(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1(A)は発明の第1の実施形態に係る流体制御装置10の側面断面図であり、
図1(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2(A)は本発明の第1の実施形態に係るポンプ本体100を第2主板120側から視た分解斜視図である。
図2(B)は本発明の第1の実施形態に係るポンプ本体100を第1主板110側から視た分解斜視図である。
【
図3】
図3(A)は本発明の第1の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10の側面断面図である。
図3(B)は本発明の第1の実施形態に係る、第2ノズル252から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10の側面断面図である。
【
図4】
図4(A)は発明の第2の実施形態に係る流体制御装置10Aの側面断面図であり、
図4(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
【
図5】
図5(A)は本発明の第2の実施形態に係るポンプ本体100Aを第2主板120A側から視た分解斜視図である。
図5(B)は本発明の第2の実施形態に係るポンプ本体100Aを第1主板110側から視た分解斜視図である。
【
図6】
図6(A)は本発明の第2の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Aの側面断面図である。
図6(B)は本発明の第2の実施形態に係る、第2ノズル252から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Aの側面断面図である。
【
図7】
図7(A)は発明の第3の実施形態に係る流体制御装置10Bの側面断面図であり、
図7(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は本発明の第3の実施形態に係るポンプ本体100Bを第2主板120B側から視た分解斜視図である。
【
図9】
図9(A)は本発明の第3の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Bの側面断面図である。
図9(B)は本発明の第3の実施形態に係る、第1ノズル251から吸入時の流体の流れを示した流体制御装置10Bの側面断面図である。
【
図10】
図10(A)は発明の第4の実施形態に係る流体制御装置10Cの側面断面図であり、
図10(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
【
図11】
図11は本発明の第4の実施形態に係るポンプ本体100Cを第2主板120C側から視た分解斜視図である。
【
図12】
図12(A)は本発明の第4の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Cの側面断面図である。
図12(B)は本発明の第4の実施形態に係る、第1ノズル251から吸入時の流体の流れを示した流体制御装置10Cの側面断面図である。
【
図13】
図13(A)は発明の第5の実施形態に係る流体制御装置10Dの側面断面図であり、
図13(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
【
図14】
図14は本発明の第5の実施形態に係るポンプ本体100Dを第2主板120D側から視た分解斜視図である。
【
図15】
図15(A)は本発明の第5の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Dの側面断面図である。
図15(B)は本発明の第5の実施形態に係る、第1ノズル251から吸入時の流体の流れを示した流体制御装置10Dの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図1(A)は発明の第1の実施形態に係る流体制御装置10の側面断面図であり、
図1(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
図2(A)は本発明の第1の実施形態に係るポンプ本体100を第2主板120側から視た分解斜視図である。
図2(B)は本発明の第1の実施形態に係るポンプ本体100を第1主板110側から視た分解斜視図である。
図3(A)は本発明の第1の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10の側面断面図である。
図3(B)は本発明の第1の実施形態に係る、第2ノズル252から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10の側面断面図である。なお、図を見やすくするため、一部の符号を省略し、一部の構造を誇張して記載している。
