して、前記第2方向(X2)に磁力(F2)を作用させており、
前記第2磁気軸受部(40B,50B)が前記駆動軸(19)に対して作用可能な磁力(F2)の大きさは、前記第1磁気軸受部(40A,50A)が前記駆動軸(19)に対して作用可能な磁力(F1)の大きさよりも大きく、
前記ギャップ検出部(70)は、前記第1磁気軸受部(40A,50A)よりも前記第2磁気軸受部(40B,50B)の近くに配置される 、電動機システム(10)。
【請求項2】
請求項1の電動機システム(10)において、
前記第1磁気軸受部(40A,50A)及び前記第2磁気軸受部(40B,50B)は、前記駆動軸(19)の軸方向に並んだ第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)であり、
前記電動機(20)は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)と前記第2スラスト磁気軸受部(50B)との間に配置されており、
前記ギャップ検出部(70)は、前記駆動軸(19)の軸方向位置を検知しており、
前記第1方向(X1)は、前記駆動軸(19)の一端(19a)から他端(19b)へ向かう方向であり、
前記第2方向(X2)は、前記駆動軸(19)の他端(19b)から一端(19a)へ向かう方向である、電動機システム(10)。
【請求項3】
請求項2の電動機システム(10)において、
前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量と前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量とが互いに異なる場合に、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量よりも小さい、電動機システム(10)。
【請求項4】
請求項3の電動機システム(10)において、
前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量が、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量よりも小さくなるように、少なくとも前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を制御する制御部(91)をさらに備える、電動機システム(10)。
【請求項5】
請求項4の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、任意のタイミングにおいて、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)の振幅(A2)を、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きくなるように、制御する、電動機システム(10)。
【請求項6】
請求項4又は5の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)に応じて、前記駆動軸(19)を所定の軸方向位置に位置付けるように、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を制御する、電動機システム(10)。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)に応じて、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)に流す電流(I2)の大きさを調整することによって、制御する、電動機システム(10)。
【請求項8】
請求項6又は7の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、一定の磁力(F1)を前記駆動軸(19)に対して作用させるように、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)を制御する、電動機システム(10)。
【請求項9】
請求項4〜8のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時における前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の大きさを、前記駆動軸(19)の非回転時における前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の大きさよりも、小さくなるように制御する、電動機システム(10)。
【請求項10】
請求項9の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時において、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の大きさをゼロにする、電動機システム(10)。
【請求項11】
請求項2〜7のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記第1スラスト磁気軸受部(50A)は、前記駆動軸(19)に対して永久磁石(100)のみによる磁力(F1)を作用させる、電動機システム(10)。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記第1スラスト磁気軸受部(50A)は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)及び前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)のいずれにも基づかずに、前記駆動軸(19)に対して磁力(F1)を作用させる、電動機システム(10)。
【請求項13】
請求項2〜12のいずれか1つに記載の電動機システム(10)と、前記駆動軸(19)に設けられたインペラ(30)と、を備えるターボ圧縮機(1)。
【請求項14】
請求項13のターボ圧縮機(1)において、
前記第1スラスト磁気軸受部(50A)は、前記電動機(20)よりも前記第1方向(X1)側に配置されており、
前記第2スラスト磁気軸受部(50B)は、前記電動機(20)よりも前記第2方向(X2)側に配置されており、
前記ギャップ検出部(70)は、前記電動機(20)よりも前記第2方向(X2)側に配置されており 、
前記インペラ(30)は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)よりも前記第1方向(X1)側に配置されている、ターボ圧縮機(1)。
【請求項15】
請求項1の電動機システム(10)において、
前記第1磁気軸受部(40A,50A)及び前記第2磁気軸受部(40B,50B)は、前記駆動軸(19)の径方向に並んだ第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)であり、
前記ギャップ検出部(70)は、前記駆動軸(19)の径方向位置を検知する、電動機システム(10)。
【請求項16】
請求項15の電動機システム(10)において、
前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量と前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量とが互いに異なる場合に、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量は、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量よりも小さい、電動機システム(10)。
【請求項17】
請求項16の電動機システム(10)において、
前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量が、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量よりも小さくなるように、少なくとも前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御する制御部(91)をさらに備える、電動機システム(10)。
【請求項18】
請求項17の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、任意のタイミングにおいて、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)の振幅(A2)を、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きくなるように、制御する、電動機システム(10)。
【請求項19】
請求項17又は18の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて、前記駆動軸(19)を所定の径方向位置に位置付けるように、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御する、電動機システム(10)。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)に流す電流(I2)の大きさを調整することによって、制御する、電動機システム(10)。
【請求項21】
請求項19又は20の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、一定の磁力(F1)を前記駆動軸(19)に対して作用させるように、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)を制御する、電動機システム(10)。
【請求項22】
請求項17〜21のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時における前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさを、前記駆動軸(19)の非回転時における前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさよりも、小さくなるように制御する、電動機システム(10)。
【請求項23】
請求項22の電動機システム(10)において、
前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時において、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさをゼロにする、電動機システム(10)。
【請求項24】
請求項15〜20のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、前記駆動軸(19)に対して永久磁石(100)のみによる磁力(F1)を作用させる、電動機システム(10)。
【請求項25】
請求項15〜24のいずれか1つの電動機システム(10)において、
前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)及び前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)のいずれにも基づかずに、前記駆動軸(19)に対して磁力(F1)を作用させる、電動機システム(10)。
【請求項26】
請求項15〜25のいずれか1つに記載の電動機システム(10)と、前記駆動軸(19)に設けられたインペラ(30)と、を備えるターボ圧縮機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機システム及びそれを備えたターボ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、2つのスラスト磁気軸受部は、電動機を挟んで、駆動軸の軸方向に並んで配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019−173823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、駆動軸の位置の制御は、互いに対向して駆動軸を支持する一対の磁気軸受部の磁力を制御することによって行われる。例えば、駆動軸の軸方向位置の制御は、各スラスト磁気軸受部の磁力を制御することによって行われる。
【0005】
ところで、運転条件、機器のレイアウト、構成部品の配置等によっては、駆動軸の位置の制御が難しくなることがある。例えば、特許文献1のように2つのスラスト磁気軸受部が互いに離れた構成では、駆動軸の軸方向位置の制御が難しくなることがある。この課題は、2つのラジアル磁気軸受部についても、同様に生じる。
【0006】
本開示の目的は、互いに対向して駆動軸を支持する一対の磁気軸受部によって駆動軸の位置を好適に制御することが可能な電動機システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、電動機システム(10)を対象とする。前記電動機システム(10)は、駆動軸(19)と、互いに対向して前記駆動軸(19)を支持する第1磁気軸受部(40A,50A)及び第2磁気軸受部(40B,50B)と、前記駆動軸(19)を回転させる電動機(20)と、前記駆動軸(19)の位置を検知するギャップ検出部(70)と、を備え、前記駆動軸(19)の回転時において、前記駆動軸(19)には、前記第2磁気軸受部(40B,50B)側から前記第1磁気軸受部(40A,50A)側へ向かう第1方向(X1)に前記第1磁気軸受部(40A,50A)側から前記第2磁気軸受部(40B,50B)側へ向かう第2方向(X2)よりも平均的に大きな外力(F0)が作用しており、前記第1磁気軸受部(40A,50A)は、前記駆動軸(19)に対して、前記第1方向(X1)に磁力(F1)を作用させており、前記第2磁気軸受部(40B,50B)は、前記駆動軸(19)に対して、前記第2方向(X2)に磁力(F2)を作用させており、前記第2磁気軸受部(40B,50B)が前記駆動軸(19)に対して作用可能な磁力(F2)の大きさは、前記第1磁気軸受部(40A,50A)が前記駆動軸(19)に対して作用可能な磁力(F1)の大きさよりも大きく、前記ギャップ検出部(70)は、前記第1磁気軸受部(40A,50A)よりも前記第2磁気軸受部(40B,50B)の近くに配置される。
【0008】
第1の態様では、互いに対向して駆動軸(19)を支持する一対の磁気軸受部(40A,40B,50A,50B)によって駆動軸(19)の位置を好適に制御することが可能な電動機システム(10)を提供することができる。
【0009】
また、ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3,δ6)を、第2磁気軸受部(40B,50B)のギャップ長(δ2,δ5)に、極力近づけることができる。このため、第2磁気軸受部(40B,50B)のギャップ長(δ2,δ5)を調整するのに、ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3,δ6)を、補正値や推定則等を極力用いることなく、略直接用いることができる。また、ギャップ検出部(70)を複数用意する必要がないので、制御システムを簡素化することができる。
【0010】
本開示の第2の態様は、第1の態様の電動機システム(10)において、前記第1磁気軸受部(40A,50A)及び前記第2磁気軸受部(40B,50B)は、前記駆動軸(19)の軸方向に並んだ第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)であり、前記電動機(20)は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)と前記第2スラスト磁気軸受部(50B)との間に配置されており、前記ギャップ検出部(70)は、前記駆動軸(19)の軸方向位置を検知しており、前記第1方向(X1)は、前記駆動軸(19)の一端(19a)から他端(19b)へ向かう方向であり、前記第2方向(X2)は、前記駆動軸(19)の他端(19b)から一端(19a)へ向かう方向である。
【0011】
第2の態様では、2つのスラスト磁気軸受部(50A,50B)が互いに離れて配置された場合であっても、駆動軸(19)の軸方向位置の制御が可能な電動機システム(10)を提供することができる。
【0012】
本開示の第3の態様は、第2の態様の電動機システム(10)において、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量と前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量とが互いに異なる場合に、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量よりも小さい。
【0013】
第3の態様では、第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)を微調整することができる。
【0014】
本開示の第4の態様は、第3の態様の電動機システム(10)において、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量が、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量よりも小さくなるように、少なくとも前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を制御する制御部(91)をさらに備える。
【0015】
第4の態様では、仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)を制御しなくても、第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を制御することによって、第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量を、小さくすることができる。
【0016】
本開示の第5の態様は、第4の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、任意のタイミングにおいて、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)の振幅(A2)を、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きくなるように、制御する。
【0017】
第5の態様では、外力(F0)で第1方向(X1)に移動しようとする駆動軸(19)を、第2スラスト磁気軸受部(50B)によって、任意のタイミングで、第2方向(X2)に移動させることができる。このため、仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)を制御しなくても、第2スラスト磁気軸受部(50B)によって、駆動軸(19)の軸方向位置を微調整することができる。
【0018】
本開示の第6の態様は、第4又は5の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)に応じて、前記駆動軸(19)を所定の軸方向位置に位置付けるように、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を制御する。
【0019】