【0026】
図1(A)、
図1(B)に示すように、流体制御装置10は、ポンプ本体100、ケース200、保持部材300を備える。
【0027】
ポンプ本体100はケース200の内部に保持部材300によって連結されている。ケース天板220は第1ノズル251、第2ノズル252を備える。より具体的な構造、連結方法については後述する。なお、第1ノズル251が本発明の第1通気口に対応し、第2ノズル252が本発明の第3通気口に対応する。
【0028】
まず、ポンプ本体100の構造について説明する。ポンプ本体100は、第1主板110、第2主板120、側板130を備える。第1主板110には、駆動部材115が配置されている。
【0029】
図1(A)、
図1(B)、
図2(A)、
図2(B)に示すように、第1主板110および第2主板120は円板である。また、側板130は円筒である。
【0030】
側板130は、第1主板110と第2主板120との間に配置されており、第1主板110と第2主板120とを対向するように接続している。より具体的には、平面視において、第1主板110と第2主板120との中心は一致している。側板130は、このように配置された第1主板110と第2主板120における周縁を全周に亘って接続している。
【0031】
この構成によって、ポンプ本体100は、第1主板110、第2主板120および側板130によって囲まれる円柱形の空間であるポンプ室140を有する。
【0032】
第1主板110は複数の第1開口101を備える。第1開口101は第1主板110を貫通する。第1開口101は、第1主板110を平面視して、円環状に形成されている。より具体的には、第1開口101は、第1主板110を平面視して駆動部材115の外側に形成されている。このことによって、第1開口101における流路抵抗を小さくできる。また、駆動部材115の割れが抑制される。第1主板110は、第1開口101の形成位置付近において可撓性が高くなることによって振動しやすい。すなわち、より流体を流入しやすい効果を奏する。
【0033】
第2主板120は第2開口102を備える。第2開口102は第2主板120を貫通する。第2開口102は、第2主板120を平面視して、中央位置に形成されている。
【0034】
また、第2主板120は、複数の第3開口103、複数の第4開口104、複数の第5開口105を備える。第3開口103は、第1主板110を平面視して、円環状に形成されている。第4開口104は、第1主板110を平面視して、円環状に形成されている。第5開口105は、第1主板110を平面視して、円環状に形成されている。より具体的な形成位置については、後述する。
【0035】
なお、
図1(A)、
図2(B)に示すように、第1ノズル251に対向する第2開口102を形成する箇所には、凹部d1が円環状に設けられている。また、第2ノズル252に対向する第4開口104を形成する箇所には、凹部d2が円環状に設けられている。このことによって、第2開口102、および第4開口104の流路抵抗を下げることができる。また、後述の腹の振動効率が向上する。すなわち、第1ノズル251、および第2ノズル252からより、多くの流量を得ることができる。
【0036】
駆動部材115は第1主板110の第2主板120とは反対側の面に配置されている。駆動部材115は、圧電素子を有し、図示しない制御部に接続されている。該制御部は、圧電素子に対する駆動信号を生成し、圧電素子に印加する。圧電素子は、駆動信号によって変位し、この変位による応力が第1主板110に作用する。これにより、第1主板110は屈曲振動する。例えば、第1主板110の振動は第1種ベッセル関数の形状を生じる。
【0037】
このように、第1主板110が屈曲振動することによって、ポンプ室140の体積、圧力が変化する。
【0038】
次に、ケース200の構造について説明する。ケース200は、ケース底板210、ケース天板220、ケース側板230を備える。ケース底板210は中央に流入口260を備えている。なお、流入口260が本発明の第2通気口に対応する。
【0039】
ケース側板230は、ケース底板210とケース天板220との間に配置されており、ケース底板210とケース天板220とを対向するように接続している。より具体的には、平面視において、ケース底板210とケース天板220との中心は一致している。ケース側板230は、このように配置されたケース底板210とケース天板220における周縁を全周に亘って接続している。なお、ケース200は、ポンプ本体100を内部に形成できる大きさであればよいが、ポンプ本体100と相似形であることが好ましい。このことによって、流体制御装置10の性能が向上する。
【0040】
ケース天板220は第1ノズル251を備える。第1ノズル251はケース天板220の中央位置に形成されている。ケース天板220における第1ノズル251の形成領域は、第1ノズル251の非形成領域よりも厚い。この形成領域の中央に貫通孔が形成されることによって、第1ノズル251が形成される。第1ノズル251によって、ケース200の内側と外側は連通している。