第6の態様では、仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)を制御しなくても、第2スラスト磁気軸受部(50B)によって、駆動軸(19)を所定の軸方向位置に位置付けることができる。
【0020】
本開示の第7の態様は、第4〜6のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)の磁力(F2)を、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)に応じて、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)に流す電流(I2)の大きさを調整することによって、制御する。
【0021】
第7の態様では、仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)に流す電流(I1)の大きさを調整しなくても、駆動軸(19)の軸方向位置を制御することができる。
【0022】
本開示の第8の態様は、第6又は7の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、一定の磁力(F1)を前記駆動軸(19)に対して作用させるように、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)を制御する。
【0023】
第8の態様では、第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)をギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)にかかわらず一定とすることで、ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)に応じて制御する対象を第2スラスト磁気軸受部(50B)のみとすることができる。
【0024】
本開示の第9の態様は、第4〜8のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時における前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の大きさを、前記駆動軸(19)の非回転時における前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の大きさよりも、小さくなるように制御する。
【0025】
駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)は第1方向(X1)に移動しようとするので、第1スラスト磁気軸受部(50A)による第1方向(X1)の磁力(F1)は、小さくてもよい。第9の態様では、駆動軸(19)の回転時において、第1スラスト磁気軸受部(50A)が駆動軸(19)に作用させる無駄な磁力(F1)を、極力小さくすることができる。
【0026】
本開示の第10の態様は、第9の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時において、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)の大きさをゼロにする。
【0027】
第10の態様では、第1スラスト磁気軸受部(50A)が駆動軸(19)に作用させる無駄な磁力(F1)を、一切なくすことができる。
【0028】
本開示の第11の態様は、第2〜7のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)は、前記駆動軸(19)に対して永久磁石(100)のみによる磁力(F1)を作用させる。
【0029】
第11の態様では、第1スラスト磁気軸受部(50A)の構成を簡単にすることができる。
【0030】
本開示の第12の態様は、第2〜11のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)及び前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ3)のいずれにも基づかずに、前記駆動軸(19)に対して磁力(F1)を作用させる。
【0031】
第12の態様では、第1スラスト磁気軸受部(50A)に対して、ギャップ長(δ1,δ2,δ3)の値をフィードバックする必要がないので、第1スラスト磁気軸受部(50A)による磁力(F1)の制御が簡単になる。
【0032】
本開示の第13の態様は、ターボ圧縮機(1)を対象とする。前記ターボ圧縮機(1)は、第2〜12のいずれか1つの態様の電動機システム(10)と、前記駆動軸(19)に設けられたインペラ(30)と、を備える。
【0033】
第13の態様では、2つのスラスト磁気軸受部(50A,50B)が互いに離れて配置された場合であっても、駆動軸(19)の軸方向位置の制御が可能なターボ圧縮機(1)を提供することできる。
【0034】
本開示の第14の態様は、第13の態様のターボ圧縮機(1)において、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)は、前記電動機(20)よりも前記第1方向(X1)側に配置されており、前記第2スラスト磁気軸受部(50B)は、前記電動機(20)よりも前記第2方向(X2)側に配置されており、前記ギャップ検出部(70)は、前記電動機(20)よりも前記第2方向(X2)側に配置されており、前記インペラ(30)は、前記第1スラスト磁気軸受部(50A)よりも前記第1方向(X1)側に配置されている。
【0035】
仮にギャップ検出部(70)とインペラ(30)とが電動機(20)に対して軸方向同じ側に配置されると、ギャップ検出部(70)を設けるスペース分だけ駆動軸(19)が長くなる。この場合、浮上体(駆動軸(19)を含む回転体)が長くなることで、共振周波数が低くなり、磁気浮上制御に悪影響を及ぼすことがある。第14の態様では、ギャップ検出部(70)とインペラ(30)とが電動機(20)を挟んで軸方向に互いに離れて配置されることによって、浮上体が長くなることを抑制することができる。このため、磁気浮上制御への悪影響を抑制することができる。
【0036】
本開示の第15の態様は、第1の態様の電動機システム(10)において、前記第1磁気軸受部(40A,50A)及び前記第2磁気軸受部(40B,50B)は、前記駆動軸(19)の径方向に並んだ第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)であり、前記ギャップ検出部(70)は、前記駆動軸(19)の径方向位置を検知する。
【0037】
第15の態様では、浮上体(駆動軸(19)を含む回転体)を径方向に挟んで互いに対向する一対のラジアル磁気軸受部(40A,40B)によって駆動軸(19)の径方向位置を好適に制御することが可能な電動機システム(10)を提供することができる。
【0038】
本開示の第16の態様は、第15の態様の電動機システム(10)において、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量と前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量とが互いに異なる場合に、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量は、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量よりも小さい。
【0039】
第16の態様では、第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)を微調整することができる。
【0040】
本開示の第17の態様は、第16の態様の電動機システム(10)において、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量が、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量よりも小さくなるように、少なくとも前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御する制御部(91)をさらに備える。
【0041】
第17の態様では、仮に第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)を制御しなくても、第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御することによって、第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量を、小さくすることができる。
【0042】
本開示の第18の態様は、第17の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、任意のタイミングにおいて、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)の振幅(A2)を、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きくなるように、制御する。
【0043】
第18の態様では、外力(F0)で第1方向(X1)に移動しようとする駆動軸(19)を、第2ラジアル磁気軸受部(40B)によって、任意のタイミングで、第2方向(X2)に移動させることができる。このため、仮に第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)を制御しなくても、第2ラジアル磁気軸受部(40B)によって、駆動軸(19)の径方向位置を微調整することができる。
【0044】
本開示の第19の態様は、第17又は18の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて、前記駆動軸(19)を所定の径方向位置に位置付けるように、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御する。
【0045】
第19の態様では、仮に第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)を制御しなくても、第2ラジアル磁気軸受部(40B)によって、駆動軸(19)を所定の径方向位置に位置付けることができる。
【0046】
本開示の第20の態様は、第17〜19のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を、前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)に流す電流(I2)の大きさを調整することによって、制御する。
【0047】
第20の態様では、仮に第1ラジアル磁気軸受部(40A)に流す電流(I1)の大きさを調整しなくても、駆動軸(19)の径方向位置を制御することができる。
【0048】
本開示の第21の態様は、第19又は20の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、一定の磁力(F1)を前記駆動軸(19)に対して作用させるように、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)を制御する。
【0049】
第21の態様では、第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)をギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)にかかわらず一定とすることで、ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて制御する対象を第2ラジアル磁気軸受部(40B)のみとすることができる。
【0050】
本開示の第22の態様は、第17〜21のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時における前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさを、前記駆動軸(19)の非回転時における前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさよりも、小さくなるように制御する。
【0051】
駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)は第1方向(X1)に移動しようとするので、第1ラジアル磁気軸受部(40A)による第1方向(X1)の磁力(F1)は、小さくてもよい。第22の態様では、駆動軸(19)の回転時において、第1ラジアル磁気軸受部(40A)が駆動軸(19)に作用させる無駄な磁力(F1)を、極力小さくすることができる。
【0052】
本開示の第23の態様は、第22の態様の電動機システム(10)において、前記制御部(91)は、前記駆動軸(19)の回転時において、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさをゼロにする。
【0053】
第23の態様では、第1ラジアル磁気軸受部(40A)が駆動軸(19)に作用させる無駄な磁力(F1)を、一切なくすことができる。
【0054】
本開示の第24の態様は、第15〜20のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、前記駆動軸(19)に対して永久磁石(100)のみによる磁力(F1)を作用させる。
【0055】
第24の態様では、第1ラジアル磁気軸受部(40A)の構成を簡単にすることができる。
【0056】
本開示の第25の態様は、第15〜24のいずれか1つの態様の電動機システム(10)において、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、前記第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)、前記第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)及び前記ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)のいずれにも基づかずに、前記駆動軸(19)に対して磁力(F1)を作用させる。
【0057】
第25の態様では、第1ラジアル磁気軸受部(40A)に対して、ギャップ長(δ4,δ5,δ6)の値をフィードバックする必要がないので、第1ラジアル磁気軸受部(40A)による磁力(F1)の制御が簡単になる。
【0058】
本開示の第26の態様は、ターボ圧縮機(1)を対象とする。前記ターボ圧縮機(1)は、第15〜25のいずれか1つの態様の電動機システム(10)と、前記駆動軸(19)に設けられたインペラ(30)と、を備える。
【0059】
第26の態様では、浮上体(駆動軸(19)を含む回転体)を径方向に挟んで互いに対向する一対のラジアル磁気軸受部(40A,40B)によって駆動軸(19)の径方向位置を好適に制御することが可能なターボ圧縮機(1)を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は、本開示の実施形態1に係るターボ圧縮機(1)の構成例を示す図である。
図2図2は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)の時間変化を示すグラフである。
図3図3は、第1スラスト磁気軸受部(50A)において、電磁力(F1)と電流値(I1)との関係を示すグラフである。
図4図4は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の大きさをゼロにした場合における図1相当図である。
図5図5は、実施形態1の変形例1におけるスラスト磁気軸受(50)の構成を示す図である。
図6図6は、実施形態2におけるラジアル磁気軸受(40)の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。なお、図1において、右側(インペラ(30)側)を「前側」、左側を「後側」という。
【0062】
ターボ圧縮機(1)は、空気調和機などの冷凍装置に適用される。冷凍装置は、冷媒が循環する冷媒回路を備える。ターボ圧縮機(1)は、冷媒回路の冷媒を圧縮する。冷媒回路では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
【0063】
−ターボ圧縮機の構成−
図1は、本実施形態に係るターボ圧縮機(1)の構成例を示す。ターボ圧縮機(1)は、電動機システム(10)と、ケーシング(11)と、インペラ(30)と、を備える。
【0064】
電動機システム(10)は、駆動軸(19)と、電動機(20)と、ラジアル磁気軸受(40)と、スラスト磁気軸受(50)と、ギャップ検出部(70)と、タッチダウン軸受(81)と、制御部(91)と、電源部(92)と、を備える。
【0065】
ケーシング(11)は、両端が閉塞された円筒状に形成され、円筒軸線が水平向きとなるように配置されている。ケーシング(11)内の空間は、壁部(14)によって区画されている。壁部(14)よりも後側の空間は、駆動軸(19)、電動機(20)、ラジアル磁気軸受(40)、スラスト磁気軸受(50)、及びギャップ検出部(70)を収容するための駆動機構空間(15)である。壁部(14)よりも前側の空間は、インペラ(30)を収容するためのインペラ空間(16)である。
【0066】
〈駆動軸〉
駆動軸(19)は、その軸心(O)の延びる方向が水平向きとなるように、駆動機構空間(15)に収容されている。なお、以下の説明において、「軸方向」とは、駆動軸(19)の軸心(O)の延びる方向をいう。軸方向において、「一方側」とは、後側(図1における左側)をいう。軸方向において、「他方側」とは、前側(図1における右側)をいう。「径方向」とは、軸方向と直交する方向をいう。「外周側」とは、駆動軸(19)の軸心(O)からより遠い側をいう。「内周側」とは、駆動軸(19)の軸心(O)により近い側をいう。「周方向」とは、駆動軸(19)の軸心(O)を基準とした周方向をいう。
【0067】
〈電動機〉
電動機(20)は、ロータ(22)と、ステータ(23)と、を有する。ロータ(22)は、駆動軸(19)に回転一体に固定されている。ステータ(23)は、ケーシング(11)の内周面に固定されている。ロータ(22)の外周面とステータ(23)の内周面とは、所定の距離を隔てて互いに対向している。電動機(20)は、例えば永久磁石同期モータである。電動機(20)は、駆動軸(19)を回転させる。
【0068】
〈インペラ〉
インペラ(30)は、複数の羽根によって外形が略円錐形状となるように形成されている。インペラ(30)は、駆動軸(19)に設けられている。具体的には、インペラ(30)は、駆動軸(19)の他端部(前端部)に回転一体に固定されている。インペラ(30)は、インペラ空間(16)に収容されている。インペラ空間(16)には、吸入管(12)及び吐出管(13)が接続されている。インペラ空間(16)の外周部には、圧縮空間(17)が形成されている。吸入管(12)は、気体を外部からインペラ空間(16)に導くために設けられている。吐出管(13)は、インペラ空間(16)で圧縮され高圧となった気体を外部へ戻すために設けられている。
【0069】
〈ラジアル磁気軸受〉