【0041】
また、ケース天板220は複数の第2ノズル252を備える。第2ノズル252は、ケース天板220を平面視して、第1ノズル251と、ケース側板230との間に形成されている。より具体的な形成位置については、後述する。ケース天板220における第2ノズル252の形成領域は、第2ノズル252の非形成領域よりも厚い。この形成領域の中央に貫通孔が形成されることによって、第2ノズル252が形成される。第2ノズル252によって、ケース200の内側と外側は連通している。
【0042】
上述のとおり、ポンプ本体100と、ケース200とは保持部材300を介して連結されている。より具体的には、保持部材300は、ポンプ本体100
において側板130
によって第1主板110に接続されている第2主板120と、ケース200
におけるケース側板230とを連結し、第2主板120とケース天板220とは平行となるように形成されている。また、ポンプ本体100の中心と、ケース200の中心とは平面視して重なるように形成されている。保持部材300は第2主板120と一体形成されていてもよい。
【0043】
なお、上述のとおり、ポンプ本体100とケース200とは、相似形であることによって、ケース200とポンプ本体100との間に流路が形成される。
【0044】
次に、第1開口101、第2開口102、第3開口103、第4開口104、第5開口105、および、第1ノズル251、第2ノズル252のより具体的な位置関係について説明する。
【0045】
図1(B)に示すように、第1主板110の振動は第1種ベッセル関数の波形を示す。第1主板110の振動は、第1主板110の中心から外縁(側板130)に向けて、腹A1、節N1、腹A2、節N2を生じる。なお、第1主板110の中心位置の腹A1において、最も振幅が大きい。
【0046】
まず、ポンプ本体100における、第1開口101、第2開口102、第3開口103、第4開口104、第5開口105の形成位置について説明する。
【0047】
第1開口101は、第1主板110を平面視して、上述のとおり、駆動部材115に重ならない位置、すなわち側板130に最も近い位置に形成されている。より具体的には、第1開口101は節N2に近い位置、すなわち第1主板110の変位が小さい位置に形成されている。
【0048】
第2開口102はポンプ本体100の第2主板120の中央位置に形成されている。より具体的には、第2開口102は腹A1に重なる位置に形成されている。
【0049】
第3開口103は、第2主板120を平面視して、節N2に重なる位置に形成されている。また、第3開口103は、平面視において、第1開口101に重なる位置に形成されていてもよい。第3開口103が形成されていることによって、第1ノズル251と流入口260とは連通する。
【0050】
第4開口104は、第2主板120を平面視して、腹A2に重なる位置に形成されている。
【0051】
第5開口105は、第2主板120を平面視して、節N1に重なる位置に形成されている。より具体的には、第2主板120を平面視して、第5開口105は、第2開口102と、第4開口104とに挟まれる位置に形成されている。
【0052】
このことから、第2主板120における中央位置から外縁(側板130)方向に対して、第2開口102、第5開口105、第4開口104、第3開口103の順に形成されている。
【0053】
次に、ケース200における、第1ノズル251と第2ノズル252の具体的な形成位置について説明する。
【0054】
第1ノズル251はケース200の中央位置に形成されている。上述のとおり、ポンプ本体100の中心と、ケース200の中心は重なる。すなわち、第1ノズル251は、平面視して、第2開口102に重なる位置(腹A1)に形成されている。
【0055】
第2ノズル252は第4開口104に平面視して重なる位置に形成されている。すなわち、第2ノズル252は腹A2に重なる位置に形成されている。
【0056】
このことから、流体は、第1ノズル251と第2ノズル252の両方から吐出され、流量が増大する。
【0057】
次に、
図1(A)、
図1(B)、
図3(A)、
図3(B)を用いて、流体制御装置10における流体の流れについて説明する。なお、矢印を用いて、流体の流れを示す。
【0058】
図3(A)に示すように、腹A1において第1主板110と第2主板120が近接した時、すなわち腹A1においてポンプ室140が収縮した時には、第2開口102の箇所は局所的に正圧となる。このため、第2開口102はポンプ室140からポンプ本体100のケース天板220側に流体を吐出する。この流体は、ベンチュリー効果により第5開口105からの流体を巻き込んで、第1ノズル251から外部に吐出される。この時の第1ノズル251における吐出流量をDA1とする。
【0059】
一方、