電動機システム(10)は、2つのラジアル磁気軸受(40,40)を備える。ラジアル磁気軸受(40,40)は、電磁石として、駆動軸(19)に対して径方向に電磁力を作用させることによって、駆動軸(19)を非接触で支持している。両ラジアル磁気軸受(40,40)は、駆動軸(19)の軸方向に並んで配置されている。また、両ラジアル磁気軸受(40,40)は、電動機(20)を挟んで互いに離れて配置されている。ラジアル磁気軸受(40)は、ロータ(41)と、ステータ(42)と、を有する。ロータ(41)は、駆動軸(19)に回転一体に固定されている。ステータ(42)は、ロータ(41)と所定の距離を隔てて配置されている。ステータ(42)は、ケーシング(11)の内周面に固定されている。
【0070】
〈スラスト磁気軸受〉
電動機システム(10)は、スラスト磁気軸受(50)を備える。スラスト磁気軸受(50)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)を有する。第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)は、互いに対向している。第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)は、電磁石として、駆動軸(19)に対して軸方向に、電磁力(F1,F2)を作用させることによって、駆動軸(19)を非接触で支持しており、駆動軸(19)の軸方向位置を非接触で制御している。
【0071】
第1スラスト磁気軸受部(50A)は、駆動軸(19)に対して、第1方向(X1)に電磁力(F1)を作用させる。第1方向(X1)は、駆動軸(19)の一端(後端)(19a)から他端(前端)(19b)へ向かう方向である。
【0072】
第2スラスト磁気軸受部(50B)は、駆動軸(19)に対して、第2方向(X2)に電磁力(F2)を作用させる。第2方向(X2)は、駆動軸(19)の他端(前端)(19b)から一端(後端)(19a)へ向かう方向である。
【0073】
第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)は、駆動軸(19)の軸方向に並んで配置されている。第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)は、電動機(20)を挟んで互いに離れて配置されている。換言すると、電動機(20)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)と第2スラスト磁気軸受部(50B)との間に配置されている。
【0074】
第1スラスト磁気軸受部(50A)は、電動機(20)よりも第1方向(X1)側(軸方向他方側(前側))に配置されている。具体的には、第1スラスト磁気軸受部(50A)は、軸方向において、インペラ(30)と前側のラジアル磁気軸受(40)との間に配置されている。換言すると、インペラ(30)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)よりも第1方向(X1)側(前側)に配置されている。
【0075】
第2スラスト磁気軸受部(50B)は、電動機(20)よりも第2方向(X2)側(軸方向一方側(後側))に配置されている。具体的には、第2スラスト磁気軸受部(50B)は、後側のラジアル磁気軸受(40)よりも第2方向(X2)側(後側)に配置されている。
【0076】
各スラスト磁気軸受部(50A,50B)は、ロータ(51)と、ステータ(52)と、を有する。ロータ(51)は、駆動軸(19)に回転一体に固定されている。ステータ(52)は、ロータ(51)と所定の距離を隔てて配置されている。ステータ(52)は、ケーシング(11)の内周面に固定されている。ステータ(52)は、ロータ(51)よりも軸方向外側に配置されている。具体的には、第1スラスト磁気軸受部(50A)において、ステータ(52)は、ロータ(51)よりも第1方向(X1)側(前側)に配置されている。第2スラスト磁気軸受部(50B)において、ステータ(52)は、ロータ(51)よりも第2方向(X2)側(後側)に配置されている。
【0077】
図1において、符号(δ1)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)におけるステータ(52)とロータ(51)との隙間(ギャップ)である(以下、「第1ギャップ長(δ1)」という)。符号(δ2)は、第2スラスト磁気軸受部(50B)におけるステータ(52)とロータ(51)との隙間(ギャップ)である(以下、「第2ギャップ長(δ2)」という)。
【0078】
図2は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)の時間変化を示す。図2に示すように、第2スラスト磁気軸受部(50B)が駆動軸(19)に対して作用可能な電磁力(F2)の大きさは、第1スラスト磁気軸受部(50A)が駆動軸(19)に対して作用可能な電磁力(F1)の大きさよりも大きい。電磁力(F1,F2)の大きさは、例えば、電磁力(F1,F2)の最大値、平均値等で評価する。
【0079】
〈ギャップ検出部〉
ギャップ検出部(70)は、電動機(20)よりも第2方向(X2)側(後側)に配置されている。具体的には、ギャップ検出部(70)は、第2スラスト磁気軸受部(50B)よりも、第2方向(X2)側(後側)に配置されている。換言すると、ギャップ検出部(70)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)よりも第2スラスト磁気軸受部(50B)の近くに配置されている。ギャップ検出部(70)は、ケーシング(11)の内壁部に固定されている。ギャップ検出部(70)は、例えばギャップセンサである。
【0080】
第2スラスト磁気軸受部(50B)よりも第2方向(X2)側(後側)には、ターゲット(71)が配置されている。ターゲット(71)は、駆動軸(19)に回転一体に固定されている。ギャップ検出部(70)は、ギャップ検出部(70)とターゲット(71)との隙間(以下、「第3ギャップ長(δ3)」という)を検知することによって、駆動軸(19)の軸方向位置を検知する。
【0081】
〈制御部〉
制御部(91)は、駆動軸(19)の位置を制御する。具体的には、制御部(91)は、両ラジアル磁気軸受(40,40)の電磁力を制御することによって、駆動軸(19)の径方向位置を制御する。制御部(91)は、スラスト磁気軸受(50)、より具体的には、第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F1,F2)を制御することによって、駆動軸(19)の軸方向位置を制御する。制御部(91)は、例えばマイクロコンピュータ(図示せず)と、プログラムと、によって構成される。プログラムは、マイクロコンピュータを動作させる。制御部(91)の詳細な構成については、後述する。
【0082】
〈電源部〉
電源部(92)は、制御部(91)からの指令信号に基づいて、ラジアル磁気軸受(40)及びスラスト磁気軸受(50)それぞれに、電力(電流)を供給する。電源部(92)は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)アンプによって構成される。
【0083】
〈その他〉
図1における符号(80)は、非磁性リングである。非磁性リング(80)は、ラジアル磁気軸受(40)のロータ(41)とスラスト磁気軸受(50)のロータ(51)との間に配置されている。図1における符号(81)は、タッチダウン軸受である。タッチダウン軸受(81)は、ラジアル磁気軸受(40)におけるステータ(42)とロータ(41)との接触、及びスラスト磁気軸受(50)におけるステータ(52)とロータ(51)との接触を防止する。
【0084】
−ターボ圧縮機の運転動作−
ターボ圧縮機(1)の運転動作について説明する。電動機(20)に電力が供給されると、電動機(20)のロータ(22)が回転する。これにより、駆動軸(19)及びインペラ(30)が回転する。インペラ(30)が回転することによって、吸入管(12)からインペラ空間(16)へ気体が吸入されて圧縮される。圧縮され高圧となった気体は、吐出管(13)を通ってインペラ空間(16)から外部へ吐出される。
【0085】
ターボ圧縮機(1)の運転時、換言すると駆動軸(19)の回転時、特に最大負荷時において、駆動軸(19)には、第1方向(X1)に第2方向(X2)よりも平均的に大きな外力(F0)が作用している。駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)は、第1方向(X1)に移動しようとする。なお、一時的に、駆動軸(19)に対して第2方向(X2)に第1方向(X1)よりも大きな外力が作用しても差し支えない。
【0086】
駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)に作用する外力は、主に、冷媒の流体力と重力との合力で構成される。流体力は、駆動軸(19)の回転時において、主に、軸方向におけるインペラ(30)側(前側)及び径方向に作用する。本実施形態では、駆動軸(19)が水平方向に延びるように配置されるため、駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)に対して軸方向に作用する外力は、インペラ(30)側(前側)に作用する流体力に略一致する。
【0087】
「最大負荷時」は、駆動軸(19)に作用する流体力の大きさが最大の時を意味する。「最大負荷時」は、必ずしも、駆動軸(19)の回転数が最大の時を意味しない。
【0088】
−各ギャップ長の相互関係−
駆動軸(19)が第1方向(X1)に移動すると、第3ギャップ長(δ3)及び第2ギャップ長(δ2)は、大きくなる。駆動軸(19)が第1方向(X1)に移動すると、第1ギャップ長(δ1)は、小さくなる。駆動軸(19)が第2方向(X2)に移動すると、第3ギャップ長(δ3)及び第2ギャップ長(δ2)は、小さくなる。駆動軸(19)が第2方向(X2)に移動すると、第1ギャップ長(δ1)は、大きくなる。
【0089】
理想状態では、第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)と第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)との和は、変動しない。換言すると、第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量と第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量とは、互いに同じである。このため、理想状態では、一方のスラスト磁気軸受部(50A,50B)のギャップ長(δ1,δ2)を制御すれば、必然的に、他方のスラスト磁気軸受部(50A,50B)のギャップ長(δ1,δ2)を制御することになる。
【0090】
しかし、温度条件や運転条件等によっては、第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)と第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)との和が、変動する場合がある。換言すると、第1スラスト磁気軸受部(50A)のギャップ長(δ1)の変動量と第2スラスト磁気軸受部(50B)のギャップ長(δ2)の変動量とが互いに異なる場合がある。この場合、一方のスラスト磁気軸受部(50A,50B)のギャップ長(δ1,δ2)を制御しても、他方のスラスト磁気軸受部(50A,50B)のギャップ長(δ1,δ2)を制御することにはならない。
【0091】
なお、変動量の尺度として、目標値と最大値/最小値との差、中央値と最大値/最小値との差、平均値と最大値/最小値との差、最小値と最大値との差、等が挙げられる。両ギャップ長(δ1,δ2)の間で差異が生じる原因の具体例として、例えば温度変化による熱膨張、サージング現象等が挙げられる。
【0092】
本実施形態では、ターボ圧縮機(1)の駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)には第1方向(X1)に第2方向(X2)よりも平均的に大きな外力(F0)が作用することに着目し、専ら第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を制御することによって、駆動軸(19)の軸方向位置を制御することにした。具体的には、第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)の変動量を、第1スラスト磁気軸受部(50A)の第1ギャップ長(δ1)の変動量よりも小さくなるようにした。
【0093】
第2ギャップ長(δ2)の変動量を小さくするためには、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を、正確に制御する必要がある。本実施形態では、ギャップ検出部(70)を、第1スラスト磁気軸受部(50A)よりも第2スラスト磁気軸受部(50B)の近くに配置することによって、第3ギャップ長(δ3)の変動量と第2ギャップ長(δ1)の変動量との差異を極力小さくした。このため、第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)を制御する際、ギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)を、熱膨張に関する補正値や推定則等を用いることなく、略直接用いることができる。
【0094】
なお、以下に説明するように、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を正確に制御することは、難しい。図3は、第1スラスト磁気軸受部(50A)における出力電磁力(F1)と入力電流値(I1)との関係を示す。図3に示すように、熱膨張時における出力電磁力(F1)の大きさと、非熱膨張時における出力電磁力(F1)の大きさとは、互いに異なる。なぜなら、電磁力(F1)は第1ギャップ長(δ1)をパラメータとした関数で表せるため、熱膨張によって第1ギャップ長(δ1)が変動すると、入力電流値(I1)が同じであっても、出力電磁力(F1)の大きさが変動するからである。つまり、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を正確に制御するためには、第1ギャップ長(δ1)を正確に検知する必要がある。
【0095】
しかし、第1スラスト磁気軸受部(50A)はギャップ検出部(70)から離れている分、第3ギャップ長(δ3)の変動量と第1ギャップ長(δ1)の変動量との間で差異が生じやすい。このため、第1ギャップ長(δ1)は、電磁力(F1)の大きさを決定する重要なパラメータであるにもかかわらず、第3ギャップ長(δ3)から直接検知することが難しい。
【0096】
−スラスト磁気軸受の制御態様−
制御部(91)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を制御する。具体的には、図1,2に示すように、制御部(91)は、指令信号(L1)を、電源部(92)に入力する。電源部(92)は、指令信号(L1)に基いて、電流(I1)を第1スラスト磁気軸受部(50A)に流す。制御部(91)は、指令信号(L2)を、電源部(92)に入力する。電源部(92)は、指令信号(L2)に基いて、電流(I2)を第2スラスト磁気軸受部(50B)に流す。
【0097】
制御部(91)は、第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)の変動量が、第1スラスト磁気軸受部(50A)の第1ギャップ長(δ1)の変動量よりも小さくなるように、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を制御する。なお、制御部(91)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を制御せず、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)のみを制御してもよい。換言すると、制御部(91)は、少なくとも第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を制御すればよい。
【0098】
図2に示すように、制御部(91)は、任意のタイミングにおいて、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)の振幅(A2)を、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きくなるように、制御する。換言すると、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)の振幅(A2)は、任意のタイミングで変化可能な変数である。
【0099】
制御部(91)は、ギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)に応じて、駆動軸(19)を所定の軸方向位置に位置付けるように、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を制御する。
【0100】
制御部(91)は、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を、ギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)に応じて、第2スラスト磁気軸受部(50B)に流す電流(I2)の大きさを調整することによって、制御する。
【0101】
制御部(91)は、図2に示すように、一定の電磁力(F1)を駆動軸(19)に対して作用させるように、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を制御する。当該一定の電磁力(F1)は、ゼロより大きい定数(図2の実線参照)でもよい。当該一定の電磁力(F1)は、ゼロでもよい。当該一定の電磁力(F1)は、一定の振幅(A1)を有する正弦波で表されてもよい(図2の二点鎖線参照)。この場合、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の振幅(A1)は、時間によらず一定の定数である。
【0102】
ここで、ターボ圧縮機(1)の運転時(駆動軸(19)の回転時)において、駆動軸(19)には、第1方向(X1)に第2方向(X2)よりも大きな外力(F0)が作用する。このため、そもそも第1スラスト磁気軸受部(50A)によって駆動軸(19)に対して第1方向(X1)の電磁力(F1)を作用させる必要性は、低い。
【0103】
そこで、制御部(91)は、駆動軸(19)の回転時における第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の大きさを、駆動軸(19)の非回転時における第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の大きさよりも、小さくなるように制御する。
【0104】
制御部(91)は、図4に示すように、駆動軸(19)の回転時において、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の大きさをゼロにしてもよい。電磁力(F1)の大きさをゼロにする方法としては、例えば第1スラスト磁気軸受部(50A)に電流(I1)を流さない方法がある(図4