図3(B)に示すように、腹A1において第1主板110と第2主板120が離間した時、すなわち腹A1においてポンプ室140が膨張した時には、腹A2においては第1主板110と第2主板120が近接し、腹A2においてポンプ室140が収縮する。そのため、第4開口104の箇所は局所的に正圧となる。このため、第4開口104はポンプ室140からポンプ本体100のケース天板220側に流体を吐出する。この流体は、ベンチュリー効果により第3開口103や第5開口105からの流体を巻き込んで、第2ノズル252から外部に吐出される。この時の第2ノズル252における吐出流量をDA2とする。
【0060】
なお、上述のように腹A1において第1主板110と第2主板120が近接した時(
図3(A))は、腹A2においては第1主板110と第2主板120が離間し、腹A2においてポンプ室140が膨張するため、第4開口104の箇所は局所的に負圧となる。このため、第4開口104からポンプ室140へ流体が流入する。しかしながら、流入する流体の多くは第3開口103や第5開口105から流出し、第2主板120とケース天板220の間を通って第4開口104から流入する。このことから、第2ノズル252からの逆流は、第2ノズル252からの吐出流量DA2より少ない。したがって、第1主板110の振動周期全体では、第2ノズル252から吐出流量を得ることができる。
【0061】
また同様に、上述のように腹A1において第1主板110と第2主板120が離間し、腹A1においてポンプ室140が膨張した時(
図3(B))は、第2開口102の箇所は局所的に負圧となる。このため、流体は、第2開口102からポンプ室140へ流入する。しかしながら、流入する流体の多くは第5開口105から流出し、第2主板120とケース天板220の間を通って第2開口102から流入するため、第1ノズル251からの逆流は、第1ノズル251からの吐出流量DA1より少ない。したがって、第1主板110の振動周期全体では、第1ノズル251から吐出流量を得ることができる。
【0062】
第1開口101における流体は、次の理由により、定常的にポンプ室140へ流入する。第2主板120とケース天板220の間には、定常的に流速の大きい巻き込み流が生じている。一方、第1開口101の外側には巻き込み流が生じていない。そのためベルヌーイの定理が示すように、流速の小さい第1開口101の外側は、流速の大きい第2主板120とケース天板220の間よりも圧力が高いため、第1開口101からポンプ室140への流体の流入が生じる。
【0063】
以上のように第1の実施形態に示す流体制御装置10において、流入口260から第1ノズル251への流れを生成できる。
【0064】
また、第1ノズル251と、第2ノズル252とは吐出タイミングが交互になるため、常時吐出が可能となる。すなわち、流体制御装置10における、流量は増大する。例えば、流体制御装置10で発生できる圧力は、8kPaであり、流量は、6L/minである。
【0065】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図4(A)は発明の第2の実施形態に係る流体制御装置10Aの側面断面図であり、
図4(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
図5(A)は本発明の第2の実施形態に係るポンプ本体100Aを第2主板120A側から視た分解斜視図である。
図5(B)は本発明の第2の実施形態に係るポンプ本体100Aを第1主板110側から視た分解斜視図である。
図6(A)は本発明の第2の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Aの側面断面図である。
図6(B)は本発明の第2の実施形態に係る、第2ノズル252から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Aの側面断面図である。なお、図を見やすくするため、一部の符号を省略し、一部の構造を誇張して記載している。
【0066】
第2の実施形態における流体制御装置10Aは、第1の実施形態における流体制御装置10と、第3開口103が形成されていない点で異なる。流体制御装置10Aの他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0067】
本実施形態においては第3開口103からの巻き込み流が生じない。しかしながら、第5開口105からの巻き込み流があるため、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0068】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図7(A)は発明の第3の実施形態に係る流体制御装置10Bの側面断面図であり、
図7(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
図8は本発明の第3の実施形態に係るポンプ本体100Bを第2主板120B側から視た分解斜視図である。