参照)。
【0105】
−実施形態1の効果−
2つのスラスト磁気軸受部(50A,50B)が互いに離れて配置された場合であっても、駆動軸(19)の軸方向位置の制御が可能な電動機システム(10)を提供することできる。
【0106】
ギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)を、第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)に、極力近づけることができる。このため、変動量が小さく微調整が必要な第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)を調整するのに、ギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)を、補正値や推定則等を極力用いることなく、略直接用いることができる。また、ギャップ検出部(70)を複数用意する必要がないので、制御システムを簡素化することができる。
【0107】
第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)を微調整することができる。
【0108】
仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を制御しなくても、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)を制御することによって、第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)の変動量を、小さくすることができる。
【0109】
外力(F0)で第1方向(X1)に移動しようとする駆動軸(19)を、第2スラスト磁気軸受部(50B)によって、任意のタイミングで、第2方向(X2)に移動させることができる。このため、仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を制御しなくても、第2スラスト磁気軸受部(50B)によって、駆動軸(19)の軸方向位置を微調整することができる。また、第2スラスト磁気軸受部(50B)の電磁力(F2)の振幅(A2)を、第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きく変化させる(大きく振動させる)ことによって、熱膨張の影響を受けにくくなり、制御性能の劣化を防ぐことができる。
【0110】
仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)を制御しなくても、第2スラスト磁気軸受部(50B)によって、駆動軸(19)を所定の軸方向位置に位置付けることができる。
【0111】
仮に第1スラスト磁気軸受部(50A)に流す電流(I1)の大きさを調整しなくても、駆動軸(19)の軸方向位置を制御することができる。
【0112】
第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)をギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)にかかわらず一定とすることで、ギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)に応じて制御する対象を第2スラスト磁気軸受部(50B)のみとすることができる。
【0113】
駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)は第1方向(X1)に移動しようとするので、第1スラスト磁気軸受部(50A)による第1方向(X1)の電磁力(F1)は、小さくてもよい。本実施形態では、駆動軸(19)の回転時において、第1スラスト磁気軸受部(50A)が駆動軸(19)に作用させる無駄な電磁力(F1)を、極力小さくすることができる。
【0114】
第1スラスト磁気軸受部(50A)の電磁力(F1)の大きさをゼロにすることによって、第1スラスト磁気軸受部(50A)が駆動軸(19)に作用させる無駄な電磁力(F1)を、一切なくすことができる。
【0115】
2つのスラスト磁気軸受部(50A,50B)が互いに離れて配置された場合であっても、駆動軸(19)の軸方向位置の制御が可能なターボ圧縮機(1)を提供することできる。
【0116】
仮にギャップ検出部(70)とインペラ(30)とが電動機(20)に対して軸方向同じ側に配置されると、ギャップ検出部(70)を設けるスペース分だけ駆動軸(19)が長くなる。この場合、浮上体(駆動軸(19)を含む回転体)が長くなることで、共振周波数が低くなり、磁気浮上制御に悪影響を及ぼすことがある。本実施形態では、ギャップ検出部(70)とインペラ(30)とが電動機(20)を挟んで軸方向に互いに離れて配置されることによって、浮上体が長くなることを抑制することができる。このため、磁気浮上制御への悪影響を抑制することができる。
【0117】
《実施形態1の変形例1》
図5は、実施形態1の変形例1におけるスラスト磁気軸受(50)の構成を示す。本変形例では、第1スラスト磁気軸受部(50A)は、コイルを有さず、駆動軸(19)に対して永久磁石(100)のみによる磁力(F1)を作用させる。永久磁石(100)は、支持部(101)に支持されている。
【0118】
この場合も、第2スラスト磁気軸受部(50B)は、電磁石として、駆動軸(19)に対して電磁力(F2)を作用させる。第2スラスト磁気軸受部(50B)は、コイル(102)を有する。コイル(102)は、鉄芯等の磁性材料(103)に巻かれている。制御部(91)は、指令信号(L2)を、電源部(92)に入力する。電源部(92)は、指令信号(L2)に基いて、電流(I2)を第2スラスト磁気軸受部(50B)のコイル(102)に流す。制御部(91)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の磁力(F1)を制御しない。
【0119】
図示しないが、第2スラスト磁気軸受部(50B)は、コイル(102)に加えて、さらに永久磁石(100)を有してもよい。
【0120】
−実施形態1の変形例1の効果−
第1スラスト磁気軸受部(50A)の構成を簡単にすることができる。
【0121】
《実施形態1の変形例2》
本変形例では、図示しないが、第1スラスト磁気軸受部(50A)は、第1スラスト磁気軸受部(50A)の第1ギャップ長(δ1)、第2スラスト磁気軸受部(50B)の第2ギャップ長(δ2)及びギャップ検出部(70)の第3ギャップ長(δ3)のいずれにも基づかずに、駆動軸(19)に対して磁力(F1)を作用させる。
【0122】
磁力(F1)を作用させる方法として、例えば、ギャップ長(δ1,δ2,δ3)に基づかずに磁力(F1)を作用させるように、制御部(91)によって、第1スラスト磁気軸受部(50A)を制御する方法、制御部(91)を用いずに、第1スラスト磁気軸受部(50A)のコイル(102)を直流バス(DCバス)に直接接続して、一定の電圧を印加する方法、等がある。
【0123】
磁力(F1)の大きさとして、例えば、ゼロより大きい定数、ゼロ、一定の振幅を有する正弦波、所定のアルゴリズムからなる変数、等が考えられる。
【0124】
−実施形態1の変形例2の効果−
第1スラスト磁気軸受部(50A)に対して、ギャップ長(δ1,δ2,δ3)の値をフィードバックする必要がないので、第1スラスト磁気軸受部(50A)による磁力(F1)の制御が簡単になる。
《実施形態1の他の変形例》
本実施形態では、各スラスト磁気軸受部(50A,50B)において、ロータ(51)は軸方向内側、ステータ(52)は軸方向外側に配置されるが、これに限定されない。例えば、スラスト磁気軸受部(50A,50B)において、ロータ(51)は軸方向外側、ステータ(52)は軸方向内側に配置されてもよい。この場合、第1スラスト磁気軸受部(50A)は、電動機(20)よりも第2方向(X2)側(後側)に配置され、磁力(F1)を第1方向(X1)に作用させる。第2スラスト磁気軸受部(50B)は、電動機(20)よりも第1方向(X1)側(前側)に配置され、磁力(F2)を第2方向(X2)に作用させる。
【0125】
本実施形態では、駆動軸(19)は、水平方向に延びるように配置されるが、これに限定されない。例えば、駆動軸(19)は、鉛直方向に延びるように、且つ、インペラ(30)側が鉛直方向上側となるように、配置されてもよい。この場合、駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)に対して軸方向に作用する外力は、インペラ(30)側(鉛直方向上側)に作用する流体力と、インペラ(30)側とは反対側(鉛直方向下側)に作用する重力と、の合力となる。したがって、インペラ(30)側(鉛直方向上側)ではなく、インペラ(30)側とは反対側(鉛直方向下側)に、駆動軸(19)に対して平均的に大きな外力(F0)が作用することもあり得る。
【0126】
《実施形態2》
図6は、実施形態2におけるラジアル磁気軸受(40)の構成を示す。本実施形態では、少なくとも一方のラジアル磁気軸受(40)は、第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)を有する。
【0127】
第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)は、駆動軸(19)の径方向に並んで、互いに対向している。第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)は、駆動軸(19)に対して径方向に磁力(F1,F2)を作用させることによって、駆動軸(19)を非接触で支持しており、駆動軸(19)の径方向位置を非接触で制御している。
【0128】
駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)には、第2ラジアル磁気軸受部(40B)側から第1ラジアル磁気軸受部(40A)側へ向かう第1方向(X1)に第1ラジアル磁気軸受部(40A)側から第2ラジアル磁気軸受部(40B)側へ向かう第2方向(X2)よりも平均的に大きな外力(F0)が作用している。
【0129】
第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、駆動軸(19)に対して、第1方向(X1)に磁力(F1)を作用させている。第2ラジアル磁気軸受部(40B)は、駆動軸(19)に対して、第2方向(X2)に磁力(F2)を作用させている。第2ラジアル磁気軸受部(40B)が駆動軸(19)に対して作用可能な磁力(F2)の大きさは、第1ラジアル磁気軸受部(40A)が駆動軸(19)に対して作用可能な磁力(F1)の大きさよりも大きい。
【0130】
ギャップ検出部(70)は、駆動軸(19)の径方向位置を検知する。ギャップ検出部(70)は、第1ラジアル磁気軸受部(40A)よりも第2ラジアル磁気軸受部(40B)の近くに配置される。
【0131】
図6において、符号(δ4)は、第1ラジアル磁気軸受部(40A)におけるステータ(42)とロータ(41)とのギャップ長(δ4)である。符号(δ5)は、第2ラジアル磁気軸受部(40B)におけるステータ(42)とロータ(41)とのギャップ長(δ5)である。符号(δ6)は、ギャップ検出部(70)とロータ(41)とのギャップ長(δ6)である。なお、ギャップ長(δ6)は、ギャップ検出部(70)と、浮上体(駆動軸(19)を含む回転体)に回転一体に固定されたターゲット(図示せず)と、の間の隙間としてもよい。
【0132】
電動機システム(10)は、第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量と第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量とが互いに異なる場合に、第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量が、第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量よりも小さくなるように、構成されてもよい。
【0133】
電動機システム(10)は、第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)の変動量が、第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)の変動量よりも小さくなるように、少なくとも第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御する制御部(91)をさらに備えてもよい。
【0134】
制御部(91)は、任意のタイミングにおいて、第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)の振幅(A2)を、第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の振幅(A1)よりも大きくなるように、制御してもよい。
【0135】
制御部(91)は、ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて、駆動軸(19)を所定の径方向位置に位置付けるように、第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を制御してもよい。
【0136】
制御部(91)は、第2ラジアル磁気軸受部(40B)の磁力(F2)を、ギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)に応じて、第2ラジアル磁気軸受部(40B)に流す電流(I2)の大きさを調整することによって、制御してもよい。
【0137】
制御部(91)は、一定の磁力(F1)を駆動軸(19)に対して作用させるように、第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)を制御してもよい。
【0138】
制御部(91)は、駆動軸(19)の回転時における第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさを、駆動軸(19)の非回転時における第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさよりも、小さくなるように制御してもよい。
【0139】
制御部(91)は、駆動軸(19)の回転時において、第1ラジアル磁気軸受部(40A)の磁力(F1)の大きさをゼロにしてもよい。
【0140】
図6に示すように、第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、コイルを有さず、駆動軸(19)に対して永久磁石(100)のみによる磁力(F1)を作用させてもよい。また、図示しないが、第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、コイルを有する電磁石として、駆動軸(19)に対して電磁力(F1)を作用させてもよい。
【0141】
第1ラジアル磁気軸受部(40A)は、第1ラジアル磁気軸受部(40A)のギャップ長(δ4)、第2ラジアル磁気軸受部(40B)のギャップ長(δ5)及びギャップ検出部(70)のギャップ長(δ6)のいずれにも基づかずに、駆動軸(19)に対して磁力(F1)を作用させてもよい。
【0142】
駆動軸(19)の回転時において、駆動軸(19)に対して径方向に作用する外力は、駆動軸(19)に作用する流体力と重力との合力となる。駆動軸(19)に対して平均的に大きな外力(F0)が作用する第1方向(X1)に応じて、適宜、第1方向(X1)側に第1ラジアル磁気軸受部(40A)を配置し、第1方向(X1)側とは反対側の第2方向(X2)側に第2ラジアル磁気軸受部(40B)を配置することが好ましい。
【0143】
例えば、駆動軸(19)が水平方向に延びるように配置される場合、駆動軸(19)に対して径方向に作用する外力は、流体力よりも重力が支配的となる場合が多い。この場合、駆動軸(19)に対して平均的に大きな外力(F0)が作用する第1方向は(X1)、鉛直方向下方向となる。したがって、この場合、駆動軸(19)に対して鉛直方向下側に第1ラジアル磁気軸受部(40A)を配置し、駆動軸(19)に対して鉛直方向上側に第2ラジアル磁気軸受部(40B)を配置することが好ましい。
【0144】
本実施形態では、第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)は、180°間隔を空けて1つずつ(計2つ)配置されているが、これに限定されず、例えば90°間隔を空けて2つずつ(計4つ)配置されてもよい。
【0145】
第1ラジアル磁気軸受部(40A)及び第2ラジアル磁気軸受部(40B)に関するその他の構成は、第1スラスト磁気軸受部(50A)及び第2スラスト磁気軸受部(50B)の場合と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0146】
−実施形態2の効果−
浮上体(駆動軸(19)を含む回転体)を径方向に挟んで互いに対向する一対のラジアル磁気軸受部(40A,40B)によって駆動軸(19)の径方向位置を好適に制御することが可能な電動機システム(10)を提供することができる。
【0147】
ラジアル磁気軸受部(40A,40B)による駆動軸(19)の径方向位置の制御において、スラスト磁気軸受部(50A,50B)による駆動軸(19)の軸方向位置の制御の場合と、同様の効果を得ることができる。
【0148】
《その他の実施形態》
電動機システム(10)を、例えばポンプ等の他の回転機械に適用してもよい。
【0149】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【符号の説明】
【0150】
X1 第1方向
X2 第2方向
δ1 第1ギャップ長
δ2 第2ギャップ長
δ3 第3ギャップ長
δ4 ギャップ長
δ5 ギャップ長
δ6 ギャップ長
F0 外力
F1 電磁力(磁力)
F2 電磁力(磁力)
A1 振幅
A2 振幅
I1 電流
I2 電流
1 ターボ圧縮機
10 電動機システム
19 駆動軸
19a 一端
19b 他端
20 電動機
30 インペラ
40 ラジアル磁気軸受
40A 第1ラジアル磁気軸受部
40B 第2ラジアル磁気軸受部
50 スラスト磁気軸受
50A 第1スラスト磁気軸受部
50B 第2スラスト磁気軸受部
70 ギャップ検出部
71 ターゲット
91 制御部
100 永久磁石
【要約】      (修正有)
【課題】互いに対向して駆動軸を支持する一対の磁気軸受部によって駆動軸の位置を好適に制御することが可能な電動機システムを提供する。
【解決手段】電動機システム10は、第1スラスト磁気軸受部50A及び第2スラスト磁気軸受部50Bと、両スラスト磁気軸受部の間に配置された電動機20と、駆動軸19の軸方向位置を検知するギャップ検出部70と、を備える。駆動軸には、第1方向に第2方向よりも大きな外力が作用する。第1スラスト磁気軸受部は、駆動軸に対して第1方向に電磁力を作用させる。第2スラスト磁気軸受部は、駆動軸に対して第2方向に電磁力を作用させる。第2スラスト磁気軸受部の電磁力は、第1スラスト磁気軸受部の電磁力よりも大きい。ギャップ検出部は、第1スラスト磁気軸受部よりも第2スラスト磁気軸受部の近くに配置される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6