図9(A)は本発明の第3の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Bの側面断面図である。
図9(B)は本発明の第3の実施形態に係る、第1ノズル251から吸入時の流体の流れを示した流体制御装置10Bの側面断面図である。なお、図を見やすくするため、一部の符号を省略し、一部の構造を誇張して記載している。
【0069】
図7(A)、
図7(B)、
図8、
図9(A)、
図9(B)に示すように、第3の実施形態に係る流体制御装置10Bは、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、第4開口104、第5開口105を備えていない点、第2ノズル252を備えていない点、第1主板110の振動次数が一次振動である点において異なる。流体制御装置10Bの他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0070】
図7(A)、
図7(B)、
図8に示すように、流体制御装置10Bは、ポンプ本体100B、ケース200B、保持部材300を備える。
【0071】
図7(B)に示すように、第1主板110の振動は第1種ベッセル関数の形状に従う。第1主板110の振動は、第1主板110の中心から外縁(側板130)に向けて、腹A1、節N1を生じる。なお、駆動部材115の中心位置の腹A1において、最も振幅が大きい。
【0072】
図7(A)、
図7(B)に示すように、第1開口101は、第1主板110を平面視して、駆動部材115に重ならない位置に形成されている。より具体的には、第1開口101は節N1に近い位置、すなわち第1主板110の変位が小さい位置に形成されている。
【0073】
第2開口102はポンプ本体100Bの第2主板120Bの中央位置に形成されている。より具体的には、第2開口102は腹A1に重なる位置に形成されている。
【0074】
第3開口103は、第2主板120Bを平面視して、第1開口101と重なる位置に形成されている。より具体的には、第3開口103は節N1に近い位置に形成されている。
【0075】
次に、
図7(A)、
図7(B)、
図9(A)、
図9(B)を用いて、流体制御装置10Bにおける流体の流れについて説明する。なお、矢印を用いて、流体の流れを示す。
【0076】
図9(A)に示すように、腹A1において第1主板110と第2主板120Bが近接した時、すなわち腹A1においてポンプ室140Bが収縮した時には、第2開口102の箇所は局所的に正圧となる。このため、第2開口102はポンプ室140Bからポンプ本体100Bのケース天板220B側に流体を吐出する。この流体は、ベンチュリー効果により第3開口103からの流体を巻き込んで、第1ノズル251から外部に吐出される。この時の第1ノズル251における吐出流量をDA3とする。
【0077】
それに対して、
図9(B)に示すように、腹A1において第1主板110と第2主板120Bが離間した時、すなわち腹A1においてポンプ室140Bが膨張した時には、第2開口102の箇所は局所的に負圧となる。このため、流体は、第2開口102からポンプ室140Bへ流入する。しかしながら、流入する流体の多くは第3開口103から流出し、第2主板120Bとケース天板220Bの間を通って第2開口102から流入する。このことから、第1ノズル251からの逆流は、第1ノズル251からの吐出流量DA3より少ない。したがって、第1主板110の振動周期全体では、第1ノズル251から吐出流量を得ることができる。
【0078】
第1開口101においては、次の理由により、流体は定常的にポンプ室140Bへ流入する。第2主板120Bとケース天板220Bの間には、定常的に流速の大きい巻き込み流が生じている。一方、第1開口101の外側には巻き込み流が生じていない。そのためベルヌーイの定理が示すように、流速の小さい第1開口101の外側は、流速の大きい第2主板120Bとケース天板220Bの間よりも圧力が高い。すなわち、第1開口101からポンプ室140Bへの流体の流入が生じる。
【0079】
以上のように第3の実施形態に示す流体制御装置10Bにおいて、流入口260から第1ノズル251への流れを生成することができる。
【0080】
また、第4開口104、第5開口105、および第2ノズル252が形成されていないことにより、流体制御装置10Bの構成が簡素で安価となる。
【0081】
なお、本実施形態においては、第1主板110の振動次数を一次振動であるとして説明した。しかしながら、二次振動であっても同様の効果が得られる。
【0082】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図10(A)は発明の第4の実施形態に係る流体制御装置10Cの側面断面図であり、
図10(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
図11は本発明の第4の実施形態に係るポンプ本体100Cを第2主板120C側から視た分解斜視図である。
図12(A)は本発明の第4の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Cの側面断面図である。
図12(B)は本発明の第4の実施形態に係る、第1ノズル251から吸入時の流体の流れを示した流体制御装置10Cの側面断面図である。なお、図を見やすくするため、一部の符号を省略し、一部の構造を誇張して記載している。
【0083】
図10(A)、
図10(B)、
図11、
図12(A)、
図12(B)に示すように、第4の実施形態に係る流体制御装置10Cは、第3の実施形態に係る流体制御装置10Bに対して、第3開口103Cが保持部材300Cに形成されている点で異なる。流体制御装置10Cの他の構成は、流体制御装置10Bと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0084】
図10(A)、
図10(B)、
図11、
図12(A)、
図12(B)に示すように、流体制御装置10Cは、ポンプ本体100C、ケース200C、保持部材300Cを備える。
【0085】
この構成においても、第3の実施形態と同様、流入口260から第1ノズル251への流れを生成することができる。例えば、流体制御装置10Cで発生できる圧力は、5kPaであり、流量は、3L/minである。
【0086】
なお、保持部材300Cの剛性は、第3開口103Cによって低下する。このことから、ポンプ本体100Cの振動は、ケース200Cに漏洩しにくい。したがって、第1主板110の振動エネルギーを効率よく活用することができる。
【0087】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図13(A)は発明の第5の実施形態に係る流体制御装置10Dの側面断面図であり、
図13(B)は第1主板110の振動状態の一例を概略的に示す図である。
図14は本発明の第5の実施形態に係るポンプ本体100Dを第2主板120D側から視た分解斜視図である。
図15(A)は本発明の第5の実施形態に係る、第1ノズル251から吐出時の流体の流れを示した流体制御装置10Dの側面断面図である。
図15(B)は本発明の第5の実施形態に係る、第1ノズル251から吸入時の流体の流れを示した流体制御装置10Dの側面断面図である。なお、図を見やすくするため、一部の符号を省略し、一部の構造を誇張して記載している。
【0088】
図13(A)、
図13(B)、
図14、
図15(A)、
図15(B)に示すように、第5の実施形態に係る流体制御装置10Dは、第1の実施形態に係る流体制御装置10に対して、第3開口103Dが保持部材300Dに形成されている点において異なる。流体制御装置10Dの他の構成は、流体制御装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0089】
この構成においても、第1の実施形態と同様、流入口260から第1ノズル251への流れを生成することができる。
【0090】
なお、この構成においては第3開口103Dによって保持部材300Dの剛性が低下しているため、ポンプ本体100Dの振動がケース200Dに漏洩しにくい。そのため、第1主板110の振動エネルギーを効率よく活用することができる。
【0091】
なお、上述の構成では、ケース天板にノズルを設ける構成について説明したが、ノズルは必須の構成ではない。例えば、ケース天板と同じ厚さの通気口を設けているのみでも同様の効果を得られる。
【0092】
上述の構成では、振動板の振動次数を二次振動や一次振動として説明したが、二次振動や一次振動に限らない。例えば、三次振動以上である場合には、振動の腹、節にそれぞれ開口の位置を組み合わせても、同様の効果を得られる。
【0093】
また、第1、第2、第5の実施形態において、第2開口102と第1ノズル251を形成していなくてもよい。この場合、第2ノズル252からの吐出流量が得られるため、同様の効果を得られる。
【0094】
なお、上述の全ての構成において、振動板の振動周波数fが以下の式に示す範囲である場合に、特に大きな流量が得られる。以下の式において、cは、流体の音速であり、aは、第1開口101で囲まれた円環の半径であり、k
0は、J
0(k
0)=0を満たす定数である。例えば、室温における空気の状況下では340m/sであり、k
0は、2.40,5.52,8.65等である。
【0096】
この場合、ポンプ室内に圧力定在波が発生し、振動板の振動によって生じる圧力変化が増幅される。このことから、大きな振幅の圧力振動がポンプ室内に生成されるため、特に大きな流量が得られる。
【0097】
なお、振動板の振動周波数fは、レーザードップラー変位計等を用いて振動板の振動を測定することによって求めることができる。また、振動周波数fは、圧電素子へ投入される交流電圧の基本周波数とも一致しているため、圧電素子に投入される電圧や回路に流れる電流を測定することでも求めることができる。